JP2009233846A - 湿式研削装置およびそのための研削砥石セグメント - Google Patents

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Abstract

【課題】クーラント中に分散した研削屑や脱落砥粒を外部に効率良く排出することができ、砥石表面での目詰まりの発生を回避することのできる湿式研削装置を提供する。
【解決手段】本発明の湿式研削装置は、第1面を有し、第1方向に回転軸まわりに回転可能な、第1定盤、該第1定盤は該第1面に連通し、クーラントを供給可能な少なくとも1つの第1孔を有する;該第1面に対向する第2面を有し、該第1方向と反対向きの第2方向に該回転軸まわりに回転可能な、第2定盤;各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第1面に取り付けられる、第1研削砥石セグメント;そして、各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第2面に取り付けられる、第2研削砥石セグメント;を有し、各該2砥石セグメントには、該第1孔に対向する位置を含む該回転軸を中心とした円に沿って、該第2方向両端縁間に延設される、少なくとも1つの溝が形成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、金属、ガラス、石英、セラミックス等の素材からなる平板状部材の表面を、クーラントの存在下で研削するようにした湿式研削装置の改良、およびこうした装置に用いる研削砥石セグメントに関するものである。
金属、ガラス、石英、セラミックス等の素材からなる平板状部材の表面を平坦に研削するに当たっては、上下一対の定盤上の夫々に取り付けた研削砥石の間に被加工物(被研削物)を挟み、所定の荷重を負荷した状態で定盤を反対方向回転させることによって行われる。このとき用いられる砥石としては、アルミナ(Al23)やシリコンカーバイド(SiC)等の砥粒を樹脂で結合したいわゆるレジンボンド砥石が用いられる。また砥粒としては、上記の他、ZrO,TiO2等の酸化物やダイヤモンド等の微粉用いられることがある。
上記のような研削加工では、被加工物の両面を同時に研削するものであるので、高い平坦度が実現できるだけでなく、厚さの均一性も高いという特徴がある。
また上記のような研削加工では、界面活性剤や潤滑剤を含むクーラントと呼ばれる溶液(以下、「クーラント」と呼ぶ)を加工領域に連続的に供給しながら、湿式で行われるのが一般的である。このクーラントの主な役割は、(a)加工によって発生する熱を取り除くこと、(b)砥石と被加工物との摩擦を制御して加工面の品質を保つこと、(c)研削屑や脱落砥粒を加工箇所から効率良く除去することによって、疵の発生や砥石の目詰まりを制御して、加工速度の低下を防止すること、等が挙げられる。
上記のような研削加工を実施するための装置(湿式研削装置)の構成を、図面を用いて説明する。図1は、湿式研削装置の構成例を示す概略説明図であり、図中1は上側定盤、2は下側定盤、3は定盤回転軸、4は被加工物、5は加工物を固定するキャリアを夫々示し、6および7は夫々太陽ギヤおよびリングギヤと呼ばれ、定盤回転軸3と一致した回転中心を持ち、両者の回転の組合わせによりキャリア5を自転および定盤回転軸周りで公転させる。尚、上側定盤1および下側定盤2には、夫々研削砥石が取り付けられ、また上側定盤1には、上記クーラントを供給するための供給孔が設けられることになるが(後記図2参照)、図1では説明の便宜上図示していない。
上記のような装置構成において、上下一対となった定盤(上側定盤1および下側定盤2)を、定盤回転軸3を中心として反対方向に回転させることになる(上側定盤1の回転方向:矢印A、下側定盤回転方向:矢印B)。このときキャリア5は、下側定盤2に追随して定盤回転軸3を中心として回転(公転:矢印C)すると共に、ギヤ6,7、およびキャリアの外周に設けられたギヤ等の連動によって、キャリア5自体も回転(自転:矢印D)することになる。
各キャリア5に固定された被加工物4は、上側定盤1および下側定盤2の夫々に取り付けられた研削砥石間に挟まれた状態となり(後記図2参照)、上記回転運動を行うことによって、被加工物の両面が研削加工されることになる。このような装置においては、通常、下側定盤2とキャリア5の公転Cの相対速度と、上側定盤1とキャリア5の公転Cの相対速度は互いに逆方向となり、且つ大きさがほぼ等しくなるように、各回転数や方向が設定されることになる。これによって、被加工物の上・下定盤に対する各相対摺動速度をほぼ等しくなるように設定される。また、キャリア5が自転することによって、被加工物を定盤のほぼ全面を均一に使用して研削できるものとなる。
上下一対の定盤(上側定盤1および下側定盤)、夫々に取り付けられる研削砥石、および被加工物の関係を図2(断面説明図)に示す。図2に示すように、上側定盤1の下方には研削砥石10(上側研削砥石)が取り付けられると共に、下側定盤2の上方にも研削砥石11(下側研削砥石)が取り付けられる。これらの研削砥石10、11間に、被加工物4が挟まれた状態となり、上記のような回転運動によって被加工物4の両面が研削砥石10、11によって研削されることになる。
クーラント20の供給は、図2に示したように、上側定盤1に形成されたクーラント供給孔17a,17cを通して行われる。このクーラント供給孔17a,17cと、上側定盤に取り付けられる研削砥石セグメント10a(後記図3参照)の間の隙間の位置を合わせ、この隙間を通してクーラントを被加工物4の表面に供給することもできるし、また図2に示したように上側定盤1に形成されたクーラント供給孔17a,17cと連通する孔15を研削砥石10に設けて、それを通してクーラントを被加工物4の表面に供給することもできる。
このようにクーラント20が被加工物表面に供給されて上記した作用を発揮した後、装置の外周(図2における左方向)から外に排出される。また、夫々略扇状を有する研削砥石セグメント10aおよび研削砥石セグメント11aは、図3の平面図に示すように、円盤状に配置され、上側定盤1および下側定盤2に取り付けられる。
上記のような装置を用いた研削では、クーラント20を供給しつつ行うため、このクーラント20によって研削屑や脱落する砥粒を加工箇所から効率良く除去することができる。しかし、それでも研削屑や脱落砥粒が排除されずにこれらが研削砥石セグメントの表面に部分的に堆積し、研削砥石セグメント表面の目詰まりを発生させることがある。こうした目詰まりが発生すると、研削効率の低下が避けられない。
こうしたことから、研削砥石セグメントの形状や配列を工夫することによって、研削屑や脱離砥粒を研削砥石セグメント表面から効率的に外部に排出する関連技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、クーラント20中に分散された研削屑や脱落砥粒を効率良く外部に排出できるように、研削砥石セグメントに幅方向の斜めに伸びる溝加工を施す技術も提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
上記の関連技術は、定盤の回転運動と被加工物との自・公転運動、およびこれらによって生じるクーラントの流れに着目して溝構造が決定されているものである。これらの関連技術によって、研削砥石セグメント表面の目詰まりの発生を或る程度抑制することができるのであるが、砥石の研削屑や脱落砥粒による目詰まりを十分に抑制することができない場合があり、目詰まりに基づく、被加工物表面の疵の発生や生産性の低下等が問題となっている。
特開昭60−242975号公報 特開平6―134674号公報 特開平6―226640号公報 特開平6―226641号公報
従って、本発明の目的は、クーラント中に分散した研削屑や脱落砥粒を外部に効率良く排出することができ、砥石表面での目詰まりの発生を回避することのできる湿式研削装置、およびこうした湿式研削装置で用いる研削砥石セグメントを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によると、以下のものを有する湿式研削装置が提供される。
第1面を有し、第1方向に回転軸まわりに回転可能な、第1定盤、該第1定盤は該第1面に連通し、クーラントを供給可能な少なくとも1つの第1孔を有する;
該第1面に対向する第2面を有し、該第1方向と反対向きの第2方向に該回転軸まわりに回転可能な、第2定盤;
各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第1面に取り付けられる、第1研削砥石セグメント;そして
各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第2面に取り付けられる、第2研削砥石セグメント;を有し、
各該2砥石セグメントには、該第1孔に対向する位置を含む該回転軸を中心とした円に沿って、該第2方向両端縁間に延設される、少なくとも1つの溝が形成される、湿式研削装置。
本発明の湿式研削装置においては、(a)該溝は該回転軸を中心とする円弧状を有していてもよい、(b)該溝は該回転軸を中心とする円弧と接する接線状を有してもよい、(c)該溝は該回転軸を中心とする円弧と接する複数の接線状の溝からなってもよい、(d)該第1砥石セグメントは、該第1孔と連通する少なくとも1つの第2孔を有していてもよい、(e)該第1孔は、隣接する該第1砥石セグメントの間の隙間に連通してもよい、(f)該第1孔から被加工物に供給された該クーラントが該溝を介して流出されてもよい、(g)該第1定盤は該第2定盤の上側に位置し、該第1研削砥石セグメントと該第2研削砥石セグメントの間に被加工物は配置され、該クーラントは該被加工物に対して供給されてもよい、(h)該溝の幅は3〜15mmであってもよい、(i)隣接する該第2砥石セグメントの間隔は1〜10mmであってもよい、(j)該溝の幅中心と該第1孔の中心との距離は15mm以下であってもよい、等の構成を採用できる。
本発明によると、以下のものを有する研削砥石セグメントも提供される。
第1面を有し、第1方向に回転軸まわりに回転可能な、第1定盤、該第1定盤は該第1面に連通し、クーラントを供給可能な少なくとも1つの第1孔を有する;該第1面に対向する第2面を有し、該第1方向と反対向きの第2方向に該回転軸まわりに回転可能な、第2定盤;そして、各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第1面に取り付けられる、第1研削砥石セグメント;を有する湿式研削装置に設けられる、研削砥石セグメントであって:
該第2面に取り付けられ、
略扇状を有し、円盤状の研削砥石の一部であり、そして
該第1孔に対向する位置を含む該回転軸を中心とした円に沿って、該第2方向両端縁間に延設される、少なくとも1つの溝が形成される、研削砥石セグメント。
本発明においては、円盤状に配置され、下側定盤に取り付けられた略扇状の研削砥石セグメントにおいて、研削砥石セグメントにおけるクーラント供給孔の回転軌道に対応する領域に、定盤回転軸を中心とした円弧状または同一セグメント内で該円弧と接する接線状のクーラント流出溝、或は複数の接線が折れ線状に連続したクーラント流出溝を該研削砥石セグメント全幅に形成することによって、クーラント中に分散した研削屑や脱落砥粒を外部に効率良く排出することができ、研削砥石セグメント表面での目詰まりの発生を回避することのできる湿式研削装置が実現される。
本発明者らは、磁気ディスク用アルミ基板の湿式研削を行ったときの、研削砥石の詰まりの発生機構について詳細に検討した。その結果、目詰まりは研削砥石全体に生じるのではなく、また目詰まりは不規則に生じるのではなく、研削砥石の特定の箇所で目詰まりが発生し易いことが判明した。また研削砥石の目詰まりは、上側に比べて下側の砥石で発生頻度が高く、クーラントの供給位置と良い相関関係があることも分かった。こうした状況を、図面を用いて説明する。尚、上述した関連技術と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図4Aは、上側定盤1の上から見た平面模式図であり、図4Bはその別の例である。上側定盤1の下には、複数の略扇状研削砥石セグメント10a(前記図3参照)を配置することによって、上側研削石10が構成されることになる。同様に、下側定盤2の上には、複数の略扇状研削砥石セグメント11aを配置することによって、下側研削石11が構成される。クーラントの供給は、通常上下対となった定盤の上側定盤1に形成されたクーラント供給孔17a〜17cを通して行われることになる。クーラント供給孔17a〜17cは、図4Aに示すように、同心円上に配置される。図4Aでは、3本のクーラント供給孔が配置される同心円E〜Gが示されているが、3本に限らず、3本より多くても少なくてもよい。図4Bでは、2本の同心円H,Iが示されている。
クーラント供給孔に連通して、上側研削砥石10には孔15(前記図2参照)が形成されることになる。孔15を形成する代りに、研削砥石セグメント10aの間の隙間の位置をクーラント供給孔に合わせてもよい。図4Bでは、研削砥石セグメント10aの間の隙間の位置をクーラント供給孔17d,17eの位置に合わせている。
こうした構成において、研削砥石の目詰まりは、上側定盤1に形成されたクーラント供給孔17a〜17c、およびこのクーラント供給孔17a〜17cに連通する上側研削砥石10に形成された孔15に相当する位置、即ち、クーラント供給孔17a〜17cが形成される円形軌道上(図4A中、E〜Gで示す)の下側研削砥石11の表面でその頻度が高くなる傾向があることが分かった。
こうした現象が生じる原因について、本発明者らが検討したところ、次のような知見が得られた。まずクーラントは、重力の影響を受けて、上から下に流れることになるので、研削屑や脱落砥粒による研削砥石の目詰まりも、下側研削砥石11で起こり易いと考えられる。また、研削屑や脱落砥粒等が分散されたクーラントは、定盤の回転、被加工物の自転・公転だけでなく、クーラント供給孔での流れの影響をも受けるので、クーラント供給孔の形成箇所(前記回転軌道E〜G上)で目詰まりが発生し易くなるものと考えられた。
具体的には、上側定盤1および下側定盤2は、代表的には20〜60rpm程度で回転するので、基本的にクーラントは遠心力により定盤の内周側から外周側に向かって(前記図2の右側から左側に向かって)流れることになる。しかしながら、クーラント供給孔17a〜17cの直下では、内周側から流れてきたクーラントと、クーラント供給孔17a〜17cから流入してきた新鮮なクーラントが合流するので、内周側から流れてきたクーラントの流れが阻害されることになる。そして、内周側から流れてきたクーラント中には研削屑や脱落砥粒が分散しており、合流地点(クーラント供給孔17a〜17cの直下)でクーラントの流れが阻害されることに起因して、当該合流地点での下側研削砥石11上に研削屑や脱落砥粒等が堆積しやすくなるものと考えることができた。
そこで、こうした状況を考慮し、上記した機構に基づく研削砥石の目詰まりを防止する構成について、様々な角度から検討した。その結果、クーラント供給孔に対応する領域に、上側定盤の回転軸を中心とした円弧状の溝(以下、「クーラント流出溝」と呼ぶ)を、研削砥石セグメントの全幅に形成してやれば、上記目的が達成されることを見出した。
図5は、本発明で用いる研削砥石セグメントの構成例を示す平面図である。研削砥石セグメント11aにおいては、前記クーラント供給孔17a〜17cの回転軌道(前記図4AのE〜G)に対応する領域に、上側定盤1の回転軸を中心とした円弧状のクーラント流出溝18が砥石セグメント全幅に形成されている。つまり、クーラント流出溝18は、下側定盤2の回転方向における各研削砥石セグメント11aの両端縁間にわたって、前記回転軸軌道に沿って延設される。このクーラント流出溝18のクーラント流れを考慮した形状は、図5に示したような円弧状である。また、加工の容易性等をも考慮すれば、図6(他の構成例)に示すような、同一セグメント内で上記円弧と接する接線状(直線状)のクーラント流出溝18aを平行に設けてもよい。或は、図7に示すように、同一円弧での複数の接線が折れ線状に連続したクーラント流出溝18bとしてもよい。
こうしたクーラント流出溝18(または18a,18b)を研削砥石セグメント11aに形成したときのクーラントの流れについて、図8を参照しつつ説明する。図8は、クーラント流出溝18(18a,18b)を研削砥石セグメント11aに形成したときのクーラント20の流れを説明するための図であり、この図8はクーラント流出溝18,18a,18bを形成すること以外は、前記図2に相当するものであり、対応する部分には同一の参照符号が付してある。
図8に示すように、クーラント供給孔17a〜17cの回転軌道に対応する領域に、上側定盤1の回転軸を中心とした円弧状または接線状のクーラント流出溝18,18a(或いは折れ線状のクーラント流出溝18b)を形成した場合には、内周側から流れてきた研削屑等を含むクーラント20は、内周側に配置された被加工物の周囲を経た後、クーラント流出溝18,18a,18bに流れ込み、研削砥石表面に堆積することなく当該表面から効率良く除去されることになる。そして、クーラント流出溝18,18a,18bに流れ込んだクーラント20は、更に研削砥石セグメント11a間の空隙を通って定盤外周側に経て外部に排出されることになる。一方、クーラント供給孔15から流入してきた新鮮なクーラント20は、研削砥石の回転によって生じる遠心力によって、被加工物4の周囲を経て定盤外周側に効率良く供給されることになる。
上記のような作用によって、研削砥石表面には新鮮なクーラントが効率良く供給されると共に、研削屑や脱落砥粒を含むクーラント20が効率良く外部に排出されることになる。その結果、研削砥石の目詰まりの発生を抑制でき、生産性良く被加工物の表面研削が実行できることになる。
上記のようなクーラント流出溝18,18a,18bは、研削砥石(下側研削砥石セグメント11a)の使用による摩耗も考慮して十分な深さが必要である。研削砥石の初期の厚さが40〜60mm程度であり、使用による摩耗に伴って薄くなる。どの程度薄くなるまで使用できるかは、加工対象、加工目的、装置構成等によって異なるが、代表的には10〜20mm程度である。こうした摩耗を考慮して、砥石を使用する最小厚さにおいてもクーラント流出溝には十分な溝(5mm程度)が残っているようにする必要がある。
クーラント流出溝18,18a,18bの溝幅については、上記の様な流出機構を考慮すれば、3mm以上であることが好ましい。これよりも狭くなると、研削屑を含むクーラントを効率良く排出しにくくなる。また、溝幅の上限については、研削効率および加工後の表面品質を劣化しない範囲という観点から決定する必要がある。この溝幅が広くなり過ぎると、加工に使われる有効な砥石面積が小さくなってしまい、加工効率が低下することになる。また、被加工物4が研削砥石11の溝部分を通過する際に、溝の淵により加工への妨害を受けることになる。極端な場合には、被加工物4自体が溝に落ちて加工が不可能となることがある。こうした観点から、クーラント流出溝18,18a,18bの溝幅は15mm以下とすることが好ましい。
砥石セグメント11aを配置するときの(前記図3参照)の相互に間隔についても、上記クーラント流出溝18,18a,18bの溝幅と同様の理由から、1〜10mmとして配置することが好ましい。砥石セグメント11a間をクーラントが流れる際には、遠心力が強く作用するので、砥石セグメント11aに形成される溝幅よりも、狭い幅で十分なクーラントの流れを実現できる。
下側定盤2に取り付けられる研削砥石11(砥石セグメント11a)に形成されるクーラント流出溝18,18a,18bと、上側研削砥石セグメント10aに形成されるクーラント供給孔15との位置関係については、クーラント流出溝18,18a,18bの溝幅中心と、クーラント供給孔15の中心との距離が15mm以下であることが好ましい。上記溝幅中心とクーラント供給孔15の中心との距離が15mmよりも大きくなると、クーラント供給孔15から流れてくるクーラント20と、研削砥石内周側から遠心力によって移動してくるクーラント20とが合流して、研削砥石上でのクーラントの流れが乱され、目詰まりの原因になりやすくなる。尚、クーラント供給孔15の形状は特に限定されず、加工し易さから多くの場合は円形に形成されるが、クーラント供給孔15の形状が他の形状に形成された場合であっても、この基準に則して決定すれば良い。
クーラント流出溝の形状は、円弧に接する接線状のクーラント流出溝(前記図6の18a)とすることがでもできるが(或いは折れ線状のクーラント流出溝18b)、こうした溝を形成した場合においても、溝幅中心とクーラント供給孔15の中心との距離が15mm以下となるような位置関係を保つことによって、十分なクーラント排出効果が達成されることになる。尚、クーラント流出溝18,18a,18bの各研削砥石セグメント11a毎の形成個数は、クーラント供給孔17a〜17cの形成個数によって決定すれば良く、通常2〜3本となるが(前記図4Aおよび図4B参照)、研削砥石セグメント11aの大きさによっては、各研削砥石セグメント11aに1本のクーラント流出溝を形成するだけで、十分なクーラント排出効果が得られる場合もある。
湿式研削装置の構成例を示す概略説明図である。 上下一対の定盤(上側定盤1および下側定盤)、夫々に取り付けられる研削砥石、並びに被加工物の関係を示す断面説明図である。 定盤上の研削砥石セグメントの配置を説明する平面図である。 上定盤の上から見た平面模式図である。 図4Aで示した上定盤の別の例である。 本発明で用いる研削砥石セグメントの構成例を示す平面図である。 本発明で用いる研削砥石セグメントの他の構成例を示す平面図である。 本発明で用いる研削砥石セグメントの更に他の構成例を示す平面図である。 クーラント流出溝を形成したときのクーラント流れの状況を説明するための図である。
符号の説明
1 上側定盤
2 下側定盤
3 定盤回転軸
4 被加工物
5 キャリア
・ ギヤ
10 上側研削砥石
10a 研削砥石セグメント
11 下側研削砥石
11a 研削砥石セグメント
15 孔
17a〜17e クーラント供給孔
18,18a,18b クーラント流出溝
20 クーラント

Claims (12)

  1. 以下のものを有する湿式研削装置:
    第1面を有し、第1方向に回転軸まわりに回転可能な、第1定盤、該第1定盤は該第1面に連通し、クーラントを供給可能な少なくとも1つの第1孔を有する;
    該第1面に対向する第2面を有し、該第1方向と反対向きの第2方向に該回転軸まわりに回転可能な、第2定盤;
    各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第1面に取り付けられる、第1研削砥石セグメント;そして
    各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第2面に取り付けられる、第2研削砥石セグメント;を有し、
    各該2砥石セグメントには、該第1孔に対向する位置を含む該回転軸を中心とした円に沿って、該第2方向両端縁間に延設される、少なくとも1つの溝が形成される。
  2. 請求項1記載の湿式研削装置において、該溝は該回転軸を中心とする円弧状を有する。
  3. 請求項1記載の湿式研削装置において、該溝は該回転軸を中心とする円弧と接する接線状を有する。
  4. 請求項3記載の湿式研削装置において、該溝は該回転軸を中心とする円弧と接する複数の接線状の溝からなる。
  5. 請求項1記載の湿式研削装置において、該第1砥石セグメントは、該第1孔と連通する少なくとも1つの第2孔を有する。
  6. 請求項1記載の湿式研削装置において、該第1孔は、隣接する該第1砥石セグメントの間の隙間に連通する。
  7. 請求項1記載の湿式研削装置において、該第1孔から被加工物に供給された該クーラントが該溝を介して流出される。
  8. 請求項1記載の湿式研削装置において、該第1定盤は該第2定盤の上側に位置し、該第1研削砥石セグメントと該第2研削砥石セグメントの間に被加工物は配置され、該クーラントは該被加工物に対して供給される。
  9. 請求項1記載の湿式研削装置において、該溝の幅は3〜15mmである。
  10. 請求項1記載の湿式研削装置において、隣接する該第2砥石セグメントの間隔は1〜10mmである。
  11. 請求項1記載の湿式研削装置において、該溝の幅中心と該第1孔の中心との距離は15mm以下である。
  12. 第1面を有し、第1方向に回転軸まわりに回転可能な、第1定盤、該第1定盤は該第1面に連通し、クーラントを供給可能な少なくとも1つの第1孔を有する;該第1面に対向する第2面を有し、該第1方向と反対向きの第2方向に該回転軸まわりに回転可能な、第2定盤;そして、各々が略扇状を有し、円盤状に配置され、そして該第1面に取り付けられる、第1研削砥石セグメント;を有する湿式研削装置に設けられる、研削砥石セグメントであって:
    該第2面に取り付けられ、
    略扇状を有し、円盤状の研削砥石の一部であり、そして
    該第1孔に対向する位置を含む該回転軸を中心とした円に沿って、該第2方向両端縁間に延設される、少なくとも1つの溝が形成される。
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