JP2008266426A - アクリル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な強度や硬度、そして寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有するアクリル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下である粒状添加剤(A)と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下であり、かつ、平均粒子径が粒状添加剤(A)の0.2倍以下である粒状添加剤(B)とを含有する。
【選択図】図1
【解決手段】アクリル樹脂と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下である粒状添加剤(A)と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下であり、かつ、平均粒子径が粒状添加剤(A)の0.2倍以下である粒状添加剤(B)とを含有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、アクリル樹脂組成物、特に構造材料で耐薬品性が必要な用途に使用されるアクリル樹脂組成物に関するものである。
アクリル樹脂、特にメタクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル:PMMA)は熱可塑性樹脂の中で硬度が最も高く、また、酸やアルカリなどに対する耐薬品性にも優れるために、各種の成形品に広く使用されている。
しかしながら、アクリル樹脂は耐衝撃性が比較的低く、また割れた際の破壊面が鋭利である場合があるため、使用上の注意が必要である。さらに、アクリル樹脂は残留歪の大きい箇所に溶剤が作用するとケミカルストレス現象を引き起こし、いわゆるケミカルクラックが発生し易いという問題もある。
このような問題に対処するため、従来、アクリル樹脂にアクリルゴムなどのゴム粒子を配合してアクリル樹脂の耐衝撃性を上げ、また残留歪を低減して耐ケミカルクラック性を向上させることが行なわれている(特許文献1参照)。
特開平04−164950号公報
しかしながら、所要の耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を得るために、アクリル樹脂にアクリルゴムなどのゴム粒子を多量に配合すると、アクリル樹脂単独の場合に比較して強度や硬度が低下し、また温度による寸法変化が大きくなって寸法安定性が低下するという問題が生じていた。
本発明は以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、十分な強度や硬度、そして寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有するアクリル樹脂組成物を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明のアクリル樹脂組成物は、アクリル樹脂と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下である粒状添加剤(A)と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下であり、かつ、平均粒子径が粒状添加剤(A)の0.2倍以下である粒状添加剤(B)とを含有することを特徴とする。
第2に、上記第1のアクリル樹脂組成物において、粒状添加剤(A)の平均粒子径が25μm以下であることを特徴とする。
第3に、上記第1または第2のアクリル樹脂組成物において、粒状添加剤(A),(B)の合計の含有量がアクリル樹脂組成物全量に対して5重量%以下であることを特徴とする。
第4に、上記第1ないし第3のいずれかのアクリル樹脂組成物において、粒状添加剤(A)がポリテトラフルオロエチレン樹脂であり、粒状添加剤(B)がシリコーンゴムであることを特徴とする。
第5に、上記第1ないし第4のいずれかのアクリル樹脂組成物において、粒状添加剤(A),(B)の耐熱温度が250℃以上であることを特徴とする。
第6に、上記第1ないし第5のいずれかのアクリル樹脂組成物において、アクリル樹脂がポリメタクリル酸メチルであることを特徴とする。
上記第1ないし第6の発明によれば、特定の弾性率をもつ粒径の異なる2種類の粒状添加剤(A),(B)を併用している。そのため、アクリル樹脂組成物の成形品に応力が付加された際に、大径の粒状添加剤(A)の粒子付近に発生した応力集中により当該粒子を基点としたクレーズが生成するが、当該粒子の近傍に存在する小径の粒状添加剤(B)の粒子がクレーズの進展を応力緩和により有効に抑制する。よって、多量の粒状添加剤を配合せずとも耐衝撃性および耐ケミカルクラック性が向上する。したがって、十分な強度や硬度、そして寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有するアクリル樹脂組成物が提供される。
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
本発明に用いられるアクリル樹脂としては、たとえば、アクリル酸エステルの重合体、メタクリル酸エステルの重合体を挙げることができる。中でも、硬度が高く、酸やアルカリなどに対する耐薬品性に優れることから、メタクリル酸メチル単位を主成分とした重合体であるメタクリル樹脂を用いるのが好ましい。
このようなメタクリル樹脂の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体を挙げることができる。
メタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体は、メタクリル酸メチル単位を好ましくは80重量%以上含有しており、ランダム共重合体等が例示される。他の単量体の具体例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体などが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、ゴム成分である1,3−ブタジエン等を共重合すると硬度が低下するおそれがあるので、本発明では使用を避けることが望ましい。
メタクリル樹脂の重量平均分子量は、成形加工時の流動性、耐薬品性、成形品の強度などを考慮して適宜のものとされるが、たとえば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いてPMMAを標準試料として測定した値で50,000〜150,000の範囲内である。
メタクリル樹脂は、公知のラジカル重合法、たとえば塊状重合、溶液重合、懸濁重合などにより、有機過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤と、メルカプタンなどの連鎖移動剤を用いて製造することができる。
本発明に用いられる粒状添加剤(A),(B)は、弾性率がアクリル樹脂の15%以下、好ましくは0.01%〜15%の範囲内にある粉末である。
なお、本発明において「弾性率」は、JIS K7127に従って測定された引張弾性率のことである。
粒状添加剤(A),(B)の弾性率をアクリル樹脂の15%以下とすることで、成形品の耐衝撃性を向上させることができる。粒状添加剤(A),(B)の弾性率の下限に特に制限はないが、0.01%未満であると粒子が不安定になる等のため実用的ではない。
粒状添加剤(A)の平均粒子径は、好ましくは25μm以下、より好ましくは5μm〜25μmの範囲内にある。ここで平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により得た拡大写真もしくは画像から無作為に選んだ相当数の粒子の直径を測定し、それを算術平均したものである。本発明において用いられる粒状添加剤(A),(B)は、好ましくは球状であるが、粒子が球状とみなせない場合には、その長径と短径を策定し、算術平均した値を平均直径(粒子径)とした。なお、本発明においては粒状添加剤(A),(B)のそれぞれについて、粒子径分布が小さいものを用いることが考慮される。
粒状添加剤(A)の平均粒子径を25μm以下とすることで、アクリル樹脂に混合して均一に分散させることにより、耐衝撃性が向上する。しかし平均粒子径が5μm未満になると、耐衝撃性を十分に向上できなくなる場合がある。
粒状添加剤(A)の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの樹脂粒子の粉末、有機ゴム粒子の粉末などを挙げることができる。
PTFE樹脂は、有機溶剤に対して不溶性であり、アクリル樹脂組成物の調製時や成形時の温度に対して耐熱性を有するため、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を高く向上させることができる。本発明に用いられるPTFE樹脂は、実質的にポリテトラフルオロエチレンからなる粒子である。ポリテトラフルオロエチレンは、典型的にはテトラフルオロエチレンホモポリマーであるが、この他、単量体成分としてテトラフルオロエチレンと共に少量の変性剤、たとえばパーフルオロオレフィン、ハイドロフルオロオレフィン、パーフルオロビニルエーテルなどを共重合したものであってもよい。
PTFE樹脂としては、典型的には焼成したものが用いられ、その融点はたとえば300℃以上である。特に、耐熱温度が250℃以上のものを用いることが好ましい。
なお、本発明において「耐熱温度」とは、当該温度において連続使用した際に分解反応等により化学的に変性する下限温度(熱分解温度)のことである。
PTFE樹脂として耐熱温度が250℃以上のものを用いることによって、アクリル樹脂組成物の調製時や成形時における高温下でPTFE樹脂が変性することがなく、成形品の耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を高く向上させることができる。
本発明において、粒状添加剤(B)の平均粒子径は、粒状添加剤(A)の0.2倍以下である。このような粒状添加剤(B)を粒状添加剤(A)と併用することによって、アクリル樹脂組成物の成形品に応力が付加された際に、粒状添加剤(A)の粒子付近に発生した応力集中により当該粒子を基点として生成したクレーズの進展を、当該粒子の近傍に存在する粒状添加剤(B)が応力緩和により有効に抑制することができる。これにより、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性が大幅に向上する。
粒状添加剤(B)の具体例としては、シリコーンゴム、アクリルゴム等の粒状ゴムなどを挙げることができる。シリコーンゴムは、有機溶剤に対して不溶性であり、アクリル樹脂組成物の調製時や成形時の温度に対して耐熱性を有するものを用いることで、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を高く向上させることができる。
本発明に用いられる粒状添加剤(B)としてのシリコーンゴムは、通常シリコーンゴムと称されているものであればその種類に特に制限はなく、粒状シリコーンゴムを形成するためのシリコーンゴム組成物の具体例としては、脂肪族不飽和基と、ケイ素原子に結合した水素原子とのヒドロシリル化反応により硬化するシリコーンゴム組成物;ケイ素原子に結合した加水分解性基とシラノール基、またはケイ素原子に結合した水素原子とシラノール基との縮合反応により硬化するシリコーンゴム組成物;メルカプトシリル基と脂肪族不飽和基との付加反応により硬化するシリコーンゴム組成物などが挙げられる。
ヒドロシリル化反応により硬化するシリコーンゴム組成物の具体例としては、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン、および白金系触媒を少なくとも含むものが挙げられる。このアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンにおいて、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などを挙げることができ、また、アルケニル基以外のケイ素原子に結合している基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。その分子構造としては、直鎖状、一部に分岐を有する直鎖状、あるいは環状、網状などが例示される。
また、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンにおいて、水素原子以外のケイ素原子に結合している基としては、上記と同様の一価炭化水素基が例示され、その分子構造としては、直鎖状、一部に分岐を有する直鎖状、あるいは環状、網状などが例示される。
このようなシリコーンゴム組成物を分散媒に均一に分散させ、この分散液あるいはスラリーに、必要に応じて硬化触媒を添加することにより硬化させ、これにより粒状シリコーンゴムの分散液あるいはスラリーを調製し、次いで、この分散液あるいはスラリーから分散媒を除去することにより粒状シリコーンゴムを得ることができる。
また、縮合反応により硬化して粒状シリコーンゴムを形成するシリコーンゴム組成物の具体例としては、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン、一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するオルガノポリシロキサン、および縮合反応用の触媒を少なくとも含むものが挙げられる。このようなシリコーンゴム組成物も、これを分散媒に均一に分散させた分散液あるいはスラリーに、必要に応じて硬化触媒を添加することにより硬化させ、これにより粒状シリコーンゴムの分散液あるいはスラリーを調製し、次いで、この分散液あるいはスラリーから分散媒を除去することにより粒状シリコーンゴムを得ることができる。
粒状添加剤(B)として、特に、耐熱温度が250℃以上のものを用いることが好ましい。このような粒状添加剤(B)を用いることによって、アクリル樹脂組成物の調製時や成形時における高温下で粒状添加剤(B)が変性することがなく、成形品の耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を高く向上させることができる。
本発明において、粒状添加剤(A),(B)の合計の含有量は、アクリル樹脂組成物全量に対して好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%の範囲内にある。また、粒状添加剤(B)の含有量は、粒状添加剤(A)に対する重量比で1倍〜10倍の範囲内にあることが好ましい。
上記の範囲内の量で粒状添加剤(A),(B)を含有することで、十分な強度や硬度、そして寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有するアクリル樹脂組成物とすることができる。
なお、粒状添加剤(A),(B)の合計の含有量が多過ぎると、成形品の硬度が低下し、また成形品の表面が荒れる場合がある。一方、当該含有量が少な過ぎると、十分な耐衝撃性が得られなくなる。また、粒状添加剤(B)の量が粒状添加剤(A)に対して少な過ぎると、クレーズの進展を十分に抑制できなくなり、耐衝撃性および耐ケミカルクラック性が低下する。
本発明のアクリル樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲内において、各種の他の添加成分、たとえば、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、酸化安定剤、帯電防止剤などを配合することができる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、上述した粒状添加剤(A),(B)、および必要に応じて他の添加成分を、二軸ニーダーなどを用いて溶融状態のアクリル樹脂と加熱混合し、冷却することにより、粒状添加剤(A),(B)がアクリル樹脂中に均一に分散したものとして、ペレット等の形態として得ることができる。このようにして得られたアクリル樹脂組成物の成形材料は、射出成形、押し出し成形などの各種の成形法に使用できる。
本発明のアクリル樹脂組成物による成形品は、十分な強度や硬度、そして寸法安定性を有すると共に、優れた耐衝撃性および耐ケミカルクラック性を有していることから、各種用途の構造材料、特に、耐薬品性が必要な用途の構造材料として好適に使用できる。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例示によって発明が限定されることはない。
以下の実施例および比較例において、各成分の配合量は、特に言及しない限り重量部を表す。また、試験用成形品の評価試験は次の条件にて行った。
(1)シャルピー衝撃強度
試験用成形品のシャルピー衝撃強度は、JIS K7171に記載の方法に従って測定した。
(2)耐ケミカルクラック性
耐ケミカルクラック性の試験は次の方法で行なった。図1に示すように、凸曲面1を形成した治具2を用い、厚み3mm、幅15mmの試験用成形品Aを凸曲面1に沿わせて曲げた状態で治具2の上に配置し、試験用成形品Aの両側端部を留め具3で固定した。このように治具2の凸曲面1の上に試験用成形品Aを曲げた状態で固定することによって、試験用成形品Aの表面に0.15%、0.3%、0.45%、0.6%の4種類の歪をかけた。ここで、治具2として、試験用成形品Aの上面が0.15〜0.6%の範囲で伸ばされるように凸曲面1の曲率を設定した4種類のものを用いることにより、この4種類の歪をかけるようにした。
(1)シャルピー衝撃強度
試験用成形品のシャルピー衝撃強度は、JIS K7171に記載の方法に従って測定した。
(2)耐ケミカルクラック性
耐ケミカルクラック性の試験は次の方法で行なった。図1に示すように、凸曲面1を形成した治具2を用い、厚み3mm、幅15mmの試験用成形品Aを凸曲面1に沿わせて曲げた状態で治具2の上に配置し、試験用成形品Aの両側端部を留め具3で固定した。このように治具2の凸曲面1の上に試験用成形品Aを曲げた状態で固定することによって、試験用成形品Aの表面に0.15%、0.3%、0.45%、0.6%の4種類の歪をかけた。ここで、治具2として、試験用成形品Aの上面が0.15〜0.6%の範囲で伸ばされるように凸曲面1の曲率を設定した4種類のものを用いることにより、この4種類の歪をかけるようにした。
次に、上下が開口した内径5mmの筒体4を試験用成形品Aの中央部の上面にシリコングリスで固定し、筒体4内にエチルアルコールを充填して24時間放置した。そして、エチルアルコールを接触させた部分において試験用成形品Aに割れもしくはクラックが発生したときの歪を臨界歪値とした。
(3)成形品の外観
100mm角で厚み3mmの試験用成形品を用いて、成形品の外観を表面の光沢の有無で評価した。○は光沢のあるもの、△は光沢がある部分とない部分が混在するもの、×は光沢がないものである。
<実施例1〜3>
ポリメタクリル酸メチル(PMMA:三菱レーヨン株式会社製「アクリペットVH001」 弾性率3.3GPa)に、粒状添加剤(A)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉末1(株式会社喜多村製「KTL−20N」 弾性率300MPa 平均粒子径20μm 耐熱温度250℃以上)、および粒状添加剤(B)のシリコーンゴム粉末(株式会社東レ・ダウコーニング製「トレフィルE−500」 平均粒子径2μm 耐熱温度250℃、弾性率はPMMAの1/10以下)を表1の量で配合し、二軸ニーダーを用いてシリンダー温度250℃の温度条件で加熱混合し、冷却後、切断することによってアクリル樹脂組成物の成形用ペレットを調製した。
(3)成形品の外観
100mm角で厚み3mmの試験用成形品を用いて、成形品の外観を表面の光沢の有無で評価した。○は光沢のあるもの、△は光沢がある部分とない部分が混在するもの、×は光沢がないものである。
<実施例1〜3>
ポリメタクリル酸メチル(PMMA:三菱レーヨン株式会社製「アクリペットVH001」 弾性率3.3GPa)に、粒状添加剤(A)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉末1(株式会社喜多村製「KTL−20N」 弾性率300MPa 平均粒子径20μm 耐熱温度250℃以上)、および粒状添加剤(B)のシリコーンゴム粉末(株式会社東レ・ダウコーニング製「トレフィルE−500」 平均粒子径2μm 耐熱温度250℃、弾性率はPMMAの1/10以下)を表1の量で配合し、二軸ニーダーを用いてシリンダー温度250℃の温度条件で加熱混合し、冷却後、切断することによってアクリル樹脂組成物の成形用ペレットを調製した。
次に、調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって、実施例1〜3の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度、耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1で用いたPMMAに、粒状添加剤(A)のPTFE樹脂粉末2(株式会社喜多村製「KTL−10N」 弾性率300MPa 平均粒子径10μm 耐熱温度250℃以上)、および粒状添加剤(B)としての実施例1で用いたシリコーンゴム粉末を表1の量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって実施例4の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度、耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1で用いたPMMAに、粒状添加剤(A)としての実施例1で用いたPTFE樹脂粉末1、および粒状添加剤(B)のアクリルゴム粉末(ガンツ化成株式会社製「IM−203」 平均粒子径0.3μm、弾性率はPMMAの1/10以下)を表1の量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって実施例5の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度、耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<実施例6>
実施例1で用いたPMMAに、粒状添加剤(A)としての実施例1で用いたシリコーンゴム粉末、および粒状添加剤(B)としての実施例5で用いたアクリルゴム粉末を表1の量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって実施例6の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度、耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1で用いたPMMAのみからなる成形用ペレットを実施例1と同じ条件にて調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって比較例1の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1で用いたPMMAに、実施例1で用いたPTFE樹脂粉末1を表1に示す量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって比較例2の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例1で用いたPMMAに、実施例5で用いたアクリルゴム粉末を表1に示す量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって比較例3の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性を測定した。その結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1で用いたPMMAに、粒状添加剤(A)のPTFE樹脂粉末2(株式会社喜多村製「KTL−10N」 弾性率300MPa 平均粒子径10μm 耐熱温度250℃以上)、および粒状添加剤(B)としての実施例1で用いたシリコーンゴム粉末を表1の量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって実施例4の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度、耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1で用いたPMMAに、粒状添加剤(A)としての実施例1で用いたPTFE樹脂粉末1、および粒状添加剤(B)のアクリルゴム粉末(ガンツ化成株式会社製「IM−203」 平均粒子径0.3μm、弾性率はPMMAの1/10以下)を表1の量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって実施例5の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度、耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<実施例6>
実施例1で用いたPMMAに、粒状添加剤(A)としての実施例1で用いたシリコーンゴム粉末、および粒状添加剤(B)としての実施例5で用いたアクリルゴム粉末を表1の量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって実施例6の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度、耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1で用いたPMMAのみからなる成形用ペレットを実施例1と同じ条件にて調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって比較例1の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性を測定し、成形品の外観を評価した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1で用いたPMMAに、実施例1で用いたPTFE樹脂粉末1を表1に示す量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって比較例2の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例1で用いたPMMAに、実施例5で用いたアクリルゴム粉末を表1に示す量で配合し、実施例1と同じ条件にて成形用ペレットを調製し、次いで調製した成形用ペレットを、射出成形機を用いてシリンダー温度245℃の温度条件で射出成形することによって比較例3の成形品を得た。この成形品について、シャルピー衝撃強度および耐ケミカルクラック性を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示されるように、PMMAに、大径の粒状添加剤(A)と、小径の粒状添加剤(B)を配合した実施例1〜6のものは、PMMA単独の比較例1のものと比較して耐衝撃性と耐ケミカルクラック性が大幅に向上した。
一方、PMMAにPTFE樹脂粉末1のみを配合した比較例2のものは、PTFE樹脂粉末1およびシリコーンゴム粉末を同量程度配合した実施例1,3や、PTFE樹脂粉末1およびアクリルゴム粉末を同量程度配合した実施例5と比較すると、耐衝撃性の向上はある程度みられたものの、耐ケミカルクラック性の向上度合いが小さかった。
また、PMMAにアクリルゴム粉末のみを配合した比較例3のものは、PTFE樹脂粉末1およびアクリルゴム粉末を同量程度配合した実施例5や、シリコーンゴム粉末およびアクリルゴム粉末を同量程度配合した実施例6と比較すると、耐衝撃性の向上は小さく、耐ケミカルクラック性の向上も小さかった。
Claims (6)
- アクリル樹脂と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下である粒状添加剤(A)と、弾性率がアクリル樹脂の15%以下であり、かつ、平均粒子径が粒状添加剤(A)の0.2倍以下である粒状添加剤(B)とを含有することを特徴とするアクリル樹脂組成物。
- 粒状添加剤(A)の平均粒子径が25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル樹脂組成物。
- 粒状添加剤(A),(B)の合計の含有量がアクリル樹脂組成物全量に対して5重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のアクリル樹脂組成物。
- 粒状添加剤(A)がポリテトラフルオロエチレン樹脂であり、粒状添加剤(B)がシリコーンゴムであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載のアクリル樹脂組成物。
- 粒状添加剤(A),(B)の耐熱温度が250℃以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載のアクリル樹脂組成物。
- アクリル樹脂がポリメタクリル酸メチルであることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項に記載のアクリル樹脂組成物。
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