JP2009240227A - 乾燥物及び該乾燥物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有用成分の減少を可及的に防止して品質が高く、また製造コストが廉価な乾燥物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 被乾燥物Hに含まれる有用成分以外の成分を利用して生育する微生物を乾燥槽1内の被乾燥物Hに生育させ、当該微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物Hを乾燥させて乾燥物を製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】 被乾燥物Hに含まれる有用成分以外の成分を利用して生育する微生物を乾燥槽1内の被乾燥物Hに生育させ、当該微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物Hを乾燥させて乾燥物を製造する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、有用成分を含有する植物体及び/又はその搾汁残滓を乾燥させてなる乾燥物、並びに当該乾燥物の製造方法に関する。
人参に含まれるカロテンは、ビタミン源としてヒトに有用であるが、家畜にあっても、雌の妊娠率を向上させ、また食用卵の黄身色を改善する等の作用を有するため有用である。
かかるカロテンは、生人参以外に、ジュース製造工場において生人参から搾汁した後に発生する人参残滓にも比較的多く残存している。
しかし、このような生人参及び人参残滓は含水率が高いため、長期保存することができないという問題があった。特に、人参残滓にあっては短時間の内に腐敗するため、その大部分が焼却処分されており有効利用がなされていない。
そのため、後記する特許文献1には、そのような生ゴミから飼料を製造すべく次のような製造機が開示されている。
すなわち、製造機は、原料を投入する横長のドラムと、該ドラム内に回転可能に配設した撹拌アームと、前記ドラム内に熱風を供給するバーナーとを備え、バーナーからドラム内へ熱風を供給しつつ、ドラム内に投入された原料を撹拌アームで撹拌することによって、原料を乾燥させていた。
特開2000−262265号公報
このような製造機によって原料を効率良く加熱乾燥させるためには、ドラム内の温度を200℃程度と、比較的高い温度にしなければならない。しかし、そのような高温で人参又は人参残滓を処理した場合、原料中の有用成分であるカロテンが熱分解されるため、加熱乾燥して得られる乾燥物のカロテン含有量が減少し、飼料としての品質が低下するという問題があった。
また、加熱乾燥では大量の燃料を要するため、製造コストが嵩むという問題もあった。
また、加熱乾燥では大量の燃料を要するため、製造コストが嵩むという問題もあった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、有用成分の減少を可及的に防止して品質が高く、また製造コストが廉価な乾燥物、及び該乾燥物の製造方法を提供する。
(1) 本発明に係る乾燥物は、有用成分を含有する植物体及び/又は該植物体を搾汁して得られる残滓を原料とする被乾燥物を所要の水分含有量まで乾燥させてなる乾燥物において、前記被乾燥物に含まれる前記有用成分以外の成分を利用して生育する微生物を前記被乾燥物に生育させ、当該微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物を乾燥させてなることを特徴とする。
本発明の乾燥物は、微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物を乾燥させてなるため、比較的低い温度で被乾燥物が乾燥されており、被乾燥物中の有用成分が熱分解されることが回避されている。一方、被乾燥物中の有用成分を実質的に資化せず、被乾燥物中の有用成分以外の成分を利用して増殖する微生物が用いられているため、被乾燥物に含まれる大部分の有用成分が乾燥物中に残留している。すなわち、かかる乾燥物の単位質量当たりの有用成分の質量は、乾燥前の単位乾物質量当たりの有用成分の質量の略80%以上である。従って、高品質の乾燥物を提供することができる。
一方、乾燥のための熱エネルギを外部から供給せずにすむため、製造コストを廉価にすることができる。また、かかる乾燥物は被乾燥物に比べて嵩高が減少しており、また保存性も向上しているので、搬送作業及び保存作業が効率化される。
(2) 本発明に係る乾燥物は必要に応じて、前記植物体は人参であり、前記有用成分としてカロテンを含んでなることを特徴とする。
カロテンは、ビタミン源としてヒトに対して有用である。また、家畜にあっては、雌の妊娠率を向上させ、また食用卵の黄身色を改善する。人参はかかる作用を有する天然カロテンを多量に含有しており、国内での収穫量も多い。従って、前記植物体を人参とすることによって、有用成分たる天然カロテンの含有量が高く、廉価な乾燥物を提供することができる。
カロテンは、ビタミン源としてヒトに対して有用である。また、家畜にあっては、雌の妊娠率を向上させ、また食用卵の黄身色を改善する。人参はかかる作用を有する天然カロテンを多量に含有しており、国内での収穫量も多い。従って、前記植物体を人参とすることによって、有用成分たる天然カロテンの含有量が高く、廉価な乾燥物を提供することができる。
(3) 本発明に係る乾燥物は必要に応じて、前述したいずれの場合にあっても、前記微生物は麹菌であることを特徴とする。
麹菌を生育させて被乾燥物を乾燥させた乾燥物は、含有される麹菌による整腸作用、麹菌により産生された消化酵素による消化作用を奏する。このように、乾燥物は整腸作用及び消化作用を奏するため、機能性が高い優れた補助食品又は飼料となる。
麹菌を生育させて被乾燥物を乾燥させた乾燥物は、含有される麹菌による整腸作用、麹菌により産生された消化酵素による消化作用を奏する。このように、乾燥物は整腸作用及び消化作用を奏するため、機能性が高い優れた補助食品又は飼料となる。
(4) 本発明に係る乾燥物の製造方法は、有用成分を含有する植物体及び/又は該植物体を搾汁して得られる残滓を原料とする被乾燥物を所要の水分含有量まで乾燥させて乾燥物を製造する方法において、前記被乾燥物に含まれる前記有用成分以外の成分を利用して生育する微生物を前記被乾燥物に生育させ、当該微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物を乾燥させることを特徴とする。
本発明の乾燥物の製造方法は、微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物を乾燥させるため、比較的低い温度で被乾燥物を乾燥させることができ、被乾燥物中の有用成分が熱分解されることが回避することができる。一方、被乾燥物中の有用成分を実質的に資化せず、被乾燥物中の有用成分以外の成分を利用して増殖する微生物を用いるため、被乾燥物に含まれる大部分の有用成分を乾燥物中に残留させることができる。
一方、乾燥のための熱エネルギを外部から供給せずにすむため、製造コストを廉価にすることができる。
一方、乾燥のための熱エネルギを外部から供給せずにすむため、製造コストを廉価にすることができる。
(本発明の実施形態)
図1は、本発明に係る乾燥物を製造する装置の要部構成を示す模式的側断面図であり、図中、Hは有用成分を含有する植物体及び/又は該植物体を搾汁して得られる残渣を主原料とする被乾燥物、1は微生物の発酵熱によって被乾燥物Hを乾燥させる乾燥槽である。
図1は、本発明に係る乾燥物を製造する装置の要部構成を示す模式的側断面図であり、図中、Hは有用成分を含有する植物体及び/又は該植物体を搾汁して得られる残渣を主原料とする被乾燥物、1は微生物の発酵熱によって被乾燥物Hを乾燥させる乾燥槽である。
平面視が帯状をなした乾燥槽1の底面には複数の枝管33,33,…が乾燥槽1の短辺と平行に、それぞれ乾燥槽1の長手方向へ適宜の距離を隔てて配置されており、各枝管33,33,…にはそれぞれ複数の吹出孔が開設してある。
各枝管33,33,…の一端は乾燥槽1の長手方向へ配した主管に連結されており、該主管の一端は送風機(いずれも図示せず)に連結してある。そして、送風機によって生起された風は主管を介して各枝管33,33,…内へそれぞれ流入し、各枝管33,33,…に開設された各吹出孔から被乾燥物H内へ供給されるようになっている。
また、乾燥槽1の上部には被乾燥物Hを撹拌する撹拌機5が配置してある。この撹拌機5は、乾燥槽1の側壁11(,11)上を乾燥槽1の長手方向へ走行可能に構成された機体50を備えており、該機体50には乾燥槽1内へ適宜長だけ延出された一対のアーム54a(,54a)が固定してある。このアーム54a(,54a)の下端には、乾燥槽1の幅寸法より少し短い長さ寸法を有する回転軸56が乾燥槽1の短辺及び底面と平行に支持されており、該回転軸56の周面には、前記各枝管33,33,…に接触しない長さ寸法になした棒状の複数の撹拌爪57,57,…の基端部が回転軸56の周方向及び回転軸56の軸長方向へ適宜の間隔で固定してある。
そして、撹拌機5は、回転軸56及び撹拌爪57,57,…を回転させつつ、乾燥槽1の長手方向へ走行することによって、乾燥槽1内の被乾燥物Hを撹拌・混合するようになっている。
ここで、被乾燥物Hの主原料としては、有用成分を含有する植物体及び/又は該植物体の搾汁残渣を用いる。例えば有用成分としてカロテンを含有する人参及び/又は人参を搾汁して得られた残渣を用いることができる。
また、被乾燥物Hの副原料としては、でん粉、ぶどう糖又は椪等の糖質、食用油又はその廃油といった脂質等を、主原料及び乾燥に使用する微生物に応じて適量使用する。
また、被乾燥物Hの副原料としては、でん粉、ぶどう糖又は椪等の糖質、食用油又はその廃油といった脂質等を、主原料及び乾燥に使用する微生物に応じて適量使用する。
一方、被乾燥物Hの乾燥に使用する微生物としては麹菌を用いることができる。具体的には、Aspergillus awamori、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojaeを単独で、又は組み合わせて用いることができる。
かかる麹菌は、アルコール、みそ又は醤油の製造に使用されており、人間及び家畜が摂取しても身体に悪影響を及ぼさないことはよく知られている。一方、後述するように麹菌は、その生育にカロテンを利用せずにカロテンを実質的に資化しないので、主原料に含まれるカロテンの略全量が乾燥物中に残留することとなる。
次に、このような装置を用いて、被乾燥物Hを乾燥させた乾燥物を製造する方法について説明する。
前述した乾燥槽1内には、直前の乾燥操作によって製造された乾燥物の一部が菌床として格納されている。すなわち、菌床は被乾燥物Hを培養基として麹菌を培養させることによって形成されている。
前述した乾燥槽1内には、直前の乾燥操作によって製造された乾燥物の一部が菌床として格納されている。すなわち、菌床は被乾燥物Hを培養基として麹菌を培養させることによって形成されている。
かかる菌床の水分含量は20%程度から25%程度であり、この菌床に適宜量の新たな被乾燥物Hを投入して、全体の水分含量を30%程度から35%程度になす。
なお、被乾燥物Hとして人参といった比較的大きな植物体を用いる場合は、予め麹菌の培養に適した大きさに細断しておく。また、被乾燥物Hは加熱殺菌しないものも適用することができるが、例えば100℃の水蒸気を用いて数分間加熱殺菌しておくとよい。
そして、前述した如く各枝管33,33,…から乾燥槽1内の被乾燥物H中へ外気を供給しつつ、適宜の時間間隔で撹拌機5を駆動させて、乾燥槽1内の被乾燥物Hと菌床とを撹拌・混合させることによって、麹菌を被乾燥物Hに増殖させる。
被乾燥物Hを培養基として麹菌が増殖・発酵するにつれて、発酵熱が発生して被乾燥物Hが30℃程度から50℃程度に昇温されるので被乾燥物H中の水分が蒸発し、これによって被乾燥物Hが乾燥される。これに加え、麹菌の生育には水分が必要であるので、麹菌の増殖に伴って被乾燥物Hに含まれる水分が麹菌に吸収され、被乾燥物Hの乾燥が促進される。
その結果、新たな被乾燥物Hを乾燥槽1に投入してから略24時間培養乾燥処理することによって、水分含量が略20%程度まで乾燥させた乾燥物を得ることができる。
かかる乾燥物はその一部を前述した菌床として乾燥槽1内に残しておき、他の大部分を製品として乾燥槽1から搬出させる。これによって、乾燥槽1内に残した菌床を次の乾燥処理においてそのまま使用することができる。なお、菌床中の麹菌の状態によっては、乾燥槽1とは別に調製した菌床及び/又は麹菌を乾燥槽1内の菌床に添加するようにしてもよい。
このように、比較的低い温度で被乾燥物Hを乾燥させることができるため、被乾燥物H中の有用成分が熱分解されることを回避することができる。更に、前述した如く被乾燥物H中の有用成分を実質的に資化せず、被乾燥物H中の有用成分以外の成分を利用して増殖する微生物を使用しているため、被乾燥物Hに含まれる略全ての有用成分が乾燥物中に残留する。更に、かかる乾燥物は含有する麹菌による整腸作用、麹菌により産生された消化酵素による消化作用を奏する。
従って、かかる乾燥物は当該有用成分を補給するための補助食品又は飼料として利用することができる。このとき、乾燥物は前述したように整腸作用及び消化作用を奏するため、機能性が高い優れた補助食品又は飼料となる。
一方、熱エネルギを外部から供給せずに被乾燥物Hを乾燥することができるため、乾燥物の製造コストを廉価にすることができる。また、このようにして製造した乾燥物は、被乾燥物Hに比べて嵩高が減少しており、また保存性も向上しているので、搬送作業及び保存作業が効率化される。
ところで、乾燥度を更に高くなした二次乾燥物を製造するには次のように行う。
ところで、乾燥度を更に高くなした二次乾燥物を製造するには次のように行う。
すなわち、図1に示した如き乾燥槽を複数設けておき、前述した如く水分含量を略20%程度まで乾燥させて乾燥槽1から搬出した一次乾燥物を、いずれかの乾燥槽に搬入する。そして、前同様、乾燥槽内の一次乾燥物に通気しつつ、適宜の時間間隔で一次乾燥物を撹拌・混合して麹菌を培養する二次乾燥操作を、1日間から2日間程度実施することによって、水分含量が15%以下の二次乾燥物を得る。
このように、一次乾燥物を製造する乾燥槽1とは別に複数の他の乾燥槽を設けておき、一次乾燥物をいずれかの他の乾燥槽に搬入して二次乾燥操作を実施するため、一次乾燥物を製造する乾燥槽1においては、一次乾燥操作を略24時間周期で実施することができ、菌床の増殖活性を高いレベルに維持しつつ、一次乾燥を効率的に行うことができる。
なお、被乾燥物Hの主原料としては、有用成分としてカロテンを含有する人参及び/又は人参を搾汁して得られた残渣以外にも、乾燥に用いる微生物によって実質的に資化されることなくほとんど乾燥物中に残存する有用成分を含む植物体及び/又は該植物体を搾汁して得られた残渣を用いることができる。例えば、前述した麹菌を用いる場合、有用成分としてポリフェノールを含有するブドウ、及び/又はブドウを搾汁して得られた残渣を被乾燥物Hの主原料とすることができる。
(実施例1)
次に、被乾燥物として食用人参を用いて前述した如く乾燥物を製造した結果について説明する。
図2は、本発明に係る乾燥物、その原料とした食用生人参、及び当該食用人参を強熱乾燥させた強熱乾燥物のカロテン含有量を比較した結果を示すヒストグラムであり、図3は、図2に示した本発明に係る乾燥物、食用生人参及び強熱乾燥物の単位乾燥物質量当たりのカロテン含有量を比較した結果を示すヒストグラムである。
次に、被乾燥物として食用人参を用いて前述した如く乾燥物を製造した結果について説明する。
図2は、本発明に係る乾燥物、その原料とした食用生人参、及び当該食用人参を強熱乾燥させた強熱乾燥物のカロテン含有量を比較した結果を示すヒストグラムであり、図3は、図2に示した本発明に係る乾燥物、食用生人参及び強熱乾燥物の単位乾燥物質量当たりのカロテン含有量を比較した結果を示すヒストグラムである。
なお、図中、本発明例1は、麹菌としてAspergillus awamoriを使用し、前述した乾燥装置によって二次乾燥まで行った。
一方、強熱乾燥物は200℃で5分間加熱することによって製造した。
また、いずれの試料も80℃で90分間加熱することによって乾燥質量とした。
一方、強熱乾燥物は200℃で5分間加熱することによって製造した。
また、いずれの試料も80℃で90分間加熱することによって乾燥質量とした。
両図2,3中、(a)はα−カロテンの含有量を示しており、(b)はβ−カロテンの含有量を示しており、(c)は総カロテン含有量を示している。両図2,3から明らかな如く、乾燥物質量100g当たりの総カロテン含有量は、食用生人参では86.7mgであり、強熱乾燥物では57.8mgと食用生人参の場合より略33%も減少しているのに対し、本発明に係る乾燥物では107.3mgと食用生人参より高いものであった。
なお、本発明に係る乾燥物の単位乾燥物質量当たりの総カロテン含有量が食用生人参の場合より高いのは、後記する図5に示すように、食用生人参の炭水化物といった可溶性無機窒素物(NFE)が麹菌の生育に伴って資化されたため、単位乾燥物質量当たりの総カロテン量が相対的に高くなったためであると考えられる。
このように本発明に係る乾燥物にあっては、有用成分であるカロテンが熱分解及び資化によって減少することなく、原料の食用生人参に含有されるカロテンのほとんどが乾燥物に残存していた。
(実施例2)
次に、他の麹菌を用いて乾燥物を製造した結果について説明する。
図4は、Aspergillus awamori、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojaeを用いて、実施例1と同様に製造した乾燥物の単位乾燥物質量当たりの総カロテン含有量を比較した結果を示すヒストグラムである。
図4から明らかな如く、いずれの麹菌を用いた場合であっても、原料の食用生人参に含有されるカロテンのほとんどが乾燥物に残存していた。
次に、他の麹菌を用いて乾燥物を製造した結果について説明する。
図4は、Aspergillus awamori、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojaeを用いて、実施例1と同様に製造した乾燥物の単位乾燥物質量当たりの総カロテン含有量を比較した結果を示すヒストグラムである。
図4から明らかな如く、いずれの麹菌を用いた場合であっても、原料の食用生人参に含有されるカロテンのほとんどが乾燥物に残存していた。
(実施例3)
次に、人参搾汁残渣及び人参搾汁残渣を用いて製造した乾燥物に含まれる各種物質を比較した結果について説明する。
図5は、人参搾汁残渣及び該人参搾汁残渣に麹菌を生育させて製造した乾燥物にそれぞれ含まれる各成分の割合を比較した結果を示すヒストグラムであり、分析した各成分において、左側(L)は人参搾汁残渣の結果を、右側(R)は乾燥物の結果をそれぞれ示している。
なお、各値は単位乾物質量当たりに含有される割合で示してある。また、麹菌としてはAspergillus awamoriを用いた。
次に、人参搾汁残渣及び人参搾汁残渣を用いて製造した乾燥物に含まれる各種物質を比較した結果について説明する。
図5は、人参搾汁残渣及び該人参搾汁残渣に麹菌を生育させて製造した乾燥物にそれぞれ含まれる各成分の割合を比較した結果を示すヒストグラムであり、分析した各成分において、左側(L)は人参搾汁残渣の結果を、右側(R)は乾燥物の結果をそれぞれ示している。
なお、各値は単位乾物質量当たりに含有される割合で示してある。また、麹菌としてはAspergillus awamoriを用いた。
図5から明らかな如く、分析した各成分の内、粗蛋白質、粗脂肪、粗繊維及び粗灰分にあってはいずれも乾燥物の方が人参搾汁残渣より高かった。これは、麹菌の菌体成分に起因するためであると考えられる。
一方、可溶性無機窒素(NFE)にあっては、乾燥物の方が人参搾汁残渣より低かった。これは、麹菌の生育に伴って、人参搾汁残渣中の可溶性無機窒素が消費されるためであると考えられる。
(実施例3)
表1は、人参搾汁残渣及び該人参搾汁残渣に麹菌を生育させて製造した乾燥物にそれぞれ含まれる各酵素の活性を比較した結果を示すものである。酵素については、グルコアミラーゼ、α―グルコシダーゼ、α―アミラーゼ、及び酸性プロテアーゼについてその活性を測定した。また、それぞれの値は、単位乾燥物質量当たりに換算してある。
表1は、人参搾汁残渣及び該人参搾汁残渣に麹菌を生育させて製造した乾燥物にそれぞれ含まれる各酵素の活性を比較した結果を示すものである。酵素については、グルコアミラーゼ、α―グルコシダーゼ、α―アミラーゼ、及び酸性プロテアーゼについてその活性を測定した。また、それぞれの値は、単位乾燥物質量当たりに換算してある。
表1から明らかな如く、人参搾汁残渣にあっては、いずれの酵素活性も測定下限値以下、又は極微少の活性値であった。
一方、本発明に係る乾燥物にあっては、いずれの酵素活性も有意に検出され、特にグルコアミラーゼ、α―アミラーゼ及び酸性プロテアーゼについては消化補助作用も奏する値であった。
一方、本発明に係る乾燥物にあっては、いずれの酵素活性も有意に検出され、特にグルコアミラーゼ、α―アミラーゼ及び酸性プロテアーゼについては消化補助作用も奏する値であった。
(比較例)
次に、比較例について説明する。
次の表2は、後記する非特許文献1(表1)に記載されたものであり、生人参に乳酸菌を生育させた場合のβ―カロテン含有量の消長について示してある。
次に、比較例について説明する。
次の表2は、後記する非特許文献1(表1)に記載されたものであり、生人参に乳酸菌を生育させた場合のβ―カロテン含有量の消長について示してある。
表2から明らかな如く、生人参に乳酸菌を生育させたサイレージの場合、β―カロテンの含有量は生人参より略34%減少していた。
従って、前述した乾燥物の製造に乳酸菌を使用することはできない。
北海道農業試験場草地部試料調製研究室、「にんじんサイレージ給与による乳牛の血液中・牛乳中β−カロテン濃度の向上」、独立行政法人 農業・生物系特定技術研究機構 畜産装置研究所、畜産成果情報第7巻(平成4年度)シリアルナンバー0735
従って、前述した乾燥物の製造に乳酸菌を使用することはできない。
北海道農業試験場草地部試料調製研究室、「にんじんサイレージ給与による乳牛の血液中・牛乳中β−カロテン濃度の向上」、独立行政法人 農業・生物系特定技術研究機構 畜産装置研究所、畜産成果情報第7巻(平成4年度)シリアルナンバー0735
1 乾燥槽
5 撹拌機
33 枝管
50 機体
54a アーム
56 回転軸
57 撹拌爪
5 撹拌機
33 枝管
50 機体
54a アーム
56 回転軸
57 撹拌爪
Claims (4)
- 有用成分を含有する植物体及び/又は該植物体を搾汁して得られる残滓を原料とする被乾燥物を所要の水分含有量まで乾燥させてなる乾燥物において、
前記被乾燥物に含まれる前記有用成分以外の成分を利用して生育する微生物を前記被乾燥物に生育させ、当該微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物を乾燥させてなることを特徴とする乾燥物。 - 前記植物体は人参であり、前記有用成分としてカロテンを含んでなる請求項1記載の乾燥物。
- 前記微生物は麹菌である請求項1又は2記載の乾燥物。
- 有用成分を含有する植物体及び/又は該植物体を搾汁して得られる残滓を原料とする被乾燥物を所要の水分含有量まで乾燥させて乾燥物を製造する方法において、
前記被乾燥物に含まれる前記有用成分以外の成分を利用して生育する微生物を前記被乾燥物に生育させ、当該微生物の生育によって生じる発酵熱によって被乾燥物を乾燥させることを特徴とする乾燥物の製造方法。
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2008
- 2008-03-31 JP JP2008090947A patent/JP2009240227A/ja active Pending
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