JP2009235854A - 床構造体及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自己流動性水硬性組成物のスラリーの施工によって表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることが困難であるような場所・施工条件であっても、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得るための施工方法を得る。
【解決手段】床下地の上面にプライマーを塗布・乾燥させてプライマー層を形成する工程と、プライマー層の上面に、フロー値が190mm以上でありかつ2時間後のショア硬度が30以下の自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)を打設して硬化させることによって、スラリー(a)硬化体層を形成する工程と、スラリー(a)硬化体層の上面に、フロー値が190mm以上である自己流動性水硬性組成物(B)と、水とを混練して調製したスラリー(b)を打設して硬化させることによって、スラリー(b)硬化体層を形成する工程とを含む、床構造体の施工方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得るための、自己流動性組成物を用いた床構造体の施工方法及びその方法を用いて得られる床構造体に関する。
構造物の床などの床構造体を形成するために、自己流動性を有する水硬性スラリーを用いる施工方法が知られている。自己流動性を有する水硬性スラリーを得るための水硬性組成物として、例えば、特許文献1には、アルミナセメント、ポルトランドセメント、石膏及び高炉スラグよりなる水硬性成分と、リチウム塩とホウ酸化合物よりなる凝結調整剤と、減水剤と、増粘剤とからなる自己流動性水硬性組成物が開示されている。
また、引用文献2には、下地コンクリートを打設した後、2〜10時間内にセルフレベリング材を打設することを特徴とする新規セルフレベリング工法が開示されている。
また、引用文献3には、建築用コンクリートを基礎型枠に打込んだ後、コンクリート面上にブリージング水が僅か残留する間に、その上にセメント系セルフレべリング材のスラリーを流し込み硬化せしめることを特徴とする迅速基礎天端の成形工法が開示されている。
特開2000−211961号公報 特開平7−113314号公報 特開昭57−155434号公報
新設床あるいは改修床にトレンチ等の比較的深い凹部が有るような場所に、自己流動性水硬性組成物の水硬性スラリーを打設した場合、自己流動性水硬性組成物の水硬性スラリーが良好な水平レベル性を有するものであったとしても、スラリー硬化体表面には、凹部に対応する箇所に僅かばかりの凹み部が残ってしまうことがある。また、自己流動性水硬性組成物のスラリーを、広い面積の場所に厚く打設するような場合には、大量のスラリーを施工しなければならず、床全体にスラリーを打設するには相応の時間が必要となる。このため、スラリーの打設を終了する時点では、初期に打設したスラリーがフローロスによって、その流動性(自己流動性)が低下していたり、あるいは初期に打設したスラリーが既に硬化を開始してしまったりして、自己流動性水硬性組成物が本来有している優れた水平レベル性を発揮できないことがある。
そこで、本発明は、新設工事あるいは改修工事において、床下地に非常に大きな起伏がある場所や、広い面積の場所にモルタル下地層を厚く施工する場合など、自己流動性水硬性組成物のスラリーの施工によって表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることが困難であるような場所・施工条件であっても、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得るための施工方法を得ることを目的とする。
本発明は、床下地の上面にプライマーを塗布・乾燥させてプライマー層を形成する工程と、プライマー層の上面に、フロー値が190mm以上でありかつ2時間後のショア硬度が30以下の自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)を打設して硬化させることにより、スラリー(a)硬化体層を形成する工程と、スラリー(a)硬化体層の上面に、フロー値が190mm以上である自己流動性水硬性組成物(B)と、水とを混練して調製したスラリー(b)を打設して硬化させることにより、スラリー(b)硬化体層を形成する工程とを含む、床構造体の施工方法である。
本発明の床構造体の施工方法の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)自己流動性水硬性組成物(A)が、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を含む速硬性セルフレベリング材である。
(2)自己流動性水硬性組成物(A)が、水酸化カルシウム及びフライアッシュをさらに含む、床構造体の施工方法である。
(3)自己流動性水硬性組成物(A)が、さらに細骨材と、凝結遅延剤とを含み、さらに再乳化形樹脂粉末、無機粉末、流動化剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分のうち少なくとも1種以上含む。
(4)自己流動性水硬性組成物(B)が、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を含む速硬性セルフレベリング材である。
(5)自己流動性水硬性組成物(B)が、さらに細骨材と、凝結遅延剤とを含み、さらに再乳化形樹脂粉末、無機粉末、流動化剤、凝結促進剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分のうち少なくとも1種以上含む。
(6)スラリー(b)硬化体層を形成する工程が、スラリー(a)硬化体層の表面水の光沢が消失する水引き時点から、スラリー(a)硬化体層のショア硬度が70であるときに、スラリー(b)を打設することを含む。
また、本発明は、上記施工方法により得られる床構造体である。
本発明の施工方法によって、床下地に比較的大きな凹部や起伏がある場所や、広い面積の場所にモルタル下地層を厚く施工する場合など、自己流動性水硬性組成物のスラリーの施工によって表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることが困難であるような場所であっても、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を効率的に得ることができる。
本発明は、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得るための、自己流動性水硬性組成物を用いた床構造体の施工方法及びその方法を用いて得られた床構造体に関する。本明細書では、セルフレベリング性を有する水硬性スラリーを得るための組成物を、「自己流動性水硬性組成物」又は「セルフレベリング材」という。水硬性組成物と、水とを混練して調製したものを「水硬性スラリー」又は単に「スラリー」という。特に、自己流動性を有するスラリーを「自己流動性水硬性スラリー」又は単に「自己流動性スラリー」という。「水硬性スラリー」が硬化したものを「スラリー硬化体」又は単に「硬化体」という。
一般的に、床にトレンチ等の比較的大きな凹部や局所的に大きな起伏が有るような場所に、自己流動性水硬性組成物を用いたスラリー(自己流動性スラリー)を打設した場合、自己流動性水硬性組成物の水硬性スラリーが良好な水平レベル性を有するものであったとしても、スラリー硬化体表面には、凹部に対応する箇所に僅かばかりの凹み部が残ってしまうことがある。また、広い面積の場所に、自己流動性スラリーを打設する場合には、全体の打設が完了する前に、初期に打設した部分が硬化を開始してしまうという問題もある。また、自己流動性スラリーを、厚く(例えば100mm程度)打設する必要がある場合には、大量のスラリーを施工しなければならず、目標のレベルまでスラリーを打設するまでに相応の時間がかかるため、打設途中や打設の終盤には、初期に打設したスラリーがフローロスによって、その流動性(自己流動性)が低下していたり、あるいは初期に打設したスラリーが既に硬化を開始してしまったりして、自己流動性水硬性組成物が本来有している優れた水平レベル性を発揮できず、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることは容易ではない。
上述のような問題を鑑み、本発明は、所定の自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーの硬化体層を複数、具体的には2層以上形成する施工方法によって、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得るものである。以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の施工方法では、まず、コンクリートなどの床下地の上面にプライマーを塗布・乾燥させてプライマー層を形成する。次に、プライマー層の上面に、フロー値が190mm以上でありかつ2時間後のショア硬度が30以下の自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)を打設して硬化させることにより、スラリー(a)硬化体層を形成する。次に、スラリー(a)硬化体層の上面に、フロー値が190mm以上である自己流動性水硬性組成物(B)と、水とを混練して調製したスラリー(b)を打設して硬化させることにより、スラリー(b)硬化体層を形成する。なお、スラリー(a)及びスラリー(b)は、自己流動性スラリーである。なお、本明細書で「自己流動性を有するスラリー(自己流動性スラリー)」とは、フロー値が、190mm以上の値であるスラリーのことをいう。「フロー値」とは、JASS・15M−103に準拠して測定した値である。
床にトレンチ等の比較的大きな凹部が有るような場所に、所定のスラリー(a)を打設すると、スラリー(a)硬化体層では凹みがあった部分の表層に若干緩やかな凹部が残るものの、打設前の凹みと比べると緩和される。そのため、所定のスラリー(b)を打設して硬化させ、スラリー(b)硬化体層を形成すると、凹みを平坦にすることができ、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることができる。スラリー(a)は、所定のフロー値、所定のショア硬度及び好適な水分含有状態を有するため、スラリー(a)硬化体層の形成後、スラリー(b)硬化体層を形成するための作業性が良く、かつスラリー(a)硬化体層とスラリー(b)硬化体層との接着性も良好である。
また、広い面積の場所に自己流動性水硬性組成物のスラリーを打設する場合には、所定のスラリー(a)の一部の硬化が先に開始してしまい、平坦性に問題があったとしても、スラリー(b)硬化体層を形成する際に、上述のように凹みを平坦にすることができることと同様な作用により、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることができる。
また、自己流動性スラリーを、厚く(例えば100mm程度)打設する必要がある場合にも、2段階の施工(スラリー(a)硬化体層を形成して、スラリー(b)硬化体層を形成する)を行うことにより、スラリー(a)硬化体層の形成の際に平坦性に問題がある部分が発生することを回避でき、仮にスラリー(a)硬化体層の形成の際に平坦性に問題がある部分が発生したとしても、スラリー(b)硬化体層を形成する際に修正することができるので、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることができる。
このように、所定のスラリー(a)硬化体層及びスラリー(b)硬化体層を順次形成することにより、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることができる。なお、一般的に、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得るためには、硬化体層は2層で十分だが、場合によっては、例えばスラリー(a)硬化体層を2層形成した後に、スラリー(b)硬化体層を1層形成することによって3層の硬化体層を設けるなど、3層以上の硬化体層を設けることによって、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることもできる。以下、本発明の施工方法を詳しく説明する。
<プライマー層>
本発明の施工方法では、まず図1及び図2に示すように、凹凸を有するなど、完全に平坦ではないコンクリートなどの床下地11の上面に、セルフレベリング材用プライマーなどのプライマーを用いてプライマー層18を形成する。プライマー層18を設けることによって、その上に自己流動性のスラリー(a)を打設する際に、スラリー中の水分が床下地11に浸透する作用を防止することができ、床下地11とスラリー(a)硬化体層19とを強固に接着することができると共に、さらに床下地11からの気泡の発生を防止することができる。
プライマーとしては、アクリル−スチレン共重合樹脂やエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とする市販のプライマーが使用でき、特にアクリル−スチレン共重合樹脂を主成分とするものを好適に使用できる。
また、プライマーとして好ましいものは、アクリル樹脂系エマルションであり、そのアクリル樹脂系エマルションは、(1)メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートから選ばれる成分9〜35質量%、(2)炭素数4〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート50〜80質量%、及び、(3)OH基を有する(メタ)アクリレート5〜10質量%とを含む単量体組成物から得られるものである。アクリル樹脂系エマルションは、上記(1)〜(3)に加えて、さらに(4)COOH基を有する(メタ)アクリレートから選ばれる成分0.6質量%未満を含む単量体組成物から得られるものであることが好ましい。
プライマーの塗布量は、プライマーに含まれる樹脂固形分として、良好な接着強度を安定して得るために、30〜120g/mを塗布することが好ましく、45〜90g/mを塗布することがさらに好ましい。プライマーの塗布作業は、前記の塗布量を1回の処理で塗布することができ、また、プライマーを2回〜3回の作業で前記の塗布量を塗布することもできる。
プライマー塗布後、温度条件や通風条件に応じて適宜選ばれる乾燥時間によって乾燥することができる。乾燥時間は、通常、夏季には3時間〜8時間、冬季には5時間〜12時間とすることが好ましい。
<スラリー(a)硬化体層>
本発明の施工方法では、次に、プライマー層の上面に、フロー値が190mm以上でありかつ2時間後のショア硬度が30以下の自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)を打設して硬化させることにより、スラリー(a)硬化体層19を形成する。
<自己流動性水硬性組成物(A)>
自己流動性水硬性組成物(A)は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を含む水硬性組成物であることが好ましい。また、この水硬性組成物は、水酸化カルシウム微粉末と、フライアッシュ微粉末とを含むとがより好ましい。なお、このような組成を有する水硬性組成物は、十分な速硬性を有する水硬性組成物(速硬性セルフレベリング材)である。
自己流動性水硬性組成物(A)の好ましい態様を以下に示す。自己流動性水硬性組成物(A)では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)水硬性成分100質量部に対して、水酸化カルシウム微粉末が0.01〜1質量部であり、フライアッシュ微粉末が0.5〜5質量部である。
(2)水硬性成分100質量%中、アルミナセメント20〜80質量%、ポルトランドセメント5〜70質量%及び石膏5〜45質量%である。
(3)細骨材と、流動化剤とをさらに含み、無機成分、凝結遅延剤、再乳化形樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分の少なくとも1種以上をさらに含み、水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性スラリーが、自己流動性を有する。
(4)凝結遅延剤が、有機酸及び/又は無機酸のナトリウム塩である。
(5)自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリーの硬化体表面のショア硬度が、水硬性スラリーを施工して2時間後に10以上である。
(6)自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリーの硬化体が、スラリーを施工後、65分〜120分の間に整形・補修作業が可能である。
本発明の施工方法に用いる自己流動性水硬性組成物(A)は、所定のフロー値及びショア硬度を得るために、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を含む速硬性セルフレベリング材であることが好ましい。また、自己流動性水硬性組成物(A)は、水酸化カルシウム微粉末及びフライアッシュ微粉末の2成分をさらに含むことにより、スラリーの硬化開始を速めつつ、一方で、初期の硬化過程の表面硬度の発現速度を小さくし、硬化体表面の保水状態を長時間保持することができるために好ましい。そのため、この自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)を施工した後、早期に軽歩行が可能となる速硬性を有しつつ、硬化が進行する過程でのスラリー(a)の表面硬度の上昇及び表面の乾燥が緩やかであるため、スラリー(a)の硬化体層の上面にスラリー(b)の硬化体層を形成しても、ドライアウトによる接合不良を生じることがない。
さらに、自己流動性水硬性組成物(A)を用いたスラリー(a)は、所定の時間が経過したのちは、硬化速度が上昇して早期に高い硬化体強度を発現することから、次工程へ速やかに移行でき、建設工事全体の効率化、工期短縮効果も有している。
<水硬性成分>
自己流動性水硬性組成物(A)は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分とを含む。自己流動性水硬性組成物(A)は、水酸化カルシウム微粉末及びフライアッシュ微粉末をさらに含むことが好ましい。
自己流動性水硬性組成物(A)では、水硬性成分として、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を用いることが、優れた速硬性及び整形・補修の容易性を有する自己流動性水硬性組成物(A)が得られることから特に好ましい。したがって、自己流動性水硬性組成物(A)に対して、カルシウムフロロアルミネート系クリンカーなどのその他の水硬性成分を添加することは好ましくない。水硬性成分の組成は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏の合計質量を100質量%とした場合に、好ましくはアルミナセメント20〜80質量%、ポルトランドセメント5〜70質量%及び石膏5〜45質量%である。また、水硬性成分の組成は、さらに好ましくはアルミナセメント25〜70質量%、ポルトランドセメント15〜60質量%及び石膏10〜40質量%である。また、水硬性成分の組成は、より好ましくはアルミナセメント30〜60質量%、ポルトランドセメント20〜50質量%及び石膏15〜35質量%である。また、水硬性成分の組成は、特に好ましくはアルミナセメント35〜45質量%、ポルトランドセメント30〜40質量%及び石膏20〜30質量%である。このような組成の自己流動性水硬性組成物(A)を用いることにより、自己流動性に優れるスラリー(a)を得ることができ、さらに速硬性を有し、低収縮性又は低膨張性で硬化中の体積変化が少ないスラリー(a)硬化体層19を容易に得ることができるために好ましい。
自己流動性水硬性組成物(A)の水硬性成分の一つであるポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントなどのポルトランドセメントを用いることができる。また、自己流動性水硬性組成物(A)の水硬性成分として、ポルトランドセメントと他の成分を混合した混合セメント、例えば、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント及びシリカヒュームセメントなどの混合セメントなどを用いることができる。
アルミナセメントとしては、鉱物組成の異なるものが数種知られ市販されているが、何れも主成分はモノカルシウムアルミネート(CA)であり、市販品はその種類によらず使用することができる。
石膏は、無水石膏、半水石膏及び2水石膏などの各種石膏が、その種を問わず、これら各種石膏のうちの1種又は2種以上の混合物として使用できる。石膏は、水硬性組成物と、水とを混練して得られるスラリー(a)が硬化した後の寸法安定性を保持するという機能を有する成分である。
本発明の自己流動性水硬性組成物(A)で用いることができる無水石膏は、その製法について特に限定されるものではなく、天然無水石膏、フッ酸製造工程で副産されるフッ酸石膏(無水石膏)及び排煙脱硫過程で生成する排脱石膏(無水石膏)などを用いることができ、特に入手容易性、経済性及び環境対応の観点から、フッ酸石膏(無水石膏)を好適に用いることができる。
<水酸化カルシウム微粉末>
自己流動性水硬性組成物(A)に含まれる水酸化カルシウム微粉末は、初期の軽歩行可能となるスラリー(a)の表面硬度の発現時間を調整するという機能を有する成分である。水酸化カルシウム微粉末を水硬性成分に対して適正量を配合することによって、凝結促進剤として有効に機能し、スラリー(a)を施工後、必要に応じて、早期に施工表面を補修することもできる。水酸化カルシウム微粉末の製造方法は、特に限定されるものではなく、市販のものを使用することができる。
自己流動性水硬性組成物(A)は、水硬性成分100質量部に対し、水酸化カルシウム微粉末を、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.05〜0.8質量部、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部、特に好ましくは0.2〜0.3質量部含む。自己流動性水硬性組成物(A)中の水酸化カルシウム微粉末がこのような範囲であると、水硬性成分の水和初期段階において、適度な速硬性を付与することができ、スラリー(a)の硬化開始から早期に軽歩行が可能となることから好ましい。水酸化カルシウム微粉末の添加量が、前記範囲より少ないと早期のスラリー(a)硬化体層19の表面硬度が得られず、また前記範囲を超えて添加すると硬化促進効果が過剰となり、スラリー(a)硬化体層19の表面を整形・補修するために充分な時間を確保しづらくなるという問題が生じる可能性があるため、水酸化カルシウム微粉末の添加量は上記の範囲が好ましい。
水酸化カルシウム微粉末としては、ブレーン比表面積5000〜30000cm/gの粉末、好ましくはブレーン比表面積10000〜25000cm/gの粉末、さらに好ましくはブレーン比表面積12000〜20000cm/gの粉末、特に好ましくはブレーン比表面積14000〜18000cm/gの粉末を主成分としていることが好ましい。なお、水酸化カルシウム微粉末のブレーン比表面積は、JIS・R−5201に規定される方法にて測定する。
自己流動性水硬性組成物(A)に含まれる水酸化カルシウム微粉末の粒子径範囲は、水酸化カルシウム微粉末100質量%中に、粒子径が1μmを超えて、48μm以下の粒子を80質量%以上含み、粒子径が1μmを超えて、4μm以下の粒子が20〜40質量%の範囲であり、粒子径4μmを超えて、12μm以下の粒子が25〜45質量%の範囲であり、粒子径12μmを超えて、48μm以下の粒子が20〜40質量%の範囲であることが好ましい。特に、自己流動性水硬性組成物(A)に含まれる水酸化カルシウム微粉末の粒子径範囲は、水酸化カルシウム微粉末100質量%中に、粒子径が1μmを超えて、48μm以下の粒子を90質量%以上含み、粒子径が1μmを超えて、4μm以下の粒子が28〜33質量%の範囲であり、粒子径4μmを超えて、12μm以下の粒子が33〜38質量%の範囲であり、粒子径12μmを超えて、48μm以下の粒子が25〜30質量%の範囲であることがさらに好ましい。本発明では、このような粒子径範囲の水酸化カルシウム微粉末を、自己流動性水硬性組成物(A)中に適正量含有させることによって、水硬性成分の水和初期段階において、緩やかな速硬性を付与することができ、スラリー(a)硬化体層19の表面の整形・補修作業に適した半硬化状態を確保することができる。なお、粒子径の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行うことができる。
<フライアッシュ微粉末>
自己流動性水硬性組成物(A)に含まれるフライアッシュ微粉末は、硬化初期のスラリー(a)硬化体層19の表層の保水性を適正に長時間維持し、整形や補修が容易な施工表面を形成させる効果を付与できることから、保水性付与材として、水硬性成分に対して適正量のフライアッシュ微粉末を配合することが好ましい。
自己流動性水硬性組成物(A)中のフライアッシュ微粉末の適正量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜4質量部、さらに好ましくは1.5〜3.5質量部、特に好ましくは2〜3質量部である。自己流動性水硬性組成物(A)中のフライアッシュ微粉末がこのような範囲であると、硬化開始初期のスラリー(a)硬化体層19の表面に適度な保水性を安定して維持できることから好ましい。
フライアッシュ微粉末としては、ブレーン比表面積2500〜7000cm/gの粉末、好ましくはブレーン比表面積2800〜6500cm/gの粉末、さらに好ましくはブレーン比表面積3000〜6000cm/gの粉末、特に好ましくはブレーン比表面積3300〜5500cm/gの粉末を主成分としていることが好ましい。なお、フライアッシュ微粉末のブレーン比表面積は、JIS・R−5201に規定される方法にて測定する。
自己流動性水硬性組成物(A)に含まれるフライアッシュ微粉末の粒子径範囲は、フライアッシュ微粉末100質量%中に、粒子径が2μmを超えて、48μm以下の粒子を80質量%以上含み、粒子径が2μmを超えて、12μm以下の粒子が30〜50質量%の範囲であり、粒子径が12μmを超えて、24μm以下の粒子が20〜40質量%の範囲であり、粒子径が24μmを超えて、48μm以下の粒子が15〜35質量%の範囲であることが好ましい。特に、自己流動性水硬性組成物(A)に含まれるフライアッシュ微粉末の粒子径範囲は、フライアッシュ微粉末100質量%中に、粒子径が2μmを超えて、48μm未満の粒子を90質量%以上含み、粒子径が2μmを超えて、12μm以下の粒子が38〜42質量%の範囲であり、粒子径が12μmを超えて、24μm以下の粒子が28〜32質量%の範囲であり、粒子径が24μmを超えて、48μm以下の粒子が22〜26質量%の範囲であることがさらに好ましい。本発明では、このような粒子径範囲のフライアッシュ微粉末を自己流動性水硬性組成物(A)中に適正量含有させることによって、硬化開始初期のスラリー(a)硬化体層19の表面に適度な保水性を安定して維持でき、良好な整形性・補修性を得ることができる。なお、粒子径の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行うことができる。
本発明では、水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とを併せて用いることにより、早期に軽歩行が可能となる速硬性を有しつつ、軽歩行が可能となってから数十分の間、スラリー(a)硬化体層19の表面を適度に保水した状態を長く維持することができ、スラリー(a)硬化体層19の表面に、スラリー(b)を早期に打設することができ、また、スラリー(b)を打設する前に必要に応じて整形・補修作業を行うこともでき、さらにスラリー(a)硬化体層19とスラリー(b)硬化体層20とを強固に接合することができる。
<その他の任意成分>
自己流動性水硬性組成物(A)は、水硬性成分と、水酸化カルシウム微粉末と、フライアッシュ微粉末とに加え、細骨材と、流動化剤とを含むことが好ましい。また、さらに再乳化形樹脂粉末、無機成分、凝結遅延剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分を少なくとも1種以上含み、自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)が、自己流動性を有することが好ましい。
<細骨材>
自己流動性水硬性組成物(A)は、細骨材を、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは50〜500質量部、より好ましくは100〜400質量部、さらに好ましくは150〜300質量部、特に好ましくは150〜250質量部含む。
細骨材としては、粒径2mm以下の骨材、好ましくは粒径0.075〜1.5mmの骨材、さらに好ましくは粒径0.1〜1.0mmの骨材、特に好ましくは0.15〜0.6mmの骨材を主成分としている。細骨材の粒径は、JIS・Z−8801で規定される、呼び寸法の異なる数個のふるいを用いる方法によって測定することができる。
細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、山砂及び砕砂などの砂類、アルミナセメントクリンカー、シリカ粉、粘土鉱物、廃FCC触媒及び石灰石などの無機質材、ウレタン砕、EVAフォーム及び発砲樹脂などの樹脂粉砕物などを用いることができる。特に細骨材としては、砂類、石英粉末、石灰石砂及びアルミナセメントクリンカーなどを好ましく用いることができる。
<流動化剤>
自己流動性水硬性組成物(A)に対して流動化剤を添加することにより、自己流動性水硬性組成物(A)を用いたスラリーに自己流動性を付与することができる。そのため、自己流動性水硬性組成物(A)に対する流動化剤の添加は、施工の際の作業性を向上することができるため好ましい。
流動化剤としては、減水効果を合わせ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリエーテル系など、ポリエーテルポリカルボン酸系、リグニンスルホン酸系などが、その種類を問わず使用でき、これらの市販のものを使用できる。また、本発明では、これらの成分を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができ、特にポリカルボン酸系流動化剤と、リグニンスルホン酸系流動化剤とを併用して用いることが好適な流動特性を安定して得られることから好ましい。
流動化剤は、自己流動性水硬性組成物(A)に用いる水硬性成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。具体的には、自己流動性水硬性組成物(A)に対して、流動化剤を、水硬性成分100質量部に対し、0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部、特に好ましくは0.2〜1質量部添加する。添加量が、これらの範囲の下限値以上であれば、自己流動性向上について十分な効果が発現でき、また、これらの範囲の上限値以下であると添加量に見合った効果を期待することができるので経済であり、所要の流動性を得るための混練水量が増大することなく、同時に粘稠性も大きくならず、充填性が悪化することもないと考えられる。
<樹脂粉末(再乳化形樹脂粉末)>
自己流動性水硬性組成物(A)には、樹脂粉末(再乳化形樹脂粉末)を添加することが好ましい。樹脂粉末の添加により、自己流動性水硬性組成物(A)を用いたスラリー(a)において、乾燥によって発生する収縮応力がひび割れ発生に繋がる過程で、ひび割れの発生に対する抵抗性を向上することができる。
樹脂粉末としては、樹脂の粉末化方法などの製法については特に限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いることができる。特に、樹脂粉末としては、ブロッキング防止剤を、主に樹脂粉末の表面に付着しているものを好ましく用いることができる。具体的には、樹脂粉末は、水性ポリマーディスパーションを、噴霧やフリーズドライなどの方法によって溶媒を除去し、乾燥した再乳化形樹脂粉末を用いることが好ましい。
再乳化形樹脂粉末としては、酢酸ビニルエステル重合体樹脂系、エチレン/酢酸ビニルエステル共重合体樹脂系、アクリル酸エステル/酢酸ビニルエステル/バーサチック酸ビニルエステル共重合体樹脂系、アクリル酸エステル共重合体樹脂系、スチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂系、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体樹脂系の再乳化形樹脂粉末を用いることができ、特に酢酸ビニルエステル/バーサチック酸ビニルエステル共重合体樹脂系またはアクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体樹脂系の再乳化形樹脂粉末を好適に用いることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)に添加する再乳化形樹脂粉末の粒子径は、315μmふるい上残分が3%以下、好ましくは300μmふるい上残分が3%以下、さらに好ましくは300μmふるい上残分が2%以下のものを好適に用いることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)中の再乳化形樹脂粉末の配合量は、自己流動性水硬性組成物(A)中の水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは0.6〜4.5質量部、さらに好ましくは0.7〜4質量部、特に好ましくは0.8〜3.5質量部とすることができる。
<無機成分>
自己流動性水硬性組成物(A)は、無機成分として、高炉スラグ微粉末、石灰石粉、シリカヒュームから選ばれる少なくとも1種以上の無機成分を含み、特に高炉スラグ微粉末を含む。これらの無機成分を含むことにより、乾燥収縮によるスラリー(a)硬化体層19の耐クラック性を高めることができ、かつコストが低減でき、経済的である。
自己流動性水硬性組成物(A)に対して、無機成分の添加量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは10〜350質量部、より好ましくは30〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは70〜130質量部とすることが好ましい。
自己流動性水硬性組成物(A)において、無機成分が高炉スラグ微粉末である場合には、高炉スラグ微粉末の添加量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは10〜350質量部、より好ましくは30〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは70〜130質量部とすることが好ましい。高炉スラグ微粉末の添加量が、これらの範囲の下限値以上であれば、スラリー(a)硬化体層19の乾燥収縮が大きくなく適当な値となり、これらの範囲の上限値以下であると初期強度の低下を招くことがない。
高炉スラグ微粉末は、JIS A 6206に規定されるブレーン比表面積3000cm/g以上のものを用いることができる。
<凝結遅延剤>
自己流動性水硬性組成物(A)に添加する凝結遅延剤は、自己流動性水硬性組成物(A)に使用する水硬性成分及び水硬性成分以外の成分などに応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。また、凝結遅延剤の成分、添加量及び混合比率を適宜選択することによって、自己流動性水硬性組成物(A)の可使時間と速硬性とを調整することができる。自己流動性水硬性組成物(A)に対する凝結遅延剤の添加によって、自己流動性スラリーとしての使用が非常に容易になるため好ましい。
凝結遅延剤としては、公知の凝結遅延剤を用いることができる。凝結遅延剤の一例として、L−酒石酸ナトリウム等の酒石酸ナトリウム類、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム類、グルコン酸ナトリウムなどのオキシカルボン酸類を代表とする有機酸やそのナトリウム塩、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどの無機ナトリウム塩類などを、それぞれの成分を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができる。特に、凝結遅延効果、入手容易性、価格の面から、凝結遅延剤が、有機酸及び/又は無機酸のナトリウム塩であることが好ましく、有機酸と無機酸のナトリウム塩を併用することがさらに好ましい。
オキシカルボン酸類は、オキシカルボン酸及びこれらの塩を含む。オキシカルボン酸としては、例えばクエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸及びリンゴ酸などの脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸などの芳香族オキシ酸などを挙げることができる。
オキシカルボン酸の塩としては、例えばオキシカルボン酸のアルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩及びカリウム塩など)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩及びマグネシウム塩など)などを挙げることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)に添加する凝結遅延剤は、自己流動性水硬性組成物(A)中の水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜1.5質量部の範囲、より好ましくは0.1〜1.2質量部の範囲、さらに好ましくは0.2〜1.0質量部の範囲、特に好ましくは0.3〜0.8質量部の範囲で用いることができる。凝結遅延剤の添加がこれらの範囲であると、好適な流動性が得られるとともに、硬化開始時間を大きく遅らせることなく硬化時の表面硬度の発現を緩やかにすることができ、軽歩行が可能なスラリー(a)硬化体層19の表面硬度が得られ、スラリー(b)を早期に打設することができることから好ましい。また、必要に応じて整形・補修作業を行う場合には、補修時間を充分に確保することができる。
<増粘剤>
自己流動性水硬性組成物(A)に添加する増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを除く他のセルロース系、スターチエーテル及びグアーガムなどの化工澱粉系、蛋白質系、ラテックス系及び水溶性ポリマー系などの増粘剤を併用して用いることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)に対する増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜1.5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、特に0.05〜0.8質量部含むことが好ましい。自己流動性水硬性組成物(A)に対する増粘剤の添加量が多くなると、スラリー(a)の粘度が増加して流動性の低下を招く恐れがあるために、上記の好ましい範囲で用いることが好ましい。
自己流動性水硬性組成物(A)において、増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、水硬性成分や細骨材などの骨材分離の抑制、気泡発生の抑制、硬化体層表面の改善に好ましい効果を与え、スラリー(a)硬化体層19の特性を向上させる上で好ましい。
<消泡剤>
自己流動性水硬性組成物(A)に添加する消泡剤は、シリコーン系、アルコール系及びポリエーテル系などの合成物質、鉱物油系又は植物由来の天然物質など、公知のものを用いることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)に対する消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜4質量部、さらに好ましくは0.05〜2.5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部、特に0.2〜1.5質量部含むことが好ましい。消泡剤の添加量が上記範囲内であると、好適な消泡効果が認められるために好ましい。
<その他の任意成分>
自己流動性水硬性組成物(A)では、乾燥クラックの防止・抑制効果をより高める場合などには、収縮低減剤及びシリコーンオイルなどを適宜選択して用いることができる。
<好適な成分構成>
自己流動性水硬性組成物(A)を構成する場合に、特に好適な成分構成は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分、水酸化カルシウム微粉末、フライアッシュ微粉末及び硅砂などの細骨材、流動化剤、無機成分、凝結遅延剤、再乳化形樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤を含むものである。
さらに、本発明の成功方法では、自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)を施工して2時間後に、スラリー(a)硬化体層19の表面のショア硬度が30以下という値を得るような自己流動性水硬性組成物(A)を用いる。自己流動性水硬性組成物(A)中の水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末との配合割合を所定の値に調節することによって、施工して2時間後のショア硬度の値を調節することができる。
施工後のスラリー(a)が、優れた速硬性を有しつつ、硬化開始後に緩やかに硬化が進行し、その間にスラリー(a)硬化体層19の表面が適度な保水性を維持しているため、軽歩行が可能となった後のスラリー(a)硬化体層19の表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できるようにするために、自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)の硬化体層は、スラリー(a)を施工後、65分〜120分の間に整形・補修作業が可能であることが好ましい。
また、施工後、軽歩行が可能となった後のスラリー(a)硬化体層19の表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できるようにするために、施工に用いるスラリー(a)は、上記の自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して得られるものであることが好ましい。
また、上記の自己流動性水硬性組成物(A)を用いたスラリー(a)硬化体層19は、表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できるほどに、良好な保水状態を所定期間保持していることから、スラリー(a)硬化体層19の上面にスラリー(b)硬化体層20を形成した場合に、ドライアウトによる接着不良を回避して、良好な接着強度を安定して確保することができる。
<製造方法>
所定量の水硬性成分、水酸化カルシウム微粉末、フライアッシュ微粉末、無機成分、細骨材、流動化剤、無機成分、凝結遅延剤、再乳化形樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤などを混合機で混合することによって、自己流動性水硬性組成物(A)のプレミックス粉体を得ることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)のプレミックス粉体は、所定量の水と混合・攪拌して、スラリー(a)を製造することができ、そのスラリー(a)を施工・硬化させることにより自己流動性水硬性組成物(A)の硬化体層を得ることができる。また、特に、そのスラリー(a)をコンクリート上に施工・硬化させることで、自己流動性水硬性組成物(A)を用いたスラリー(a)の硬化体層を表層に有する水平レベル性に優れる床構造体を得ることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)は、水と混合・攪拌してスラリー(a)を製造することができ、水の添加量を調整することにより、スラリー(a)の流動性、可使時間、材料分離性、硬化体層の強度などを調整することができる。自己流動性水硬性組成物(A)に対する水の添加量は、自己流動性水硬性組成物(A)100質量部に対し、好ましくは10〜36質量部、さらに好ましくは12〜32質量部、より好ましくは16〜28質量部、特に好ましくは20〜26質量部の範囲で添加して用いることが好ましい。
自己流動性水硬性組成物(A)は、水酸化カルシウム微粉末との配合割合を調節することにより、水と混合・攪拌してスラリー(a)とした場合の、初期の軽歩行可能となる表面硬度発現時間を調整することができる。そのため、自己流動性水硬性組成物(A)を用いると、スラリー(a)打設後に、早期にスラリー(b)を打設することができる。また、必要に応じて、施工表面を補修することができる。
また、さらに自己流動性水硬性組成物(A)中のフライアッシュ微粉末の配合割合を調節することにより、表層の保水性が維持され、補修が容易な施工表面を形成することができるとともに、スラリー(a)硬化体層19の表面とその上面に施工したスラリー(b)の馴染み性を良好な状態に保持できるスラリー(a)を得ることができる。これによって、スラリー(a)硬化体とスラリー(b)硬化体との界面のコールトジョイントの発生による接着不良を防止して接着性を高めることができる。
自己流動性水硬性組成物(A)に水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とを適正量配合することによって、スラリー(a)の打設後、早期にスラリー(b)を打設することができる。また、必要に応じて、スラリー(a)の打設表面を補修するのに充分な作業時間と、良好な整形性・補修性とを確保することができ、さらに整形・補修作業を行う時間が経過したのちは良好な速硬性を示す。また、スラリー(a)を打設して2時間後には、表面のショア硬度が30以下のスラリー(a)硬化体層19を得ることができる。
<スラリー(b)硬化体層>
本発明の施工方法では、次に、スラリー(a)硬化体層19の上面に、フロー値が190mm以上である自己流動性水硬性組成物(B)と、水とを混練して調製したスラリー(b)を打設して硬化させ、スラリー(b)硬化体層20を形成する。図2に示すように、床下地11に比較的大きなトレンチ21がある場合にも、スラリー(a)硬化体層19の形成により、トレンチ21に起因する凹部を緩やかな凹部22とすることができる。スラリー(a)硬化体層19の上面にスラリー(b)硬化体層20を形成することにより、比較的大きなトレンチ21があった部分も含めて表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることができる。
本発明の施工方法では、スラリー(b)硬化体層20の形成は、スラリー(a)硬化体層の表面の表面水の光沢が消失する水引き時点から、スラリー(a)硬化体層のショア硬度が70であるときに、スラリー(b)を打設することが好ましい。スラリー(a)硬化体層の表面の表面水の光沢が消失する水引き時点から、スラリー(a)硬化体層のショア硬度が30であるときに、スラリー(b)を打設することがさらに好ましい。スラリー(a)硬化体層の表面の表面水の光沢が消失する水引き時点から、スラリー(a)硬化体層のショア硬度が20であるときに、スラリー(b)を打設することが特に好ましい。スラリー(a)硬化体層の表面が、このような状態の場合にスラリー(b)を打設することにより、スラリー(a)硬化体層19とスラリー(b)硬化体層20との密着性を高め、床構造体の亀裂の発生を防止することができる。
また、本発明の施工方法では、スラリー(b)硬化体層20を形成する工程において、スラリー(b)の打設を開始する時が、スラリー(a)のスラリー(a)硬化体層19の表面の表面水の光沢が消失する水引き時点からスラリー(a)の打設終了後3時間経過時までの間であることが好ましく、スラリー(a)硬化体層19の表面の表面水の光沢が消失する水引き時点からスラリー(a)の打設終了後2時間経過時までの間であることがさらに好ましく、スラリー(a)の打設終了後65分経過時から1時間30分経過時までの間であることが特に好ましい。スラリー(b)の打設を開始する時が、このような時であると、スラリー(a)硬化体層19とスラリー(b)硬化体層20との接着性を高め、床構造体の亀裂の発生を防止することをより確実にすることができる。なお、「スラリー(a)硬化体層19の表面の表面水の光沢が消失する水引き時点」とは、打設したスラリー(a)の凝結開始に伴い、スラリー(a)の表面水が消失した時点(スラリー(a)表面の光の反射が失われ曇った状態になった時)をいう。スラリー(a)の表面水が消失した時点(スラリー(a)表面の光の反射が失われ曇った状態になった時点)は、スラリー硬化体層表面の状態を目視することにより定めることができる。
本発明の施工方法に用いる自己流動性水硬性組成物(B)としては、フロー値が190mm以上である自己流動性水硬性組成物であれば、その種類は問わない。本発明の施工方法に用いる自己流動性水硬性組成物(B)として、具体的には、上述の自己流動性水硬性組成物(A)と同じものを用いることができる。また、本発明の施工方法に用いる自己流動性水硬性組成物(B)は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を含む速硬性セルフレベリング材であることが好ましい。この場合、自己流動性水硬性組成物(B)は、さらに細骨材と、凝結遅延剤とを含み、さらに再乳化形樹脂粉末、無機成分、流動化剤、凝結促進剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分のうち少なくとも1種以上含むことが好ましい。
また、スラリー(a)硬化体層19の上面に、密着性良く、より良好な水平レベル性を有する床構造体を形成することができるため、本発明の施工方法に用いる自己流動性水硬性組成物(B)として、以下に述べる「水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物」を用いることが好ましい。
<水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、セメント成分及び石膏を含む水硬性成分と、細骨材とを含む水硬性組成物であって、石膏中の残留水酸化カルシウム濃度が、残留水酸化カルシウムを含む石膏100質量%に対して0.5質量%以下であることを特徴とする水硬性組成物である。なお、このような組成を有する水硬性組成物は、十分な速硬性を有する水硬性組成物(速硬性セルフレベリング材)である。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物の好ましい態様を以下に示す。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物が、流動化剤をさらに含む。
(2)石膏が、水酸化カルシウムを脱硫中和材として用いるフッ酸製造工程から副産される石膏である。
(3)残留水酸化カルシウムが、水酸化カルシウムを脱硫中和材として用いるフッ酸製造工程で副産される石膏に含まれる、フッ酸製造工程において未反応の中和反応残渣の水酸化カルシウムである。
(4)セメント成分が、アルミナセメント及び/又はポルトランドセメントからなる。
(5)水硬性成分が、水硬性成分の合計を100質量%として、アルミナセメント20〜80質量%、ポルトランドセメント5〜70質量%及び石膏5〜45質量%である。
(6)水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物が、無機成分、凝結遅延剤、凝結促進剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分の少なくとも1種以上をさらに含み、水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性スラリーが、自己流動性を有する。
(7)水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性スラリーの硬化体表面のショア硬度が、水硬性スラリーを施工して3時間後に30以上である。
本明細書において「残留水酸化カルシウム」とは、石膏中に残留する水酸化カルシウムのことをいう。石膏を製造する過程では、水酸化カルシウムを、硫酸を中和するための脱硫中和材として用いることがある。石膏中の硫酸の中和を完全に行うためには、水酸化カルシウムを過剰に添加する必要があり、そのため石膏中には残留水酸化カルシウムが存在することとなる。自己流動性水硬性組成物(B)として用いることが好ましい水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、その成分の一つである石膏中の残留水酸化カルシウム濃度を所定の値とすることに特徴がある。そのため、この水硬性組成物を用いた水硬性スラリーは、安定して高い流動性を長時間維持できるなどの優れた効果を奏する。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、セメント成分及び石膏を含む水硬性成分と、細骨材とを含む水硬性組成物であって、石膏中の残留水酸化カルシウム濃度が、残留水酸化カルシウムを含む石膏100質量%に対して0.5質量%以下である水硬性組成物である。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、これらの成分に加え、流動化剤をさらに含むことができる。
<水硬性成分>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物では、水硬性成分として、セメント成分と石膏とを含む水硬性成分を用いることができ、セメント成分としては、ポルトランドセメント及び/又はアルミナセメントを用いることができる。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物が、これらの成分を用いることにより、優れた自己流動性を有し、適正な可使時間と、優れた速硬性とを有する水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物が得られることから特に好ましい。
水硬性成分の組成は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏の合計質量を100質量%とした場合に、好ましくはアルミナセメント20〜80質量%、ポルトランドセメント5〜70質量%及び石膏5〜45質量%である。また、水硬性成分の組成は、合計質量を100質量%として、さらに好ましくはアルミナセメント30〜70質量%、ポルトランドセメント15〜60質量%及び石膏10〜40質量%である。また、水硬性成分の組成は、合計質量を100質量%として、より好ましくはアルミナセメント35〜60質量%、ポルトランドセメント20〜50質量%及び石膏15〜35質量%からなる組成である。また、水硬性成分の組成は、合計質量を100質量%として、特に好ましくはアルミナセメント40〜50質量%、ポルトランドセメント25〜40質量%及び石膏17〜27質量%である。このような組成の水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いることにより、自己流動性に優れる水硬性スラリーを得ることができ、さらに速硬性を有し、低収縮性又は低膨張性で硬化中の体積変化が少ない硬化体層を容易に得ることができるために好ましい。
<セメント成分>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物がセメント成分としてポルトランドセメントを含む場合、ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントなどのポルトランドセメントを用いることができる。また、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物のセメント成分として、ポルトランドセメントと他の成分とを混合した混合セメント、例えば、高炉セメント、フライアッシュセメント及びシリカセメントなどの混合セメントなどを用いるができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物がセメント成分としてアルミナセメントを含む場合、アルミナセメントとしては、鉱物組成の異なるものが数種知られ、市販されているが、何れも主成分はモノカルシウムアルミネート(CA)であり、市販品はその種類によらず使用することができる。
<石膏>
本発明では、水硬性成分のひとつとして石膏を用いる。石膏は、水硬性組成物と水とを混練して得られる水硬性スラリーが硬化した後の寸法安定性を保持する成分として機能するものである。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に用いることができる石膏は、その製法について特に限定されるものではなく、天然石膏、フッ酸製造工程で副産されるフッ酸石膏及び排煙脱硫過程で生成する排脱石膏などを用いることができ、さらに好ましくは、天然無水石膏、フッ酸製造工程で副産されるフッ酸石膏(無水石膏)及び排煙脱硫過程で生成する排脱石膏(無水石膏)などを用いることができる。特に入手容易性、経済性及び環境対応の観点から、フッ酸製造工程で副産される、水酸化カルシウムを脱硫中和材として用いるフッ酸石膏(無水石膏)を好適に用いることができる。また、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に好適なフッ酸石膏を用いる場合、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に含まれる残留水酸化カルシウムは、水酸化カルシウムを脱硫中和材として用いるフッ酸製造工程で副産される石膏に含まれる、フッ酸製造工程において未反応の中和反応残渣の水酸化カルシウムであることができる。
また、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物では、水硬性成分のひとつとして無水石膏を用い、さらに無水石膏以外の石膏として、半水石膏及び/又は二水石膏などの石膏を、その種類を問わず、無水石膏と併用して使用することができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物では、石膏中の残留水酸化カルシウム濃度が、残留水酸化カルシウムを含む石膏100質量%に対して、好ましくは0.5質量%以下の石膏、さらに好ましくは0.45質量%以下の石膏、より好ましくは0.4質量%以下の石膏、特に好ましくは0.35質量%以下の石膏を好適に用いることができる。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物では、石膏中の水酸化カルシウム濃度が前記範囲の石膏を選択して使用することによって、施工時の温度条件が変化した場合にも、安定して高い流動性を長時間維持できることから好ましい。石膏中の水酸化カルシウム濃度が、前記範囲の上限を超えると、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーの流動性保持時間が、25℃以上の温度条件下、特に30℃以上の温度条件下で流動性の保持時間が短くなって可使時間が短くなり、施工時の作業性の低下を招くことがある。そのため、石膏中の水酸化カルシウム濃度は、前記範囲の上限値以下であることが好ましい。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物では、pHの安定した石膏を選択して用いて水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を調製することにより、施工時の温度条件が変化した場合にも、安定して高い流動性を長時間維持できる。石膏のpHは、好ましくはpH7.5〜pH11.5の範囲、さらに好ましくはpH7.8〜pH11の範囲、特に好ましくはpH8〜pH10の範囲のものを好適に用いることができる。石膏のpHが、前記範囲の上限を超えると、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーの流動性保持時間が、25℃以上の温度条件下、特に30℃以上の温度条件下で流動性の保持時間が短くなって可使時間が短くなり、施工時の作業性の低下を招くことがある。そのため、石膏のpHは、前記範囲の上限値以下であることが好ましい。なお、本明細書において「石膏のpH」とは、石膏10gを純水1リットルに分散させたスラリーのpHを測定して得られるpH値を示すものである。
<細骨材>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、水硬性成分に加えて、細骨材を含む。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に含まれる細骨材の配合量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは30〜500質量部、より好ましくは50〜400質量部、さらに好ましくは100〜300質量部、特に好ましくは150〜250質量部の範囲が好ましい。
細骨材としては、粒径2mm以下の骨材、好ましくは粒径0.075〜1.5mmの骨材、さらに好ましくは粒径0.1〜1mmの骨材、特に好ましくは0.15〜0.6mmの骨材を主成分として用いることが好ましい。細骨材の粒径は、JIS・Z−8801で規定される、呼び寸法の異なる数個のふるいを用いる方法によって測定することができる。
細骨材の種類は、珪砂、川砂、海砂、山砂及び砕砂などの砂類、アルミナセメントクリンカー、シリカ粉、粘土鉱物、廃FCC触媒及び石灰石などの無機材料、ウレタン砕、EVAフォーム及び発砲樹脂などの樹脂粉砕物などを用いることができる。特に細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、山砂及び砕砂などの砂類、廃FCC触媒、石英粉末、石灰石砂、及びアルミナセメントクリンカーなどを好ましく用いることができる。
<流動化剤>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、材料分離を抑制しつつ好適な流動性を確保するために、流動化剤(高性能減水剤などの減水剤)を含むことが好ましい。水硬性成分であるアルミナセメントの発現強度は、水/水硬性成分比の影響を大きく受けることから、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物の水硬性成分としてアルミナセメントを含む場合には、減水効果を有する流動化剤を使用して水/水硬性成分比を小さくすることが特に好ましい。
流動化剤としては、減水効果を合わせ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、リグニンスルホン酸系、ポリエーテル系など、ポリエーテルポリカルボン酸などの流動化剤が、その種類を問わず使用でき、これらの市販のものを使用できる。特にポリエーテル系など及びポリエーテルポリカルボン酸などの流動化剤が好ましく、これらの市販のものを使用できる。
流動化剤は、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に用する水硬性成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。具体的には、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に対して、流動化剤を、水硬性成分100質量部に対して好ましくは0.01〜2.0質量部、さらに好ましくは0.05〜1.0質量部、特に好ましくは0.1〜0.5質量部を配合することができる。添加量が余り少ないと好適な効果(優れた流動性と高い硬化体強度)を発現しないため、これらの範囲の下限値以上であることが好ましく、また添加量が多すぎても添加量に見合った効果は期待できず単に不経済であるだけでなく、場合によっては粘稠性も大きくなり所要の流動性を得るための混練水量が増大して強度性状が悪化する場合が考えられため、これらの範囲の上限値以下であることが好ましい。
<無機成分などの任意成分>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、さらに無機成分、凝結遅延剤、凝結促進剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる1種以上の成分を含み、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性スラリーが、自己流動性を有することが好ましい。
<無機成分>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ及びシリカヒュームから選ばれる少なくとも1種以上の無機成分を含み、特に高炉スラグ微粉末を含むことが好ましい。これらの無機成分を含むことにより、乾燥収縮による硬化体層の耐クラック性を高めることができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に対する無機成分の添加量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは10〜350質量部、より好ましくは30〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは70〜130質量部とすることが好ましい。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物において、無機成分が高炉スラグ微粉末である場合には、高炉スラグ微粉末の添加量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは10〜350質量部、より好ましくは30〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは70〜130質量部とすることが好ましい。高炉スラグ微粉末の添加量が、少なすぎると硬化体層の乾燥収縮が大きくなるので、これらの範囲の下限値以上であることが好ましい。また、高炉スラグ微粉末の添加量が、多すぎると初期強度の低下を招くことがあるので、これらの範囲の上限値以下であることが好ましい。
高炉スラグ微粉末は、JIS A 6206に規定されるブレーン比表面積3000cm/g以上のものを用いることができる。
<凝結調整剤>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する凝結調整剤(凝結遅延剤及び凝結促進剤)は、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に使用する水硬性成分及び水硬性成分以外の成分などに応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。また、凝結遅延剤及び凝結促進剤の成分、添加量及び混合比率を適宜選択することによって、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物の可使時間と速硬性とを調整することができる。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に対する凝結遅延剤の添加によって、セルフレベリング材(自己流動性モルタル)としての使用が非常に容易になるため好ましい。
<凝結遅延剤>
凝結遅延剤としては、公知の凝結遅延剤を用いることができる。凝結遅延剤の一例として、L−酒石酸ナトリウムなどの酒石酸ナトリウム類、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム類、グルコン酸ナトリウムなどのオキシカルボン酸類を代表とする有機酸やそのナトリウム塩、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムなどの無機ナトリウム塩類などの成分を挙げることができる。凝結遅延剤は、これらの成分のそれぞれを単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができる。
凝結遅延剤の一種であるオキシカルボン酸類は、オキシカルボン酸及びこれらの塩を含む。オキシカルボン酸としては、例えばクエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸などの脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸などの芳香族オキシ酸などを挙げることができる。
オキシカルボン酸の塩としては、例えばオキシカルボン酸のアルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩、カリウム塩など)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩など)などを挙げることができる。
特に、重炭酸ナトリウム及び/又はL−酒石酸ナトリウムを、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する凝結遅延剤として用いることが、凝結遅延効果、入手容易性及び価格の面から好ましい。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する凝結遅延剤は、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物中の水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2.0質量部であり、より好ましくは0.1〜1.5質量部、さらに好ましくは0.2〜1.2質量部、特に好ましくは0.4〜1質量部の範囲で用いることができる。凝結遅延剤の添加がこれらの範囲であると、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーにおいて、好適な流動性が得られる可使時間(ハンドリングタイム)を確保できることから好ましい。
<凝結促進剤>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する凝結促進剤としては、公知の凝結を促進する成分を用いることができ、例えば、凝結促進効果を有するリチウム塩を好適に用いることができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する凝結促進剤であるリチウム塩の一例として、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム及び水酸化リチウムなどの無機リチウム塩並びに酢酸リチウム、酒石酸リチウム、リンゴ酸リチウム及びクエン酸リチウムなどの有機酸リチウム塩を挙げることができ、これらのリチウム塩を凝結促進剤として用いることができる。特に炭酸リチウムは、凝結促進効果、入手容易性、価格の面から好ましい。
凝結促進剤の粒子径としては、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物の特性を妨げない範囲の粒子径を用いることが好ましく、50μm以下の粒子径にすることが好ましい。特にリチウム塩を凝結促進剤として用いる場合、リチウム塩の粒子径は50μm以下、さらに30μm以下、特に10μm以下が好ましく、リチウム塩の粒子径が上記範囲より大きくなるとリチウム塩の溶解度が小さくなるという問題が生じ、特に顔料添加系では微細な多数の斑点として目立つために美観を損なう場合があるため、リチウム塩の粒子径は、上記範囲の上限値以下であることが好ましい。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する凝結促進剤は、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物の水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.01〜0.5質量部、さらに好ましくは0.02〜0.3質量部、特に好ましくは0.04〜0.2質量部の範囲で用いる。凝結促進剤の添加量がこの範囲であると、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーにおいて、可使時間を確保したのち好適な速硬性が得られることから好ましい。
<増粘剤>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する増粘剤は、ヒドロキシエチルメチルセルロースを含み、ヒドロキシエチルメチルセルロースを除く他のセルロース系、蛋白質系及びスターチエーテルなどの化工澱粉系、ラテックス系及び水溶性ポリマー系などの増粘剤を併用して用いることができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に対する増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.01〜1.5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部、特に0.1〜0.8質量部含むことが好ましい。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に対する増粘剤の添加量が多くなると、水硬性スラリー粘度が増加して流動性の低下を招く恐れがあるために上記の好ましい範囲で用いることが好ましい。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物において、増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、水硬性成分や細骨材などの骨材分離の抑制、気泡発生の抑制及び硬化体層表面の改善に好ましい効果を与え、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物の硬化物の特性を向上させる上で好ましい。
<消泡剤>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に添加する消泡剤は、シリコン系、アルコール系及びポリエーテル系などの合成物質、鉱物油系又は植物由来の天然物質など、公知のものを用いることができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に対する消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.01〜1.5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部、特に0.1〜0.5質量部含むことが好ましい。消泡剤の添加量が上記範囲内であると、好適な消泡効果が認められるために好ましい。
<その他の任意成分>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物では、乾燥クラックの防止・抑制効果をより高める場合などには、収縮低減剤、樹脂粉末などを適宜選択して用いることができる。
<好適な成分構成>
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を構成する場合に、特に好適な成分構成は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び所定の石膏からなる水硬性成分、硅砂などの細骨材、流動化剤、無機成分、凝結調整剤、増粘剤及び消泡剤を含むものである。
また、施工時の温度条件が変化した場合にも、安定して高い流動性を長時間維持でき、速硬性と水平レベル性に優れ、良好な仕上り表面を有する硬化体層を安定して得るという優れた施工性を有するため、自己流動性水硬性組成物(B)として、上記の水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いたものであることが好ましい。
<製造方法>
所定量の水硬性成分及び細骨材並びに必要に応じて流動化剤、無機成分、凝結調整剤、増粘剤及び消泡剤などを混合機で混合することによって、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物のプレミックス粉体を得ることができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物のプレミックス粉体は、所定量の水と混合・攪拌することによって、スラリー状の自己流動性を有する水硬性スラリーを製造することができ、その水硬性スラリーを施工・硬化させることによって水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物の硬化体層を得ることができる。また、特に、その水硬性スラリーをスラリー(a)硬化体層上に打設・硬化させることで、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーの硬化体層を表層に有する水平レベル性に優れる床構造体を得ることができる。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物は、水と混合・攪拌して水硬性スラリーを製造することができ、水の添加量を調整することにより、水硬性スラリーの流動性、可使時間、材料分離抵抗性及び硬化体層の強度などを調整することができる。水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物に対する水の添加量は、水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物100質量部に対し、好ましくは10〜40質量部、さらに好ましくは14〜34質量部、より好ましくは18〜30質量部、特に好ましくは22〜28質量部の範囲で添加して用いることが好ましい。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を水と混合して調製した自己流動性を有する水硬性スラリーのフロー値が、好ましくは190〜270mm、さらに好ましくは200〜260mm、特に好ましくは210〜250mmに調整されていることが、施工の容易さ及び水平レベル性の高い硬化体層表面を得られやすいという理由により好ましい。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーは、施工終了後0.5時間〜3時間の間に硬化を開始し、硬化の進行に伴って硬化体層の表面硬度が上昇し、硬化体層表面の含水量が低下する。水硬性スラリーの硬化体層表面のショア硬度は、水硬性スラリーの打設(施工)から好ましくは3時間後に30以上、さらに好ましくは3時間後に35以上、より好ましくは3時間後に40以上、特に好ましくは3時間後に45以上の値を得ることができる。そのため、スラリー施工が終了した後、速やかに硬化が進行することによって水硬性スラリーの施工を完了することができる。
以下、本発明の施工方法に用いる自己流動性水硬性組成物(A)として用いるのが好ましい水硬性組成物を、実験に基づいて、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
(1)スラリーの評価:
評価に用いるスラリーは、水硬性組成物と、水とを混練して調製した混練直後のスラリーを用いる。
・セルフレベリング性(自己流動性):フロー値及びSL値
フロー値は、JASS・15M−103に準拠して測定した。すなわち、厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100ml)を置き、練り混ぜたスラリーを充填した後、パイプを引き上げた。スラリーの広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とした。
SL値の測定には、図3に示すSL測定器を使用した。SL測定器は、幅30mm×高さ30mm×長さ750mmのレール及びレールの先端より長さ150mmのところに堰板を設けた構造である。混練直後のスラリーを、レールの先端と堰板との間に所定量満たすことにより、スラリーを成形した。スラリー成形直後に堰板を引き上げて、スラリーの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)からスラリーの流れの先端の最も標点に近い部分(最短部)までの距離を測定し、その値(SL値)をL0とした。同様に成形後5分後に堰板を引き上げて、スラリーの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)からスラリーの流れの最短部までの距離を測定し、その値(SL値)をL5とした。
(2)水引き時間
調製したスラリーを、13cm×19cmの樹脂製の型枠へ厚さ10mmで流し込んだ後、凝結開始に伴いスラリー表面水が消失(光の反射が失われ曇った状態)した時点までの時間を水引き時間とした。スラリー硬化体層表面の状態は、目視により評価した。
(3)整形性・補修性評価
上記の水引き時間を測定したサンプルを用いて、コテを使用した整形性・補修性を評価した。スラリー表面の水引き後、コテを試料表面に押し当てた時に硬化したスラリーがコテに付着しなくなる時間を補修開始時間とし、その後の作業性を評価した。コテ押さえの繰り返しにより水浮きが多く発生する場合は補修作業が容易となり、高得点となる。評価は5段階で、5点が最も高い評価とした。なお、補修終了時間は、スラリー硬化体層表面のショア硬度=15とし、補修開始から補修終了の時間を補修可能時間とした。なお、コテ押さえの繰返しによる水浮きとは、スラリー硬化体層の表層を、繰返しコテ押さえを行った時に、水硬性スラリーが遊離水を含んだ状態になることをいう。
(4)スラリー硬化体層表面のショア硬度
スラリー打設後からの所定の経過時間において、硬化した表面の硬度をスプリング式硬度計タイプD型((株)上島製作所製)を用いて、任意の3〜5カ所の表面硬度を測定し、そのスプリング式硬度計の読み取り値の平均値をその時間のスラリー表面のショア硬度とした。
(5)硬化体層表面の仕上り状態
上記サンプルにおいて、硬化後材齢24時間で、補修を加えていない部分の表面仕上りを目視などで観察することで評価した。評価は5段階評価とし、5点が最も高い評価とした。
実験の原料は、以下のものを使用した。
1)水硬性成分
・アルミナセメント(フォンジュ、ケルネオス社製、ブレーン比表面積3100cm/g)。
・ポルトランドセメント(早強セメント、宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積4500cm/g)。
・石膏:II型無水石膏(旭硝子社製、ブレーン比表面積3600cm/g)。
2)水酸化カルシウム微粉末(宇部マテリアルズ社製、ブレーン比表面積16020cm/g、平均粒子径=7.0μm、粒子径分布を表3に示す。なお、粒子径の測定は、下記のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行った。)。
一般名 : レーザー回折・散乱式粒度分布測定器
メーカー: 株式会社 セイシン企業
製品名 : レーザー・マイクロン・サイザー
型式 : LMS−30
3)フライアッシュ(常磐フライアッシュ、常磐火力産業製、ブレーン比表面積3660cm/g、平均粒子径=14.6μm、粒子径分布を表3に示す。なお、粒子径の測定は、水酸化カルシウム微粉末の場合と同様に、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行った。)。
4)細骨材
・珪砂:6号珪砂。
5)流動化剤
・流動化剤A:ポリカルボン酸系流動化剤(花王社製)。
・流動化剤B:リグニンスルホン酸カルシウム系流動化剤(BASFポゾリス社製)。
6)無機成分
・高炉スラグ微粉末(リバーメント、千葉リバーメント社製、ブレーン比表面積4400cm/g)。
7)凝結遅延剤
・グルコン酸ナトリウム(富田製薬社製)。
・ポリリン酸ナトリウム(オルガノ社製)。
・トリポリリン酸ナトリウム(太洋化学工業社製)。
8)増粘剤:ヒドロキシプロピルメチルセルロース系増粘剤(マーポローズ65MP−400、松本油脂製薬社製)。
9)消泡剤:ポリエーテル系消泡剤(ADEKA社製)。
10)再乳化形樹脂粉末:酢酸ビニルエステル/バーサチック酸ビニルエステルの共重合体(ニチゴー・モビニール社製)。
<実験1−1〜1−3>
表1に示す水硬性成分、細骨材、流動化剤、無機成分、凝結調整剤、再乳化形樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤(総量:1.5kg)を、混合して水硬性組成物を調製し、さらに水360gを加えてケミスタラーを用いて3分間混練して、スラリーを得た。水硬性組成物及びスラリーの調製及び養生は、全て、温度20℃、湿度65%の雰囲気下で行った。
上記の調製、混練及び養生によって得られたスラリーを用いて、セルフレベリング性、水引き時間、整形・補修性、ショア硬度及び硬化体層表面仕上り状態の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2009235854
Figure 2009235854
Figure 2009235854
実験1−1に示すように、水硬性組成物に対して水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とが共に無添加の場合には、スラリーの凝結開始に伴う水引きが遅く、水引き後のスラリーの表層も脆弱なため、硬化材料が剥離付着することで軽歩行が難しく、また硬化体表面の保水状態が良好ではないため補修作業も困難であった。
また、実験1−2に示すように、水硬性組成物に対して水酸化カルシウム微粉末のみ添加し、フライアッシュ微粉末が無添加である場合には、スラリーの凝結が速く、水引きまでの時間は早く、早期の軽歩行が可能となり補修作業も早期に可能となるが、整形や補修が可能な時間が30分間と短く、硬化体表面の保水状態が良好な時間を充分に確保できなかった。
これらに対して実験1−3に示すように、水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とが共に適切な添加量であった場合には、早期に軽歩行が可能となる凝結促進効果が確保され、補修作業が充分に行える硬化体表面の保水状態が良好な時間が55分間と非常に長かった。すなわち、水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とが共に適切な添加量であった場合には、凝結促進効果と良好な保水効果の両方が確保されていた。
実験1−3の水硬性組成物を用いたスラリーは、速硬性を有しつつ硬化開始後に緩やかに硬化が進行し、その間にスラリー硬化体層表面が適度な保水性を維持するため、スラリー硬化体層の上面に、さらにモルタルを施工した場合にもドライアウトを生じて接着不良を生じることなく、良好な接着状態を形成することができた。
以上の実験から、実験1−3の水硬性組成物が、本発明の自己流動性水硬性組成物(A)として好ましいことが明らかとなった。
次に、自己流動性水硬性組成物(B)として用いることが好ましい水硬性組成物(水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物)を、実験に基づき、さらに詳細に説明する。
(1)水硬性スラリーの評価:
評価には、水硬性組成物と水とを混練して調製した混練直後の水硬性スラリーを用いた。
・セルフレベリング性(自己流動性):フロー値及びSL値
フロー値は、実施例1と同様の方法により測定した。すなわち、フロー値は、JASS・15M−103に準拠して測定した。すなわち、厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100ml)を置き、練り混ぜた水硬性スラリーを充填した後、パイプを引き上げた。水硬性スラリーの広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とした。
SL値は、実施例1と同様に、図3に示すSL測定器を使用した。SL測定器は、幅30mm×高さ30mm×長さ750mmのレール及びレールの先端より長さ150mmのところに堰板を設けた構造である。混練直後のスラリーを、レールの先端と堰板との間に所定量満たすことにより、水硬性スラリーを成形した。水硬性スラリー成形直後に堰板を引き上げて、水硬性スラリーの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)から水硬性スラリーの流れの先端の最も標点に近い部分(最短部)までの距離を測定し、その値(SL値)をL0とした。同様に成形後10分、20分又は30分後に堰板を引き上げて、水硬性スラリーの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)から水硬性スラリーの流れの最短部までの距離を測定し、その値(SL値)をL10、L20又はL30とした。評価は、温度20℃、25℃、30℃及び35℃並びに湿度65%の温度及び湿度条件下で行った。
(2)水硬性スラリー硬化体層表面の状態:
水硬性スラリー硬化体層表面の状態は、調製した水硬性スラリーを、13cm×19cmの樹脂製の型枠へ厚さ10mmで流し込み、硬化後材齢24時間で、表面仕上りを目視で観察することで評価した。評価は以下の通りとした。評価条件は、温度20℃、25℃、30℃及び35℃並びに湿度65%の温度及び湿度条件下で行った。
○:表面仕上りが良好(気泡なし、粉化なし)
×:表面仕上りが不良(気泡及び/又は粉化あり)
(3)水硬性スラリー硬化体層表面のショア硬度:
水硬性スラリー打設後からの所定の経過時間において、硬化した表面の硬度をスプリング式硬度計タイプD型((株)上島製作所製)を用いて、任意の3〜5カ所の表面硬度を測定し、そのスプリング式硬度計タイプD型のゲージの読み取り値の平均値をその時間の水硬性スラリー表面のショア硬度とした。
実施例及び比較例の原料は、以下のものを使用した。
1)水硬性成分
・アルミナセメント(フォンジュ、ケルネオス社製、ブレーン比表面積3100cm/g)。
・ポルトランドセメント(早強セメント、宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積4500cm/g)。
・石膏A:水酸化カルシウムを排煙脱硫材とするII型無水石膏(旭硝子社製、Ca(OH)含有量=0.00%、pH=8.4)。
・石膏B:水酸化カルシウムを排煙脱硫材とするII型無水石膏(旭硝子社製、Ca(OH)含有量=0.30%、pH=11.3)。
・石膏C:水酸化カルシウムを排煙脱硫材とするII型無水石膏(旭硝子社製、Ca(OH)含有量=0.63%、pH=11.7)。
2)細骨材
・珪砂:6号珪砂。
3)流動化剤:ポリカルボン酸系流動化剤(花王社製)。
4)無機成分
・高炉スラグ微粉末(リバーメント、千葉リバーメント社製、ブレーン比表面積4400cm/g)。
5)凝結調整剤:
・重炭酸Na:重炭酸ナトリウム(東ソー社製)。
・酒石酸Na:L−酒石酸ナトリウム(扶桑化学工業社製)。
・炭酸Li :炭酸リチウム(本荘ケミカル社製)。
6)増粘剤 :ヒドロキシエチルメチルセルロース系増粘剤(マーポローズMX−30000、松本油脂製薬社製)。
7)消泡剤 :ポリエーテル系消泡剤(サンノプコ社製)。
<実験2−1〜2−7、参考例2−1〜2−4>
表4に示す水硬性成分、細骨材、流動化剤、無機成分、凝結調整剤、増粘剤及び消泡剤(総量:1.5kg)を、混合して水硬性組成物を調製し、さらに水390gを加えてケミスタラーを用いて3分間混練して、水硬性スラリーを得た。水硬性組成物及び水硬性スラリーの調製は、温度20℃、25℃、30℃及び35℃並びに湿度65%の温度及び湿度条件下で行った。
得られた水硬性スラリーを用いて、SL特性、ショア硬度発現性、硬化体層表面仕上りの評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2009235854
Figure 2009235854
石膏Cを用いた参考例2−1、2−2、2−3及び2−4に示すように、石膏中の水酸化カルシウム含有率が0.5%を超えて高い場合、水硬性スラリーの施工温度が20℃では十分な流動保持性が得られており、温度が25℃になると若干流動性の保持状況が低下し、さらに30℃以上になると流動性の保持状況の低下が著しくなり施工のための十分な時間を確保できなくなった。これに対して、石膏Aを用いた実験2−1、2−3、2−5及び2−7並びに石膏Bを用いた実験2−2、2−4及び2−6に示すように、石膏中の水酸化カルシウム含有率が0.5%以下の場合、水硬性スラリーの施工温度が高くなり、30℃以上になっても、流動性が長い時間保持されていた。
水酸化カルシウム制御自己流動性水硬性組成物を用いた水硬性スラリーは、施工時の温度条件が変化した場合にも、安定して高い流動性を長時間維持できることから、良好なハンドリング性が得られ、さらに速硬性と水平レベル性に優れており、良好な仕上り表面を有する硬化体層を安定して得ることができる。
深さ100mm、幅200mmのトレンチがあるコンクリートの床下地に、セルフレベリング材用プライマー(宇部興産株式会社製、「UプライマーQ」)を用いて、プライマーに含まれる樹脂固形分として90g/mとなるように塗布・乾燥して、プライマー層を形成した。次に、プライマー層の上に、実験1−3の水硬性組成物のスラリーを用いて、トレンチ以外の部分で厚さ30mmとなるように硬化体層(スラリー(a)硬化体層)を形成した。スラリー(a)を施工して60分経過し、スラリー(a)硬化体層の表面から光沢が消えた段階で、スラリー(a)硬化体層の上に実験2−1の水硬性組成物のスラリーを打設して、厚さ10mm程度の硬化体層(スラリー(b)硬化体層)を形成することによって、床構造体を施工した。
上記のように施工した床構造体を目視で観察したところ、トレンチに起因する凹凸は観察されず、表面が良好な水平レベル性を有する床構造体を得ることができた。
本発明の床構造体の断面を模式的に示す部分断面図である。 本発明の床構造体の断面を模式的に示す部分断面図である。 SL測定器を用いた、スラリーのセルフレベリング性評価の概略を示す模式図である。
符号の説明
11 : 床下地
18 : プライマー層
19 : スラリー(a)硬化体層
20 : スラリー(b)硬化体層
21 : 比較的大きなトレンチ
22 : 緩やかな凹部

Claims (9)

  1. 床下地の上面にプライマーを塗布・乾燥させてプライマー層を形成する工程と、
    プライマー層の上面に、フロー値が190mm以上でありかつ2時間後のショア硬度が30以下の自己流動性水硬性組成物(A)と、水とを混練して調製したスラリー(a)を打設して硬化させることにより、スラリー(a)硬化体層を形成する工程と、
    スラリー(a)硬化体層の上面に、フロー値が190mm以上である自己流動性水硬性組成物(B)と、水とを混練して調製したスラリー(b)を打設して硬化させることにより、スラリー(b)硬化体層を形成する工程と
    を含む、床構造体の施工方法。
  2. 自己流動性水硬性組成物(A)が、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を含む速硬性セルフレベリング材である、請求項1記載の床構造体の施工方法。
  3. 自己流動性水硬性組成物(A)が、水酸化カルシウム及びフライアッシュをさらに含む、請求項2記載の床構造体の施工方法。
  4. 自己流動性水硬性組成物(A)が、さらに細骨材と、凝結遅延剤とを含み、さらに再乳化形樹脂粉末、無機粉末、流動化剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分のうち少なくとも1種以上含む、請求項2又は3記載の床構造体の施工方法。
  5. 自己流動性水硬性組成物(B)が、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を含む速硬性セルフレベリング材である、請求項1〜4のいずれか1項記載の床構造体の施工方法。
  6. 自己流動性水硬性組成物(B)が、さらに細骨材と、凝結遅延剤とを含み、さらに再乳化形樹脂粉末、無機粉末、流動化剤、凝結促進剤、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分のうち少なくとも1種以上含む、請求項5記載の床構造体の施工方法。
  7. スラリー(b)硬化体層を形成する工程が、スラリー(a)硬化体層の表面水の光沢が消失する水引き時点から、スラリー(a)硬化体層のショア硬度が70であるときに、スラリー(b)を打設することを含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の床構造体の施工方法。
  8. スラリー(b)硬化体層を形成する工程において、スラリー(b)の打設を開始する時が、スラリー(a)硬化体層の表面水の光沢が消失する水引き時点から、スラリー(a)の打設終了後3時間経過時までの間である、請求項1〜6のいずれか1項記載の床構造体の施工方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の施工方法により得られる床構造体。
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