JP2009232767A - メチル化dnaの解析方法及びプライマーセット - Google Patents

メチル化dnaの解析方法及びプライマーセット Download PDF

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Abstract

【課題】簡便に、かつ正確に非メチル化DNAを検出することができるメチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法を提供すること。
【解決手段】DNA含有試料に含まれるDNAを断片化したDNA断片を含有する試料に、該DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する非メチル化DNAの指標となる対照DNAを添加して、得られた混合物に含まれるメチル化DNAの濃縮物と、対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いて核酸増幅反応を行ない、得られた産物中の増幅産物を検出する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、メチル化DNAの解析方法及びプライマーセットに関する。より詳しくは、メチル化DNAの解析方法、プライマーセット、DNA含有試料中に含まれる非メチル化DNAを検出するための指標用の対照DNA、メチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法、メチル化DNAの濃縮率の算出方法及びメチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法に関する。
DNAのCpG部位のメチル化は、遺伝子発現に大きな影響を与えている。例えば、DNAのメチル化の異常は、疾患の発症、例えば、細胞のがん化に関連する遺伝子の発現等に関与していることが知られている。そのため、がん等の疾患の診断方法や治療方法の開発のために、種々の遺伝子におけるDNAのメチル化が、網羅的に解析されている。
DNAのメチル化の解析では、例えば、抗メチル化シトシン抗体、抗メチル化シチジン抗体又はメチル化結合タンパク質を用いるメチル化DNA免疫沈降法等によりメチル化DNAの濃縮が行なわれ、その後、得られた濃縮物に含まれるDNAのプロファイリングが行われている。かかるDNAのメチル化の解析では、メチル化DNAの濃縮物に非メチル化DNAが含まれていた場合、解析の効率の低下を招くことがある。例えば、メチル化DNA免疫沈降法では、抗メチル化シトシン抗体、抗メチル化シチジン抗体、メチル化結合タンパク質又はビーズに対して、非メチル化DNAが非特異的に結合又は吸着する場合があるため、かかるDNAのメチル化の解析では、メチル化DNAの濃縮物中における非メチル化DNAの有無や含有量の確認が行なわれている。
メチル化DNAの濃縮物中における非メチル化DNAの検出は、メチル化されていないとされていたハウスキーピング遺伝子のプロモーター領域を指標として行なわれている(非特許文献1及び2を参照のこと)。非特許文献1に記載の方法では、グリセルアルデヒド 3−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下、「GAPDH」という)遺伝子のプロモーター領域が非メチル化DNAの指標として用いられている。かかる非特許文献1に記載の方法では、検出されたGAPDH遺伝子のプロモーター領域で標準化することにより、メチル化DNA免疫沈降法で得られたメチル化DNAの濃縮物の濃縮量が決定されている。また、非特許文献2に記載の方法では、非メチル化DNAとして、GAPDH遺伝子のプロモーター領域及びβ−アクチン遺伝子のプロモーター領域が用いられている。かかる非特許文献2に記載の方法では、メチル化DNA免疫沈降法で得られたメチル化DNAの濃縮物中にGAPDH遺伝子のプロモーター領域及びβ−アクチン遺伝子のプロモーター領域が検出されないことを指標として、メチル化DNAの濃縮率を評価している。
しかしながら、実際には、GAPDH遺伝子のプロモーター領域及びβ−アクチン遺伝子のプロモーター領域それぞれのCpG部位のシトシンがメチル化されていることがある。そのため、GAPDH遺伝子、β−アクチン遺伝子等のハウスキーピング遺伝子のプロモーター領域を指標として用いた場合、濃縮物中における非メチル化DNAを正確に検出できず、十分に評価できないことがある。
イラナ ケシェット(Ilana Keshet)、他10名、「癌細胞におけるデ・ノボ メチル化の有益な機構の証拠(Evidence for an instructive mechanism of de novo methylation incancer cells)」、ネーチャージェネティクス(NATURE GENETICS)、第38巻、第2号、20006年1月24日発行、p.149−153 ハヤシ ヒロシ、他7名、「オリゴヌクレオチドタイリングアレイを用いるヒトゲノムにおけるDNAメチル化の高分解能マッピング(High-resolution mapping of DNA methylation in human genome usingoligonucleotide tiling array)」、ヒューマン ジェネティックス(HumanGenetics)、第120巻、2006年9月26日発行、p.701−711
本発明は、メチル化DNAを、簡便に、かつ効率よく解析することができるメチル化DNAの解析方法を提供することを1つの課題とする。また、本発明は、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの有無や量を、簡便に、かつ正確に検出することができるプライマーセット及び指標用の対照DNAを提供することを他の課題とする。さらに、本発明は、メチル化DNAの解析結果の信頼性を、簡便に判定することができるメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法を提供することを他の課題とする。また、本発明は、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAを、簡便に、かつ正確に検出することができるメチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法を提供することを他の課題とする。さらに、本発明は、種々のメチル化DNA濃縮手段によるメチル化DNAの濃縮率を簡便に算出することができるメチル化DNAの濃縮率の算出方法を提供することを他の課題とする。本発明は、種々のメチル化DNA濃縮手段によるメチル化DNA濃縮物の純度を簡便に評価することができる、メチル化DNA濃縮物の純度の評価方法を提供することを他の課題とする。
すなわち、本発明は、
(1) (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(D) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、
(E) 前記工程(D)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
(F) 前記工程(E)における増幅産物の検出結果に基づいて、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物が、メチル化DNA解析用試料として適切であるか否かを判定する工程、及び
(G) 前記工程(F)において、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物がメチル化DNA解析用試料として適切であると判定された場合に、メチル化DNA濃縮物に含まれるメチル化DNAを解析する工程、
を含む、メチル化DNAの解析方法、
(2) 前記工程(A)におけるDNAの断片化が、超音波処理又は制限酵素処理により行なわれる前記(1)に記載の解析方法、
(3) 対照DNAが、プラスミド又は合成されたオリゴヌクレオチドである前記(1)又は(2)に記載の解析方法、
(4) 前記工程(C)において、抗メチル化シトシン抗体、抗メチル化シチジン抗体又はメチル化DNA結合タンパク質を用いて、メチル化DNAを濃縮する前記(1)〜(3)いずれかに記載の解析方法、
(5) プライマーセットが、前記DNA含有試料に含まれるDNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖にハイブリダイズするプライマーと該DNA鎖の相補鎖にハイブリダイズするプライマーとからなるプライマーセットである前記(1)〜(4)いずれかに記載の解析方法、
(6) DNA含有試料が、癌細胞から調製されたDNAを含有する試料である前記(1)〜(5)いずれかに記載の解析方法、
(7) メチル化DNAの解析が、DNAチップにより行なわれる前記(1)〜(6)いずれかに記載の解析方法、
(8) 被検対象のDNA含有試料に含まれるDNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖とその相補鎖とからなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAの該DNA鎖にハイブリダイズするプライマーと、
該DNA鎖の相補鎖にハイブリダイズするプライマーと
からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを増幅するためのプライマーセット、
(9) DNAが、癌細胞から調製されたDNAである前記(8)に記載のプライマーセット、
(10) 対照DNAが、配列番号:1に示される塩基配列からなるDNA鎖と、該DNA鎖の相補鎖とからなるDNAである前記(8)又は(9)に記載のプライマーセット、
(11) 配列番号:2に示される塩基配列からなるプライマーと配列番号:3に示される塩基配列からなるプライマーとからなる前記(10)に記載のプライマーセット、
(12) 配列番号:1に示される塩基配列からなる、DNA含有試料中に含まれる非メチル化DNAを検出するための指標用の対照DNA、
(13) (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(D) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、及び
(E) 前記工程(D)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
を含む、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法、
(14) (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(H) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物中に含まれるメチル化DNAを解析する工程、
(I) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、及び
(J) 前記工程(I)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
(K) 前記工程(J)における増幅産物の検出結果に基づいて、前記工程(H)におけるメチル化DNAの解析結果の信頼性を判定する工程、
を含む、メチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法、
(15) (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(L) 下記(i)〜(iv)の核酸増幅反応:
(i) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
(ii) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物と、前記工程(A)で得られるDNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
(iii) 前記工程(B)で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
(iv) 前記工程(B)で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、前記工程(A)で得られるDNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
を行なう工程、
(M) 前記工程(L)で得られた産物中の増幅産物の量を測定する工程、及び
(N) 前記工程(M)で測定された増幅産物の量に基づいて、前記工程(C)におけるメチル化DNAの濃縮率を算出する工程、
を含む、メチル化DNAの濃縮率の算出方法、並びに
(16)(a)DNA含有試料に含まれるDNAを断片化して得られるDNA断片を含む試料と、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAとの混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮したメチル化DNA濃縮物と、
前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、
を用いた核酸増幅反応を行なうことにより得られる増幅産物の量、及び
(b)前記メチル化DNA濃縮物と、
前記DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットと、
を用いた核酸増幅反応を行なうことにより得られる増幅産物の量、
に基づいて、メチル化DNA濃縮物中におけるメチル化DNAと非メチル化DNAとの割合を算出して、メチル化DNA濃縮物の純度を評価することを特徴とするメチル化DNA濃縮物の純度の評価方法、
に関する。
本発明のメチル化DNAの解析方法は、メチル化DNAを、簡便に、かつ効率よく解析することができるという優れた効果を奏する。また、本発明のプライマーセット及び指標用の対照DNAは、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの有無や量を、簡便に、かつ正確に検出することができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法は、メチル化DNAの解析結果の信頼性を、簡便に判定することができるという優れた効果を奏する。また、本発明のメチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法は、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAを、簡便に、かつ正確に検出することができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明のメチル化DNAの濃縮率の算出方法は、種々のメチル化DNA濃縮手段によるメチル化DNAの濃縮率を簡便に算出することができるという優れた効果を奏する。本発明のメチル化DNA濃縮物の純度の評価方法は、種々のメチル化DNA濃縮手段によるメチル化DNA濃縮物の純度を簡便に評価することができるという優れた効果を奏する。
本発明は、DNA含有試料に含まれるDNAを断片化することにより得られたDNA断片を含む試料中のメチル化DNAの濃縮に際して、メチル化DNAの濃縮前の試料に、DNA含有試料に含まれるDNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを添加し、かかる対照DNAを非メチル化DNAの指標として用いることにより、非メチル化DNAを、簡便に、かつ正確に検出することができるという本発明者らによる知見に基づく。
これにより、メチル化DNAの濃縮の前後における非メチル化DNAの量の変動を、簡便、かつ正確に調べることができ、メチル化DNA濃縮物におけるメチル化DNAの濃縮率やメチル化DNAの解析用試料としての適性をも評価することができる。
したがって、まず、本発明のメチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法、プライマーセット及び指標用の対照DNAを説明する。
1. メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法、プライマーセット及び指標用の対照DNA
本発明のメチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法は、
(A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(D) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、及び
(E) 前記工程(D)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
を含む方法である。
本発明の検出方法では、メチル化DNAの濃縮前の試料に、DNA含有試料に含まれるDNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAが添加されているため、かかる対照DNAを非メチル化DNAの指標として、メチル化DNAの濃縮の前後における非メチル化DNAの量の変動をモニタリングすることができる。また、本発明の検出方法では、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットを用いた核酸増幅反応が行なわれるため、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの存在の指標となる前記対照DNAが存在している場合には、当該対照DNAを簡便に増幅させることができ、当該核酸増幅反応により得られる増幅産物を指標として非メチル化DNAを、簡便にかつ、正確に検出することができる。前記対照DNAは、例えば、従来、非メチル化DNAの指標として用いられていたGADPH遺伝子のプロモーター領域、β−アクチン遺伝子のプロモーター領域のように、ヒト等の生体内のゲノムDNAにおけるDNAのメチル化異常の影響を実質的に受けることがないため、本発明の検出方法では、メチル化DNA濃縮物中における非メチル化DNAを正確に検出することができる。
本明細書において、メチル化DNAとは、DNA中におけるCpG部位のシトシンがメチル化されて、5−メチルシトシンとなっているDNAをいう。また、本明細書において、非メチル化DNAとは、DNA中におけるCpG部位のシトシンがメチル化されていないDNAをいう。CpG部位は、ゲノム中に存在するシトシンとグアニンとからなるCGジヌクレオチドの部位であり、メチル化の対象となる部位である。かかるCpG部位は、遺伝子発現の調節、がん、インプリンティング等に関与する。
本発明の検出方法では、まず、DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る。
DNA含有試料は、種々の動物種、組織、細胞等から得られるDNAを含有する試料であればよい。DNA含有試料として、例えば、血液、体液、及びヒトの組織の細胞から調製されたDNAを含有する試料などが挙げられる。前記DNA含有試料としては、癌細胞から調製されたDNAを含有する試料を用いてもよい。
DNAは、例えば、ヒトの組織の細胞を溶解させ、得られた溶解物から、フェノール等を用いてタンパク質を除去する方法等により得ることができる。DNAは、市販のDNA抽出キット等により抽出してもよい。DNAは、水や適切な緩衝液に溶解させてもよい。
DNAの断片化は、超音波処理、制限酵素処理等により行なわれる。
超音波処理は、DNA含有試料に超音波を照射することにより行なわれる。超音波処理の条件は、DNAを、核酸増幅における鋳型として用いるに適した大きさとなるように断片化させる観点から、得られるDNA断片の大きさが好ましくは300bp〜1000bpとなる条件であることが望ましい。
制限酵素処理は、DNA含有試料中のDNAを制限酵素により消化することにより行なわれる。用いられる制限酵素は、DNAを、核酸増幅における鋳型として用いるに適した大きさとなるように断片化させる観点から、好ましくは4〜6塩基認識の制限酵素が望ましい。制限酵素は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。制限酵素によるDNAの処理は、用いられる制限酵素に応じた反応条件下で行なわれる。
つぎに、得られた試料に、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを添加して、混合物を得る。
非メチル化DNAの指標となる対照DNAは、DNA含有試料中のDNAに存在しない塩基配列を有する。非メチル化DNAの指標となる対照DNAは、一本鎖DNAであってもよく、二本鎖DNAであってもよい。
DNA含有試料中のDNAに存在しない塩基配列は、用いられるDNA含有試料の供給源となる生体のゲノムDNAの塩基配列のデータベースを、例えば、NCBIのBLASTアルゴリズムによるデフォルト値でのアライメント下にホモロジーサーチすることにより、ホモロジーが実質的にない塩基配列として選択することができる。塩基配列中におけるシトシンが非メチル化シトシンであるDNA鎖は、CpG部位を含まない塩基配列のDNA鎖を選択することにより得ることができる。
非メチル化DNAの指標となる対照DNAは、DNA含有試料中のDNAに存在しない塩基配列からなるのであれば、プラスミド、合成オリゴヌクレオチド等のいずれであってもよい。
非メチル化DNAの指標となる対照DNAとしては、具体的には、例えば、配列番号:1に示される塩基配列からなる一本鎖DNA、配列番号:1に示される塩基配列からなるDNA鎖と該DNA鎖の相補鎖とからなるDNA等が挙げられる。かかる配列番号:1に示される塩基配列は、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ等の哺乳動物、シロイヌナズナ等の植物、線虫等には存在しない塩基配列である。したがって、かかる配列番号:1に示される塩基配列からなる一本鎖DNA及び配列番号:1に示される塩基配列からなるDNA鎖と該DNA鎖の相補鎖とからなるDNAは、本発明において、DNA含有試料として、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ等の哺乳動物、シロイヌナズナ等の植物、線虫等のゲノムDNAを含有する試料を用いる場合に有用である。
なお、「相補鎖」とは、二本鎖DNAにおける一方のDNA鎖と対をなすDNA鎖をいう。
得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る。
メチル化DNAの濃縮は、抗メチル化シトシン抗体、抗メチル化シチジン抗体又はメチル化DNA結合タンパク質を用いることにより行なわれる。メチル化DNAの濃縮方法としては、例えば、抗メチル化シトシン抗体や抗メチル化シチジン抗体を用いて、メチル化DNAを免疫沈降させ、メチル化DNAを回収する方法(MeDIP法)、メチル化DNA結合タンパク質と、メチル化DNA結合タンパク質に対する抗体とを用いて、メチル化DNAを免疫沈降させ、メチル化DNAを回収する方法、メチル化DNAをヒスチジンタグ融合メチル化DNA結合タンパク質に結合させ、メチル化DNAが結合したヒスチジンタグ融合メチル化DNA結合タンパク質をニッケル固定化担体で回収し、メチル化DNAを回収する方法等が挙げられる。
抗メチル化シチジン抗体及び抗メチル化シトシン抗体は、DNA内のメチル化シチジンやメチル化シトシン(5−メチルシトシン)に特異的に結合する抗体であればよく、例えば、メチル化シチジン又は分子内に当該メチル化シトシンを含むDNAを抗原として用いて慣用の手法により動物を免疫させることにより作製することができる。
その後、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう。
プライマーセットは、被検対象のDNA含有試料に含まれるDNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖とその相補鎖とからなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAの該DNA鎖にハイブリダイズするプライマーと、該DNA鎖の相補鎖にハイブリダイズするプライマーとからなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを増幅するためのプライマーセットが好ましい。
DNAとしては、特に限定されないが、例えば、疾患患者の細胞から調製されたDNA等が挙げられる。DNAとしては、具体的には、癌細胞から調製されたDNA等が挙げられる。
本発明には、前記プライマーセットも包含される。本発明のプライマーセットによれば、核酸増幅反応により、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの指標となる対照DNAを容易に増幅させることができる。そのため、本発明のプライマーセットによれば、得られる増幅産物を非メチル化DNAの指標として用いて、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAを、正確に検出することが可能になる。また、本発明のプライマーセットによれば、核酸増幅反応を行なうだけで、非メチル化DNAの指標となる増幅産物を得ることができるため、得られる増幅産物を非メチル化DNAの指標として用いて、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAを、簡便に検出することができる。さらに、本発明のプライマーセットを、メチル化DNAの解析に適用することにより、メチル化DNAを、簡便に、高い効率で解析することができる。また、本発明の検出方法及びプライマーセットによれば、例えば、メチル化DNA免疫沈降法によるDNAの濃縮、メチル化DNA結合タンパク質を用いるDNAの濃縮等において、抗メチル化シトシン抗体、抗メチル化シチジン抗体又はメチル化DNA結合タンパク質に非特異的に結合した非メチル化DNAの量を算出することが可能となる。これにより、メチル化DNAの濃縮率を評価することもできるため、メチル化DNAの濃縮の操作における条件の最適化が容易になる。
プライマーセットのフォワードプライマーとリバースプライマーのTm値の差は、好ましくは2℃以内が望ましい。また、プライマーセットの各プライマーの塩基配列中におけるグアニン及びシトシンの割合は、好ましくは40〜60%が望ましい。プライマーセットの1つのプライマーの塩基配列中において、グアニンは4以上連続していないことが望ましい。プライマーセットの各プライマーの長さは、17〜25ヌクレオチド長が望ましい。さらに、プライマーセットの各プライマーは、PCRの際のアニーリング温度を、好ましくはTmに近い温度に設定することが望ましい。かかるプライマーセットによれば、核酸増幅反応を効率よく行なうことができるとともに、非メチル化DNAの指標となる前記対照DNAを容易に増幅することができる。
プライマーセットの具体例としては、配列番号:2に示される塩基配列からなるプライマー(QC-CGF-1 Fプライマー、5’-TTCGCGGGATTTTTTAGAAGAGC-3’)と配列番号:3に示される塩基配列からなるプライマー(QC-CGF-1 Rvプライマー、5’-CACTAATAACGAAAACTACGACGACG-3’)とからなるプライマーセット等が挙げられる。かかるプライマーセットによれば、非メチル化DNAの指標となる配列番号:1に示される塩基配列からなるDNA鎖を有する対照DNAを効率よく増幅することができる。また、配列番号:2に示される塩基配列及び配列番号:3に示される塩基配列は、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ等の哺乳動物、シロイヌナズナ等の植物、線虫等には存在しない塩基配列である。したがって、かかるプライマーセットは、本発明において、DNA含有試料として、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ等の哺乳動物、シロイヌナズナ等の植物、線虫等のゲノムDNAを含有する試料を用いる場合に有用である。
プライマーセットは、核酸増幅反応を行なう核酸増幅法の種類に応じて、公知の方法、市販のプライマー設計用ソフトウエア等を用いることにより設計することができる。前記プライマー設計用ソフトウエアとしては、例えば、ソフトウエア開発株式会社製の商品名:GENETYX、ソフトウエア開発株式会社製の商品名:primer3等が挙げられる。
核酸増幅反応を行なう核酸増幅方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応法、、鎖置換反応法、リガーゼ連鎖反応法、転写増幅法等が挙げられる。なかでも、増幅産物の定量が迅速かつ簡便にできる観点から、ポリメラーゼ連鎖反応法のひとつであるリアルタイムPCRが望ましい。リアルタイムPCRでは、増幅産物のDNAをリアルタイムでモニタリングし、指数関数的増幅領域で、該DNAの定量を行なうため、ポリメラーゼ連鎖反応における増幅速度論に基づき、正確に、該DNAを定量することができる。リアルタイムPCRとしては、蛍光を発するインターカレーターを用いるインターカレーター法、及び増幅産物の配列に特異的な蛍光色素標識オリゴヌクレオチドからなるプローブ(例えば、TaqManプローブ、サイクリングプローブ等)を用いるプローブ法がある。これらのなかでは、増幅産物の検出及び定量を簡便に行なうことができる観点から、好ましくはインターカレーター法である。インターカレーター法では、インターカレーターは、ポリメラーゼ連鎖反応により合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発する物質である。インターカレーター法では、二本鎖DNAとして得られる増幅産物に結合しているインターカレーターの蛍光に基づく蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量をモニターすることができる。インターカレーターとしては、例えば、モレキュラープローブインコーポレーティッド製SYBR(登録商標) green等が挙げられる。
増幅産物の検出は、公知の方法によって確認することができる。例えば、慣用のアガロースゲル電気泳動、標識プローブを増幅産物にハイブリダイズさせて検出する方法、核酸増幅で生じる副生成物の濁りを検出する方法等により行なわれる。本発明の検出方法では、増幅産物が検出されることが、メチル化DNA濃縮物中に非メチル化DNAが存在することの指標となる。
2. メチル化DNAの解析方法
本発明の検出方法のように、メチル化DNAの濃縮前の試料に、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを添加した混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して得られたメチル化DNA濃縮物と前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いて核酸増幅反応を行なうことにより、増幅産物を指標として、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの有無や量を調べることができるため、メチル化DNAの解析における非特異的なバックグラウンドを予め検証することができる。また、本発明の検出方法及びプライマーセットによれば、前述のように、メチル化DNAの濃縮工程の信頼性を判定することができ、精度管理をすることができる。そのため、本発明の検出方法及びプライマーセットは、高い効率でのメチル化DNAの解析を可能にする。
本発明は、他の側面では、
(A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(D) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、
(E) 前記工程(D)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
(F) 前記工程(E)における増幅産物の検出結果に基づいて、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物が、メチル化DNA解析用試料として適切であるか否かを判定する工程、及び
(G) 前記工程(F)において、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物がメチル化DNA解析用試料として適切であると判定された場合に、メチル化DNA濃縮物に含まれるメチル化DNAを解析する工程、
を含む、メチル化DNAの解析方法に関する。
本発明の解析方法では、メチル化DNA濃縮物と前記プライマーセットとを用いた核酸増幅反応を行なうことにより、種々のメチル化DNA濃縮手段によるメチル化DNAの濃縮を確認することができ、メチル化DNAの解析に適した量のメチル化DNAの濃縮試料を予め得ることができるため、高い効率でのメチル化DNAの解析が可能になる。
また、本発明の解析方法では、プライマーセットによる増幅産物自体が生体内においてメチル化されないDNAに基づくものであるため、前記工程(A)〜(E)を行なうことにより増幅産物としての非メチル化DNAの検出を行なうごとに、メチル化状態を確認することを行なわなくてもよく、簡単な操作で、低コストでメチル化DNAを解析することができる。
図1に本発明の解析方法の一実施態様を示すフローチャートを示す。
本発明の解析方法では、図1のフローチャートのステップS1−1において、DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る。かかるステップS1−1における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(A)の操作と同様である。
つぎに、図1のフローチャートのステップS1−2において、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、得られたDNA断片を含有する試料に添加して、混合物を得る。かかるステップS1−2における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(B)の操作と同様である。
その後、図1のフローチャートのステップS1−3において、得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る。かかるステップS1−3における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(C)の操作と同様である。
つぎに、図1のフローチャートのステップS1−4において、対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、メチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう。かかるステップS1−4における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(D)の操作と同様である。
つぎに、図1のフローチャートのステップS1−5において、得られた産物中の増幅産物を検出する。かかるステップS1−5における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(E)の操作と同様である。
その後、本発明の解析方法では、図1のフローチャートのステップS1−6において、増幅産物の検出結果に基づいて、得られたメチル化DNA濃縮物が、メチル化DNA検出用試料として適切であるか否かを判定する。
ここで、前記メチル化DNA濃縮物を用いた核酸増幅反応による増幅産物の量が、メチル化DNAの濃縮を行なう前の試料を用いた核酸増幅反応による増幅産物の量と同じであるか少ない場合、メチル化DNA濃縮物が、メチル化DNA検出用試料として適切である(「YES」)と判断することができる。
一方、前記メチル化DNA濃縮物を用いた核酸増幅反応による増幅産物の量が、メチル化DNAの濃縮を行なう前の試料を用いた核酸増幅反応による増幅産物の量よりも多い場合、メチル化DNA濃縮物が、メチル化DNA検出用試料として適切ではないと判断することができる。この場合、本発明の解析方法は、図1のフローチャートのステップS1−1に戻り、DNAの断片化から、再度実行される。
図1のフローチャートのステップS1−6において、メチル化DNA濃縮物が、メチル化DNA検出用試料として適切である(「YES」)と判断された場合、図1のフローチャートのステップS1−7において、メチル化DNA濃縮物に含まれるメチル化DNAの解析が行われる。その後、本発明の解析方法は、終了する。
メチル化DNAの解析は、例えば、疾患関連遺伝子のDNA、転写因子のDNA、発現制御因子のDNA等を固定化したDNAチップ、マイクロアレイ等により行なわれる。これにより、例えば、正常細胞のDNAと異常細胞のDNAとを用いて、CpG部位のメチル化に起因して生体内での動態が変化する遺伝子等を解析することもできる。このように、本発明の解析方法は、CpG部位のメチル化に起因して、生体内での動態が変化する遺伝子等を解析することができるため、疾患の発症、疾患状態の進行、悪性度の指標となる因子、薬物の標的となる因子、予後予測因子等の解析にも有用である。
3. メチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法
本発明の検出方法のように、メチル化DNAの濃縮前の試料に、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを添加した混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して得られたメチル化DNA濃縮物と前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いて核酸増幅反応を行なうことにより、増幅産物の有無や量を指標として、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの有無や量を調べることができるため、メチル化DNAの解析結果の信頼性を簡便に判定することができる。したがって、本発明には、メチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法も包含される。
本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法は、
(A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(H) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物中に含まれるメチル化DNAを解析する工程、
(I) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、及び
(J) 前記工程(I)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
(K) 前記工程(J)における増幅産物の検出結果に基づいて、前記工程(H)におけるメチル化DNAの解析結果の信頼性を判定する工程、
を含む方法である。
図2は、本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法の一実施態様を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、ステップS2−1〜ステップS2−3は、図1のフローチャートのステップS1−1〜ステップS1−3と同様である。
本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法では、図2のフローチャートのステップS2−3において得られたメチル化DNA濃縮物の一部が、図2のフローチャートのステップS2−4に用いられ、図2のフローチャートのステップS2−3において得られたメチル化DNA濃縮物の残りの一部が、図2のフローチャートのステップS2−5に用いられる。
本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法では、図2のフローチャートのステップS2−5において、メチル化DNA濃縮物に含まれるメチル化DNAの解析が行われる。メチル化DNAの解析は、本発明の解析方法におけるメチル化DNAの解析と同様の手法により行なわれる。
図2のフローチャートのステップS2−4において、対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、メチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう。かかるステップS2−4における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(D)の操作と同様である。
図2のフローチャートのステップS2−6において、得られた産物中の増幅産物を検出する。かかるステップS2−6における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(E)の操作と同様である。
その後、図2のフローチャートのステップS2−7において、ステップS2−6の増幅産物の検出の結果に基づき、ステップS2−5のメチル化DNAの解析の結果が信頼できるものであるかが評価される。その後、本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法が終了する。
本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法では、メチル化DNAの解析とともに、対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、メチル化DNA濃縮物とを用いた核酸増幅反応による増幅産物の検出の後、増幅産物の検出結果に基づいて、メチル化DNAの解析結果の信頼性を判定する。本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法では、前記メチル化DNA濃縮物を用いた核酸増幅反応による増幅産物が存在しないこと、又は前記メチル化DNA濃縮物を用いた核酸増幅反応による増幅産物の量が、メチル化DNAの濃縮を行なう前の試料を用いた核酸増幅反応による増幅産物の量に比べ、より少ないことが、メチル化DNAの解析結果が、より信頼できるものであることの指標となる。
4. メチル化DNAの濃縮率の算出方法
前記非メチル化DNAの指標となる対照DNAを増幅することができるプライマーセットと、メチル化DNAの濃縮前後の試料とを用いて核酸増幅反応を行なうことにより得られた増幅産物の量それぞれと、メチル化DNAを増幅するためのプライマーセットと、メチル化DNAの濃縮前後の試料とを用いて核酸増幅反応で得られた増幅産物の量とを比べることにより、メチル化DNAの濃縮率を算出することができる。本発明には、メチル化DNAの濃縮率の算出方法も包含される。
本発明のメチル化DNAの濃縮率の算出方法は、
(A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
(B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
(C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
(L) 下記(i)〜(iv)の核酸増幅反応:
(i) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
(ii) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物と、前記工程(A)で得られるDNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
(iii) 前記工程(B)で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
(iv) 前記工程(B)で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、前記工程(A)で得られるDNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
を行なう工程、
(M) 前記工程(L)で得られた産物中の増幅産物の量を測定する工程、及び
(N) 前記工程(M)で測定された増幅産物の量に基づいて、前記工程(C)におけるメチル化DNAの濃縮率を算出する工程、
を含む方法である。
図3に本発明のメチル化DNAの濃縮率の算出方法の一実施態様を示すフローチャートを示す。
本発明のメチル化DNAの濃縮率の算出方法では、図3のフローチャートのステップS3−1において、DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る。かかるステップS3−1における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(A)の操作と同様である。
つぎに、図3のフローチャートのステップS3−2において、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、得られたDNA断片を含有する試料に添加して、混合物を得る。かかるステップS3−2における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(B)の操作と同様である。
本発明のメチル化DNAの濃縮率の算出方法では、図3のフローチャートのステップS3−2で得られた混合物の一部が、図3のフローチャートのステップS3−3で用いられ、図2のフローチャートのステップS3−2で得られた混合物の一部が、図2のフローチャートのステップS3−6及びステップS3−7で用いられる。
図3のフローチャートのステップS3−3において、得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る。かかるステップS3−3における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(C)の操作と同様である。
本発明のメチル化DNAの濃縮率の算出方法では、図3のフローチャートのステップS3−3で得られたメチル化濃縮物の一部が、図3のフローチャートのステップS3−4に用いられ、図2のフローチャートのステップS3−3で得られたメチル化濃縮物の残りの一部が、図3のフローチャートのステップS3−5に用いられる。
図3のフローチャートのステップS3−4において、メチル化DNA濃縮物と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応〔核酸増幅反応(i)〕が行なわれる。かかるステップS3−3における操作は、本発明のメチル化DNAの濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法における工程(D)の操作と同様である。
また、図3のフローチャートのステップS3−5において、メチル化DNA濃縮物と、DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応〔核酸増幅反応(ii)〕が行なわれる。
さらに、図3のフローチャートのステップS3−6において、ステップ3−2〔工程(B)〕で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応〔核酸増幅反応(iii)〕が行なわれる。
ステップ3−2〔工程(B)〕で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料は、例えば、メチル化DNA免疫沈降によりメチル化DNAを濃縮する場合には、ステップ3−2〔工程(B)〕で得られた混合物と、メチル化DNAに特異的に結合しない抗体である抗IgG抗体とを用いた免疫沈降を行なうことにより得られる試料であってもよく、ステップ3−2〔工程(B)〕で得られた混合物であってもよい。
また、図3のフローチャートのステップS3−6において、ステップ3−2〔工程(B)〕で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応〔核酸増幅反応(iv)〕が行なわれる。
なお、核酸増幅反応は、増幅産物の量を定量的に簡便、かつ迅速に測定できる観点から、好ましくは、リアルタイムPCRやリアルタイムLAMP等の定量的PCR及び定量的LAMPである。
核酸増幅反応は、核酸増幅反応を行なう方法と用いられるプライマーセットとに応じた条件で行なわれる。
対照DNAを増幅するためのプライマーセットとして、本発明のプライマーセットが用いられる。
また、DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとしては、例えば、DNA含有試料の供給源となる組織の細胞において、シトシンがメチル化されていることが知られているDNAを増幅することができるプライマーセットであればよい。具体的には、DNA断片のうち、メチル化DNAの一方のDNA鎖にハイブリダイズするプライマーと、該DNA鎖の相補鎖にハイブリダイズするプライマーとからなり、該メチル化DNAを増幅するためのプライマーセット等が挙げられる。かかるプライマーセットとしては、例えば、MCF7細胞のゲノムDNAにおいて、プロモーター領域がメチル化されているグルタチオン S−トランスフェラーゼpi遺伝子(GSTP1)のプロモーター領域の塩基配列を標的配列とするGSTP1-Fプライマー(5'-GAGGCCTTCGCTGGAGTT-3'、配列番号:4)とGSTP1-Rプライマー(5'-GTACTCACTGGTGGCGAAGA-3'、配列番号:5)とからなるGSTP1プライマーセット等が挙げられる。
つぎに、図3のフローチャートに示されるステップS3−8において、ステップS3−4〜ステップS3−7それぞれで得られた各産物中の増幅産物の量を測定する。
増幅産物の量の測定は、慣用の手法により行なわれる。具体的には、例えば、核酸増幅反応をリアルタイムPCR等の定量的PCRにより行なう場合、増幅産物の量は、ポリメラーゼ連鎖反応により合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発する物質、増幅産物の配列に特異的な蛍光色素標識オリゴヌクレオチドからなるプローブ等に基づく蛍光強度をリアルタイムにモニタリングし、指数関数的増幅領域で、増幅産物の定量を行なうことにより、ポリメラーゼ連鎖反応における増幅速度論に基づき測定することができる。
その後、図3のフローチャートに示されるステップS3−8において、ステップS3−8で測定された増幅産物の量に基づき、メチル化DNAの濃縮率を算出する。ステップS3−4における核酸増幅反応(i)により得られた増幅産物の量は、メチル化DNAの濃縮前の試料に含まれる非メチル化DNAの割合の指標となる。ステップS3−5における核酸増幅反応(ii)により得られた増幅産物の量は、メチル化DNAの濃縮前の試料に含まれるメチル化DNAの割合の指標となる。ステップS3−6における核酸増幅反応(iii)により得られた増幅産物の量は、メチル化DNA濃縮物に含まれる非メチル化DNAの割合の指標となる。ステップS3−7における核酸増幅反応(iv)により得られた増幅産物の量は、メチル化DNA濃縮物に含まれるメチル化DNAの割合の指標となる。
メチル化DNAの濃縮率は、下記式(1):
メチル化DNAの濃縮率=〔核酸増幅反応(iv)により得られた増幅産物の量/核酸増幅反応(iii)により得られた増幅産物の量〕/〔核酸増幅反応(ii)により得られた増幅産物の量/核酸増幅反応(i)により得られた増幅産物の量〕 (1)
により算出することができる。
5. メチル化DNA濃縮物の純度の評価方法
本発明の検出方法のように、メチル化DNAの濃縮前の試料に、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを添加した混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して得られたメチル化DNA濃縮物と前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いて核酸増幅反応を行なうことにより、増幅産物を指標として、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの有無や量を調べることができるため、メチル化DNA濃縮物の純度を評価することができる。本発明には、メチル化DNA濃縮物の純度の評価方法も包含される。
本発明のメチル化DNA濃縮物の純度の評価方法は、
(a)DNA含有試料に含まれるDNAを断片化して得られるDNA断片を含む試料と、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAとの混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮したメチル化DNA濃縮物と、
前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、
を用いた核酸増幅反応を行なうことにより得られる増幅産物の量、及び
(b)前記メチル化DNA濃縮物と、
前記DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットと、
を用いた核酸増幅反応を行なうことにより得られる増幅産物の量、
に基づいて、メチル化DNA濃縮物中におけるメチル化DNAと非メチル化DNAとの割合を算出して、メチル化DNA濃縮物の純度を評価することを特徴としている。
DNA断片を含む試料の調製方法、メチル化DNAの濃縮方法、及び増幅産物の量の測定方法は、本発明の解析方法における方法と同様である。また、対照DNA及びプライマーセットは、本発明の解析方法に用いられる対照DNA及びプライマーセットと同様である。
本発明のメチル化DNA濃縮物の純度の評価方法では、増幅産物の量(b)/増幅産物の量(a)の値が大きくなるほど、メチル化DNA濃縮物の純度が高いことの指標となる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
(参考例)
ハウスキーピング遺伝子の一つであり、CpG部位のシトシンがメチル化されていないと考えられているGAPDH遺伝子のメチル化状態を調べた。
DNA抽出キット(キアジェン社製、商品名:QIAmp Blood Maxi Kit)を用いて、乳癌細部株MCF7からゲノムDNAを抽出した。得られたゲノムDNA 2μgに、0.3M NaOH 400μLを添加し、得られた混合物を、37℃で10分間インキュベーションした。つぎに、インキュベーション後の産物に、10M亜硫酸水素ナトリウム溶液400μLを添加し得られた混合物を70℃で40分間インキュベーションすることにより、亜硫酸水素塩処理を行なった。得られた産物に含まれるDNAを、DNA精製キット(キアジェン社製、商品名:Qiaquick PCR purification kit)を用いて精製し、分析用試料を得た。以下のPCRにおいては、前記分析用試料をPCRのための鋳型として用いた。
前記鋳型1μLに対して、DNAポリメラーゼ〔商品名:TaKaRa Ex Taq〕0.12μLと、緩衝液(タカラバイオ株式会社製、商品名:10× Ex Taq Buffer)1.5μLと、2.5mM dNTP混合物1.2μLと、フォワードプライマー水溶液(10μM)0.6μLと、リバースプライマー水溶液(10μM)0.6μLと水9.98μLとを添加して、PCR用反応液を調製した。前記PCR用反応液を用いて、PCRを行なった。
フォワードプライマーとリバースプライマーとからなるプライマーセットとして、フォワードプライマー〔GAPDH-seq1-F:5'-GAGATTTTTTTAAAATTAAGTGGGG-3'(配列番号:6)〕とリバースプライマー〔GAPDH-seq1-Rv:5'-ATAAAAAAACCAATCCCCAAAAC-3'(配列番号:7)〕とからなるGAPDH−seq1プライマーセット、及びフォワードプライマー〔GAPDH-seq2-F:5'-TAGAGGGGTGATGTGGGGAGTA-3'(配列番号:8)〕とリバースプライマー〔GAPDH-seq2-Rv:5'-CTAACCCCAACCACATACCAAAA-3'(配列番号:9)〕とからなるGAPDH−seq2プライマーセットを用いた。
GAPDH−seq1プライマーセットを用いたPCRの条件は、95℃4分30秒のインキュベーション後、95℃30秒間と63℃15秒間と72℃30秒間とを1サイクルとする40サイクルの反応を行なう条件とした。また、GAPDH−seq2プライマーセットを用いたPCRの条件は、95℃4.5分間のインキュベーションの後、95℃30秒間と66.7℃15秒間と72℃30秒間とを1サイクルとする40サイクルの反応を行なう条件とした。
得られたPCR産物を、クローニングキット(インビトロジェン社製、商品名:TA
cloning kit)を用いて、前記クローニングキットに添付のベクターに組み込み、プラスミドを得た。得られたプラスミドと、M13Rvプライマーとを用いて、PCR産物の塩基配列を解析した。
その結果、GAPDH遺伝子のCpG部位のシトシンがメチル化されていることがわかる。このように、ハウスキーピング遺伝子であるGAPDH遺伝子は、非メチル化DNAの指標として不適切な場合があることが明らかになった。
(実験例1)
DNA抽出キット(株式会社キアゲン製、商品名:QIAmp Blood Maxi Kit)を用いて、乳癌細胞株MCF7からゲノムDNAを抽出した。つぎに、得られたゲノムDNA 1μgを、超音波ホモジナイザー(日本エマンソン株式会社製、商品名:SONIFIER)で超音波処理を行なった。
得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供して、DNA断片の大きさを確認した。その結果を図4に示す。図4は、DNA断片の電気泳動パターンを示す図面代用写真である。図4中、レーン1は、1kbラダーのマーカー、レーン2は、未処理のDNA、レーン3は、MseI処理後のDNA断片、レーン4は、超音波処理後のDNA断片、レーン5は、100bpラダーのマーカーを示す。
図4に示される結果から、超音波処理を行なうことにより、DNA断片の大きさが300〜1000bpとなっているため、メチル化DNA免疫沈降法に適した大きさのDNA断片が得られていることがわかる。
(実施例1)
(1)非メチル化DNAの指標の作製
ヒトゲノムDNAに存在しない塩基配列を有するDNAを設計し、合成した。その結果、配列番号:1に示される塩基配列からなる一本鎖DNA(QC-CGF-1 オリゴ)が得られた。
また、前記配列番号:1に示される塩基配列からなるDNA鎖とその相補鎖とからなるDNAを増幅するためのプライマーセットとして、フォワードプライマーとリバースプライマーのTm値の差が2℃以内で、プライマーの塩基配列中におけるグアニン及びシトシンの割合が40〜60%であり、プライマーの塩基配列中においてグアニンが4以上連続せず、各プライマーの長さが17〜25bpであり、PCRの際のアニーリング温度をTmに近い温度に設定することができる塩基配列からなる1対のプライマーからなるプライマーセットを設計した。
その結果、標的配列を配列番号:1に示される塩基配列とするフォワードプライマーとして、QC-CGF-1 Fプライマー(5’-TTCGCGGGATTTTTTAGAAGAGC-3’、配列番号:2)とQC-CGF-1 Rv(5’-CACTAATAACGAAAACTACGACGACG-3’、配列番号:3)とからなるQC-CGF-1プライマーセットが得られた。
(2)メチル化DNA免疫沈降
乳癌細胞株MCF7から抽出されたゲノムDNAを、超音波ホモジナイザー(日本エマンソン株式会社製、商品名:SONIFIER)に供し、実験例1と同様の条件で超音波処理を行ない、300〜1000bpのDNA断片を得た。得られたDNA断片4μgを、95℃で10分間インキュベーションして熱変性させた。
熱変性後のDNA断片4μgに、緩衝液(アップステート社製、商品名:ChIP dilution buffer)68μLと、プロテインGビーズ(GEヘルスケア社製、商品名:protein G sepharose beads)302μLとを添加し、得られた混合物を、4℃で1時間回転させながらインキュベーションした。その後、得られた混合物の上清を回収した。
得られた上清に、配列番号:1に示される塩基配列からなるDNA(QC-CGF-1 オリゴDNA) 1μL〔107コピー相当量(3.3×107pg)〕を添加し、混合物を得た。得られた混合物に、抗メチル化シチジン抗体を添加し、得られた混合物を4℃で一晩回転させながらインキュベーションすることにより、メチル化DNAの免疫沈降を行なった。
その後、免疫沈降アッセイ用キット(アップステート社製、商品名:Chromatin Immuoprecipitation Assay Kit)と、プロテインGビーズ(GEヘルスケア株式会社製、商品名:Protein G Sepharose beads)とを用いて、免疫沈降後のDNA−抗体複合体を回収し、複合体からDNAを回収した。対照として、抗メチル化シチジン抗体に代えて、マウスIgG抗体を用いたことを除き、同様に操作を行なった。
回収されたDNAを含む試料に、プロテイナーゼK(シグマ社製)を終濃度1mg/mLとなるように添加し、得られた混合物を50℃で1時間インキュベーションした。その後、得られた混合物から、DNA精製キット(キアジェン社製、商品名:Qiaquick PCR purification kit)を用いてDNAを精製した。得られたDNAをPCRの鋳型として用いた。
前記鋳型1μLに対して、PCR用試薬(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製、商品名:2X fast Start SYBR Green Master Mix)12.5μLと、フォワードプライマー水溶液(10μM)1μLと、リバースプライマー水溶液(10μM)1μLと水9.5μLとを添加して、PCR用反応液を調製した。前記PCR用反応液を用いて、PCRを行なった。対照として、抗マウスIgG抗体による免疫沈降後の上清をPCRの鋳型として用いた。
フォワードプライマーとリバースプライマーとからなるプライマーセットとして、QC-CGF-1 Fプライマー(5’-TTCGCGGGATTTTTTAGAAGAGC-3’、配列番号:2)とQC-CGF-1 Rv(5’-CACTAATAACGAAAACTACGACGACG-3’、配列番号:3)とからなるQC-CGF-1プライマーセットを用いた。また、対照として、MCF7細胞のゲノムDNAでは、プロモーター領域がメチル化されていることが知られているグルタチオン S−トランスフェラーゼpi遺伝子(GSTP1)のプロモーター領域(GSTP1 DNA)の塩基配列を標的配列とするGSTP1-Fプライマー(5'-GAGGCCTTCGCTGGAGTT-3'、配列番号:4)とGSTP1-Rプライマー(5'-GTACTCACTGGTGGCGAAGA-3'、配列番号:5)とからなるGSTP1プライマーセットを用いた。
PCRの条件は、95℃10分のインキュベーションの後、95℃30秒間と66℃15秒間と72℃30秒間とからなる反応を1サイクルとする45サイクルと、95℃1分間と66℃30秒間と95℃30秒間とからなる反応とを行なう条件とした。
得られた産物をアガロースゲル電気泳動に供した。PCR後の産物の電気泳動パターンを示す図面代用写真を図5に示す。図5中、レーン1は、免疫沈降前のDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物、レーン2は、抗マウスIgG抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物、レーン3は、抗メチル化シチジン抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物を示す。また、図5中、パネル(a)は、GSTP1プライマーセットを用いたPCR後に得られた産物、パネル(b)は、QC-CGF-1プライマーセットを用いたPCR後に得られた産物を示す。
図5のパネル(a)のレーン2とレーン3とに示される結果から、抗マウスIgG抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNAの量に比べ、抗メチル化シチジン抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNAの量が増加していることから、メチル化DNA免疫沈降によりメチル化DNAであるGSTP1 DNAが濃縮できていることがわかる。一方、図5のパネル(b)のレーン2とレーン3とに示される結果から、抗マウスIgG抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のQC-CGF-1オリゴDNAの量と、抗メチル化シチジン抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のQC-CGF-1オリゴDNAの量とが同じであることがわかる。したがって、これらの結果より、配列番号:1に示される塩基配列からなるQC-CGF-1オリゴのDNAをメチル化DNA免疫沈降における試料中の非メチル化DNAの指標として用いることができることが示唆される。
(3)濃縮率の算出
抗マウスIgG抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNAの量及びQC-CGF-1オリゴDNAの量、並びに抗メチル化シチジン抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNAの量及びQC-CGF-1オリゴDNAの量それぞれを測定した。つぎに、抗マウスIgG抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNAの量とQC-CGF-1オリゴDNAの量との割合(a)(ng/コピー数)、すなわち、メチル化DNAと非メチル化DNAとの割合(a)を、式(2):
〔抗マウスIgG抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNA(メチル化DNAの指標)の量〕/〔QC-CGF-1オリゴDNA(非メチル化DNAの指標)の量〕 (2)
により算出した。また、抗メチル化シチジン抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNA(メチル化DNAの指標)の量とQC-CGF-1オリゴDNA(非メチル化DNAの指標)の量との割合(b)(ng/コピー数)、すなわち、メチル化DNAと非メチル化DNAとの割合(b)を、式(3):
〔メチル化シチジン抗体を用いて免疫沈降を行なうことにより得られたDNAを鋳型として用いたPCR後に得られた産物中のGSTP1 DNA(メチル化DNAの指標)の量〕/〔QC-CGF-1オリゴDNA(非メチル化DNAの指標)の量〕 (3)
により算出した。その結果を図6に示す。
図6に示される結果から、抗マウスIgG抗体を用いた免疫沈降の場合の試料に比べ、抗メチル化シチジン抗体を用いたメチル化DNA免疫沈降の場合のメチル化DNA濃縮物では、メチル化DNAであるGSTP1 DNAの量が増えていることがわかる。このように、被験対象のDNA含有試料に含まれるDNAに存在しない配列番号:1に示される塩基配列からなるQC-CGF-1オリゴDNAを非メチル化DNAの指標となる対照DNAとして用い、メチル化DNAと非メチル化DNAとの割合を算出することにより、メチル化DNA濃縮物の純度を評価できることが示唆される。
また、抗マウスIgG抗体を用いた免疫沈降の場合に比べた抗メチル化シチジン抗体を用いたメチル化DNA免疫沈降の場合のメチル化DNAの濃縮率を、式(4):
メチル化DNAの濃縮率
=割合(b)/割合(a)
=〔メチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応により得られた増幅産物の量/メチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応により得られた増幅産物の量〕/〔メチル化DNA濃縮物と、DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応により得られた増幅産物の量/メチル化DNA濃縮物と、対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応により得られた増幅産物の量〕 (4)
により、算出した。
その結果、抗メチル化シチジン抗体を用いたメチル化DNA免疫沈降の場合、抗マウスIgG抗体を用いた免疫沈降の場合に比べ、メチル化DNAが約5000倍に濃縮されていることがわかる。
したがって、これらの結果より、被験対象のDNA含有試料に含まれるDNAに存在しない配列番号:1に示される塩基配列からなるQC-CGF-1オリゴDNAを対照DNAとして用いることにより、メチル化DNAの濃縮の成否、メチル化DNA濃縮物の純度や濃縮率を評価することができることが示唆される。
(実施例2)
実施例1のQC-CGF-1オリゴDNA、QC-CGF-1 Fプライマー及びQC-CGF-1 Rvプライマーそれぞれの塩基配列について、NCBI BLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/Blast.cgi)により、データベースを検索し、種々の生物のゲノムDNAの塩基配列に対する相同性を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示されるように、QC-CGF-1オリゴDNA、QC-CGF-1 Fプライマー及びQC-CGF-1 Rvプライマーそれぞれの塩基配列は、種々の生物においても存在していないことがわかる。したがって、かかる結果から、QC-CGF-1オリゴDNA、QC-CGF-1 Fプライマー及びQC-CGF-1 Rvプライマーは、種々の生物種のゲノムDNA中のメチル化DNAの濃縮に際して、非メチル化DNAの指標として用いることができることが示唆される。
本発明の解析方法の一実施態様を示すフローチャートである。 本発明のメチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法の一実施態様を示すフローチャートである。 本発明のメチル化DNAの濃縮率の算出方法の一実施態様を示すフローチャートである。 DNA断片の電気泳動パターンを示す図面代用写真である 本発明のプライマーセットを用いた場合のPCR後の産物の電気泳動パターンを示す図面代用写真である。 非メチル化DNAに対するメチル化DNAの割合を示すグラフである。
配列番号:1は、プライマーセットの標的配列である。
配列番号:2は、プライマーの配列である。
配列番号:3は、プライマーの配列である。
配列番号:4は、プライマーの配列である。
配列番号:5は、プライマーの配列である。
配列番号:6は、プライマーの配列である。
配列番号:7は、プライマーの配列である。
配列番号:8は、プライマーの配列である。
配列番号:9は、プライマーの配列である。

Claims (16)

  1. (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
    (B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
    (C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
    (D) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、
    (E) 前記工程(D)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
    (F) 前記工程(E)における増幅産物の検出結果に基づいて、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物が、メチル化DNA解析用試料として適切であるか否かを判定する工程、及び
    (G) 前記工程(F)において、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物がメチル化DNA解析用試料として適切であると判定された場合に、メチル化DNA濃縮物に含まれるメチル化DNAを解析する工程、
    を含む、メチル化DNAの解析方法。
  2. 前記工程(A)におけるDNAの断片化が、超音波処理又は制限酵素処理により行なわれる請求項1に記載の解析方法。
  3. 対照DNAが、プラスミド又は合成されたオリゴヌクレオチドである請求項1又は2に記載の解析方法。
  4. 前記工程(C)において、抗メチル化シトシン抗体、抗メチル化シチジン抗体又はメチル化DNA結合タンパク質を用いて、メチル化DNAを濃縮する請求項1〜3いずれかに記載の解析方法。
  5. プライマーセットが、前記DNA含有試料に含まれるDNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖にハイブリダイズするプライマーと該DNA鎖の相補鎖にハイブリダイズするプライマーとからなるプライマーセットである請求項1〜4いずれかに記載の解析方法。
  6. DNA含有試料が、癌細胞から調製されたDNAを含有する試料である請求項1〜5いずれかに記載の解析方法。
  7. メチル化DNAの解析が、DNAチップにより行なわれる請求項1〜6いずれかに記載の解析方法。
  8. 被検対象のDNA含有試料に含まれるDNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖とその相補鎖とからなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAの該DNA鎖にハイブリダイズするプライマーと、
    該DNA鎖の相補鎖にハイブリダイズするプライマーと
    からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを増幅するためのプライマーセット。
  9. DNAが、癌細胞から調製されたDNAである請求項8に記載のプライマーセット。
  10. 対照DNAが、配列番号:1に示される塩基配列からなるDNA鎖と、該DNA鎖の相補鎖とからなるDNAである請求項8又は9に記載のプライマーセット。
  11. 配列番号:2に示される塩基配列からなるプライマーと配列番号:3に示される塩基配列からなるプライマーとからなる請求項10に記載のプライマーセット。
  12. 配列番号:1に示される塩基配列からなる、DNA含有試料中に含まれる非メチル化DNAを検出するための指標用の対照DNA。
  13. (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
    (B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
    (C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
    (D) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、及び
    (E) 前記工程(D)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
    を含む、メチル化DNA濃縮物中の非メチル化DNAの検出方法。
  14. (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
    (B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
    (C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
    (H) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物中に含まれるメチル化DNAを解析する工程、
    (I) 前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物とを用いて核酸増幅反応を行なう工程、及び
    (J) 前記工程(I)で得られた産物中の増幅産物を検出する工程、
    (K) 前記工程(J)における増幅産物の検出結果に基づいて、前記工程(H)におけるメチル化DNAの解析結果の信頼性を判定する工程、
    を含む、メチル化DNAの解析結果の信頼性の判定方法。
  15. (A) DNA含有試料に含まれるDNAを断片化し、DNA断片を含有する試料を得る工程、
    (B) 前記DNAに存在しない塩基配列からなる、非メチル化DNAの指標となる対照DNAを、前記工程(A)で得られた試料に添加して、混合物を得る工程、
    (C) 前記工程(B)で得られた混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮して、メチル化DNA濃縮物を得る工程、
    (L) 下記(i)〜(iv)の核酸増幅反応:
    (i) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
    (ii) 前記工程(C)で得られたメチル化DNA濃縮物と、前記工程(A)で得られるDNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
    (iii) 前記工程(B)で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
    (iv) 前記工程(B)で得られた混合物中に含まれるメチル化DNAの濃縮が行なわれていない試料と、前記工程(A)で得られるDNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットとを用いた核酸増幅反応、
    を行なう工程、
    (M) 前記工程(L)で得られた産物中の増幅産物の量を測定する工程、及び
    (N) 前記工程(M)で測定された増幅産物の量に基づいて、前記工程(C)におけるメチル化DNAの濃縮率を算出する工程、
    を含む、メチル化DNAの濃縮率の算出方法。
  16. (a)DNA含有試料に含まれるDNAを断片化して得られるDNA断片を含む試料と、前記DNAに存在しない塩基配列からなるDNA鎖を有する、非メチル化DNAの指標となる対照DNAとの混合物に含まれるメチル化DNAを濃縮したメチル化DNA濃縮物と、
    前記対照DNAを増幅するためのプライマーセットと、
    を用いた核酸増幅反応を行なうことにより得られる増幅産物の量、及び
    (b)前記メチル化DNA濃縮物と、
    前記DNA断片のうちメチル化DNAを増幅するためのプライマーセットと、
    を用いた核酸増幅反応を行なうことにより得られる増幅産物の量、
    に基づいて、メチル化DNA濃縮物中におけるメチル化DNAと非メチル化DNAとの割合を算出して、メチル化DNA濃縮物の純度を評価することを特徴とするメチル化DNA濃縮物の純度の評価方法。
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