JP2009242136A - 水酸化アルミニウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を連続的に析出槽に供給しながら、平均二次粒子径40〜70μmの種子水酸化アルミニウムの存在下で前記アルミン酸ナトリウム溶液を攪拌して、アルミン酸ナトリウムの分解と、生成した水酸化アルミニウムの析出とを行わせ、固液分離により平均二次粒子径90〜120μmの水酸化アルミニウムを含む濃縮液を得、ついで、該濃縮液を一部を残して析出槽から排出した後、析出槽に再び過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を連続的に析出槽に供給しながら攪拌して、アルミン酸ナトリウムの分解と、生成した水酸化アルミニウムの析出とを行わせ、固液分離により平均二次粒子径160μm以上の水酸化アルミニウムを析出させるものである。
【選択図】図1
Description
(1)分級等の分離操作をすることなく、目的とする平均粒子径160μm以上の水酸化アルミニウム二次粒子を容易に得ることができる。
(2)分離操作が不要であることに基づいて、原料のアルミン酸ナトリウムに対する歩留まりが改善される。
(3)得られる水酸化アルミニウム二次粒子の粒度分布がシャープである。
第一工程は、バイヤー法にて得られた過飽和アルミン酸ナトリウム水溶液を、析出槽に供給し、微粒水酸化アルミニウム種子の存在下で、攪拌下に、平均二次粒子径40〜70μm程度の水酸化アルミニウムを析出させる工程である。
ここで、過飽和アルミン酸ナトリウム溶液とは、アルミン酸ナトリウム溶液のモル比[Na2O(有効ソーダ)/Al2O3]が1.8よりも小さい値を有する溶液をいう。
第二工程は、過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を連続的に析出槽に供給しながら、平均二次粒子径40〜70μmの種子水酸化アルミニウムの存在下で前記アルミン酸ナトリウム溶液を攪拌して、アルミン酸ナトリウムの分解と、生成した水酸化アルミニウムの析出とを行わせ、固液分離により平均二次粒子径90〜120μmの水酸化アルミニウムを含む濃縮液を得るものである。この工程では、平均二次粒子径40〜70μm程度の水酸化アルミニウムが種晶として機能する。
第三工程は、前記第二工程で排出されずに残った平均二次粒子径90〜120μmの水酸化アルミニウムのスラリー(濃縮液)を含有した析出槽3に再び過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を連続的に析出槽に供給しながら攪拌して、アルミン酸ナトリウムの分解と、生成した水酸化アルミニウムの析出とを行わせ、固液分離により平均二次粒子径160μm以上、通常160〜200μmの水酸化アルミニウムを析出させる。ここで、平均二次粒子径90〜120μmの水酸化アルミニウムが種子水酸化アルミニウムとして機能する。
さらに、第三工程で得られた平均二次粒子径160μm以上の水酸化アルミニウムは、分離、洗浄及び乾燥する工程に送られ、当該水酸化アルミニウムを乾燥した状態で得ることができる。上記分離方法としては、遠心分離、ろ過等を採用することができる。
得られる水酸化アルミニウムは、平均二次粒子径が160μm以上であるため、プロセス液との分離の際のろ過性に優れており、また高純度で不純物が少ない。特にこの水酸化アルミニウムは、分級を行わないにもかかわらず、その粒度分布がシャープであるという特質を有する。具体的には、90%径/10%径が1.3〜2.0である。
このように粒度分布がシャープである理由としては、平均二次粒子径90〜120μmの水酸化アルミニウム種子が破壊されることなく、次の析出操作に使用されるためと推測される。
図1、図2に示す析出槽(容量200L)を使用し、これにバイヤー法で得られた平均二次粒子径が約50μmの水酸化アルミニウム粒子13重量部を加え、過飽和アルミン酸ナトリウム水溶液[Na2O(有効ソーダ)/Al2O3のモル比が1.55]を0.62重量部/時間の流量で、攪拌機を回転させながら、過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を析出槽に供給するとともに、分解液をオーバーフローさせる析出操作を連続的に行った。この一連の操作を通して、槽内の温度は78℃程度に維持した。140時間後に、槽内の水酸化アルミニウムの平均二次粒子径(中心粒子径)が106μmとなったところで、過飽和アルミン酸ナトリウム溶液の供給を停止し、そのまま保持した。供給停止時の槽内の水酸化アルミニウムの固体濃度は714g/Lであった。
第二析出槽底部の取り出し口より、平均二次粒子径(中心粒子径)が106μmの水酸化アルミニウムスラリー181Lを抜き出し、19Lの該水酸化アルミニウムのスラリーを、そのまま残存させ、析出操作を行った。
すなわち、平均粒子径106μmの水酸化アルミニウムのスラリーが入った析出槽に、温度75℃の過飽和アルミン酸ナトリウム水溶液[Na2O(有効ソーダ)/Al2O3のモル比が1.55]を、0.74重量部/時間の流量で、攪拌機を回転させながら、過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を析出槽に供給するとともに、分解液をオーバーフローさせる析出操作を連続的に行った。この一連の操作を通して、槽内の温度は75℃程度に維持した。5日後に、槽内の水酸化アルミニウム二次粒子の平均粒子径(中心粒子径)が約180μmとなったところで、過飽和アルミン酸ナトリウム溶液の供給を停止し、そのまま保持した。供給停止時の槽内の水酸化アルミニウムの固体濃度は513g/Lであった。
得られた水酸化アルミニウム粒子の水性スラリーを、ろ紙により、固液分離し、固体を水洗し、110℃で乾燥して、平均二次粒子径が約180μmの水酸化アルミニウム粒子を得た。原料のアルミン酸ナトリウムに対する歩留まりは、約90%であった。
得られた二次粒子の純度を調べたところ、H2O4.1%、SiO20.01%、Fe2O30.01%、Na2O0.19%、Al2O3残部であり、物性的に問題はなかった。
なお、各成分の定量法は以下の通りである。
(1)H2O
試料を110℃で乾燥した後、その減量を計って求めた(乾燥減量)。
(2)SiO2
試料を炭酸ナトリウムとホウ酸で融解し、融成物を硝酸で溶解した後、モリブデン酸アンモニウムを加え、生成したけいモリブデン酸塩をスルホン酸還元溶液で青色とし、その吸光度を測定して、SiO2量を求めた。
(3)Fe2O3
SiO2(二酸化けい素)定量用の溶液の一部をとり、酢酸ナトリウムを加えてpHを調整した後、塩酸ヒドロキシアミンを加えて鉄を還元し、Oフェナントロリンで呈色した鉄錯体の吸光度を測定し、Fe2O3量を求めた。
(4)Na2O
試料をホウ酸で溶融後、その溶融物を塩酸で浸出し、試料中の全酸化ナトリウムをホウ酸ナトリウムとして浸出させる。この溶液の一部をとり、フレーム光度計を用いてナトリウムの輝線光度を測定し、Na2O量を求めた。
図1、図2に示す析出槽(容量200L)を使用し、これにバイヤー法で得られた平均二次粒子径が約50μmの水酸化アルミニウム粒子17重量部を加え、過飽和アルミン酸ナトリウム水溶液[Na2O(有効ソーダ)/Al2O3のモル比が1.55]を3.5重量部/時間の流量で、攪拌機を回転させながら、過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を析出槽に供給するとともに、分解液をオーバーフローさせつつ、スラリーを7.5重量部/時間の流量で抜き出し、液体サイクロンで分級し、そのオーバーフロー液は析出槽に返送し、アンダーフロー液は貯槽に送液し、一連の操作を連続的に行った。アンダーフロー液の平均二次粒子径(中心粒子径)は200μmであった。析出槽内および貯槽の温度は70℃に保った。
得られた水酸化アルミニウム粒子の水性スラリーを、ろ紙により、固液分離し、固体を水洗し、110℃で乾燥して、平均二次粒子径が約200μmの水酸化アルミニウム粒子を得た。
粒度分布をシャープにする目的で、得られた水酸化アルミニウムの粉末を、100メッシュの篩を用いて分級した。得られた水酸化アルミニウムの原料アルミン酸ナトリウムに対する歩留まりは約60%であった。
2 清澄領域
3 槽
4 バッフル板
7 攪拌機
Claims (3)
- 過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を連続的に析出槽に供給しながら、平均二次粒子径40〜70μmの種子水酸化アルミニウムの存在下で前記アルミン酸ナトリウム溶液を攪拌して、アルミン酸ナトリウムの分解と、生成した水酸化アルミニウムの析出とを行わせ、固液分離により平均二次粒子径90〜120μmの水酸化アルミニウムを含むスラリーを得、
ついで、該スラリーを一部を残して析出槽から排出した後、析出槽に再び過飽和アルミン酸ナトリウム溶液を連続的に析出槽に供給しながら攪拌して、アルミン酸ナトリウムの分解と、生成した水酸化アルミニウムの析出とを行わせ、固液分離により平均二次粒子径160μm以上の水酸化アルミニウムを析出させる、ことを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法。 - 平均二次粒子径40〜70μmの種子水酸化アルミニウムが、バイヤー法にて得られたものである、請求項1に記載の水酸化アルミニウム二次粒子の製造方法。
- 平均二次粒子径160μm以上の水酸化アルミニウムを前記析出槽から排出し、洗浄および乾燥する、請求項1に記載の水酸化アルミニウム二次粒子の製造方法。
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