JP2009234319A - 車両用フード構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】フードの前部にロック装置を設けても、フードの前部で障害物に加わる衝撃を吸収し、構造が簡単な車両用フード構造を提供する。
【解決手段】車両用フード構造11はエンジンルーム21内の部品をカバーするためにフロントボデー13に開閉自在に取付けられているとともに、外層をなすフードスキン51と、フードスキン51の内側に取付けられて内層をなすフードスチフナー52と、を備えている。フードスキン51の前部101とフードスチフナー52との間に配置されて、フードスキン51の前部101を必要に応じてエンジンルームの外方へ膨出させるエアバッグ装置31を備えている。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両用フード構造に関するものである。
車両用フード構造では、フードの後部内側に膨張可能な部材を配置して、後部を持ち上げることで、人が後部に衝突した際に、膨張した部材が再度圧縮又は潰れて変形する安全機構がある(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3942545号公報(第6頁、図1)
しかし、特許文献1の車両用安全機構では、フードの前部に設けたフードロック部を中心に回動するようにフードの後部を、エアバッグで押し上げ、フードを上昇させるため、フードの前部の位置はほぼ同じ位置のため、ロック部材、エンジンルーム内の部品とのクリアランスを充分に確保することができないという問題がある。
本発明は、フードの前部にロック装置を設けても、フードの前部で障害物に加わる衝撃を吸収し、構造が簡単な車両用フード構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、エンジンルーム内の部品をカバーするためにフロントボデーに開閉自在に取付けられているとともに、外層をなすフードスキンと、フードスキンの内側に取付けられて内層をなすフードスチフナーと、を備えている車両用フード構造において、フードスキンの前部とフードスチフナーとの間に配置されて、前部を必要に応じてエンジンルームの外方へ膨出させるエアバッグ装置を備えていることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、エアバッグ装置は、前部をフロントボデーに係止するロック装置のストライカを備えていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、フロントボデーに取付けられている前バンパーの内部に前バンパーに加わる衝撃を検出する衝撃検出装置を備えていることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、エアバッグ装置は、折り畳んだエアバッグ袋体をガスで展開した後に、ガスを排出するベントホールを備えていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、車両用フード構造は、エンジンルーム内の部品をカバーするためにフロントボデーに開閉自在に取付けられ、フードスキンの前部とフードスチフナーとの間に配置されて、前部を必要に応じてエンジンルームの外方へ膨出させるエアバッグ装置を備えているので、エンジンルーム内の部品及びフロントボデーのフレームとのクリアランスが少ないフードの前部の場合でも、障害物と車両の前面が衝突した際に、エアバッグ袋体を展開してフードの前部を膨出させることで部品及びフレームに対して前部のクリアランス(空間)を確保し、フードの前部からの衝撃を緩和することができる。
つまり、障害物は膨出させたフードの前部に衝突するが、膨出させたフードの前部が変形するので、障害物への衝撃を吸収することができる。
請求項2に係る発明では、エアバッグ装置は、前部をフロントボデーに係止するロック装置のストライカを備えているので、フードの前部をロックするロック装置のストライカとエアバッグ装置を一体化することで、エアバッグ袋体を展開(膨張)するガスの圧力をストライカが受けて、フードスキンの前部にエアバッグ袋体を介して加えることができ、フードスキンの前部を膨出させるのは容易になるという利点がある。
また、エアバッグ装置のバッグ保持ケースの箱形状によって、フードの前部の強度を高めることができる。
請求項3に係る発明では、フロントボデーに取付けられている前バンパーの内部に前バンパーに加わる衝撃を検出する衝撃検出装置を備えているので、前バンパーの移動を直接検出することで、カメラやレーダーなどの高価なセンサを使用する必要がなく構造が簡単になるという利点がある。
すなわち、障害物が前バンパーに衝突してからその障害物が倒れ込みながらフードの前部へ衝突するまで一定の時間が伴うため、障害物を検出するセンサを前バンパーに配置しても支障のないことを確認した。
請求項4に係る発明では、エアバッグ装置は、折り畳んだエアバッグ袋体をガスで展開した後に、ガスを排出するベントホールを備えているので、フードの前部を膨出させたエアバッグ袋体は、ベントホールからガスを放出し、内圧を低下させ、エアバッグ袋体からの反力が障害物に加わるのを防止することができる。
すなわち、エアバッグ袋体に内圧を保持したまま障害物が衝突すると、エアバッグ袋体からの反力が発生し、障害物への衝撃を吸収することができなくなる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車両用フード構造を採用した車両の斜視図である。
図2は、図1の2−2線断面図であり、フード構造の断面の要部を示している。
車両用フード構造11は、車両12のフロントボデー13に採用され、車両前方(矢印a1の方向)の障害物15(図6参照)との接触に対処するものである。具体的には後述する。
車両12は、フロントボデー13と、フロントボデー13のエンジンルーム21に配置しているラジエター22やエンジン23と、エンジン23などのエンジンルーム21内の部品の上方を覆うとともに、フロントボデー13に前開き(矢印a2の方向)自在に取付けられているフード構造11と、フロントボデー13の前部25に取付けられている前バンパー26と、を備える。
また車両12は、エアバッグシステム28を有し、エアバッグシステム28は、既存の運転席用エアバッグ装置(図に示していない)などのエアバッグを制御しているとともに、既存構成に加え、フード構造11に含まれるエアバッグ装置であるところのフードエアバッグ装置31を制御する構成も備えている。
図3は、本発明の車両用フード構造を前開きして内側正面を示した図である。図1、図2を併用して説明する。
フード構造11は、フード本体33と、フード本体33の後部35に設けたボンネットヒンジ36と、フード本体33の前部37に配置したフードロック装置38と、フード本体33の前部37に設けたフードエアバッグ装置31と、を備える。
フードロック装置38は、フロントボデー13に取付けたロック機構41と、ロック機構41に係止するとともにフード本体33側に取付けられているフードストライカ42とからなるが、フードストライカ42はフードエアバッグ装置31のバッグ保持ケース43(図4も参照)に取付けられている。ロック機構41を設けたフロントボデー13の上部バルクヘッド44(図2参照)はラジエター22とエンジン23との間に配置されている。45はラジエター22の下部を支持している下部バルクヘッドである。
フード本体33は、外層をなすフードスキン51と、フードスキン51の内側に取付けられて内層をなすフードスチフナー52とからなり、フードスキン51の縁部53にフードスチフナー52の縁部54が結合(ヘミング)し、フードスキン51の内面にフードスチフナー52の中央開口57が接着剤で接合し、フードスチフナー52の後開口61が接着剤で接合している。そして、中央開口57に連なる前板部62とフードスキン51との間に膨張用空間部64が形成され、この膨張用空間部64にフードエアバッグ装置31が配置されているとともに、フードスチフナー52の前板部62の中央に凹状に形成したバッグ取付凹部65にフードエアバッグ装置31のバッグ保持ケース43が固定されている。
バッグ取付凹部65は、前板部62に連ねて下方へ延ばした側壁部67が成形され、側壁部67に連ねて接合底部71が成形され、接合底部71にフードストライカ42を貫通させた貫通穴部72が開けられている部位である。そして、接合底部71にはフードエアバッグ装置31のバッグ保持ケース43が一体的に接合されている。
バッグ保持ケース43は、箱形状で、バッグ取付凹部65に嵌るとともに、バッグ取付凹部65の接合底部71にケース底部74が複数の固定部材75で固定され、ケース底部74の外面にフードストライカ42が下方に向けて立設されて貫通穴部72を通ってバッグ取付凹部65の外方へ出ている。
図4は、本発明の車両用フード構造が備えるエアバッグ装置の斜視図であり、フードスキン51を取り外した状態である。
フードエアバッグ装置31は、フード本体33のフードスチフナー52に取付けられているバッグ保持ケース43と、バッグ保持ケース43内に取付けられているインフレータ77と、インフレータ77に連通して折り畳んでバッグ保持ケース43内に納められているエアバッグ袋体81と、エアバッグ袋体81をカバーするとともにバッグ保持ケース43の開口を閉じる蓋部材82と、インフレータ77を制御する前面衝撃を検出し且つ、前バンパー26の中央の内部に配置されている衝撃検出装置(前面衝撃検出装置)83と、を備えている。
図5は、本発明の車両用フード構造が備えるエアバッグ袋体の展開した形状の斜視図であり、図4の視点と同様である。図1〜図3を併用して説明する。
エアバッグ袋体81は、展開すると略円筒形状で、車両12の前方(矢印a1の方向)へ向いている前側部86がフード本体33の前縁87近傍に配置され、前側部86に連なり上側部91がフード本体33のフードスキン51に向けて配置され、上側部91に連なり且つ前側部86に対向しているとともに車両12の後方へ向いている後側部92が形成され、この後側部92にベントホール93がインフレータ77から供給されたガスを逃がすように設けられている。
また、車両12の左右(車幅方向)の外側(矢印a3の方向)へ向いている一端側部95がフード本体33の縁96の近傍に配置され、一端側部95に対向している他端側部97がフード本体33の縁96の近傍に配置されている。
ベントホール93は、複数の孔である。なお、孔の形状や寸法や数は任意であり、例えば、必要に応じて弁やばねを用いることも可能である。
インフレータ77は、既存の構成とほぼ同様であるが、前面衝撃検出装置(衝撃検出装置)83の前面衝撃情報に基づいて、エアバッグシステム28を介して作動して、所望のガスを発生させる。なお、インフレータ77の形状を円筒形としたが、形状は任意である。
前面衝撃検出装置(衝撃検出装置)83は、前バンパー26が押しつぶされたときなど前バンパー26の位置が変わったときに、前面衝撃を検知して情報を出力するもので、構成、数、配置箇所は任意である。
次に、本発明の車両用フード構造の作用を説明する。
図6は、本発明の車両用フード構造の前方障害物対策の機構を説明する図である。図1〜図5を併用して説明する。
車両用フード構造11は、車両12の前面に障害物15が当たると、フードエアバッグ装置31によってフード本体33が膨らむので、膨らんだフード本体33で障害物15に加わる衝撃を吸収することができる。具体的に説明する。
車両12の前バンパー26が障害物15(例えば、歩行者)に衝突すると、前バンパー26に設けた前面衝撃検出装置83が前面の衝突を検出する。前面衝撃検出装置83の情報に基づくエアバッグシステム28の着火作動情報に基づいてフードエアバッグ装置31のインフレータ77内に設けたガス薬が爆発する。
図7は、図6の続きを説明する図である。
引き続き、インフレータ77がガスをエアバッグ袋体81に充填すると、エアバッグ袋体81は膨張(展開)するので、フードスキン51の前部101は膨張して凸状に膨出すると同時に、フードスチフナー52はフードスチフナー52のバッグ取付凹部65近傍から折れ曲がるように変形する。
その際、エアバッグ袋体81では、ベントホール93からガスが逃げ始めるが、インフレータ77から供給されるガスの流量が多いため、フードスキン51を膨張させる圧力を得ることができる。
なお、フードスキン51の前部101の膨張範囲は、図5に示したエアバッグ袋体81の大きさの範囲である。つまり、図1の二点鎖線で示した範囲である。
続けて、フードスキン51の前部101が膨張し終わった時点で、エアバッグ袋体81内の圧力は、ベントホール93からガスが逃げることで、低下する。そして、エアバッグ袋体81は膨張したフードスキン51から離れ始める。
図8は、図7の続きを説明する図である。図1〜図5を併用して説明する。
その直後に、障害物15が、膨張しているフードスキン51の前部101に倒れ込み当たり始めると、膨張した前部101は膨張前に戻るように凹状に変形して障害物15に加わる衝撃を吸収することができる。
ベントホール93からガスが逃げることで、内圧を低下させ、エアバッグ袋体81からの反力が障害物15に加わるのを防止することができる。エアバッグ袋体81に内圧を保持したまま障害物15が衝突すると、エアバッグ袋体81からの反力が発生し、障害物15への衝撃を吸収することができなくなる。
このように、フード構造11では、エンジンルーム21内の部品及びフロントボデー13の上部バルクヘッド44などのフレーム103とのクリアランスが少ないフード構造11の前部104の場合でも、障害物15と車両12の前面が衝突した際に、エアバッグ袋体81を展開してフード構造11の前部104を膨出させることで部品及びフレーム103に対して前部104のクリアランス(空間)を確保し、フード構造11の前部104からの衝撃を緩和することができる。
つまり、障害物15は膨出させたフード構造11の前部104に衝突するが、膨出させたフード構造11の前部104が変形するので、障害物15への衝撃を吸収することができる。
また、図7に示したようにフード構造11は、エアバッグ袋体81の圧力でフードスキン51の前部101を膨出(膨張)させるときに、反力をフードストライカ42に伝え、フードストライカ42からロック機構41を介して上部バルクヘッド44へ伝えることができる。
すなわち、フード構造11の前部104をロックするロック装置38のフードストライカ42とエアバッグ装置31を一体化することで、フードスキン51の前部101を膨出させるのは容易になるという利点がある。
さらに、フード本体33では、フードスチフナー52にバッグ保持ケース43を一体的に取付けることで、バッグ保持ケース43の箱形状がフードスチフナー52の補強部材となり、フードスチフナー52の強さ(断面係数)を高めることができる。従って、フード構造11の前部104の強度を高めることができる。
本発明の車両用フード構造は、フードとフロントボデーのフレームとの間に空間を設定しにくい車両に好適である。
本発明の車両用フード構造を採用した車両の斜視図である。 図1の2−2線断面図である。 本発明の車両用フード構造を前開きして内側正面を示した図である。 本発明の車両用フード構造が備えるエアバッグ装置の斜視図である。 本発明の車両用フード構造が備えるエアバッグ袋体の展開した形状の斜視図である。 本発明の車両用フード構造の前方障害物対策の機構を説明する図である。 図6の続きを説明する図である。 図7の続きを説明する図である。
符号の説明
11…車両用フード構造、13…フロントボデー、21…エンジンルーム、26…前バンパー、31…エアバッグ装置(フードエアバッグ装置)、38…ロック装置、42…ストライカ、51…フードスキン、52…フードスチフナー、81…エアバッグ袋体、83…衝撃検出装置(前面衝撃検出装置)、101…フードスキンの前部。

Claims (4)

  1. エンジンルーム内の部品をカバーするためにフロントボデーに開閉自在に取付けられているとともに、外層をなすフードスキンと、該フードスキンの内側に取付けられて内層をなすフードスチフナーと、を備えている車両用フード構造において、
    前記フードスキンの前部と前記フードスチフナーとの間に配置されて、前記前部を必要に応じて前記エンジンルームの外方へ膨出させるエアバッグ装置を備えていることを特徴とする車両用フード構造。
  2. 前記エアバッグ装置は、前記前部を前記フロントボデーに係止するロック装置のストライカを備えていることを特徴とする請求項1記載の車両用フード構造。
  3. 前記フロントボデーに取付けられている前バンパーの内部に前バンパーに加わる衝撃を検出する衝撃検出装置を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用フード構造。
  4. 前記エアバッグ装置は、折り畳んだエアバッグ袋体をガスで展開した後に、前記ガスを排出するベントホールを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用フード構造。
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