JP2009235159A - 芳香族ポリアミドフィルム及びインク受像シート - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルム及びインク受像シート Download PDF

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Abstract

【課題】 プリンター等のインク受像シートとして使用した時、ドット再現性が均一かつ高画質で、裏移りのない印刷物が得られる、片面に多孔質構造を持つ芳香族ポリアミドフィルムを提供すること。
【解決手段】 厚みが5〜100μm、空孔率が30〜70%、一方の表面を構成する層(A層)が平均径50〜500nmの開孔部の個数密度が2×10個/mm以上であり、他方の表面を構成する層(B層)において短径が50nm以上の開孔部の個数密度が0.5個/mm以下である芳香族ポリアミドフィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、片面に多孔質構造を持つ芳香族ポリアミドフィルムに関するものである。
パソコンやファクシミリ等のプリンターには、インクジェット型、昇華型、熱転写型、感熱転写型等の方式があるが、いずれの方式も、近年、フルカラー化及びドットの微細化が進んでいる。
このため、記録用紙として通常の印刷用普通紙を用いると、表面が粗すぎることによりインクが転写されない部分が発生したり、逆に表面が平滑すぎてインクの投錨効果が働かず、印刷されたインクのヌケが発生したりする。これらはいずれもドット再現性不良の原因となる。また、上記のようなドット再現性の不良に起因する記録濃度の低下のほかに、インク受像層のインク吸収性の低さに起因する記録濃度の低下も発生することがある。更に、支持体のクッション性の低さに起因する記録濃度の低下やドット再現性の不良も発生することがある。
このような課題を解決するため、記録用紙として、ポリエステル系フィルム、または、塩化ビニリデン系フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムに、天然繊維、合成繊維、あるいはこれらを混抄した薄葉紙、不織布、紗等によって構成された多孔質構造体を接着剤で貼り合せたものが開示されている(例えば、特許文献1及び2)。しかし、こうした繊維からなる多孔質構造体を持つインク受像シートは、次のような問題点が生じることがある。
1.繊維目により表面の平滑性が低下し、インクヘッドとの密着が悪くなるため、印刷ムラが発生する。
2.多孔構造が不均一なため、インキの制御には限界があり印刷品質に対し過剰なインキが通過し、にじみが生じたり、裏移りが発生する。
この問題を解決するために繊維の代わりに、多孔質フィルムを用いる方法が開示されている(例えば、特許文献3〜6)。多孔フィルムとして、多孔ポリオレフィンや発泡PETが使用されているが、熱転写型等では、フルカラー化に伴い、印加エネルギーが非常に高くなり、耐熱性が十分でないことがある。更に、接着により複合化するため、製造工程が複雑になり、コストが高くなるといった課題があった。
特開昭51−2513号公報 特開昭57−182495号公報 特開平7−101168号公報 特開2001−63239号公報 特開2002−52661号公報 特開2003−96145号公報
本発明は、片面に多孔質構造を持つ芳香族ポリアミドフィルムであり、インク受像シートとして使用した時、ドット再現性が均一かつ高画質で、裏移りのない印刷物が得られる芳香族ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、厚みが5〜100μm、空孔率が30〜70%、一方の表面を構成する層(A層)が平均径50〜500nmの開孔部の個数密度が2×10個/mm以上であり、他方の表面を構成する層(B層)において短径が50nm以上の開孔部の個数密度が0.5個/mm以下である芳香族ポリアミドフィルムであることを特徴とする。
本発明によれば、芳香族ポリアミドの優れた特性を保持しつつ、片面に多孔質構造を持つフィルムを得ることができ、以下に記すような特徴があることから、特にインク受像シートとして好適に用いることのできる芳香族ポリアミドフィルムを提供することができる。
(1)均一な微多孔構造を持つため、ドット再現性の良好で、記録濃度の低下が小さい。
(2)熱転写型等の高印加エネルギーにも耐えられる耐熱性を持つ。
(3)接着による複合化の必要が無いため、コストを低減できる。
本発明の芳香族ポリアミドは、例えば、次の化学式(1)及び/または化学式(2)の構造単位を50モル%以上含有しているポリマーを用いることができる。このような構造単位の含有量の上限は特に限定されないが、100モル%以下である。
Figure 2009235159
Figure 2009235159
ここで、Ar、Ar、Arの基としては、例えば、
Figure 2009235159
などが挙げられ、X、Yは芳香環の結合基であって、−O−、−CH−、−CO−、−S−、−C(CH−などから選ばれるが、これらに限定されるものではない。更に、これら芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基などの置換基で置換されていてもよく、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。
また、本発明に用いる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ配向性を有している重合体が全芳香環の50モル%以上、より好ましくは70モル%以上であるとフィルムの剛性が高く、耐熱性も良好となるため好ましい。ここでパラ配向性とは、芳香環上の主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。このようなパラ配向性の重合体の含有量の上限は特に限定されないが、100モル%以下である。
また、本発明に用いる芳香族ポリアミドには、上記化学式(1)及び/または化学式(2)の構造単位を50モル%以上含有していれば、50モル%未満の他の構造単位を共重合またはブレンドしていてもよい。
本発明に用いる芳香族ポリアミドは、次の化学式(3)で示される構造単位を50モル%以上含有していると、有機溶媒に対する溶解性が向上し、孔構造を制御しやすくなるため好ましい。このような化学式(3)で示される構造単位は、60モル%以上含有することがより好ましく、更に好ましくは70モル%以上である。このような構造単位の含有量の上限は特に限定されないが、100モル%以下である。
Figure 2009235159
ここで、Zは、任意のハロゲン原子であり、p,qは0〜4の整数、かつ、p+q≧1を満足する。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、厚みが5〜100μmであることが好ましい。5μm未満では、薄すぎるためにハンドリング性が悪くなることがあり、100μmを超えると嵩張るためにインク受像シートとして使いづらくなる。ハンドリング性とスペース性が両立することから、厚みは15〜85μmであることがより好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、空孔率が30〜70%であることが好ましい。30%未満では、インクの保持力が十分でないことがあり、70%を超えると印刷されたインクが隣の空孔にしみ出し、にじみが生じることがある。インクの保持力とにじみ出しの制御が両立することから、空孔率は40〜60%であることがより好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは一方の表面を構成する層(A層)が平均径50〜500nmの開孔部の個数密度が2×10個/mm以上であることが好ましい。この面は、印刷面とすることが好ましく、50nm未満では、インクの保持力が十分でないことがあり、500nmを超えると印刷されたインクが隣の空孔にしみ出し、にじみが生じることがある。また、個数密度が2×10個/mm未満であるとインクの保持力が十分でないことがある。個数密度の上限は2×10個/mmであることが好ましい。インクの保持力とにじみ出しの制御が両立することから、平均径100〜300nmの開孔部が1×10〜1×10個/mmで存在することがより好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは他方の表面を構成する層(A層の反対側の層)(B層)において短径が50nm以上の開孔部の個数密度が0.5個/mm以下であることが好ましい。この面は、非印刷面とすることが好ましく、0.5個/mmを超えると裏移りが生じることがあり、好ましくない。裏移りをより抑えられることから、短径が50nm以上の開孔部の個数密度は0.2個/mm以下であることがより好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは上記したB層の厚みが0.1〜1μmであることが好ましい。0.1μm未満では、裏移りが生じたり、耐折れ曲げ性が十分でないことがあり、1μmを超えるとインクの保持力が十分でないことがある。耐折れ曲げ性とインクの保持力が両立することから、B層の厚みが0.3〜0.8μmあることがより好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一方向の200℃における熱収縮率が0〜2%であることが好ましい。2%を超える場合、インクを印加する際に孔構造に変形が起こり、印字がにじんだりすることがある。下限は0%である。耐熱性がより高くなることから、200℃における熱収縮率が0〜1.5%であることがより好ましく、0〜1.0%であることが更に好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一方向の破断強度が50〜300MPaであることが好ましい。強度が50MPa未満の場合、加工時の高張力、張力変動に対抗することができず、フィルム破れが発生し、生産性が低下することがある。生産性がより良くなることから、強度は100〜300MPaであることがより好ましく、150〜300MPaであることが更に好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは少なくとも一方向のヤング率が3〜10GPaであることが好ましい。ヤング率が高いことにより、薄膜化しても、加工時のハンドリング性を良好に保つことができる。より薄膜化しやすくなることから、ヤング率は4.5〜10GPaであることがより好ましく、6〜10GPaであることが更に好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは少なくとも一方向の破断伸度が3〜50%であることが好ましい。伸度が高いことにより、スリット時のフィルム破れを低減することができ、高速で加工することも可能となり、生産性が良好となる。スリットがより向上することから、伸度は10〜50%であることがより好ましく、15〜50%であることが更に好ましい。
次に、本発明の芳香族ポリアミドフィルムの製造方法について、以下説明するが、これに限定されるものではない。
まず、芳香族ポリアミドであるが、例えば、酸クロライドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により合成する方法や、水系媒体を使用する界面重合等で合成する方法をとることができる。ただし、ポリマーの分子量を制御しやすいことから、非プロトン性有機極性溶媒中での溶液重合が好ましい。
溶液重合の場合、ポリマーの分子量を本発明の範囲内にするために、重合に使用する溶媒の水分率を500ppm以下とすることが好ましく、200ppm以下とすることがより好ましい。使用するジアミン及び酸クロライドは、純度の高いものを用いることは言うまでもないが、モル比を、一方が他方の97〜99.5%、より好ましくは98〜99%になるように調整することが好ましい。
また、芳香族ポリアミドの重合反応は発熱を伴うが、重合中の溶液の温度を40℃以下にすることが好ましい。40℃を超えると、副反応が起きることがある。ポリマーの分子量を制御しやすくなることから、重合中の溶液の温度は30℃以下にすることがより好ましい。
更に、重合反応に伴って塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤を使用するとよい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得るためにはポリマーの固有粘度ηinh(ポリマー0.5gを98質量%硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5(dl/g)以上であることが多孔性フィルムとした時に伸度が高くなり、ハンドリング性が良くなるので好ましい。
製膜原液としては、中和後のポリマー溶液に、ポリマーの溶解性を調整する目的で、貧溶媒である水溶性アルコール類を混合して用いてもよい。また、ポリマーを単離後、非プロトン性有機極性溶媒に再溶解し、水溶性アルコール類を混合して用いてもよい。
水溶性アルコール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、速やかにポリマーを析出させるために、混合される水溶性アルコール類の添加量は、2〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。
製膜原液中のポリマー濃度は2〜30質量%が好ましい。ポリマー濃度が2重質%未満の場合、脆いフィルムとなることがあり、30質量%を超える場合、溶液の粘度が高すぎて、薄膜化が難しい。より薄く、安定した多孔性フィルムを効率良く得られることから、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは8〜20質量%である。
上記のようにして調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法により、多孔質のフィルムとすることができる。
まず、製膜原液は、口金やダイコーターを用いて、支持体上に吐出させて、芳香族ポリアミドの薄膜を形成する。支持体としては、芳香族ポリアミドと親和性の高いものを選ぶことによって、以下の多孔化を行っても支持体との接触面は多孔化が進まず、片面のみ多孔構造を持つフィルムが得られる。このような支持体として、ポリオレフィンやPETのフィルムを用いることが好ましい。更に、サンドブラストやケミカルエッチングによりフィルム表面をあらすとアンカー効果により、芳香族ポリアミドとの親和性がより高まるため好ましい。支持体フィルムの表面粗さは、中心線平均粗さRa=10〜50nmであることが好ましい。
また、この時、吐出量と支持体の走行速度で薄膜の厚みを制御できる。
次に、多孔質化を行うが、多孔質化の方法としては、湿式浴への導入、高湿度雰囲気下での吸湿、冷却等により、ポリマーの溶解性を低下させて、相分離または析出させることが好ましい。特に、溶解性の制御が難しい芳香族ポリアミド及び芳香族ポリイミドでは、均一な多孔質構造を短時間で形成できることから、高湿度雰囲気下で吸湿させる方法が特に好ましい。
高湿度雰囲気下で吸湿させて多孔質化する方法では、雰囲気の温度を5〜50℃、相対湿度を50〜95%RHとすることが好ましい。温度が5℃未満では、絶対湿度が低いため吸湿が十分でなく、ポリマーの溶解性が低下しないことから、多孔質構造が形成されないことがあり、50℃を超えると表面に緻密な層ができて多孔質構造が形成されないことがある。また、相対湿度が50%未満では、吸湿が十分でなくポリマーの溶解性が低下しないことから、多孔質構造が形成されないことがあり、95%RHを超えると表面に緻密な層ができて多孔質構造が形成されないことがある。
また、調温・調湿された空気は風速0.5〜3m/分で薄膜化した製膜原液の表面に吹き付けることが好ましい。風速が0.5m/分未満の場合、多孔質構造の形成が遅いために、孔径等にムラができることがあり、風速が3m/分を超えると塗布層の表面のみが固まり、多孔質構造を形成しないことがある。調温・調湿された空気に接する時間は、3〜20分にすることが好ましい。接する時間が長くなるほど孔径が大きくなるが、20分程度で一定の値となる。3分未満の場合、A層の孔径が本発明の範囲より小さくなることがあり、20分を超えると製膜速度が遅く、生産性が悪化する場合がある。
片面が多孔質化された芳香族ポリアミドの薄膜は、上記いずれの方法を用いた場合も、支持体ごとあるいは支持体から剥離して水浴に導入され、残存溶媒および中和塩等の不要な添加物の除去が行われる。水浴は、残存溶媒等を効率的に除去できることから、30〜60℃であることが好ましい。導入時間は、3〜20分にすることが好ましい。3分未満の場合、除去が不十分でないことがあり、20分を超えると製膜速度が遅く、生産性が悪化することがある。
次に、水浴から引き出されたフィルムは、テンター等で熱処理及び延伸が行われる。
熱処理の初期温度は、80〜100℃とし、水を十分に蒸発させた後、より高温で加熱することが好ましい。初期から100℃を超えた温度で加熱すると、急激に水分が蒸発することによってポリマー構造が破壊され、フィルム破れが発生したり、伸度が低下することがある。
次に、高温での熱処理は、用いたポリマーの熱分解温度以下の範囲で、できるだけ高い温度で行うことが、熱収縮等の高温時の寸法安定性が向上するため好ましい。芳香族ポリアミドは、一般に350℃以上の温度で熱分解が起こるため、200〜350℃とすることが好ましく、芳香族ポリイミドでは、一般に500℃以上の温度で熱分解が起こるため、300〜500℃とすることが好ましい。熱処理温度が200℃未満では、熱収縮が大きくなり、本発明の範囲外となることがある。
また、熱処理時に、延伸を行うことでフィルムの強度やヤング率を向上させることが可能である。ただし、初期乾燥時に形成した表面に微細な凹凸が扁平化しないように、延伸倍率を1.0〜1.2倍とすることが好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、インクジェット型、昇華型、熱転写型、感熱転写型等のプリンターのインク受像シートとして好適に用いることができる。これらの用途では、フルカラー化及びドットの微細化が進んでいるが、A層側を受像面とすることで、にじみや裏移りを抑制することができる。
また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、耐熱性が高いことから、回路基板のベースフィルムとして、回路を印刷や蒸着により直接形成する用途に用いることも可能である。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
実施例における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)表層の孔構造
電界放射型走査型顕微鏡(UHR−FE−SEM)を用いて、下記条件でフィルムの幅方向中心部分の表面について、5cm間隔で5カ所、それぞれ25μmずつ観察した。
装置:日立(株)製 S−900H
加速電圧:5kV
試料調製:直接法
倍率:5,000倍
製膜時に支持体と接触していない面について、得られた写真を観察し、短径が50nm以上であるものを空孔(測定対象)とし、1カ所につき10個の開孔部の長径と短径を測定し、5カ所について平均径と個数密度の平均値を求めた。
また、製膜時に支持体と接触していた面について、得られた写真を観察し、開孔部がある場合、その短径を測定し、短径が50nm以上の開孔部の個数を数え、1mmあたりの個数とした。また、開孔部であるかどうか判定が難しい場合は、傾斜法により観察し、その影の状態から判定してもよい。
(2)B層の厚さ及び空孔率
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、下記条件でフィルムの断面を、フィルムの幅方向中心部分の表面について、5cm間隔で5カ所、観察した。
装置 :日立(株)製 H−7100FA
加速電圧 :100kV
試料調製 :超薄膜切片法
倍率 :20,000倍
a.B層の厚さ
得られた写真を観察し、短径が50nm以上であるものを空孔として、それら空孔が観察されない層をB層としてその厚さを測定した。
b.空孔率
得られた写真の空孔が存在する領域のうち25μmについて、短径が50nm以上であるものを空孔(測定対象)として、1カ所につき10個の開孔部の長径と短径を測定し、5カ所について平均径の平均値(d:μm)を求めた。また、同時に空孔総数(N:個/25μm)もカウントしておき、空孔率は以下の式で定義した。
空孔率(%)=(d/2)×π×N/25
(3)中心線平均粗さRa
Digital Instruments社製原子間力顕微鏡NanoScopeIIIver3.20を用いて、以下の条件で支持体に接触しない表面について3ヶ所測定し、平均値を求めた。
カンチレバ−:シリコン単結晶
走査モ−ド:タッピングモ−ド
走査範囲:30μm×30μm
走査速度:0.5Hz
測定環境:25℃、相対湿度65%
(4)スタンプ捺印性、裏移り
シャチハタ(株)製のXスタンパーを使用して表面層上に捺印後そのまま放置し、1分後にXスタンパーを外して、捺印部を指で軽く擦って、以下の基準で評価した。
○:印影が乱れることなく、周辺部にもよごれが発生しなかった。
△:判読できるが印影の周辺にインク汚れが付着した。
×:印影が判読できないくらいに乱れた。
同時に裏面へのインクの移りを調べ、以下の基準で評価した。
○:インクの移りが全く発生しなかった。
△:裏移りはあるが、捺印部の反対面を指で軽く擦っても指にインクが付着しない。
×:捺印部の反対面を指で軽く擦ると指にインクが付着する。
いずれも△以上が実用範囲内である。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す)に、ジアミン全量に対して80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、ジアミン全量に対して20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これにジアミン全量に対して98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリド(以下、CTPCと記す)を添加し、2時間撹拌により重合し、芳香族ポリアミドの溶液を得た。重合開始時の溶液温度は4℃で、CTPCを10等分し、10分間隔で添加することにより、重合中の温度上昇を28℃までに抑えた。この溶液を水とともにミキサーに投入し、攪拌しながらポリマーを沈殿させて、取り出した。
このポリマーを、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させた後、平均分子量が200のポリエチレングリコール(以下、PEGと記す)を加え、均一に完全相溶した製膜原液を得た。それぞれの添加量は、ポリマー10質量%、NMP70質量%、PEG20質量%となるように調製した。
この製膜原液を、ダイコーターで厚み100μm、中心線平均粗さRaが35nmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み約350μmの膜状に塗布し、温度15℃、相対湿度70%RHの調湿空気中で10分間処理した。調湿空気は風速1.5m/分で膜表面に吹き付けた。次に、失透した多孔質層を剥離後、30℃の水浴に3分間導入し、溶媒の抽出を行った。続いて、テンター中で最初は80℃で1分、幅方向に4.5%収縮させながら熱処理を行った。最後に、幅方向はそのままで、250℃で2分間の熱処理を行い、芳香族ポリアミド多孔質フィルムを得た。
製造条件及び評価結果を表1に示した。スタンプ捺印性及び裏移りはいずれも良好であった。
(実施例2〜5)
多孔化条件を表1のとおりに変更した以外は実施例1と同様な方法で多孔質フィルムを得た。特性は実施例1に対して若干低下したが、全て実用範囲内であった。
(比較例1)
支持体として、厚み100μm、中心線平均粗さRaが7nmのポリエチレンテレフタレートフィルム上を使用した以外は、実施例1と同様な方法で芳香族ポリアミド多孔質フィルムを得た。特性は実用範囲を満たさなかった。
(比較例2)
支持体として、厚み100μm、中心線平均粗さRaが7nmで表面にアクリル離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上を使用した以外は、実施例1と同様な方法で芳香族ポリアミド多孔質フィルムを得た。特性は実用範囲を満たさなかった。
(比較例3、4)
多孔化条件を表1のとおりに変更した以外は実施例1と同様な方法で多孔質フィルムを得た。特性は実用範囲を満たさなかった。
Figure 2009235159
本発明は、プリンター等のインク受像シートとして好適に使用することができる芳香族ポリアミドフィルムである。

Claims (3)

  1. 厚みが5〜100μm、空孔率が30〜70%、一方の表面を構成する層(A層)が平均径50〜500nmの開孔部の個数密度が2×10個/mm以上であり、他方の表面を構成する層(B層)において短径が50nm以上の開孔部の個数密度が0.5個/mm以下である芳香族ポリアミドフィルム。
  2. B層の厚みが0.1〜1μmである、請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  3. 請求項1または2に記載の芳香族ポリアミドフィルムを用いたインク受像シート。
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