JP2009235185A - 重合体の精製方法および重合体溶液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の重合体であって酸の作用によりアルカリ可溶性になる重合体を該重合体を溶解する良溶媒に溶解させて重合体溶液とする第1の工程と、この重合体を溶解しないが上記良溶媒には相溶する貧溶媒を、上記重合体溶液に、重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する第2の工程と、第2の工程後の重合体溶液を濾過する第3の工程とを備え、上記良溶媒100質量部に対して、貧溶媒が100質量部以下であり、上記濾過に使用するフィルターの孔径が1.0μm以下である。
【選択図】図1
Description
しかしながら、半導体分野において、より高い集積度が求められるようになると、レジストである感放射線性組成物には、高解像度を達成するためにリソグラフィー性能の向上が求められるとともに、現像欠陥数を減らす要求もこれまで以上に重要になってきた。特に、微細化の進歩につれて、これまで問題にならなかった微小な欠陥が、製品の性能に大きく影響を与えるようになってきた。このような現像欠陥数を減らす方策としては、これまで微細な孔径のフィルターを用いて濾過を行ない、レジスト溶液中の微小な微粒子の除去が一般に実施されているが、フィルターの微孔径化には自ずから限界があり、パターンが微細化するにつれて微小な粒子の除去が困難になりつつある。
この対策として、レジスト用樹脂溶液に該樹脂を溶解する能力が低い溶剤を接触させることにより、該樹脂の高分子量成分を析出させた後、除去する方法が知られている(特許文献3参照)。しかしながら、同方法では高分子量成分を析出させるためには粘調な沈殿物を析出させた後に濾別することが必要であり、容器の壁面に沈澱した樹脂が付着することやフィルターが目詰まりするなど、製造上において問題があった。
すなわち本発明の重合体の精製方法は、アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の重合体であって酸の作用によりアルカリ可溶性になる重合体を該重合体を溶解する良溶媒に溶解させて重合体溶液とする第1の工程と、この重合体を溶解しないが上記良溶媒には相溶する貧溶媒を、上記重合体溶液に、重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する第2の工程と、第2の工程後の重合体溶液を濾過する第3の工程とを備えることを特徴とする。
また、上記良溶媒100質量部に対して、貧溶媒が100質量部以下であることを特徴とする。
また、上記濾過に使用するフィルターの孔径が1.0μm以下であることを特徴とする。
第1の工程において、アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の重合体であって酸の作用によりアルカリ可溶性になる重合体は、微細パターン形成時に必要とされる解像度、焦点深度に優れたものであれば特に限定されるものではないが、特に解像度、焦点深度に優れた性能を提供する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を好適に用いることができる。
この重合体は酸の作用によりアルカリ可溶性になる特徴を有するため、下記式(1)で示される酸解離性基を有する繰り返し単位が含まれていることが好ましい。
これらラクトンを有する繰り返し単位の中でも、式(2−4)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
重合反応においては連鎖移動剤を用いてもよく、ラジカル重合開始剤と連鎖移動剤との質量比率は、1:0.01〜1:1であることが望ましい。
重合釜に重合溶媒をあらかじめ仕込んでおき、所定の重合温度まで加熱する。そこへ重合開始剤溶液および単量体溶液を滴下し投入する。この重合開始剤および単量体溶液が重合釜に投入された時点を重合開始とする。
所定の時間をかけて重合開始剤溶液および単量体溶液を滴下した後、更に所定の時間過熱攪拌することで重合物を得ることができる。
この際の重合温度は、一般に20〜120℃、好ましくは50〜110℃、さらに好ましくは60〜100℃である。通常の大気雰囲気でも重合できる場合もあるが、大気中の酸素によるラジカルの失活を防ぐために、通常は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下での重合を行なう。重合時間は一般に1〜144時間、好ましくは1〜72時間、より好ましくは2〜24時間である。重合開始剤溶液および単量体溶液の滴下時間は、重合時間より短く、1〜10時間が好ましい。滴下時間が短いと、比較的重合活性の高い単量体が選択的に重合した成分が生成し、レジスト溶剤への溶解性が悪くなるなど、望ましくない性能が表れる。滴下時間が長いと、生産性の悪化や単量体や重合開始剤の劣化が生じる。滴下後は、重合温度を保持しながら、重合を継続することが生成する重合体の性能を一定に保つ上で好ましい。
また、上記Mwとゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」と略称する)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2である。
貧溶媒は、重合体が溶解しない溶媒であれば特に限定されないが、例として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、水などを上げることができる。
本発明において、良溶媒と貧溶媒との組み合わせとしては、良溶媒がプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルの中から選ばれた少なくとも1つ、貧溶媒が1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、酢酸エチルの中から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。最も好ましい組み合わせとしては良溶媒がプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、貧溶媒が1−エトキシ−2−プロパノールである。
濾過に用いるフィルターは、材質は重合体溶液によって劣化しないものであれば特に限定されないが、例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミドなどを挙げることができる。また、孔径は0.01μm〜1.0μmであることが望ましく、さらに0.05μm〜0.5μmであることがさらに好ましい。孔径が1.0μmよりも大きい場合、生成した凝集物を除去する能力が乏しくなって濾過の効果が充分得られなくなり、後継が0.01μmよりも小さい場合は、フィルターの目詰まりが生じて濾過が困難になるためである。
重合体溶液の動的光散乱を測定するための装置としては、ドイツALV社製光散乱装置を用いることができる。この装置の仕様は、ゴニオメータとしてALV/DLS/SLS−5022F(Attenuator付き)、レーザー光源として波長632.8nm、22mW He−Neレーザー、散乱光検出部としてデュアル式アバランシェフォトダイオ−ド(ALV−High QE APD×2)+ビームスプリッター、相関計としてALV−5000/EPP+Fastモード測定用ALV−6010/160である。また、制御・解析プログラムはALV−5000E/WIN(ver.3)を使用した。尚、レーザー光源としては、Arレーザー(波長488nm)、固体半導体レーザー(YAG2倍波、532nm)等を、散乱光検出部には、例えば光電子倍増管(フォトマルチプライヤー)、フォトダイオ−ド等を使用できる。
高分子溶液中において、高分子は熱運動により拡散運動をするため、その結果として、濃度揺らぎが生じる。動的光散乱(以下、DLSともいう)では、レーザー光線を入射させた高分子溶液から得られる散乱光強度の揺らぎ、すなわち濃度揺らぎの自己時間相関関数を計算することにより、高分子の拡散係数を測定することができる。ここで得られる有限濃度における拡散係数は、アインシュタイン−ストークスの式により、有限濃度における流体力学的半径(RH)と関連づけられる。流体力学的半径(RH)とは、有限濃度の溶液中における高分子鎖の広がりを、仮想の剛体球で表した場合の半径に相当する。
高分子溶液において、分子量分布の影響、分子鎖同士の会合、網目構造の形成などの結果、濃度揺らぎの自己時間相関関数から得られる拡散係数、すなわち流体力学的半径(RH)が一つの値で規定されることは稀で、ある程度の分布幅を持つのが一般的である。濃度揺らぎの自己時間相関関数から拡散係数、すなわち流体力学的半径(RH)の分布を求めるためには、幾つかの解析手法が存在する。例えば、比較的拡散係数の分布が狭い高分子溶液ではキュムラント解析が行われる。この方法では平均値としての拡散係数、およびその分布幅を表すパラメータが得られる。一方、溶液中で分子鎖同士が会合してしまう様な系において分布は非常に広くなる場合が多く、この際にはヒストグラム法、CONTIN法などによる解析が行われる。ヒストグラム法、CONTIN法では、拡散係数、すなわち流体力学的半径(RH)のz−平均分布が求められる。
実施例および比較例における各測定・評価は、下記の要領で行なった。
Mw:
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
化合物(M−1)17.69g(40モル%)、化合物(M−3)5.35g(10モル%)、化合物(M−5)26.96g(50モル%)を、2−ブタノン100gに溶解し、さらにジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.79gを投入した溶液を準備した。50gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを15分窒素パージし、窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末を濾別した。濾別された白色粉末を400gのメタノールに分散させてスラリー状にして洗浄した後に濾別する操作を2回行ない、その後、60℃にて16時間乾燥し、白色粉末の共重合体(A−1)を得た。(収量39.0g、収率78%)この共重合体(A−1)はMwが6700、Mw/Mn=1.68であった。
この溶液を、上記ドイツALV社製光散乱装置(DLS)を用いて孤立ポリマーによる光散乱のピーク面積をS1とし、凝集体による光散乱のピークをS2として、その面積比を計算した。結果を図1および表1に示す。
実施例1で得られた共重合体(A−1)を良溶媒であるプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに溶解させて25%の重合体溶液にした後、孔径0.15μmのHDPEフィルターを用いて2回濾過して得られた重合体溶液を(A−1b)とする。
次に共重合体(A−1b)にプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを加えて13質量%溶液とし、この溶液100質量部に、貧溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルと1−エトキシ−2−プロパノールを2:1で混合した溶媒を200質量部添加し、攪拌した後、26℃で静置して均一な重合体溶液を調製した。
この溶液を、上記ドイツALV社製光散乱装置(DLS)を用いて孤立ポリマーによる光散乱のピーク面積をS1とし、凝集体による光散乱のピークをS2として、その面積比を計算した。結果を図2および表1に示す。
化合物(M−1)6.20g(15モル%)、化合物(M−2)18.60g(35モル%)、化合物(M−5)25.20g(50モル%)を、2−ブタノン100gに溶解し、さらにジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.61gを投入した溶液を準備する以外は実施例1と同様にして白色粉末の共重合体(A−2)を得た。(収量38.4g、収率77%)この共重合体(A−2)はMwが6500、Mw/Mn=1.60であった。
この共重合体(A−2)を実施例1と同様に処理して、重合体溶液を(A−2a)とし、さらに実施例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、実施例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例2で得られた重合体溶液(A−2)を用いて、比較例1と同様な処理を行ない重合体溶液を(A−2b)とし、さらに比較例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、比較例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
化合物(M−2)15.37g(30モル%)、化合物(M−4)10.33g(20モル%)、化合物(M−5)24.30g(50モル%)を、2−ブタノン100gに溶解し、さらにジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.01gを投入した溶液を準備する以外は実施例1と同様にして白色粉末の共重合体(A−3)を得た。(収量37.2g、収率74%)この共重合体(A−3)はMwが7800、Mw/Mn=1.63であった。
この共重合体(A−3)を実施例1と同様に処理して、重合体溶液を(A−3a)とし、さらに実施例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、実施例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例3で得られた重合体溶液(A−3)を用いて、比較例1と同様な処理を行ない重合体溶液を(A−3b)とし、さらに比較例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、比較例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
化合物(M−1)17.69g(40モル%)、化合物(M−3)5.35g(10モル%)、化合物(M−5)26.96g(50モル%)を、2−ブタノン100gに溶解し、さらに2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.99gを投入した溶液を準備する以外は実施例1と同様にして白色粉末の共重合体(A−4)を得た。(収量38.0g、収率76%)この共重合体(A−4)はMwが6,600、Mw/Mn=1.66であった。
この共重合体(A−4)を実施例1と同様に処理して、重合体溶液を(A−4a)とし、さらに実施例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、実施例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例4で得られた重合体溶液(A−4)を用いて、比較例1と同様な処理を行ない重合体溶液を(A−4b)とし、さらに比較例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、比較例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
化合物(M−1)6.20g(15モル%)、化合物(M−2)18.60g(35モル%)、化合物(M−5)25.20g(50モル%)を、2−ブタノン100gに溶解し、さらに2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.86gを投入した溶液を準備する以外は実施例1と同様にして白色粉末の共重合体(A−5)を得た。(収量39.0g、収率78%)この共重合体(A−5)はMwが6,500、Mw/Mn=1.62であった。
この共重合体(A−5)を実施例1と同様に処理して、重合体溶液を(A−5a)とし、さらに実施例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、実施例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例5で得られた重合体溶液(A−5)を用いて、比較例1と同様な処理を行ない重合体溶液を(A−5b)とし、さらに比較例1と同様に処理してDLS測定用の重合体溶液を調製して、比較例1と同様の条件でDLS測定を行なった。結果を表1に示す。
Claims (4)
- アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の重合体であって酸の作用によりアルカリ可溶性になる重合体を該重合体を溶解する良溶媒に溶解させて重合体溶液とする第1の工程と、
前記重合体を溶解しないが前記良溶媒には相溶する貧溶媒を、前記重合体溶液に、前記重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する第2の工程と、
前記第2の工程後の重合体溶液を濾過する第3の工程とを備えることを特徴とする重合体の精製方法。 - 前記良溶媒100質量部に対して、前記貧溶媒が100質量部以下であることを特徴とする請求項1記載の重合体の精製方法。
- 前記濾過に使用するフィルターの孔径が1.0μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の重合体の精製方法。
- 請求項3記載の重合体の精製方法により精製される重合体溶液であって、
該重合体溶液の動的光散乱測定により得られる凝集体ピーク面積と孤立ポリマーピーク面積との比(凝集体ピーク面積/孤立ポリマーピーク面積)が0.1以下であることを特徴とする重合体溶液。
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