JP6418595B2 - 複数種類の癌に関する情報を取得する方法、システムおよびプログラム - Google Patents
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Description
DNAの断片化は、超音波処理、アルカリ処理、制限酵素処理などにより行うことができる。例えば、アルカリ処理によりDNAの断片化を行う場合は、DNA溶液に水酸化ナトリウム溶液を終濃度0.1〜1.0 Nとなるよう添加し、10〜40℃で5〜15分間インキュベーションすることによりDNAが断片化される。また、制限酵素処理によりDNAの断片化を行う場合、用いる制限酵素はDNAの塩基配列に基づいて適宜選択され、例えばMseIやBamHIなどが用いられる。
なお、本明細書において、「CpG部位」とは、塩基配列中のシトシン(C)とグアニン(G)とが5'から3'への方向にこの順序で隣り合った配列の部位を意味する。なお、CpGの「p」の文字は、シトシンとグアニンとの間のホスホジエステル結合を表わす。
また、本明細書において、「メチル化の状態を解析する」とは、GDF7、ZNF132、CPXM1、RPL39L、DOK1、FUZ、MGAT3およびEHD3からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位のメチル化の有無を解析すること、または該プロモータ領域のメチル化の頻度を解析することを意味する。
本発明の実施形態では、上記のマーカーは、GDF7、ZNF132、CPXM1、RPL39L、DOK1、FUZ、MGAT3およびEHD3の各遺伝子のプロモータ領域に存在するCpG部位から選択される少なくとも1つである。
本発明の実施形態では、被検者から採取した生体試料から調製したDNA試料におけるマーカーのメチル化状態を解析し、得られた解析結果に基づいて該被検者における複数種類の癌に関する情報を取得することができる。なお、メチル化状態の解析および複数種類の癌に関する情報の取得については、これまでに述べたことと同様である。
被検者由来のDNA試料に含まれるGDF7、ZNF132、CPXM1、RPL39L、DOK1、FUZ、MGAT3およびEHD3からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子におけるCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得するステップ;
前記解析結果に基づいて、前記被検者の癌の有無を判定するステップ;および
前記判定結果を出力するステップ。
被検者由来のDNA試料に含まれるGDF7、ZNF132、CPXM1、RPL39L、DOK1、FUZ、MGAT3およびEHD3からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子におけるCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得するステップ;
前記解析結果に基づいて、前記被検者の癌の有無を判定するステップ;および
前記判定結果を出力するステップ。
(1)生体試料
本実施例では、生体試料として、下記の表2〜4に示した検体を用いた。なお、これらの検体のうち、健常人血球は、BioChain社より購入した。それ以外の検体は、患者または健常人から採取した。これらの組織は採取された後、ただちに液体窒素で凍結され、使用されるまで−80℃で保存した。
肺癌、前立腺癌、健常人の末梢血については下記の文献において公開されているInfinium HumanMethylation27 BeadChip(Illumina社)のメチル化データを用いた。
・肺癌:Selamat SAら、Genome-scale analysis of DNA methylation in lung adenocarcinoma and integration with mRNA expression. Genome Res. Jul;22(7):1197-211(2012)
・前立腺癌:Kobayashi Yら、 DNA methylation profiling reveals novel biomarkers and important roles for DNA methyltransferases in prostate cancer. Genome Res. Jul 21(7):1017-27(2011)
・健常人93例の健常人末梢血のデータ:Salhia Bら、DNA methylation analysis determines the high frequency of genic hypomethylation and low frequency of hypermethylation events in plasma cell tumors. Cancer Res. Sep 1;70(17):6934-44(2010)
上記以外の検体についてはTCGA(The Cancer Genome Atlas:http://tcga-data.nci.nih.gov/tcga/tcgaHome2.jsp)のデータを使用した。
なお、ここでいうメチル化データとは、下記(2)〜(3)の記載のようにしてInfinium HumanMethylation27 BeadChip(Illumina社)を用いるInfinium Methylation Assayにより得られた、GDF7、ZNF132、CPXM1、RPL39L、DOK1、FUZ、MGAT3およびEHD3のCpG部位のメチル化率(mCpG)である。
胃癌由来の癌部組織検体、肝細胞癌由来の癌部組織検体、肝細胞癌由来の非癌部組織検体、正常検体(正常子宮および健常人末梢血を除く)について、これらの各検体からゲノムDNAを、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)を用いて抽出した。得られたゲノムDNA(500 ng)を、EZ DNA Methylation Kit(Zymo Research社)を用いてバイサルファイト処理を行い、処理後のゲノムDNAを滅菌蒸留水(10μl)に溶出した。得られたDNA溶液(4μl)に含まれるゲノムDNAを、Bioruptor(COSMO BIO社製)によって断片化した。
断片化したゲノムDNAについて、Infinium HumanMethylation27 BeadChip(Illumina社)を用いたInfinium Methylation Assayを行って、各検体についてのメチル化データを取得した。得られたメチル化データと、上記の各文献に公開されているメチル化データおよびTCGAのデータとを用いて、各種癌の癌部組織に特異的にメチル化が認められる新規マーカーを探索した。なお、具体的な操作は、用いたチップに添付されたマニュアルに従って行った。
ここで、Infinium HumanMethylation27 BeadChipには、ヒトのゲノム上にあるCpG部位のうち、27,578ヶ所のCpG部位ごとにメチル化用プローブと非メチル化用プローブを設けている。本実施例では、CpG部位のメチル化用プローブのシグナル強度(シグナルM)と非メチル化用プローブのシグナル強度(シグナルU)とをBeadArray Readerで検出し、以下の計算式により各遺伝子のCpG部位のメチル化率(mCpG)を算出した。
(mCpG)=(シグナルM)/(シグナルM)+(シグナルU)
メチル化陽性率(%)=(メチル化陽性検体数/総検体数)×100
そして、癌部組織検体と、非癌部組織検体または正常検体との間で統計学的に有意な差を認められる場合に、その遺伝子を癌部組織でメチル化が認められるマーカーとした。
(1)生体試料
本実施例では、生体試料として、上記の実施例1とは異なる患者から肝切除術により採取した肝細胞癌の癌部および非癌部組織検体ならびに上記の実施例1とは異なる患者から採取した胃癌の癌部組織検体および正常胃組織検体を含む臨床検体を用いた。該臨床検体は、正常脳組織(1検体)、脳腫瘍組織(8検体)、正常胃組織(2検体)、胃癌の癌部組織(6検体)、正常大腸組織(4検体)、大腸癌の癌部組織(5検体)、正常肝組織(2検体)、肝細胞癌の非癌部組織(5検体)、肝細胞癌の癌部組織(6検体)、正常子宮組織(4検体)、子宮体癌の癌部組織(4検体)、乳癌の非癌部組織(3検体)および乳癌の癌部組織(4検体)であった。これらの組織は採取された後、ただちに液体窒素で凍結され、使用されるまで−80℃で保存した。
(i)ゲノムDNAの抽出
上記の各組織からゲノムDNAを、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)を用いて抽出した。得られたDNA溶液に含まれるゲノムDNAを、Bioruptor(COSMO BIO社製)によって断片化した。また、質量分析法における検量線を作成するため、対照用ゲノムDNAとして、ヒト末梢血リンパ球のゲノムDNAを用いた。このヒト末梢血リンパ球のゲノムDNAを、GenomiPhi v2DNA amplificationキット(GEヘルスケアライフサイエンス社)を用いて増幅した。得られた増幅産物は非メチル化DNA断片(0%メチル化DNA)の溶液からなる。次いで、この非メチル化DNA断片の溶液の一部を取り、これにSssIメチラーゼ(New England Biolab社)を反応させることによりCG配列にある全てのシトシンをメチル化させて、メチル化DNA断片(100%メチル化DNA)の溶液を得た。そして、0%メチル化DNAの溶液と100%メチル化DNAの溶液とを所定の割合で混合して、25%、50%および75%メチル化DNAの溶液を得た。
(ii)バイサルファイト処理
上記で得られた各DNA断片(500 ng)を、EZ DNA Methylation Kit(Zymo Research社)を用いてバイサルファイト処理を行い、処理後のゲノムDNAを滅菌蒸留水(80μl)に溶出した。
(iii)PCRおよびIVTによる増幅
バイサルファイト処理した各DNA断片に含まれるメチル化シトシンおよびウラシルを、PCR法およびIVT増幅法により、それぞれグアニンおよびアデニンに変換した。
なお、PCR法に用いたプライマーセットがメチル化DNAおよび非メチル化DNAのいずれも偏りなく増幅できることは、後述する対照試料を用いたMassARRAY(登録商標)解析によって確認されている。本発明のマーカーに対するプライマーセットの配列を、表5に示した。また、このプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖の配列)を、配列番号37で示した。なお、GDF7のメチル化検出用プライマーセットで増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号47で示した。ここで、配列番号47の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。
・タグ配列:AGGAAGAGAG (配列番号35)
・T7プロモータ配列:CAGTAATACGACTCACTATAGGGAGAAGGCT (配列番号36)
10x Hot Starバッファー(QIAGEN社) 0.5μL
25 mM dNTPミックス 0.04μL
Hot Star Taq(5U/μl)(QIAGEN社) 0.04μL
プライマーミックス 2.0μL
DNA溶液 1.0μL
水 1.42μL
トータル 5μL
94℃で15分を1サイクル、
94℃で20秒、52℃で30秒および72℃で1分を45サイクル、
72℃で3分。
5x T7 R&DNAポリメラーゼバッファー 0.89μL
T Cleavageミックス 0.24μL
100 mM DTT 0.22μL
T7 R&DNAポリメラーゼ 0.44μL
RNase A 0.06μL
RNaseフリーの水 3.15μL
トータル 5μL
(i)検量線の作成
上記で得られた対照試料を2回ずつ独立に質量分析を行った。得られた解析結果より、各プライマーセットについての検量線を作成し、相関係数を算出した。これにより、用いたプライマーセットは、メチル化DNAおよび非メチル化DNAのいずれにも偏りなく増幅できることが確認された。
(ii)測定用試料の解析
上記で得られた測定用試料の質量分析を行い、測定用試料に含まれるDNA断片のピークを得た。次いで、得られた各ピークが、GDF7の塩基配列のどの部分に由来するかを同定した。そして、同一の塩基配列に由来する断片について、メチル化CpG部位を含む断片のピークとメチル化CpG部位を含まない断片のピークとの面積比から、メチル化スコアを算出した。結果を図2Aに示す。
臨床検体として、正常胃組織(2検体)、胃癌の癌部組織(6検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)、大腸癌の癌部組織(5検体)、正常肝組織(2検体)、肝細胞癌の非癌部組織(5検体)、肝細胞癌の癌部組織(6検体)、正常子宮組織(4検体)、子宮体癌の癌部組織(4検体)、乳癌の非癌部組織(3検体)および乳癌の癌部組織(4検体)を用いたこと、およびMassARRAY解析用プライマーセットとして表7に示したものを用いたこと(このプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖の配列)を、配列番号38で示した)以外は実施例2と同様にして、メチル化スコアを算出した。なお、ZNF132のメチル化検出用プライマーセットで増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号48で示した。ここで、配列番号48の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。
臨床検体として、正常胃組織(2検体)、胃癌の癌部組織(6検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)、大腸癌の癌部組織(5検体)、正常肝組織(2検体)、肝細胞癌の非癌部組織(5検体)、肝細胞癌の癌部組織(6検体)、正常子宮組織(4検体)、子宮体癌の癌部組織(4検体)、乳癌の非癌部組織(3検体)および乳癌の癌部組織(4検体)を用いたこと、およびMassARRAY解析用プライマーセットとして表9に示したものを用いたこと(このプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖の配列)を、配列番号39で示した)以外は実施例2と同様にして、メチル化スコアを算出した。なお、CPXM1のメチル化検出用プライマーセットで増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号49で示した。ここで、配列番号49の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。
臨床検体として、正常脳組織(1検体)、脳腫瘍組織(8検体)、正常胃組織(2検体)、胃癌の癌部組織(6検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)、大腸癌の癌部組織(5検体)、正常肝組織(2検体)、肝細胞癌の非癌部組織(5検体)、肝細胞癌の癌部組織(6検体)、正常子宮組織(4検体)および子宮体癌の癌部組織(4検体)を用いたこと、およびMassARRAY解析用プライマーセットとして表11に示したものを用いたこと(このプライマーセットで解析される領域の塩基配列(マイナス鎖の配列)を、配列番号40で示した)以外は実施例2と同様にして、メチル化スコアを算出した。なお、RPL39Lのメチル化検出用プライマーセットで増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号50で示した。ここで、配列番号50の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。
臨床検体として、正常肝組織(2検体)、肝細胞癌の非癌部組織(5検体)、肝細胞癌の癌部組織(6検体)、乳癌の非癌部組織(3検体)および乳癌の癌部組織(4検体)を用いたこと、およびMassARRAY解析用プライマーセットとして表13に示したものを用いたこと(このプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖の配列)を、配列番号41で示した)以外は実施例2と同様にして、メチル化スコアを算出した。なお、DOK1のメチル化検出用プライマーセットで増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号51で示した。ここで、配列番号51の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。
臨床検体として、正常胃組織(2検体)、胃癌の癌部組織(6検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)、大腸癌の癌部組織(5検体)、正常肝組織(2検体)、肝細胞癌の非癌部組織(5検体)および肝細胞癌の癌部組織(6検体)を用いたこと、およびMassARRAY解析用プライマーセットとして表15に示したものを用いたこと(このプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖の配列)を、配列番号42で示した)以外は実施例2と同様にして、メチル化スコアを算出した。なお、FUZのメチル化検出用プライマーセットで増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号55で示した。ここで、配列番号55の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。
臨床検体として、正常胃組織(2検体)、胃癌の癌部組織(6検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)および大腸癌の癌部組織(5検体)を用いたこと、およびMassARRAY解析用プライマーセットとして表17に示したものを用いたこと(このプライマーセットで解析される領域の塩基配列(プラス鎖の配列)を、配列番号43で示した)以外は実施例2と同様にして、メチル化スコアを算出した。なお、EHD3のメチル化検出用プライマーセットで増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号56で示した。ここで、配列番号56の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。
(1)生体試料
本実施例では、生体試料として、胃癌の非癌部組織(2検体)、胃癌の癌部組織(4検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)、大腸癌の癌部組織(5検体)、正常肝組織(2検体)、肝細胞癌の非癌部組織(5検体)および肝細胞癌の癌部組織(6検体)を用いた。
(i)ゲノムDNAの抽出
上記の各組織からゲノムDNAを、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)を用いて抽出した。得られたDNA溶液に含まれるゲノムDNAを、Bioruptor(COSMO BIO社製)によって断片化した。
また、対照用ゲノムDNAとして、ヒト末梢血リンパ球のゲノムDNAを用いた。このヒト末梢血リンパ球のゲノムDNAを、GenomiPhi v2DNA amplificationキット(GEヘルスケアライフサイエンス社)を用いて増幅した。得られた増幅産物は非メチル化DNAからなる。次いで、該増幅産物をBioruptor(COSMO BIO社製)により断片化して、非メチル化DNA断片(0%メチル化DNA)の溶液を得た。この非メチル化DNA断片の溶液の一部を取り、これにSssIメチラーゼ(New England Biolab社)を反応させることによりCG配列にある全てのシトシンをメチル化させて、メチル化DNA断片(100%メチル化DNA)の溶液を得た。
(ii)バイサルファイト処理
上記で得られた各DNA断片(500 ng)を、EZ DNA Methylation Kit(Zymo Research社)を用いてバイサルファイト処理を行い、処理後のゲノムDNAを滅菌蒸留水(80μl)に溶出した。
上記(2)で得られた測定用試料および対照試料(バイサルファイト処理後のDNA)を用いて、MSPを行った。MSPで用いたPCR試薬の組成、プライマーセットおよびPCRの反応条件を以下に示す。
<PCR試薬>
DDW(滅菌水) 16.75μL
10×PCR buffer with MgCl2(Roche社) 2.5μL
2mM dNTP mix 2.5μL
10μMセンスプライマー 1.0μL
10μMアンチセンスプライマー 1.0μL
Faststart Taq polymerase(Roche社) 0.25μL
測定用試料または対照試料 1.0μL
トータル 25μL
上記のMSPで用いたプライマーセットを表19に示す。これらは、増幅される領域のDNAがメチル化している場合に増幅産物を得ることができるプライマーセットである。なお、FUZ遺伝子のプロモータ領域について、表19に示されるプライマーセットで解析される領域の塩基配列を、それぞれ配列番号44で示した。ここで、配列番号44の塩基配列はプラス鎖の配列である。なお、FUZのメチル化検出用プライマーセット(配列番号23および24のMプライマー)で増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号52で示した。ここで、配列番号52の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。また、FUZの非メチル化検出用プライマーセット(配列番号25および26のUプライマー)で増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号57で示した。
95℃で6分、
95℃で30秒、X℃で30秒、72℃で30秒をYサイクル、
72℃で7分、
16℃で放置。
なお、上記の反応条件において「X」および「Y」はそれぞれ、表19に示されるアニーリング温度およびサイクル数を表す。
上述のMSPで得られた増幅産物を2%アガロースゲル電気泳動で確認した。結果を図3Aに示す。なお、図中で「control」として示されている「0」および「100」はそれぞれ0%メチル化対照試料および100%メチル化対照試料を表す。
生体試料として、胃癌の非癌部組織(2検体)、胃癌の癌部組織(4検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)および大腸癌の癌部組織(5検体)を用いたこと、下記の表20に示されるプライマーセットを用いたこと(解析される領域の塩基配列を配列番号45で示した。なお、配列番号45の塩基配列はプラス鎖の配列である)以外は実施例9と同様にしてMSPにより増幅産物を得た。なお、EHD3のメチル化検出用プライマーセット(配列番号27および28のMプライマー)で増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号53で示した。ここで、配列番号53の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。また、EHD3の非メチル化検出用プライマーセット(配列番号29および30のUプライマー)で増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号58で示した。
生体試料として、胃癌の非癌部組織(2検体)、胃癌の癌部組織(6検体)、大腸癌の非癌部組織(4検体)および大腸癌の癌部組織(5検体)を用いたこと、下記の表21に示されるプライマーセットを用いたこと(解析される領域の塩基配列を配列番号46で示した。なお、配列番号46の塩基配列はプラス鎖の配列である)以外は実施例9と同様にしてMSPにより増幅産物を得た。なお、MGAT3のメチル化検出用プライマーセット(配列番号31および32のMプライマー)で増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号54で示した。ここで、配列番号54の塩基配列は、各メチル化検出用プライマーセットで増幅される領域に存在する全てのCpG部位がメチル化している場合の塩基配列を表す。また、MGAT3の非メチル化検出用プライマーセット(配列番号33および34のUプライマー)で増幅される領域のバイサルファイト変換後の塩基配列を配列番号59で示した。
2 測定装置
3 コンピュータシステム
3a コンピュータ本体
3b 入力デバイス
3c 表示部
Claims (3)
- 被検者から採取した生体試料からDNA試料を調製する工程と、
調製工程で得られたDNA試料に含まれるGDF7、CPXM1、FUZ及びMGAT3からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子のプロモータ領域におけるCpG部位のメチル化の状態を解析する工程と、
解析工程で得られた解析結果に基づいて、前記被検者から採取した生体試料における、複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌に由来する癌細胞の存否に関する情報を取得する工程と
を含む、複数種類の癌に関する情報の取得方法であって、
前記解析工程が、少なくとも1つのCpG部位のメチル化の有無を解析する工程であり、前記情報取得工程が、メチル化されたCpG部位が有るという解析結果が得られた場合に、前記生体試料中に複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌に由来する癌細胞が存在するという情報を取得する工程であるか、又は
前記解析工程が、メチル化の頻度を解析する工程であり、前記情報取得工程が、前記解析工程で得られたメチル化の頻度が所定の閾値より高い場合に、前記生体試料中に複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌に由来する癌細胞が存在するという情報を取得する工程であり、
前記解析工程において、
- GDF7のCpG部位のメチル化の状態を解析する場合、前記複数種類の癌が、脳腫瘍、肝細胞癌、大腸癌、胃癌、子宮体癌、肺癌、乳癌、前立腺癌及び腎細胞癌であり、
- CPXM1のCpG部位のメチル化の状態を解析する場合、前記複数種類の癌は、肝細胞癌、大腸癌、胃癌、子宮体癌、肺癌、腎細胞癌、前立腺癌及び乳癌であり、
- FUZのCpG部位のメチル化の状態を解析する場合、前記複数種類の癌は、子宮体癌、肝細胞癌、大腸癌及び胃癌であり、
- MGAT3のCpG部位のメチル化の状態を解析する場合、前記複数種類の癌は、乳癌、肺癌、大腸癌及び胃癌である、
前記方法。 - 複数種類の癌に関する情報を取得するシステムであって、
プロセッサおよび前記プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを含み、
前記メモリには、
被検者由来のDNA試料に含まれるGDF7、CPXM1、FUZおよびMGAT3からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子のプロモータ領域におけるCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得するステップと、
前記解析結果に基づいて、前記被検者における複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌の有無を判定するステップと、
前記判定結果を出力するステップと
を、前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録され、
前記解析結果が、少なくとも1つのCpG部位のメチル化の有無であり、前記取得ステップにおいて、メチル化されたCpG部位が有るという解析結果を取得した場合に、前記判定ステップにおいて、前記被検者に複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌が有ると判定するか、又は
前記解析結果が、メチル化の頻度であり、前記取得ステップにおいて、メチル化の頻度が所定の閾値より高いという解析結果を取得した場合に、前記判定ステップにおいて、前記被検者に複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌が有ると判定し、
前記取得ステップにおいて、
- GDF7のCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌が、脳腫瘍、肝細胞癌、大腸癌、胃癌、子宮体癌、肺癌、乳癌、前立腺癌および腎細胞癌であり、
- CPXM1のCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌は、肝細胞癌、大腸癌、胃癌、子宮体癌、肺癌、腎細胞癌、前立腺癌および乳癌であり、
- FUZのCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌は、子宮体癌、肝細胞癌、大腸癌および胃癌であり、
- MGAT3のCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌は、乳癌、肺癌、大腸癌および胃癌である、
癌情報取得システム。 - 被検者由来のDNA試料に含まれるGDF7、CPXM1、FUZおよびMGAT3からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子のプロモータ領域におけるCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得するステップと、
前記解析結果に基づいて、前記被検者における複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌の有無を判定するステップと、
前記判定結果を出力するステップと
を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記解析結果が、少なくとも1つのCpG部位のメチル化の有無であり、前記取得ステップにおいて、メチル化されたCpG部位が有るという解析結果を取得した場合に、前記判定ステップにおいて、前記被検者に複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌が有ると判定するか、又は
前記解析結果が、メチル化の頻度であり、前記取得ステップにおいて、メチル化の頻度が所定の閾値より高いという解析結果を取得した場合に、前記判定ステップにおいて、前記被検者に複数種類の癌のうちの少なくとも1種の癌が有ると判定し、
前記取得ステップにおいて、
- GDF7のCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌が、脳腫瘍、肝細胞癌、大腸癌、胃癌、子宮体癌、肺癌、乳癌、前立腺癌および腎細胞癌であり、
- CPXM1のCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌は、肝細胞癌、大腸癌、胃癌、子宮体癌、肺癌、腎細胞癌、前立腺癌および乳癌であり、
- FUZのCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌は、子宮体癌、肝細胞癌、大腸癌および胃癌であり、
- MGAT3のCpG部位のメチル化の状態の解析結果を取得した場合、前記複数種類の癌は、乳癌、肺癌、大腸癌および胃癌である、
複数種類の癌に関する情報を取得するためのプログラム。
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