JP2009241832A - 操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 送りねじ機構を用いた操舵装置の伸縮アクチュエータが外力により伸縮するのを機械的に規制する。
【解決手段】 モータ36を駆動すると、その回転軸45の回転が送りねじ機構39で出力ロッド33の伸縮動に変換され、出力ロッド33に接続された車輪のトー角を変化させる。モータ36が停止して車輪のトー角が保持されているとき、ハウジング32に設けた弾性を有する摩擦材98をセット荷重を付与して出力ロッド33に摺接させることで、車輪側から逆伝達される荷重による出力ロッド33の移動を摩擦材98が発生する静摩擦力で阻止し、出力ロッド33の意図せぬ伸縮を防止して車輪のトー角が不安定になるのを防止することができる。しかも、その際にモータ36に保持電流を流して出力ロッド33の伸縮を防止する必要がないため、モータ36の消費電力が増加する問題もない。
【選択図】 図3

Description

本発明は、モータの回転軸の回転を送りねじ機構で出力ロッドの伸縮動に変換し、前記出力ロッドに接続された車輪のトー角を変化させる操舵装置に関する。
車両のサスペンション装置のアッパーリンクおよびロアリンクをアクチュエータで伸縮制御することで、車輪のバンプおよびリバウンドに伴うキャンバー角や対地トレッドの変化を抑制して操縦安定性能を高めるものにおいて、前記アクチュエータをモータで相対回転する雄ねじ部材および雌ねじ部材を備えた送りねじ機構で構成したものが、下記特許文献1により公知である。
特公平6−47388号公報
ところで、送りねじ機構を用いたこの種のアクチュエータでは、相対回転する雄ねじ部材および雌ねじ部材間に微小なバックラッシュが存在するため、出力側から逆伝達される振動的な荷重や大きな荷重によって雄ねじ部材および雌ねじ部材がスリップして相対回転してしまい、アクチュエータが意図しない伸縮をする問題があった。従って、かかるアクチュエータを操舵装置に用いた場合には、車輪側から逆伝達される荷重でアクチュエータが伸縮し、車輪のトー角が変化する可能性がある。これを防止するには、モータに雄ねじ部材および雌ねじ部材の相対回転を規制する保持トルクを発生させれば良いが、このようにするとモータの消費電力が増加してしまうという新たな問題が発生する。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、送りねじ機構を用いた操舵装置の伸縮アクチュエータが外力により伸縮するのを機械的に規制することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、モータの回転軸の回転を送りねじ機構で出力ロッドの伸縮動に変換し、前記出力ロッドに接続された車輪のトー角を変化させる操舵装置において、前記出力ロッドをハウジングの内部に収納し、前記出力ロッドおよび前記ハウジングの一方に弾性を有する摩擦材を設け、前記摩擦材を前記出力ロッドおよび前記ハウジングの他方にセット荷重を付与して摺接させたことを特徴とする操舵装置が提案される。
尚、実施の形態の第2ハウジング32は本発明のハウジングに対応し、実施の形態の後輪Wは本発明の車輪に対応する。
請求項1の構成によれば、モータを駆動すると、その回転軸の回転が送りねじ機構で出力ロッドの伸縮動に変換され、出力ロッドに接続された車輪のトー角を変化させることができる。モータが停止して車輪のトー角が保持されているとき、車輪側から逆伝達される荷重で送りねじ機構の雄ねじ部材および雌ねじ部材がスリップして相対回転し、出力ロッドがハウジングに対して伸縮して車輪のトー角が不安定になったり、騒音の原因となったりする可能性があるが、出力ロッドおよびハウジングの一方に設けた弾性を有する摩擦材をセット荷重を付与して他方に摺接させることで、前記荷重による出力ロッドの移動を摩擦材が発生する静摩擦力で阻止し、出力ロッドの意図せぬ伸縮を防止して車輪のトー角が不安定になるのを防止することができる。しかも、その際にモータに保持電流を流して出力ロッドの伸縮を防止する必要がないため、モータの消費電力が増加する問題もない。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図8は本発明の実施の形態を示すもので、図1は左後輪のサスペンション装置の斜視図、図2は図1の2方向矢視図、図3は図1の3−3線拡大断面図、図4は図3の4部拡大図、図5は図3の5部拡大図、図6は図5の6−6線断面図、図7は減速機およびカップリングの分解斜視図、図8は出力ロッドのストロークと摩擦材の摩擦力との関係を示すグラフである。
図1および図2に示すように、四輪操舵車両のダブルウイッシュボーン式のリヤサスペンションSは、後輪Wを回転自在に支持するナックル11と、ナックル11を上下動可能に車体に連結するアッパーアーム12およびロアアーム13と、後輪Wのトー角を制御すべくナックル11および車体を連結するトーコントロールアクチュエータ14と、後輪Wの上下動を緩衝する懸架ばね付きダンパー15等で構成される。
基端をそれぞれゴムブッシュジョイント16,17で車体に連結されたアッパーアーム12およびロアアーム13の先端は、それぞれボールジョイント18,19を介してナックル11の上部および下部に連結される。トーコントロールアクチュエータ14は、基端がゴムブッシュジョイント20を介して車体に連結され、先端がゴムブッシュジョイント21を介してナックル11の後部に連結される。上端を車体(サスペンションタワーの上壁22)に固定された懸架ばね付きダンパー15の下端が、ゴムブッシュジョイント23を介してナックル11の上部に連結される。
トーコントロールアクチュエータ14を伸長駆動すると、ナックル11の後部が車幅方向外側に押されて後輪Wのトー角がトーイン方向に変化し、トーコントロールアクチュエータ14を収縮駆動すると、ナックル11の後部が車幅方向内側に引かれて後輪Wのトー角がトーアウト方向に変化する。従って、ステアリングホイールの操作による通常の前輪の操舵に加えて、車速やステアリングホイールの操舵角に応じて後輪Wのトー角を制御することで、車両の直進安定性能や旋回性能を高めることができる。
次に、図3〜図7に基づいてトーコントロールアクチュエータ14の構造を詳細に説明する。
図3および図4に示すように、トーコントロールアクチュエータ14は、車体側に連結されるゴムブッシュジョイント20が一体に設けられた第1ハウジング31と、ナックル11側に連結されるゴムブッシュジョイント21が一体に設けられた出力ロッド33を伸縮自在に支持する第2ハウジング32とを備えており、第1、第2ハウジング31,32の対向部は、シール部材34を介してインロー嵌合した状態で、各々の結合フランジ31a,32aを複数本のボルト35…で締結して一体化される。第1ハウジング31の内部には駆動源となるブラシ付きのモータ36が収納され、第2ハウジング32の内部には遊星歯車式の減速機37と、弾性を有するカップリング38と、台形ねじを用いた送りねじ機構39とが収納される。
モータ36の外郭は、フランジ40aを有するをカップ状に形成されたヨーク40と、ヨーク40のフランジ40aに複数のボルト41…で締結されたベアリングホルダ42とで構成される。ヨーク40およびベアリングホルダ42を締結するボルト41…は第1ハウジング31の端面に螺合しており、このボルト41…を利用してモータ36が第1ハウジング31に固定される。
ヨーク40の内周面に支持した環状のステータ43内に配置されるロータ44は、その回転軸45の一端がヨーク40の底部に設けたボールベアリング46に回転自在に支持され、他端がベアリングホルダ42に設けたボールベアリング47に回転自在に支持される。ベアリングホルダ42の内面には、回転軸45の外周に設けたコミュテータ48に摺接するブラシ49が支持される。ブラシ49から延びる導線50は、第1ハウジング31に設けたグロメット51を介して外部に引き出される。
図4および図7から明らかなように、減速機37は第1遊星歯車機構61および第2遊星歯車機構62を2段に結合して構成される。第1遊星歯車機構61は、第2ハウジング32の開口部に嵌合して固定されたリングギヤ63と、モータ36の回転軸45の先端に直接形成された第1サンギヤ64と、円板状の第1キャリヤ65と、第1キャリヤ65に圧入により片持ち支持された第1ピニオンピン66…にボールベアリング67…を介して回転自在に支持され、前記リングギヤ63および前記第1サンギヤ64に同時に噛合する4個の第1ピニオン68…とで構成される。第1遊星歯車機構61は、入力部材である第1サンギヤ64の回転を、出力部材である第1キャリヤ65に減速して伝達する。
減速機37の第2遊星歯車機構62は、第1遊星歯車機構61と共通のリングギヤ63と、第1キャリヤ65の中心に固定された第2サンギヤ69と、円板状の第2キャリヤ70と、第2キャリヤ70に圧入により片持ち支持された第2ピニオンピン71…にスライドブッシュ72…を介して回転自在に支持され、前記リングギヤ63および前記第2サンギヤ69に同時に噛合する4個の第2ピニオン73…とで構成される。第2遊星歯車機構62は、入力部材である第2サンギヤ69の回転を、出力部材である第2キャリヤ70に減速して伝達する。
このように第1、第2遊星歯車機構61,62を直列に接続することで、大きな減速比を得ることができ、しかも減速機37の小型化を図ることができる。また第1遊星歯車機構61のサンギヤ64を、モータ36の回転軸45に固定することなく回転軸45に直接形成したので、回転軸45と別体の第1サンギヤ64を用いる場合に比べて部品点数を削減することができるだけでなく、第1サンギヤ64の直径を最小限に抑えて第1遊星歯車機構61の減速比を大きく設定することができる。
減速機37の出力部材である第2キャリヤ70は、送りねじ機構39の入力部材であるスラスト受けフランジ74にカップリンング38を介して接続される。概ね円板状のスラスト受けフランジ74は、その外周部を一対のスラストベアリング75,76に挟まれて回転自在に支持される。即ち、第2ハウジング32の内周面にスペーサカラー77を挟むように環状のロックナット78が締結されており、一方のスラストベアリング75は第2ハウジング32とスラスト受けフランジ74との間のスラスト荷重を支持し、他方のスラストベアリング76はロックナット78とスラスト受けフランジ74との間のスラスト荷重を支持するように配置される。
カップリング38は、例えばポリアセタールで構成された2枚の外側弾性ブッシュ79,79と、例えばシリコンゴムで構成された1枚の内側弾性ブッシュ80とを備えており、それらの外周には各8個の突起79a…,80a…および各8個の溝79b…,80b…が等間隔で放射状に突出する。一方、第2キャリヤ70およびスラスト受けフランジ74の対向面には、各4個の爪70a…,74a…が等間隔で軸方向に対峙するように突出する。
外側弾性ブッシュ79,79および内側弾性ブッシュ80は突起79a…,80a…の位相が揃うように重ね合わされ、8個の溝79b…,80b…のうちの一つおきの4個に第2キャリヤ70の4個の爪70a…が係合し、8個の溝79b…,80b…のうちの残りの4個にスラスト受けフランジ74の4個の爪74a…が係合する。
図5から明らかなように、第2ハウジング32の軸方向中間部の内周面に第1スライドベアリング91が固定され、また第1ハウジング32の軸方向端部に螺合するエンド部材93の内周面に第2スライドベアリング92が固定されており、これら第1、第2スライドベアリング91,92に前記出力ロッド33が摺動自在に支持される。スラスト受けフランジ74の回転運動を出力ロッド33のスラスト運動に変換する送りねじ機構39は、スラスト受けフランジ74の中心を貫通してナット94(図4参照)で締結された雄ねじ部材95と、この雄ねじ部材95の外周に螺合するとともに、中空の出力ロッド33の内周面に嵌合してロックナット97で固定された雌ねじ部材96とを備える。
このように、出力ロッド33を第1、第2スライドベアリング91,92を介して第2ハウジング32に支持したので、出力ロッド33に加わる径方向の荷重を第2ハウジング32で確実に支持して送りねじ機構39のコジリを防止することができる。
トーコントロールアクチュエータ14を伸縮制御する際に、その出力ロッド33のストローク位置を検出して制御装置にフィードバックすべく第2ハウジング32に設けられたストロークセンサ102は、出力ロッド33の外周面にボルト103で固定された永久磁石よりなる被検出部104と、この被検出部104の位置を磁気的に検出するコイル等の検出部105を収納するセンサ本体106とを備える。第2ハウジング32には、出力ロッド33の移動に伴って被検出部104が干渉するのを回避すべく、軸方向に延びる開口32bが形成される。
第2ハウジング32と出力ロッド33との隙間に水や塵が侵入するのを防止すべく、第2ハウジング32に形成した環状段部32cと、出力ロッド33に形成した環状溝33aとにブーツ108の両端が嵌合し、それぞれバンド109,110で固定される。
出力ロッド33が伸長すると第1、第2ハウジング31,32の内部空間の容積が増加し、逆に出力ロッド33が収縮すると第1、第2ハウジング31,32の内部空間の容積が減少するため、前記内部空間の圧力が変動してトーコントロールアクチュエータ14のスムーズな作動を妨げる虞がある。しかしながら、中空の出力ロッド33の内部空間とブーツ108の内部空間とが、出力ロッド33に形成した通気孔33bを介して連通しているため、前記圧力の変動がブーツ108の変形により緩和されてトーコントロールアクチュエータ14のスムーズな作動が可能になる。
図5および図6から明らかなように、第2ハウジング32の内周面に円周方向に120°間隔で形成した3個の凹部33a…に、弾性を有する軟質の合成樹脂で構成した摩擦材98…の外周部がそれぞれ固定されており、これらの摩擦材98…は径方向に圧縮された状態で、その内周面が出力ロッド33の外周面に摺接する。
さて、路面の凹凸から後輪Wに伝達される荷重によってトーコントロールアクチュエータ14の出力ロッド33に軸方向の荷重が入力したとき、出力ロッド33に固定された雌ねじ部材96とモータ36に接続された雄ねじ部材95との間には若干の軸方向のガタが存在することが避けられないため、軸方向に移動しようとする雌ねじ部材96に対して雄ねじ部材95が次第に回転してしまい、後輪Wのトー角が変化してしまう可能性がある。このとき、雄ねじ部材95に接続されたモータ36に通電して回転を抑制すれば後輪Wのトー角の変化を防止することが可能であるが、このようにするとモータ36の消費電力が増加する問題がある。
しかしながら本実施の形態によれば、第2ハウジング32の内面に固定した摩擦材98…を出力ロッド33の外周面に弾発的に摺接させたので、摩擦材98…が発生する静摩擦力で、路面側から入力される荷重によって出力ロッド33が軸方向に移動するのを防止することができる。これにより、出力ロッド33に固定されて軸方向に移動しようとする雌ねじ部材96に対して雄ねじ部材95が回転するのを防止し、後輪Wのトー角が変化を抑制することができる。このように、モータ36に通電して雄ねじ部材95の回転を抑制することなく後輪Wのトー角の変化を防止できるので、モータ36の消費電力が増加する問題もない。
図8は出力ロッド33のストロークと摩擦材98…が発生する摩擦力との関係を示すグラフであって、出力ロッド33がストロークを開始するまでに摩擦材98…は大きな静摩擦力を発生し、路面からの荷重による出力ロッド33の移動を効果的に阻止することができる。そしてモータ36が作動して前記静摩擦力を上回る駆動力を発生すると、摩擦材98…と出力ロッド33との間の摩擦力は前記静摩擦力よりも小さい動摩擦力となり、出力ロッド33をスムーズに作動させることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では摩擦材98…を第2ハウジング32側に設けて出力ロッド33側に摺接させているが、摩擦材98…を出力ロッド33側に設けて第2ハウジング32側に摺接させても良い。
左後輪のサスペンション装置の斜視図 図1の2方向矢視図 図1の3−3線拡大断面図 図3の4部拡大図 図3の5部拡大図 図5の6−6線断面図 減速機およびカップリングの分解斜視図 出力ロッドのストロークと摩擦材の摩擦力との関係を示すグラフ
符号の説明
32 第2ハウジング(ハウジング)
33 出力ロッド
36 モータ
39 送りねじ機構
45 回転軸
98 摩擦材
W 後輪(車輪)

Claims (1)

  1. モータ(36)の回転軸(45)の回転を送りねじ機構(39)で出力ロッド(33)の伸縮動に変換し、前記出力ロッド(33)に接続された車輪(W)のトー角を変化させる操舵装置において、
    前記出力ロッド(33)をハウジング(32)の内部に収納し、前記出力ロッド(33)および前記ハウジング(32)の一方に弾性を有する摩擦材(98)を設け、前記摩擦材(98)を前記出力ロッド(33)および前記ハウジング(32)の他方にセット荷重を付与して摺接させたことを特徴とする操舵装置。
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