JP2009237445A - 液晶光学装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧オフ時に透明性が高く、電圧印加で強い光散乱性が得られる液晶光学装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】液晶光学装置は、第1の透明電極が形成された第1の透明基板と、第2の透明電極が形成され第1の透明基板に対向する第2の透明基板と、第1及び第2の透明基板の間に挟まれ、ホスト液晶、カイラル剤、及び液晶性モノマーを含み、液晶性モノマーの少なくとも一部は重合してポリマー化している液晶層と、第1及び第2の透明電極間に電圧を印加する電圧印加装置とを有し、第1及び第2の透明電極間に電圧無印加の状態の液晶層に比べて、第1及び第2の透明電極間に電圧を印加した状態の液晶層の方が、光をより散乱させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶光学装置及びその製造方法に関し、特に、電圧印加により液晶層の光散乱状態が変化する液晶光学装置及びその製造方法に関する。
ポリマー分散型液晶(PD−LC)や、ポリマーネットワーク液晶(PN−LC)は、電圧印加により光散乱状態から透明状態に変化させることができる(例えば特許文献1参照)。
PD−LCもしくはPN−LCを用いた液晶光学素子は、電圧オフ時に光散乱状態を示すので、通常透明状態で使用したい光学装置に応用する場合、透明状態を維持するための電圧印加が必要となり、消費電力が増える。また、故障により電圧印加できなくなったとき、散乱状態のままとなってしまうので、光学装置が機能しなくなる。さらに、PD−LCもしくはPN−LCは、一般に、液晶相転移温度(Tni)が60℃〜80℃と低く、高温下で機能を発揮することが難しい。
特開2005−060703号公報
本発明の一目的は、電圧オフ時に透明性が高く、電圧印加で強い光散乱性が得られる液晶光学装置及びその製造方法を提供することである。
本発明の一観点によれば、第1の透明電極が形成された第1の透明基板と、第2の透明電極が形成され前記第1の透明基板に対向する第2の透明基板と、前記第1及び第2の透明基板の間に挟まれ、ホスト液晶、カイラル剤、及び液晶性モノマーを含み、該液晶性モノマーの少なくとも一部は重合してポリマー化している液晶層と、前記第1及び第2の透明電極間に電圧を印加する電圧印加装置とを有し、前記第1及び第2の透明電極間に電圧無印加の状態の前記液晶層に比べて、前記第1及び第2の透明電極間に電圧を印加した状態の前記液晶層の方が、光をより散乱させる液晶光学装置が提供される。
本発明の他の観点によれば、第1の透明電極が形成された第1の透明基板、及び第2の透明電極が形成され前記第1の透明基板に対向する第2の透明基板を含む空セルを形成する工程と、前記空セルに、ホスト液晶、カイラル剤、及び液晶性モノマーを含む混合材料を注入して液晶セルを形成する工程と、前記液晶性モノマーの少なくとも一部を重合させポリマー化させる工程とを有する液晶光学装置の製造方法が提供される。
ホスト液晶に液晶性モノマーを添加し、液晶性モノマーの少なくとも一部を重合させた液晶層に、さらにカイラル剤が添加されていることにより、電圧印加時の光散乱性を高めることができる。
図1は、本発明の実施例による液晶光学素子の概略断面図である。それぞれ透明電極2、6が形成された1対の透明基板1、7を用意する。透明基板1、7は、例えば青板ガラスであり、厚さはそれぞれ例えば0.7mmtである。透明電極2、6は、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)からなり、厚さはそれぞれ例えば200nmである。透明電極2、6は、所望の表示形状に対応してパターニングされたものを用いることができる。透明基板1の透明電極2上、透明基板7の透明電極6上に、それぞれ、配向膜3、5を形成し、配向膜3、5にラビング等による配向処理を施す。
次に、一方の透明基板1上に、ギャップコントロール剤を2wt%〜5wt%含んだメインシール剤8を形成する。メインシール剤8の形成方法として、例えば、スクリーン印刷もしくはディスペンサを用いる。ギャップコントロール剤の径は、液晶層4が5μm〜150μmの厚さとなるように選択する。実施例では、液晶層4の厚さを15μmとするため、ギャップコントロール剤として、例えば、径が15μmのグラスファイバーを選ぶ。このグラスファイバーを、例えば三井化学製シール剤ES−7500に3wt%添加し、メインシール剤8とする。他方の透明基板7上には、ギャップコントロール剤9を散布する。例えば、径15μmのプラスチックボールを、乾式のギャップ散布機を用いて散布する。
両方の透明基板1、7を、配向方向がアンチパラレルになるように、配向膜3、5を対向させて重ね合わせ、プレス機等で圧力を一定に加えた状態で熱処理を行い、メインシール剤を硬化させる。例えば、150℃で3時間の熱処理を行う。このようにして、例えばセル厚15μmの空セルが作製される。なお、後述のように、配向方向はツイステッドネマチック(TN)としてもよく、また、配向膜形成やラビング等による配向処理を行わないこともできる。
次に、空セルに、ホスト液晶、カイラル剤、液晶性モノマー、及び光重合反応開始剤を混合した材料を例えば真空注入し、液晶層4を形成する。ホスト液晶として、誘電率異方性Δεが正の液晶(例えば屈折率異方性Δn=0.298、液晶相転移温度Tni=128℃、90°TNの時の閾値電圧が1.7Vの大日本インキ化学工業製の液晶材料)を用いる。
カイラル剤として、例えば、メルク社製S−811を、ホスト液晶に対して例えば0.376wt%(ピッチ28μm)となるように添加する。ツイスト角度は180°程度となる。
このカイラル剤入り液晶に、液晶性モノマーを添加する。紫外(UV)重合性モノマーであればどれでも使え、例えばアクリレート系モノマー(液晶分子の例えば端部にアクリレート系の官能基がついているモノマー)を、ホスト液晶に対して例えば5wt%添加する。
さらに、光重合開始剤を、液晶性モノマーに対し0.1wt%〜0.5wt%添加する。光重合開始剤として特に限定はなく、例えば、365nm付近の紫外線に感度を持つ材料であればよい。例えば、チバケミカルズ製のイルガキュア(登録商標)を用いることができる。
液晶層4の形成後、注入口にエンドシール剤を塗布し、封止する。なお、このとき、光硬化性エンドシール剤を用いるのであれば、液晶層4に紫外線が照射されないように遮光マスクを用いるとよい。また、熱硬化性のエンドシール剤や、2液混合タイプのエンドシール剤を用いてもよい。このようにして、液晶セルが作製される。
液晶セルに、例えばフォトマスク10を介して紫外線を照射し、液晶性モノマーを重合させる。紫外線照射には、例えば、高圧水銀ランプを光源とする目白プレシジョン製の光配向装置を用いることができる。照射強度は例えば80mW/cm(波長350nm)で、照射時間は例えば30秒であり、照射量は2.5J/cm程度である。なお、紫外線照射装置の光源は、高圧水銀ランプに限らず、キセノンランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ等としてもよい。
フォトマスク10として、例えば、幅20μmの線状の開口部と幅20μmの線状の遮光部とが交互に並んだストライプパターンのものを用いる。なお、フォトマスクを介さず、液晶セルの全面に露光させるようにしてもよい。
電圧印加装置100が、一対の透明電極2、6に接続され、両電極間に所望の電圧を印加する。
次に、上述のように作製された液晶光学素子の電気光学特性を評価した実験について説明する。透明電極間の印加電圧と液晶層の光透過率との関係(VT特性)を調べた。配向方向(ラビング方向)と、フォトマスクのストライプパターンの長手方向(開口部または遮光部の長さ方向)とを平行に配置して露光したサンプル(これを「縦ストライプ」と呼ぶこととする)と、配向方向とストライプパターンの長手方向とを直交に配置して露光したサンプル(これを「横ストライプ」と呼ぶこととする)と、フォトマスクを介さず液晶セルの全面に露光したサンプル(これを「全面露光」と呼ぶこととする)を測定した。
図2は、これらのサンプルの測定結果を示すグラフであり、横軸がV単位で示す印加電圧であり、縦軸が%単位で示す透過率である。液晶セルを直進して透過する透過光の透過率を測定している。透過率は、大塚電子のLCD−5200で測定した。
どのサンプルも、電圧無印加状態で70%程度の透過率を示し透明であり、印加電圧が高くなるにつれ透過率が低下する。印加電圧5V〜10Vで、透過率が10%程度まで急激に低下する。なお、透過率が急激に低下した後、さらに印加電圧が高くなると、緩やかに透過率が上昇する傾向も見られる。
液晶セルを観察すると、電圧無印加の透明状態から、印加電圧が高くなるにつれ光散乱の程度が大きくなり、すりガラスのように変化する現象が見られた。この測定系では、まっすぐ透過した光の量を検出しており、散乱して横方向にずれた光は検出されない。従って、電圧印加により散乱性が強くなっていくのに伴い、透過率が低下することとなる。このように、目視観察と測定結果とを照らし合わせて、この測定での透過率低下が、光散乱性増加と対応づけられる。
どのサンプルも、例えば10V程度の電圧印加で、強い光散乱状態に変化する。3つのサンプルとも概ね同様なVT特性を示すが、サンプルごとの違いも見られる。横ストライプと全面露光とは、電圧無印加時の透過率がほぼ等しく(72%程度)、縦ストライプはこれら2つのサンプルに比べて、電圧無印加時の透過率がやや低い(69%程度)。縦ストライプと全面露光とは、透過率が急激に低下する電圧がほぼ等しく、横ストライプは、これら2つのサンプルに比べて、透過率が急激に低下する電圧がやや(2V程度)高い。
縦ストライプと全面露光とは、最低の透過率がほぼ等しく(9%程度)、横ストライプはこれら2つのサンプルに比べて、最低の透過率がやや低い(5%程度)。横ストライプは、最低透過率から、電圧が高くなるにつれて透過率が上昇する傾きも小さい傾向がある。測定したサンプルについて、オン・オフ時のコントラストの高さ(透過率差)という観点からは、横ストライプがやや優れているといえる。
次に、第1の比較例の液晶光学素子について説明する。比較例の液晶光学素子は、上述の縦ストライプ、横ストライプ、及び全面露光のサンプルにおいて、カイラル剤が添加されていないものである。これら第1の比較例の液晶光学素子に対しても、VT特性を測定した。
図3に、第1の比較例のサンプルのVT特性を示す。どのサンプルも、電圧無印加時の透過率は70%程度で、実施例のサンプルとほぼ同様である。ただし、電圧2V〜4V程度で透過率の低下(散乱性の上昇)が見られるものの、透過率は40%程度までしか低下せず、充分な散乱性が得られない。このように、カイラル剤の添加により、電圧印加時の強い散乱性が得られることがわかった。
なお、高い透明性を得るには、電圧無印加時の透過率が70%以上であることが特に好ましい。また、高い散乱性を得るには、電圧印加で得られる最低の透過率が10%以下であることが特に好ましい。
次に、実施例と比較例のサンプルの偏光顕微鏡による観察結果について説明する。実施例(カイラル剤添加)の縦ストライプ及び比較例(カイラル剤無添加)の縦ストライプを偏光顕微鏡で観察した。
図4(A)〜図4(C)は、実施例の縦ストライプの、電圧無印加時、透過率が最大(約70%)と最小(約10%)の中間(35%〜40%程度)になる電圧印加時、及び、最小の透過率(約10%)となる電圧印加時での偏光顕微鏡写真である。
電圧オフ時は、液晶の配向境界に起因すると思われる薄いディスクリネーションラインは見られるものの、ほぼ均一な配向状態である。液晶性モノマーは、ホスト液晶分子と配向方向が揃った状態でポリマー化されており、電圧オフ時は、液晶性モノマーとホスト液晶分子の方向が揃った透明状態になっていると考えられる。
電圧を印加すると、フォトマスクのストライプパターンの方向(図の横方向)に沿って長い、配向状態の異なる大きな領域が観察され、高電界ほどはっきり見えてくる。これらの配向状態の異なる領域の境界及び内部で散乱が生じていると考えられる。
電圧印加に伴って、重合した液晶性モノマーの配向方向は保たれたまま、ホスト液晶分子の配向方向が変化すると考えられる。ホスト液晶分子の配向方向の変化の仕方は、重合した液晶性モノマーの作るポリマーネットワークで乱され、場所によるばらつきが生じていると考えられる。
特に、カイラル剤を添加している場合は、液晶分子が捩れた状態を示し、捩れ状態がポリマーネットワークにより乱されると考えられる。捩れ状態のばらつきが、強い散乱性に寄与しているのではないかと推測される。なお、全面露光のものも、捩れ状態のポリマーネットワークによるばらつきが生じていると考えられる。
なお、図2に示したように、例えば10V以上の電圧印加により徐々に透過率が上昇する傾向が見られる。これは、ホスト液晶分子が電界方向に揃っていくのに加え、液晶層内部の捩れ状態が電圧増加に伴い解消されていくためではないかと推測される。
図5(A)〜図5(C)は、第1の比較例の縦ストライプの、電圧無印加、透過率最大と最小の中間調電圧、及び、透過率最小の電圧での偏光顕微鏡写真である。
オフ時は、液晶の配向境界に起因すると思われる薄いディスクリネーションラインが、実施例と同様に見られるが、その数は少ない。電圧を印加すると、配向状態の異なる領域が生じるが、その境界は実施例に比べてはっきりしない。また、フォトマスクのストライプパターンとの相関も弱い。これらの配向状態の異なる領域の境界及び内部で散乱が生じていると考えられるが、内部の散乱性は、捩れ構造を有していないため弱いと思われる。このように、カイラル剤を添加しない場合、ポリマーネットワークとホスト液晶分子との屈折率差のみが散乱性発現の主要因であることに起因して、弱い散乱性しか得られないのではないかと推測される。
なお、実施例ではアンチパラレルの配向処理を行ったが、配向方向はアンチパラレルに限らず、また配向処理を行わなくても、電圧印加で透明状態から散乱状態に変化する液晶光学素子を得られる。
図6に、実施例の液晶光学素子で、配向方向を直交させたサンプル(TNと呼ぶこととする)、配向処理を行わないサンプル(NRと呼ぶこととする)、及び、上述のアンチパラレル配向のサンプル(Paraと呼ぶこととする)のVT特性をまとめて示す。紫外線照射態様は横ストライプである。
いずれのサンプルも、電圧無印加で透明状態を示し、例えば10V以上の電圧印加で強い散乱状態となる。なお、これらのサンプルについて、配向処理なしのサンプルが、コントラスト、及び、透明状態と散乱状態の変化の急峻性が低く、配向処理を行う方がよいことが示唆される。
図7及び図8は、それぞれ、TNで紫外線照射態様を横ストライプ、縦ストライプ、全面露光としたサンプルのVT特性、及び、NRで紫外線照射態様を横ストライプ、縦ストライプ、全面露光としたサンプルのVT特性である。
TNでもNRでも、図2を参照して説明したParaと同様に、紫外線照射態様を横ストライプ、縦ストライプ、全面露光のいずれとしても、透明状態と散乱状態とを電圧で制御できる。なお、NRでは、ここに示したサンプルについて、横ストライプに比べて縦ストライプ及び全面露光の方が、コントラストが高く、また透明状態と散乱状態の変化の急峻性も高い。
次に、実施例の液晶光学素子のVT特性の温度依存性について説明する。なお、併せて、第2の比較例の液晶光学素子のVT特性の温度依存性についても説明する。
図9は、実施例の液晶光学素子のVT特性の温度依存性を示すグラフである。サンプルは、配向処理なし(NR)の縦ストライプである。透明状態から散乱状態への急峻な変化が、85℃の高温でも確保されている。
これは、用いたホスト液晶の相転移温度が高く(例えば128℃)、カイラル剤や液晶性アクリレート系モノマー添加により、相転移温度が多少低くなるものの、液晶層が例えば100℃以上の高い相転移温度を保っているためである。高温でも良好に機能するように、ホスト液晶の液晶相転移温度は100℃以上であることが好ましい。なお、ホスト液晶の液晶相転移温度の上限は、例えば130℃である。
使用温度範囲が広いことは、適用可能な製品範囲が広くなることを示している。なお、−20℃の極低温になると閾値が変化する様子が見られ、切り替え電圧に関して温度補償が必要になる可能性があるが、コントラストはほぼ変わらない。
図10は、第2の比較例の液晶光学素子のVT特性の温度依存性を示すグラフである。第2の比較例は、液晶層に一般的なポリマーネットワーク液晶(PN−LC)を用いており、電圧無印加で散乱状態を示し、電圧印加により透明状態に変化する。50℃までは、高いコントラストが確保されているが、70℃になるとコントラストが著しく低下し、85℃では電圧印加にまったく反応しなくなっている。これは、液晶が等方相に相転移したためである。なお、相転移温度の高いPN−LC材料を開発すればよいが、これは非常に困難である。
このように、実施例の液晶光学素子は、例えばポリマーネットワーク液晶を用いる液晶光学素子に比べて、高い温度まで透明状態・散乱状態の切り替え動作ができる。
以上説明したように、ホスト液晶に液晶性モノマーを添加し、液晶性モノマーの少なくとも一部を重合させた液晶層に、さらにカイラル剤が添加されていることにより、電圧印加で透明状態から強い光散乱状態に変化させられる。また、ホスト液晶として高い相転移温度のものを用いることができ、例えば100℃近くの高温まで良好に動作させられる。
なお、上述の液晶光学素子の作製工程で、カイラル剤としてS−811を用い、その添加量を、ホスト液晶に対して例えば0.376wt%としたが、カイラル剤はS−811に限らず、また添加量もこれに限らない。
カイラル剤の添加量は、ホスト液晶に対し0.02wt%〜5wt%程度の範囲とすればよい。ただし、添加量が少なくなるほど、電圧印加時の散乱性が低くなる。また、添加量が多すぎると、VT特性にヒステリシスが生じたり、電圧無印加時の透明性が悪くなったりする可能性等がある。
カイラル剤添加量と散乱性の傾向及びカイラルピッチの関係は、厳密には液晶材料やカイラル材料により一概には言えないが、実施例に用いた液晶材料に対しては、カイラル剤添加量0.1wt%〜3wt%程度が特に望ましい。
なお、上述の液晶光学素子の作製工程で、液晶性モノマーを、ホスト液晶に対し5wt%添加したが、液晶性モノマー添加量はこれに限らない。液晶性モノマー添加量を0.5wt%〜40wt%と変化させて検討したところ、液晶性モノマー添加量2wt%以下では充分にポリマーネットワークが形成されない傾向があり、また、添加量15wt%以上では電圧による液晶の応答性が悪くなる傾向があることがわかった。液晶性モノマー添加量は、ホスト液晶に対し概ね2wt%〜15wt%の範囲とすることが好ましい。
なお、上述の液晶光学素子の作製工程で、フォトマスクとして幅20μmの開口部と幅20μmの遮光部とが並んだパターン、つまり40μmピッチのパターンを用いたが、パターンのピッチはこれに限らない。また、フォトマスクのパターンは、ストライプパターンに限らない。格子状パターン、同心円状パターン、ランダムパターン等でもよい。
また、上述の液晶光学素子の作製工程で、紫外線照射時間を30秒としたが、照射時間はこれに限らない。ただし、照射時間が短すぎると高い散乱性が得られにくい。なお。照射時間を30秒以上に長くしても散乱性は大幅には変わらないことが確認されている。紫外線照射時間は、10秒〜120秒程度の範囲(照射量0.8J/cm〜10J/cmに相当)とするのが好適である。
なお、実施例の液晶光学素子は偏光板を用いないので、偏光板を用いる一般的な液晶光学素子に比べて、高透過率にできる(例えば、素子透過率70%以上、反射防止コートすることにより85%以上が可能)。
次に、実施例の液晶光学素子の応用について説明する。実施例の液晶光学素子は、例えば、透明状態と散乱状態(曇った状態)とを切り替える素子として用いることができる。
透明状態は、光の直進成分が多い状態であり、光の広がり幅が狭い状態とも言える。一方、散乱状態は、直進成分が減り、広がって進む成分が増えた状態であるので、光の広がり幅が広い状態とも言える。従って、光の広がり幅が狭い状態と広い状態とを切り替える素子として用いることもできる。
散乱状態では透過率が低いので、光出射側から見て明暗を切り替える素子として用いることもできる。なお、印加電圧を連続的に変化させれば、曇り度や光の広がり幅や明暗を連続的に制御することもできる。
具体的な応用例として、例えば、ヘッドライトやストロボや、デジカメのビューファインダー等の情報表示装置等が挙げられる。
ヘッドライトへの応用では、例えば、通常は透明状態にして、遠くの対象物の視認性を高くし、交差点等近くの様子の視認性を高めるときに、散乱状態に切り替える。ストロボへの応用では、例えば、通常は透明状態にして、遠くまで照明できるようにしておき、マクロ撮影で近くを照明するときに、散乱状態に切り替える。なお、ヘッドライトやストロボ等で、中間調電圧を用いて照明状態を連続的に(あるいは多段階に)変えるようにしてもよい。デジカメのビューファインダーへの応用では、例えば、ビューファインダー内に情報を表示しない場合は透明状態にし、情報を表示する場合には情報表示部分を散乱状態(暗状態)に切り替える。
実施例の液晶光学素子は、電圧オフ時に透明状態を示す。従って、トラブル発生で電圧を液晶セルに印加できなくなったとき、透明状態が保たれる。一方、例えば第2の比較例のように、電圧印加により透明になる液晶光学素子を用いる場合は、このようなトラブル発生時に、散乱状態のままになってしまう。例えば上記の応用で、ヘッドライトやストロボやビューファインダーが常時散乱状態になってしまうと、通常の利用に支障が生じる。実施例の液晶光学素子は、このようなトラブル時でも透明状態が確保されるので、通常の利用に支障が生じない。
次に、デジカメのビューファインダーへの応用例をさらに詳しく説明する。本応用例では、実施例の液晶光学素子の1対の透明電極(コモン電極、セグメント電極)が、所望の情報表示パターンを表示できるパターンで形成されている。
図11は、ビューファインダー内の情報表示パターンを概略的に示す平面図である。複数のマークMKが、情報表示パターンを構成している。情報表示パターン以外の領域が透明な背景BGである。情報表示が必要無い通常時、マークMKは透明状態にされ、ビューファインダー内全面が透明状態にされる。情報表示が必要な時、電圧印加によりマークMKが散乱状態つまり暗状態にされ、情報表示パターンが表示される。
図12及び図13は、それぞれ、このような情報表示パターンを実現するためのセグメント電極パターン及びコモン電極パターンの例である。セグメント電極パターンとコモン電極パターンの平面視上の重なり領域として、情報表示パターンが画定される。
この例では、10本のセグメント電極ESが配置され、各セグメント電極ESが対応するセグメント電極端子TSから取り出される。また、1本のコモン電極ECが配置され、コモン電極ECが、トランスファー端子TTを介して、セグメント電極側の基板上に配置されたコモン電極端子TCから取り出される。
情報表示パターンが配置されない背景は、透明・散乱状態を切り替える必要がないので、(引き回し部分以外は)電極を配置しなくて構わない。一方、例えば第2の比較例のように、電圧印加で透明状態になる液晶光学素子をビューファインダーに応用する場合(比較例のビューファインダーと呼ぶこととする)は、情報表示パターン用の電極の外側に、背景を透明に保つ電圧印加のための電極が必要となる。
比較例のビューファインダーでは、背景の透明性を保つために、ビューファインダーの情報表示機能を使わなくても常に電圧印加が必要となり、消費電力が大きい。また、ほぼ全面を透明にするために、情報表示パターン用電極と背景用電極とは、非常に狭い間隙で配置する必要がある。ビューファインダー部分は拡大表示されるので、電極間の隙間を使用者にわからなくするためには、5μm〜30μm程度の高精度パターニングが必要となる。
実施例のビューファインダーでは、情報表示のときのみ電圧を印加すればよいので、消費電力低減が図られる。また、情報表示パターン用電極の外側には電極が必要ないので、電極のパターニングの精度も緩くできる。また、電極配置面積が減れば、わずかではあるが、透明電極の光吸収による透過率低下が抑制される。
なお、実施例の液晶光学素子は、ビューファインダーに限らず、種々のマークや文字等からなる表示パターンを表示する情報表示装置一般に応用することができる。例えば、背景画像に情報を重ねて表示するスーパーインポーズ方式の情報表示装置に用いることができる。
なお、実施例の液晶光学素子は、ビューファインダーに限らず、通常透明状態で使用するような光学装置(例えばヘッドライト等の照明)に用いるとき、電圧印加で散乱状態から透明状態になる液晶光学素子を用いる場合に比べて、消費電力を抑制する。
また、実施例の液晶光学素子は、特に高温での動作が良好であり、使用動作範囲を広くできるので、自動車用、民生用等多くの製品に用いることができよう。民生用であっても、ポータブルなデジカメや携帯電話は例えば車のダッシュボードにおきっぱなしにするような状況が想定され、高い動作温度範囲が求められる。また、ストロボでは連続点灯等により素子が高温化すると考えられ、例えば100℃以上の高い動作温度範囲が望まれる。
実施例の液晶光学素子の応用が考えられる製品例をまとめる。実施例の液晶光学素子は、例えば、デジタルスチルカメラのストロボ灯具、光学系、及びビューファインダー用表示装置等に用いることができる。また、カメラ付き携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パソコン等の有する表示装置等に用いることもできよう。また、普通乗用車、軽自動車、トラック、バス等の自動車用の灯具やオートバイ、自転車等の二輪用の灯具の配光制御部に用いることもできる。また、屋内照明、街路灯、懐中電灯等の一般照明の配光制御部に用いることもできよう。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
図1は、本発明の実施例による液晶光学素子の概略断面図である。 図2は、実施例(アンチパラレル配向)の液晶光学素子のVT特性を示すグラフである。 図3は、第1の比較例の液晶光学素子のVT特性を示すグラフである。 図4(A)〜図4(C)は、実施例(アンチパラレル配向)の液晶光学素子の、印加電圧を変化させた場合の偏光顕微鏡写真である。 図5(A)〜図5(C)は、第1の比較例の液晶光学素子の、印加電圧を変化させた場合の偏光顕微鏡写真である。 図6は、実施例の液晶光学素子のVT特性の配向処理方法依存性を示すグラフである。 図7は、実施例(直交配向)の液晶光学素子のVT特性を示すグラフである。 図8は、実施例(配向処理なし)の液晶光学素子のVT特性を示すグラフである。 図9は、実施例の液晶光学素子のVT特性の温度依存性を示すグラフである。 図10は、第2の比較例の液晶光学素子のVT特性の温度依存性を示すグラフである。 図11は、応用例のビューファインダーの情報表示パターンを概略的に示す平面図である。 図12は、応用例のビューファインダーの情報表示パターンに対応するセグメント電極パターンを概略的に示す平面図である。 図13は、応用例のビューファインダーの情報表示パターンに対応するコモン電極パターンを概略的に示す平面図である。
符号の説明
1、7 透明基板
2、6 透明電極
3、5 配向膜
4 液晶層
8 メインシール剤
9 ギャップコントロール剤
10 フォトマスク
100 電圧印加装置

Claims (9)

  1. 第1の透明電極が形成された第1の透明基板と、
    第2の透明電極が形成され前記第1の透明基板に対向する第2の透明基板と、
    前記第1及び第2の透明基板の間に挟まれ、ホスト液晶、カイラル剤、及び液晶性モノマーを含み、該液晶性モノマーの少なくとも一部は重合してポリマー化している液晶層と、
    前記第1及び第2の透明電極間に電圧を印加する電圧印加装置と
    を有し、前記第1及び第2の透明電極間に電圧無印加の状態の前記液晶層に比べて、前記第1及び第2の透明電極間に電圧を印加した状態の前記液晶層の方が、光をより散乱させる液晶光学装置。
  2. 前記第1及び第2の透明電極の少なくとも一方が所定形状にパターニングされており、該第1及び第2の透明電極の平面視上の重なり領域として表示パターンが画定され、該第1及び第2の透明電極間に電圧を印加して該重なり領域の光散乱性を高めることにより、該表示パターンを表示する情報表示装置である請求項1に記載の液晶光学装置。
  3. 前記ホスト液晶の液晶相転移温度が100℃以上である1または2に記載の液晶光学装置。
  4. 前記カイラル剤は、前記ホスト液晶に対し0.02wt%〜5wt%の範囲で添加されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶光学装置。
  5. 前記液晶性モノマーは、前記ホスト液晶に対し2wt%〜15wt%の範囲で添加されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶光学装置。
  6. 前記液晶層に、さらに光重合開始剤が含まれる請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶光学装置。
  7. さらに、前記第1及び第2の透明基板それぞれの前記液晶層側内面に形成された配向膜を有し、該配向膜は配向処理されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶光学装置。
  8. 第1の透明電極が形成された第1の透明基板、及び第2の透明電極が形成され前記第1の透明基板に対向する第2の透明基板を含む空セルを形成する工程と、
    前記空セルに、ホスト液晶、カイラル剤、及び液晶性モノマーを含む混合材料を注入して液晶セルを形成する工程と、
    前記液晶性モノマーの少なくとも一部を重合させポリマー化させる工程と
    を有する液晶光学装置の製造方法。
  9. 前記混合材料にさらに光重合開始剤が含まれ、前記液晶性モノマーをポリマー化させる工程は、前記液晶セルに紫外線を照射する請求項8に記載の液晶光学装置の製造方法。
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