JP2009235208A - アクリル樹脂組成物とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な強度や硬度、そして温度変化に対する寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有するアクリル樹脂組成物とその製造方法を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下である粒状添加剤と、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで表面処理した無機充填材とを含有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、アクリル樹脂組成物とその製造方法に関するものである。
アクリル樹脂、特にメタクリル樹脂(たとえば、ポリメタクリル酸メチル:PMMA)は熱可塑性樹脂の中で硬度が最も高く、また、酸やアルカリなどに対する耐薬品性にも優れるために、各種の成形品に広く使用されている。
しかしながら、アクリル樹脂は耐衝撃性が比較的低く、そして割れた際の破壊面が鋭利である場合があるため、使用上の注意が必要である。さらに、アクリル樹脂は残留歪の大きい箇所に溶剤が作用するとケミカルストレス現象を引き起こし、いわゆるケミカルクラックが発生し易いという問題もある。
このような問題に対処するため、従来、アクリル樹脂にアクリルゴムなどのゴム粒子を配合してアクリル樹脂の耐衝撃性を向上させ、また残留歪を低減して耐ケミカルクラック性を向上させることが行われている(特許文献1参照)。
特開平04−164950号公報
しかしながら、所要の耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を得るために、アクリル樹脂にアクリルゴムなどのゴム粒子を多量に配合すると、アクリル樹脂単独の場合に比較して強度や硬度が低下し、また温度による寸法変化が大きくなって寸法安定性が低下するという問題が生じていた。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、十分な強度や硬度、そして温度変化に対する寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有するアクリル樹脂組成物とその製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明のアクリル樹脂組成物は、アクリル樹脂と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下である粒状添加剤と、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで表面処理した無機充填材とを含有することを特徴とする。
第2に、上記第1のアクリル樹脂組成物において、無機充填材は、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ゾノライト、セピオライト、エレスタダイト、ガラス繊維、およびガラスウィスカから選ばれる少なくとも1種の無機繊維を含有することを特徴とする。
第3に、上記第1または第2のアクリル樹脂組成物において、水周り製品の成形に使用されるものであることを特徴とする。
第4に、本発明のアクリル樹脂組成物の製造方法は、上記第1ないし第3のいずれかのアクリル樹脂組成物を製造する方法であって、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで予め表面処理した無機充填材を配合したアクリル樹脂の原料モノマーの重合反応を行うことにより、無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチを用意する工程と、アクリル樹脂、粒状添加剤、および、無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチを配合して加熱混練する工程とを含むことを特徴とする。
上記第1の発明によれば、特定の弾性率をもつ粒状添加剤に無機充填材を併用するようにしている。このアクリル樹脂組成物の成形品に応力が付加されると、粒状添加剤の粒子付近に発生した応力集中により当該粒子を基点としたクレーズが生成するが、当該粒子の近傍に存在する無機充填材がクレーズの進展を有効に抑制する。そのため、多量の粒状添加剤を配合せずとも耐衝撃性および耐ケミカルクラック性が向上する。したがって、十分な強度や硬度、そして温度変化に対する寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有する成形品が得られるアクリル樹脂組成物が提供される。
また、無機充填材として、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで表面処理したものを使用しているので、無機充填材とアクリル樹脂との馴染みが良くなり、そのため耐衝撃性および耐ケミカルクラック性の向上効果を一層高めることができ、さらに成形品の強度も高めることができる。
上記第2の発明によれば、無機充填材として特定の無機繊維を使用しているので、上記第1の発明の効果に加え、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性の向上効果を一層高めることができる。
上記第3の発明によれば、上記特定のアクリル樹脂組成物を水周り製品の成形に使用することで、上記第1および第2の発明の効果に加え、水周り製品に要求される特性、すなわち耐薬品性、強度や硬度、温度変化に対する寸法安定性、そして耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を備えた成形品を得ることができる。
上記第4の発明によれば、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで予め表面処理した無機充填材を配合したアクリル樹脂の原料モノマーを重合させることによりマスターバッチを用意しておくことで、無機充填材の表面に導入されたメタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の重合性の官能基がアクリル樹脂と反応し、これにより無機充填材をアクリル樹脂に十分に馴染ませることができるので、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性の向上効果を一層高めることができ、さらに成形品の強度も高めることができる。
また、反応条件を適切に制御してイソシアネートによる無機充填材の表面処理を行い、次いでマスターバッチを作製しておいて、その後にアクリル樹脂等と混合してアクリル樹脂組成物を製造することで、無機充填材の分散性を高めることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用されるアクリル樹脂の具体例としては、アクリル酸エステルの重合体、メタクリル酸エステルの重合体などが挙げられる。中でも、硬度が高く、酸やアルカリなどに対する耐薬品性に優れていることから、メタクリル酸メチル単位を主成分とした重合体であるメタクリル樹脂を使用するのが好ましい。
このようなメタクリル樹脂の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体などが挙げられる。
メタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体は、メタクリル酸メチル単位を好ましくは80質量%以上含有しており、ランダム共重合体等が例示される。他の単量体の具体例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体などが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ただし、ゴム成分である1,3−ブタジエン等を共重合すると硬度が低下するおそれがあるので、本発明では使用を避けることが望ましい。
メタクリル樹脂の重量平均分子量は、成形加工時の流動性、耐薬品性、成形品の強度などを考慮して適宜のものとされるが、たとえば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いてPMMAを標準試料として測定した値で50,000〜150,000の範囲内である。
メタクリル樹脂は、公知のラジカル重合法、たとえば塊状重合、溶液重合、懸濁重合などにより、有機過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤と、メルカプタンなどの連鎖移動剤を用いて製造することができる。
本発明に使用される粒状添加剤は、弾性率がアクリル樹脂の15%以下、好ましくは0.01%〜15%の範囲内にある粉末である。なお、本発明において「弾性率」は、JIS K7127に従って測定された引張弾性率のことである。
粒状添加剤の弾性率をアクリル樹脂の15%以下とすることで、成形品の耐衝撃性を向上させることができる。粒状添加剤の弾性率の下限に特に制限はないが、0.01%未満であると粒子が不安定になる等のため実用的ではない。
粒状添加剤の平均粒子径は、好ましくは25μm以下、より好ましくは0.1μm〜25μmの範囲内である。ここで平均粒子径は、レーザ回折法、遠心沈降法、画像解析などの方法により測定することができる。なお、本発明に使用される粒状添加剤は、好ましくは球状である。
粒状添加剤の平均粒子径を25μm以下とすることで、アクリル樹脂に混合して均一に分散させることができ、耐衝撃性が向上する。しかし平均粒子径が0.1μm未満になると、耐衝撃性を十分に向上できなくなる場合がある。
粒状添加剤の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの樹脂粒子の粉末、有機ゴム粒子の粉末などを挙げることができる。ここで、本発明において粒状添加剤として用いられるPTFE樹脂は、実質的にポリテトラフルオロエチレンからなる粒子である。ポリテトラフルオロエチレンは、典型的にはテトラフルオロエチレンホモポリマーであるが、その他、単量体成分としてテトラフルオロエチレンと共に少量の変性剤、たとえばパーフルオロオレフィン、ハイドロフルオロオレフィン、パーフルオロビニルエーテルなどを共重合したものであってもよい。PTFE樹脂としては、典型的には焼成したものが用いられ、その融点はたとえば300℃以上である。
粒状添加剤としては、特に、耐熱温度が250℃以上のものを用いることが好ましい。なお、ここで「耐熱温度」とは、当該温度において連続使用した際に分解反応等により化学的に変性する下限温度(熱分解温度)のことである。
粒状添加剤として耐熱温度が250℃以上のものを用いることによって、アクリル樹脂組成物の調製時や成形時における高温下においても粒状添加剤が変性することがなく、成形品の耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を大きく向上させることができる。
本発明において、無機充填材としては、特に制限なく各種のものを使用することができるが、成形品の耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を特に向上させることができる点から無機繊維を使用することが好ましい。
無機繊維は、平均径と平均長との比が好ましくは1/10以下、より好ましくは1/100〜1/10の範囲内である。無機繊維の平均径と平均長との比を1/10以下とすることで、成形品に応力が付加された際に、粒状添加剤の粒子付近に発生した応力集中により当該粒子を基点として生成したクレーズの進展を有効に抑制することができる。これにより、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性が向上する。無機繊維の平均径と平均長との比の下限に特に制限はないが、1/100未満であると無機繊維自体の強度や安定性が不十分になる場合がある。
無機繊維の具体例としては、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ゾノライト(6Ca・6SiO・HO)、セピオライト(珪酸マグネシウム)、エレスタダイト(Ca10((SiO(SO)(OH,Cl,F)、ガラス繊維、ガラスウィスカなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、無機繊維の平均長と粒状添加剤の平均粒子径との比は、1/3〜4の範囲内にあることが好ましい。当該比をこの範囲内とすることによって、成形品に応力が付加された際に、粒状添加剤の粒子付近に発生した応力集中により当該粒子を基点として生成したクレーズの進展を有効に抑制することができる。これにより、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性が向上する。
さらに本発明では、粒状添加剤の含有量がアクリル樹脂組成物全体に対して10体積%以下であり、無機繊維の含有量が粒状添加剤に対して体積比で1/3〜2倍の範囲内にあることが好ましい。粒状添加剤の含有量は、より好ましくは、アクリル樹脂組成物全体に対して5体積%以下、さらに好ましくは0.2〜5体積%の範囲内である。粒状添加剤および無機繊維の含有量を当該範囲内とすることで、十分な強度や硬度、そして温度変化に対する寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有する成形品が得られるアクリル樹脂組成物とすることができる。
無機充填材として無機繊維以外のものを使用する場合、その具体例としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
本発明では、無機充填材として、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで予め表面処理したものが使用される。この表面処理によって、無機充填材の表面に導入されたメタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の重合性の官能基がアクリル樹脂と反応することで、無機充填材をアクリル樹脂に馴染ませることができ、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性の向上効果を高めることができると共に、成形品の強度も高めることができる。
メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートの具体例としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
本発明のアクリル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、各種の他の添加成分、たとえば、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、酸化安定剤、帯電防止剤などを配合することができる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、次の方法で製造することができる。まず、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで予め表面処理した無機充填材と、アクリル樹脂の原料モノマーを適量配合した混合物に、有機過酸化物などの重合開始剤を添加して重合反応を行うことにより、無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチを用意しておく。マスターバッチは、成形工程での便宜などを考慮してペレットなどの形態とすることができる。
次いで、アクリル樹脂、粒状添加剤、および、予め用意しておいた無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチを、必要に応じて他の添加成分と共に、二軸ニーダーなどを用いて溶融状態にて加熱混練し、その後冷却することにより、粒状添加剤および無機充填材がアクリル樹脂中に均一に分散したものとして、ペレット等の形態としてアクリル樹脂組成物を得ることができる。
このようにして得られたアクリル樹脂組成物の成形材料は、射出成形、押出成形などの各種の成形法に使用できる。
本発明のアクリル樹脂組成物による成形品は、十分な強度や硬度、そして温度変化に対する寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有していることから、キッチン、トイレ、バス、洗面などの水周り製品に好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1に示す各配合成分の配合量は質量%を示す。
アクリル樹脂、粒状添加剤、無機充填材として次のものを使用した。
アクリル樹脂:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、三菱レーヨン(株)製、アクリペットVH001、弾性率3.3GPa、密度 1.2g/cm
粒状添加剤:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉末、(株)喜多村製、KTL−20N、弾性率300MPa、平均粒子径 10μm、密度 3.1g/cm
無機充填材:球状シリカ、電気化学工業(株)製、FB20、平均粒子径 20μm、密度 2.2g/cm
無機充填材:ウォラストナイト、キンセイマティック(株)製、SH−600、平均長 34μm、平均径 1.5μm、密度 2.92g/cm
無機充填材:チタン酸カリウムウィスカ、大塚化学(株)製、ティスモ−D、平均長 15μm、平均径 0.5μm、密度 3.3g/cm
無機充填材:ホウ酸アルミニウムウィスカ、四国化成工業(株)製、アルボレックスYS2、平均長20μm、平均径 0.75μm、密度 3.3g/cm
[無機充填材の表面処理]
メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを非極性の有機溶媒に分散した後、これに無機充填材を分散した。次いで、触媒のジブチルスズラウレートを添加し室温で24時間攪拌しながら反応を進行させ、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基と無機充填材表面の水酸基を反応させた。
[マスターバッチの調製]
上記のようにして得られた、表面処理した無機充填材の有機溶媒分散液に、メチルメタクリレートを添加し、次いでエバポレーションなどの操作により有機溶媒を除去した。その後、重合開始剤の過酸化ベンゾイルを添加し80℃で12時間重合反応を行うことにより、無機充填材を均一に分散したPMMA複合体を得た。このPMMA複合体をペレット化し、マスターバッチとして使用した。
[アクリル樹脂組成物の調製]
上記のようにして得られた、無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチのペレットに、PMMAとPTFE樹脂粉末を表1に示す配合比を満足する量で配合し、二軸ニーダーを用いてシリンダー温度250℃の条件で加熱混練し、冷却後、切断することによってアクリル樹脂組成物の成形用ペレットを得た。
[成形品の評価]
上記のようにして得られた、実施例1〜6のアクリル樹脂組成物の成形用ペレットを用いて、射出成形機によりシリンダー温度245℃の条件で射出成形することによって、試験用成形品を得た。なお、比較例1は、アクリル樹脂のみをそのまま使用して試験用成形品を得た。比較例2、3は、無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチのペレットを使用せず、PMMAとPTFE樹脂粉末のみを使用して試験用成形品を得た。
実施例1〜6と比較例1〜3の試験用成形品について、次の方法によりシャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性を測定した。
(1)シャルピー衝撃強度
試験用成形品のシャルピー衝撃強度は、JIS K7171に記載の方法に従って測定した。
(2)耐ケミカルクラック性
耐ケミカルクラック性の試験は次の方法で行なった。図1に示すように、凸曲面1を形成した治具2を用い、厚み3mm、幅15mmの試験用成形品Aを凸曲面1に沿わせて曲げた状態で治具2の上に配置し、試験用成形品Aの両端部を留め具3で固定した。このように治具2の凸曲面1の上に試験用成形品Aを曲げた状態で固定することにより、試験用成形品Aの表面に0.15%、0.3%、0.45%、0.6%の4種類の歪をかけた。ここで、治具2として、試験用成形品Aの上面が0.15〜0.6%の範囲で伸ばされるように凸曲面1の曲率を設定した4種類のものを用いることにより、この4種類の歪をかけるようにした。
次に、上下が開口した内径5mmの筒体4を試験用成形品Aの中央部の上面にシリコングリスで固定し、筒体4内にエチルアルコールを充填して24時間放置した。そして、エチルアルコールを接触させた部分において試験用成形品Aに割れまたはクラックが発生したときの歪を臨界歪値とした。
シャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性の測定結果を表1に示す。
Figure 2009235208
表1より、PMMAと、PMMAの15%以下の弾性率を有するPTFE樹脂粉末と、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートで表面処理した無機充填材とを配合した実施例1〜6のアクリル樹脂組成物を使用した成形品では、PMMA単独の比較例1の成形品と比べて耐衝撃性および耐ケミカルクラック性が向上した。特に、無機充填材として無機繊維を使用した実施例2〜6では耐衝撃性および耐ケミカルクラック性の大幅な向上が認められた。さらに、PMMAにPTFE樹脂粉末のみを配合した比較例2、3のアクリル樹脂組成物を使用した成形品と比べても、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性の明らかな向上が認められた。
耐ケミカルクラック性の試験方法を説明する図である。

Claims (4)

  1. アクリル樹脂と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下である粒状添加剤と、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで表面処理した無機充填材とを含有することを特徴とするアクリル樹脂組成物。
  2. 無機充填材は、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ゾノライト、セピオライト、エレスタダイト、ガラス繊維、およびガラスウィスカから選ばれる少なくとも1種の無機繊維を含有することを特徴とする請求項1に記載のアクリル樹脂組成物。
  3. 水周り製品の成形に使用されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のアクリル樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3いずれか一項に記載のアクリル樹脂組成物を製造する方法であって、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、およびビニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアネートで予め表面処理した無機充填材を配合したアクリル樹脂の原料モノマーの重合反応を行うことにより、無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチを用意する工程と、アクリル樹脂、粒状添加剤、および、無機充填材を含有するアクリル樹脂のマスターバッチを配合して加熱混練する工程とを含むことを特徴とするアクリル樹脂組成物の製造方法。
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JP2019116530A (ja) * 2017-12-26 2019-07-18 ユニオン昭和株式会社 樹脂組成物、成形物及び成形物の製造方法

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