JP2009298104A - レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版 - Google Patents
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Abstract
【課題】 印刷不良を生じずかつ解像度に優れた印刷版を製造できるレーザー彫刻用印刷原版を提供する。
【解決手段】
支持体上に感光性樹脂層を設けた印刷原版を光照射し、架橋硬化させることによって得られるレーザー彫刻用印刷原版であって、感光性樹脂層が(A)水分散性ラテックス、(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマー、(D)ゴムおよび(E)光重合開始剤を含有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷原版。
【選択図】 なし
【解決手段】
支持体上に感光性樹脂層を設けた印刷原版を光照射し、架橋硬化させることによって得られるレーザー彫刻用印刷原版であって、感光性樹脂層が(A)水分散性ラテックス、(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマー、(D)ゴムおよび(E)光重合開始剤を含有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷原版。
【選択図】 なし
Description
本発明は印刷不良を生じずかつ解像度に優れた印刷版を製造するためのレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版に関する。
包装材や建装材などの印刷に使用されるフレキソ印刷版は、原画フィルムを感光性樹脂層上に置き、原画フィルムを通して露光することにより、架橋反応を起こさせた後、非露光部の未架橋樹脂を現像液で現像・除去することでレリーフ像を形成する製版方法が用いられてきた。しかし、近年のデジタル技術の発達により、コンピューター上で処理された情報を印刷版上に直接出力してレリーフとなる凹凸パターンを得る方法が普及しつつある。中でも、レーザーによる彫刻製版を行うレーザー彫刻は、原画フィルムを必要とせず、現像工程も不要であるため、極めて効率的であり、また環境に優しい方法である。
レーザー彫刻用の印刷原版としては、フレキソ版への技術応用が進んでおり、レーザー彫刻可能なフレキソ版原版、あるいはレーザー彫刻によって得られたフレキソ版が特許文献1に開示されている。
レーザー彫刻用の印刷原版としては、フレキソ版への技術応用が進んでおり、レーザー彫刻可能なフレキソ版原版、あるいはレーザー彫刻によって得られたフレキソ版が特許文献1に開示されている。
レーザー彫刻による印刷版の製造工程では、画像データに基づいてレーザー光線を印刷原版に照射して照射部分の像形成材料を分解・除去することにより版表面に凹凸が形成される。この際、レーザー照射部の像形成材料の分解により粘稠性の樹脂カスが生じ、その一部は印刷版全体に飛び散る。これらの樹脂カスは、印刷版に残しておくと問題を生じるため、レーザー照射中にレーザー装置近傍に設けた集塵機で吸引することにより及び/又はレーザー照射後に印刷版を洗浄することにより印刷版から除去される。
しかしながら、この印刷原版は合成ゴムを主成分とするため原版自身の粘着性が高く、レーザー照射により生じた樹脂カスがレーザー照射中の吸引やレーザー照射後の洗浄でも除去されずに版に付着したまま残りやすい。樹脂カスが印刷版のレーザー非照射部分(凸部分)に付着したまま残ると、この部分は印刷時にインクが付与される部分であるので、印刷不良を招く。また、樹脂カスが印刷版のレーザー照射部分(凹部分)の底面に付着したまま残ると網点の深度が低下し、凹部分の側面に付着したまま残ると網点の再現性が低下し、いずれも解像度の低下を招く問題があった。
上記樹脂カス付着の課題に対しては、シリカ微粉末などの無色透明の充填剤を配合する方法(特許文献2参照)により印刷原版の機械的特性を向上させ、結果として粘着性や微細部の溶融を減少させる技術が提案されている。しかしながら、シリカ微粉末などの充填剤を配合する方法は、印刷原版の粘着性を十分に低下させるためには多量の充填剤が必要となり、印刷原版の成型性や版物性を著しく損なうという問題があった。
したがって、充填剤を配合することなく樹脂カスの付着の少ないレーザー彫刻用原版が待ち望まれていた。
特許第2846954号公報
特表2004−533343号公報
上記樹脂カス付着の課題に対しては、シリカ微粉末などの無色透明の充填剤を配合する方法(特許文献2参照)により印刷原版の機械的特性を向上させ、結果として粘着性や微細部の溶融を減少させる技術が提案されている。しかしながら、シリカ微粉末などの充填剤を配合する方法は、印刷原版の粘着性を十分に低下させるためには多量の充填剤が必要となり、印刷原版の成型性や版物性を著しく損なうという問題があった。
したがって、充填剤を配合することなく樹脂カスの付着の少ないレーザー彫刻用原版が待ち望まれていた。
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は樹脂カスが原因となる印刷不良を生じず、かつ解像度と耐刷性に優れた印刷版を製造できるレーザー彫刻可能な印刷原版を提供することである。
本発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、(1)支持体上に感光性樹脂層を設けた印刷原版を光照射し、架橋硬化させることによって得られるレーザー彫刻用印刷原版であって、感光性樹脂層が(A)水分散性ラテックス、(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマー、(D)ゴムおよび(F)光重合開始剤を含有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷原版。(2)(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーのHLB値が10以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷原版。(3)重合性化合物中として(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマー以外に、1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーをその配合割合が5〜15重量%含有することを特徴とするレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版とすることで、これらの問題を克服することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版は、印刷版製造時のレーザー照射により生じる彫刻カスの版への付着・融着を抑制することができる。本発明から得られる印刷原版を使用すれば、樹脂カスの付着が少ない印刷版を提供することができ、これらが原因となる印刷不良を生ずることがなく、しかも解像度と耐刷性に優れた印刷版を製造することができる。さらに本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版では樹脂カスの付着したとしても除去が容易である。
本発明における(A)水分散ラテックスとは重合体粒子を分散質として水中に分散したものであり、(A)水分散ラテックスより得られる重合体とは、この(A)水分散ラテックスから水を取り除いて得られる重合体そのものをいう。
本発明の感光性樹脂組成物を構成する(A)成分である水分散ラテックス重合体は、(A)水分散ラテックス中に粒子の電気的反発力により分散しており、この電荷は乳化剤、保護コロイド、ポリマーなどの電離や吸着により引き起こされているものである。
具体的には、ポリブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックスなどの水分散ラテックス重合体やこれら重合体にアクリル酸やメタクリル酸などの他の成分を共重合して得られる重合体が挙げられる。この中でも分子鎖中にブタジエン骨格またはイソプレン骨格を含有する水分散ラテックス重合体が、硬度の点から好ましく用いられる。具体的には、ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックスが好ましい。これらラテックスは平均粒径が0.05〜1μmのものが用いられる。
(A)水分散性ラテックスの含有量は全感光性樹脂組成物に対して、5〜50重量%が好ましい。(A)水分散性ラテックスは水現像性およびゴム弾性を両立する成分であるため、5重量%以上とすることで水現像性向上とゴム弾性付与の効果が得られ、50重量%以下とすることで十分な形態保持性が得られる。
このような(A)成分が凝集することを防止する働きを持つものとして、本発明においては(B)成分として親水性モノマーを用いるものである。本発明において、親水性モノマーとは、分子構造中にポリアルキレングリコール、カルボキシル基又は水酸基から選択されるいずれか一つを含有するエチレン性不飽和結合を有する化合物をいう。
具体的には、ポリアルキレングリコールを有するモノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシペンタエチレングリコール(メタ)アクリレートなどフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、その他としてポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
水酸基を有するモノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとして、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これら(B)成分の含有量は全感光性樹脂組成物に対して、10〜40重量%が好ましい。10重量%以上とすることで架橋密度が不足することなく画像再現性が満足するものが得られ、40重量%以下とすることでレリーフが脆くなることがなく、組成物中から経時で(B)成分が分離してくることもない。
(C)成分としてエチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーを用いるものである。本発明において、疎水性モノマーとは、一般に強い極性を有する官能基をモノマー中に持たないモノマーであり、水やエタノールへの溶解性の低いモノマーである。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミルジ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等シクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
またHLB値が10以下であればこれらの分子中に親水基を含有していてもかまわない。具体的には、メチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソアミルジポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシポリエチレングリコールル(メタ)アクリレート、ラウリルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等シクロアルキルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、クロロエチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、クロロプロピルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキルポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
HLBとは、一般に界面活性剤の性質を評価するのに用いられる方法で親水基が無限に長く親水基が最も大きい仮想的な化合物を考えてこの化合物のHLB値を20と定め、また、親水基の全くない親水性の化合物についてこのHLB値を0として、それらとの相対値として化合物のHLB値を求めるものであり、すなわちHLB値は親水性と親油性のバランスを表す指標である。この値は分子中の親水基と親油基の重量比で表される。たとえばHLB値が10であるということは分子中の親水基と親油基の構成比率は50対50である。
本発明において用いられる(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーは、HLB値が10以下が好ましく、さらには7以下が好ましい。
これら(C)成分の含有量は全感光性樹脂組成物に対して、1〜20重量%が好ましい。より好ましくは2〜10重量%である。1重量%以上であると印刷時のレリーフ部が削れがほとんどなく、印刷版として特に良好である。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲において、光重合性化合物として、(B)及び(C)以外にさらに1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和結合を有するエチレン性不飽和モノマーを含有することが好ましい。具体的な化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、多価アルコールのトリグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られるトリメチロールプロパンのトリグリシジールエーテルトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、その中でもトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和結合を有する疎水性のエチレン性不飽和モノマーを加える場合その含有量は、レーザー彫刻性と樹脂硬度の面より感光性組成物の光重合性化合物中に10〜30重量%配合することが好ましく、さらに好ましくは20〜30重量%である。10重量%未満ではレーザー彫刻性が悪く、30重量%を超えると印刷版の硬度が硬くなりすぎるために好ましくない。
(D)成分のゴムとしては、汎用ゴム、エラストマ−として知られたもの、具体的には、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロリルヒドリンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。その中でも
(D)のゴム成分の合計の含有量は、全感光性樹脂組成物に対して20〜80重量%が好ましい。20重量%以上とすることで印刷版の耐水性が良好であり、また反発弾性率が低下し、印刷品質が低下する恐れがない。80重量%以下とすることで、水現像性が得られるので好ましい。
これら(A)〜(E)成分を含有する樹脂組成物は、それぞれの極性の違いから不均一系の海島構造、あるいは海海構造を形成する。極性が高く粘度の低い(B)親水性モノマーおよび親水性モノマーに分散している(A)水分散性ラテックスは海相を形成する。これに対して、極性が低く粘度の高い(D)ゴム成分と極性が低い(C)疎水性モノマーは島成分を形成するが、(C)疎水性モノマーと(D)ゴム成分は完全にもしくは部分的に相溶した島成分をも形成する。本発明では、親水性の高い海相により水現像を発現させ、疎水性の高い島相により水性インキ耐性を発現させているため、微細な画像のレリーフを形成するには島相成分が一様に分散している方が好ましい。「一様に」とは、樹脂組成物のある部分を局所的に、具体的には2μm四方の断面を形態観察した際に、複数種の相が観察できる状態のことである。島成分が一様に分散していないと、すなわち単一の相が大きな部分を占めると、局所的な水現像ができず、微細な画像を再現できないとか、再現された微細な画像が局所的に水性インキ耐性が不足、つまり水性インキで画像レリーフが膨潤し、局所的に画像が太るといった問題が生じる。よって、(D)ゴムは内部架橋していないものが好ましい。
島相の平均粒径は0.5〜10μmであり、この粒径が10μm以下であると画像再現性が良好である。前記平均粒径は好ましくは0.5〜7μmである(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーは極性が低いことから、(C)成分の全部または一部は島成分を形成する極性が低く粘度の高い(D)ゴム成分に取り込まれ、島相の外表面にも存在することになる。島相の、特に島相の表面付近に存在する(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーは、海相(極性が高く粘度の低い(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマーおよび親水性モノマーに分散している(A)水分散性ラテックスの海相)中の(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマーとの間で露光により海島構造が強固な結合を持つに至る。これによりレリーフは強靱なものとなり、印刷時にレリーフ部が削れることがない。また、本発明の感光性樹脂組成物中には(F)成分として光重合開始剤を加えるものである。光重合開始剤としては、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば全て使用できる。なかでも、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などである。光重合開始剤の配合量としては、全感光性樹脂組成物に対して0.1〜50重量%の範囲が好ましい。0.1重量%以上とすることで、開始効率が減少することなく、画像再現が良好である。50重量%以下とすることで感度が高すぎることなくて、露光時間のコントロールが容易となるので好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、可塑剤を加えることもできる。この可塑剤としては、一般的に版材を柔軟化する性質を有するものであれば特に限定されるものではないが、(B)成分であるモノマー成分や(C)〜(E)成分であるポリマー成分と相溶性が良好なものが好ましい。より好ましくは、室温で液状のポリエン化合物である。室温で液状のポリエン化合物としては、液状のポリブタジエン、ポリイソプレン、されにそれらの末端基あるいは側鎖を変性したマレイン化物、エポキシ化物などがある。
これら可塑剤成分を加える場合には、光架橋前の固形版としての強度を十分なものとする観点から、全感光性樹脂組成物に対して10重量%が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性を上げる為に、公知の重合禁止剤を添加することもできる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などが挙げられる。これらの配合量は、全感光性樹脂組成物に対して、0.001〜5重量%の範囲で使用することが一般的である。
また、他の成分として、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、香料などを添加することができる。
これら感光性樹脂組成物の形態は電子顕微鏡により観察できる。感光性樹脂組成物に紫外線を照射して光硬化した後に、厚み約200μmの薄膜切片にして、必要であればオスミウム染色やリンタングステン染色を行い、透過型電子顕微鏡を使用して感光性樹脂組成物の形態を観察することができる。
本発明の感光性樹脂組成物を製造する方法としては、予め(A)水分散性ラテックスと(B)親水性モノマーを混合したものを用意しておくのが好ましい。この混合物は「水分散ラテックス」と(B)成分とを混合し、乾燥機で脱水させることによって得られる。このようにすることで、(A)成分に(B)成分が吸着された状態になり、(A)成分の融着を防止することができる。
上記(A)成分と(B)成分の混合物に(C)〜(E)成分を混練することにより、感光性樹脂組成物を得ることができる。
これら(A)〜(E)成分を含有する樹脂組成物は、それぞれの極性の違いから不均一系の海島構造、あるいは海海構造を形成する。極性が高く粘度の低い(B)親水性モノマーおよび親水性モノマーに分散している(A)水分散性ラテックスは海相を形成する。これに対して、極性が低く粘度の高い(D)ゴム成分と極性が低い(C)疎水性モノマーは島成分を形成するが、(C)疎水性モノマーと(D)ゴム成分は完全にもしくは部分的に相溶した島成分をも形成する。本発明では、親水性の高い海相により樹脂カス除去の容易性を発現させ、疎水性の高い島相により水性インキ耐性を発現させているため、微細な画像のレリーフを形成するには島相成分が分散している方が好ましい。
島相の平均粒径は0.5〜10μmであり、この粒径が10μm以下であると画像再現性が良好である。前記平均粒径は好ましくは0.5〜7μmである(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーは極性が低いことから、(C)成分の全部または一部は島成分を形成する極性が低く粘度の高い(D)ゴム成分に取り込まれ、島相の外表面にも存在することになる。島相の、特に島相の表面付近に存在する(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーは、海相(極性が高く粘度の低い(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマーおよび親水性モノマーに分散している(A)水分散性ラテックスの海相)中の(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマーとの間で露光により海島構造が強固な結合を持つに至る。これによりレリーフは強靱なものとなり、印刷時にレリーフ部が削れることがない。
また、本発明の感光性樹脂組成物中には(E)成分として光重合開始剤を加えるものである。光重合開始剤としては、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば全て使用できる。なかでも、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などである。光重合開始剤の配合量としては、全感光性樹脂組成物に対して0.1〜5重量%の範囲が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、可塑剤を加えることもできる。この可塑剤としては、一般的に版材を柔軟化する性質を有するものであれば特に限定されるものではないが、(B)成分であるモノマー成分や(C)〜(E)成分であるポリマー成分と相溶性が良好なものが好ましい。より好ましくは、室温で液状のポリエン化合物である。室温で液状のポリエン化合物としては、液状のポリブタジエン、ポリイソプレン、されにそれらの末端基あるいは側鎖を変性したマレイン化物、エポキシ化物などがある。
これら可塑剤成分を加える場合には、光架橋前の固形版としての強度を十分なものとする観点から、全感光性樹脂組成物に対して10重量%が好ましい。
これら可塑剤成分を加える場合には、光架橋前の固形版としての強度を十分なものとする観点から、全感光性樹脂組成物に対して10重量%が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性を上げる為に、公知の重合禁止剤を添加することもできる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などが挙げられる。これらの配合量は、全感光性樹脂組成物に対して、0.001〜5重量%の範囲で使用することが一般的である。
また、他の成分として、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、香料などを添加することができる。
これら感光性樹脂組成物の形態は電子顕微鏡により観察できる。感光性樹脂組成物に紫外線を照射して光硬化した後に、厚み約200μmの薄膜切片にして、必要であればオスミウム染色やリンタングステン染色を行い、透過型電子顕微鏡を使用して感光性樹脂組成物の形態を観察することができる。
本発明の感光性樹脂組成物を製造する方法としては、予め(A)水分散性ラテックスと(B)親水性モノマーを混合したものを用意しておくのが好ましい。この混合物は「水分散ラテックス」と(B)成分とを混合し、乾燥機で脱水させることによって得られる。このようにすることで、(A)成分に(B)成分が吸着された状態になり、(A)成分の融着を防止することができる。
上記(A)成分と(B)成分の混合物に(C)〜(E)成分を混練することにより、感光性樹脂組成物を得ることができる。
混練設備としては、2軸押出機、単軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられるが特に限定するものではない。
次に、本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版について説明する。本発明の印刷原版は、上述のようにして調製された本発明の樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形し、次いでこの成型物に光を照射して架橋硬化させることによって得られるものである。
本発明の光硬化とは合成ゴム系感光性樹脂組成物をシート状に成形し、このシート状成形物を表面より高さ5cmの距離から8mW/cm2の紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表裏10分露光し、架橋硬化させるものである。
本発明の樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形する方法としては、従来公知の樹脂成形方法を使用することができ、例えば本発明の樹脂組成物を適当な支持体上に又は印刷機のシリンダー上に塗布してヒートプレス機などで加圧する方法を挙げることができる。支持体としては、可撓性を有しかつ寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを挙げることができる。支持体の厚みは印刷原版の機械的特性、形状安定性等の点から50〜250μm、好ましくは100〜200μmであることが好ましい。また、必要により、支持体と樹脂層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。加圧条件は20〜200kg/cm2程度であることが好ましく、加圧の際の温度条件は室温〜150℃程度であることが好ましい。形成される成形物の厚さは、製造する印刷原版のサイズ、性質などにより適宜決定すれば良く、特に限定されないが、通常は0.1〜10mm程度である。
次いで、成形した樹脂組成物に光を照射して樹脂組成物中の(B)光重合性化合物を重合架橋させ、これにより成形物を硬化させて印刷原版とする。硬化に用いられる光源としては公知の高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等が挙げられ、その他公知の方法で硬化を行うことができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
かくして得られた印刷原版は、レーザー彫刻装置の版装着ドラムの表面に取付けられ、像に従ったレーザー照射により照射部分の原版が分解されて凹部分を形成し、印刷版が製造される。本発明の樹脂組成物から得られる印刷原版は、特定の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を光架橋した印刷原版を使用することにより、樹脂カスの発生や付着を抑制することができ、印刷不良がなく、解像度に優れた印刷版を提供することができる。さらに樹脂カスが付着した場合でもその除去は水又は界面活性剤を添加した水によって容易にできる。
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔水分散性ラテックス/親水性ポリマー混合体−1の製造〕
カルボキシ変性ブタジエンラテックス(大日本インキ化学(株)製、ラックスター”DM811、固形分濃度:50.5%):33.7重量部(固形分で17重量部)とブタジエンラテックス(日本ゼオン(株)製、Nipol”LX111NF、固形分濃度:55%):14.5重量部(固形分で8重量部)、(B)成分であるフェノキシポリエチレングリコールアクリレート“ライトアクリレート”P400A(共栄社化学(株)製、ライトアクリレート P400A、365nmにおける屈折率:1702 HLB値:10.9):13重量部とグリセリンポリエーテルポリオールと無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートの重縮合(共栄社化学(株)製、エポキシエステル”80MFSA、365nmにおける屈折率:1.491 HLB値:17.2):5重量部を混合して、120℃に加熱した乾燥機で6時間乾燥し、水分を蒸発させて水分散性ラテックス/親水性モノマー混合物を得た。
カルボキシ変性ブタジエンラテックス(大日本インキ化学(株)製、ラックスター”DM811、固形分濃度:50.5%):33.7重量部(固形分で17重量部)とブタジエンラテックス(日本ゼオン(株)製、Nipol”LX111NF、固形分濃度:55%):14.5重量部(固形分で8重量部)、(B)成分であるフェノキシポリエチレングリコールアクリレート“ライトアクリレート”P400A(共栄社化学(株)製、ライトアクリレート P400A、365nmにおける屈折率:1702 HLB値:10.9):13重量部とグリセリンポリエーテルポリオールと無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートの重縮合(共栄社化学(株)製、エポキシエステル”80MFSA、365nmにおける屈折率:1.491 HLB値:17.2):5重量部を混合して、120℃に加熱した乾燥機で6時間乾燥し、水分を蒸発させて水分散性ラテックス/親水性モノマー混合物を得た。
〔粘着防止層付きカバーフィルムの作成〕
ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製、ゴーセノールKH−17、鹸化度78〜82モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニル)を水/エタノール=40/60(重量比)の混合溶剤に固形分濃度:10重量%となるように80℃で溶解し、塗工原液−1を調製した。“EC−776”(住友スリーエム(株)製、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体/フェノール樹脂=1/1の混合液、固形分濃度:30%)をメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン=50/50(重量比)の混合溶剤に固形分濃度:5重量%となるように30℃で溶解し、塗工原液−2を調製した。膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、グラビアコーターで塗工原液−1を用いて乾燥膜厚1μmとなるように塗布、120℃で30秒間乾燥させた。この上にグラビアコーターで塗工原液−2を用いて乾燥膜厚0.2μmとなるように塗布、120℃で30秒間乾燥し、粘着防止層付きカバーフィルムを得た。
ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製、ゴーセノールKH−17、鹸化度78〜82モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニル)を水/エタノール=40/60(重量比)の混合溶剤に固形分濃度:10重量%となるように80℃で溶解し、塗工原液−1を調製した。“EC−776”(住友スリーエム(株)製、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体/フェノール樹脂=1/1の混合液、固形分濃度:30%)をメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン=50/50(重量比)の混合溶剤に固形分濃度:5重量%となるように30℃で溶解し、塗工原液−2を調製した。膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、グラビアコーターで塗工原液−1を用いて乾燥膜厚1μmとなるように塗布、120℃で30秒間乾燥させた。この上にグラビアコーターで塗工原液−2を用いて乾燥膜厚0.2μmとなるように塗布、120℃で30秒間乾燥し、粘着防止層付きカバーフィルムを得た。
〔実施例1〕
ポリアミド樹脂(ε−カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩/α,−ジアミノプロピルポリオキシエチレン(数平均分子量:1000)とアジピン酸の等モル塩=20/20/60(重量比)の共重合ポリアミド):2重量部、(D)成分である“Nipol”DN214(日本ゼオン(株)製、部分架橋ニトリルゴム):13重量部、“Nipol”1072(日本ゼオン(株)製、カルボキシル化ニトリルゴム):0.45重量部および“Nipol”1220L(日本ゼオン(株)製、ブタジエンゴム):18重量部を170℃に加熱した200mlの容量を持つラボニーダーミル((株)トーシン社製)で5分間混練した。この後、“プラストロジン”J(藤沢薬品工業(株)製、アミド系ゴム加工助剤):2重量部、“プロノン”204(日本油脂(株)製、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体):0.5重量部、アクリル酸ステアリルエステル:2重量部、(A)成分と(B)成分の混合体である上記水分散性ラテックス/親水性モノマー混合体−1:43重量部および(C)成分である“ライトエステル”BP−6EM(共栄社化学(株)製、ビスフェノールとトリエチレングリコールメタクリレートのジエステル化物、365nmにおける屈折率:1.526 HLB値:8.4):4重量部と“ライトアクリレート”S−A(共栄社化学(株)製、ステアリルアクリレート、365nmにおける屈折率:1.45 HLB値:0.1):3重量部をラボニーダーミル中に投入し、さらに120℃で10分間混練した。その後、(F)成分として“イルガキュア”651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):1.0重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.3重量部を添加して5分間混練し、感光性樹脂組成物を得た。
ポリアミド樹脂(ε−カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩/α,−ジアミノプロピルポリオキシエチレン(数平均分子量:1000)とアジピン酸の等モル塩=20/20/60(重量比)の共重合ポリアミド):2重量部、(D)成分である“Nipol”DN214(日本ゼオン(株)製、部分架橋ニトリルゴム):13重量部、“Nipol”1072(日本ゼオン(株)製、カルボキシル化ニトリルゴム):0.45重量部および“Nipol”1220L(日本ゼオン(株)製、ブタジエンゴム):18重量部を170℃に加熱した200mlの容量を持つラボニーダーミル((株)トーシン社製)で5分間混練した。この後、“プラストロジン”J(藤沢薬品工業(株)製、アミド系ゴム加工助剤):2重量部、“プロノン”204(日本油脂(株)製、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体):0.5重量部、アクリル酸ステアリルエステル:2重量部、(A)成分と(B)成分の混合体である上記水分散性ラテックス/親水性モノマー混合体−1:43重量部および(C)成分である“ライトエステル”BP−6EM(共栄社化学(株)製、ビスフェノールとトリエチレングリコールメタクリレートのジエステル化物、365nmにおける屈折率:1.526 HLB値:8.4):4重量部と“ライトアクリレート”S−A(共栄社化学(株)製、ステアリルアクリレート、365nmにおける屈折率:1.45 HLB値:0.1):3重量部をラボニーダーミル中に投入し、さらに120℃で10分間混練した。その後、(F)成分として“イルガキュア”651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製):1.0重量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.3重量部を添加して5分間混練し、感光性樹脂組成物を得た。
〔実施例2〕
実施例1において、感光性樹脂組成物の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに“ライトアクリレート”L−A(共栄社化学(株)製、ラウリルアクリレート HLB値:2.7):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
実施例1において、感光性樹脂組成物の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに“ライトアクリレート”L−A(共栄社化学(株)製、ラウリルアクリレート HLB値:2.7):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
〔実施例3〕
実施例1において、感光性樹脂組成物の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに“ライトアクリレート”NP−4EA(共栄社化学(株)製、ノニルフェノールEO付加物アクリレート HLB値:7.8):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
実施例1において、感光性樹脂組成物の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに“ライトアクリレート”NP−4EA(共栄社化学(株)製、ノニルフェノールEO付加物アクリレート HLB値:7.8):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
〔実施例4〕
実施例1において、感光性樹脂組成物の(C)成分としてさらにトリメチロールプロパントリアクリレートを2重量部追加した以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
実施例1において、感光性樹脂組成物の(C)成分としてさらにトリメチロールプロパントリアクリレートを2重量部追加した以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、感光性樹脂組成物−1の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに親水性である“ライトアクリレート”P400A(共栄社化学(株)製、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、365nmにおける屈折率:1702 HLB値:10.9):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
実施例1において、感光性樹脂組成物−1の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに親水性である“ライトアクリレート”P400A(共栄社化学(株)製、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、365nmにおける屈折率:1702 HLB値:10.9):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
〔比較例2〕
実施例1において、感光性樹脂組成物−1の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに親水性である“ライトアクリレート”130A(共栄社化学(株)製、メトキシ−ポリエチレングリコールフェノキシアクリレートHLB値:16.4):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
実施例1において、感光性樹脂組成物−1の(C)成分として“ライトアクリレート”S−Aのかわりに親水性である“ライトアクリレート”130A(共栄社化学(株)製、メトキシ−ポリエチレングリコールフェノキシアクリレートHLB値:16.4):3重量部を用いた以外は実施例1と全て同様に感光性樹脂組成物を得た。
また、実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーティングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール)をコーティングしたフィルムで(接着層、粘着防止層が樹脂組成物と接触するように)挟み、ヒートプレス機で105℃、100kg/cm2の圧力で1分間加圧することにより、厚さ1.7mmのシート状成形物を得た。次に、このシート状成形物を表面より高さ5cmの距離から8mW/cm2の紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表裏10分露光し、光硬化させて印刷原版を作製した。
上記の手法で作成した実施例1〜4及び比較例1〜2の印刷原版をレーザー彫刻装置の版装着ドラムに両面テープで巻き付け、下記の条件でレーザー彫刻を行った。レーザー彫刻開始と同時に、レーザーガン近傍に設置されている集塵機を作動させ、連続的に彫刻した樹脂カスを装置外に排出させた。レーザー彫刻後、装着ドラムから取り外した版を水現像版専用洗出し機(東洋紡積製CRS600で現像液は1%洗濯石鹸水溶液、水温は40℃)で3分間水洗いして、版表面に付着した少量の樹脂カスを除去し、乾燥して印刷版を得た。
レーザー彫刻装置はLuescher Flexo社製の300W炭酸ガスレーザーを搭載したFlexPose ! directを用いた。本装置の仕様はレーザー波長10.6μm、ビーム直径30μm、版装着ドラム直径は300mm、加工速度は1.5時間/0.5m2であった。レーザー彫刻の条件は、以下のとおりである。なお、(1)〜(3)は装置固有の条件である。(4)〜(7)は任意に条件設定が可能であり、それぞれの条件は本装置の標準条件を採用した。
(1)解像度:2540dpi
(2)レーザーピッチ:10μm
(3)ドラム回転数:982cm/秒
(4)トップパワー:9%
(5)ボトムパワー:100%
(6)ショルダー幅:0.30mm
(7)レリーフ深度:0.60mm
(8)評価画像:150lpi、1〜100%まで1%刻みの網点
(1)解像度:2540dpi
(2)レーザーピッチ:10μm
(3)ドラム回転数:982cm/秒
(4)トップパワー:9%
(5)ボトムパワー:100%
(6)ショルダー幅:0.30mm
(7)レリーフ深度:0.60mm
(8)評価画像:150lpi、1〜100%まで1%刻みの網点
得られた印刷版について以下の評価項目を調査した。評価結果を表1に示す。
(1)樹脂カスの付着具合
100倍の顕微鏡を使用して、印刷版表面への樹脂カスの付着具合を目視により検査し、以下の4段階で示した。
◎:ほとんど付着なし ○:少し付着あり △:かなり付着あり ×:付着激しい
(2)網点の形状
100倍の顕微鏡を用いて150lpiでの10%網点形状を顕微鏡で観察した。網点の形状はカケや凹みのない円錐状のもので、網点トップの直径が4.0〜4.5μであり、深度が0.6mm以上であるものが印刷適正、印刷耐性に優れる。
○:円錐状 △:一部不鮮明 ×:不鮮明
(3)網点形成性
100倍の顕微鏡を使用して、150lpi最小網点が何%まで形成性されているかを高さ及び形状より判定した。
(4)印刷性評価
フレキソ印刷機を用いて一万部の印刷を実施し、印刷物のインキのり性を目視により観察した。また、得られた印刷物の微小画像再現性(150lpi、1〜5%網点)を100倍の顕微鏡を使用して目視により確認した。耐刷性については、一万部印刷した後のレリーフにクラックが発生しいるかについて20倍のルーペを用いて目視判定した。
インキのり性 ; ○:良好 △:色ムラ少しあり ×:全体に色ムラあり
微小画像印刷性; ○:良好 △:網点のムラ少しあり×:網点のムラ大
耐刷性 ; ○:クラックなし △:一部にあり ×:全面にあり
(1)樹脂カスの付着具合
100倍の顕微鏡を使用して、印刷版表面への樹脂カスの付着具合を目視により検査し、以下の4段階で示した。
◎:ほとんど付着なし ○:少し付着あり △:かなり付着あり ×:付着激しい
(2)網点の形状
100倍の顕微鏡を用いて150lpiでの10%網点形状を顕微鏡で観察した。網点の形状はカケや凹みのない円錐状のもので、網点トップの直径が4.0〜4.5μであり、深度が0.6mm以上であるものが印刷適正、印刷耐性に優れる。
○:円錐状 △:一部不鮮明 ×:不鮮明
(3)網点形成性
100倍の顕微鏡を使用して、150lpi最小網点が何%まで形成性されているかを高さ及び形状より判定した。
(4)印刷性評価
フレキソ印刷機を用いて一万部の印刷を実施し、印刷物のインキのり性を目視により観察した。また、得られた印刷物の微小画像再現性(150lpi、1〜5%網点)を100倍の顕微鏡を使用して目視により確認した。耐刷性については、一万部印刷した後のレリーフにクラックが発生しいるかについて20倍のルーペを用いて目視判定した。
インキのり性 ; ○:良好 △:色ムラ少しあり ×:全体に色ムラあり
微小画像印刷性; ○:良好 △:網点のムラ少しあり×:網点のムラ大
耐刷性 ; ○:クラックなし △:一部にあり ×:全面にあり
表1の評価結果から本発明のレーザー彫刻用印刷原版を用いた実施例1〜4では、印刷版表面への樹脂カスの付着が少なく、微小画像の再現性に優れた印刷版が得られていることがわかる。これに対し、本発明の特許請求項1〜2の範囲外にある(C)成分を用いた場合にレーザー彫刻性が劣る。以上の結果から、本発明の印刷原版を使用すればレーザー照射により生ずる樹脂カスの発生、付着、成長を効果的に抑制することができ、印刷不良を生ずることがなく、しかも解像度に優れた印刷版を製造することができることが明らかである。
本発明のレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版は、印刷版作製の際のレーザー照射により生ずる樹脂カスが版表面に付着したまま残ることが非常に少ない。従って、特にフレキソ印刷分野において、印刷版を作成する際のレーザー彫刻用印刷原版として好適に使用することができる。
Claims (3)
- 支持体上に感光性樹脂層を設けた印刷原版を光照射し、架橋硬化させることによって得られるレーザー彫刻用印刷原版であって、感光性樹脂層が(A)水分散性ラテックス、(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマー、(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマー、(D)ゴムおよび(E)光重合開始剤を含有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷原版。
- (C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマーのHLB値が10以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷原版。
- 光重合性化合物中として(B)エチレン性不飽和結合を有する親水性モノマー及び(C)エチレン性不飽和結合を有する疎水性モノマー以外に、1分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーをその配合割合が光重合性化合物中に15〜40重量%含有することを特徴とするレーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版。
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