JP2009240332A - 移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーおよび同一物を使用する方法 - Google Patents

移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーおよび同一物を使用する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規の移動度改変ポリマーを提供すること。
【解決手段】ポリマー部分およびホスホルアミダイト部分を含む移動度改変ホスホルアミダイト官能化試薬、ヌクレオ塩基ポリマー官能化試薬、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー、複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを含む組成物、ならびに種々のアッセイ、例えば、1つ以上の標的核酸中の複数の選択されたヌクレオチド配列の検出のためのアッセイにおけるこのようなポリマーおよび組成物の使用。
【選択図】なし

Description

(1.発明の分野)
本発明は、該して、ヌクレオ塩基ポリマー官能化試薬、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー、複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを含む組成物、ならびに種々のアッセイ(例えば、1つ以上の標的核酸中の複数の選択されたヌクレオチド配列の検出のためのアッセイ)におけるこのようなポリマーおよび組成物の使用に関する。
(2.発明の背景)
標的核酸中の選択されたヌクレオチド配列を検出するために使用される方法は、非常に多くの実用(親子鑑定、法医学的分析、器官提供者受容者適合、疾患診断、予後および処置、ならびに出生前カウンセリングが挙げられるがこれらに限定されない)の基礎を成している。
均一な実験条件下で(好ましくは、単一の自動化されたアッセイ反応において)、複数の選択されたヌクレオチド配列を同時に検出および分析することを可能にする材料および方法に対する必要性が、当該分野で存在する。この必要性を満たすための1つのアプローチは、改変されたヌクレオ塩基ポリマーの有効サイズを増大するよう作用する配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに結合され得る移動度改変ポリマーの開発である。移動度改変ポリマーの電荷 対 並進摩擦抵抗の比が、結合されるヌクレオ塩基ポリマーの電荷 対 並進摩擦抵抗の比と異なる場合、得られる改変ヌクレオ塩基ポリマーは、非改変ヌクレオ塩基ポリマーの電気泳動移動度と異なる移動度を有する。電荷 対 並進摩擦抵抗の比のこの変化は、ふるい条件および非ふるい条件下での類似の大きさのヌクレオ塩基ポリマーの電気泳動分離をもたらすための種々の適用において使用され得る。
最も一般的に用いられる移動度改変ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)であり、標準的なDNA化学を用いてヌクレオ塩基ポリマーに結合される(非特許文献1)。標準的なDNA化学を用いてヌクレオ塩基ポリマーに付加され得る例示的な標準的なPEOホルホロアミダイト試薬(「PEO試薬」)を以下に示す。

この図において、DMTはジメトキシトリチルを表し、iPrはイソプロピルを表す。x=5の場合、ヌクレオ塩基ポリマーに付加される各PEO試薬は、ヌクレオ塩基ポリマーに、ふるい電気泳動条件および非ふるい電気泳動条件下の両方で、非改変ヌクレオ塩基ポリマーと比較して、約2ヌクレオチドの電気泳動遅延を与える。DNA化学の限界に起因して、約40以下のPEO試薬のみが、ヌクレオ塩基ポリマーに連結され得、そして均一な生成物を生じ得る。従って、これらの標準的なPEO改変試薬を用いて達成され得る最も大きな電気泳動移動度の遅延は、約80ヌクレオチドである。
しかし、単一の実験において非常に多くのヌクレオチド配列(例えば、嚢胞性線維症に関連する同定された200個の対立遺伝子)を同時に分析することに対する必要性の増加の観点から、現在利用可能な移動度改変ポリマーと異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有し、そして利用可能なPEO改変試薬を用いて達成可能な80ヌクレオチドより大きな電気泳動移動度の遅延を与え得る、新規の移動度改変ポリマーに対する必要性が、当該分野で存在する。このような新規の移動度改変ポリマーの利用可能性は、利用可能な移動度改変のレパートリーを大きく増加させ、それによって、単一の(好ましくは、自動化された)形式において極めて複雑な配列分析を実施する能力を可能にする。
Grossmanら(1994)Nucleic Acids Research 22(21):4527−34
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
以下の構造式(II)または(III):

に従う、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに連結された移動度改変ポリマーを含む、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーまたはその塩であって、ここで:
は、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、(R Si−、塩基安定性保護基、およびR −X−[(CH −O] −(CH −からなる群より選択され、ここで、各R は、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され;
各R 10 は、水素およびR からなる群より独立して選択され;
は、水素、保護基、レポーター分子、およびリガンドからなる群より選択され;
は、

であり;
各R は、水素およびR からなる群より独立して選択され;
各Xは、O、S、NH、およびNH−C(O)からなる群より独立して選択され;
各aは、独立して、1〜6の整数であり;
各bは、独立して、0〜40の整数であり;
各dは、独立して、1〜200の整数であり;そして
OLIGOは、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであるが、
ただし、少なくとも1つのR 10 または少なくとも1つのR は、水素ではない、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーまたはその塩。
(項目2)
各XがOである、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目3)
各aが2である、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目4)
各bが4である、項目3に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目5)
OLIGOが、DNA、RNA、DNAアナログ、またはRNAアナログオリゴヌクレオチドである、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目6)
OLIGOが、DNAまたはRNAオリゴヌクレオチドのアナログである、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目7)
OLIGOが、少なくとも1つの非負荷電内部ヌクレオチド連結を含む項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目8)
上記内部ヌクレオチド連結が、モノアルキルリン酸トリエステルである、項目7に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目9)
がレポーター分子である、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目10)
上記レポーター分子が、フルオロフォア、化学発光部分、またはリガンドである、項目9に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目11)
OLIGOが検出可能な標識を含む、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目12)
上記検出可能な標識がフルオロフォアである、項目9に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目13)
OLIGOがポリエチレンオキシドポリマーを含む、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目14)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、モノメチルポリエチレンオキシドポリマーである、項目13に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目15)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも2000ダルトンの分子量を有する、項目13に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目16)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも5000ダルトンの分子量を有する、項目13に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目17)
上記移動度改変ポリマーが、上記配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に結合される、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目18)
上記配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に結合されたポリエチレンオキシドポリマーをさらに含む、項目17に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目19)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、モノメチルポリエチレンオキシドポリマーである、項目18に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目20)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも2000ダルトンの分子量を有する、項目18に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目21)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも5000ダルトンの分子量を有する、項目18に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目22)
上記移動度改変ポリマーが、上記配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に結合される、項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目23)
上記配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に結合されたポリエチレンオキシドポリマーをさらに含む、項目22に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目24)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、モノメチルポリエチレンオキシドポリマーである、項目22に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目25)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも2000ダルトンの分子量を有する、項目22に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目26)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも5000ダルトンの分子量を有する、項目22に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目27)
複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを含む組成物であって、該ヌクレオ塩基ポリマーの各々が項目1に従う化合物であり、そして該ヌクレオ塩基ポリマーの各々が、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する、組成物。
(項目28)
上記複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの各々が、OLIGOを含み、そして各OLIGOが、同数のヌクレオ塩基単位を有する、項目27に記載の組成物。
(項目29)
1つ以上の標的核酸中の複数の選択されたヌクレオチド配列を検出する方法であって:
少なくとも1つ以上の標的核酸と、複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーとを、該標的核酸にハイブリダイズするこれらのヌクレオ塩基ポリマーを識別する条件下で接触させる工程であって、該ヌクレオ塩基ポリマーの各々が項目1に従う化合物であり、そして該ヌクレオ塩基ポリマーの各々が、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する、工程;および
該標的核酸にハイブリダイズしたこれらのヌクレオ塩基ポリマーを検出する工程、
を包含する、方法。
(項目30)
上記ヌクレオ塩基ポリマーのOLIGO部分が、同数のヌクレオ塩基単位で構成される、項目29に記載の方法。
(項目31)
上記1つ以上の標的核酸が、固体支持体に固定されている、項目29に記載の方法。
(項目32)
ヌクレオ塩基ポリマーの各々が検出可能な標識を含む、項目29に記載の方法。
(項目33)
上記検出可能な標識が、放射性同位元素、化学発光部分、フルオロフォア、またはリガンドである、項目32に記載の方法。
(項目34)
上記検出工程が:
上記標的核酸にハイブリダイズしたこれらのヌクレオ塩基ポリマーを回収する工程;および
該回収したヌクレオ塩基ポリマーを電気泳動により分離する工程、
を包含する、項目29に記載の方法。
(項目35)
上記電気泳動が、非ふるい媒体におけるキャピラリー電気泳動により実行される、項目34に記載の方法。
(項目36)
1つ以上の標的核酸中の複数の選択されたヌクレオチド配列を検出する方法であって:
該標的核酸と、第1の複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブおよび第2の複数の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブとを、該標的核酸にハイブリダイズするこれらのプローブ間を識別する条件下で接触させる工程であって、該移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの各々が項目1に従う化合物であり、そして該ヌクレオ塩基ポリマーの各々が、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する、工程;
同一の標的核酸分子に隣接してハイブリダイズする第1のプローブおよび第2のプローブを共有結合して、連結産物を形成する工程であって、該連結産物の各々が、異なる電荷
対 並進摩擦抵抗の比を有する、工程;ならびに
該連結産物を検出する工程、
を包含する、方法。
(項目37)
連結産物の各々が同数のヌクレオ塩基を含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
上記1つ以上の標的核酸が、固体支持体に固定されている、項目36に記載の方法。
(項目39)
上記第1のプローブおよび上記第2のプローブのうちの少なくとも1つが、検出可能な標識を含む、項目36に記載の方法。
(項目40)
上記検出可能な標識が、放射性同位元素、化学発光部分、生物発光部分、フルオロフォア、またはリガンドである、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記検出工程が:
上記連結産物を回収する工程;および
該回収した連結産物を電気泳動により分離する工程、
を包含する、項目40に記載の方法。
(項目42)
上記電気泳動が、非ふるい媒体におけるキャピラリー電気泳動により実行される、項目41に記載の方法。
(項目43)
上記共有結合がリガーゼによって達成される、項目40に記載の方法。
(項目44)
上記リガーゼが熱安定性リガーゼである、項目43に記載の方法。
(項目45)
上記接触工程、ハイブリダイズ工程、連結工程、および放出工程が、複数回繰り返される、項目44に記載の方法。
(項目46)
複数の標的核酸分子を分離する方法であって:
項目1に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを、該複数の標的核酸の各々に結合し、それによって、複数の移動度改変標的核酸を形成する工程であって、同数のヌクレオチド残基を有する標的核酸の各々は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する、工程;および
該複数の移動度改変標的核酸を分画する工程、
を包含する、方法。
(項目47)
上記複数の標的核酸が、連鎖終結配列決定法および化学切断配列決定法からなる群より選択される配列決定法により生成される、項目46に記載の方法。
(項目48)
1つ以上の標的核酸中の複数の選択されたヌクレオチド配列を検出する方法であって:
a)該標的核酸と、複数のヌクレオ塩基ポリマープライマーとを接触させる工程であって、それによって第1のヌクレオ塩基ポリマープライマーおよび第2のヌクレオ塩基ポリマープライマーの各々が、複数の選択されたヌクレオチド配列の各々の反対端で相補鎖にハイブリダイズし、該第1のヌクレオ塩基ポリマープライマーおよび該第2のヌクレオ塩基ポリマープライマーの各々の少なくとも1つは、項目3に記載される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーである、工程;
b)該第1のヌクレオ塩基ポリマープライマーの各々および該第2のヌクレオ塩基ポリマープライマーの各々を、デオキシリボヌクレオシド三リン酸基質の存在下で、DNA重合活性により伸長する工程;
c)伸長した各第1のヌクレオ塩基ポリマープライマーと該標的核酸との間および伸長した各第2のヌクレオ塩基ポリマープライマーと該標的核酸との間の塩基対形成相互作用により形成される複数の塩基対構造を変性する工程;
d)工程(a)〜(c)を複数回繰り返して複数のポリメラーゼ連鎖反応産物を形成する工程であって、該ポリメラーゼ連鎖反応産物の各々は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する、工程;ならびに
e)該ポリメラーゼ連鎖反応産物を検出する工程、
を包含する、方法。
(項目49)
上記ポリメラーゼ連鎖反応産物の各々が、同数のヌクレオ塩基を含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
上記1つ以上の標的核酸が、固体支持体に固定されている、項目48に記載の方法。
(項目51)
上記第1のヌクレオ塩基ポリマープライマー、上記第2のヌクレオ塩基ポリマーポリマー、または基質デオキシリボヌクレオシド三リン酸のうちの少なくとも1つが、検出可能な標識を含む、項目48に記載の方法。
(項目52)
上記検出工程が、非ふるい媒体におけるキャピラリー電気泳動による上記複数のポリメラーゼ連鎖反応産物の分画を含む、項目48に記載の方法。
(項目53)
以下の構造:

を有する移動度改変ホスホルアミダイト試薬であって、ここで:
は、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、(R Si−、塩基安定性保護基、およびR −X−[(CH −O] −(CH −からなる群より選択され、ここで、各R は、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され;
は、水素、保護基、レポーター分子、およびリガンドからなる群より選択され;
およびR は、各々独立して、C 〜C アルキル、C 〜C 10 シクロアルキル、C 〜C 20 アリール、およびC 20 〜C 27 アリールアルキルからなる群より選択され;
Xは、O、S、NH、およびNH−C(O)からなる群より独立して選択され;
各aは、独立して、1〜6の整数であり;そして
bは、0〜40の整数である、移動度改変ホスホルアミダイト試薬。
(項目54)
少なくとも1つの移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを備えるキットであって、該移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーが、以下の構造式(II)または(III):

に従う、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに連結された移動度改変ポリマーまたはその塩を含み、ここで:
は、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、(R Si−、塩基安定性保護基、およびR −X−[(CH −O] −(CH −からなる群より選択され、ここで、各R は、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され;
は、水素、保護基、レポーター分子、およびリガンドからなる群より選択され;
は、

であり;
各R 10 は、水素およびR からなる群より独立して選択され;
各R は、水素およびR からなる群より独立して選択され;
各Xは、O、S、NH、およびNH−C(O)からなる群より独立して選択され;
各aは、独立して、1〜6の整数であり;
各bは、独立して、0〜40の整数であり;
各dは、独立して、1〜200の整数であり;そして
OLIGOは、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであるが、
ただし、少なくとも1つのR 10 または少なくとも1つのR は、水素ではない、キット。
(項目55)
少なくとも1つの移動度改変ホスホルアミダイト試薬を含むキットであって、該試薬が、以下の構造:

を有し、ここで:
は、水素、保護基、レポーター分子、およびリガンドからなる群より選択され;
およびR は、各々独立して、C 〜C アルキル、C 〜C 10 シクロアルキル、C 〜C 20 アリール、およびC 20 〜C 27 アリールアルキルからなる群より選択され;
Xは、O、S、NH、およびNH−C(O)からなる群より選択され;
aは、1〜6の整数であり;
は、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、(R Si−、塩基安定性保護基、およびR −X−[(CH −O] −(CH −からなる群より選択され、ここで、各R は、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され;そして
bは、0〜40の整数である、キット。
(項目56)
移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーまたはその塩であって、以下の構造式(IV):

に従う、第1の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端および第2の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に連結された移動度改変ポリマーを含み、ここで:
11 は、水素、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、(R Si−、塩基安定性保護基、R −X−[(CH −O] −(CH −、保護基、レポーター分子、およびリガンドからなる群より選択され、ここで、各R は、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群より独立して独立して選択されるが、ただし、少なくとも1つのR 11 は水素ではなく;
各Xは、O、S、NH、およびNH−C(O)からなる群より独立して選択され;
各aは、独立して、1〜6の整数であり;
各bは、独立して、0〜40の整数であり;
dは、1〜200の整数であり;
OLIGO は、第1の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであり;そして
OLIGO は、第2の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーである、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーまたはその塩。
(項目57)
OLIGO およびOLIGO のうちの少なくとも1つが、ポリエチレンオキシドポリマーを含む、項目56に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目58)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、モノメチルポリエチレンオキシドポリマーである、項目57に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目59)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも2000ダルトンの分子量を有する、項目57に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(項目60)
上記ポリエチレンオキシドポリマーが、少なくとも5000ダルトンの分子量を有する、項目57に記載の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
(3.発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、ポリマー部分およびホスホルアミダイト部分を含む移動度改変ホスホルアミダイト官能化試薬を提供する。ホスホルアミダイト部分は、従来のホスホルアミダイト試薬において使用されるβ−シアノエチル酸素保護基と大きく異なり、塩基性条件(例えば、従来のホスホルアミダイトリゴヌクレオチド合成および脱保護において使用される条件および試薬)に対して安定な酸素保護基を含む。この安定な酸素保護基の結果として、官能化試薬と官能化される化合物との間で形成される結合は、非荷電リン酸トリエステルである。本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、広範な種々の物質および材料を官能化し、その全体の正味の電荷を実質的には変更することなくこの物質または材料に質量および大きさを付加するのに使用され得る。
本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、標準的なホスホルアミダイト合成スキームと適合性であり、そして市販のヌクレオ塩基ポリマー合成機器と共に使用され得る。従って、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、特に、移動度改変合成配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー(例えば、2’−デオキシオリゴヌクレオチド)に対して都合がよい。それらは、特定の用途および/または移動度改変の所望される程度に依存して、ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端、3’末端、または5’末端および3’末端の両方に容易に結合され得る。
ホスホルアミダイト部分に対して遠位に存在するポリマー部分の末端は、所望の合成条件下で選択的に除去可能な基により保護され得るか、またはそれは、本質的に非反応性の基(例えば、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基など)を含み得る。先の実施形態において、保護基は、1つ以上のさらなるホスホルアミダイト試薬の連続的な縮合のために、選択的に除去され得る。適切な選択的に除去可能な保護基は、保護される基の特性(identity)に依存し、そしてこれは当業者に明らかである。ヒドロキシル基を保護するのに適切な、選択的に除去可能な基としては、従来のヌクレオシドホスホルアミダイトリゴヌクレオチド合成試薬の5’−ヒドロキシルを保護するために一般的に使用される酸不安定基(例えば、酸不安定トリチル基(例えば、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチルなど))のいずれかが挙げられる(これは例示であって、限定ではない)。
本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、移動度改変物質(例えば、ヌクレオ塩基ポリマー)に対して単独で使用され得、その全体的な正味の電荷を変化させずにヌクレオ塩基ポリマーに質量および大きさを付加する。あるいは、これらは、移動度改変物質(例えば、ヌクレオ塩基ポリマー)に対して、従来の移動度改変試薬(例えば、上述されたPEO試薬)と組み合わせて使用され得る。本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、ヌクレオ塩基のような物質に対して、その全体的な電荷を変化させずに質量および大きさを追加するために使用され得るので、PEO試薬のような従来の試薬と組み合わせて使用される場合、これらは、ヌクレオ塩基ポリマーのような物質に付加され得る利用可能な移動度改変のレパートリーを大きく増加させる。
この試薬を構成するポリマー部分は、使用の所望の条件下で可溶性であり、代表的には標準的な当該分野で公知の化学を用いて好都合にホスホルアミダイト部分に変換され得る官能基(例えば、第一級ヒドロキシル基)を含むかまたは含むよう改変され得るかのいずれかである、任意の種々のポリマーであり得る。代表的なポリマーとしては、ポリオキシド、ポリアミド、ポリイミン、およびポリサッカリドが挙げられるがこれらに限定されない。このポリマーは、単独でかまたは組み合わせで(例えば、コポリマーまたはブロックポリマーの形態で)使用され得る。例示的なポリマーとしては、約2〜約10のモノマー単位を含む、直鎖または分枝鎖の酸化ポリアルキレン、またはそれらの誘導体が挙げられる。代表的な誘導体としては、例えば、末端ヒドロキシルが、スルファニル基またはアミン基で置換された誘導体が挙げられる。有用な酸化ポリアルキレンポリマーは、ポリエチレングリコールである。このポリマーは、必要に応じて、標識もしくは他のレポーター基もしくはレポーター分子、引き続く合成反応の間に、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを保護するための保護基、または例えば、他の部分もしくは化学種(例えば、リガンドなど)に移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを結合するための他の基を含み得る。
先に議論されたように、本発明の試薬のホスホルアミダイト酸素原子を保護する基は、合成ヌクレオ塩基ポリマー(例えば、オリゴヌクレオチド)を脱保護および/または切断するのに使用される塩基性条件に対して安定である。従って、酸素保護基は、一般的に、約18時間の期間にわたる55℃の温度での水酸化アンモニウムによる処理に対して安定であるはずである。当然、より穏やかな脱保護条件および/または切断条件が使用される場合、酸素保護基は、より穏やかなこれらの条件に対してのみ安定である必要がある。本発明のホスホルアミダイト試薬の酸素原子を保護するために使用され得るこのような塩基性条件に対して安定な基は、当業者に明らかであり、そしてこれらとしては、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、および(RSi−(ここで、各Rは、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択される)が挙げられる(これは、例示であって、限定ではない)。あるいは、酸素保護基は、上記のような選択的に除去可能な末端保護基を必要に応じて有するポリマーセグメントであり得る。この後者の実施形態において、本発明の試薬は、分枝したポリマーセグメントまたは樹状のポリマーセグメントを含む移動度改変物質の形成を可能にする。
1つの好都合な実施形態において、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬のポリマー部分は、酸化ポリアルキレンであり、その例示的な実施形態を、以下の式(I)として示す。

ここで:
は、水素、保護基、レポーター分子、およびリガンドからなる群より選択され;
Xは、O、S、NH、およびNH−C(O)からなる群より選択され;
各aは、独立して、1〜6の整数であり;
bは、0〜40の整数であり;
およびRは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C20アリール、およびC20〜C27アリールアルキルからなる群より選択され;そして
は、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、(RSi−(ここで、各Rは、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択される)、塩基安定性保護基、およびR−X−[(CH−O]−(CH−からなる群より選択される。
別の局面において、本発明は、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬単独でかまたは従来の移動度改変試薬と組み合わせてのいずれかで移動度が改変された、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを提供する。このような配列特異的移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーは、一般的に、移動度改変ポリマーセグメントおよび配列特異的ヌクレオ塩基セグメントを含む。
このヌクレオ塩基ポリマーセグメントは、代表的に、オリゴヌクレオチド(例えば、DNAオリゴマーまたはRNAオリゴマー)であるが、後の節でより詳細に記載されるような、DNAおよび/またはRNAの任意の多くの異なるアナログまたは誘導体でもあり得る。ヌクレオ塩基ポリマーは、標的核酸の所望のヌクレオチド配列に少なくとも部分的に相補的なヌクレオ塩基の配列を有し、その結果、このヌクレオ塩基ポリマーセグメントは、特定の条件下で、標的配列に特異的に結合する。
移動度改変ポリマーセグメントは、所定の電気泳動媒体において、ヌクレオ塩基ポリマーセグメントの電荷 対 並進摩擦抵抗の比と異なる比を有する。結果として、移動度改変ポリマーセグメントによって、本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、対応する非改変ヌクレオ塩基ポリマーの電気泳動移動度と比較して、遅延した電気泳動移動度を有する。
本発明の1つの例示的な実施形態に従って、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、以下の構造式(II):

に従う化合物またはその塩である。ここで:
、R、X、a、およびbは、式(I)と同様であり;そして
OLIGOは、少なくとも5つのヌクレオ塩基を含む配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーである。
移動度改変ポリマーは、OLIGOの5’末端、3’末端、または5’末端および3’末端の両方に結合され得る。移動度改変ポリマーはまた、第1ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端および第2ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に結合され得、それによって、2つのヌクレオ塩基ポリマーセグメントに連結する移動度改変ポリマーセグメントを有する移動度改変オリゴヌクレオチドポリマーを提供する。
式(II)に従う移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーにおける置換基Rによって、示されるリン酸トリエステルは、生理学的pHで荷電しない。従って、示される移動度改変ポリマー基は、OLIGOに対して、質量のみ追加し、電荷を追加しない。
本発明の移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーは、非荷電リン酸トリエステル結合のみを含む移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーに限定されない。非荷電リン酸トリエステル結合と荷電リン酸トリエステル結合との組み合わせを慎重に選択することにより、利用可能な移動度改変のレパートリーが劇的に増加し得る。従って、第2の例示的な実施形態において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、以下の構造式(III):

に従う化合物またはその塩である。ここで:
は、

であり;
、R、a、b、X、およびOLIGOは、式(I)および(II)において先に定義された通りであり;
各dは、独立して、1〜200の整数であり;そして
各Rおよび各R10は、水素およびRからなる群より独立して選択されるが、ただし、少なくとも1つのR10または少なくとも1つのRは、水素ではない。
構造式(III)の化合物において、各a、b、d、X、R10、およびRは、互いに独立して、同じであっても異なってもよい。構造式(III)の化合物の特定の実施形態において、少なくともいくつかのR10および/またはRは、水素ではない。R10およびRが水素以外の場合、R10および/またはRは、Rである。
別の実施形態において、本発明は、複数の本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを含む組成物を提供する。ここで、特定の実施形態において、各移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーは、構造式(II)および構造式(III)からなる群より独立して選択される構造を有する。この複数の移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーのうちの少なくとも2つは、別個の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有し、その結果、2つ以上の移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーの各々は、別個の電気泳動移動度を有する。別個の電荷 対 並進摩擦抵抗の比は、この分子の移動度改変ポリマーセグメントの長さ(すなわち、モノマー単位の数)の差、ヌクレオ塩基ポリマーに結合された移動度改変ポリマーセグメントの数の差(すなわち、構造式(II)および(III)における変数dの差)、複数の移動度改変ポリマーセグメントを連結する電荷、非荷電サブユニットに対する荷電サブユニットの数、ヌクレオ塩基ポリマーの長さおよび電荷、またはこれらの特徴の組み合わせに起因し得る。
なお別の局面において、本発明は、1つ以上の標的核酸中の複数のヌクレオチド配列を検出する方法を提供する。この方法に従って、複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブ(これらは各々、構造式(II)および(III)からなる群より独立して選択される構造を必要に応じて有する)は、一般的に、塩基特異的な様式で標的核酸にハイブリダイズする移動度改変プローブと、そのようにハイブリダイズしないプローブとを区別する条件下で、1つ以上の標的核酸と接触される。次いで、標的にハイブリダイズする移動度改変ヌクレオ塩基ポリマープローブは、電気泳動により分画される。標的核酸における選択された配列の存在は、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマープローブの観察される電気泳動移動速度に従ってか、または、必要に応じて、標識の特性に従ってか、あるいはそれらの組み合わせによって、検出される。
移動度改変ヌクレオ塩基ポリマープローブは、標識されていてもされていなくてもよい。あるいは、それらは、以下により十分に記載されるように、この方法の間に標識を含むように改変され得る。標識されない場合、移動度改変プローブの電気泳動移動速度は、従来の手段により(例えば、吸光スペクトルにより)モニタリングされ得る。例えば、フルオロフォアで標識される場合、電気泳動移動速度は、この標識を検出することによりモニタリングされ得る。
本発明の1つの実施形態において、多重アッセイにおいて移動度改変プローブの検出を容易にするために、移動度改変プローブは、異なる蛍光標識(例えば、5−カルボキシフルオロセイン(5−FAM)、6−カルボキシフルオロセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオロセイン(JOE)、N,N,N’,N−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−6−カルボキシフルオロセイン(HEX−1)、4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−5−カルボキシフルオロセイン(HEX−2)、2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−カルボキシフルオロセイン(ZOE)、4,7,2’,7’−テトラクロロ−6−カルボキシフルオロセイン(TET−1)、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4,7−ジクロロ−5−カルボキシフルオロセイン(NAN−2)、および1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4,7−ジクロロ−6−カルボキシフルオロセインが挙げられるがこれらない限定されない)で標識される。適切な蛍光標識を選択する手引きは、Smithら(1987)Meth.Enzymol.155:260−301、Kargerら(1991)Nucl.Acids Res.19:4955−4962、Haugland(1989)Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes、Inc.、Eugene、Ore.)において見出され得る。例示的な蛍光標識としては、フルオレセインおよびその誘導体(例えば、Khannaらに対する米国特許第4,318,846号およびLeeら(1989)Cytometry 10:151−164に開示される誘導体)、ならびに上記のような、6−FAM、JOE、TAMA、ROX、HEX−1、HEX−2、ZOE、TET−1、またはNAN−2などが挙げられる。複数の蛍光色素が使用される場合、それらは、多くの場合、スペクトルにより分離可能であるべきである。
この方法の1つの好都合な実施形態において、標的核酸は、固体支持体上に固定される。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズしていないプローブは、代表的に、洗浄によって除去され、そしてハイブリダイズしたプローブは、代表的に、ハイブリッドを変性させることによって回収され、そしてこれらの回収されたハイブリダイズしたプローブは、上記のように電気泳動により分画される。
この方法の別の実施形態において、標的核酸に特異的にハイブリダイズする移動度改変プローブは、標識を組み込むように改変される。この改変は、多くの異なる方法によって達成され得る。例えば、米国特許第5,807,682号、同第5,703,222号、および同第5,470,705号を参照のこと。これらは、塩基特異的な様式で標的核酸に結合する場合のプローブの選択的な改変のために有用な方法および組成物を開示する。1つの一般的な方法において、検出可能な標識を含む第2の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブは、ハイブリダイズされた移動度改変プローブに共有結合される。この第2の標識プローブはまた、必要に応じて、移動度改変ポリマーを含み得る。この2つのプローブは、これらの両方が、同一の標的核酸分子に対して隣接してハイブリダイズする場合、互いに共有結合され得る(すなわち、プローブは、標的核酸の隣接する塩基と塩基対を形成する対峙する末端ヌクレオ塩基残基を有する)。共有結合は、化学的手段または生物学的手段により(例えば、DNAまたはRNAリガーゼにより)達成され得る。
従って、本発明のこの局面に従って、溶液中に存在するかまたは固定され得る標的核酸は、本発明に従う第1の複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブ(これらの各々は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有し、そして、必要に応じて、構造式(II)および(III)からなる群より選択される)、および第2の標識された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブと、一般的に、配列特異的な様式で標的にハイブリダイズするプローブを区別する条件下で接触される。次いで、同一の標的核酸分子に隣接してハイブリダイズするプローブは、一緒に共有結合され(連結され)、移動度改変標識連結産物を形成する。各標識連結産物は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。さらなる局面において、3つ以上のヌクレオ塩基ポリマープローブが、少なくとも3つのプローブが共有結合して連結産物を形成するような様式で、標的核酸の隣接配列にハイブリダイズされる。そのように連結したプローブの少なくとも1つは、検出可能な標識を含み、そしてこのような連結したこれらのプローブの少なくとも1つは、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブ(必要に応じて、構造式(II)および(III)からなる群より選択される)であり、その結果、その連結産物は、標識を有し、そして異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。標的核酸にハイブリダイズされた、標識連結産物は、上記のように、電気泳動により回収および分画される。
このハイブリダイゼーション、連結、および変性のサイクルは、形成される連結産物の濃度を増幅するために反復され得る。この場合、連結は、熱安定性リガーゼにより達成され得る。さらに、さらなるヌクレオ塩基ポリマープローブ(これらは合わせて、それらにハイブリダイズする連結産物に対して十分相補的であり、上記のように互いに共有結合される)もまた含まれ、それによって、連結産物の幾何学的増幅(すなわち、リガーゼ連鎖反応)がもたらされる。従って、このようなリガーゼ連鎖反応の産物は、2つの鎖からなる二本鎖分子であり、各々の鎖は、少なくとも2つの配列特異的なヌクレオ塩基ポリマープローブの連結の産物である。従って、本発明のさらに別の実施形態において、リガーゼ連鎖反応産物中に組み込まれる少なくとも1つの配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、検出可能な試薬を含み、そして少なくとも1つの配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、構造式(II)および(III)からなる群より選択される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであり、その結果、リガーゼ連鎖反応産物の少なくとも1つの鎖は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗を有する。
第2の一般的な方法において、改変は、鋳型特異的充填反応またはPCRを通じて達成される。この局面において、溶液中に存在し得るかまたは固定され得る標的核酸は、複数の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブと接触され、これらのうちの2つは、標的核酸中の目的のヌクレオチド配列に隣接する相補鎖の対向端にハイブリダイズする。ハイブリダイズした配列特異的プローブの伸長(必要に応じて、熱安定性ポリメラーゼによる)、伸長産物の熱変性および解離、ならびにアニーリングのサイクルの反復により、2つのヌクレオ塩基ポリマープローブにより枠組みされた領域の幾何学的増幅が提供される。従って、このようなポリメラーゼ連鎖反応の産物は、2つの鎖からなる二本鎖分子であり、これらは各々、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブを含む。本発明のこの局面において、少なくとも1つの配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブは、本発明に従う移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブ(必要に応じて、構造式(II)および(III)からなる群より選択されるプローブ)であり、その結果、二本鎖ポリメラーゼ連鎖反応産物は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。本発明のこの局面において形成されるポリメラーゼ連鎖反応産物はさらに、プライマーとして使用される配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブのいずれかの中に組み込まれ得る標識を含むか、またはこれは重合酵素により使用される基質デオキシヌクレオシド三リン酸中に組み込まれ得る。他の例において、ポリメラーゼ連鎖反応産物は、挿入色素による挿入によってか、または検出可能な指標分子との他の非共有結合によって標識され得る。さらに別の局面において、形成されるポリメラーゼ連鎖反応産物は、分離された一本鎖産物を提供する変性条件下で分析される。この局面において、少なくとも1つの一本鎖産物は、標識ならびに必要に応じて構造式(II)および(III)からなる群より選択される、本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの両方を含み、その結果、二本鎖ポリメラーゼ連鎖反応産物由来の一本鎖産物は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。当該分野で周知のように、このような一本鎖産物はまた、プライマーとして使用される2つの配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブのうちの1つを限定量用いるPCR反応を実施することにより生成され得る。
第3の一般的な実施形態において、結合した移動度改変プローブは、レポーター標識ヌクレオチド三リン酸分子と、DNAポリメラーゼの存在下で反応され、このプローブの3’末端にレポーター基が結合される。レポーター基としては、放射活性部分および蛍光部分が挙げられるがこれらに限定されない。
第4の一般的な実施形態において、各移動度改変プローブは、プローブが標的核酸に結合した場合に酵素により切断され得る配列を含む。この切断反応は、ヌクレオ塩基ポリマーセグメントの一部を除去し、プローブの電荷/並進摩擦抵抗を改変し得るか、またはプローブの一端に保有されたレポーター標識と、プローブの他端に保有されたポリマー鎖を分離し、レポーター標識を保有する部分の電荷/並進摩擦抵抗を改変し得る。このような現象を検出する1つの方法は、蛍光エネルギー共鳴移動(FRET)と呼ばれるプロセスに基づく。このプロセスにおいて、エネルギーは、フルオロフォアドナー分子とフルオロフォアアクセプター分子との間を移動する。従って、この実施形態の1つの局面において、移動度改変プローブは、切断部位によって隔てられた、光子ドナーおよび光子アクセプターとして作用する2つの部分を含む。アクセプター分子がフルオロフォアでない場合、その効果は、ドナーの蛍光の消光である。標的核酸に結合した結合移動度改変プローブの切断は、ドナー部分とアクセプター部分とを物理的に分離し、そしてドナー部分による蛍光を回復し、これは容易に、そして選択的に検出される。
第4の一般的な実施形態のさらに別の局面において、標的核酸に結合された場合に切断され得る配列を含む各移動度改変プローブは、このプローブの標識された末端(このプローブの5’末端または3’末端のいずれかであり得る)に結合された第1の移動度改変ポリマー、およびこのプローブの非標識末端に結合された第2の移動度改変ポリマーを含む。本発明のこの局面は、非限定的な様式において、「インベーダーアッセイ」における本発明の移動度改変ポリマーの使用により例示される。このアッセイは、標的核酸にハイブリダイズする2つの重複ヌクレオ塩基ポリマーにより形成される構造のフラップエンドヌクレアーゼ切断に基づくSNP同定手順である(例えば、Cookseyら、2000、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 44:1296−1301を参照のこと)。このような切断反応は、「下流」のヌクレオ塩基ポリマーの5’末端ヌクレオ塩基に対応する生成物を放出する。これらの切断産物が標識されており、そして非切断ヌクレオ塩基ポリマーから分離され得る場合、インベーダーアッセイは、例えば、ゲノム配列またはPCR増幅ゲノム配列における単一塩基の差を識別するために使用され得る。
インベーダーアッセイにおいて使用される下流のヌクレオ塩基ポリマーの標識5’末端への、本発明の移動度改変ポリマーの結合は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する切断産物を提供する。従って、複数のSNPが、複数の配列特異的下流ヌクレオ塩基ポリマーを用いて同時に分析される。ここで、配列特異的下流ヌクレオ塩基ポリマーは、標識された5’末端に結合された本発明の移動度改変ポリマーを含み、その結果、各SNPにおけるフラップエンドヌクレアーゼ切断により生成される生成物は、異なる電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。
インベーダーアッセイのさらなる局面において、例えば、下流ヌクレオ塩基ポリマー(標識および5’末端に接続された本発明の第1移動度改変ポリマーを有する)は、3’末端に接続された第2移動度改変ポリマーを、さらに含む。第2移動度改変ポリマーの存在は、フラップエンドヌクレアーゼ産生産物(5’末端、標識、および第1移動度改変ポリマーを含む)の電気泳動移動度と未切断下流ヌクレオ塩基ポリマーの電気泳動移動度との間の差異を増強することによって、インベーダーアッセイの感受性を増加させる。従って、第2移動度改変ポリマーは、少なくとも2000の分子量を有する。他の実施形態において、第2移動度改変ポリマーは、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、および少なくとも100,000の分子量を有する。1つの実施形態において、第2移動度改変ポリマーは、本発明の移動度改変ポリマーであり、一方、他の実施形態では、第2移動度改変ポリマーは、当該分野の移動度改変ポリマーであり、これは、1つの例示的な非限定的な例として、非荷電モノメチルポリエチレングルコールポリマーがある。さらに、第2移動度改変ポリマーは、異なる分子量の種の混合物を含み得るが、但し、これらの種は、シグナル産物(すなわち、フラップエンドヌクレアーゼ産生産物(5’末端、標識、および第1移動度改変ポリマーを含む))の検出を実質的に妨害しない(実施例5以下を参照のこと)。
第5の一般的な実施形態において、結合移動度改変プローブが、レポーター分子と接触され、このレポーター分子としては、インターカレーティング色素が挙げられるが、これに限定されず、この色素は、プローブと標的核酸との間に形成される二重鎖DNA構造に非共有様式で結合する。このようなレポーター分子は、二重鎖DNA構造に結合した場合、蛍光複合体を形成し得るか、または非共有結合レポーター分子は、例えば、放射性部分または他の検出可能部分、または同族(cognate)結合対の1つのメンバーを形成する化学基を含み得、これによって、標的核酸に結合した移動度改変プローブを改変する。
なお別の局面において、本発明は、標的核酸分子を分離する方法を提供し、この核酸分子は、異なる数のヌクレオチド残基を含み得るが、それにもかかわらず、実質的に同じ比の電荷 対 並進摩擦抵抗(translational frictional drag)を有する。この方法は、標的核酸分子の混合物と移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー(必要に応じて、構造式(II)および(III)からなる群より選択される構造を有する)とを接触させる工程;移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを、移動度改変標的核酸を形成する実質的に全ての標的核酸に接続し、それによって、同じ数のヌクレオチド残基を有するそれぞれの標的核酸分子に、独特の比の電荷 対 並進摩擦抵抗を提供する工程;および移動度改変標的分子を分離する工程、を包含する。一般的に、このように形成された移動度改変標的分子が、電気泳動によって(例えば、キャピラリー電気泳動によって、または非ふるい分け(non−sieving)媒体中でのキャピラリー電気泳動によって)、分離される。
このような標的分子の混合物は、1つの実施形態において、鎖停止反応または化学切断配列決定反応によって作製され、この場合、標的核酸は、一般的に、少なくとも1つの検出可能な標識を含む。標的分子が鎖停止反応によって作製される場合、これらの標的分子は、プライマー伸長産物である。この局面において、プライマー伸長産物および配列特異的移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーは、適切な条件下で、テンプレート核酸とさらに接触される。テンプレート核酸は、少なくとも4つのヌクレオチド残基を含む3’領域および少なくとも4つのヌクレオチド残基を含む5’領域を有し、ここで、3’領域は、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端残基に相補的であり、そして、5’領域は、プライマー伸長産物のそれぞれの5’末端残基に対して相補的であり、その結果、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーおよびプライマー伸長産物がテンプレート核酸にハイブリダイズする場合、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端残基は、プライマー伸長産物の5’末端残基と接する。従って、この実施形態において、テンプレート核酸は、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーおよびプライマー伸長産物を、適切な条件下で整列させるために使用され、その結果、ハイブリダイズされ、整列されたヌクレオ塩基ポリマーは、必要に応じて酵素的連結によって、互いに共有結合され得る。これによって形成された産物は、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーおよびプライマー伸長産物を含み、但し、移動度改変プライマー伸長産物は、独特の比の電荷 対 並進摩擦抵抗を有する。一般的に、本発明のこの局面において、プライマー伸長産物は、さらに、少なくとも1つの検出可能な標識を含む。検出可能な標識(移動度改変配列特異的プライマー、デオキシリボヌクレオチド基質またはジデオキシリボヌクレオチド基質のうちの1つ以上に組み込まれ得る)は、非限定的な例として、放射性標識または蛍光標識であり得る。1つの実施形態において、鎖停止配列決定反応は、4つのジデオキシリボヌクレオチド基質のそれぞれを含み、ここで、それぞれは、異なる蛍光部分を標識され、そして4つの異なる蛍光部分のそれぞれは、互いにスペクトル的に分離可能である。この実施形態の他の局面において、4つの別々の鎖停止配列決定反応が実行され、ここで、これら4つの反応のそれぞれが、単一のジデオキシリボヌクレオチド基質、および単一のスペクトル的に分離可能な蛍光部分を有する移動度改変配列特異的プライマーを含む。この例において、配列決定反応が停止され、そして組み合わされて、プライマー伸長産物の混合物を提供し、このプライマー伸長産物のそれぞれは、ジデオキシリボヌクレオチド残基で停止され、そしてそのジデオキシリボヌクレオチド残基に対応するスペクトル的に分離可能な蛍光部分で標識される。
この方法の別の局面において、使用されるテンプレート核酸は、少なくとも4ヌクレオチド残基を含む3’領域、少なくとも4ヌクレオチド残基を含む5’領域、および3’領域と5’領域との間に配置される中心領域を有し、ここで、テンプレート核酸の3’領域は、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端残基に相補的であり、そしてテンプレート核酸の5’領域は、それぞれのプライマー伸長産物の5’末端残基に相補的である。この場合に、配列特異的移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーおよびプライマー伸長産物の、テンプレート核酸分子へのハイブリダイゼーションは、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端残基が、テンプレート核酸の中心領域に対応するヌクレオ塩基配列によって、プライマー伸長産物の5’末端ヌクレオチド残基から分離される構造を提供する。この場合において、ギャップが、ハイブリダイズしたヌクレオ塩基ポリマー間に残り、このギャップは、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート基質の存在下でDNAポリメラーゼで充填され、これによって、伸長移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを形成する。このギャップを充填する際に、この伸長移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、プライマー伸長産物の5’末端ヌクレオチド残基に連結されて、独特の比の電荷 対 並進摩擦抵抗を有する移動度改変プライマー伸長産物を形成する。得られる産物はまた、検出可能な標識を含み得、これは、移動度改変配列特異的プライマー、デオキシリボヌクレオチド基質のうちの1つ以上に組み込まれ得る。検出可能な標識は、限定しないが、放射性標識または蛍光標識であり得る。
本発明はまた、本発明の方法を実行するのに有用なキットを含む。本発明のキットは、1つ以上の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを含む。キットはまた、第2ヌクレオ塩基ポリマー(代表的には、オリゴヌクレオチド)(これは、必要に応じて移動度を改変されている)を含み得、ここで、意図されるアッセイは、第2オリゴヌクレオチド;例えば、オリゴヌクレオチド連結アッセイおよびPCR分析のためのキットを必要とする。同様に、リガーゼ連鎖反応増幅のために設計されたキットは、さらに、少なくとも2つのさらなるヌクレオ塩基ポリマーを含み、これらは、ともに、診断リガーゼ反応産物に相補的である。このキットはまた、さらに、制限酵素、DNAポリメラーゼ、RNase、ミスマッチ結合タンパク質、リガーゼ、およびエキソヌクレアーゼのような試薬を処理する工程を包含し得る。単一ヌクレオチド多型を検出するための配列決定アッセイまたはオリゴヌクレオチド伸長アッセイに適切なプライマー伸長キットは、さらに、ヌクレオオシドトリホスフェートおよび/または連鎖停止ヌクレオチドを含む。従って、本発明のキットの成分としては、1つ以上の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー、1つ以上の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー、ならびに/あるいは1つ以上のヌクレオシドトリホスフェートおよび/または連鎖停止ヌクレオチドを含み、ここで、これらの成分の1つ以上が、レポーター標識を含み得る。このキットはまた、ハイブリダイゼーションおよび酵素処理を実行するための反応緩衝液を含み得る。
別の実施形態において、本発明は、本発明の1つ以上の移動度改変ホスホルアミダイト試薬を含むキットを含む。このようなキットにおける、1つ以上の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、さらに、1つ以上の保護基、レポーター分子、またはリガンドを含み得る。このようなキットはまた、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの合成に使用するための1つ以上の溶媒、試薬、または固体表面結合ヌクレオ塩基モノマーを含み得る。
本発明の移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーは、以下のように、現在利用可能な改変オリゴヌクレオチドに対して1つ以上の利点を提供する。例えば、本発明の移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーの合成は、DNA合成のための従来の自動化機器において使用される試薬および方法と適合性である。さらに、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーは、構造式(II)および(III)に従うヌクレオ塩基ポリマーのような非荷電ホスフェートトリエステル連結のみを含み、現在の使用における荷電PEO改変剤と比較して、電気泳動移動度の実質的により大きな改変が達成され得る。以下に提供される実施例に示されるように、本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー間の電気泳動移動度において、大きな差異が存在する(これは、単一の移動度改変モノマー単位のみによって異なる)。結果として、本発明は、従来のPEO改変剤を使用して達成され得るよりも高い移動度改変を可能にする。有意なことには、100個より多いヌクレオチドの電気泳動移動度の遅延は、標準的なDNAおよびRNA化学を使用して容易に達成され得る。
さらに、非荷電ホスフェートトリエステル連結(例えば、構造式(II)および(III)に従う移動度改変ヌクレオ塩基ポリマー)を伴う、荷電ホスフェートジエステル連結の使用は、利用可能な分離可能な移動度改変のレパートリーを大きく増大させる。従って、本発明は、現在利用可能なPEO改変剤を使用して分析され得るよりも、多くの数の標的核酸配列について同時分析する能力を可能にする。
(4.好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、ヌクレオ塩基ポリマー官能基化試薬、およびヌクレオ塩基ポリマー官能基化試薬の合成のための方法、ならびにこのような官能基化試薬の重合のための手順およびそれらのヌクレオ塩基ポリマーへの結合のための手順を提供する。
本発明はまた、新規な移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに関し、このヌクレオ塩基ポリマーは、非荷電連結を介して接続される1つ以上の移動度改変ポリマーサブユニットを介して、ヌクレオ塩基ポリマーに接続される少なくとも1つの移動度改変ポリマーを含む。移動度改変配列特異的核酸およびヌクレオ塩基ポリマーは、改善された比の荷電 対 並進摩擦抵抗を提供し、これは、ふるい分け電気泳動媒体および非ふるい分け電気泳動媒体の両方において、大部分の集団の核酸内における個々のヌクレオ塩基ポリマーのより効果的な電気泳動分離を可能にする。
本発明はまた、本明細書中に開示される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを使用して、1つ以上の標的核酸内のヌクレオチド配列の検出のための方法を提供する。
(4.1 略語および決まり)
天然に存在するコードヌクレオ塩基をいうために、本明細書中および図をとおして使用される略語は、以下の通りである:アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)。
他に特定しない限り、一連の一文字略語として表されるヌクレオ塩基ポリマー配列および/または標的核酸配列は、5’→3’の方向で提示される。
(4.2 定義)
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、以下の意味を有することが意図される:
「レポーター標識(Reporter label)」、「レポーター標識(reporter label)」、「標識」または「タグ」とは、発蛍光団、発色団、放射性同位体、化学発光、スピン標識、または酵素(これは、検出可能な事象を引き起こすか、または適切な検出器による標識化ヌクレオ塩基ポリマープローブの直接的検出を可能にする、あるいは、検出可能な抗リガンド、抗ハプテン、または他の第2のメンバーの同族結合対に対して特異的に高い親和性で結合し得るリガンドまたは他の第1メンバーの同族結合対(例えば、限定しないが、レポーター標識アビジンまたはレポーター標識抗体)をいう。
「スペクトル的に分離可能」とは、1組の蛍光色素を参照して、それぞれの色素の蛍光発光バンドが十分に独特(すなわち、十分に非重複)であり、これは、この色素が、単独でまたは他の分子もしくは物質に結合した場合のいずれかで、標準的な光検出システム(例えば、一連のバンドパスフィルターおよび光電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD)、分光器などを使用する光検出器)を使用してそれらの蛍光シグナルに基づいて、互いに識別可能であることを意味し、米国特許第4,230,558号および同第4,811,218号、またはWheelessら、1985、Flow Cytometry:Instrumentation and Data Analysis、pp21〜76、Academic Press、New Yorkに記載されるシステムによって例示される。一般的に、スペクトル的に分離可能なセットの色素を含む色素の全てが、単一光源によって励起可能である。
「ヌクレオ塩基」とは、核酸において通常見出される型の置換または非置換の窒素含有親ヘテロ芳香族環をいう。代表的には、必要ではないが、ヌクレオ塩基は、適切な相補性ヌクレオ塩基と、Watson−Crickおよび/またはHoogsteen水素結合を形成し得る。ヌクレオ塩基は、天然に存在し得る(例えば、天然に存在するコードヌクレオ塩基A、G、C、TおよびU)か、またはこれらは改変され得るかまたは合成であり得る。通常の改変または合成ヌクレオ塩基または合成ヌクレオ塩基としては、3−メチルウラシル、5,6−ジヒドロウラシル、4−チオウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、6−ジメチルアミノプリン、6−メチルアミノプリン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、6−アミノ−8−ブロモプリン、イノシン、5−メチルシトシン、7−デアザアデニン、および7−デアザグアノシンが挙げられる。標的核酸を構成し得る改変ヌクレオ塩基または合成ヌクレオ塩基のさらなる非限定的な例は、Fasman、CRC PRACTICAL HANDBOOK OF BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY、1985、pp.385−392;Beilstein’s Handbuch der Organischen Chemie、Springer Verlag、Berlin and Chemical Abstracts(これらの全てが、このようなヌクレオ塩基の構造、特性および調製を記載する刊行物に対する参照を提供する)に見出され得る。
当業者によって認識されるように、上記改変ヌクレオ塩基または合成ヌクレオ塩基の多くは、天然に存在するコードヌクレオ塩基A、T、C、GおよびUとWatson−Crick塩基対形成相互作用を形成し得る。しかし、本発明の特定の実施形態において、ヌクレオ塩基ポリマー合成において、天然に存在するコードヌクレオ塩基A、T、C、G、およびUのいずれかならびに/または通常のそのアナログとWatson−Crick塩基対を形成し得ないが、非標準的な(すなわち、非Watson−Crick)塩基対を互いに形成し得る、ヌクレオ塩基を含むことが望ましくあり得る。これらの特性を有するヌクレオ塩基は、本明細書中において、「非標準合成」ヌクレオ塩基と呼ばれる。このような非標準合成ヌクレオ塩基の例としては、限定しないが、イソ−グアニン(iso−G)、イソ−シトシン(iso−C)、キサンチン(X)、カッパ(K)、ヌクレオ塩基H、ヌクレオ塩基J、ヌクレオ塩基Mおよびヌクレオ塩基Nが挙げられる(米国特許第6,001,983号を参照のこと)。これらの非標準的な合成ヌクレオ塩基は、以下の非標準的な塩基対を形成するために互いに塩基対を形成する:iso−C・iso−G,K・X,H・JおよびM・N。これらの非標準的な塩基対のそれぞれは、3つの水素結合を有する。さらなる非標準的な合成ヌクレオ塩基、ならびにそれらの合成のための方法およびそれらをヌクレオ塩基ポリマーに組み込むための方法は、米国特許第5,432,272号、同第5,965,364号および同第6,001,983号に見出され、これらの開示は、本明細書中において参考として援用される。
「ヌクレオ塩基ポリマー」とは、一連のヌクレオ塩基をいい、このヌクレオ塩基は、連結ポリマーが、標準的なWatson−Crick塩基対または非標準的な塩基対により、ヌクレオ塩基の相補的配列を有する標的核酸にハイブリダイズする連結により互いに接続されるか、またはHoogsteen塩基対形成規則による三重鎖構造を形成するために二重鎖標的核酸にハイブリダイズし得る。相補的核酸にハイブリダイズし得る種々のヌクレオ塩基ポリマーは、当該分野において記載される。これらのヌクレオ塩基ポリマーの全てが、本発明の範囲内である。このようなヌクレオ塩基ポリマーの例としては、ネイティブDNAおよびRNA、ならびにDNAおよびRNAのアナログが挙げられる。通常のアナログとしては、限定しないが、それぞれの2’−デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドが、ホスホネート連結、ホスホルアミダイト連結、ホスホロチオエート連結、ホスホネートトリエステル連結によって接続されるDNAおよびRNAが挙げられる。ヌクレオ塩基ポリマーとしてはまた、正に荷電した糖−グアニジル連結を有する分子が挙げられ、例えば、これは、米国特許第6,013,785号および米国特許第5,696,253号に記載される(Dagani,1995、Chem.&Eng.News4−5:1153;Dempeyら、1995、J.Am.Chem.Soc.117:6140−6141もまた参照のこと)。糖が2’−デオキシリボースである糖−グアニジルアナログは、DNGと呼ばれ、一方、糖がリボースである糖−グアニジルアナログは、「RNG」と呼ばれる。
アルキルアミン側鎖を有する正に荷電したポリアミド骨格を有するヌクレオ塩基ポリマーの例は、米国特許第5,786,461号;米国特許第5,766,855号;米国特許第5,719,262号;米国特許第5,539,082号およびWO98/03542に記載される(Haaimaら、1996,Angewandte Chemie Int’l Ed. in English 35:1939−1942;Lesnikら、1997、Nucleosid.Nucleotid.16:1775−1779;D’Costaら、1999、Org.Lett.1:1513−1516も参照のこと、Nielson、1999、Curr.Opin.Biotechnol.10:71−75も参照のこと)。
非荷電骨格を有するヌクレオ塩基ポリマーもまた、当該分野において記載されている。例えば、非荷電ポリアミド骨格を有するヌクレオ塩基ポリマーは、WO92/20702および米国特許第5,539,082号に記載される。非荷電モルホリノ−ホスホラミデート骨格を有するヌクレオ塩基ポリマーは、米国特許第5,698,685号、米国特許第5,470,974号、米国特許第5,378,841号および米国特許第5,185,144号に記載される(Wagesら、1997、BioTechniques 23:1116−1121もまた参照のこと)。
ヌクレオ塩基ポリマーを含み得るさらなるヌクレオ塩基連結としては、限定しないが、以下が挙げられる:ペプチドに基づく核酸模倣連結(例えば、米国特許第5,698,685号を参照のこと)、カルバメート連結(例えば、Stirchak & Summerton、1987,J.Org.Chem.52:4202を参照のこと)、アミド連結(例えば、Lebreton、1994、Synlett.February、1994:137を参照のこと)、メチルヒドロキシルアミン連結(例えば、Vasseurら、1992、J.Am.Chem.Soc.114:4006を参照のこと)、3’−チオホルムアセタール連結(例えば、Jonesら、1993、J.Org.Chem.58:2983を参照のこと)、スルファメート連結(例えば、米国特許第5,470,967号を参照のこと)、およびロックされたヌクレオシドアナログ(LNA)を含む連結(単鎖核酸および二本鎖核酸と配列特異的二重鎖構造および三重鎖構造を形成し得るヌクレオ塩基ポリマーに組み込まれ得る二環式および三環式ヌクレオシドアナログおよびヌクレオチドアナログを含む)(例えば、WO99/14226を参照のこと)。
ヌクレオ塩基ポリマーは、全体的に単一の型の連結から構成され得るかまたは異なる連結の組合せを含み得る。特定の実施形態において、ヌクレオ塩基ポリマーは、ネイティブDNAまたはRNA、あるいはその通常のアナログである。
「アルキル」とは、親アルカン、アルケン、またはアルキンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって誘導される、飽和または不飽和の分枝、直鎖または環式の一価炭化水素基をいう。代表的なアルキル基としては、限定しないが、メチル;エチル(例えば、エタニル、エテニル、エチニル);プロピル(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなど);ブチル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチルプロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなど);などが挙げられる。特定のレベルの飽和が意図される場合、命名法「アルカニル」、「アルケニル」、および/または「アルキニル」が使用される。特定の実施形態において、アルキル基は、(C〜C)直鎖アルキル基である。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子からなるアルキル基をいい、特定の実施形態において、低級アルキル基は、(C〜C)直鎖アルキルである。
「アリール」とは、親の芳香族環系の単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって誘導される、1価芳香族炭化水素基をいう。代表的なアリール基としては、限定しないが、以下から誘導される基が挙げられる:アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなど。特定の実施形態において、アリール基は、(C〜C14)アリールであり、特定の実施形態において、(C〜C10)である。さらなる実施形態において、アリールは、シクロペンタジエニル、フェニルおよびナフチルである。
「キャピラリー電気泳動」とは、キャピラリー管またはチャネルにおける電気泳動を意味し、ここで、チャネル断面の最も多きな内側寸法(円である必要はない)は、約25〜500ミクロンの間であり、分離媒体全体で効率的な熱放散が可能であり、結果として、媒体内で低い熱対流を有する。
「ふるいマトリクスまたはふるい媒体」とは、電場中において荷電種の移動を遅くするのに有効なネットワークを作製する、架橋または非架橋ポリマーを含む電気泳動媒体をいう。ふるいマトリクスの例は、架橋ポリアクリルアミドまたはアガロースに基づくふるいマトリクスである。ふるい媒体はまた、米国特許第5,567,292号に開示されるように、ポリラクタム(例えば、ポリビニルピロリドン、N,N−二置換ポリアクリルアミドおよびN−置換ポリアクリルアミド)を含み得る。
「非ふるいマトリクスまたは非ふるい媒体」とは、分析物の移動度を遅くするのに有効であるポリマーのメッシュまたはネットワークを実質的に含まない、液体媒体をいう。
「独特の電気泳動移動度」とは、特定の電気泳動媒体において電場中で分析物が移動する速度をいう。独特の移動度とは、試験されるサンプル中に存在する検出可能な他の全ての分析物の電気泳動移動度と比較した、分析物の独特の電気泳動移動度をいう。
「多型または多型的配列」とは、集団のメンバー間の変動を示す、集団中に存在する配列をいう。例えば、多型は、単一ヌクレオチドの違い(単一ヌクレオチド多型:SNP)に関連し得るかまたは違いは反復配列の数にある。
「エンドヌクレアーゼ」とは、核酸を内部的に切断する任意の酵素をいう。エンドヌクレアーゼは、単鎖核酸または二重鎖核酸のいずれかで作用し得る。
「短いタンデムヌクレオチド反復」とは、異なる単純なタンデムな反復のコレクションをいい、これは、多くの生物のゲノム全体に存在する。非限定的な例として、反復配列の1つのセットは、一般式(Aを有する配列として特徴付けられ、ここで、A、G、TおよびCは、4つのヌクレオチドを表し、そしてw、x、y、およびzは、0〜7の数字を表し、w+x+y+zの合計は、3〜7の範囲であり、nは、反復数である(Edwards、A.ら、DNA typing and genetic mapping with trimeric and tetrameric tandem repeats、Am.J.Hum.Genet.(1991)49(4):746−56;Caskey、C.T.ら、米国特許第5,364,759号)。
「リガンド」とは、第2メンバーの同族結合対によって安定な複合体中に特異的に認識されそして結合される1つのメンバーの同族結合対に対応する化学部分または構造をいう。このような同族結合対の例としては、限定しないが、ビオチン−アビジン、およびビオチン−ストレプトアビジンが挙げられる。他の例としては、アミノサリチル酸由来のフェニルボロン酸試薬およびフェニルボロン酸複合体形成試薬が挙げられる(例えば、米国特許第5,594,151号を参照のこと)。従って、本明細書中で使用される場合、用語リガンドは、用語ハプテンを包含し、これは、化学部分または構造(例えば、ジゴキシゲニン)(同族結合対の1つのメンバーとして)をいい、この同族結合対の第2メンバーは、免疫系の要素(限定しないが、インタクトな抗体、単鎖抗体、または抗体フラグメントが挙げられる)である。
「並進摩擦抵抗」とは、定義されたふるい媒体または非ふるい媒体を通って移動する場合のポリマーの摩擦抵抗の尺度をいう。
「独特の比の電荷 対 並進摩擦抵抗」とは、分析されるサンプル中に存在する他の検出可能な核酸またはヌクレオ塩基ポリマー(改変および非改変の両方)と比較した、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーの独特の電気泳動移動度をいう。
(4.3 移動度改変ホスホルアミダイト試薬)
1つの実施形態において、本発明は、式(I):

に従う構造を有するヌクレオ塩基ポリマー官能基化試薬である移動度改変ホスホルアミダイト試薬を提供し、ここで:
は、水素、保護基、レポーター分子、およびリガンドからなる群より選択され;
Xは、O、S、NH、およびNH−C(O)からなる群より選択され;
各aは、独立して、1〜6の整数であり;そして
bは、0〜40の整数であり;
およびRは、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C20アリール、およびC20〜C27アリールアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され;そして
は、少なくとも2個の炭素原子を含むアルキル、アリール、(RSi−からなる群より選択され、ここで、各Rは、直鎖および分枝鎖アルキルおよびアリール、塩基安定保護基、およびR−X−[(CH−O]−(CH−からなる群より独立して選択される。
特定の実施形態において、RおよびRは、両方ともイソプロピルである。移動度改変ホスホルアミダイト試薬のダイマーおよび/またはポリマーが望ましく、Rは、特に、H、または他の反応性部分である。さらに、このようなダイマーおよび/またはポリマーは、本発明の試薬を、単独でまたは当該分野の他の移動度改変ホスホルアミダイト試薬とともにのいずれかで含み得る。多くの実施形態において、Rは、水素ではなく、多くの実施形態において、Rは、保護基である。Rが保護基である場合、例えば、移動度改変ホスホルアミダイト試薬のダイマーまたはポリマーは、標準的なホスホルアミダイト合成化学を使用して、移動度改変ホスホルアミダイト試薬モノマーの連続的付加によって形成される。本明細書中で使用される場合、句、保護基は、ホスホルアミダイト化学において周知であり、幅広く使用され、以下に開示される従来の汎用性、選択的切断可能保護基だけではなく、ホスホルアミダイト化学の手順および状態によって容易に除去されないか、選択的に除去されない代替の保護基もまた包含する。このような代替の保護基(特に、塩基性条件下で除去に耐える基)は、本発明の特定の実施形態において使用される。例えば、特定の実施形態において、代替の保護基、Rが、アルキルまたは他の容易に切断可能でないかまたは選択的に切断可能でない部分(非制限的な例として、式CH−(CH−O−[−(CH−O−]−(CH−O−の化合物が挙げられる)である。ここで、aおよびbは、上記式(I)に規定される通りであり、そしてdは、0〜5の範囲の整数である。
本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、一般に、スキームIに従って、当業者に周知の方法および試薬を使用して、合成され、このスキームは、例えば、本発明の例示的な移動度改変ホスホルアミダイト試薬(7)を提供する。スキーム(I)において、DMTとは、ジメトキシトリチルを表し、iPrとは、イソプロピルを表し、そしてRおよびbは、構造式(I)に対して先に定義された通りである。

スキーム(I)を参照すると、標準的なホスホルアミダイトDNA化学と共に使用され得る、DMTで保護されたポリエチレンオキシドホスホルアミダイト試薬7が、調製される。
最初に、三塩化リン1が、溶媒(例えば、トルエン)中のジイソプロピルアミン2と反応して、ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンエステル3を形成する。引き続いて、テトライソプロピルアミノホスフィン3がアルコール4のヒドロキシル基と反応し、これによって、R−ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファイトエステル5を生成する。遊離ヒドロキシルを有する適切に保護された移動度改変ポリマー(例えば、DMT保護されたポリエチレンオキシド6)を、活性化剤(例えば、テトラゾール)と共に添加することによって、ホスホルアミダイト、試薬7、R−ジイソプロピルアミノホスファイトエステルを生じ、ここで、このポリマーは、エステル結合を介してリン原子に付着する。
ホスホルアミダイト試薬7は、移動度改変ポリマーを新生ヌクレオ塩基ポリマーに結合させるための、DNA合成における使用のために適切である。実施例2に記載され、そして以下のスキーム(II)に示される通りである。
本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、標準的なホスホルアミダイト合成スキームに適合性であり、従って、ヌクレオ塩基ポリマー合成のための市販の器具とともに使用され得る。さらに、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端または3’末端のいずれかに、容易に結合する。
本発明の1つの実施形態において、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、以下のスキームIIに図示されるように、固体支持体(8)に付着したヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に付加される。この例において、本発明の代表的な移動度改変ホスホルアミダイト試薬(7)は、表面結合ヌクレオ塩基ポリマーの遊離5’ヒドロキシ部分と縮合して、中間体構造(9)を与え、これが引き続いて、脱保護されて塩基不安定な保護基および酸不安定な保護基を除去され、生成物を固体支持体から切断し、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマー(12)を与える。この実施形態において、エステル化部分Rは、上記反応スキームの各工程において安定であり、従って、リン酸トリエステル結合は荷電しない。さらに、表面結合中間体(10)は、マイルドな酸(例えば、3%ジクロロ酢酸(DCA))で処理されて、DMT保護基を除去され得、遊離ヒドロキシル部分を提供し、次いで(7)と縮合して、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に2分子の(7)が結合した、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを提供することが、当業者に明らかである。従って、nサイクルの試薬の添加を介するこの(7)との縮合反応の繰返しは、n分子の本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬がヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に付着した、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを提供する。
別の実施形態において、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、改変されるべきヌクレオ塩基ポリマーの5’末端よりむしろ、または5’末端に加えて、ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に付加される。この実施形態の1つの例示的な例において、以下のスキームVに図示される。この合成スキームにおいて、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬(7)は、ヌクレオ塩基の残基チミジンの5’ヒドロキシル部分に縮合し、これが、このヌクレオ塩基の残基の3’ヒドロキシル部分を介して、固体支持体に付着される。次いで、得られる縮合生成物(23)は、リン酸トリエステル(24)に酸化され、マイルドな酸で脱保護されて、(25)の遊離ヒドロキシル部分を提供する。合成されたリン酸トリエステルは、キラルな化合物であり、そして本明細書中に開示される方法に従って合成される場合、RとSとの両方のエナンチオマーが形成される。合成されるリン酸トリエステルのラセミ混合物が、エナンチオマー的に純粋なR形態およびS形態に分離されることなく使用される。5’保護されたヌクレオチドホスホルアミダイト試薬(26)との(25)の縮合は、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬が2つのヌクレオ塩基モノマー間に位置する、ジヌクレオ塩基中間体を与える(27)。5’保護されたヌクレオチドホスホルアミダイトとの縮合の繰返しのサイクル、脱保護および引き続く固体支持体からの切断は、そのヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に移動度改変ポリマーを有するヌクレオ塩基ポリマー(29)を提供する。上記のように、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬の1つ以上が、単独でか、または当該分野において公知の1種以上の移動度改変ホスホルアミダイト試薬と組み合わせてかのいずれかで、ヌクレオ塩基ポリマーに付加され得る。従って、移動度改変ホスホルアミダイト試薬間、または移動度改変ホスホルアミダイト試薬とヌクレオ塩基ポリマーとの間に形成される、1つ以上の連結基は、荷電したリン酸ジエステル結合であり得る。さらに、使用される移動度改変試薬の1つ以上は、分枝化合物(例えば、構造(21)におけるように)であり得る。但し、5’保護されたヌクレオチドホスホルアミダイトが縮合されるのは、5’近位部分ではない。
別の実施形態において、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、固体支持体(例えば、細孔が制御された(controlled pore)ガラスまたはポリスチレン)に結合した、容易に切断される化学結合に付着される。固体支持体に結合される、このような容易に切断される化学結合の例は、化合物33である:

33の合成を、以下に記載する:

この様式で、3’末端に移動度改変試薬を保有するヌクレオ塩基ポリマーが、スキームVおよび化合物(29)に図示されるように、この分子の3’末端にさらなるヌクレオ塩基の残基を有さずに、組み立てられる。しかし、スキームVに図示される一般的な方法の利点は、ヌクレオ塩基が結合した固体支持体が市販されているのみでなく、これらはまた予め組み立てられたカートリッジの形態で提供され、これらのカートリッジは、ヌクレオチドが結合した固体支持体で満たされ、そして自動化ヌクレオ塩基ポリマー合成機と適合性である。
本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端および/または3’末端のいずれかまたは両方に結合する場合、ならびに本発明の別の移動度改変ホスホルアミダイト試薬と結合する場合に、荷電していないリン酸トリエステル結合を与える。従って、エステル化部分(すなわち、式IのR、ならびに特定の実施形態において、以下の式IIおよびIIIのR10および/またはR)は、従来のホスホルアミダイト化学の全ての工程に対して安定である。すなわち、エステル化部分は、とりわけ、例えばスキームIIIおよびVに図示される脱保護工程の間に、除去されるべきではない。より具体的には、エステル化部分は、保護されたアミンの脱保護、および固体支持体からの移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーの切断のために必要とされる、手順および条件に対して安定であるべきであり、その結果、移動度改変モノマー単位間、および移動度改変モノマー単位とヌクレオ塩基ポリマーの3’末端または5’末端との間の結合は、荷電していないリン酸エステルである。
従って、式IのR、ならびに以下の式IIおよびIIIのR10および/またはRがアルキルである場合、R、ならびにR10および/またはRは、少なくとも2個の炭素原子を含むアルキルからなる群より選択される(例えば、C〜Cの直鎖アルキル)。
本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬はまた、当該分野において公知の他の移動度改変ホスホルアミダイト試薬(例えば、エステル化シアノエチル部分を含む、上記の代表的なPEOホスホルアミダイト試薬が挙げられる)と組み合わせて使用され得る。以下のスキームIIIに図示されるように、表面結合したヌクレオ塩基ポリマー中間体(10)(これは、1分子の本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬を含む)は、マイルドな酸(例えば、3%DCA)で処理されてDMT保護基を除去され得、遊離ヒドロキシル部分を保有する表面結合化合物(13)を提供する。PEOホスホルアミダイト試薬(14)と表面結合化合物(13)との縮合は、ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に結合した2つの移動度改変試薬を有するヌクレオ塩基ポリマーを提供する。このスキームにおいて、脱保護および固体表面からの生成物の切断はまた、試薬(14)のエステル化シアノエチル基の除去を生じる。従って、この実施形態において、付加される第二の移動度改変試薬(14)と移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーとの間に形成される結合は、荷電したリン酸ジエステル結合である。
さらなる実施形態において、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、2つのエステル化された移動度改変基が各リン原子に結合した、樹状試薬を包含する。このような化合物の例(21)およびその合成のための一般的なスキームは、以下のスキームIVに図示されている。当業者に明らかであるように、試薬(21)との縮合の繰返しのサイクルは、以下のスキームIVに図示される合成方法に従って、表面結合したヌクレオ塩基ポリマーに付着した移動度改変ホスホルアミダイト試薬の数の幾何学的増加を提供する。一般に、以下のスキームII、IIIまたはVに従って、ヌクレオ塩基ポリマーは、1つ以上の移動度改変ホスホルアミダイト試薬(7)、(14)および(21)で改変されて、1つ以上の分枝鎖および/または非分枝鎖の、荷電および/または非荷電の移動度改変部分を有する、一連の移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーを提供し得ることもまた、当業者に明らかである。
(4.4 移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーの組成物)
本発明の1つの局面において、移動度改変ポリマー鎖は、連結基によって、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに付着される。この実施形態に適合可能な種々のポリマーとしては、とりわけ、ポリオキシド、ポリアミド、ポリイミン、および多糖類が挙げられる。この組成物はまた、モノマーユニット間に1つ以上の非荷電リンカーを有する、コポリマーまたはブロックポリマーの形態のポリマー鎖(例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリアミン(例えば、Vinogradov,S.V.(1998)Self assembly of polyamine−poly(ethylene glycol)copolymers with phosphorothioate nucleobase polymers,Bioconjugate Chem.,9:805−12を参照のこと))を取り入れる。
1つの実施形態において、移動度改変ポリマーは、ポリオキシドまたはポリエーテルである。この文脈において、用語ポリオキシドは、主鎖に酸素原子を有するポリマーを表すために使用され、特に、[O−(CH]の型のモノマー単位を有するものを、それらの誘導体とともに表し、ここで、nは、1〜15の範囲から選択される整数であり、特定の実施形態において、nは、2〜6の範囲から選択され、そして他の実施形態において、n=2である。組成物に適用可能な直鎖ポリオキシドとしては、例えば、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(トリメチレンオキシド)およびポリ(テトラメチレンオキシド)が挙げられる。分枝鎖ポリオキシドは、いくつかの場合において、移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーに、直鎖ポリマー鎖によって提供されるものとは異なる並進摩擦抵抗を与えることによって、移動度改変のためのさらなる基礎を提供する。水性溶媒にかなり可溶性の分枝鎖ポリマー(例えば、ポリ(プロピレン)オキシド)は、特定の実施形態において使用される。他の適用可能な分枝鎖ポリマーとしては、ポリ(アセトアルデヒド)およびポリ(ブト−1−エンオキシド)が挙げられる。
別の実施形態において、移動度改変ポリマーは、種々の水性溶媒および有機溶媒への高度な溶解度に起因して、ポリエチレンオキシド(PEO)の単分散直鎖ポリオキシドである。さらに、ポリ(エチレンオキシド)の化学ならびに化学的および生物学的化合物を修飾するための使用方法は、当該分野において周知である(例えば、Grossman,P.D.ら、米国特許第5,777,096号;Muller,W.ら(1981)Polyethylene glycol derivatives of base and sequence−specific DNA ligands:DNA interaction and application for base specific separation of DNA fragments by gel electrophoresis,Nucleic Acids Res.9:95−119;Maskos,U.(1992)Oligonucleotide hybridization on glass supports:a novel linker for oligonucleotide synthesis and hybridization properties of oligonucleotides synthesized in situ,Nucleic Acids Res.20:1679−84を参照のこと)。従って、当業者は、移動度改変ポリマーにおけるポリエチレン単位の数を容易に変化させて、移動度改変された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーへの並進摩擦抵抗に対する電荷の特色ある比を与え得る。
さらに、この実施形態の移動度改変ポリマーは、ヒドロキシル基、スルフヒドリル(sulfhydral)基、アミノ基またはアミド基のような官能基をさらに含み得る。これらの官能基は、種々のレポーター分子、リガンド、または他のポリマー鎖の付着を可能にする。移動度改変ポリマーが配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに結合される場合、または配列特異的な移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーとの他の官能基の反応の間に、保護基が、この官能基上に存在し得る。特定の官能基を保護するために適切な基は、除去の方法を含めて、当該分野において周知であり、従って、当該分野は、適切な保護試薬を選択するための十分な指針を提供する(例えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版、John Wiley & Sons,Inc.,New York,1991を参照のこと)。例えば、ヒドロキシル基は、ジメトキシトリチル(DMT)のような酸不安定な基で、またはフルオレニルメチルクロロホルメート(Fmoc)のような塩基不安定な基で、保護可能である。
本発明において有用な保護基は、周知でありホスホルアミダイト化学において広範に使用されている、上記のような、従来の、用途の広い、選択的に切断可能な保護基を包含するのみでなく、ホスホルアミダイト化学の手順および条件によって容易にも選択的にも除去されない代替の保護基もまた、包含する。このような代替の保護基(特に、塩基性条件下での除去に抵抗性の保護基)は、本発明の特定の実施形態において使用される。例えば、特定の実施形態において、保護基の代替として、Rは、アルキルまたは他の容易にも選択的にも切断され得ない部分(非限定的な例として、式CH−(CH−O−[−(CH−O−]−(CH−O−の化合物が挙げられ、ここで、aおよびbは、上記式(I)において定義された通りであり、そしてcは、0〜5の範囲の整数である)である。
本発明の別の局面は、移動度改変ポリマーを配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに付着させる、連結基を含む。一般的な実施形態において、移動度改変ポリマー鎖をヌクレオ塩基ポリマーに付着させる基は、リン酸トリエステル結合、ホスホネート結合、ホスホアミデート結合、ホスホチオエステル結合、またはホスホジチオエート結合を含む。ホスホネート結合およびリン酸トリエステル結合は、他の化学構築物がリン原子に結合することを可能にして、移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマー間の並進摩擦抵抗に対する電荷の比のさらなる差異をもたらす。従って、1つの実施形態は、リン酸メチルのようなアルキルホスホネート結合を含む。
さらなる実施形態において、結合は、遊離エステルが種々の化学基(例えば、アルキル、官能基化されたアルキル、またはポリマー)を結合し、これによって、リンカーを非荷電にしている、リン酸トリエステルである。この化学基がアルキルである場合、この化合物は、直鎖または分枝鎖のアルキルであり得、一般に、低級アルキル基である。直鎖アルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基が挙げられるが、これらに限定されず、一方で分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル基またはtert−ブチル基が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、遊離エステルに結合する化学基は、一般に、従来のホスホルアミダイト化学の全ての工程(脱保護工程、ならびに特に、保護されたアミンの脱保護のために必要とされる手順および条件)に対して安定である基に限定され、その結果、得られる結合は、非電荷のリン酸トリエステルである。従って、このような基がアルキルである場合、この基は一般に、メチル以外のアルキル(例えば、C〜Cの直鎖アルキル)である。なぜなら、モノメチルリン酸トリエステルは、高次アルキルリン酸トリエステルより安定性が低い傾向があるからである。アルキル基はまた、結合された官能基(例えば、レポーター、リガンドまたはビオチン分子)を有し得る。レポーター分子としては、蛍光分子、化学発光分子、または生物発光分子が挙げられるが、これらに限定されず、一方でリガンドとしては、コレステリル、ジゴキシゲニン、2,4ジニトロフェノール、およびビオチンのような分子が挙げられるが、これらに限定されない。この化学基がポリマーである場合、上記と同じ型のポリマー(ポリオキシド、ポリアミド、ポリイミン、多糖類、およびポリウレタンが挙げられるが、これらに限定されない)が、適切な置換基として機能する。
本発明の1つの実施形態における配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、天然物または合成物である。天然の核酸およびオリゴヌクレオチドは、所望のフラグメントをクローニングベクターにクローニングし、そして所望の核酸フラグメントを制限酵素消化によって単離することによって、得られる。あるいは、これらの分子は、オリゴヌクレオチドテンプレートおよび酵素合成(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,2000))を使用して、作製される。
別の実施形態において、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、合成されたヌクレオ塩基ポリマーである。合成された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)またはDNAとRNAとの複合体を含む。デオキシリボ核酸またはリボ核酸のヌクレオ塩基のさらなる改変は、可能である。改変された塩基としては、イノシン、デオキシナフトシン(deoxynapthosine)、エテノアデノシンおよびシチジン、ならびにブロモデオキシウリジンが挙げられる。ヌクレオ塩基ポリマー合成において容易に使用される、他の改変された塩基は、7−デアザプリン、Nメチルアデノシン、Oメチルグアノシン、および2−アミノプリンである。
別の実施形態において、配列特異的な核酸およびヌクレオ塩基ポリマーは、アナログ(例えば、リン酸ヌクレオ塩基ポリマー)、1つ以上のロックされたヌクレオシドアナログを含むヌクレオ塩基ポリマー、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエートヌクレオ塩基ポリマー、リン酸トリエステルヌクレオ塩基ポリマー、または鎖終結ヌクレオシドを有するヌクレオ塩基ポリマーである。
リン酸ヌクレオ塩基ポリマーは、ヌクレオチド間のホスホネート結合を含む骨格を有する。ヌクレオ塩基ポリマー合成の分野において公知のホスホネートとしては、H−ホスホネート、アルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネート)、2−アミノエチルホスホネート、およびベンジルホスホネート(Samstag,W.(1996)Synthesis and properties of new antisense nucleobase polymers containing benzylphosphonate linkages,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.6:153−56;Fathi,R.,(1994)nucleobase polymers with novel,cationic backbone constituents:aminoethylphosphonates,Nucleic Acids Res.22:5416−24;Seliger,H.(1990).Simultaneous synthesis of multiple nucleobase polymers using nucleoside−H−phosphonate intermediates,DNA Cell Biol.,9:691−6;Zhou,Y.(1996)Solid−phase synthesis of oligo−2−pyrimidinone−2’−deoxyribonucleotides and oligo−2−pyrimidione−2’deoxyriboside methylphosphonates,Nucleic Acids Res.24:2652−2659)が挙げられる。ホスホネート結合を有するヌクレオ塩基ポリマーの利点は、安定な三重ヘリックス構造を容易に形成するそれらの特性、およびヌクレアーゼ作用に対するそれらのより高い耐性である。
ロックされたヌクレオシドアナログ(LNA)としては、一本鎖および二本鎖の核酸と配列特異的な二重鎖構造および三重鎖構造を形成し得るヌクレオ塩基ポリマーに組み込まれ得る、二環式および三環式のヌクレオシドアナログおよびヌクレオチドアナログが挙げられる。LNAを含む配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーを含む、二重鎖構造および三重鎖構造は、アナログを含まないヌクレオ塩基ポリマー分子で形成された対応する構造より熱安定性である(例えば、WO99/14226を参照のこと)。
ペプチド核酸(PNA)は、アミノ酸N−(2−アミノエチル)−グリシンの繰返し単位を含み、これにアデニン、シトシン、グアニン、チミンのような塩基がメチレンカルボニル基を介して結合した、合成ポリアミドである。プソイドイソシトシン、5メチルシトシン、プソイドウラシル、ヒポキサンチンを含む、他の塩基が、PNAへの組み込みに適切である。ヌクレアーゼに対するPNAヌクレオ塩基ポリマーの耐性、およびPNA−DNAハイブリッドの高い安定性は、ヌクレアーゼ処理を必要とする方法においてを除いて、これらの分子を標的ポリヌクレオチドの同定のための所望のプローブにする(Egholm,M.ら(1992)Peptide nucleic acids(PNA):Oligoncleotide analogues with an achiral peptide backbone,J.Am.Chem.Soc.114:1895−1876;Hanvey,J.C.(1992)Antisense and antigene properties of peptide nucleic acids,Science 258:1481−5:Nielson,P.E.ら(1993)Sequence−specific inhibition of DNA restriction enzyme cleavage by PNA nucleic acids,Nucleic Acids Res.21:197−200)。
ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートのヌクレオチド間結合を有する、オリゴヌクレオチドおよびヌクレオ塩基ポリマーのアナログは、リンに結合した非架橋リガンドとして、酸素の代わりに硫黄原子を有する(Eckstein,F.(1985),Nucleoside phosphorthioates,Ann.Rev.Biochem.,54:317−402)。ホスホロチオエートジエステルは、リン原子においてキラルであり(RpおよびSp)、そしてそれらのヌクレアーゼに対する耐性に起因して、ヌクレオ塩基ポリマープローブおよびアンチセンス分子としての有用性を有する(Zon,G.,Phosphorothioate oligonucleotides.In Oligonucleotides and Analogues:A practical approach(Eckstein,F.編)IRL Press,Oxford,87−108頁)。ホスホロジチオエートでは、両方の非架橋リガンドが、硫黄原子のようにリンに結合している(Caruthers,M.H.ら(1992)、Chemical synthesis of Deoxyoligonucleotides and Deoxyoligonucleotide analogs,Meth.Enzy.211:3−20)。
本発明の別の実施形態において、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーアナログは、異なる組合せのヌクレオチド間結合を含む。従って、ヌクレオ塩基ポリマーは、メチルホスホネート、リン酸ジエステル、およびN−(2−アミノエチル)−グリシンのヌクレオチド間結合を含み得る(Miller,P.S.ら(1999)、A psoralen−conjugated triplex forming oligodeoxyribonucleotide containing alternating methylphosphonate−phosphate diester linkages:synthesis and interactions with DNA,Bioconjugate Chem.10:572−577:Gildea,B.D.ら、米国特許第6,6063,569号)。他の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーアナログは、ホスホロチオエート−ホスフェートジエステルヌクレオチド間結合の組合せを含み得る(例えば、Ghosh M.K.(1993),Phosphorothioate−phosphate diester oligonucleotide co−polymers:assessment for antisense,Anticancer Drug Des,8(1):15−32を参照のこと)。異なるヌクレオチド間結合の組合せは、ヌクレオ塩基ポリマーに、異なるハイブリダイゼーション特徴およびヌクレアーゼ耐性を与える。
本発明の別の実施形態において、移動度改変された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、少なくとも1つの、負に荷電していないヌクレオチド間結合を含む。1つの非限定的な例において、移動度改変された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの少なくとも1つのヌクレオチド間結合は、非荷電のものアルキルリン酸トリエステル結合であり、一方で別の非限定的な例において、ヌクレオチド間結合は、アルキルアミン側鎖を含む正に荷電したアミド結合である。この実施形態において、負に荷電していないヌクレオチド間結合は、本発明の移動度改変された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの、並進摩擦抵抗に対する電荷の比を、さらに変化させる。別の非限定的な例において、移動度改変された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの少なくとも1つのヌクレオチド間結合は、ホスホロアミデート結合であり、これは、本発明の移動度改変された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの、並進摩擦抵抗に対する電荷の比を変化させる、別の負に荷電していないヌクレオチド間結合である。ホスホロアミデートヌクレオチド間結合を含むオリゴヌクレオチドの合成は、米国特許第5,476,925号(これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
別の実施形態において、移動度改変された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、種々のレポーター、リガンドおよびポリマー分子に結合体化される。移動度改変された配列特異的核酸またはヌクレオ塩基ポリマーの全ての構成要素は、容易に結合体化でき、内部または末端のヌクレオチド残基において、ヌクレオ塩基ポリマーおよび移動度改変されたポリマーにポリマーを結合させる、リン酸トリエステル基を含む。当業者は、適切な改変を作成して所望の結合体を形成することに十分に精通している(例えば、Oligonucleotides and Analogs,F.Eckstein編、第8章〜第9章、IRL Press,1990;Agrawal,S.(1986),Efficient methods for attaching non−radioactive labels to the 5’ends of synthetic oligodeoxyribonucleotides,Nucleic Acids Res.14:6227−45;Nelson,(1992),Nucleic Acids Res.,20(23):6253−6259を参照のこと)。この結合体が、移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーのポリマーに対するものである場合、このポリマーは、1つ以上のレポーターおよびリガンド分子の結合を可能にする、ヒドロキシル基、スルフヒドリル(sulfhydral)基、アミド基またはアミノ基のような適切な官能基を有する。この結合体が、リン酸トリエステル結合基に対するものである場合、遊離エステルが、連結部位を提供する。
種々のレポーターおよびリガンド部分の結合体化は、配列特異的な、移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーの検出、改変または固定を可能にする。これらはまた、配列特異的な移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーの、さらなる移動度改変を可能にする。レポーター分子としては、蛍光化合物(例えば、フルオレセイン、ローダミン、Texas red、シアニン色素、およびアクリジン色素)が挙げられるが、これらに限定されない。リガンドとしては、2,4ジニトロフェノール、ジゴキシゲニン、およびコレステリン、ならびに配列特異的な移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーに付着され得る酵素または酵素基質が挙げられるが、これらに限定されない。結合体化されたリガンド(ビオチンが挙げられるが、これに限定されない)は、アビジンまたはストレプトアビジンに結合することによって、移動度改変されたヌクレオ塩基ポリマーの単離、検出、または固定を可能にする。
上記の実施形態を考慮して、配列特異的な、移動度が改変された核酸またはヌクレオ塩基ポリマーの特定の実施形態は、構造式(II)または構造式(III)に従う構造:

またはこれらの塩を有し、ここで、Rは:

である;
,R,X,aおよびbは、構造式(I)のとおりである;
各々のR10は水素およびRからなる群から独立して、選択される;
各々のRは水素およびRからなる群から独立して、選択される;
各々のbは、独立して、0〜40の整数である;
各々のdは、独立して、1〜200の整数である;そして
OLIGOは、少なくとも1つのR10または少なくとも1つのRが水素以外である場合、少なくとも5つのヌクレオ塩基を代表的に含む配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーである。
構造式(II)および構造式(III)の種々の、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマーの間で、これら化合物の中の各々のXはOであり、各々のaは同一(一般的には2)であり、各々のbは1〜15の範囲内にあり、そして特定の実施形態おいてbは1〜6の範囲内にあり、そしてOLIGOは、DNA、RNA、および/またはDNAもしくはRNAのアナログ、オリゴマーであり、各々のdは、1〜200の範囲内にあリ、特定の実施形態において、1〜100の範囲内にあり、そしてさらなる実施形態において、1〜50の範囲内にある。
構造式(III)の化合物において、各々のR10および/またはRは、互いに独立して、水素原子であり得る。R10および/またはRが水素である場合、得られたリン酸エステル基は、代表的に0〜1の範囲内のpKaを有する。従って、このアッセイ条件のpHがpKより高くなる場合、通常の生物学的アッセイのケースと同様に、この水素原子は溶媒と交換され、そして少なくともリン酸エステル基の正味の分画は、負に荷電される。リン酸エステル基のイオン化可能性に起因して、当業者は、本発明を規定する目的のために、得られたリン酸エステル基の非イオン化形態およびイオン化(すなわち、負に荷電された)形態の両方をその範囲内に含む水素であるようにR10および/またはRを選択することを理解する。
同様に、図示されるか、または記載された化合物内の他の基は、イオン化可能であり得る。さらに、多くの化合物はキラル中心を含み得るか、または異なる互変異性形態、もしくは幾何異性形態内で存在し得る。任意の構造図が単一のイオン化可能形態、互変異性形態、鏡像異性形態または幾何異性形態のみを示し得るが、これは、構造図を限定することを意図せず、そして化合物の任意の図示されないイオン可能形態、互変異性形態、鏡像異性形態または幾何異性形態が本発明の範囲内にあることを意図していると理解される。
構造式(II)および構造式(III)の、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマーにおいて、この分子の移動度を改変するセグメントは、分枝状または直鎖状であり得る。直鎖状の場合、各々のR10およびRは水素(可能な場合)、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキルまたはアリールのいずれかである。分枝状の場合、少なくとも1つのR10またはRは、R‐X[(CH‐O]‐(CH‐である。これらの実施形態において、非電荷のリン酸エステルの連結が所望される場合、遊離エステルに付着される化学基は、脱保護工程および特に保護されるアミンの脱保護に必要な手順および基礎条件を含む、従来のホスホルアミダイト化学の全ての工程に対して安定であるこれらの基に一般的に限定される。従って、メチルリン酸トリエステルは、より高次のアルキルリン酸トリエステルより安定性が低い傾向があるため、このような基がアルキルの場合、この基は、メチル以外のアルキル、例えば、C〜Cの直鎖状アルキルである。
同一の、または異なる、移動度を改変するポリマーの組み合わせは、特有の予測可能な移動度の変化を伴う、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーを提供するため、使用され得る。この配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、上記のDNA、RNA、またはこれらのアナログを含む。このOLIGOは、標識されても、標識されなくてもよい。当業者は、以下の種々の方法による1つ以上の標的核酸内の選択された核酸配列を検出するために有用なヌクレオ塩基ポリマー配列を考え出すことをよく知っている。
(4.5 合成方法)
本発明のヌクレオ塩基ポリマー官能化試薬を合成する方法、およびこれらの官能化試薬を含む、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの種々の組成物を合成する方法は、配列特異的なヌクレオ塩基ポリマー合成および改変に使用される公知の反応スキームのバリエーションに従う。この実施形態の、移動が改変するポリマーに関して、種々のポリマーを合成する方法が、周知である。移動度が改変する因子として適切なポリマーとしては、とりわけ、ポリオシド、ポリアミド、ポリイミン、そして多糖類が挙げられる(例えば、Molyneux,P.,Water−Soluble Synthetic Polymers:Properties and Behavior,CRC Press,1984;Gravert,D.J.,(1977)Synthesis on soluble polymers:new reactions and the construction of small molecules,Curr Opin Chem Biol,1(1):107−13を参照のこと)。機能的な部分を結合体化するためのスペーサーアームとして使用される親油性のC16アルコールのような長鎖アルコールはまた、移動度改変因子として適切である。ポリオキシド上のヒドロキシルのような官能基は、4’,4’−ジメトキシトリチルクロリドのような、適切な保護剤によって保護される。特定の官能基を保護するのに適切な基、ならびに除去する方法は周知であり、そして、当業者には明らかである。保護剤を選択するためのガイダンスは、例えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley&Sons,Inc.,New York,1991)の中に、見い出され得る。
移動度を改変するポリマー鎖に付着したヌクレオ塩基ポリマーは、規定されたヌクレオチド配列を有する天然の核酸または合成の核酸である。1つの実施形態において、この配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、天然のDNAまたは天然のDNAである。天然の核酸は、クローニングベクター中の所望のフラグメントをクローン化し、そして組み換えられた分子の制限酵素の消化による所望の核酸フラグメントを単離することによって容易に作製される。あるいは、これらは、ポリメラーゼ連鎖反応のような、酵素的合成によって核酸テンプレートから作製される(Sambrook,J.ら、前出)。
1つの実施形態において、ヌクレオ塩基ポリマーは、溶液中か、または適切な不活性の固体支持体上のいずれかで、ホスホルアミダイト法、またはリン酸トリエステル法を使用して、化学的に合成される。ヌクレオ塩基ポリマー合成方法は、当業者に周知である(例えば、Caruthersら(1982)Genetic Engineering 4:1−17;Users Manual Model 392 and 394 Polynucleotide Synthesizers,(1990),6−1ページから6−22ページ,Applied Biosystems,Part No.901237を参照のこと)。
ホスホルアミダイト法は、配列特異的なオリゴデオキシリボ核酸およびオリゴリボ核酸の1つの合成方法である。一般的に、保護されるヌクレオシドは、固体支持体に結合体化され、次いで、酸(例えば、トリクロロ酢酸)で処理して、5’‐ヒドロキシル保護基を取り除き、このようにして、引き続いてのカップリング反応のための遊離ヒドロキシル基を生成する。保護されるヌクレオシドホスホルアミダイトモノマーおよびテトラゾールのような活性試薬は、固体保持体に結合したヌクレオシドと反応される。活性化剤は、この曝露されたヒドロキシル基によって亜リン酸原子の求核攻撃を可能にするホスホルアミダイトの窒素をプロトン化する。ヌクレオシドの添加後、成長する鎖は、反応し損なう任意のヌクレオチド鎖を終結するために、一般的に無水酢酸および1−メチルイミダゾールを用いてキャップされる。このヌクレオチド間の亜リン酸連結は、好ましい酸化剤としてヨウ素を用いて、より安定なリン酸トリエステルに酸化される。酸化後、このヒドロキシル保護基は、トリクロロ酢酸のような、弱酸を用いて取り除かれ、そしてこの反応サイクルは、所望の長さおよび配列のヌクレオ塩基ポリマーの形成が完成するまで繰り返される。塩基処理は、固体保持体からヌクレオ塩基ポリマーを切断し、そしてまた、βーシアノエチルのような任意のリン酸保護基を取り除く。ヌクレオシド塩基上の環外のアミノ基の完全な脱保護は、上昇した温度にて塩基中で(例えば、濃縮水酸化アンモニウム中55℃)ヌクレオ塩基ポリマーを処理することによって達成される。逆相HPLCが選り抜きの精製方法の場合、残存する保護基(通常は、5’−ヒドロキシル上のジメトキシトリチル(DMT)基)は、合成の間に取り除かれるか、または、かわりに、5’‐ヒドロキシル上に残され得る。合成後、このヌクレオ塩基ポリマーは、以下の標識に供される:5’末端(例えば、Oligonucleotides and Analogs,F.Eckstein(1990)編,第8章,IRL Press;Orgelら(1983)Nucleic Acids Research 11:6513;米国特許第5,118,800号を参照のこと)、リン酸ジエステルヌクレオチド間の連結(例えば、Orgelら、前記の第9章を参照のこと)、または3’末端(例えば、Nelson,(1993),Nucleic Acids Research 20:6253−6259を参照のこと)。
別の実施形態において、ヌクレオ塩基ポリマーは、塩基、糖、または骨格の改変を有するアナログである。骨格における改変としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ポリアミド(すなわち、ペプチド核酸)、ホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホジチオエステル、およびホスホアミデートのヌクレオチド間の連結。改変されたヌクレオチド間の連結を有する配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーアナログを合成する方法は、当業者に周知である(例えば、Oligonucleotides and Analogs,A Practical Approach,Eckstein,F.編 IRL Press,(1990);Agrawal,S.,(1993),Protocols for Oligonucleotides and Analogs,Meth.Mol.Biol.,第20巻,Humana Pressを参照のこと)。
ヌクレオ塩基間にポリアミド骨格を有する配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーはまた、ペプチド核酸(PNA)として公知であリ、これらの1例は、これらのヌクレオ塩基にN‐(2‐アミノエチル)‐グリシンの繰り返し単位を有するポリマーがメチレンカルボニル基を介して付着される(Nielson,P.E.(1991),Sequence−selective recognition of DNA by strand displacement with a thymine−substituted polyamide,Science 254:14971500)。
本明細書中で使用される場合、「PNA」とは、非電荷ポリアミド骨格を介して、互いに連結されるヌクレオ塩基ポリマーをいう。PNA骨格は、ヌクレオ塩基が付着され得る非環式の、アキラルな、中性のポリアミド連結の任意の骨格であり得、そしてこれは上記で考察された判定基準を満たす。本発明の方法において有用なPNAが、例えば米国特許第5,539,082号およびWO 92/20702に記載され、これらの開示は、本明細書中で参考として援用する。ポリアミド骨格を形成するアミノ酸は、同一であり得るか、または異なり得るが、一般的には同一である。特定の実施形態において、PNAは、ヌクレオ塩基がN‐(2‐アミノエチル)‐グリシンの骨格、すなわち、ペプチド様、アミド連結単位(例えば、米国特許第5,719,262号;Buchardtら 1992,WO 92/20702;Nielsenら,1991,Science 254:1497−1500を参照のこと)に付着されるものである。
PNA合成のための種々のストラテジーは、利用可能である。1つの方法において、合成のために使用されるPNAモノマーは、ベンジロキシカルボニル(Z)によって保護される環外アミノ基を有するが、このアミンは、tertブチルオキシカルボニル(tBoc)を用いて保護される。固体基材に結合した保護されたモノマーは、次のPNAモノマーに対する引き続いての結合のための、遊離アミノ基を生成するために、トリフルオロ酢酸(TFA)のような、強酸を使用して、脱保護される。例えば、カルボジイミジンまたはO‐(7アザベンゾトリアゾール‐l‐イル)‐1,1,3,3‐テトラメチルウロニウムヘキサフルロホスフェート(HATU)によって活性化されたPNAモノマーは、アミド結合を形成するためにPNAを結合した固体支持体の遊離アミノ基と反応する。PNA鎖のキャッピングは、N‐メチルピロリドンおよびピリジンの存在下で無水酢酸を用いて達成される(例えば、Koch,T.ら(1997)Improvements in automated PNA synthesis using Boc/Z monomers,J.Peptide Res.49:80−88;Maison,W.(1991)Modified PNAs:A simple method for the synthesis of monomeric building blocks,Bioorg.Med.Chem.Lett.,9:581−584を参照のこと)。完全なヌクレオ塩基ポリマーは、強酸(例えば、フッ化水素酸またはトリフルオロメタンスルホン酸)を用いて、固体支持体から取り出される。PNAを合成するための他のストラテジーは、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護基、またはモノメトキシトリチル保護基の使用を含む(Breipohl,G.ら(1996)、Synthesis of polyamide nucleic acids(PNAs)using a novel Fmoc/Mmt protecting group combination,Bioorg.Med.Chem.Lett.6:665−670;Will,D.W.ら,The synthesis of polyamide nucleic acids using a novel monomethoxytrityl protecting group strategy,Tetrahedron,51:12069−12082)。ヌクレオ塩基上の環外のアミンに対して酸に不安定な骨格保護基および塩基に不安定な保護基を使用するPNA合成方法もまた利用可能である(Gildea,B.D.,米国特許第6,063,569号)。
ホスホネートのヌクレオ塩基ポリマーアナログはH‐ホスホネートまたはアルキルホスホネートのヌクレオチド間の連結を有する。合成サイクルに使用されるヌクレオシド水素ホスホネートモノマーは、ホスホルアミダイト合成スキームにおいて通常に使用される保護基によって適切に保護される。固体支持体に結合された保護されたヌクレオシド上の5’‐OH保護基は、ジクロロ酢酸のような酸を用いて、取り除かれる。カップリング工程においては、ヌクレオシドホスホネートモノマーは、例えば、ピバロイルクロリド、1−アダマタンカルボニルクロリド、またはジペンタフルロロフェニルカルボネートによって活性化され、その結果、ヌクレオシドを結合した固体支持体上の遊離ヒドロキシル基と反応する無水物の形成が生じる。キャッピングは、活性化試薬の形式に依存する:パイバロイルクロリドのような、妨害されない活性化試薬の使用は、キャッピングを必要としなくてもよい。さもなければ、キャッピングは、シアノエチル‐H‐ホスホネートまたはイソプロピル‐H‐ホスホネートのような薬剤を用いて実行される。上記のホスルアミダイト法とは異なり、ホスホネートのヌクレオチド間の連結の酸化はない。引き続いての塩基処理は、固体支持体からの完全なヌクレオ塩基ポリマーの放出、および環外の保護基の除去を生じる(例えば、Seliger,H.(1990),Simultaneous synthesis of multiple oligonucleotides using nucleoside H−phosphpnate intemediates,DNA Cell Biol.9(9)691−96を参照のこと。
アルキルホスホネートのヌクレオチド間の連結を有するヌクレオ塩基ポリマーアナログは、いくつかの方法によって容易に合成される(Oligonucleotides and Analogues,A Practical Approach,Eckstein,F.,編,IRL Press,pp137−154)。例として、1つの代表的な方法は、合成反応のためのアルキルホスホンアミダイト化学を使用する。この方法において、合成反応のために使用されるヌクレオシドモノマーは、適切な保護基で保護される環外アミン(例えば、ベンゾイル基、イソブチリル基、またはtert−ブチルフェノキシアセチル(t−BPA)基)を有するが、5’ヒドロキシルは、ピキシルまたはジメトキシトリチルのような基で保護される(Sinha,N.D.ら(1994),Synthesis of oligodeoxynucleoside methylphosphonates utilizing the tert butylphenoxyacetyl group for exocyclic amine protection,Nucleic Acids.Res.22(15):3119−23:Hogrefe,R.I.ら(1993),An Improved method for synthesis and deprotection of metylphonate oligonucleotides,Meth.Mol.Biol.20:143−63;Zhou,Y.(1996),Solid phase synthesis of oligo−2−pyrimidone−2’’deoxyribonucleotides and oligo−2−pyrimidone‐2’‐dexoriboside metylphosphonates,Nucleic Acids.Res.,24:2652−2659)。アルキルホスホンアミダイトヌクレオシド試薬は、適切に保護されるヌクレオシドを有するメチルジクロロホスフィン、およびジイソプロピルアミンのような、反応性アルキルジクロロホスフィンを含むホスフィチル化(phosphitylation)によって作製され、これによって5’が保護されたヌクレオシドジイソプロピルメチルホスホンアミダイトを形成する。ヌクレオ塩基ポリマー合成サイクルにおいて、固体基材に結合するモノマーは、酸(例えばジクロロ酢酸)を使用して、脱保護され(すなわち、脱ピキシル化または脱トリチル化)、そしてテトラゾールのような活性化剤の存在下でアルキルホスホンアミダイトヌクレオシド試薬と反応される。遊離OH基は、メチルホスホナイト中間体を生成する亜リン酸原子を攻撃する。キャッピング工程に先行する引き続いての酸化は、メチルホスホネートの連結への変換を生じる。キャッピングは、無水酢酸およびジメチルアミノピリジンを用いて達成される。脱保護、カップリング、酸化およびキャッピングの連続サイクルは、所望のオリゴヌクレオチドを生成する。固体支持体からの放出は、穏やかな脱保護、例えば、エチレンジアミンまたはヒブラジンハイドレートを用いる処理によってもたらされる(例えば、Hogrefe,R.I.,An improved method for synthesis and deprotection of metylphosphonate oligonucleotides,In Protocols for Oligonucleotides and Analogs,Meth.Mol.Biol.,第20巻 Sudhir Agrawal編,Humana Press,Inc.1993を参照のこと)。ベンジルホスホネートおよびアミノエチルホスホネートのような、他のホスホネートはまた、ヌクレオチド間の連結として作用し得る(Samstag、W.ら、前出;Fathi、R.ら、前出)。
ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエート配列のヌクレオ塩基ポリマーアナログは、亜リン酸原子に結合した非架橋リガンドとして、酸素の代わりにイオウを有する。ホスホロチオエート連結を有する配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの合成は、H‐ホスホネートまたはホスホルアミダイト化学を含む種々の方法によって達成される。1つの代表的な方法が、ヌクレオ塩基ポリマーの合成スキームにおける任意の点でのホスホロチオエートの連結の導入を可能にする合成経路にホスホルアミダイトを使用する。この方法において、DMTと共に5’OH基において保護されるヌクレオシドを結合した固体支持体は、脱保護され、そしてテトラゾールのような、活性化剤の存在下で、次のヌクレオシドホスホルアミダイト試薬にカップリングされる。β‐シアノエチルホスフィンの連結は、二硫化テトラエチルチウラム(TETD)、3H‐1,2‐ベンゾジジチオール(benzotdithiole)‐3‐オン‐1,1,‐ジオキシド(Beacauge試薬)、またはジベンゾイルテトラスルフィドのような、硫化試薬を用いてホスホロチオエートに変換される。固体支持体からのキャッピングおよび放出は、正常なホスホルアミダイト化学の手順に従う。
ジチオエートアナログは、ヌクレオシド3’ホスホロチオアミダイトが使用されるのを除けば、ホスホロチオエートと同様に調製される。これらのシントンは、例えば、適切に保護されるヌクレオシド、およびテトラゾール活性化剤と共にトリス(ピロリジノ)ホスフィンを使用して生成される。得られたヌクレオシドジアミダイトは、2,4ジクロロベンジルメルカプタンの付加を伴うホスホルチオアミダイトに変換される(例えば、Caruthers,M.H.,ら(1992)Chemical Synthesis of Deoxyoligonucleotides and Deoxyoligonucleotide analogs,Meth.Enzy.211:3−20を参照のこと)。脱保護された、固体支持体に結合したヌクレオシドとの反応は、2,4ジクロロベンジルメルカプタンを有するチオホスフィントリエステル連結を伴うヌクレオ塩基ポリマーを生じる。元素状態のイオウの導入は、ホスホロジチオエート誘導体を産生する。脱保護は、2,4ジクロロベンジルメルカプタンを取り除くチオフェノールで達成されるが、塩基を用いた処理は、固体支持体からオリゴヌクレオチドを放出する。
本発明の中で実施される別のヌクレオ塩基ポリマーアナログとしては、リン酸トリエステル連結を有するヌクレオ塩基ポリマーが挙げられる。リン酸トリエステルアナログの合成は、適切に保護される(例えば、ベンゾイル保護基、イソブチリル保護基、またはイソプロポキシアセチル保護基)O‐アルキル‐N,N ジイソプロピルホスホルアミダイトを使用する。アルキル基としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:メチル、エチル、トリフルオロエチル、イソプロピル、およびネオペンチル。これらの実施形態において、遊離エステルに付着する化学基は、脱保護工程および特に、保護されるアミンの脱保護のために必要とされる手順および条件を含む従来のホスホルアミダイト化学の全ての工程に安定な化学基に一般的に限定され、その結果、得られる連結は、非荷電リン酸トリエステルである。従って、このような基がアルキルの場合、この基は、特定の実施形態において、メチル以外のアルキル、例えばC〜Cの直鎖状アルキルである。なぜならば、メチルホスホトリエステルがより高次のアルキルリン酸トリエステルより安定性が低い傾向があるからである。合成は、固体支持体への連結(例えば、オキサリルリンカー)および合成後の固体支持体からの放出(例えば、25%NH水溶液)におけるバリエーションを有する一般的なホスホルアミダイト化学に従う。本発明において実施される他のヌクレオ塩基ポリマーアナログとしては、ボラノホスフェート連結、およびホスホフルオデートの連結を含む。これらの合成方法は、Protocols for Oligonucleotides and Analogs,Meth.Mol.Biol.,第20巻,第11章および第12章,S.Agrawal編,1993,Humana Press,Inc.に記載されており、本明細書中で参考として援用される。
本発明において実施された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、同種のヌクレオチド間連結を有する配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーに限定されず;ヌクレオチド間連結の1つより多い型を含む配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーもまた、本発明によって包含される。従って、リン酸ジエステル、ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、およびアルキルホスホネートのヌクレオシド間の連結の組み合わせを有する、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、本発明の範囲内に全て含まれる。ヌクレオチド間の連結の種々の組み合わせを有する配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの合成は、当業者に周知であり、そしてこれらの合成を記載している文献を、本明細書中で参考として援用する(例えば、Zhou,L.(1994),Synthesis of phosphothioate−methylphosphonate oligonucleotide co−polymers,Nucleic Acids Res.22:453−456;Miller,P.S.(1999).Psoralen conjugated triplex forming oligodeoxyribonucleotide containing altering methylphosphonate−phosphate diester linkages:synthesis and interactions with DNA,Bioconjugate Chem.10:572−577を参照のこと)。
別の局面において、本発明の移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、改変された塩基を含み、これらの多くが文献に記載されている。保護され、改変された塩基の合成方法、およびこれらのヌクレオ塩基ポリマーの中への組み込み方法は、当該分野で周知である(例えば、Connolly,B.A.,Oligodeoxyribonucleotides containing modified basis,In Oligonucleotide Analogs:A practical approach,前出を参照のこと)。核酸の中に組み込まれ得る塩基アナログとしては、とりわけ、デオキシナプトシン、エテノアデノシンおよびシチジン、6−チオグアノシン、4-チオチミジン、7−デアザプリン、N-メチルアデノシン、O−メチルグアノシン、ならびに2−アミノプリンが挙げられる。
本発明の別の実施形態において、配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーへ移動度を改変するポリマー鎖を付着するために使用される連結は、リン酸ジエステル連結以外の種々のリン酸エステルアナログは、以下が挙げられるが、これらに限定されない:リン酸トリエステル、アルキルホスホネート、およびホスホロチオエート基、または他の適切な連結。以下に示されるように、種々の連結を生じる合成方法は、ヌクレオ塩基ポリマーの合成に使用される合成ストラテジーを採用し得る。
1つの局面において、配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーと、移動度を改変するポリマー鎖との間の連結は、アルキルホスホネートの連結である。1つの合成スキームにおいて、メチルジクロロホスフィンは、ジイソプロピルアミンと反応されて、メチルクロロ−N,N−ジイソプロピルアミノホスフィンを形成する。DMTペンタエチレンオキシドのような、適切に保護されるポリマーの添加は、ジイソプロピルアミンの存在下で、付着したポリマーを有するメチルホスホンアミダイト誘導体を生成する。保護された固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドの遊離ヒドロキシル基へのメチルホスホアミダイト誘導体のカップリングは、テトラゾールのような活性化剤の存在中に生じ、メチルスルホナイトの連結を生じる。例えば、ヨウ素を用いる引き続いての酸化は、メチルスルホン酸へのメチルスルホナイトの変換を生じる。ベンジルホスホネートのような、他のホスホネート連結基は、べンジルホスホネートオリゴヌクレオチドを生成するために使用される類似の化学に従って合成され得る。
1つの実施形態において、配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーへの、移動度が改変されたポリマーの連結は、リン酸トリエステル連結を介して達成される。種々の合成経路は、移動度を改変するポリマーと配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーとの間にリン酸トリエステル連結を形成するために利用可能である。1つの実施形態において、ヌクレオ塩基ポリマーにポリマー鎖を付着させることは、実施例1および実施例2に詳細に記載されているように、そして以下のスキーム(II)およびスキーム(III)に図示されるように、移動度を改変するエチレンオキシドポリマーを用いるホスホルアミダイト化学に従う。
スキーム(II)およびスキーム(III)において、DMTは、ジメトキシトリチルを表し、iPrは、イソプロピルを表し、そしてRおよびbは、構造式(I)について、以前規定されている通りである。

スキーム(II)を参照して、R‐N,N‐ジイソプロピルアミノホスファイト7は、新生ヌクレオ塩基ポリマー8の遊離5’ヒドロキシルと反応され、それよって、R亜リン酸トリエステル連結により5’末端に付着した、移動度を改変するポリマーを有するヌクレオ塩基ポリマーを生成する。ヨウ素を用いる引き続いての酸化、および塩基を用いる脱保護は、亜リン酸連結をRリン酸トリエステル連結へ変換する。得られた、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマー10は、塩基を用いて(例えば、NHOH,55℃,4時間)固体支持体から切断され、11を生じる。オリゴヌクレオチド11は、例えば、逆相HPLCによって精製され得、そして残存するトリチル基は弱酸(例えば、CHCl中の3%ジクロロ酢酸)で除去されて、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマー12を生じ、これは、例えば、PD10カラムのクロマトグラフィーによって、さらに精製され得る。あるいは、トリチル基は固体支持体から切断される前に除去され得、そして、得られた移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマーは、従来の手順によって精製される。
当業者によって理解されているように、Rがアルキルの場合、ヌクレオ塩基ポリマーに、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマーセグメントをカップリングするために、使用されるアルキルホスホルアミダイト試薬は、種々の長さの直鎖状または分枝状のアルキルを有し得る。このリン酸エステルが荷電されない場合、遊離エステルに付着した化学基は、従来のホスホルアミダイト化学の脱保護工程を含む全ての工程に安定である基、および特に、保護された、アミンの脱保護に必要な手順および条件に一般的に限定され、その結果、得られた連結は、非荷電のリン酸トリエステルである。従って、このような基がアルキルの場合、この基は、メチル以外のアルキル(例えば、C〜C直鎖状アルキル)である。なぜならば、モノメチルリン酸トリエステルは、より高次のモノアルキルリン酸トリエステルよりも安定性が低い傾向があるからである。本発明の実施形態はまた、レポーター、およびリガンド分子のような機能的部分を有する種々の改変されたアルキルの付着を想定する。例えば、結合体化した機能的部分を有するβ‐シアノエトキシホスホルアミダイトとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ビオチン、ソラレン、アクリジン色素、コレステロール、フルオレセイン、ローダミン、2,4 ジニトロフェノール、tris−(2,2’−ビピリジンルテニウム(ruthenium)(II)キレート(TBR)、およびヒスチジンは、当業者に周知である。(例えば、Smith,T.H.(1999),Bifunctional Phosphoramidite Reagents for the Introduction of Histidyl and Dihistidyl Residues into Oligonucleotides,Bioconjugate Chem.,10:647−652;Kenten,J.H.(1992),Improved electrochemiluminescent label for DNA probe asays:rapid quantitative assays of HIV−1 polymerase chain reaction products,Clin.Chem,38:873−9)。一般的に、これらの機能的な部分は、ポリオキシド上に存在するヒドロキシル基、または誘導体化された部分に結合された脂肪族スペーサーアームによってホスホルアミダイトに結合される。したがって、誘導体化され、機能化された部分を有する同族のアルキルホスホルアミダイト試薬,および付着した移動度を改変するポリマーは、本出願において提供される合成スキームを採用することによって、当業者により容易に合成され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、複数の移動度改変ポリマーが、ヌクレオ塩基ポリマーに結合される。一実施形態において、複数の移動度改変ポリマーは、無電荷結合(例えば、リン酸トリエステル結合(構造式(II)の化合物により例示される))によって、または荷電結合(例えば、負に荷電したリン酸エステル結合(構造式(III)の化合物により例示される))によってのいずれかで、互いに直鎖状に結合される。標準的なホスホルアミダイトDNA化学を使用するこれらのタイプの移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを合成するための方法は、以下のスキーム(III)に例示される:
スキーム(III)

スキーム(III)において、種々の略語および置換基は、スキーム(I)および(II)について定義された通りである。
スキーム(III)を参照すると、支持体結合新生移動度改変ヌクレオ塩基ポリマー10(これは、スキーム(II)で例示されたように合成される)を、弱酸(この場合、ジクロロメタン中3%のジクロロ酢酸)で処理して、DMT保護基を除去して、支持体結合化合物13を得る。支持体結合化合物13を、活性化因子(例えば、テトラゾール(代表的には、アセトニトリル中0.5M)の存在下で、DMTで保護したポリエチレンオキシドβ−シアノエチルホスホルアミダイト試薬14と結合する。ホスホルアミダイト試薬14は、標準的な合成法を使用して調製され得る。例えば、ホスホルアミダイト試薬14を、化合物4を2−シアノエタン−1−オールに替えることによって、スキーム(I)に従って調製し得る。例えば、テトラヒドロフラン、2,6−ルチジンおよびヨウ素の水溶液との反応による酸化により、化合物15を得る。樹脂からの切断、ヌクレオ塩基を保護する任意の基の除去およびDMT保護基の除去により、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマー16を得る。DMT基を化合物15から除去し、これをホスホルアミダイト試薬7または14と反応させることによって、さらなるポリマーを付加し得る。
例えば、自動DNA合成機器におけるように、ポリマーが連続的に付加される場合、さらなる移動度改変ポリマー鎖の付加は、この移動度改変ポリマー鎖の末端上のOH保護基を脱保護し、上記のカップリングおよび酸化のサイクルを繰り返すことによって、達成される。異なる移動度改変ポリマー鎖が、各サイクルで付加されて、特有の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを提供する。
あるいは、本発明はまた、ポリマーセグメントが分枝構造または樹状構造である移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを企図する。このような分枝および/または樹状移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを合成するために標準的なDNA合成化学と共に使用され得るホスホルアミダイト試薬を合成するための例示的な方法は、以下のスキーム(IV)に例示される。スキーム(IV)において、種々の略語および置換基は、スキーム(I)および(II)について定義された通りである。
スキーム(IV)

スキーム(IV)は、適切に保護されたポリマー(例えば、DMT保護ポリ(アルキレンオキシド)6がアルコール4に替わり、それにより結合ポリマーを有するビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファイト20を形成すること以外は、スキーム(I)と類似している。第2の移動度改変ポリマー6の引き続くカップリングにより、2つの移動度改変ポリマー鎖を有するホスホルアミダイト試薬21が生成する。固体支持体結合配列特異的ポリマーの遊離ヒドロキシル基へのカップリング、引き続く酸化により、分枝移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーが生成する。
移動度改変ポリマーのさらなる付加が、可能である。配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに結合した移動度改変ポリマー上の保護基(例えば、DMT)は、弱酸で除去され、従って遊離ヒドロキシル基が生成する。結合移動度改変ポリマーを有する誘導体化N,N-ジイソプロピルアミノホスファイトとの反応は、遊離ヒドロキシル基へのさらなる移動度改変ポリマーのカップリングを生じる。任意の移動度改変ポリマー単位のカップリングは、他の結合移動度改変ポリマーが非反応性末端を有する場合、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに結合した移動度改変ポリマーの1つのみに限定され得る。あるいは、1つのヌクレオ塩基ポリマーに結合したポリマーのヒドロキシル基を、DMT保護基を除去するために使用される試薬に対して安定な保護基(例えば、レブリニル)で保護することは、任意のさらなるポリマー単位のカップリングをDMTで保護されたポリマーに制限する(Iwai,S.(1988),5’−Levulinyl and 2’−tetrahydrofuranyl protection for the synthesis of oligoribonucleotides,Nucleic Acis Res,16:9443−56)。この直交ストラテジーは、相互排除的な条件下で、保護基を除去する。
本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬はまた、以下に示されるスキームVに従って、ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に付加される:
スキーム(V)

スキームVによると、本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬は、スキームIIに示されるような固体支持体に結合したヌクレオ塩基ポリマーの遊離5’ヒドロキシルではなく、固体支持体(スキームVにおいて黒丸で示される)に結合しているヌクレオ塩基モノマー残基の遊離5’ヒドロキシルと縮合される。スキームVの第1工程は、ヌクレオ塩基モノマーリンカーを介して固体支持体に結合された移動度改変ホスホルアミダイトポリマーを精製する(24)。24の穏やかな酸処理は、DMT保護基を切断し、それにより、遊離ヒドロキシル部分を提供し、この場合、ヌクレオ塩基ポリマーは、一般的には自動化機器を使用して、標準的なホスホルアミダイト化学を使用して、活性化された保護ホスホルアミダイトヌクレオ塩基モノマーの繰返し縮合サイクルにより構築される。例えば、8回のさらなるサイクルが実施され、ここで以下のモノマーがこの順序で付加される:A、T、G、C、A、T、GおよびC。
本発明の表面結合移動度改変ポリマーへの所望の特定のヌクレオ塩基ポリマー配列の付加の後、この移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー(ここでこの移動度改変ポリマーセグメントは、ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に保持されている)は、脱保護され、固体支持体から切断されて、上記の例示的な合成を続けて、(20)に従う生成物を生じる:

あるいは、ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に結合した移動度改変ポリマーを有する基材結合分子(例えば、スキームVの構造(28))は、穏やかな酸処理にのみ供され、5’−DMT部分を除去され、そして基材結合ヌクレオ塩基ポリマー構造上の遊離ヒドロキシル基を提供し、これは、スキーム(II)の(8)と類似している。本発明の移動度改変ホスホルアミダイト試薬との引き続く縮合は、3’末端と5’末端の両方に結合した移動度改変ポリマーセグメントを有する配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを提供する。
別の実施形態において、第1のヌクレオ塩基ポリマーの5’末端および第2のヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に結合した移動度改変ポリマーを含む移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーが、合成される;すなわち、この移動度改変ポリマーは、ヌクレオ塩基ポリマーに「挿入」されている。1つの非限定的な例示的なアプローチにおいて、移動度改変ポリマーを含むヌクレオ塩基ポリマーは、スキームIIに従って合成されて、中間体(10)を提供し、この中間体(10)は、固体基材に結合された第1のヌクレオ塩基ポリマーを含み、そしてこの第1のヌクレオ塩基ポリマーの5’末端上に移動度改変ポリマーを有する。穏やかな酸(3%DCA)での(10)の処理により、DMT保護基を除去し、第2のヌクレオ塩基がスキームVに従って付加される、化合物(25)と類似した構造を提供し、それにより、移動度改変ポリマーが、第1のヌクレオ塩基ポリマーの5’末端および第2のヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に結合している第1および第2のヌクレオ塩基ポリマーを含む移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを提供する。
従って、本発明はまた、第1の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端および第2の配列特異的拡散液ポリマーの5’末端に結合した移動度改変ポリマーを含む移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー(構造式(IV)に従う)またはその塩に関する:

ここで、各R11は、水素、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキル、アリール、(RSi−(ここで、各Rは、独立して、直鎖および分枝鎖のアルキルおよびアリールからなる群から選択される)、塩基安定性保護基、R−X−[(CH−O]−(CH−、保護基、レポーター分子およびリガンドからなる群から選択され、ただし、少なくとも1つのR11が、水素ではなく;
各Xは、独立して、O、S、NHおよびNH−C(O)からなる群から選択され;
各aは、独立して、1〜6の整数であり;
各bは、独立して、0〜40の整数であり;
dは、1〜200の整数であり;
OLIGOは、第1の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであり;そして
OLIGOは、第2の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーである。
OLIGOおよびOLIGOは、代表的には、少なくとも5個のヌクレオ塩基から構成される配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーである。さらに、所望される場合、第1のヌクレオ塩基ポリマーと第2のヌクレオ塩基ポリマーとの間に位置する移動度改変ポリマー(構造式Vに従う)に加えて、本発明の移動度改変ポリマーはまた、第1のヌクレオ塩基ポリマーの5’末端および/または第2のヌクレオ塩基ポリマーの3’末端に、それぞれ、一般的にスキームVおよびIIに従って付加される。
さらに別の実施形態において、これらの複数の移動度改変ポリマー鎖は、独立して合成され得、次いで、一工程で配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに結合される。配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーとは無関係に複数の移動度改変ポリマー鎖を合成するための種々のスキームが、考案され得る。ある方法において、移動度改変ポリマー鎖(例えば、ペンタエチレンオキシド)は、相互排除的な脱保護条件下で除去可能な2つの異なる保護基で保護される。1つのこのような直交ストラテジーは、このポリマーの一方の末端のヒドロキシル基をジメトキシトリチルで保護し、他方の末端のヒドロキシル基をレブリニルで保護することである。あるいは、このポリマーは、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー合成のための固体支持体へのヌクレオシドの結合と同様に、DMTの脱保護条件に対して耐性の結合を介して固体支持体に結合される。いずれの場合においても、弱酸での処理は、DMT保護基を優先的に除去し、それにより、遊離OHを露出させ、一方、他のヒドロキシル基は保護されたままである。活性化剤(例えば、テトラゾール)の存在下で、結合した移動度改変ポリマーを有する誘導体化ホスホルアミダイト試薬は、ヒドロキシル基と反応して、2つのポリマーのカップリングを生じる。引き続く中間体のホスファイトの酸化は、カップリングのために使用されるホスホルアミダイトのタイプに依存して、β−シアノエチルホスフェートまたはβ−シアノエチルホスフェートを生成する。脱保護、カップリングおよび酸化のサイクルの繰返しは、結合した移動度改変ポリマー鎖を生成し、ここで複数の移動度改変ポリマー鎖は、一方の末端をDMTで保護され、他方の末端をレブリニルで保護される。ヒドラジンでこのレブリニルを除去することによる脱保護、または固体支持体から結合したポリマーを切断することは、遊離ヒドロキシルを露出し、これは次いで、誘導体化ホスホルアミダイト試薬(例えば、結合した複数の移動度改変ポリマー鎖を有するアルキル−N,N−ジイソプロピルアミノホスファイト)を合成するために利用可能になる。適切に保護されたヌクレオ塩基ポリマーへの誘導体化ホスホルアミダイト試薬のカップリングは、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーへの複数の移動度改変ポリマー鎖の結合を生じる。引き続くヨウ素での酸化、続く塩基での処理は、移動度改変配列特異的核酸またはヌクレオ塩基ポリマーの固体支持体からの解放を伴って、環外アミン上の全ての保護基およびホスフェート上のβ−シアノエチル基を除去する。弱酸での処理は、移動度改変ポリマー上の全ての残りのDMT保護基を除去する。
(4.6 使用方法)
本発明は、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを使用する方法、および複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを含む組成物をさらに包含し、ここでこの移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーの各々は、構造式(II)および(III)からなる群から独立して選択される構造を必要に応じて有し、そしてこの移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーの各々は、特有の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有し、そして1つ以上の標的核酸内の1つ以上の選択されたヌクレオチド配列を特徴付ける。
1つの局面において、本発明は、1つ以上の標的核酸内の複数の配列を検出する方法を提供し、この方法は、複数の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー(ここで、各々の移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーは、構造式(II)および(III)からなる群から独立して選択される構造を有する)と、1つ以上の標的核酸とを、一般的に標的核酸にハイブリダイズする移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを識別する条件下で、接触させる工程、およびこの標的核酸にハイブリダイズした移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを検出する工程、を包含する。
この方法の1つの局面において、この標的核酸は固定されている。この局面において、この固定された標的核酸は、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブ(これは検出可能な標識をさらに含む)と、この標的核酸にハイブリダイズするのに十分な相同性を有するプローブを識別する条件下で、接触される。ハイブリダイズしていないプローブは、洗浄され、そしてハイブリダイズしたプローブ(これは、膜上に固定された標的核酸に結合している)が、検出される。あるいは、ハイブリダイズしていないプローブが、洗浄され、そしてハイブリダイズしたプローブが、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブと固定された標的核酸との間で形成される塩基対構造の変性の後に、単鎖生成物として回収される。
この方法の別の局面において、固定され得る標的核酸は、複数の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブと接触され、それにより、2つのヌクレオ塩基ポリマープローブは、標的核酸の隣接配列にハイブリダイズし、その結果、1つのヌクレオ塩基ポリマープローブ(これは一般に、5’−ホスフェート部分を有する)の5’末端は、第2のヌクレオ塩基ポリマープローブの3’末端に隣接し、その結果、これら2つのヌクレオ塩基ポリマープローブは、互いに共有結合し得、特定の実施形態において、DNAの化学的連結活性または酵素的連結活性を有して連結生成物を形成する。この方法の局面において、連結生成物は、2つのヌクレオ塩基ポリマープローブの結合によって形成され、このうち少なくとも1つは、検出可能な標識を含み、そしてこのうちの少なくとも1つは、構造式(II)および(III)からなる群から選択される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであり、その結果、この連結生成物は、特有の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。さらなる局面において、3つ以上のヌクレオ塩基ポリマープローブが、少なくとも3つのヌクレオ塩基ポリマープローブが共有結合して連結生成物を形成し得るような様式で、標的核酸の隣接配列にハイブリダイズされ、ここで、このように結合されたヌクレオ塩基ポリマープローブの少なくとも1つは、検出可能な標識を含み、このように結合されたヌクレオ塩基ポリマープローブの少なくとも1つは、構造式(II)および(III)からなる群から選択される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブであり、その結果、この連結生成物は、特有の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。一般的に、標的核酸にハイブリダイズされる連結生成物は、変性によって解放され、そして特有の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する単鎖連結生成物が、検出および分析されて、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列に関する情報を提供する。
このハイブリダイゼーション、結合および変性のサイクルは、形成される連結生成物の濃度を増加するために、繰り返され得る。この例において、結合は、必要に応じて、熱安定性連結酵素によって達成される。これらの反応は、熱的に安定なリガーゼを用いて、サーマルサイクリングマシンにおいて簡便に実施される(Barany,F.(1991),Genetic disease detection and DNA amplification using cloned thermostable ligase,Proc.Natl.Acad Sci.USA 88(1):189−193;Housby J.N.ら(2000),Optimised Ligation of oligonucleotides by thermal ligases:comparison of T.scotoductus and Rhotothermus marinus DNA ligases to other thermophilic ligases,Nuc.Acids Res.28(3):E10)。
さらに、さらなるヌクレオ塩基ポリマー(これらは一緒に、連結生成物に対して、これにハイブリダイズするのに十分相補的であり、そして上記のように、互いに共有結合される)がまた、含まれ、それにより、この連結生成物の幾何的増幅(すなわち、リガーゼ連鎖反応)を提供する(Wu,D.Y.およびWallace B(1989),The ligation amplification reaction(LAR)−Amplification of Specific DNA sequences using sequential Rounds of Template Dependent Ligation,Genomics 4:560−569;Barany,(1991),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:189;Barany,(1991),PCR Methods and Applic.,1:5)。移動度改変された第2のオリゴヌクレオチドの相補対とオリゴヌクレオチドの第2の対との間で形成される平滑末端化ハイブリッドの所望しない連結を抑制するために、平滑末端化連結を阻害する条件および試薬(例えば、200mM NaClおよびホスフェート)が、連結反応に含まれる。
従って、このようなリガーゼ連鎖反応の生成物は、2つの鎖からなる二本鎖分子であり、その各々は、少なくとも2つの配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブの結合の生成物である。従って、本発明のさらに別の局面において、リガーゼ連鎖反応生成物内に組み込まれる配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの少なくとも1つは、検出可能な標識を含み、そしてこの配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの少なくとも1つは、構造式(II)および(II)からなる群から選択される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであり、その結果、このリガーゼ連鎖反応生成物は、特有の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する。
上記のオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイの別の局面において、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列と、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーおよび第2のオリゴヌクレオチドのいずれかまたは両方との間に存在するミスマッチ(すなわち、非相補的ヌクレオ塩基)は、ハイブリッド形成を妨害することによってか、または隣接末端ヌクレオチド残基の適切な結合を妨害することによってのいずれかにより、2つのヌクレオ塩基ポリマーの連結を妨げる。従って、結合条件が、少なくとも1つのミスマッチにもかかわらず、両方のヌクレオ塩基ポリマーのハイブリダイゼーションを可能にするように選択される場合、移動度改変連結生成物の形成は、少なくとも、2つのヌクレオ塩基ポリマーの末端の隣接残基に関して、選択されたヌクレオチド配列が標的核酸内に存在する場合、このヌクレオチド配列の配列を明らかにする。当業者は、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列にヌクレオ塩基ポリマーを選択的にハイブリダイズするための、カチオン濃度、温度、pHおよびオリゴヌクレオチド組成の様な適切な結合条件の選択を熟知している。
末端の隣接残基の塩基対形成は、連結に影響するので、一実施形態において、結合反応に関与する3’末端ヌクレオ塩基を提供するヌクレオ塩基ポリマーは、標的配列に完全に相補的であるように設計され、一方、この結合反応に関与する5’末端ヌクレオ塩基残基を提供するヌクレオ塩基ポリマーは、5’末端ヌクレオ塩基以外の全てに完全に相補的であるように設計される。別の実施形態において、ヌクレオ塩基ポリマーは、3’末端ヌクレオ塩基を提供するヌクレオ塩基ポリマーが、3’末端ヌクレオ塩基残基以外に完全に相補的であるように設計され、一方、5’末端ヌクレオ塩基を提供するオリゴヌクレオチドは、完全に相補的である(Wu,D.Y.およびWallace,B.,(1989),Specificity of nick−closing activity of bacteriophage T4 DNA ligase,Gene 76:245−254;Landegren,U.ら(1988)A ligase mediated gene detection technique,Science 2241:1077−1080)。
上記の方法の改変において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブは、標的配列に相補的であるヌクレオ塩基配列を含むが、非標的配列に関して非末端ミスマッチを含む。本発明のこの局面において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブの組成および実験条件の性質は、プローブが標的配列にハイブリダイズするだけであるようなものである。この実施形態において、例えば、ハイブリダイズした移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマープローブの上流または下流のいずれかの標的ヌクレオ塩基にハイブリダイズする第2のヌクレオ塩基ポリマーが、このプローブに連結されて、標的ヌクレオチド配列の存在に診断的である連結された移動度改変生成物を形成し得る。
上記の実施形態のさらなる改変において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、目的の部位にすぐ隣接している標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列にハイブリダイズされる。第2の配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、標的核酸内の選択された領域にハイブリダイズされ、その結果、このハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1ヌクレオチド残基のギャップだけ離される。別の実施形態においてこのギャップの長さは、標的核酸中の単一のポリヌクレオチド多型を示す単一のヌクレオチド残基である。ハイブリダイゼーションの後、この複合体(これは、標的核酸にハイブリダイズされた2つのヌクレオ塩基ポリマーから構成される)は、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオシド三リン酸の存在下で、核酸ポリメラーゼで処理される。提供されるデオキシリボヌクレオシド三リン酸が標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド残基(これはギャップを規定する)に相補的である場合、ポリメラーゼは、2つのハイブリダイズされたヌクレオ塩基ポリマーの間のギャップを満たす。続くリガーゼでの処理は、この2つのハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドを結合して、連結された移動度改変生成物を形成し、これは、一実施形態において、末端解離によりテンプレートから分離され、それにより、特有の電荷 対 並進摩擦抵抗の比を有する診断用生成物を提供する。この診断用生成物は、一般に、レポーター分子を含み、これは、上で開示された方法を使用して、重合活性により付加された1つ以上のヌクレオ塩基に結合されているか、またはヌクレオ塩基ポリマーの共有結合の後に付加されたかのいずれかの、連結されたヌクレオ塩基ポリマー内に含まれ得る。4つより少ないヌクレオシド三リン酸の存在下でポリメラーゼを用いて処理することによって、ギャップを含むヌクレオチド残基が、決定され得る。連結された移動度改変生成物のさらなる増幅は、変性、アニーリング、核酸ポリメラーゼギャップの充填、および少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在下における連結の繰返しサイクルによって、達成される。
核酸ポリメラーゼでの処理が、1つの標識ヌクレオシド三リン酸または1つの標識ヌクレオシド三リン酸と3つの非標識ヌクレオシド三リン酸とを含む混合物の存在下で行われる場合、少なくとも1つの組み込まれた標識ヌクレオシドを含む連結された移動度改変生成物は、標識された移動度改変連結生成物の電気泳動分離の際に、容易に検出される。ヌクレオチド混合物を、1つの標識ヌクレオシド三リン酸と3つの鎖終結ヌクレオシド三リン酸とを有するヌクレオチド混合物に改変することは、間違って組み込まれたヌクレオチド残基を有するオリゴヌクレオチドの望まない連結を抑制する。
本発明の移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーはまた、チェーンターミネーター(chain termination)法(当業者に周知の方法)による核酸配列の分析のためのプライマーとして、有用である。1つの実施形態において、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマーは、標的核酸にハイブリダイズされ、そしてヌクレオシド三リン酸および鎖終結ヌクレオシド三リン酸の混合物の存在下において、核酸ポリメラーゼによって伸展される。このポリメラーゼ反応は、鎖終結した移動度が改変された複数の核酸フラグメント(例えば、キャピラリー電気泳動によって分離される)を産生する。この組み込まれた鎖終結ヌクレオシド三リン酸による鎖終結は、終結された核酸フラグメントの3’末端残基を同定する。
この鎖終結した種を検出する目的のために、移動度が改変された核酸フラグメントの種々の置換基が、検出可能なレポーター分子との結合に受け入れられる。これらは、移動度を改変するポリマー上の官能基、移動度を改変するポリマーを配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーに連結するリン酸トリエステル基、または、核酸の中に組み込まれるヌクレオシド三リン酸前駆体(チェーンターミネーターを含む)を含む。検出可能なレポーター分子は、放射性分子、化学発光分子、生物発光分子、蛍光分子またはリガンド分子であり得る。1つの実施形態において、この検出可能な標識は、蛍光分子であり、例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、およびシアニン色素ならびにこれらの誘導体である。別の実施形態において、これらの蛍光色素は、蛍光標識によって引き起こされる核酸の電気泳動移動度における変動を減少するように移動度が改変される(例えば、Ju,J.ら(1995)。Design and synthesis of fluorescence energy transfer dye−labeled primers and their application for DNA sequencing and analysis,Anal.Biochem.231:131−40;Metzkerら(1996)Electrophoretically uniform fluorescent dyes for automated DNA sequencing,Science271:1420−22;Hung S.C.ら(1997)Comparison of fluorescence energy transfer primers with different donor−acceptor dye combinations,Anal.Biochem.252:77−88;Tu,O.ら(1998)The influence of fluorescent dye structure on the electrophoretic mobility of end−labeled DNA、Nucleic Acids Res.26:2797−2802)を参照のこと)。
1つの実施形態において、本発明の移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、標的ポリヌクレオチド内の選択された領域を配列決定するための形式で使用され、ここで4つのスペクトルで分解可能な蛍光分子のうちの1つが、4つの鎖終結ヌクレオシド三リン酸うちの1つを有する、反応系中の核酸フラグメントを標識するために使用される。この実施形態の別の局面において、本発明の移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、標的ポリヌクレオチド内の選択された領域を配列決定するために使用され、ここで、4つのスペクトルで分解可能な蛍光分子のうちの1つが、4つの鎖終結ヌクレオシド三リン酸のうちの1つを含む、反応系中のオリゴヌクレオチドプライマーを標識するために使用される。従って、この実施形態の両局面において、鎖終結した核酸フラグメントの蛍光の色を検出することによって、3’末端ヌクレオチド残基を同定する。代表的に単一のゲルレーンまたはキャピラリーでの、4つのスペクトルで分解可能な蛍光分子の同時オンライン検出を伴う、電気泳動による鎖終結した生成物の分離は、分離された核酸フラグメントの色からの迅速な配列決定を可能にする(Prober,J.M.ら(1985),A System for Rapid DNA Sequencing with Fluorescent Chain Terminating Dideoxynucleotides,Science 238:336−341;Karger,A.E.ら(1991),Multiwavelength Fluorescence Detection for DNA Sequencing Using Capillary Electrophoresis,Nucleic Acids Res.19(18):4955−62)。
目的のヌクレオチド配列が標的核酸の小さな領域(例えば、単一ヌクレオチド多型を含む部位)の場合、改変された配列決定形式が、必要に応じて、使用される。1つのこのような実施形態において、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの3’末端ヌクレオチド残基が目的部位に直接隣接するような、配列特異的様式でハイブリダイズされる。ハイブリダイズされたヌクレオ塩基ポリマーは、少なくとも1つの鎖終結ヌクレオシド三リン酸の存在下で、核酸ポリメラーゼによって伸長され、鎖終結ヌクレオチドが、ハイブリダイズされた移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの3’末端の直ぐ下流にある標的核酸(nucleic)残基に相補的である場合、このオリゴヌクレオチドは、1ヌクレオチドだけ伸長する。伸長され、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの分離および検出は、ハイブリダイズされた移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマープライマーに直接隣接する残基のアイデンティティー(identity)を提供する。この実施形態において、複数の異なる、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの使用は、単一分離における複数の標的配列の同時の検出および分析を可能にする。
この伸長されたプライマーを検出することは、伸長され、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーに結合されたレポーター分子を含むことによって達成され、これは、標準的な配列決定反応に関する上記の様式と同じ様式でプライマーとして使用される。従って、1つの実施形態において、この鎖終結ヌクレオシド三リン酸は、蛍光標識が鎖終結ヌクレオシドを固有に同定するような、4つのスペクトルで分解可能な蛍光分子のうちの1つで標識される。ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーに直接隣接した残基の組成は、次いで、この伸長されたオリゴヌクレオチドプライマーの色から容易に確認される。当業者には明白であるが、この改変された配列決定形式は、蛍光標識された鎖終結ヌクレオシド三リン酸の他の混合物に適合可能である。従って、この実施形態は、2つまたは4つの鎖終結ヌクレオシド三リン酸を有するヌクレオチドの組み合わせを含み、ここで1つのみのチェーンターミネーターが、4つの分解可能なレポーター標識のうちの1つで識別される。伸長反応の生成物を混合し、その後単一のゲルレーンまたはキャピラリーで伸長された生成物を分離および検出することによって、このハイブリダイズされたプライマーに隣接するヌクレオチド残基における全ての可能な配列バリエーションを決定する能力が提供される。この方法の感度のさらなる増大は、実質的にエキソヌクレアーゼ耐性のチェーンターミネーター(例えば、チオエステルヌクレオチド間の連結を形成して、ポリメラーゼ関連エキソヌクレアーゼによる、組み込まれたチェーンターミネーターの除去を減少させるチェーンターミネーター)を使用することによって、可能である。
別の実施形態において、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、1つ以上の標的核酸内の選択されたヌクレオチドを検出および増幅させるためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において使用される。(Mullis,K.,米国特許第4,683,202号;Saiki,R.K.ら、Enzymatic Amplification of β−Globin Genomic Sequences and Restriction Site Analysis for Diagnosis of Sickle Cell Anemia,In PCR:A practical approach,M.J.McPherson,P.Quirke,およびG.R.Taylor編,Oxford University Press 1991)。本発明のこの局面において、この検出方法は、標的核酸内のヌクレオチド配列のPCR増幅を含む。この局面において、固定化され得る標的核酸は、複数の配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーと接触され、そのうちの2つが、標的核酸内のヌクレオチド配列の反対端において、相補鎖にハイブリダイズする。このハイブリダイズされた配列特異的なオリゴヌクレオチドの伸長の繰り返されるサイクルは、必要に応じて熱耐性ポリメラーゼ、伸長された生成物の熱変性および熱解離、ならびにアニーリングによって、2つのヌクレオ塩基ポリマーによって挟まれた領域の幾何学的な伸長を提供する。従って、このようなポリメラーゼ連鎖反応生成物は、2本の鎖からなる二本鎖の分子であり、これらの各々が配列特異的なヌクレオ塩基ポリマープローブを含む。本発明のこの局面において、少なくとも1つの配列特異的なオリゴヌクレオチドは、二本鎖のポリメラーゼ連鎖反応生成物が電荷対並進摩擦抵抗(frictional drag)の特有の比を有するように、構造式(II)および構造式(III)からなる群から選択される、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーである。本発明のこの局面において形成されるポリメラーゼ連鎖反応生成物は、標識をさらに含み、この標識は、プライマーとして使用される配列特異的なヌクレオ塩基ポリマープローブのいずれの中に組み込まれ得るか、または重合酵素によって使用される、基質デオキシリボヌクレオシド三リン酸内に組み込まれ得る。さらなる別の局面においては、形成されるポリメラーゼ連鎖反応生成物は、分離された一本鎖の生成物を提供する変性する条件下で分析される。この局面において、この一本鎖生成物の少なくとも1つは、標識と、構造式(II)および構造式(III)からなる群から選択された、移動度が改変された配列特異的な核酸ポリマープライマーとの両方を含み、その結果、二本鎖のポリメラーゼ連鎖反応生成物に由来する一本鎖の生成物が、電荷対並進摩擦抵抗の特有の比を有する。当業者に周知であるが、このような一本鎖の生成物はまた、プライマーとして使用される2つの配列特異的なヌクレオ塩基ポリマープローブのうちの1つの量を限定してPCR反応を行うことによって、生成され得る。特有の移動度が改変された配列特異的な核酸またはヌクレオ塩基をプライマーとしてのポリマー使用することによって、PCR反応は、1つのPCR生成物を別のものから分離することを可能にすることによって、単一アッセイにおいて1つ以上の標的ポリヌクレオチド内での多くの選択された領域を検出し得る。さらに、当業者は、ヌクレオ塩基ポリマープライマーの種々の組み合わせを使用することが、特有の、移動度が改変されたPCR生成物を生成するさらなる方法を提供することを認識する。例えば、PCR反応における移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマーおよび第二のヌクレオ塩基ポリマープライマーのペアの組み合わせは、移動度が改変された1本鎖を有するPCR生成物を生成する。他方において、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマー、および同様に移動度が改変された第二のヌクレオ塩基ポリマーの組み合わせは、移動度が改変される両方の鎖を有するPCR生成物を生成し、従ってこれ自身を移動度が改変された1つの鎖を有するPCR生成物から区別する。従って、移動度を改変する基の型、および移動度が改変される核酸鎖を変えることによって、この実施形態は、複数の標的セグメントを検出する能力を拡大する。
PCR生成物の検出は、電気泳動での分離の間か、または電気泳動での分離後のいずれかで達成され得る。インターカレーティング色素(臭化エチジウム、臭化エチジウムダイマーのような色素、SYBR(登録商標)グリーン、またはTOTO、YOYO、およびBOBOのような、シアニン色素ダイマー)は、分離検出後に利用可能である(Haugland,R.P.Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版,Molecular Probes,Inc.,1996)。あるいは、このPCR生成物としては、さらに以下のレポーター分子が挙げられるが、これらに限定されない:電気泳動分離の間か、または電気泳動分離後かのいずれかでの検出を可能にする、放射分子、化学発光分子、生物発光分子、蛍光分子、またはリガンド分子。移動度が改変されたPCR生成物を標識する方法は、以下に記載される他の方法で標識するために提示される一般的なスキームに従う。
PCR増幅による標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列を検出することはまた、標的核酸のセグメント内の配列の改変体を同定することを包含する。これらの改変体としては、とりわけ、単一ヌクレオチド多型、および配列タグ部位(STS)によって規定されるような可変ヌクレオチドタンデムリピート(VNTR)の多型、およびショートタンデムリピート(STR)における多型を含む。多型遺伝子座を同定することは、特別の目的である。なぜならば、これらは、しばしば疾患感受性についての遺伝子マーカーであるからである(例えば、Gastier,J.M.,(1995),Hum Mol Genet,4(10):1829−36;Kimpton,C.P.,(1993)Automated DNA profiling employing multiplex amplification of short tandem repeat loci、PCR Methods Appl.,3(1):13−22を参照のこと)。この多型が、VNTR配列またはSTR配列における改変体に関連する場合、この生成物は、ヌクレオチドの長さが異なるので、さらなる処理のないPCR生成物の直接的な分析が、多型を検出するのに十分である。しかし、移動度が改変されたPCR生成物の存在は、単一反応において、複数の多型遺伝子座を検出するためのPCR分析の能力を拡大する。
多型が単一ヌクレオチドの差異に関連する場合、これらの改変体は、標的核酸内の選択された核酸配列との、ミスマッチを有するように設計されるヌクレオ塩基ポリマープライマーを使用してPCR反応を行うことによって、検出可能である。ヌクレオ塩基ポリマープライマーと、標的核酸内の選択された核酸配列とのハイブリダイゼーションによって形成された、二重鎖内の意図的なミスマッチの存在は、これらの構造のTに反映される、これらの二重鎖分子の熱的安定性に影響し、従って、選択された条件下では、別のものと比較して1つの標的セグメントの優先的な増幅を生じる。このような対立遺伝子特異的なポリメラーゼ連鎖反応は、1つ以上の標的核酸内の、他のヌクレオチド配列の高バックグラウンド間の低コピー数の1つの選択されたヌクレオチド配列を含む単一細胞、または単一組織における変異の同定を可能にする(Cha,R.S.,(1993)、Mismatch amplification mutation assay(MAMA):application to the c−H−ras gene、PCR Methods Appl.,2(1)14−20;Glaab.,W.E.ら(1999)、A novel assay for allelic discrimination that combines fluorogenic 5’ nuclease polymerase chain (TaqMan(登録商標)) and mismatch amplification mutation.,Mutat.Res.430:1−12)。
さらなる別の局面において、単一ヌクレオチドの差異が,配列に依存する様式で、形成する一本鎖の核酸のより高次のコンフォメーションの分析によって区別される。この実施形態において、一本鎖の核酸は、一本鎖へとPCR生成物を分離することによるか、またはPCR反応(すなわち、片面PCR)における制限量の1つのプライマーを使用することにより、一つの鎖を優先的に増幅することによって生成される。選択された条件下で、この一本鎖核酸が、一本鎖核酸の分子内水素結合によってより高次の構造を形成することを可能とする。当業者は、より高次の構造を形成するため、このような許容的な条件(すなわち、温度、変性濃度、pH、カチオン濃度等)を規定することによく精通している。従って、配列依存性であり、そして単一ヌクレオチドの変化に対して極端に敏感であり得る、これらのコンフォメーションは、核酸の電気泳動移動度に影響し、従って、これらの固有の電気泳動移動度プロフィールによる、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列におけるバリエーションを示す。より高次の構造を増強するために、改変がPCR反応のために使用されるヌクレオ塩基ポリマープライマーの中に導入される。例えば、ヌクレオ塩基ポリマープライマーは、配列改変体を含む標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列の一部に相補的なさらなる塩基を用いて操作され、その結果、ヌクレオ塩基ポリマープライマー上のさらなる塩基が、正常な配列に対して「スナップバック(snapback)」または再アニール(re−anneal)するが、改変体配列に対しては「スナップバック」も再アニールもしない場合、より高次のコンフォメーションが形成する(Wilton,S.D.(1998)Snapback SSCP analysis:engineered conformation changes for the rapid typing of known mutations,Hum. Mutat. 11(3):252−8)。単一ヌクレオチド改変体の検出の信頼性は、一本鎖のヌクレオ塩基ポリマーの大きさによって影響されるので、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマー(電荷対並進摩擦抵抗の特有の比の電荷を有する)を使用するコンフォメーション分析は、より高次の構造を形成するのに必要な最適の長さを維持している間に、標的核酸内の複数の選択されたヌクレオチド配列の検出を可能にする(Sheffield,V.C.,(1993),The sensitivity of single stranded conformation polymorphism analysis for the detection of single base substitutions,Genomics 16(2):325−32)。
本発明のさらなる局面において、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーが、1つ以上の標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列を検出するために切断される。1つのこのような実施形態において、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、1つ以上の標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列にハイブリダイズされる。別の実施形態において、少なくとも1つの移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーを含む移動度が改変されたPCR生成物は、制限酵素のような、配列特異的な酵素の基質として作用する。酵素による基質の消化は、標的ポリヌクレオチドの配列組成に関する情報を提供する、電荷対平行運動摩擦抵抗の特有の比を有する切断された生成物を生成する。制限フラグメント長多型(RFLP)分析のこの形態は、当業者に周知である(例えば、Kidd,I.M.,(1998)A multiplex PCR assay for the simultaneous detection of human herpesvirus 6 and human herpesvirus 7, with typing of HHV−6 by enzyme cleavage of PCR products、J.Virol.Methods 70 (1):29−36;Gelernter,J.,(1991)、Sequence tagged sites(STS)Taq I RFLP at dopamine beta−hydroxylase,Nucleic Acids.Res.19(8):1957を参照のこと)。
別の局面において、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列にハイブリダイズした、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマー(ここで標的核酸中の対応するヌクレオ塩基に相補的でない少なくとも1つのヌクレオ塩基が存在する)が、非塩基対形成ヌクレオチド残基を特異的に切断する薬剤を用いて、処理される。一般的に、この不対残基は、ハイブリダイズした、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマー上に存在する(Bhattacharyaら(1989),Nucleic Acids. Res.17,6821−6840)。染色体DNAは、標的核酸として、作用し得るが、標的核酸は、標的核酸の選択されたヌクレオチド配列を含むクローン化されたDNAフラグメント、または標的核酸の選択されたヌクレオチド配列を含むPCR増幅生成物である。
切断は、化学試薬または酵素試薬のいずれかを用いて達成され得る。化学切断反応において、少なくとも1つの非相補的ヌクレオ塩基を含むハイブリッドが、不対残基を特異的に改変する化学物質を用いて処理され、改変ヌクレオシドのヌクレオチド間の連結を加水分解に対して感受性にする。適切な化学薬品には、カルボジイミド、四酸化オスミウム、ヒドロキルアミン、過マンガン酸カリウム/塩化テトラエチルアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない(Ellis,T.P.ら(1998)、Chemical cleavage of mismatch: a new look at an established method、Hum Mutat.11:345−53;Roberts,E.,(1997)、Potassium permanganate and tetraethylammonium chloride are safe and effective substitute for osmium tetraoxide in solid phase fluorescent chemical cleavage mismatch、Nucleic Acids.Res.25:3377−78)。四酸化オスミウムよりもむしろ過マンガン酸カリウム/塩化テトラエチルアンモニウムの使用が、T/Gミスマッチした対における切断を増強する。
酵素的に切断する試薬は、不対領域を認識する種々のヌクレアーゼを含む。これらとしては、以下の1本鎖の特異的なヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない:Aspergillus oryzueに由来するS1ヌクレアーゼ、Penicillum citrinumに由来するP1ヌクレアーゼ、およびマングビーンヌクレアーゼ (Shenkら(1975)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72 989−93)。これらのヌクレアーゼは、単一ヌクレオチドのミスマッチに対してより反応的でないが、これらは、より長い挿入および欠失によって生成される不対残基を消化し得る(Dodgson,J.B.ら(1977)Action of single−stranded specific nucleases on model DNA heteroduplexes of defined size and sequence、Biochemistry,16:2374−49)。Cel1エンドヌクレアーゼおよびSPエンドヌクレアーゼは、標的核酸の選択されたヌクレオチド配列内の欠失、挿入、およびミスセンス変異を含むヌクレオチド配列改変体から生じる、不対ヌクレオチド残基に対する活性を示す(Oleykowski,C.A.,(1998)、Mutation detection using a novel plant endonuclease、Nucleic Acids.Res.26:4597−602;Yeung,A.T.,米国特許5,869,245号)。バクテリオファージおよび酵母のような種々の供給源に由来するレソルバーゼは、本発明のこの実施形態において有用な,切断酵素のさらなる別クラスを示す。レソルバーゼの代表的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ファージによりコードされるT4エンドヌクレアーゼVIIおよびT7エンドヌクレアーゼI(この両方がミスマッチにおいて切断する)。(Cotton,R.G.H.,米国特許第5,958,692号;Solaro,ら(1993),Endonuclease VII of Phage T4 Triggers Mismatch Correction in vitro,J.Mol.Biol.230: 868−877;(Chang,D.Y.ら(1991)、Base mismatch specific endonuclease activity in extracts from Saccharomyces cerevisiae;Nucleic Acids Research 19(17):4761−66)。
別の局面において、本発明は、不対残基における切断を阻害する方法を包含する。タンパク質には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:二重鎖核酸構造における単一ヌクレオチドのミスマッチ部位に結合するE.coli.のMutSタンパク質(Su,S.S.ら(1986)、Escherichia coli mutS encoded protein binds to mismatched DNA base pairs、Proc.Natl Acad.Sci.USA 83:5057−5061)。MutSタンパク質は、メチル化E coli指向性MutH/S/Lミスマッチ修復システムの一部であり、その相同体は、他の細菌、酵母および哺乳動物の中に存在する。(Eisen,J.A.,(1998),A phylogenetic study of the MutS family of proteins,Nucleic Acids.Res.26:4291−300;Alani,E.(1996),The Saccharomyces cerevisiae Msh2 and Msh6 proteins form a complex that specifically binds to duplex oligonucleotides containing mismatched DNA base pairs,Mol. Cell Biol.16:5604−15;Modrich,P.ら(1996),Mismatch repair in replication fidelity,genetic recombination and cancer biology,Annu.Rev.Biochem.65:101−33)。従って、本発明の1つの実施形態において、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列を有する、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーのハイブリダイゼーションによって形成される少なくとも1つの非塩基対形成ヌクレオ塩基単位を含む二重鎖構造は、MutSのようなミスマッチ結合タンパク質を用いて処理され、次いで一方向性の様式で二重鎖を分解する1つ以上のエキソヌクレアーゼに曝露される。結合したミスマッチ結合タンパク質は、ミスマッチを含む鎖上に対するエキソヌクレアーゼのさらなる作用を阻害し、それによって規定された長さの核酸生産物を提供し、これらは、特有の電荷対並進摩擦抵抗比を所有する(Ellis,L.A.,(1994),MutS binding protects heteroduplex DNA from exonuclease digestion in vitro:a simple method for detecting mutations,Nucleic Acids Res.22(13):2710−1;Taylor, G.R.,米国特許第5,919,623号)。このアッセイにおける使用に適切な一方向性のエキソヌクレアーゼには、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:エキソヌクレアーゼIII、バクテリオファージλエキソヌクレアーゼ、およびT7 DNA ポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ、T4 DNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ、および Vent(登録商標)DNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ。
さらなる別の局面においては、内部RNAセグメントがDNAセグメントによって隣接される場合、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列を検出するための切断ベースの方法において使用される、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、DNA−RNA−DNA核酸ポリマーであり得る。この3部からなる移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、全体の(すなわち、3部ヌクレオ塩基ポリマー)のTより低い温度において、標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列にハイブリダイズされる。適切なRNaseによるこの二重鎖構造の消化は、DNAテンプレートにハイブリダイズされる場合、DNA−RNA−DNAヌクレオ塩基ポリマーのRNA部分のみを加水分解する。1つの実施形態において、このRNaseは、温度安定性RNase Hである(Bekkaoui,F.,(1996)Cycling probe technology with RNase H attached to an oligonucleotide,Biotechniques,20(2):240−8)。内部RNAセグメントの消化後に残存している、隣接しているDNAセグメントのTよりも高く反応温度が維持される場合、これらのDNAセグメントが解離し、従って別のDNA−RNA−DNAオリゴマーが標的ポリヌクレオチドと結合することを可能にする。繰り返されるハイブリダイゼーション、RNA切断、および隣接DNAセグメントの解離は、検出可能な解離DNAセグメントのレベルを増幅する。この反応温度は、1つの実施形態において、増幅工程の間一定に保持され、従って熱サイクリングのためにすべての必要なものを取り除く(Duck,P.(1990),Probe amplifier system based on chimeric cycling oligonucleotides, Biotechniques 9:142−48;Modrusan,Z.(1998)Spermine−mediated improvement of cycling probe reaction,Mol.Cell Probes 12:107−16)。本発明のこの局面において、使用される配列特異的DNA−RNA−DNAヌクレオ塩基ポリマーは、少なくとも1つの移動度を改変するポリマー、および隣接するDNAセグメントのいずれかまたは両方に結合した少なくとも1つのレポーター分子を含み、それによって電荷対並進摩擦抵抗の比を有する標識された消化生成物を提供する。
別の局面において、移動度が改変されたヌクレオ塩基ポリマーの切断に基づいた1つ以上の標的核酸内の選択されたヌクレオチド配列の検出は、Browら,米国特許第5,846,717号に記載されるような、侵襲性ハイブリダイゼーションによって形成される切断基質に依存する。この実施形態において、レポーター分子を含み、そして標的核酸にハイブリダイズする移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの5’部分は、同一領域にハイブリダイズする第二のヌクレオ塩基ポリマーによって置換され、そしてそれによって、その置換された配列を、切断試薬を用いた切断にて曝露する。この実施形態を実施することにおいて、この標的核酸を、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーおよび第二のヌクレオ塩基ポリマーと接触させる。移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーは、標的核酸内に含まれる選択されたヌクレオチド配列の第二の領域に相補的な5’セグメントおよび標的核酸内に含まれる選択されたヌクレオチド配列の第三の領域に相補的な3’部分を有し、ここでこの第二の領域は、第三の領域から下流にある。この第二のヌクレオ塩基ポリマーは、標的核酸内に含まれる選択されたヌクレオチド配列の第一の領域に相補的な5’セグメント、および標的核酸内に含まれる選択されたヌクレオチド配列の第二の領域に相補的な3’セグメントを有し、ここで第一の領域は、第二の領域から下流にある。選択された条件下で、ハイブリッドは、その中に、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーおよび標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズする第二のヌクレオ塩基ポリマーを形成し、その結果、第二のヌクレオ塩基ポリマーがハイブリダイズされた移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの5’部分を置換し、その一方、移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの3’部分および第二のヌクレオ塩基ポリマーの5’部分は、標的核酸内に含まれる選択されたヌクレオチド配列にアニールされたままである。移動度が改変された配列特異的なヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に対応する塩基対でない1本鎖セグメントである置換された鎖は、その後、切断ヌクレアーゼに対する基質として作用し、従って、標的ポリヌクレオチド上の特異的配列の存在を反映する電荷対並進摩擦抵抗の特有の比を有する別個の移動度が改変された消化生成物を生成する。
置換された鎖を認識する切断酵素は、天然に存在するヌクレアーゼか、または改変されたヌクレアーゼのいずれかである。天然に存在する構造特異的なヌクレアーゼには、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:Pyrococcus woesii FEN−1エンドヌクレアーゼ、熱安定性のMethoanococcus jannaschii FEN−1エンドヌクレアーゼ、酵母Rad2、および酵母Rad1/酵母Rad10複合体(Kaiserら、米国特許第6,090,606号、Cleavage Reagents; Kaiserら、米国特許第5,843,669号,Cleavage of nucleic acid using thermostable Methoanococcus jannaschii FEN−1 endonucleases)。切断反応に適切な他の構造特異的な酵素は、公知のヌクレアーゼおよびポリメラーゼの改変体に由来する。(Dahlbergら、米国特許第5795763号,Synthesis Deficient Thermostable DNA Polymerase;Dahlbergら、米国特許第6,614,402号、5’Nucleases Derived from Thermostable DNA Polymerase)。ポリメラーゼ活性を欠損するが、まだ5’−ヌクレアーゼ活性を保持する、改変されたポリメラーゼはまた、切断試薬として、使用される。
別の実施形態は、標的核酸にハイブリダイズする2つの重複するヌクレオ塩基ポリマーによって形成された構造のフラップエンドヌクレアーゼ切断に基づくSNPを同定する手順「インベーダーアッセイ(invader assay)」における本発明の移動度を改変するポリマーの使用に関する(例えば、Cookseyら、2000,Antimicroibial Agents and Chemotherapy 44:1296−1301を参照のこと)。このような切断反応は、「下流」ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端ヌクレオ塩基(単数または複数)に対応する生成物を放出する。これらの切断生成物が標識され、そして切断されないヌクレオ塩基ポリマーから分離され得る場合、インベーダーアッセイは、例えば、ゲノム配列またはPCRで増幅されたゲノム配列の単一塩基の相違を識別するために使用され得る。
インベーダーアッセイに使用される下流のヌクレオ塩基ポリマーの標識された5’末端への本発明の移動度を改変するポリマーの付着は、特有の電荷対並進摩擦抵抗比を有する、検出可能な標識された切断生成物を提供する。従って、複数のSNPが、複数の配列特異的な下流のヌクレオ塩基ポリマーを同時に使用して分析され、ここで配列特異的な下流のヌクレオ塩基ポリマーは、標識された5’末端に付着された本発明の移動度を改変するポリマーを含み、その結果、各々のSNPにおいてフラップエンドヌクレアーゼの切断によって生成される標識された生成物は、電荷対並進摩擦抵抗の特有の比を有する。
このインベーダーアッセイのさらなる局面において、例えば、標識および5’末端に付着された本発明の第一の移動度を改変するポリマーを保持する、下流のヌクレオ塩基ポリマーは、3’末端に付着された第二の移動度を改変するポリマーをさらに含む。この第二の移動度を改変するポリマーの存在は、5’末端、標識、および第一の移動度を改変するポリマー、ならびに切断されない下流のヌクレオ塩基ポリマーを含む、フラップエンドヌクレアーゼで生成された生成物の電気泳動移動度間の差異を増強することによって、インベーダーアッセイの感度を増大する。従って、第二の移動度を改変するポリマーは、少なくとも2000の分子量を有する。他の実施形態においては、第二の移動度を改変するポリマーは、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、および少なくとも100,000の分子量を有する。1つの実施形態においては、第二の移動度を改変するポリマーは、本発明の移動度を改変するポリマーであり、その一方、他の実施形態においては、第二の移動度を改変するポリマーは、当該分野の移動度を改変するポリマーであり、これは、1つの例の限定されない例として、荷電されないモノメチルポリエチレングリコールポリマーである。さらに、第二の移動度を改変するポリマーは、異なる分子量の種の混合物を、これらの種が、シグナル生成物(例えば、5’末端、標識、および第一の移動度を改変するポリマーを含む、フラップエンドヌクレアーゼで生成される生成物)の検出を実質的に妨害しないことを条件に含み得る(下記の実施例5を参照のこと)。
より一般的に、本発明の他の実施形態において、下流のオリゴヌクレオ塩基(oligonucleobase)ポリマーが、標識および下流のオリゴヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域に結合した本発明の移動度改変ポリマー、ならびに下流のオリゴヌクレオ塩基ポリマーの第2の領域に結合した第2の高分子量移動度改変ポリマーを含むインベーダーアッセイが、実行され、ここで、第1および第2の領域は、フラップエンドヌクレアーゼ切断部位によって分離される。この実施形態の1つの局面は、上記および実施例5に記載され、ここで、標識および本発明の移動度改変ポリマーは、配列特異的オリゴヌクレオ塩基ポリマーの5’末端に結合され、そして第2の高分子量移動度改変ポリマーは、配列特異的オリゴヌクレオ塩基の3’末端に結合される。他の実施形態において、例えば、第2の高分子量移動度改変ポリマーは、リンカーアームのヌクレオチド残基を介して、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの5’末端または3’末端よりも、配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーに結合される。従って、第2の高分子量移動度改変ポリマーは、下流のヌクレオ塩基ポリマーの第2の領域内の任意のヌクレオ塩基残基か、または5’末端もしくは3’末端(どちらかが下流のオリゴヌクレオ塩基ポリマーの第2の領域内に含まれる)に結合される。同様に、いくつかの実施形態において、特定の非限定的な例における蛍光染料である標識はまた、下流ヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域内の任意のヌクレオ塩基残基でのリンカーアームのヌクレオチド残基を介して、結合される。このようなリンカーアームのヌクレオチド(例えば、リンカーに対する蛍光染料または荷電していないモノメチルポリエチレングリコールポリマー)の合成およびカップリングは、当該分野の範囲内である(特に、上記の節4.5を参照のこと)。さらに、例えば、リンカーアームのヌクレオチドのホスホルアミダイトモノマーならびに蛍光部分を含むリンカーアームのヌクレオチドのホスホルアミダイトモノマーは、市販されている(Glen Research,Inc.,Sterling,Virginia)。これらの実施形態において、本発明の移動度改変ポリマーは、下流のヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域に結合し、この結合の点は、5’末端または3’末端(どちらかが、下流のヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域内に囲まれている)であり得るか、または本発明の移動度改変ポリマーは、下流のヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域内に取り込まれ得、構造式(IV)に従う分子を提供する。従って、これらの実施形態の各々において、下流のヌクレオ塩基ポリマーの第2の領域に結合した第2の高分子量移動度改変ポリマーの存在は、標識および本発明の移動度改変ポリマーを含むフラップエンドヌクレアーゼ生成産物(すなわち、下流のオリゴヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域)の電気泳動的移動度と切断されていない下流のヌクレオ塩基ポリマーの電気泳動的移動度との間の差異を増強することによって、インベーダーアッセイの感受性を増大させる。
インベーダーアッセイのなおさらなる実施形態において、下流のヌクレオ塩基ポリマーは、標識および第1の移動度改変ポリマーを保持し、このポリマーは、1つの非限定的な実施形態において、当該分野の標準的なPEO移動度改変ポリマーであり、これは、下流のヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域および下流のヌクレオ塩基ポリマーの第2の領域に結合される第2の高分子量移動度改変ポリマーに結合される。上記のように、第2の移動度改変ポリマーの存在は、フラップエンドヌクレアーゼ生成産物(すなわち、標識および第1の移動度改変ポリマーを含む下流のヌクレオ塩基ポリマーの第1の領域)の電気泳動的移動度と、切断されていない下流のヌクレオ塩基ポリマーの電気泳動的移動度との間の差異を増強することによってインベーダーアッセイの感受性を増大させる。従って、第2の移動度改変ポリマーは、少なくとも2000の分子量を有する。他の実施形態において、第2の移動度改変ポリマーは、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000、および少なくとも100,000の分子量を有する。1つの実施形態において、第2の移動度改変ポリマーは、本発明の移動度改変ポリマーであるが、他の実施形態において、第2の移動度改変ポリマーは、当該分野の移動度改変ポリマーであり、これは1つの例示的な非限定的な例において、切断されていないモノメチルポリエチルグリコールポリマーである。
本発明の別の局面において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、Hall,J.G.ら、米国特許第5,994,069号に記載されるような複数の連続的切断反応を含む検出反応における切断基質としての機能を果たす。この実施形態において、第1の切断構造は、上記のように形成され、本発明の実施形態において、第1のヌクレオ塩基ポリマーが、必要であれば移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであることを除く。反応混合物は、第2の標的核酸および第3のヌクレオ塩基ポリマーをさらに含み、これは移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーであり、そして少なくとも1つの結合されたレポーター分子をさらに含む。第2の標的ポリヌクレオチドは、第1、第2および第3の領域を有し、ここで、この第1の領域は、第2の領域の下流であり、そして第2の領域は、第3の領域の下流である。第3のヌクレオ塩基ポリマーは、第2の標的ポリヌクレオチドの第2の領域と完全に相補的な5’位および第2の標的ポリヌクレオチドの第3の領域と完全に相補的な3’位を有する。第1の切断構造の処理は、第4のヌクレオ塩基ポリマーの放出を生じ、これは、第2の標的ポリヌクレオチドの第1の領域に相補的な5’位および第2の標的ポリヌクレオチドの第2の領域と完全に相補的な3’位を有する。この放出された第4のヌクレオ塩基ポリマーは、第3のヌクレオ塩基ポリマーの3’位および第4のヌクレオ塩基ポリマーの5’位が第2の標的ポリヌクレオチドにアニールされたままの条件下で、第2の標的ポリヌクレオチドおよび第3のヌクレオ塩基ポリマーを有する切断構造を形成する。切断試薬を用いての第3のヌクレオ塩基ポリマーの切断は、レポーター分子および移動度改変ポリマーを含む第5および第6のヌクレオ塩基ポリマーのいずれかまたは両方を生成し、これによって、電荷と並進摩擦抵抗の特有の比を有する消化産物を提供する。第5のヌクレオ塩基ポリマーは、切断の際に放出されるが、第6のヌクレオ塩基ポリマーは、変性によって分離するまで、第2の標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズしたままである。引き続く第5および第6のヌクレオ塩基ポリマーの分離および検出は、標的核酸内の第1および第2の選択されたヌクレオチド配列の存在についての情報を提供する。
複数の連続的な切断反応を含むヌクレオチド配列の検出方法に関する、本発明のさらなる局面において、第1の切断構造は、上記に示されたような標的核酸内の第1および第2のヌクレオ塩基ポリマーおよび選択されたヌクレオチド配列によって形成される。この方法のこの局面は、移動度改変配列特異的第2標的ヌクレオ塩基ポリマーをさらに含み、これは第1、第2および第3の領域を含み、ここで、第1の領域は、第2の領域の下流であり、そして第2の領域の上流の第3の領域は、選択された条件下で、ハルピン構造を形成するように、自己に完全に相補的であり、また第2の領域に相補的である。切断試薬を用いての第1の切断構造の切断は、第4のヌクレオ塩基ポリマーを生成し、これはヌクレオ塩基ポリマーの、第1の領域に相補的な5’位および第2の領域に完全に相補的な3’位を有する。移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの第1および第2の領域に放出された第4のヌクレオ塩基ポリマーのハイブリダイゼーションは、第2の領域に相補的である置換された第3の領域を有する第2の切断構造を形成する。この第2の切断構造の切断は、第5および第6のヌクレオ塩基ポリマーを生成し(これらのいずれかは、移動度改変ポリマーおよび標識を含む)、これによって、荷電と並進摩擦抵抗の特有の比を有する消化産物を提供し、そしてこの分離および検出は、第1の標的核酸および第2のヌクレオ塩基ポリマーの存在についての情報を提供する。
以下に示されるように、切断されたヌクレオ塩基ポリマーを標識しそして検出する方法は、切断反応の産物の標識および検出に等しく適用される。さらに、放出された切断産物の標識はまた、鋳型依存ポリメラーゼ(米国特許第6,090,606号(本明細書中で参考として特に援用される)に記載されるような末端トランスフェラーゼおよびポリAポリメラーゼを含むが、これらに限定されない)による産物の伸長によって確立される。
なお別の局面において、本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを一般的な方法において使用して、非ふるい媒体中において異なるサイズの標的核酸の電気泳動分離をもたらす。正常に、異なる長さの核酸(すなわち、異なる数のヌクレオ塩基残基からなる)は、それにもかかわらず、荷電と並進摩擦抵抗との本質的に不可欠な不変の比率を示す。従って、このような分子は、非ふるい媒体において、電気泳動的に分離され得ない。しかし、異なる長さの核酸を標的化するための本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの結合は、非ふるい媒体中において電気泳動分離をもたらす様式で、そして、それに十分な程度、標的核酸の荷電と並進摩擦抵抗との比率を変更する。さらに、ふるい媒体における電気泳動分離とは対照的に、本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーが結合されるより長い核酸は、同じ移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーが結合されるより短い核酸よりも迅速に移動する。出願人は、この意見に固執されることを望みはしないが、この分離は、質量およびサイズが規定された移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの、短い鎖の核酸分子よりも長い鎖の核酸分子に対する結合のほうが比例的に少ない効果に基づくということを、信じている。続いて、荷電と並進摩擦抵抗との比率は、より長い鎖の方が大きく、電場においてより長い鎖の核酸に、より速い速度を提供する。
構造式(II)および(III)からなる群から選択される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの、異なる長さの核酸集団への結合は、種々のアプローチ(酵素的ライゲーション、または本発明の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの、分離されるべき異なる長さの核酸集団への直接的、合成的な組込み)によって達成され得る。
この方法の1つの局面において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、異なる長さではあるが、5’末端に共通のヌクレオチド配列を有する核酸集団に酵素的に連結され、この5’末端の共通のヌクレオチド配列は、鎖終結核酸配列決定反応の産物内で見られるか、または、核酸基質の標識化5’末端を含む配列以外の全ての配列に認識されない化学的切断配列決定反応物において効果的に見られる。この実施形態において、合成鋳型オリゴヌクレオチド(2つの異なる配列領域を有する)を鋳型として使用して、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーのハイブリダイズ化3’末端を整列して、その結果、ハイブリダイズ化5’末端(これは、一般的にリン酸化される)に直接的に沿い(このことは、分離されるべき核酸集団に共通である)、2つの分子が共有結合されるのを可能にする。従って、合成鋳型オリゴヌクレオチド5’領域は、分離されるべき分子の共通の5’末端配列に相補的であるヌクレオチド配列からなるが、合成鋳型の3’領域は、結合されるべき移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの3’末端と相補的である配列からなる。このアプローチの別の実施形態において、分離されるべき核酸集団の共通の5’末端は、配列特異的制限エンドヌクレアーゼにより生成されるものに対応する。従って、合成鋳型核酸は、少なくとも8つのヌクレオ塩基からなり、これらの少なくとも3個は、分離されるべき分子集団の共通の5’配列に相補的である。このような鋳型核酸の設計、ならびにハイブリダイズされる標的核酸および移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの酵素的結合が行なわれる条件は、当業者に周知である。従って、本発明のこの実施形態は、異なるサイズの任意の分子集団に適用可能であり、ただし、それぞれは、少なくとも3つのヌクレオチド、特定の実施形態では少なくとも4つのヌクレオチド、およびさらなる実施形態では、少なくとも8つのヌクレオチドの共通の5’末端配列を有する。同様の手順(ここで、異なるサイズの分子集団に共通の配列が、3’末端に生じ、その結果、結合されるべき移動度改変配列特異的核は、3’末端に結合された移動度改変ポリマーでリン酸化された5’末端を有する)はまた、本発明の範囲内に含まれる。
さらなる実施形態において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、例えば、配列決定ベクター内のヌクレオチド配列に相補的であるように、すなわち、サンガーの酵素的連鎖終結配列決定反応で使用される配列決定プライマーの結合部位の上流(すなわち、5’末端)となるように合成される。この実施形態において、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーは、連鎖終結配列決定反応の間の配列決定プライマーの伸長の前か、または後のいずれかに配列決定プライマーに酵素的に連結される。この実施形態において、移動度改変配列特異的核酸配列が合成されて、その結果、一旦鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズされると、その3’末端は、ハイブリダイズされた配列決定プライマーの5’末端に直接的に沿うか、または3’末端は、配列決定プライマーの5’末端の上流の配列にハイブリダイズするかのいずれかである。後者の例において、得られたギャップは、核酸ポリメラーゼで充填され、そして、伸長された分子は、次いで、配列決定プライマーに酵素的に連結される。
本発明の別の実施形態は、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーおよび移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリヌクレオチドの分離および検出に関する。オリゴヌクレオチドの分離は、電気泳動、クロマトグラフィー、質量分析によってもたらされる。電気泳動を使用する方法において、フォーマットは、薄く平らのチャンバーであり得る。別の実施形態において、分離は、キャピラリーチューブ中での電気泳動によって行われる。キャピラリー電気泳動の利点は、効率的な熱損失であり、これは、分離能を増大して、そして、高電場下での迅速な分離を可能にする。さらに、キャピラリーチューブの小さい直径は、キャピラリーアレイにおける複数のサンプルの分離を可能にする。
ふるい媒体または非ふるい媒体は、本明細書中で開示される検出方法において生成される反応産物を含むが、これに限定されない移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーの分離に適用可能である。ふるい媒体としては、共有結合的に架橋されたマトリクス(例えば、ビスアクリルアミドで架橋されたポリアクリルアミド)(例えば、Cohen,A.S.ら、(1998)Rapid separation and purification of oligonucleotides by high performance capillary gel electrophoresis,Proc.Natl Acad. Sci USA 85:9660;Swerdlow,Hら、(1990)、Capillary gel electrophoresis for rapid,high resolution DNA sequencing,Nuc.Acids.Res.18(6):1415−1419)、または直鎖状ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルソース)(Zhuら、(1992),J.Chromatogr.480:311−319;Nathakarnikitkool,S.ら、(1992),Electrophoresis 13:18−31を参照のこと)が挙げられる。
1つの実施形態において、電気泳動媒体は、非ふるい媒体である。ポリヌクレオチドは非ふるい媒体中では容易に分離可能ではないけれども、移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーおよび移動度改変ヌクレオ塩基ポリヌクレオチドは、ヌクレオ塩基ポリマーおよびヌクレオ塩基ポリヌクレオチドが同じ長さである場合でさえ、非ふるい媒体中での分離を可能にする、荷電と並進摩擦抵抗との異なる比率を有する。
(4.7 キット)
本発明のキットは、1つ以上の移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを含む。このキットはまた、第2のヌクレオ塩基ポリマー、代表的にはオリゴヌクレオ塩基を含み、これは、必要に応じて、移動度が改変され、ここで、企図されるアッセイは、第2のオリゴヌクレオチドを必要とする;例えば、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイおよびPCR分析のためのキット。同様に、リガーゼ鎖反応増幅のために設計されたキットは、少なくとも2つのさらなるヌクレオ塩基ポリマーをさらに含み、これらは共に、診断リガーゼ反応産物に相補的である。このキットはさらに、処理試薬(例えば、制限酵素、DNAポリメラーゼ、RNase、ミスマッチ結合タンパク質、リガーゼおよびエキソヌクレアーゼ)もまた含み得る。配列決定に適切なプライマー伸長キット、または、単一塩基多型を検出するためのオリゴヌクレオチド伸長アッセイはさらに、ヌクレオシド三リン酸、および/または鎖終結ヌクレオチドを含む。このキットはまた、ハイブリダイゼーションおよび酵素処理を実行するための反応緩衝液を含み得る。
本発明はさらに、本発明の1つ以上の移動度改変ホスホルアミダイト試薬を含むキットを含む。このようなキット中の1つ以上の移動度改変ホスホルアミダイト試薬はさらに、1つ以上の保護基、レポーター分子、またはリガンドを含み得る。このようなキットはまた、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの合成における使用のための、1つ以上の溶媒、試薬または固相表面結合ヌクレオ塩基材料を含み得る。
(5.実施例)
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態および局面を図示するために役立ち、本発明の範囲を制限するように解釈されるべきでない。
(実施例1)
(DMT保護ポリ(エチレンオキシド)アルカリホスホラミダイトの合成)
ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンを、トルエン中で三塩化リンおよびジイソプロピルアミンを反応させることにより合成した。50mlの得られたビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィンを、250mlのフラスコに配置し、そして、3.01mlのエタノールを、2分間にわたりゆっくりと添加して、数日間この反応を進行させた。混合物の濾過および溶媒の除去後、ビス(ジイソプロピルアミノ)エチルホスファイトエステル試薬の構造を、31PおよびH NMR(CDCN中の31P NMR、125.9ppm)で分析した。
モノジメトキシトリチル(DMT)保護化ペンタエチレンオキシド(3.0gm、5.5mmole)テトラゾールジイソプロピルアミン塩(0.095gm、0.055mmole)を、10mlのメチレンクロリド中に溶解して、ビス(ジイソプロピルアミノ)エチルホスファイトエステル(1.75gm、7.2mmole)と15時間反応させた。ホスホラミダイト産物、DMT−ペンタエチレンオキシドエチル−N,N−ジイソプロピルホスホラミダイトを、飽和NaHCO溶液で2回洗浄し、その後、飽和NaCl溶液で3回洗浄し、そして、NaSOで乾燥させた。この溶液を、トリエチルアミン(TEA)(100μl)を添加して塩基化し、そして、溶媒を除去した。回収された粗製物(4.2gm)を、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製して、2.8gmの産物(CDCN中の31P NMR、145.3ppm)を得た。エチルエステルが欠如した移動度改変ホスホラミダイト試薬を合成するために、DMT保護テトラエチレンオキシドを、βシアノエチルクロロN,N−ジイソプロピルアミノホスファイトと、標準的条件下(例えば、Levenson.C.ら、米国特許第4,914,210号を参照のこと)で反応させた。
(実施例2)
(移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの合成)
3’ヌクレオシドで、テトラメチルローダミンを用いて標識された配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーを、標準的ホスホラミダイト化学を使用して、Applied Biosystems 394合成機で合成した。移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを合成するために、実施例1のホスホラミダイト試薬を、固定されたヌクレオ塩基ポリマーの5’OH末端と反応させた。その後のヨウ素を用いた酸化、および塩基を用いた脱保護は、βシアノエチルホスファイト結合をリン酸ジエステル結合に転換するが、エチルホスファイト結合は、エチルリン酸トリエステル結合に転換される。固体支持体からの切断および55℃での4時間の塩基を用いた脱保護の後、ヌクレオ塩基ポリマーを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した。80%の酢酸100μlでの15分間の処置により、最終DMT保護基を除去した。移動度改変ヌクレオ塩基ポリマーを、を、PD10カラムで精製した。
(実施例3)
(移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの分離特性)
一連の12残基のヌクレオ塩基ポリマー(「12mer」)を合成し、ここで、このポリマーは、荷電リン酸ジエステル(PEO)結合、または非荷電エチルリン酸トリエステル(PEE)結合のいずれかを介してペンタエチレンオキシドの異なる移動度改変モノマーユニットに結合しており、これらを、実施例2に記載のように合成した。各化合物についての相対的な電気泳動移動度プロフィールを、非ふるい媒体におけるキャピラリー電気泳動(Applied Biosystems 310 Genetic Analyzer)による分離によって評価した。蛍光内部サイズ標準により、GeneScan(登録商標)ソフトウェアを使用するピーク遅延分析についての参照マーカーを提供した。
非改変の12merヌクレオ塩基ポリマーは、24.7の明らかな塩基サイズで移動する。負に荷電したリン酸ジエステル結合を介してヌクレオ塩基ポリマー部分に共有結合されたペンタエチレンオキシドの3つのユニットの結合は、5.3塩基だけ12merの移動度を遅延させるが、非荷電エチルリン酸トリエステル結合を介して結合されたペンタエチレンオキシドの単一のモノマーユニットだけでの改変は、8.3塩基だけ移動度を遅延させる。さらに、非荷電エチルリン酸トリエステル結合を介して結合された、さらなるペンタエチレンオキシドユニットの結合は、オリゴヌクレオチドの移動度の非線形の減少を生じる。

TMRA:カルボキシテトラメチルローダミン
PEO:リン酸ジエステル結合ペンタエチレンオキシド
PEE:エチルリン酸トリエステル結合ペンタエチレンオキシド
(実施例4)
(インベーダーアッセイの合成改変オリゴヌクレオチド産物の分析)
インベーダーアッセイと一般にいわれるSNP同定手順は、標的核酸にハイブリダイズする2つの重複するオリゴヌクレオチドによって形成された構造のフラップエンドヌクレアーゼ切断に基づく(例えば、Cookseyら、2000、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 44:1296−1301を参照のこと)。このような切断反応は、下流オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドまたは5’末端オリゴヌクレオチドに対応する産物を放出する。これらの切断産物を標識し、そして、非切断オリゴヌクレオチドから分離し得る場合、インベーダーアッセイを使用して、例えば、ゲノム配列またはPCR増幅ゲノム配列中の単一塩基差異を識別し得る。
例えば、インベーダーアッセイにおける使用のための、本発明の移動度改変ポリマーセグメントの有用性を立証するために、表2(これは、インベーダーアッセイ内で生成し得る例示的な反応産物を示す)の化合物を、上に開示される方法を使用して合成した。表2の化合物の各々を、指標として蛍光色素を用いて、5’末端を標識した。これらの化合物の各々の相対的移動度を、Applied Biosystems機器、モデル番号310を使用して、キャピラリー電気泳動により決定し、そして、データ分析を、GeneScanソフトウェアバージョン2.1fc4を使用して実施した。

FAM:カルボキシフルオレセイン
PEO:リン酸ジエステル結合ペンタエチレンオキシド
PEE:エチルリン酸トリエステル結合ペンタエチレンオキシド
表2中のデータは、本発明の移動度改変ポリマーセグメントにより提供される移動度に対して、特に、当該分野のリン酸ジエステル結合ペンタエチレンオキシドモノマーと比較して、予想外の大きな効果を立証する。表2のデータはさらに、本発明の移動度改変ホスホラミダイト機能付与試薬を使用して得られ得る電気泳動分離の程度を実証する。さらに、表2のデータはまた、中間移動の化合物が、本発明の移動度改変ホスホラミダイト機能付与試薬と、非限定的な例として、当該分野のリン酸ジエステル結合ペンタエチレンオキシドモノマーとを合わせることによって得られる、ということを立証する。
(実施例5)
(インベーダーアッセイの切断化改変オリゴヌクレオチド産物の分析)
本発明の第1の移動度改変ポリマー、移動度改変ホスホラミダイト機能付与試薬((PEE))のダイマーに連結された蛍光色素(FAM)を含むインベーダーアッセイプローブを、標準的DNA合成方法およびPEEホスホラミダイト試薬を使用して合成し、これらは以下のオリゴヌクレオチドに連結される:5’−GGGACGGGGTTCAGC−3’−NH。支持体からの切断および55℃での4時間の塩基を用いた脱保護の後、このオリゴヌクレオチドをHPLCで精製した。オリゴヌクレオチド:5’−FAM−(PEE)−GGGACGGGGTTCAGC−3’−NHを、水に溶解して、NaHCOの存在下にて2時間、第2の移動度改変ポリマー、モノ−メチルポリエチレングリコール5000プロピオン酸N−スクシニミジルエステル(Fluka)と連結させ、そして、HPLCで精製し、誘導化された移動度改変産物5’−FAM−(PEE)−GGGACGGGGTTCAGC−3’−PEG 5000を得た。
インベーダーアッセイを、以下のPCRプライマーを使用して、TNF−α遺伝子に対応するヒトゲノムDNAのセグメントの増幅により生成した527bpのPCR産物を鋳型として使用して、実施する:5’−GAGTCTCCGGGTCAGAATGA(順方向)および5’−TCTCGGTTTCTTCTCCATCG(逆方向)。インベーダーアッセイの最初の工程において、約0.2pmoleのPCR産物を、95℃で5分間、5pmoleのインベーダープローブ(invading probe)(5’−GAGGCAATAGTTTTTGAGGGGCATGT)の存在下で変性させた。第2の工程において、50ngのCleavase VIIを、10pmoleの5’−移動度改変オリゴヌクレオ塩基プローブ(5’−FAM−(PEE)−GGGACGGGGTTCAGC−3’PEG 5000)を一緒に添加して、10μlの総反応容積はさらに、10mMのMOPS(pH8.0)、7.5mMのMgCl、0.05%のTween 20および0.05%のNonidet P40を含む。インベーダーアッセイを、66℃にて15時間インキュベートする。この反応を終結して、その1μlのアリコートをApplied Biosystems機器、モデル番号310で電気泳動して、データ分析をGeneScanソフトウェアバージョン2.1fc4を使用して実施した。結果の分析は、切断産物である5’−FAM−(PEE)−Gの存在を実証して、これらは、非切断プローブ(5’−FAM−(PEE)−GGGACGGGGTTCAGC−3’−PEG 5000)から十分に分離される。非切断プローブを、第2の移動度改変ポリマーとして、3’末端標識プローブ(5’−FAM−(PEE)−GGGACGGGGTTCAGC−3’)に結合した市販のモノメチルポリエチレングリコールポリマー産物内に含まれる複数の分子量種から生じる、複数の近間隔ピークとして検出した。
本明細書中で言及される全ての出版物および特許は、本明細書中でその全体が参考として援用される。分子生物学の当業者によって認識されるように、移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマーの使用は、種々の方法に適応可能である。上記の方法および組成物の様々な改変およびバリエーションが、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、当業者に理解される。特定の例として、本発明の様々な実施形態が、DNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドを用いて記述的に例示され得るが、当業者は、記述された実施形態が、他のヌクレオ塩基ポリマーもまた(RNAオリゴヌクレオチドおよびDNAオリゴヌクレオチドのアナログおよび誘導体を含む)を用いて作動することを理解する。特許請求の範囲の特定の好ましい実施形態が記載されるが、特許請求される本発明は、特定の実施形態に限定されるべきでない。当業者に明らかな、記載された型式の様々な改変が、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。

Claims (1)

  1. 本明細書中に記載される移動度改変配列特異的ヌクレオ塩基ポリマー。
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