JP2009240138A - リニアアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】高効率での加振が可能であり、且つ、高周波に対する応答性の優れた振動が可能なリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】中心軸線Oに沿って2つのコイル16,18及び磁極を形成する3つのティース12〜14が並設された固定子10と、中心軸線Oに沿って往復移動可能に設けられ該中心軸線Oの方向で一対のヨーク21,22にて永久磁石23を挟み込んでなる可動子20と、コイル16,18の非通電時に可動子20を可動範囲の中央位置に復帰させるとともに固定子10との空隙Cを確保する2枚の板バネ31,32とを有する。永久磁石23は、中心軸線Oの方向に着磁されており、永久磁石23の中心軸O線に沿った長さLMは、固定子10の中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLT以下に設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】中心軸線Oに沿って2つのコイル16,18及び磁極を形成する3つのティース12〜14が並設された固定子10と、中心軸線Oに沿って往復移動可能に設けられ該中心軸線Oの方向で一対のヨーク21,22にて永久磁石23を挟み込んでなる可動子20と、コイル16,18の非通電時に可動子20を可動範囲の中央位置に復帰させるとともに固定子10との空隙Cを確保する2枚の板バネ31,32とを有する。永久磁石23は、中心軸線Oの方向に着磁されており、永久磁石23の中心軸O線に沿った長さLMは、固定子10の中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLT以下に設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、リニアアクチュエータに関するものである。
リニアアクチュエータは、バネを併用し共振させることによって少ない損失で駆動できることから、加振アクチュエータ等として利用されている。そして、このリニアアクチュエータを用いた加振アクチュエータ等は高効率である等優れた性能を発揮できることから、各種防振アクチュエータとしての利用が期待されている。
従来、こうしたリニアアクチュエータとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このリニアアクチュエータでは、非通電時に可動部磁気回路部材としての可動子は、その可動範囲の両端位置で停止するとともに、該停止位置を保持する。
特開2005−245047号公報
特開平7−303363号公報
ところで、特許文献1のリニアアクチュエータを加振アクチュエータとして使用する場合、可動子の可動範囲の中央位置を原点(振動中心)として中心軸線に沿って往復移動させる用途での使用が困難となる。また、このようなリニアアクチュエータに高周波の駆動信号を印加する場合、可動子の可動範囲のどちらかの端で振動することになり、あるいは全く動作しなくなる。さらに、可動範囲の端の位置での可動子の保持力が強いため、振動時の変位の推移も正弦波状の滑らかな曲線とはならず、滑らかな振動が得られなくなってしまう。さらにまた、このようなリニアアクチュエータの可動子をその可動範囲の中央位置に保持しようとすれば、両端に配設するバネから大きな付勢力を付与して保持することになり、付勢力が大きくなる分、より大きな駆動力を要することになる。
なお、他のリニアアクチュエータとして、例えば特許文献2に記載されたものも知られている。このリニアアクチュエータが備える可動子は、径方向に着磁された永久磁石が中心軸線の方向に複数配設されており、従って、中心軸線の方向に可動子の大型化を余儀なくされるなど、自ずと特許文献1のリニアアクチュエータが想定する使用条件を相容れないものである。また、永久磁石により構成される閉ループとなる磁気回路も両端のみとなっている。
本発明の目的は、高効率での加振が可能であり、且つ、高周波に対する応答性の優れた振動が可能なリニアアクチュエータを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、中心軸線に沿って2つのコイル及び磁極を形成する3つのティースが並設された固定子と、前記中心軸線に沿って往復移動可能に設けられ該中心軸線の方向で一対のヨークにて永久磁石を挟み込んでなる可動部磁気回路部材と、前記コイルの非通電時に前記可動部磁気回路部材を可動範囲の中央位置に復帰させるとともに前記固定子との空隙を確保する付勢手段とを有するリニアアクチュエータにおいて、前記永久磁石は、前記中心軸線の方向に着磁されており、前記永久磁石の前記中心軸線に沿った長さ又は前記一対のヨーク間の前記中心軸線に沿った長さを、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースの前記中心軸線に沿った長さ以下に設定したことを要旨とする。
同構成によれば、前記永久磁石の前記中心軸線に沿った長さ又は前記一対のヨーク間の前記中心軸線に沿った長さが、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースの前記中心軸線に沿った長さ以下に設定されていることで、前記コイルの非通電時の前記永久磁石による磁束は、前記一対のヨークと、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースとの間で閉ループとなる磁気回路を構成する。従って、前記可動部磁気回路部材がその可動範囲の中央位置に配置され、前記永久磁石がその径方向で前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースに対向配置される状態では、該可動部磁気回路部材を保持する力が働く。これにより、例えば前記可動部磁気回路部材の可動範囲の中央位置で、該可動部磁気回路部材に対し高周波による短いストロークでの振動を付与することができる。また、前記可動部磁気回路部材は、磁気回路上、その可動範囲の中央位置に安定する位置を有するため、当該位置を保持させるための付勢力も小さくて済み、従って小さな推力でより大きな振動を得ることができる。
本発明では、高効率での加振が可能であり、且つ、高周波に対する応答性の優れた振動が可能なリニアアクチュエータを提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。同図に示されるように、このリニアアクチュエータの備える固定子10は、磁性金属(鉄、磁性ステンレスなど)からなる有蓋円筒状のケース11を有するとともに、該ケース11は、蓋壁の近傍で段部11aを介して拡開されている。そして、ケース11内には、その中心軸線Oに沿って段部11a上に順番に並設された円環状の3つのティース12,13,14が装着されている。これらティース12〜14は、磁性金属にて形成されている。
図1は、本実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。同図に示されるように、このリニアアクチュエータの備える固定子10は、磁性金属(鉄、磁性ステンレスなど)からなる有蓋円筒状のケース11を有するとともに、該ケース11は、蓋壁の近傍で段部11aを介して拡開されている。そして、ケース11内には、その中心軸線Oに沿って段部11a上に順番に並設された円環状の3つのティース12,13,14が装着されている。これらティース12〜14は、磁性金属にて形成されている。
段部11aに隣接配置されて端磁極を形成するティース12は、その内周部からティース13側に突出するボス状の突片12aを有する。また、ティース12に隣接配置されて中央磁極を形成するティース13は、その内周部からティース12,14側にそれぞれ突出するボス状の一対の突片13a,13bを有する。さらに、開口端側に配置されたティース14は、その内周部からティース13側に突出するボス状の突片14aを有する。
隣り合うティース12,13間には、これらティース12,13間に形成される環状の凹部に嵌合する態様で、樹脂材からなる環状のボビン15が装着されるとともに、該ボビン15には、一側への巻き線方向でコイル16が巻装されている。同様に、隣り合うティース13,14間には、これらティース13,14間に形成される環状の凹部に嵌合する態様で、樹脂材からなる環状のボビン17が装着されるとともに、該ボビン17には、前記コイル16に対して反転した他側への巻き線方向でコイル18が巻装されている。中心軸線Oに沿って並設された両コイル16,18は、直列接続されており、通電時には互いに相反する方向の磁界を形成する。
前記段部11aとティース12との間には、円盤状の板バネ31の外周縁部が挟持されるとともに、前記ティース14の開口側の端面には、円盤状の板バネ32の外周縁部が接合されている。
リニアアクチュエータの備える可動部磁気回路部材としての可動子20は、中心軸線Oの方向で前記2枚の板バネ31,32に挟み込まれている。この可動子20は、板バネ31側及び板バネ32側に配置された磁性金属からなる一対のヨーク21,22を有するとともに、中心軸線Oの方向でこれら両ヨーク21,22にて挟み込まれた永久磁石23を有する。なお、ヨーク21,22は、互いに同等の内径を有する挿通孔21a,22aを有するとともに、ティース12〜14の内径よりも小さい互いに同等の外径を有して円環状に成形されている。
ヨーク21は、その内周部から板バネ31側に突出する円筒状の座部21bを形成するとともに、該座部21bにおいて板バネ31の対向面と当接する。同様に、ヨーク22は、その内周部から板バネ32側に突出する円筒状の座部22bを形成するとともに、該座部22bにおいて板バネ32の対向面と当接する。
永久磁石23は、例えば中心軸線Oの方向で着磁されたフェライト磁石からなり、前記挿通孔21a,22aの内径と同等の内径を有する挿通孔23aを有するとともに、ヨーク21,22の外径よりも若干小さい外径を有して円環状に成形されている。なお、永久磁石23の中心軸線Oに沿った長さLMは、中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLT以下に設定されている。また、永久磁石23の先端に対し径方向外側に若干突出するヨーク21,22の円環状の突出部は、可動子20の磁極をそれぞれ形成する。
リニアアクチュエータの備える非磁性シャフト36は、前記挿通孔21a〜23aの内径と同等の外径を有する軸部36aを備えており、可動子20を挟み込んだ2枚の板バネ31,32を中心軸線Oに沿って貫通して可動子20ともども2枚の板バネ31,32を締結する。すなわち、この非磁性シャフト36は、板バネ31を貫通する軸部36aの一方の先端から径方向外側に延出する頭部36bを有するとともに、板バネ32を貫通する軸部36aの他方の先端部に刻設されたねじ部36cを有する。そして、頭部36bは、中心軸線Oの方向で板バネ31を介して前記座部21bに対向配置されており、その中央部には締結用の六角孔又は四角孔が形成されている。また、ねじ部36cの基端部には、中心軸線Oの方向で板バネ32を介して前記座部22bに対向配置されるワッシャ37が挿入されるとともに、前記ねじ部36cには、ロックナット38が締め付けられる。以上により、非磁性シャフト36は、頭部36b及びロックナット38にて、可動子20ともども2枚の板バネ31,32を締結する。
なお、2枚の板バネ31,32を介して固定子10に浮動支持された可動子20は、中心軸線Oに沿って往復移動可能となっている。そして、2枚の板バネ31,32は、その付勢力にて可動子20を可動範囲の中央位置に復帰させるとともに固定子10との空隙Cを確保する。
ここで、図2(a)(c)に示すように、可動子20が可動範囲のいずれかの端位置にあるとき、ヨーク21(22)の角部は、固定子10の端磁極を形成するティース12(14)の突片12a(14a)に対向配置される。このような配置関係にあることで可動子20に対し中央位置から離れる方向の力が発生し、仮に可動子20の移動を機械的に規制するストッパが存在すれば、コイル16,18の非通電時には、該ストッパに規制されて可動子20をその可動範囲の端位置に保持する力が働く。
一方、図2(b)に示すように、可動子20が可動範囲の中央位置にあるとき、ヨーク21は、前記突片12a,13a間の中央位置にその外周面の中央位置が径方向で対向するように配置されるとともに、ヨーク22は、前記突片13b,14a間の中央位置にその外周面の中央位置が径方向で対向するように配置され、更に永久磁石23は、前記ティース13の内周面の中央位置にその外周面の中央位置が径方向で対向するように配置される。このような配置関係にあることで、コイル16,18の非通電時には、前記永久磁石23による磁束は、前記一対のヨーク21,22と、固定子10の中央磁極を形成するティース13との間で閉ループとなる磁気回路を構成する。従って、この状態では、可動子20をその可動範囲の中央位置に保持する力が働く。
図3は、可動子20の可動範囲の中央位置を原点とするその中心軸線O上の位置(上下の位置として図示)と可動子20に働く中心軸線Oの方向の力(上下方向の力として図示)との関係を示すグラフである。同図から明らかなように、磁気回路上、可動子20は、その可動範囲の中央位置(原点0)で安定する。また、位置H1と位置H2で挟まれた領域では、可動子20には原点0に復帰しようとする力が発生する。さらに、位置H1より上側、位置H2より下側では、可動子20には原点0から離れる方向に力が働く。従って、位置H1より上側の位置Hs1と、位置H2より下側の位置Hs2に機械的な規制(ストッパ)を配置して、位置Hs1と位置Hs2で挟まれた領域に可動範囲を強制することで、原点0及び2つの機械的な規制点(位置Hs1,Hs2)を併せて3安定のアクチュエータとなる。
また、前記両コイル16,18は、通電方向が正逆切り替えられて通電されるようになっており、通電時には、可動子20は、通電方向に応じて形成される互いに相反する方向の磁界により永久磁石23が加振されることで、その可動範囲の中央位置を原点(振動中心)として中心軸線Oに沿って往復移動する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、可動子20は、磁気回路上、その可動範囲の中央位置で安定するため、例えば可動子20の可動範囲の中央位置で、該可動子20に対し高周波による短いストロークでの振動を付与することができる。また、可動子20は、磁気回路上、その可動範囲の中央位置に安定する位置を有するため、当該位置を保持させるための板バネ31,32の付勢力も小さくて済み、従って小さな推力でより大きな振動を得ることができる。
(1)本実施形態では、可動子20は、磁気回路上、その可動範囲の中央位置で安定するため、例えば可動子20の可動範囲の中央位置で、該可動子20に対し高周波による短いストロークでの振動を付与することができる。また、可動子20は、磁気回路上、その可動範囲の中央位置に安定する位置を有するため、当該位置を保持させるための板バネ31,32の付勢力も小さくて済み、従って小さな推力でより大きな振動を得ることができる。
(2)本実施形態では、可動子20を、一対のヨーク21,22にて永久磁石23を挟み込んだサンドイッチ構造としたことで、安価なフェライト磁石を使用しながらも、磁極の磁束密度を高めることができ、高推力を得ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図4に示すように、可動子40の備える永久磁石41は、固定子10の中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLTを超えた当該中心軸線Oに沿った長さLM1を有してもよい。この場合、中心軸線Oの方向で永久磁石41を挟み込む一対のヨーク42,43は、永久磁石41の先端に対し径方向外側に円環状に突出するとともに、該突出部において中心軸線Oに沿って互いの対向側にすり鉢状に突出して可動子磁極42a,43aをそれぞれ形成する。これら可動子磁極42a,43a間(外周面におけるヨーク42,43間)の中心軸線Oに沿った長さLYは、中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLT以下に設定されている。このように変形しても、前記コイル16,18の非通電時の永久磁石41による磁束は、一対のヨーク42,43と、固定子10の中央磁極を形成するティース13との間で閉ループとなる磁気回路を構成することから、前記実施形態と同様の効果が得られるようになる。
・図4に示すように、可動子40の備える永久磁石41は、固定子10の中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLTを超えた当該中心軸線Oに沿った長さLM1を有してもよい。この場合、中心軸線Oの方向で永久磁石41を挟み込む一対のヨーク42,43は、永久磁石41の先端に対し径方向外側に円環状に突出するとともに、該突出部において中心軸線Oに沿って互いの対向側にすり鉢状に突出して可動子磁極42a,43aをそれぞれ形成する。これら可動子磁極42a,43a間(外周面におけるヨーク42,43間)の中心軸線Oに沿った長さLYは、中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLT以下に設定されている。このように変形しても、前記コイル16,18の非通電時の永久磁石41による磁束は、一対のヨーク42,43と、固定子10の中央磁極を形成するティース13との間で閉ループとなる磁気回路を構成することから、前記実施形態と同様の効果が得られるようになる。
・前記実施形態において、可動子20の可動範囲の中央位置は、磁気回路上、両端の安定する2位置とは別の安定する位置であれば、該可動範囲の適宜の中間位置であってもよく、必ずしも両端の安定する2位置の中心位置に限定されるものではない。
・前記実施形態において、永久磁石23,41は、ネオジム磁石などであってもよい。
C…空隙、O…中心軸線、10…固定子、12〜14…ティース、16,18…コイル、20,40…可動子(可動部磁気回路部材)、21,22,42,43…ヨーク、23,41…永久磁石、31,32…板バネ(付勢手段)。
Claims (1)
- 中心軸線に沿って2つのコイル及び磁極を形成する3つのティースが並設された固定子と、前記中心軸線に沿って往復移動可能に設けられ該中心軸線の方向で一対のヨークにて永久磁石を挟み込んでなる可動部磁気回路部材と、前記コイルの非通電時に前記可動部磁気回路部材を可動範囲の中央位置に復帰させるとともに前記固定子との空隙を確保する付勢手段とを有するリニアアクチュエータにおいて、
前記永久磁石は、前記中心軸線の方向に着磁されており、
前記永久磁石の前記中心軸線に沿った長さ又は前記一対のヨーク間の前記中心軸線に沿った長さを、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースの前記中心軸線に沿った長さ以下に設定したことを特徴とするリニアアクチュエータ。
Priority Applications (1)
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