JP2009242153A - シリコン製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全で運転や保守が簡便な方法で、副生塩化亜鉛から亜鉛を回収し再利用できる亜鉛還元法によるシリコン製造方法を提供する。
【解決手段】四塩化珪素ガスと亜鉛とを接触させて、シリコンと塩化亜鉛ガスとを得る還元工程S1と、還元工程で生成する塩化亜鉛ガスが塩化亜鉛水溶液として回収された後、酸性抽出剤を含み水溶液と混合しない有機溶媒と塩化亜鉛水溶液とを接触させて、亜鉛成分を有機溶媒相へ抽出する亜鉛抽出工程S2、S2‘と、亜鉛抽出工程で得た亜鉛成分を含む有機溶媒を希硫酸で逆抽出して、硫酸亜鉛水溶液を得る亜鉛逆抽出工程S3と、亜鉛逆抽出工程で得た硫酸亜鉛水溶液を電解して、亜鉛を得る電解工程S4と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン製造方法に関し、特に、四塩化珪素を亜鉛で還元する亜鉛還元法によるシリコン製造方法に関するものである。
近年、いわゆる亜鉛還元法により四塩化珪素を亜鉛で還元して高純度のシリコンを得る製法は、その設備がコンパクトで消費エネルギーが小さく、かつ6−ナイン以上の高純度のシリコンが得られるものであるため、今後急速に需要が拡大するとされる太陽電池用シリコン等の製法として注目されてきている。亜鉛還元法の反応式は、SiCl+2Zn→Si+2ZnClで示される。また、純度99.5%程度の粗シリコンから四塩化珪素を得る反応式は、Si+2Cl→SiClである。
半導体の原材料として要求されるシリコンの純度は、集積回路用途で8−ナイン以上のより高純度のものが必要とされ、三塩化珪素ガスを水素ガスで還元するシーメンス法と呼ばれる方法で精製されて製造され、このときの端材やオフスペック品が太陽電池用途に流用することも可能であるが、シリコンの製造量の確保やコスト削減には、一定の限界があり、低コストで製造量の確保ができる亜鉛還元法の開発が急務となっている。
かかる状況下で、特許文献1から4においては、亜鉛還元法として、粗シリコンからの四塩化珪素製造、四塩化珪素の亜鉛による還元、および副生塩化亜鉛の電解を組み合わせたプロセスが提案されている。
具体的には、特許文献1では、塩化亜鉛を水溶液として隔膜電解するか又は亜鉛の融点以上で溶融塩電解し、得られた亜鉛は四塩化珪素の還元に使用し、得られた塩素ガスは四塩化珪素の製造にそれぞれ使用することが開示される。また、特許文献2では、粗シリコンと塩酸とを接触させて、四塩化珪素を製造し、このとき副生する水素を塩酸の製造に使用することが開示される。また、特許文献3、4及び非特許文献1では、塩化亜鉛の電解を溶融塩電解法に限定した構成が開示されている。
特開2003−34519号公報 特開平11−92130号公報 特許2003−342016号公報 特開2004−35382号公報 No.216,Vol.78PROCESSING OF ENERGY AND METALLIC MINERALS AIChE SYMPOSIUM SERIES
しかしながら、本発明者の検討によれば、かかる特許文献や非特許文献においては、塩化亜鉛の電解が必要であり、工業的な実施をするには技術的に複雑な面が多い。特に、塩化亜鉛水溶液の電解については、陰極で析出する亜鉛の再溶解を防ぐための隔膜の構造や、陽極で発生する塩素ガスを安全に回収するための電解槽の構造について、改善の余地がある。
一方、副生塩化亜鉛の溶融塩電解についても、高腐食性の液体や毒性があり高腐食性の塩素ガスを高温で扱うものであり、工業的な実施するには技術的に複雑な面が多く、改善の余地がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、安全で運転や保守が簡便な方法で、副生塩化亜鉛から亜鉛を回収し再利用できる亜鉛還元法によるシリコン製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、かかる事情に鑑み、副生塩化亜鉛からの亜鉛の回収に、溶媒抽出法を適用すれば、上記課題が克服できることを見いだし完成したものである。
すなわち、本発明では、四塩化珪素を亜鉛により還元してシリコンを得るとともに、副生する塩化亜鉛は水蒸気または水と接触させて水溶液とする。こうして得た水溶液から、酸性抽出剤を含む有機溶媒との接触により亜鉛を選択抽出して回収し、四塩化珪素の還元に再利用する。抽出された亜鉛を含む有機溶媒からの亜鉛回収は、希硫酸と接触させる逆抽出により、不純物を含まない硫酸亜鉛水溶液を得てこれを電解する。
さらに、本発明者は、亜鉛抽出後の食塩水を隔膜電解法により、処理して水酸化ナトリウムと塩素ガスを得れば、これらを亜鉛抽出工程で使うアルカリ剤と塩化工程で使う塩素ガスとにそれぞれ利用できることを見いだし、全く廃棄物を出さない完全クローズドシステムを実現した。
一方、亜鉛抽出後の水溶液相に亜鉛成分が残っていると、抽出処理後の水溶液を廃棄する場合でも再処理してリサイクルする場合であっても、有価物として利用すべき亜鉛成分を無価値なスラッジとして廃棄処分することになってしまう。よって、水溶液相のpHを管理範囲に維持して、塩化亜鉛水溶液中の亜鉛成分をほぼ完全に抽出することが必要である。
しかし、前処理として塩化亜鉛水溶液中の塩素成分を分離した後に亜鉛を抽出できれば、亜鉛抽出工程を任意の液組成範囲で設計でき、pH調整も不要にできる。すなわち、pH調整なしでも十分な抽出効率を維持できる相当量の亜鉛成分が残った水溶液を循環すれば、一定の亜鉛濃度範囲及び塩素濃度範囲を維持するように亜鉛成分及び塩素成分を分離することができる。本発明者は、還元工程から排出される塩化亜鉛成分と、水よりも高沸点の成分を含む水溶液又はその蒸気と、を接触させることにより、塩酸成分と亜鉛化合物成分とに分離できることを見いだし、pH調整なしでも十分な抽出効率を維持できる構成を実現した。このような分離法の原理は、抽出蒸留法と同じであるから、還元工程から出る高温の塩化亜鉛ガスの排熱、凝縮熱が蒸留のために有効利用でき好ましい。
つまり、本発明は、第1の局面において、四塩化珪素を亜鉛で還元する亜鉛還元法によるシリコンの製造方法であって、四塩化珪素ガスと亜鉛とを接触させて、シリコンと塩化亜鉛ガスとを得る還元工程と、前記還元工程で生成する前記塩化亜鉛ガスが塩化亜鉛水溶液として回収された後、酸性抽出剤を含み水溶液と混合しない有機溶媒と前記塩化亜鉛水溶液とを接触させて、亜鉛成分を有機溶媒相へ抽出する亜鉛抽出工程と、前記亜鉛抽出工程で得た前記亜鉛成分を含む有機溶媒を希硫酸で逆抽出して、硫酸亜鉛水溶液を得る亜鉛逆抽出工程と、前記亜鉛逆抽出工程で得た硫酸亜鉛水溶液を電解して、亜鉛を得る電解工程と、を備え、前記電解工程で得た前記亜鉛を、前記還元工程で使用する前記亜鉛とし、前記電解工程で前記亜鉛を得た残りの希硫酸を含む水溶液を、前記逆抽出工程で使用する前記希硫酸とするシリコン製造方法である。
また本発明は、かかる第1の局面に加えて、更に、粗シリコンと塩素ガスとを接触させて、四塩化珪素ガスを得る塩化工程を備え、前記塩化工程で得た前記四塩化珪素ガスを前記還元工程で使用する前記四塩化珪素ガスとすることを第2の局面とする。
また本発明は、かかる第1又は2の局面に加えて、前記亜鉛抽出工程において、前記塩化亜鉛水溶液にアルカリ剤を添加して前記塩化亜鉛水溶液のpHを2以上として、前記有機溶媒と前記塩化亜鉛水溶液とを接触させることを第3の局面とする。
また本発明は、かかる第3の局面に加えて、前記アルカリ剤が、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムであることを第4の局面とする。
また本発明は、かかる第3の局面に加えて、前記アルカリ剤を添加した前記塩化亜鉛水溶液から前記亜鉛成分を抽出することにより得られる塩化ナトリウム水溶液を電解し、水酸化ナトリウムを得て、前記水酸化ナトリウムを亜鉛抽出工程で使用する前記アルカリ剤とすることを第5の局面とする。
また本発明は、かかる第2の局面に加えて、前記亜鉛抽出工程において、前記塩化亜鉛水溶液にアルカリ剤を添加して前記塩化亜鉛水溶液のpHを2以上として、前記有機溶媒と前記塩化亜鉛水溶液とを接触させ、前記亜鉛成分を抽出することにより得られる塩化ナトリウム水溶液を電解することにより塩素ガスを得て、前記塩素ガスを前記塩化工程で使用する塩素ガスとすることを第6の局面とする。
また本発明は、第7の局面において、四塩化珪素を亜鉛で還元する亜鉛還元法によるシリコンの製造方法であって、四塩化珪素ガスと亜鉛とを接触させて、シリコンと塩化亜鉛ガスとを得る還元工程と、前記還元工程で得た前記塩化亜鉛ガスを、水よりも高沸点の成分を含む水溶液又はその蒸気と接触させて、亜鉛成分を含む水溶液と塩化水素を含む蒸気とを得る塩化水素分離工程と、前記塩化水素分離工程で得た前記亜鉛成分を含む水溶液と、酸性抽出剤を含み水溶液と混合しない有機溶媒とを接触させて、亜鉛成分を有機溶媒相へ抽出する亜鉛抽出工程と、前記亜鉛抽出工程で得た前記亜鉛成分を含む有機溶媒を希硫酸で逆抽出して、硫酸亜鉛水溶液を得る亜鉛逆抽出工程と、前記亜鉛逆抽出工程で得た硫酸亜鉛水溶液を電解して、亜鉛を得る電解工程と、を備え、前記電解工程で得た前記亜鉛を、前記還元工程で使用する前記亜鉛とし、前記電解工程で前記亜鉛を得た残りの希硫酸を含む水溶液を、前記逆抽出工程で使用する前記希硫酸とするシリコン製造方法である。
また本発明は、かかる第7の局面に加えて、前記亜鉛抽出工程で亜鉛成分が抽出され亜鉛濃度が減じられて得た水溶液を、前記塩化水素分離工程で使用する前記水よりも高沸点の成分を含む水溶液とすることを第8の局面とする。
また本発明は、かかる第7又は8の局面に加えて、前記塩化水素分離工程で使用する前記水よりも高沸点の成分を含む水溶液の高沸点成分が硫酸であることを第9の局面とする。
本発明によれば、最適化された亜鉛抽出工程において、副生塩化亜鉛から亜鉛を選択的に液液抽出し、硫酸亜鉛浴で電解して高純度の亜鉛を回収できる。よって、塩化亜鉛電解のような技術的制約があるプロセスや、凝集沈殿法のような分離精度が低く煩雑な操作を要するプロセスを経ることなく、安全かつ運転、保守が容易な方法で、亜鉛還元法によるシリコン製造のトータルシステムを実施できる。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態におけるシリコン製造方法につき詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態におけるシリコン製造方法につき、図1及び2を参照して、詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるシリコン製造方法の工程図であり、図2は、本実施形態の亜鉛抽出工程における溶媒抽出法の概念図である。
図1に示すように、本実施形態のシリコン製造方法では、まず還元工程S1において、ガス化された四塩化珪素M1とガス化された亜鉛M8とが供給される。ここにおいて、四塩化珪素M1は亜鉛M8により還元され、シリコンM2と塩化亜鉛とが得られる。このような還元工程を実施するための装置としては、限定的なものではないが、石英ガラス製の管状反応器が使用でき、かかる反応器を1000℃以上の高温に維持して、還元反応は行われる。
ここで、塩化亜鉛は、高温のガスとして反応器から排出されるので、ガス化された塩化亜鉛を水と気液接触させて冷却させることにより、塩化亜鉛水溶液M3とし、かかる塩化亜鉛水溶液M3が、次段の亜鉛抽出工程S2で使用される。かかる気液接触には、限定的なものではないが、水エゼクタが使用でき、ガス化した塩化亜鉛M3に対して、水を噴出させることにより行われ、還元工程S1の最後で行ってもよいし、亜鉛抽出工程S2の最初で行ってもよい。
亜鉛抽出工程S2においては、溶媒抽出法が適用される。かかる溶媒抽出法は、互いに混ざらない2液相の間における目的成分の分配を利用する分離法である。つまり、塩化亜鉛水溶液相中の亜鉛イオンを、酸性抽出剤により無電荷の化学種として脱水和し、選択的に有機溶媒相に移動させて分離するものである。ここで、酸性抽出剤としては、ジ−2−エチルヘキシル燐酸(D2EHPA)、2−エチルヘキシル燐酸モノエステル等の燐酸系抽出剤、ナフテン酸、ベルサト酸等のカルボン酸、及びオキシン誘導体等のキレート剤のいずれかが挙げられるが、亜鉛に対する選択性からは、D2EHPAが好適であり、本実施形態では、酸性抽出剤としては、D2EHPAを用いた。また、有機溶媒としては、塩化亜鉛等の亜鉛成分を含む水溶液と混合しないケロシン等の脂肪族炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロホルム等の塩素系有機溶剤、及びハイドロフルオロエーテル等の非塩素系有機溶剤のいずれかが挙げられるが、汎用性及び安全性の観点からは、ケロシンが好適であり、本実施形態では、有機溶媒としては、ケロシンを用いた。
具体的には、図2に示すように、(a)抽出槽10中に、塩化亜鉛水溶液及び有機溶媒としてのケロシンを入れると、下方の塩化亜鉛水溶液相L1及び上方のケロシン相L2という2相に分離し、(b)更に、抽出槽10中に、酸性抽出剤としてD2EHPAを加えた後、撹拌機構20で、塩化亜鉛水溶液相L1及びケロシン相L2を所定時間撹拌して、塩化亜鉛液滴30を拡散させ、(c)その後、所定時間放置すると、下方の塩化亜鉛水溶液相L1及び上方のD2EHPAが混合したケロシン相L2の2相に分離していくが、この際、塩化亜鉛水溶液相L1の亜鉛イオン(Zn2+)は、上方に向けてD2EHPAが混合したケロシン相L2中に移動し、D2EHPAの水素イオン(H)は、下方に向けて移動して塩化亜鉛水溶液相L1中に移動する。かかる構成は、いわゆるバッチ抽出槽方式であるが、限定的なものではなく、規模や立地条件に応じて、ミキサーセトラ方式、ディスクカラム方式、パルスカラム方式及び遠心抽出装置等も適宜使用可能である。
かかるD2EHPAと亜鉛イオンとの反応は、D2EHPA中の水素イオンが、亜鉛イオンに置換していくイオン交換反応であり、下記の(化1)でイオン反応式及び化学反応式が示される。
Figure 2009242153
このように、亜鉛イオンは、酸性抽出剤とのイオン交換反応により無極性の化学種となり、脱水和して有機溶媒相に移動する。ここで、かかる反応においては、水素イオン濃度により平衡がずれるから、亜鉛の抽出率は、塩化亜鉛水溶液相のpHに依存する。かかる亜鉛の抽出率からいえば、塩化亜鉛水溶液相のpHは、2以上が好適であって、かかるpHを実現するようにpH調整剤を更に添加することが、より好ましい。かかるpH調整剤としては、安価な炭酸カルシウムが好適に使用でき、汎用性が高い水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムも好適に使用できる。
また、有機溶媒であるケロシン中のD2EHPAの混合比は、溶解混合性からいえば10w%以上30w%以下の範囲がよい。また、亜鉛D2EHPA錯体(Zn・R・2HR)の有機溶媒への溶解度を上げるとともに、塩化亜鉛水溶液相及び有機溶媒相間の分離を改善し、かかる2相以外の第3の液相発生を防ぐため、分離調整剤を添加することが好ましい。かかる分離調整剤としては、燐酸トリブチル(TBP)、イソデカノール、及び2−エチルヘキサノール等が例示でき、その有機溶媒への添加量は、溶解混合性からいえば1w%以上10w%以下の範囲内がよい。
また、有機溶媒と接触させる塩化亜鉛水溶液の組成は任意に設定できるが、抽出残液から塩化カルシウムまたは塩化ナトリウムを回収して再利用する場合は、それらの飽和濃度を考慮して決めればよい。
つまり、亜鉛抽出工程S2では、導入された塩化亜鉛水溶液M3は、酸性抽出剤を含み、かつ好ましくは分離調整剤をも含む有機溶媒M4と接触し、亜鉛濃度が低下すると共に塩酸濃度が上昇してpHが下がる。一方、塩化亜鉛水溶液M3と接触した有機溶媒M4には、含有する酸性抽出剤中の水素イオンと置換して亜鉛成分が取り込まれる。このように所定量の亜鉛成分が抽出されてpHが低下した塩化亜鉛水溶液M3には、PH調整剤として炭酸カルシウムM9が添加されて、pHが2以上に調整され、繰り返し有機溶媒M4と接触させることができる。その後、塩化亜鉛M3は、亜鉛イオンが完全に抽出除去されて塩化カルシウム水溶液M10となり、かかる塩化カルシウム水溶液M10は、廃棄される。また同時に、抽出された亜鉛成分を含む有機溶媒M5は、次段の亜鉛逆抽出工程S3へと送られる。
亜鉛逆抽出工程S3においては、有機溶媒相中の亜鉛イオンは、希硫酸との接触により逆抽出されるが、かかる反応のイオン反応式及び化学反応式は、下記の(化2)で示される。
Figure 2009242153
また、かかる逆抽出により、酸性抽出剤であるD2EHPAは再生され、亜鉛成分の抽出に繰り返して使用され得る。なお、逆抽出に使う希硫酸の組成は、逆抽出の作用からいえば、HSOとして5w%以上30w%以下の範囲内で使用できるが、亜鉛逆抽出の効率、亜鉛電解の電流効率及び消費電力を考慮すると、10w%以上25w%以下の範囲内が好ましく、逆抽出後の希硫酸中における亜鉛濃度は20g/l以上80g/l以下の範囲内が好ましい。
つまり、亜鉛逆抽出工程S3では、このように亜鉛成分を含む有機溶媒M5は、硫酸M7と接触して、酸性抽出剤が再生されながら、亜鉛成分が逆抽出される。この際、有機溶媒M5中の亜鉛イオンが、より強い酸である硫酸M7中の水素イオンと置換して、硫酸M7に取り込まれて硫酸亜鉛水溶液6となり、次段の電解工程S4に送られる。また同時に、酸性抽出剤を含む有機溶媒M4は、前段の亜鉛抽出工程S2に送られて循環して繰り返し使用され、塩化亜鉛M3と接触する。なお、かかる工程の構成も、亜鉛抽出工程S2と同様に、バッチ抽出槽方式に限らず、ミキサーセトラ方式、ディスクカラム方式、パルスカラム方式及び遠心抽出装置等も適宜使用可能である。
電解工程S4においては、硫酸亜鉛水溶液M6は、電気分解されて亜鉛が採取されるが、かかる硫酸亜鉛水溶液の電解におけるイオン反応式及び化学反応式は、下記の(化3)で示される。
Figure 2009242153
また、かかる電解により、硫酸が得られ、これを亜鉛逆の抽出に繰り返して使用され得る。
つまり、電解工程S4では、直流電源に接続された陰極及び陽極を備えた電解槽に、硫酸亜鉛M6を受け入れて電解する。すると、陰極では亜鉛8が平滑な板状に析出し、陽極では酸素が発生する。この際、硫酸亜鉛M6は、亜鉛濃度が減少して硫酸M7となり、かかる硫酸M7は、前段の亜鉛逆抽出工程S3に送られて循環して繰り返し使用され、亜鉛成分を含む有機溶媒Mと接触する。また、亜鉛成分の減少と陽極での酸素の発生により、硫酸亜鉛M6は、濃縮されて容積が減少していくので、水を補給しながら循環使用する。なお、かかる電解工程S4を実施するための装置としては、限定的なものではないが、陰極が亜鉛種板、陽極が鉛合金板及び浴槽が合成樹脂製の角型槽からなる電解槽が使用でき、また、その電流密度は、電流効率上、電極板の幾何面積に対し100A/m以上500A/m以下の範囲内が好ましい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態におけるシリコン製造方法につき、図3を参照して、詳細に説明する。
図3は、本実施形態におけるシリコン製造方法の工程図である。
本実施形態におけるシリコン製造方法は、第1の実施形態のものに対して、塩化工程S0、食塩電解工程S5、塩素ガス乾燥工程S6及び塩素ガス精製工程S7が具体的に付加されていることが主たる相違点であり、残余の構成は同様である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同様な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
図3に示すように、まず、塩化工程S0においては、純度約98.5%の粗シリコンM0と塩素ガスM13とを接触させ、生成するガスを蒸留して四塩化珪素M1を得る。かかる四塩化珪素M1は、ガス化されて次段の還元工程S1に送られる。かかる還元工程S1は、第1の実施形態のものと同じであり、工程は、更に亜鉛抽出工程S2へと進む。
さて、亜鉛抽出工程S2において、導入された塩化亜鉛M3は、酸性抽出剤を含み、かつ好ましくは分離調整剤をも含む有機溶媒M4と接触し、亜鉛濃度が低下すると共に塩酸濃度が上昇してpHが下がる一方で、塩化亜鉛M3と接触した有機溶媒M4には、含有する酸性抽出剤中の水素イオンと置換して亜鉛成分が取り込まれることは、第1の実施形態と同様である。また、抽出された亜鉛成分を含む有機溶媒M5は、次段の亜鉛逆抽出工程S3へと送られ、その後の工程は、亜鉛逆抽出工程S3及び電解工程S4であって、第1の実施形態と同様である。
一方で、このように所定量の亜鉛成分が抽出されてpHが低下した塩化亜鉛M3には、PH調整剤を添加するが、本実施形態では、PH調整剤として水酸化ナトリウムM9’が添加されて、pHが2以上に調整され、繰り返し有機溶媒M4と接触させることができる。その後、塩化亜鉛3は、亜鉛イオンが完全に抽出除去されて塩化ナトリウム水溶液M10’となり、食塩電解工程S5に送られる。
食塩電解工程S5では、塩化ナトリウム水溶液M10’が電解され、陰極で水酸化ナトリウムM9’が得られ、陽極で湿塩素ガスM11が得られる。かかる食塩電解工程には、隔膜法やイオン交換膜法等が使用でき、この際に使用される電解槽としては、フィルタプレス型が例示できる。なお、陰極で水素ガスM12も得られるが、これは外部に排出されて処理される。
このように得られた水酸化ナトリウムM9’は、亜鉛抽出工程S2に送られて、塩化亜鉛水溶液M3のpH調整に繰り返して循環し使用される。一方で、湿塩素ガスM11は、次段の塩素ガス乾燥工程S6において乾燥され、更に次段の塩素ガス精製工程S7において精製されて、高純度の塩素ガスM13として塩化工程S0に送られて、循環して繰り返し使用され、粗シリコンM0と接触する。なお、塩素ガス乾燥工程S6では、塩素ガスを硫酸との接触により脱水乾燥させる方法が使用でき、塩素ガス精製工程S7では、液化、気化を組み合わせることにより、塩素ガスから酸素等の不凝縮ガスを除去する方法が使用できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態におけるシリコン製造方法につき、図4を参照して、詳細に説明する。
図4は、本実施形態におけるシリコン製造方法の工程図である。
本実施形態におけるシリコン製造方法は、第1の実施形態のものに対して、塩化水素分離工程S8が付加されていることが主たる相違点であり、残余の構成は同様である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同様な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
図4に示すように、まず、還元工程S1で得られた塩化亜鉛は、高温のガス状態のまま塩化亜鉛ガスM3’として、次段の塩化水素分離工程S8に導入される。
塩化水素分離工程S8においては、塩化亜鉛ガスM3’を、水よりも高沸点の成分、つまり硫酸を含む硫酸亜鉛水溶液又は硫酸水溶液である抽残液M14と気液接触させ、塩化亜鉛ガスM3’の排熱をも併用して加熱し、塩化水素M15を蒸発させ、残った硫酸亜鉛水溶液M16は次段の亜鉛抽出工程S2’へ送られる。なお、塩化亜鉛ガスM3’は、抽残液M14の蒸気と接触させてもかまわない。
亜鉛抽出工程S2’においては、導入された硫酸亜鉛水溶液M16は、第1の実施形態と同様な酸性抽出剤及び好適には調整剤を含む有機溶媒M4と接触し、亜鉛濃度が低下するとともに硫酸濃度が上昇する。一方で、硫酸亜鉛水溶液M16と接触した有機溶媒M4には、含有する酸性抽出剤中の水素イオンと置換して、亜鉛成分が取り込まれる。所定量の亜鉛成分が抽出された硫酸亜鉛水溶液又は硫酸水溶液M16は、抽残液M14として塩化水素分離工程S8に戻され、繰り返し循環して使用され、塩化亜鉛ガスM3’と接触する。一方で、抽出された亜鉛成分を含む有機溶媒M5は、次段の亜鉛逆抽出工程S3に送られ、工程は、第1の実施形態と同様に、亜鉛逆抽出工程S3を経て電解工程S4に至る。
ここで、塩化亜鉛と硫酸との混合液から塩化水素を分離する反応は、以下の(化4)で示される。なお、塩化亜鉛水溶液中の亜鉛は、クロロ錯体の形で解離し、希硫酸の解離は、2段階で解離するため、塩化亜鉛と硫酸との混合液から、亜鉛のみが選択抽出されても急激にpHが低下しない濃度範囲があり、このような濃度範囲が、亜鉛抽出工程S2’においてpH調整なしでも十分な抽出効率を維持できる濃度範囲であり、亜鉛抽出工程S2’においては、pH調整剤を使用していない。また、塩化水素分離工程S8において、水よりも高沸点の成分は硫酸としたが、かかる反応特性を呈するものであれば、他の化合物も使用可能である。
Figure 2009242153
以下、各実施形態に対応する実施例につき、詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、まず、1200℃に加熱された石英ガラス製反応管内に、四塩化珪素ガス50グラムと亜鉛ガス38.5グラムを供給して反応させ、針状のシリコン結晶8グラムと塩化亜鉛80グラムとを得た。以下の工程が、第1の実施形態に対応する。
次に、塩化亜鉛80グラムを脱塩水に溶かして、亜鉛濃度4.8g/l及び塩素濃度5.2g/lの塩化亜鉛水溶液8リットルを得て、これをポリプロピレン製の撹拌槽に入れて、D2EHPA15%と燐酸トリブチル8%とを含むケロシンからなる有機溶媒10リットルと接触させ、塩化亜鉛水溶液中の亜鉛を抽出した。
具体的には、約20分間攪拌して両者を接触させた後、塩化亜鉛水溶液中の亜鉛を有機溶媒中に抽出して静置した後に、下層の塩化亜鉛水溶液を抜き、代りに硫酸濃度74g/lであって、亜鉛を20g/l含む希硫酸1リットルを入れて、有機溶媒中の亜鉛を逆抽出した。この際、塩化亜鉛水溶液の初期pHは3.8で、これを維持するように炭酸カルシウムを添加して抽出を行った。
以上の抽出操作及び逆抽出操作を、同じ塩化亜鉛水溶液及び希硫酸について3回繰り返し、亜鉛抽出後の塩化カルシウム水溶液組成を分析したところ、亜鉛濃度70mg/l、塩素濃度5.1g/l及びカルシウム濃度2.8g/lであった。一方、逆抽出後の希硫酸の組成は、亜鉛濃度35.3g/lであった。
次に、逆抽出により得られた亜鉛を含む希硫酸を、活性炭フィルタを通過させ、混入した有機溶媒を除去した後、陰極にステンレス板を備え、陽極に鉛アンチモン合金板を備えた電解槽内に電解浴として満たして、直流5A及び電流密度200A/mの条件下で3時間電解したところ、陰極に析出した亜鉛16.7グラムを得た。このときの電解浴の組成は、亜鉛濃度18.5g/l及び硫酸濃度75g/lであった。また、得られた亜鉛の純度を表面の酸化亜鉛層を除いて分析したところ、99.9%であり、不純物はすべて10mg/kg以下の含有量であった。
逆抽出を終えた有機溶媒と希硫酸とは、以上と同様の操作により、ほぼ同じ組成の塩化亜鉛水溶液からの亜鉛回収にあたって、繰り返し使用でき、結果の再現性を確認した。
(実施例2)
本実施例は、第2の実施形態に対応するものであり、まず、1200℃に加熱された石英ガラス製反応管内に四塩化珪素ガス50グラムと亜鉛ガス38.5グラムとを供給して反応させ、針状のシリコン結晶8グラムと塩化亜鉛80グラムとを得た。
次に、塩化亜鉛80グラムを脱塩水に溶かして、亜鉛濃度96g/l及び塩素濃度104g/lの塩化亜鉛水溶液400ミリットルを得た。その初期pHは4で、これをポリプロピレン製の撹拌槽に入れて、D2EHPA15%と燐酸トリブチル8%とを含むケロシンからなる有機溶媒10リットルと接触させ、塩化亜鉛水溶液中の亜鉛を抽出した。
具体的には、約20分間攪拌して両者を接触させた後、塩化亜鉛水溶液中の亜鉛を有機溶媒中に抽出して静置した後に、下層の塩化亜鉛水溶液に48%水酸化Na水溶液を添加し、初期pHを維持するようにした。同じ操作を10回繰り返して抽出を行った後、下層の水溶液を抜き、代りに硫酸濃度74g/lであって、亜鉛を20g/l含む希硫酸1リットルを入れて、有機溶媒中の亜鉛を逆抽出した。
以上の抽出操作及び逆抽出操作を、同じ塩化亜鉛水溶液及び希硫酸について3回繰り返し、亜鉛抽出後の塩化ナトリウム水溶液組成を分析したところ、亜鉛濃度50mg/l、塩素濃度100g/l及びナトリウム濃度64.5g/lであった。一方、逆抽出後の希硫酸の組成は、亜鉛濃度35.8g/lであった。
次に、逆抽出により得られた亜鉛を含む希硫酸を、活性炭フィルタを通過させ、混入した有機溶媒を除去した後、陰極にステンレス板を備え、陽極に鉛アンチモン合金板を備えた電解槽内に電解浴として満たして、直流5A及び電流密度200A/mでの条件下で3時間電解したところ、陰極に析出した亜鉛16.8グラムを得た。このときの電解浴の組成は、亜鉛濃度18.3g/l及び硫酸濃度75g/lであった。また、得られた亜鉛の純度を表面の酸化亜鉛層を除いて分析したところ、99.9%であり、不純物はすべて10mg/kg以下の含有量であった。
逆抽出を終えた有機溶媒と希硫酸とは、以上と同様の操作により、ほぼ同じ組成の塩化亜鉛水溶液からの亜鉛回収にあたり繰り返し使用でき、結果の再現性を確認した。
一方、亜鉛抽出後の塩化ナトリウム水溶液は、活性炭フィルタを通過させ混入した有機溶媒を除去してから48%水酸化Na水溶液を添加し、そのpHを9.5に調整して、ろ過精度0.1μmのメンブレンフィルタでろ過して沈殿したスラッジを除いた後、電解した。
ここで、かかる電解方法は、陽イオン交換膜で隔てられた陰極室には、あらかじめ約10w%の水酸化Naを、陽極室には、亜鉛抽出後の塩化ナトリウム水溶液を満たしておき、陰極室に脱塩水を、陽極室には亜鉛抽出後の塩化ナトリウム水溶液を各々定量供給し、陰極、陽極両反応生成物を定量的に引き抜く連続電解とした。直流5Aの定電流及び電流密度1500A/mでの条件下で電解し、約15w%の水酸化ナトリウム水溶液と塩素ガスとを得た。イオン交換膜を通過したナトリウムの輸率は0.98、すなわち、電流効率98%であった。なお、陰極には、ステンレスラス板、陽極には白金とイリジウム複合酸化物を焼付したチタンラス板及びイオン交換膜には、旭硝子社製セレミオンCMVを各々用いた。
(実施例3)
本実施例では、まず、1200℃に加熱された石英ガラス製反応管内に四塩化珪素ガス50グラムと亜鉛ガス38.5グラムとを供給して反応させ、針状のシリコン結晶8グラムと塩化亜鉛80グラムとを得た。以下の工程が、第3の実施形態に対応する。
次に、塩化亜鉛80グラムを、亜鉛濃度98.5g/l、塩素濃度20g/l及び硫酸濃度145g/lからなる水溶液に溶かして、亜鉛濃度104g/l、塩素濃度26g/l及び硫酸濃度145g/lの硫酸亜鉛水溶液7リットルを得た。これをガラス製のセパラブルフラスコに入れ、電気ヒータで加熱して2.7リットルまで濃縮した後、脱塩水を加えて7リットルにメスアップしたところ、その組成は、亜鉛濃度104g/l、塩素濃度20g/l及び硫酸濃度145g/lであった。
次に、このようにして得た硫酸亜鉛水溶液7リットルを、ポリプロピレン製のかくはん槽に入れて、D2EHPA15%と燐酸トリブチル8%とを含むケロシンからなる有機溶媒10リットルと接触させ、硫酸亜鉛水溶液中の亜鉛を抽出した。
具体的には、約20分間攪拌して両者を接触させた後、硫酸亜鉛水溶液中の亜鉛を有機溶媒中に抽出して静置した後に、下層の水溶液を抜き、代りに硫酸濃度74g/lの、亜鉛を20g/l含む希硫酸1リットルを入れて、有機溶媒中の亜鉛を逆抽出した。
以上の抽出操作及び逆抽出操作を、同じ水溶液及び希硫酸について3回繰り返し、亜鉛抽出後の水溶液の組成を分析したところ、亜鉛濃度98.3g/l、塩素濃度20g/l及び硫酸濃度145g/lであった。一方、逆抽出後の希硫酸の組成は、亜鉛濃度35.8g/lであった。
次に、逆抽出により得られた亜鉛を含む希硫酸を、活性炭フィルタを通過させ、混入した有機溶媒を除去した後、陰極にステンレス板を備え、陽極に鉛アンチモン合金板を備えた電解槽内に電解浴として満たし、直流5A及び電流密度200A/mの条件下で3時間電解したところ、陰極に析出した亜鉛16.8グラムを得た。このときの電解浴の組成は、亜鉛濃度18.3g/l及び硫酸濃度75g/lであった。得られた亜鉛の純度を表面の酸化亜鉛層を除いて分析したところ、99.9%であり、不純物はすべて10mg/kg以下の含有量であった。
逆抽出を終えた有機溶媒と希硫酸とは、以上と同様の操作により、ほぼ同じ組成の塩化亜鉛水溶液からの亜鉛回収にあたり繰り返し使用でき、結果の再現性を確認した。
なお、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明においては、安全で運転や保守が簡便な方法で、副生塩化亜鉛から亜鉛を回収し再利用できる亜鉛還元法によるシリコン製造方法を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から太陽電池用シリコン等の製造分野に広範に適用され得るものと期待される。
本発明の第1の実施形態におけるシリコン製造方法の工程図である。 本実施形態の亜鉛抽出工程における溶媒抽出法の概念図である。 本発明の第2の実施形態におけるシリコン製造方法の工程図である。 本発明の第3の実施形態におけるシリコン製造方法の工程図である。
符号の説明
10………抽出槽
20………撹拌機構
30………塩化亜鉛液滴
L1………亜鉛水溶液相
L2………有機溶媒相

Claims (9)

  1. 四塩化珪素を亜鉛で還元する亜鉛還元法によるシリコンの製造方法であって、
    四塩化珪素ガスと亜鉛とを接触させて、シリコンと塩化亜鉛ガスとを得る還元工程と、
    前記還元工程で生成する前記塩化亜鉛ガスが塩化亜鉛水溶液として回収された後、酸性抽出剤を含み水溶液と混合しない有機溶媒と前記塩化亜鉛水溶液とを接触させて、亜鉛成分を有機溶媒相へ抽出する亜鉛抽出工程と、
    前記亜鉛抽出工程で得た前記亜鉛成分を含む有機溶媒を希硫酸で逆抽出して、硫酸亜鉛水溶液を得る亜鉛逆抽出工程と、
    前記亜鉛逆抽出工程で得た硫酸亜鉛水溶液を電解して、亜鉛を得る電解工程と、を備え、
    前記電解工程で得た前記亜鉛を、前記還元工程で使用する前記亜鉛とし、前記電解工程で前記亜鉛を得た残りの希硫酸を含む水溶液を、前記逆抽出工程で使用する前記希硫酸とするシリコン製造方法。
  2. 更に、粗シリコンと塩素ガスとを接触させて、四塩化珪素ガスを得る塩化工程を備え、前記塩化工程で得た前記四塩化珪素ガスを前記還元工程で使用する前記四塩化珪素ガスとする請求項1に記載のシリコン製造方法。
  3. 前記亜鉛抽出工程において、前記塩化亜鉛水溶液にアルカリ剤を添加して前記塩化亜鉛水溶液のpHを2以上として、前記有機溶媒と前記塩化亜鉛水溶液とを接触させる請求項1又は2に記載のシリコン製造方法。
  4. 前記アルカリ剤が、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムである前記請求項3に記載のシリコン製造方法。
  5. 前記アルカリ剤を添加した前記塩化亜鉛水溶液から前記亜鉛成分を抽出することにより得られる塩化ナトリウム水溶液を電解し、水酸化ナトリウムを得て、前記水酸化ナトリウムを亜鉛抽出工程で使用する前記アルカリ剤とする請求項3に記載のシリコン製造方法。
  6. 前記亜鉛抽出工程において、前記塩化亜鉛水溶液にアルカリ剤を添加して前記塩化亜鉛水溶液のpHを2以上として、前記有機溶媒と前記塩化亜鉛水溶液とを接触させ、前記亜鉛成分を抽出することにより得られる塩化ナトリウム水溶液を電解することにより塩素ガスを得て、前記塩素ガスを前記塩化工程で使用する塩素ガスとする請求項2に記載のシリコン製造方法。
  7. 四塩化珪素を亜鉛で還元する亜鉛還元法によるシリコンの製造方法であって、
    四塩化珪素ガスと亜鉛とを接触させて、シリコンと塩化亜鉛ガスとを得る還元工程と、
    前記還元工程で得た前記塩化亜鉛ガスを、水よりも高沸点の成分を含む水溶液又はその蒸気と接触させて、亜鉛成分を含む水溶液と塩化水素を含む蒸気とを得る塩化水素分離工程と、
    前記塩化水素分離工程で得た前記亜鉛成分を含む水溶液と、酸性抽出剤を含み水溶液と混合しない有機溶媒とを接触させて、亜鉛成分を有機溶媒相へ抽出する亜鉛抽出工程と、
    前記亜鉛抽出工程で得た前記亜鉛成分を含む有機溶媒を希硫酸で逆抽出して、硫酸亜鉛水溶液を得る亜鉛逆抽出工程と、
    前記亜鉛逆抽出工程で得た硫酸亜鉛水溶液を電解して、亜鉛を得る電解工程と、を備え、
    前記電解工程で得た前記亜鉛を、前記還元工程で使用する前記亜鉛とし、前記電解工程で前記亜鉛を得た残りの希硫酸を含む水溶液を、前記逆抽出工程で使用する前記希硫酸とするシリコン製造方法。
  8. 前記亜鉛抽出工程で亜鉛成分が抽出され亜鉛濃度が減じられて得た水溶液を、前記塩化水素分離工程で使用する前記水よりも高沸点の成分を含む水溶液とする請求項7に記載のシリコン製造方法。
  9. 前記塩化水素分離工程で使用する前記水よりも高沸点の成分を含む水溶液の高沸点成分が硫酸である請求項7又は8記載のシリコン製造方法
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