JP2009241421A - レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版 - Google Patents

レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版 Download PDF

Info

Publication number
JP2009241421A
JP2009241421A JP2008091005A JP2008091005A JP2009241421A JP 2009241421 A JP2009241421 A JP 2009241421A JP 2008091005 A JP2008091005 A JP 2008091005A JP 2008091005 A JP2008091005 A JP 2008091005A JP 2009241421 A JP2009241421 A JP 2009241421A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
parts
latex
printing
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008091005A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5228572B2 (ja
Inventor
Yukimi Yawada
雪美 八和田
Kazuya Yoshimoto
和也 芳本
Toru Wada
通 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2008091005A priority Critical patent/JP5228572B2/ja
Publication of JP2009241421A publication Critical patent/JP2009241421A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5228572B2 publication Critical patent/JP5228572B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

【課題】 印刷不良を生じずかつ解像度に優れた印刷版を製造できるレーザー彫刻用印刷原版を提供する。
【解決手段】 (B)光重合性化合物中のエチレン性不飽和モノマーのうち、少なくとも1つが1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーであり、その配合割合が1〜20質量%であるレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷不良を生じずかつ解像度に優れた印刷版を製造するためのレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版に関する。
フレキソ印刷版は、原画フィルムを感光性樹脂層上に置き、露光により露光部の樹脂を架橋させた後、非露光部の未架橋樹脂を現像液で洗浄除去する製版方法(ネガ方式)がこれまで用いられてきた。しかし最近では、コンピューター上で処理された情報を印刷版上に直接出力してレリーフとなる凹凸パターンを得る方法(CTP方式)が普及しつつある。中でも、レーザーによる彫刻製版を行うレーザー彫刻は、原画フィルムを必要とせず、現像工程も不要であるため、極めて効率的であり、また環境に優しい方法(特許文献1参照)であり、実用化の検討がなされている。
レーザー彫刻による印刷版製造工程では、画像データに基づいてレーザー光線を印刷原版に照射して照射部分を分解・除去することにより版表面に凹凸が形成される。この際、レーザー照射部の像形成材料の分解により樹脂カスが生じ、その一部は印刷版全体に飛び散る。これらの樹脂カスは、印刷版に残しておくと問題を生じるため、レーザー照射中にレーザー装置近傍に設けた集塵機で吸引することにより及び/又はレーザー照射後に印刷版を洗浄することにより印刷版から除去される。
しかしながら、上記印刷原版は合成ゴムを主成分とするため原版自身の粘着性が高く、レーザー照射により生じた樹脂カスがレーザー照射中の吸引やレーザー照射後の洗浄でも除去されずに版に付着したまま残りやすいという問題をかかえている。樹脂カスが印刷版のレーザー非照射部分(凸部分)に付着したまま残ると、この部分は印刷時にインクが付与される部分であるので、印刷不良を招く。また、樹脂カスが印刷版のレーザー照射部分(凹部分)の底面に付着したまま残ると網点の深度が低下し、凹部分の側面に付着したまま残ると網点の再現性が低下し、いずれも解像度の低下を招くおそれがある。
上記材料の欠点を克服する方法として、樹脂組成物にシリカ微粉末などの無色透明の充填剤を配合することにより印刷原版の機械的特性を向上させ、結果として粘着性を低下させる技術が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、シリカ微粉末などの充填剤を配合する方法は、印刷原版の粘着性を十分に低下させるためには多量の充填剤が必要となり、印刷原版の成型性や版物性を著しく損なうという問題があった。このように、充填剤を添加すると、印刷原版の成型性や版物性に悪影響を与えるので、充填剤を添加せずに印刷原版の粘着性を低下させることができる方法の開発が求められていた。
そのための方法として、本発明者らは感光性樹脂組成物の主成分としてラテックスを使用することにより、印刷不良を生じずかつ解像度に優れたフレキソ印刷版を製造できる方法を既に提案している(特許文献3参照)。前記特許では、少なくとも2種類以上の水分散ラテックスから得られる疎水性重合体を印刷原版に含有することにより彫刻カスの少ない印刷版を提案し、150lpiの画像形成性を達成している。
特表平07−506780号 特表2004−533343号 特開2006−001168号
しかし最近では、印刷物はさらに高繊細なものが求められるようになり、フレキソ印刷においても、これまでの150lpiから175lpiへと一段高い印刷パフォーマンスが必要となってきた。具体的には、150lpiでの1%網点直径は18.8μであるのに対し、175lpiでの1%網点直径は16.1μとさらに微細化する。このような高繊細印刷を可能にしようとした場合、画像形成性の確認には顕微鏡観察が適用されるようになり、特許文献2に示すような方法では彫刻カスによる印刷不良を防ぐには十分なものではなかった。
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は樹脂カスが原因となる印刷不良を生じず、かつ解像度に優れた印刷版を製造できるレーザー彫刻可能な印刷原版を提供することである。
本発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、印刷原版の成分として1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーを1〜20質量%の割合で含む印刷原版を使用することにより、レーザー照射により生じる樹脂カスの発生や印刷版への付着を低減でき、これらの問題を克服することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版は、印刷原版の成分として1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーを1〜20質量%の割合で含み、一定範囲内の架橋密度を有する。このため、印刷版製造時のレーザー照射により生じる彫刻カスの版への付着・融着を抑制することができる。本発明から得られる印刷原版を使用すれば、樹脂カスの付着が少ない印刷版を提供することができ、これらが原因となる印刷不良を生ずることがなく、しかも解像度に優れた印刷版を製造することができる。
本発明の印刷原版は、印刷原版の成分として含まれる(B)光重合性化合物中のエチレン性不飽和モノマーのうち、少なくとも1つが1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーであり、その配合割合が1〜20質量%であるレーザー彫刻可能なフレキソ印刷用原版である。
本発明者らは、1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーをある一定の割合で含むことにより、レーザー彫刻性に適した架橋状態(網目)に導くことができ、樹脂カスの粘着が原因となる印刷不良を生じず、かつ解像度に優れた印刷版を製造できることを見出した。
1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーの配合割合は1〜20質量%が好ましく、2〜18質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。
多官能モノマーの割合が1質量%以下の場合は架橋密度が不十分であり、印刷原版の粘着性を抑えることができなくなり、レーザー照射時に発生する樹脂カスの発生、付着、成長を抑制することができなくなる。反対に、多官能モノマーの割合が20質量%以上では高い架橋密度を有するため、レーザー彫刻性は良好であるが、硬度が高くなりすぎて充分な弾性が得難くなり、印刷時でのベタ部のインキのりが低下する。
本発明の光硬化とは合成ゴム系感光性樹脂組成物をシート状に成形し、このシート状成形物を表面より高さ5cmの距離から8mW/cmの紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表裏10分露光し、架橋硬化させるものである。
本発明の樹脂組成物を構成する(A)ラテックスは、像形成材料の主成分であり、印刷原版において像に従ったレーザー照射により分解されて凹部分を形成する役割を有する。本発明では、特にラテックスとして一定レベル以上のゲル化度を有するラテックスを使用することを特徴とする。ゲル化されていないラテックスを使用すると、樹脂組成物の状態では粘着性が低くても印刷原版に加工すると粘着性が増大してしまう。これは、樹脂組成物を印刷原版に成形する際の加熱や加圧あるいは溶剤の添加などにより、ラテックス微粒子同士が融着又は凝集し、団塊化又は一体化してもはや微粒子の状態では存在しなくなってしまうからである。従って、印刷原版への成形時のラテックス微粒子同士の凝集及び一体化を阻止して粘着性の低さを印刷原版においても維持するためには、ゲル化された硬い架橋体のラテックスを使用することが必要である。なお、ラテックスは、天然ゴム、合成ゴムあるいはプラスチックなどの高分子が乳化剤の作用によってコロイド状に水中に分散した乳濁液をいい、生産過程によって、(i)植物の代謝作用による天然の生産物である天然ゴムラテックス、(ii)乳化重合法により合成された合成ゴムラテックス、及び(iii)固形ゴムを水中に乳化分散した人工ラテックスに分類されるが、本発明で使用する(A)ラテックスは上記の(ii)合成ゴムラテックス及び(iii)人工ラテックスのみをいい、(i)天然ゴムラテックスは含まない。
本発明で使用する(A)ラテックスのゲル化度は、35%以上であることが必要である。(A)ラテックスのゲル化度は好ましくは45%以上であり、さらに好ましくは55%以上、又は65%以上である。ラテックスのゲル化度が上記数値未満では、印刷原版への成形時のラテックス微粒子同士の凝集及び一体化を十分阻止することができず、印刷原版の粘着性を低く維持できないおそれがある。一方、ラテックスのゲル化度の上限に制限はなく、ゲル化度が大きいほどラテックス微粒子同士の凝集及び一体化阻止効果が優れる。なお、ラテックスのゲル化度の値はトルエンへの不溶解度によって規定される。具体的には、ラテックスのゲル化度は、厚さ100μmのPETフィルム上にラテックス溶液を3g正確に計量し、100℃で1時間乾燥させた後、25℃のトルエン溶液に48時間浸漬し、110℃で2時間乾燥させ、不可溶分の重量%を計算することによって測定される。
本発明で使用する(A)ラテックスとしては、従来公知のラテックスの中から一定レベル以上のゲル化度を有するものを適宜選択すればよく、例えばポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックスなどを使用することができる。また、これらのラテックスは所望により(メタ)アクリルやカルボキシなどで変性されていてもよい。なお、ゲル化されたラテックスは多数の様々な合成又は天然ラテックスが市販されているので、そこから適当なものを選択すればよい。また、ラテックスは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。2種以上のラテックスを使用する場合、ゲル化の度合いはこれらの平均を示すものとする。
本発明の樹脂組成物を構成する(B)光重合性化合物は、光照射により重合・架橋し、印刷原版に形状維持及び物性保持のための緻密なネットワークを形成する役割を有する。本発明で使用する(B)光重合性化合物としては、光重合性オリゴマー及びエチレン性不飽和モノマーを併用することが好ましい。光重合性化合物に光重合性オリゴマーを単独で使用した場合、架橋状態(網目)が密にならず、エタノール膨潤率が10%以上となり、レーザー彫刻性が劣る。一方、エチレン性不飽和モノマーを単独で使用した場合では、光硬化後の感光性樹脂中の反発弾性等が劣り、満足いく印刷ができない。
本発明の光重合性オリゴマーは、(A)成分と同じ骨格構造を持つ共役ジエン系重合体の末端および/または側鎖にエチレン性不飽和基が結合した光重合性オリゴマーであることが好ましい。共役ジエン重合体が(A)成分と同じ骨格構造をもつことで、相溶性が向上し反発弾性等の向上がみられる。光重合性オリゴマーの数平均分子量は1000〜5000であり、好ましくは数平均分子量が1500〜4000である。光重合性オリゴマーの数平均分子量が1000未満では24時間浸漬後の溶剤膨潤率はすぐれているが、(A)成分との相溶性の面や硬度が硬くなりすぎるために好ましくない。一方、数平均分子量5000を越えた場合には24時間浸漬後の溶剤膨潤率が10%を超えるために樹脂カス付着が多くなる。
共役ジエン系エチレン性重合体を構成する共役ジエン系重合体は、共役ジエン不飽和化合物の単独重合体または共役ジエン不飽和化合物とモノエチレン性不飽和化合物との共重合体によって構成される。かかる共役ジエン不飽和化合物の単独重合体または共役ジエン不飽和化合物とモノエチレン性不飽和化合物との共重合体としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらのうちゴム弾性と光硬化性の点で、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が好ましく、特に好ましくはブタジエン重合体、イソプレン重合体である。
共役ジエン系重合体の末端および/または側鎖エチレン性不飽和基を導入する方法は特に限定されないが、例えば、(1)過酸化水素を重合開始剤として得られた水酸基末端共役ジエン系重合体の末端の水酸基に(メタ)アクリル酸等のモノエチレン性不飽和カルボン酸を脱水反応によりエステル結合させる、若しくは、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル等のモノエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルをエステル交換反応によりエステル結合させる方法、(2)共役ジエン化合物と少なくとも一部に不飽和カルボン酸(エステル)を含むエチレン性不飽和化合物を共重合して得られた共役ジエン系重合体にアリルアルコール、ビニルアルコール等のエチレン性不飽和アルコールを反応させる方法、等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマーとは、紫外線によって架橋可能な化合物である。本発明に用いるエチレン性不飽和モノマーとしては、少なくとも1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いることが好ましい。こうすることで、架橋状態(網目)を密にでき、レーザー彫刻性を向上させることができる。
本発明に使用する3つ以上のエチレン性不飽和結合を有するエチレン性不飽和モノマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、多価アルコールのトリグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られるトリメチロールプロパンのトリグリシジールエーテルトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その中でもトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明に使用するエチレン性不飽和結合を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、レーザー彫刻性能や印刷性に悪影響しない範囲で2つ以下のエチレン性不飽和結合を有するエチレン性不飽和モノマーを併用しても良いが、多官能モノマーと単官能モノマーを併用することが、レーザー彫刻性と印刷適性の面から好ましい。
2つのエチレン性不飽和結合を有する化合物としてはジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、などが挙げられる。その中でもアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特にラウリル(メタ)アクリレートやステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の(C)光重合開始剤は、(B)光重合性化合物の光重合・架橋反応の触媒としての役割を有する。本発明で使用する(C)光重合開始剤としては、光照射によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであればあらゆるものが使用できるが、特に、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく使用される。具体的には、例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などが使用できる。
本発明の樹脂組成物には、上述の三つの成分(A)〜(C)以外に親水性重合体、可塑剤、及び/又は重合禁止剤などの任意成分を所望により配合することもできる。
親水性重合体は、製造された印刷版を使用してフレキソ印刷を行う際に印刷版と水性インキとの親和性を改善し、印刷性を向上させる効果を有する。本発明の樹脂組成物で使用することができる親水性重合体は、−COOH、−COOM(Mは1価、2価、或いは3価の金属イオンまたは置換または無置換のアンモニウムイオン)、−OH、−NH2、−SO3H、リン酸エステル基などの親水基を有するものが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸またはその塩類の重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類とスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類と酢酸ビニルとの共重合体、(メタ)アクリル酸またはその塩類とアクリロニトリルとの共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、−COOM基を有するポリウレタン、−COOM基を有するポリウレアウレタン、−COOM基を有するポリアミド酸およびこれらの塩類または誘導体が挙げられる。これらはそれぞれを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。本発明の樹脂組成物中の親水性重合体の配合割合は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。親水性重合体の配合割合が上記上限を超えると、製造される印刷版の耐水性が低下し、水性インキ耐性が低下するおそれがある。
可塑剤は、樹脂組成物の流動性を改善する効果、及び製造される印刷原版の硬度を調節する効果を有する。本発明の樹脂組成物で使用することができる可塑剤は、(A)合成ゴムと相溶性が良好なものが好ましく、室温で液状のポリエン化合物やエステル結合を有する化合物であることがより好ましい。室温で液状のポリエン化合物としては、液状のポリブタジエン、ポリイソプレン、さらにそれらの末端基あるいは側鎖を変性したマレイン化物、エポキシ化物などがある。エステル結合を有する化合物としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル、分子量1000〜3000のポリエステルが挙げられる。本発明の樹脂組成物中の可塑剤の配合割合は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。可塑剤の配合割合が上記上限を超えると、印刷版の機械的特性や溶剤耐性が著しく低下してしまい、耐刷性が低下するおそれがある。
重合禁止剤は、樹脂組成物の熱安定性を増大させる効果を有する。本発明の樹脂組成物で使用することができる重合禁止剤は従来公知のものであることができ、例えばフェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などを挙げることができる。本発明の樹脂組成物中の重合禁止剤の配合割合は0.001〜3質量%であることが好ましく、0.001〜2質量%であることがさらに好ましい。
また、これら以外の任意成分として、着色剤、酸化防止剤などを本発明の効果を損わない範囲で添加することもできる。
本発明の樹脂組成物は、上述の三つの必須成分(A)〜(C)及び所望により任意成分を混合することによって調製される。その際、混合を容易にするために所望によりトルエンなどの有機溶媒を添加してもよい。また、混合を完全にするためには、ニーダーを使用して加熱条件下で十分に混練することが望ましい。加熱条件は50〜110℃程度であることが好ましい。また、混合の際に添加された有機溶媒及び成分中に含まれていた水分は、混練後に減圧除去することが好ましい。
次に、本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版について説明する。本発明の印刷原版は、上述のようにして調製された本発明の樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形し、次いでこの成型物に光を照射して架橋硬化させることによって得られるものである。
本発明の樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形する方法としては、従来公知の樹脂成形方法を使用することができ、例えば本発明の樹脂組成物を適当な支持体上に又は印刷機のシリンダー上に塗布してヒートプレス機などで加圧する方法を挙げることができる。支持体としては、可撓性を有しかつ寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを挙げることができる。支持体の厚みは印刷原版の機械的特性、形状安定性等の点から50〜250μm、好ましくは100〜200μmであることが好ましい。また、必要により、支持体と樹脂層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。加圧条件は20〜200kg/cm2程度であることが好ましく、加圧の際の温度条件は室温〜150℃程度であることが好ましい。形成される成形物の厚さは、製造する印刷原版のサイズ、性質などにより適宜決定すれば良く、特に限定されないが、通常は0.1〜10mm程度である。
次いで、成形した樹脂組成物に光を照射して樹脂組成物中の(B)光重合性化合物を重合架橋させ、これにより成形物を硬化させて印刷原版とする。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等が挙げられ、その他公知の方法で硬化を行うことができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
かくして得られた印刷原版は、レーザー彫刻装置の版装着ドラムの表面に取付けられ、像に従ったレーザー照射により照射部分の原版が分解されて凹部分を形成し、印刷版が製造される。本発明の樹脂組成物から得られる印刷原版は、一定範囲内の膨潤率を有する印刷原版の使用により、樹脂カスの発生や付着を抑制することができ、印刷不良がなく、解像度に優れた印刷版を提供することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(A)ラテックス成分としてメチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製ナルスターMR174:ゲル化度95%:不揮発分50%)100質量(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート15質量部、トリメチロールププロパントリアクリレート20質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学(株)製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
実施例2
(A)ラテックス成分としてメチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製ナルスターMR174:ゲル化度95%:不揮発分50%)20質量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製サイアテックNA20:ゲル化度70%:不揮発分45%)89質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート2質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート18質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
実施例3
(A)ラテックス成分としてメチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製ナルスターMR174:ゲル化度95%:不揮発分50%)20質量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製サイアテックNA20:ゲル化度70%:不揮発分45%)89質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート5質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート15質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
実施例4
(A)ラテックス成分としてメチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製ナルスターMR174:ゲル化度95%:不揮発分50%)100質量(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート7質量部、ペンタエリスリトールトリメタクリレート13質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学(株)製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
実施例5
(A)ラテックス成分としてメチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製ナルスターMR174:ゲル化度95%:不揮発分50%)20質量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製サイアテックNA20:ゲル化度70%:不揮発分45%)89質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
実施例6
(A)ラテックス成分としてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF:ゲル化度86%:不揮発分55%)82質量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本ゼオン製SX1503:ゲル化度0%:不揮発分42%)12質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
実施例7
(A)ラテックス成分としてアクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製サイアテックNA20:ゲル化度70%:不揮発分45%)100質量部、、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本ゼオン製SX1503:ゲル化度0%:不揮発分42%)12質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
実施例8
(A)ラテックス成分としてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF:ゲル化度86%:不揮発分55%)73質量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製、サイアテックスNA20:ゲル化度70%:不揮発分45%)22質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート18質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート2質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
比較例1
(A)ラテックス成分としてメチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製ナルスターMR174:ゲル化度95%:不揮発分50%)100質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート1質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート24質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)10質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
比較例2
(A)ラテックス成分としてアクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製、サイアテックスNA20:ゲル化度70%:不揮発分45%)111質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート5質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)30質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
比較例3
(A)ラテックス成分としてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF:ゲル化度86%:不揮発分55%)91質量部、(B)光重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート30質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)5質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
比較例4
(A)ラテックスとしてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF:ゲル化度86%:不揮発分55%)73質量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本ゼオン製SX1503:ゲル化度0%:不揮発分42%)17質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート10質量部、トリシクロデカンジアクリレート3質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)33質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.4質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)16質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、添加剤としてカルボン酸系共重合体0.14質量部をトルエン35質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
比較例5
(A)ラテックスとしてアクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本ゼオン製SX1503:ゲル化度0%:不揮発分42%)131質量、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート5部質量部、トリメチロールププロパントリアクリレート10質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学(株)製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン31.0質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
比較例6
(A)ラテックスの代わりにとブタジエンゴム(日本合成ゴム製BR01、ゲル化度0%、不揮発分100%)25質量、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本合成ゴム製N220SH:ゲル化度0%、不揮発分100%)30質量部、(B)光重合性化合物としてラウリルメタクリレート10部質量部、トリメチロールププロパントリアクリレート5質量部、オリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:分子量約2700)15質量部(C)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0質量部、その他、親水性重合体として共栄社化学(株)製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する分子量約20,000の化合物)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエンゴム9質量部をトルエン31.0質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去して樹脂組成物を得た。
また、実施例1〜7及び比較例1〜6で得られた樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーティングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーティングしたフィルムで(接着層、粘着防止層が樹脂組成物と接触するように)挟み、ヒートプレス機で105℃、100kg/cm2の圧力で1分間加圧することにより、厚さ1.7mmのシート状成形物を得た。次に、このシート状成形物を表面より高さ5cmの距離から8mW/cmの紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表裏10分露光し、光硬化させて印刷原版を作製した。
上記の手法で作成した実施例1〜5及び比較例1〜6の印刷原版をレーザー彫刻装置の版装着ドラムに両面テープで巻き付け、下記の条件でレーザー彫刻を行った。レーザー彫刻開始と同時に、レーザーガン近傍に設置されている集塵機を作動させ、連続的に彫刻した樹脂カスを装置外に排出させた。レーザー彫刻後、装着ドラムから取り外した版を水現像版専用洗出し機(東洋紡積製CRS600で現像液は1%洗濯石鹸水溶液、水温は40℃)で3分間水洗いして、版表面に付着した少量の樹脂カスを除去し、乾燥して印刷版を得た。
レーザー彫刻装置はLuescher Flexo社製の300W炭酸ガスレーザーを搭載したFlexPose ! directを用いた。本装置の仕様はレーザー波長10.6μm、ビーム直径30μm、版装着ドラム直径は300mm、加工速度は1.5時間/0.5m2であった。レーザー彫刻の条件は、以下のとおりである。なお、(1)〜(3)は装置固有の条件である。(4)〜(7)は任意に条件設定が可能であり、それぞれの条件は本装置の標準条件を採用した。
(1)解像度:2540dpi
(2)レーザーピッチ:10μm
(3)ドラム回転数:982cm/秒
(4)トップパワー:9%
(5)ボトムパワー:100%
(6)ショルダー幅:0.30mm
(7)レリーフ深度:0.60mm
(8)評価画像:175lpi、0〜100%まで1%刻みの網点
得られた印刷版について以下の評価項目を調査した。評価結果を表1に示す。
(1)樹脂カスの付着具合
100倍の顕微鏡を使用して、印刷版表面への樹脂カスの付着具合を目視により検査し、以下の4段階で示した。
◎:ほとんど付着なし ○:少し付着あり △:かなり付着あり ×:付着激しい
(2)網点の形状
100倍の顕微鏡を用いて175lpiでの10%網点形状を顕微鏡で観察した。網点の形状はカケや凹みのない円錐状のもので、網点トップの直径が4.0〜4.5μであり、深度が0.6mm以上であるものが印刷適正、印刷耐性に優れる。
○:円錐状 △:一部不鮮明 ×:不鮮明
(3)網点形成性
100倍の顕微鏡を使用して、175lpi最小網点形成性を測定した。
(4)印刷性評価
フレキソ印刷機を用いて印刷を実施し、印刷版表面へのインキのり性を目視により観察した。また、得られた印刷物の微小画像再現性を100倍の顕微鏡を使用して目視により確認した。
Figure 2009241421
表1の評価結果から1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーの割合が1〜20質量%である印刷原版を用いた実施例1〜7では、印刷版表面への樹脂カスの付着が少なく、微小画像の再現性に優れた印刷版が得られていることがわかる。これに対し、多官能モノマーの割合が20質量%以上である印刷原版を用いた比較例1では、レーザー彫刻性には優れるが、版が硬すぎ印刷版として適さない。多官能モノマーの割合が1質量%以下である印刷原版を用いた比較例2では、網点の形状が一部不鮮明となり、微小網点の再現性も実施例1〜7と比べて劣る。以上の結果から、本発明の印刷原版を使用すればレーザー照射により生ずる樹脂カスの発生、付着、成長を効果的に抑制することができ、印刷不良を生ずることがなく、しかも解像度に優れた印刷版を製造することができることが明らかである。
本発明のレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版は、印刷版作製の際のレーザー照射により生ずる樹脂カスが版表面に付着したまま残ることが非常に少ない。従って、特にフレキソ印刷分野において、印刷版を作成する際のレーザー彫刻用印刷原版として好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 少なくとも、(A)35%以上のゲル化度を有するラテックス、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤を有する感光性樹脂組成物を光照射し、架橋硬化させることによって得られる印刷原版であって、(B)光重合性化合物中のエチレン性不飽和モノマーのうち、少なくとも1つが1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーであり、その配合割合が1〜20質量%であることを特徴とするレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版。
  2. (B)光重合性化合物としてさらに(A)ラテックスと同じ骨格を有し、数平均分子量が1000〜5000である光重合性オリゴマーとを含む請求項1に記載のフレキソ印刷原版。







JP2008091005A 2008-03-31 2008-03-31 レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版 Active JP5228572B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008091005A JP5228572B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008091005A JP5228572B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009241421A true JP2009241421A (ja) 2009-10-22
JP5228572B2 JP5228572B2 (ja) 2013-07-03

Family

ID=41303906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008091005A Active JP5228572B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5228572B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013146586A1 (ja) * 2012-03-30 2015-12-14 東洋紡株式会社 Ctpフレキソ印刷原版用感光性樹脂組成物およびそれから得られる印刷原版

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3608719A4 (en) 2017-04-04 2020-04-22 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha LIGHT-SENSITIVE RESIN COMPOSITION FOR FLEXO PRINTING PLATE, FLEXO PRINT ORIGINAL PLATE, FLEXO PRINTING PLATE AND COPOLYMER
US11214676B2 (en) * 2019-04-05 2022-01-04 Fina Technology, Inc. Polyenes for curable liquid rubber-based compositions

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006001168A (ja) * 2004-06-18 2006-01-05 Toyobo Co Ltd 印刷版の製造方法およびレーザー彫刻カスの除去方法
JP2006206872A (ja) * 2004-12-28 2006-08-10 Jsr Corp レーザー加工用組成物、レーザー加工用シート、及びフレキソ印刷版
JP2008045105A (ja) * 2006-07-18 2008-02-28 Hitachi Chem Co Ltd 樹脂組成物、該組成物を用いたプリプレグ及び積層板

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006001168A (ja) * 2004-06-18 2006-01-05 Toyobo Co Ltd 印刷版の製造方法およびレーザー彫刻カスの除去方法
JP2006206872A (ja) * 2004-12-28 2006-08-10 Jsr Corp レーザー加工用組成物、レーザー加工用シート、及びフレキソ印刷版
JP2008045105A (ja) * 2006-07-18 2008-02-28 Hitachi Chem Co Ltd 樹脂組成物、該組成物を用いたプリプレグ及び積層板

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013146586A1 (ja) * 2012-03-30 2015-12-14 東洋紡株式会社 Ctpフレキソ印刷原版用感光性樹脂組成物およびそれから得られる印刷原版

Also Published As

Publication number Publication date
JP5228572B2 (ja) 2013-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4258786B1 (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP5325823B2 (ja) 感光性樹脂組成物、印刷版原版およびフレキソ印刷版
JP4211141B2 (ja) 感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物の製造方法および印刷版材
JP5228572B2 (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP4196362B2 (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版
JP2009298103A (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP6238100B2 (ja) フレキソ印刷原版用感光性樹脂組成物
JP5360326B1 (ja) フレキソ印刷原版用感光性樹脂組成物
JP5401840B2 (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP2008246913A (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版
JP2009006601A (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版用樹脂組成物、及びかかる組成物から得られるレーザー彫刻可能な印刷原版
JP2010023492A (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版用樹脂組成物、及びかかる組成物から得られるレーザー彫刻可能な印刷原版
JPWO2008120468A1 (ja) フレキソ印刷用感光性樹脂組成物
JP2009271277A (ja) 感光性樹脂組成物およびそれを用いた印刷版材
JP2009298104A (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP2006001168A (ja) 印刷版の製造方法およびレーザー彫刻カスの除去方法
JP6418012B2 (ja) レーザー彫刻用樹脂印刷版原版
JP6919842B1 (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP2009006652A (ja) レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用樹脂印刷版原版、レリーフ印刷版およびレリーフ印刷版の製造方法
JP2009173020A (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP2008162203A (ja) 感光性樹脂組成物およびそれから得られるレーザー彫刻用感光性樹脂原版
JP6299073B2 (ja) フレキソ印刷原版用感光性樹脂組成物
JP2009241420A (ja) レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
JP2008105429A (ja) 印刷版の製造方法およびレーザー彫刻カスの除去方法
JP2001209169A (ja) 剥離画像形成用感光性樹脂版材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130304

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5228572

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350