以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1に係る画像形成システムの構成を示している。
画像形成システム1は、図2に示すように、複数の画像読取装置10,30と画像形成装置20とが通信回線40を介して接続される。
通信回線40としては、例えば、USB(Universal Serial Bus:周辺装置用シリアルインターフェース)などのシリアルインターフェース、あるいはパラレルインターフェースなどローカルインターフェースや、LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)などのネットワークインターフェースが挙げられる。
また、通信回線40は、USB、LANなどの有線通信回線の他に、無線LANなどの無線通信回線であってもよい。
実施の形態1では、画像読取装置10.30はスキャナ装置を、また画像形成装置20はプリンタ装置を想定している。
図1は、画像読取装置10および画像形成装置20の機能構成を示している。
画像読取装置10は、原稿画像を読み取り該読み取った結果を基に画像データを生成するとともに、該画像データにかかわる印刷ジョブを画像形成装置20に向けて送信するものであり、図1に示すように、I/F部110、画像処理部120、画像読取部130、操作・表示部140、および制御部150を備えている。
I/F部110は、画像形成装置20とのインターフェースとして動作し、指示等の指令情報やデータの送受信を行う。例えば、I/F部110は、画像読取部130によって変換された画像データにかかわる印刷ジョブ(画像処理部120によって生成される印刷ジョブ)を画像形成装置20に向けて送信する。
また、I/F部110は、他の画像読取装置30とのインターフェースとして動作し、指示等の指令情報やデータの送受信を行う。
画像処理部120は、画像読取部130から取得した画像を画像形成装置20へ送信可能なデータ形式のデータに変換する。変換後のデータは印刷ジョブとして画像形成装置20に向けて送信される。
画像読取部130は、原稿給紙部131およびジャム検知部132を備え、原稿給紙部131に原稿がセットされ、操作・表示部140の図示しない読取開始ボタン(スタートボタン)が押下された場合に、原稿給紙部131から給紙される原稿を光学的に読み取り、該読み取って得た光学信号を電気信号(画像データ)に変換する。すなわち、画像読取部130は、原稿を読み取るとともに該読み取った結果を画像データに変換する機能(画像読取手段の機能)を有する。
また、画像読取部130では、ジャム検知部132は、原稿読取処理のときに、原稿給紙部131から給紙される原稿のジャムが発生したことを検知し、この検知した結果(ジャム発生した旨)を制御部150に向けて出力する。ジャム検知部132は、画像読取装置10の異常(ジャム発生)を検知する異常検知手段の機能を有する。
操作・表示部140は、ユーザインターフェースとして動作し、ユーザに対して各種の情報を表示する表示機能(表示手段)と、ジョブの開始指示など所定の指示を受け付ける操作機能(受付手段)とを有している。また、操作・表示部140は、操作機能(受付手段)の一部として、原稿の読取処理の開始を指示するためのスタートボタン(図示せず)、ジョブの終了を指示する終了ボタンなどを備えている。さらに、操作・表示部140は、ジャムが発生した場合に、ジャム発生した旨を表示する。
制御部150は、上述した構成要素全てを統括的に制御(画像読取装置10全体を制御)する。
また、制御部150は、印刷ジョブに関しての制御情報を画像形成装置20に向けて通知する通知手段の機能を有している。
この通知手段(制御部150)は、次の(1)および(2)の機能も有している。
(1)ジャム検知部(異常検知手段)132によってジャム発生が検知(異常が検知)されたときは、制御情報(印刷制御情報)としての印刷ジョブに対する処理の停止を示す旨(後述するジョブイベントコマンド「停止コマンド」)を画像形成装置20に向けて送信する機能。
(2)ジャム検知部(異常検知手段)132によって検知されたジャム発生が解消されたことに起因して制御情報(印刷制御情報)としての印刷ジョブに対する処理の再開を示す旨(後述するジョブイベントコマンド「再開コマンド」)を画像形成装置に向けて送信する機能。
この通知手段(制御部150)によって通知されるジョブイベントコマンドは、I/F部110および通信回線40を介して、画像形成装置20に向けて送信される。
画像形成装置20は、取得した印刷ジョブに基づき印刷処理を実行するものであり、図1に示すように、I/F部210、データ解析部220、印刷部230、操作・表示部240、および制御部250を備えている。
I/F部210は、画像読取装置10やコンピュータ等の外部装置(図示しない)とのインターフェースとして動作し、指示等の指令情報やデータ(印刷ジョブなど)の送受信を行う。例えば、I/F部210は、画像読取装置10のI/F部110から送信された印刷ジョブを受信する。
また、I/F部210は、画像読取装置10の制御部(通知手段)150から通知された制御情報(ジョブイベントコマンド)を受け付ける制御情報受付手段の機能を有する。
データ解析部220は、I/F部210から取得したデータを印刷部230において印刷可能なデータ形式のデータ(ラスタデータ)に変換する。
印刷部230は、データ解析220から出力されたデータ(ラスタデータ)に基づいて、用紙上に画像を印刷する。例えば、印刷部230は、I/F部210が受信した印刷ジョブに対する印刷処理を実行する。
操作・表示部240は、ユーザインターフェースとして動作し、ユーザに対して各種の情報を表示する表示機能(表示手段)と、所定の指示を受け付ける操作機能(受付手段)とを有している。
制御部250は、上述した構成要素全てを統括的に制御(画像形成装置20全体を制御)する。
また、制御部250は、I/F(制御情報受付手段)210が受け付けた制御情報に基づき所定の処理を実施する処理手段の機能を有している。
この処理手段(制御部250)は、次の(1)および(2)の機能も有している。
(1)I/F部(制御情報受付手段)210が受け付けた制御情報としての処理の停止を示す旨(後述するジョブイベントコマンド「停止コマンド」)に基づき、画像読取装置20からの印刷ジョブの受付可能状態から画像読取装置20とは異なる通信回線40に接続される所定の装置たとえば他の画像読取装置やコンピュータから送信される印刷ジョブの受付可能状態へ移行させる機能。
(2)I/F部(制御情報受付手段)210が受け付けた制御情報としての処理の再開を示す旨(後述するジョブイベントコマンド「再開コマンド」)に基づき、上記所定の装置たとえば他の画像読取装置やコンピュータから送信される印刷ジョブの受付可能状態から当該印刷ジョブの受付不可状態へ移行させる機能。
図3は、画像読取装置10から画像形成装置20へ通知するジョブの区切れを識別するジョブイベントコマンド、および画像読取装置同士で授受するジョブイベントコマンドの一覧を示している。
図3において、ジョブイベントコマンド「開始コマンド」、「終了コマンド」、「停止コマンド」、「再開コマンド」は画像読取装置10から画像形成装置20へ通知されるコマンドであり、ジョブイベントコマンド「処理移行コマンド」は第1の画像読取装置から第2の画像読取装置へ通知されるコマンドである。
開始コマンドには指定パラメータとして「ジョブ識別情報(ジョブID)」、「カラーモード」、「両面指定」および「給紙トレイ」が設定され、終了コマンド、停止コマンドおよび再開コマンドにはそれぞれ指定パラメータとして「ジョブID」が設定され、処理移行コマンドには指定パラメータとして「ジョブID」、「カラーモード」、「両面指定」、「給紙トレイ」が設定される。
また、上述した5つのコマンドに対する応答としては、肯定を意味する「OK」または否定を意味する「NG」がある。これらの応答信号は、コマンドを受信した画像形成装置または画像読取装置からコマンドの送信元である画像読取装置に向けて送信される。
本実施の形態1では、ジョブイベントコマンドは、印刷ジョブに関しての制御情報(印刷制御情報)を意味するものであり、「開始コマンド」は印刷ジョブに対する処理の開始を示す旨の制御情報を意味し、「終了コマンド」は印刷ジョブに対する処理の終了を示す旨の制御情報を意味し、「停止コマンド」は印刷ジョブに対する処理の停止を示す旨の制御情報を意味し、「再開コマンド」は印刷ジョブに対する処理の再開を示す旨の制御情報を意味し、「処理移行コマンド」は印刷ジョブに対する処理の移行を示す旨の制御情報を意味する。
次に、画像読取装置による読取処理(画像データ処理)について、図4を参照して説明する。
図4は、その読取処理(画像データ処理)の処理手順を示すフローチャートである。
ユーザが、原稿を原稿給紙部131にセットし(ステップS101)、所定のパラメータ(カラーモード、両面指定、給紙トレイなど)を設定し(ステップS102)、さらに操作・表示部140のスタートボタン(図示せず)を押下すると(ステップS103)、操作・表示部140は、スタートボタンが押下されたことに起因して、ジョブの開始を制御部150へ通知する。
制御部150は、ジョブの開始の通知を受けて、「開始コマンド」を、I/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信するとともに(ステップS104)、原稿の読取開始を画像読取部130へ通知する。
画像読取部130は、原稿給紙部131から給紙される原稿を読み取る(ステップS105)。この原稿の読取処理のとき、画像読取部130では、ジャム検知部132が、ジャムの発生を検知するようになっているので、ジャムが発生した場合には、ジャム検知部132から制御部150へジャムが発生した旨が通知される。ジャムが発生しない場合は、ジャム検知部132から制御部150へは何も通知されない。
制御部150は、ジャム検知部132からジャム発生の通知があるか否かに基づき、当該画像読取装置10にジャムが発生したか否かを判断し(ステップS106)、この判断した結果に応じた処理を行う。
ステップS106においてジャムが発生していないと判断した制御部150は、原稿の読取処理が正常に行われているので、現在の処理が継続されるように制御する。
ステップS105において原稿の読取処理を実施した画像読取部130が、その読取処理の結果を画像データに変換し、この画像データを画像処理部120に渡すと、画像処理部120は、受け取った画像データを画像形成装置へ送信可能なデータ形式のデータに変換し、この変換後の画像データをI/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信する(ステップS107)。
画像読取部130は、変換した画像データを画像処理部120に渡した後、全ての原稿の読み取りが終了したか否か、つまりセットされている原稿が原稿給紙部131に存在するか否かを判断し(ステップS108)、この判断した結果、未だ読み取りすべき原稿が存在する場合には上記ステップS105に戻り、一方、全ての原稿の読み取りが終了した場合は、その旨(終了した旨)を制御部150へ通知する。
制御部150は、画像読取部130から通知される原稿の読み取りが終了した旨を受け取り、さらに操作・表示部140から通知される終了ボタン(図示せず)が押下された旨を受け取ったか否かに応じてジョブが終了したか否かを判断し(ステップS109)、終了ボタンが押下された旨を受け取っていない場合にはその旨を受け取るまで待機し、一方、終了ボタンが押下された旨を受け取った場合は、「終了コマンド」をI/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信する。
ところで、ステップS106においてジャムが発生したと判断した制御部150は、「停止コマンド」を、I/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信し(ステップS111)、その後、ジャムが解除されたか否かを判断する(ステップS112)。
ジャム検知部132からジャムの発生を検知した旨が通知されている場合にはジャム発生中であると判断され、これに対し、ジャムの原因となっている原稿が取り除かれ、ジャム検知部132によってジャムの発生が検知されない場合はジャムが解除されたと判断される。
制御部150は、ステップS112において、ジャムが解除されていない場合にはジャムが解除されるまで待機し、一方、ジャムが解除された場合は、原稿給紙部131に原稿を再セットすべき旨を操作・表示部140に表示させる。
ユーザは、原稿を原稿給紙部131に再度セットし(ステップS113)、さらに操作・表示部140のスタートボタン(図示せず)を押下する(ステップS114)。
そして、操作・表示部140が、スタートボタンが押下されたことに起因してジョブの再開を制御部150へ通知すると、制御部150は、ジョブの再開の通知を受けて、「再開コマンド」を、I/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信する(ステップS115)。
このステップS115が終了した場合、ステップS105に戻る。すなわち、画像読取部130による原稿の読取処理が行われる。
次に、画像形成システム1による印刷処理について説明する。
画像読取装置10では、ユーザによる操作・表示部140の操作に応じた指示に基づいて、コピージョブを実行する。例えば、ユーザは、カラーモード、両面指定、給紙トレイ等を設定し、さらに操作・表示部140の図示しないスタートボタンを押下する。
操作・表示部140が、スタートボタンが押下されたことに起因してジョブの開始を制御部150へ通知すると、制御部150は、原稿の読取処理の開始を画像読取部130へ通知する。
その開始の通知を受け付けた画像読取部130は、原稿を読み取り、該読み取りの結果に対応する画像データを画像処理部120に渡す。
画像処理部120は、画像読取部130から取得した画像データを画像形成装置20において印刷可能なデータ形式のデータに変換するとともに、この変換したデータ(印刷ジョブ)を、I/F部110、通信回線40を経由して画像読取装置10の外部例えば画像形成装置20に向けて送信する。
画像形成装置20では、I/F部210は、データの受信を検知すると、受信した旨を制御部250へ通知する。
その受信した旨の通知を受け付けた制御部250は、I/F部210、データ解析部220、印刷部230および操作・表示部240に対して、受信したデータに対する処理の開始を通知する。
I/F部210が受信データをデータ解析部220へ渡すと、データ解析部220は、取得した受信データが画像データであるか否かを判断し、画像データであると判断した場合は、その画像データをラスタデータに変換し、このラスタデータを印刷部230に渡す。
印刷部203はデータ解析部220から取得したデータ(ラスタデータ)に対する印刷処理を実施して、そのデータに対応する画像を用紙に印刷するとともに、印刷が完了するとその旨を制御部250へ通知する。
また、データ解析部220は、取得した受信データがジョブイベントコマンドであると判断した場合は、そのジョブイベントコマンドを制御部250に渡す。
制御部250は、ジョブイベントコマンドが「停止コマンド」の場合、画像読取装置10からのジョブ処理を一旦停止させ、画像読取装置10からのジョブの受付可能状態から、他の装置例えば他の画像読取装置やコンピュータからのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態へ移行させる。
また、制御部250は、ジョブイベントコマンドが「再開コマンド」の場合、他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態から、当該ジョブ(他のジョブ)の受付不可状態へ、つまり画像読取装置10からのジョブの受付可能状態へ移行させる。
次に、画像形成システム1において、原稿2枚を用紙(2枚)に片面印刷する場合の画像読取装置10と画像形成装置20間で送受信されるデータのデータ通信の処理手順を示すシーケンス(動作シーケンス)について、図5を参照して説明する。
画像読取装置10が、ジョブ開始(ジョブ開始指示)を検知したことに起因して「開始コマンド(JobID=001、BW、Simp、Tray1のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S201)、画像形成装置20は新規ジョブとして認識し、開始応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S202)。
ここで、開始コマンドのパラメータのうち、「JobID=001」はジョブIDを示し、「BW」はカラーモードを示し、「Simp」は両面指定を示し、「Tray1」は給紙トレイを示す。
画像読取装置10が1枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page1)を画像形成装置20へ送信すると(S203)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page1)を印刷する。
次に、画像読取装置10が2枚目の原稿の読み取り時にジャム発生を検知し、「停止コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S204)、画像形成装置20は、画像読取装置10からのジョブ処理を一旦停止し、画像読取装置10からのジョブの受付可能状態から他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態へ移行し、さらに停止応答(応答結果「OK」)を画像読取部10へ送信する(S205)。
画像読取装置10は、ジャム解除を検知したことに起因して「再開コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S206)、画像形成装置20は、他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態から当該ジョブの受付不可状態へ移行し、画像読取装置10からのジョブに対する処理に備え、さらに再開応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S207)。
画像読取装置10は、2枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page2)を画像形成装置20へ送信すると(S208)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page2)を印刷する。
画像読取装置10は、ジョブ終了(ジョブ終了指示)を検知したことに起因して「終了コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S209)、画像形成装置20は画像読取装置10からのジョブ終了を認識する。
以上説明したように、画像読取装置10と画像形成装置20との間で実施されるジョブ処理の途中で、画像読取装置10に例えばジャムが発生したときは、画像読取装置10から画像形成装置20へ当該ジョブにかかわる「停止コマンド」が送信され、そのエラーが解除されたときは、画像読取装置10から画像形成処理20へ当該ジョブにかかわる「再開コマンド」が画像形成処理20へ送信された後、画像読取装置10から画像形成装置20へ画像データの送信が再開されるので、画像形成装置20は、画像読取装置10による画像データの送信停止から送信再開までの間に、他の画像読取装置からの他のジョブの画像データを受け付けたとしても、画像読取装置10との間のジョブ処理を継続し、印刷処理を実施することができる。
例えば原稿2枚を1枚の用紙に両面印刷する場合、あるいは原稿2枚をソート指定で用紙(2枚)に印刷する場合に、1枚目の原稿に対応する画像データが画像読取装置10から画像形成装置20へ送信された後に、画像読取装置10にジャムが発生して2枚目の画像データの送信が停止され、その後、そのジャムが解除されたことにより2枚目の画像データの送信が再開されたときは、画像形成装置20は、受信した1枚目の原稿に対応する画像データおよび2枚目の原稿に対応する画像データを基に、両面印刷あるいはソート指定での印刷を実施することができる。
図6は、実施の形態1に係る画像形成システムのハードウェア構成を示している。
画像形成システム1は、図6に示すように、複数の画像読取装置10,30と画像形成装置20とが通信回線40を介して接続される。
画像読取装置10は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)11、操作パネル部12、RAM(Random Access Memory:随時書き込み読み出しメモリ)13、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)14、画像読取部15および通信インターフェース(以下「通信I/F」という)16を備えている。
操作パネル部12は操作・表示部140(図1参照)の機能を果たし、画像読取部15は画像読取部120(図1参照)の機能を果たし、通信I/F16はI/F部110(図1参照)の機能を果たす。
RAM13は、画像読取部15が原稿を読み取った結果、該読取結果に対応して光電気変換された結果(画像データ)、画像形成装置20に向けて送信すべき送信データつまり画像読取装置10にかかわる印刷ジョブ、通信I/F16を介して受信された受信データなど、各種のデータを記憶する。
ROM14は、図4に示した読取処理(画像データ処理)の処理手順に対応するプログラムや、図5に示したシーケンスの処理手順のうち画像読取装置10が担当する処理手順に対応するプログラムを含む所定のプログラム(画像データ処理プログラム14A)を記憶している。また、ROM14は、図3に示した複数のジョブイベントコマンド(開始コマンドなど)とこれらのコマンドの意味とを対応付けて記憶している。
なお、画像データ処理プログラム14Aには、少なくとも次の(1)および(2)の処理過程が含まれている。
(1)原稿画像を読み取り該読み取った結果を基に画像データを生成する生成処理過程。
(2)上記生成処理過程により生成された画像データにかかわる印刷ジョブに対する印刷制御に関する印刷制御情報を画像形成装置に向けて通知する通知処理過程。
CPU11は、画像処理部120(図1参照)の機能および制御部150(図1参照)の機能を果たす。例えば、CPU11は、ROM14からRAM13へ画像データ処理プログラム14Aを読み込んで実行することにより、読取処理(画像データ処理)を遂行させ、しかも印刷ジョブに関しての制御情報を画像形成装置20に向けて通知する通知手段の機能を果す。また、CPU11は、画像読取装置11全体を統括的に制御する。
画像形成装置20は、CPU21、RAM22、ROM23、操作パネル部24、通信I/F25、および画像出力装置26を備えている。
操作パネル部24は操作・表示部240(図1参照)の機能を果たし、通信I/F25はI/F部210(図1参照)の機能を果たし、画像出力装置26は印刷部230(図1参照)の機能を果たす。
ROM23には、図5に示したシーケンスの処理手順のうち画像形成装置20が担当する処理手順に対応するプログラムや、画像形成処理の処理手順に対応するプログラムなど、所定のプログラム、図3に示した複数のジョブイベントコマンド(開始コマンドなど)とこれらのコマンドの意味とを対応付けした情報を記憶している。
RAM22は、通信I/F25が受信したデータ(印刷ジョブ、ジョブイベントコマンドなど)、ROM23から読み出されたプログラムやデータなどを記憶する。
CPU21は、データ解析部220(図1参照)の機能および制御部250(図1参照)の機能を果たす。例えば、CPU21は、通信I/F25を介してジョブイベントコマンド「停止コマンド」を取得した場合、画像読取装置10からの印刷ジョブの受付可能状態から他の所定の装置たとえば他の画像読取装置やコンピュータから送信される印刷ジョブの受付可能状態へ移行させ、さらに停止応答(応答結果「OK」)を通信I/F25を介して画像読取装置10へ送信する。
以上説明したように、実施の形態1では、画像読取装置10と画像形成装置20との間で実施されるジョブ処理の途中で、画像読取装置10にエラーが発生したことにより画像データの送信が停止され、そのエラーが解除されたことにより画像データの送信が再開されたときは、画像形成装置20は、画像読取装置10による画像データの送信停止から送信再開までの間に、他の画像読取装置からの他のジョブの画像データを受け付けたとしても、画像読取装置10との間のジョブ処理を継続して印刷処理を実施することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る画像形成システムについて説明する。
本実施の形態2の画像形成システムも、図1および図2に示した実施の形態1の画像形成システムと同様の構成になっている。また、画像読取装置10から画像形成装置20へ通知するジョブの区切れを識別するジョブイベントコマンド、および画像読取装置同士で授受するジョブイベントコマンドも、図3に示したジョブイベントコマンドと同様になっている。
ここでは、画像読取装置10を第1の画像読取装置10とし、画像読取装置30を第2の画像読取装置30とする。
本実施の形態2では、第1の画像読取装置10において、通知手段の機能を果たす制御部150は、実施の形態1の通知手段の機能に加えて、制御情報としての所定の印刷ジョブに対する処理の開始を示す旨を画像形成装置20に向けて通知した後に、ジョブ検知部(異常検知手段)132によって異常が検知(ジャム発生が検知)されたときは、制御情報(ジョブイベントコマンド)としての当該所定の印刷ジョブに対する処理の移行を示す旨(処理移行コマンド)を、例えば第2の画像読取装置30に向けて通知する機能も有している。
第2の画像読取装置30は、I/F部(制御情報受付手段)210が、第1の画像読取装置10の制御部(通知手段)150から通知された制御情報(ジョブイベントコマンド)としての処理の移行を示す旨(処理移行コマンド)を受け付けたときは、所定の印刷ジョブに対する処理を継続するようになっている。
第2の画像読取装置30も、図1に示した画像読取装置(第1の画像読取装置)10と同様の機能構成になっているので、ここではその詳細な説明は省略する。なお、操作・表示部140は、図示しない移行指示ボタンを備えている。
次に、画像読取装置による読取処理(画像データ処理)について、図7を参照して説明する。
図7は、その読取処理(画像データ処理)の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図4に示した実施の形態1の処理手順においてステップS112〜ステップS115を削除し、ステップS121およびステップS122を追加した処理手順になっている。
すなわち、第1の画像読取装置10では、制御部150は、ジャムが発生したと判断した場合に、「停止コマンド」を、I/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信し(ステップS111)、その後、ユーザによる操作・表示部140のジョブ移行ボタン(図示せず)が押下されたことに起因して操作・表示部140から通知されるジョブ移行指示を受け取ると(ステップS121)、「処理移行コマンド」を、I/F部110を介して第2の画像読取装置30に向けて送信する(ステップS122)。
次に、画像形成システム1において、原稿2枚を用紙(2枚)に片面印刷する場合の第1の画像読取装置10から開始されたジョブを第2の画像読取装置30へ移行させて、ジョブを継続する動作について、図8を参照して説明する。
図8は、第1の画像読取装置(画像読取装置A)10と画像形成装置20間で、また第1の画像読取装置10と第2の画像読取装置(画像読取装置B)30間で、さらに第2の画像読取装置30と画像形成装置20間で、それぞれ送受信されるデータのデータ通信の処理手順を示すシーケンス(動作シーケンス)である。
第1の画像読取装置10が、ジョブ開始(ジョブ開始指示)を検知したことに起因して「開始コマンド(JobID=001、BW、SimpTray1のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S301)、画像形成装置20は新規ジョブとして認識し、開始応答(応答結果「OK」)を第1の画像読取装置10へ送信する(S302)。
第1の画像読取装置10が1枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page1)を画像形成装置20へ送信すると(S303)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page1)を印刷する。
次に、第1の画像読取装置10が2枚目の原稿の読み取り時にジャム発生を検知し「停止コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S304)、画像形成装置20は、画像読取装置10からのジョブ処理を一旦停止し、第1の画像読取装置10からのジョブの受付可能状態から他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態へ移行し、さらに停止応答(応答結果「OK」)を画像読取部10へ送信する(S305)。
第1の画像読取装置10は、ジョブ移行指示を検知したことを受けて「処理移行コマンド(JobID=001、BW、Simp、Tray1のパラメータ)」を、同一の通信回線40に接続されている第2の画像読取装置30へ通知する(S306)。
つまり、これは、第1の画像読取装置10から第2の画像読取装置30へ、処理移行の指示と付加情報例えばJobIDおよびジョブ条件(カラーモード、両面指定、給紙トレイ)とを通知することを意味する。
なお、ジョブ移行指示の指示方法としては、第1の画像読取装置10に第2の画像読取装置20のネットワークアドレスを予め登録しておき、ジャムが発生したときに、操作・表示部240にジャム発生の旨および代替の画像読取装置に対応するネットワークアドレスを表示させ、ユーザが、当該ネットワークアドレスを選択(指定)した後、移行指示ボタン(図示せず)を押下する。これにより、操作・表示部240は、移行指示ボタンの押下に応じたジョブ移行指示、および前記選択たされたネットワークアドレスを制御部250へ通知し、制御部250は、その通知内容を受けて、ネットワークアドレスに対応する第2の画像読取装置30に対して、「処理移行コマンド」を送信することになる。
ところで、「処理移行コマンド」を受け取った第2の画像読取装置30は、その処理移行コマンドの指示内容に含まれるジョブ条件(カラーモード、両面指定、給紙トレイ)を満足すべく、当該第2の画像読取装置30の機能を設定し、ジョブ待ち受け状態に移行し、さらに処理移行応答(応答結果「OK」)を第1の画像読取部10へ送信する(S307)。
次に、第2の画像読取装置30は、「再開コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S308)、画像形成装置20は、他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態から当該ジョブの受付不可状態へ移行し、第2の画像読取装置30からのジョブに対する処理に備え、さらに再開応答(応答結果「OK」)を第2の画像読取装置30へ送信する(S309)。
第2の画像読取装置30は、2枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page2)を画像形成装置20へ送信すると(S310)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page2)を印刷する。
第2の画像読取装置30は、ジョブ終了(ジョブ終了指示)を検知したことに起因して「終了コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S311)、画像形成装置20は第2の画像読取装置30からのジョブ終了を認識する。
以上説明したように、第1の画像読取装置10と画像形成装置20との間で実施されるジョブ処理の途中で、例えばジャムが発生する場合(ジャムが頻繁に発生する場合)に、第2の画像読取装置30によってそのジョブ処理を継続することができる。
これにより、例えば原稿2枚を1枚の用紙に両面印刷する場合、あるいは原稿2枚をソート指定で用紙(2枚)に印刷する場合に、1枚目の原稿に対応する画像データを第1の画像読取装置10から画像形成装置20へ送信した後に、第1の画像読取装置10にジャムが発生したときは、第2の画像読取装置30が、そのジョブ処理を継続して、2枚目の原稿に対応する画像データを画像形成装置20へ送信することで、画像形成装置20は、受信した1枚目の原稿に対応する画像データおよび2枚目の原稿に対応する画像データを基に、両面印刷あるいはソート指定での印刷を実施することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る画像形成システムについて説明する。
図9は、実施の形態3に係る画像形成システム1の機能構成を示している。
この図9に示す画像形成システム1は、図1に示した実施の形態1の画像形成システム1の機能構成において、画像読取装置10に記憶部160を追加し、また画像形成装置20に記憶部260を追加した構成になっている。なお、図9において、図1に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
画像読取装置10において、記憶部160は、画像処理部120によって処理された画像データを一時的に記憶する。
記憶部260は、データ解析部230によって処理された画像データを一時的に記憶する。
本実施の形態3では、画像読取装置10のI/F部110は、原稿画像に対応する画像データを画像形成装置20に向けて送信する画像データ送信手段の機能を有している。
また、本実施の形態3では、画像形成装置20のI/F部210は、I/F部(画像データ送信手段)110からの画像データを受信する画像データ受信手段の機能を有している。また記憶部260は、I/F部(画像データ受信手段)が受信した画像データを記憶する記憶手段の機能を有している。
図10は、画像読取装置10から画像形成装置20へ通知するジョブの区切れを識別するためのジョブイベントコマンドの一覧を示している。基本的に画像読取装置10からコマンド送信すると、その結果が画像形成装置20から応答される。
ここで、ジョブイベントコマンド「開始コマンド」、「終了コマンド」、「停止コマンド」、「再開コマンド」のコマンドの意味は、実施の形態1の場合と同様である。
これらのパラメータには指定パラメータとして「ジョブ識別情報(ジョブID)」が設定される。上述した5つのコマンドに対する応答としては、肯定を意味する「OK」または否定を意味する「NG」がある。「停止コマンド」に関しては「破棄したデータのページ識別情報(PageID)も指定パラメータとして設定される。これらの応答信号は、コマンドを受信した画像形成装置からコマンドの送信元である画像読取装置に向けて送信される。
実施の形態3に係る画像読取装置10による読取処理(画像データ処理)は、図4に示した実施の形態1の読取処理(画像データ処理)の処理手順と同様である。なお、この場合、ステップS102において設定されるパラメータ(カラーモード、両面指定、給紙トレイなど)は、ジョブイベントコマンドのパラメータとして設定されず、例えばヘッダ情報として最初の画像データに付加される。もちろん、パラメータ(カラーモード、両面指定、給紙トレイなど)を、ジョブイベントコマンドのパラメータに含めるようにしてもよい。また、ユーザによるパラメータの設定が行われない場合は、デフォルトのパラメータが採用されるようになっているので、ステップS102は省略することも可能である。
次に、画像形成システム1において、原稿2枚を用紙(2枚)に片面印刷する場合の画像読取装置10と画像形成装置20間で送受信されるデータのデータ通信の処理手順を示すシーケンス(動作シーケンス)について、図11を参照して説明する。
画像読取装置10が、ジョブ開始(ジョブ開始指示)を検知したことに起因して「開始コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S401)、画像形成装置20は新規ジョブとして認識し、開始応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S402)。
ここで、開始コマンドのパラメータのうち、「JobID=001」はジョブIDを示す。
画像読取装置10が1枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page1)を画像形成装置20へ送信すると(S403)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page1)を印刷する。
次に、画像読取装置10が2枚目の原稿の読み取り時にジャム発生を検知し「停止コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S404)、画像形成装置20は、画像読取装置10からのジョブ処理を一旦停止し、画像読取装置10からのジョブの受付可能状態から他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態へ移行し、さらに停止応答(応答結果「OK」)を画像読取部10へ送信する(S405)。
この場合、画像形成装置20内に印刷すべき画像データは存在しないため、画像データの破棄する処理は実施されない。
画像読取装置10は、ジャム解除を検知したことに起因して「再開コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S406)、画像形成装置20は、他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態から当該ジョブの受付不可状態へ移行し、画像読取装置10からのジョブに対する処理に備え、さらに再開応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S407)。
画像読取装置10は、2枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page2)を画像形成装置20へ送信すると(S408)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page2)を印刷する。
画像読取装置10は、ジョブ終了(ジョブ終了指示)を検知したことに起因して「終了コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S409)、画像形成装置20は画像読取装置10からのジョブ終了を認識する。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る画像形成システムについて説明する。
この実施の形態4の画像形成システムは、図9に示した実施の形態3の画像形成システム1と同様の構成になっている。また、画像読取装置10から画像形成装置20へ通知するジョブの区切れを識別するジョブイベントコマンドも、図10に示した実施の形態3のジョブイベントコマンドと同様になっている。
また、本実施の形態3では、画像形成装置20の処理手段の機能を果たす制御部250は、実施の形態1で説明した機能に加えて、次の機能も有している。
すなわち、制御部250は、I/F部(制御情報受付手段)210が受け付けたジョブイベントコマンド(制御情報)としての停止コマンド(処理の停止を示す旨)に基づき、記憶部(記憶手段)260に記憶され印刷出力することのできない画像データを破棄するとともに、画像読取装置10からの印刷ジョブの受付可能状態から画像読取装置10とは異なる通信回線40に接続される所定の装置から送信される印刷ジョブの受付可能状態へ移行させる機能を有する。
また、本実施の形態4では、画像形成装置20のデータ解析部220は、I/F部210から取得した画像データが、ジョブイベントコマンドあるいはジョブ条件を基に、両面印刷、ソート指定での印刷など複数のページ分の画像データに基づき印刷処理される画像データであると解析したときは、その画像データを記憶部260に保存する。
さらに、実施の形態4に係る画像読取装置10による読取処理(画像データ処理)は、図4に示した実施の形態1の読取処理(画像データ処理)の処理手順と同様である。なお、この場合、ステップS102において設定されるパラメータ(カラーモード、両面指定、給紙トレイなど)は、ジョブイベントコマンドのパラメータとして設定されず、例えばヘッダ情報として最初の画像データに付加される。もちろん、パラメータ(カラーモード、両面指定、給紙トレイなど)を、ジョブイベントコマンドのパラメータに含めるようにしてもよい。また、ユーザによるパラメータの設定が行われない場合は、デフォルトのパラメータが採用されるようになっているので、ステップS102は省略することも可能である。
次に、画像形成システム1において、原稿2枚を用紙(1枚)に両面印刷する場合の画像読取装置10と画像形成装置20間で送受信されるデータのデータ通信の処理手順を示すシーケンス(動作シーケンス)について、図12を参照して説明する。
画像読取装置10が、ジョブ開始(ジョブ開始指示)を検知したことに起因して「開始コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S501)、画像形成装置20は新規ジョブとして認識し、開始応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S502)。
画像読取装置10が1枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page1)を画像形成装置20へ送信すると(S203)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page1)を記憶部260に保持する。
次に、画像読取装置10が2枚目の原稿の読み取り時にジャム発生を検知し「停止コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S504)、画像形成装置20は、画像読取装置10からのジョブ処理を一旦停止し、画像読取装置10からのジョブの受付可能状態から他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態へ移行する。
また、画像形成装置20は、記憶部260に印刷すべき画像データ(Page1)が存在するため、その画像データ(Page1)を破棄し、画像データ(Page1)を破棄した旨を、停止応答(応答結果「OK」)とともに画像読取装置10へ通知する(S505)。
ここで、画像データ(Page1)を破棄した旨は、ページ識別情報を意味し、例えば1ページ目の原稿に対応する画像データ(Page1)の場合ではページID(PageID)=1となる。
すなわち、画像形成装置20は、ジョブ停止指示を受信すると、受信済み画像データのうち、印刷できない画像データを破棄するとともに破棄した画像データの情報(例えばページID(PageID)=1)を画像読取装置10へ通知し、他ジョブの受付可能状態へ移行する。
画像読取装置10は、ジャム解除を検知すると、停止応答に含まれる画像データ(Page1)が破棄された旨を基に、画像形成装置20で破棄された画像データを認識し、破棄されたページの原稿(1枚目の原稿)を再セットすべき旨を操作・表示部240に表示し、「再開コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知する(S506)。
すなわち、画像読取装置10は、停止応答に含まれる画像データ(Page1)が破棄された旨を基に破棄された画像データを認識し、画像読取装置10の異常解除(ジャム解除)時に、破棄された画像データに該当する原稿を再セットするようユーザへ警告表示する。
画像形成装置20は、その「再開コマンド(JobID=001のパラメータ)」を受け取ると、他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態から当該ジョブの受付不可状態へ移行し、画像読取装置10からのジョブに対する処理に備え、さらに再開応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S507)。
画像読取装置10は、1枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page1)を画像形成装置20へ送信すると(S508)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page1)を記憶部260に蓄積する。
画像読取装置10は、2枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page2)を画像形成装置20へ送信すると(S509)、画像形成装置20は画像データ(Page2)を受信し、この画像データ(Page2)と記憶部260に記憶されている画像データ(Page1)とに基づき両面印刷する。
画像読取装置10は、ジョブ終了(ジョブ終了指示)を検知したことに起因して「終了コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S510)、画像形成装置20は画像読取装置10からのジョブ終了を認識する。
以上説明したように、実施の形態4では、画像読取装置10の異常時(例えばジャム発生時)、画像形成装置20は、その画像読取装置10によって占有されることなく、他の所定の装置例えば他の画像読取装置あるいはコンピュータからのジョブの受付可能状態(ジョブの印刷依頼の受付可能状態)へ移行でき、しかも画像形成装置内のリソース利用(例えばメモリ資源の利用)が制限されることはない。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係る画像形成システムについて説明する。
この実施の形態5の画像形成システムも、図9に示した実施の形態3の画像形成システム1と同様の構成になっている。また、画像読取装置10から画像形成装置20へ通知するジョブの区切れを識別するジョブイベントコマンドも、図10に示した実施の形態3のジョブイベントコマンドと同様になっている。
また、本実施の形態5では、画像形成装置20の処理手段の機能を果たす制御部250は、実施の形態1で説明した機能に加えて、次の機能も有している。
すなわち、制御部250は、記憶部(記憶手段)260に記憶され印刷出力することのできない画像データを画像読取装置10に向けて送信するとともに、画像読取装置10からの印刷ジョブの受付可能状態から画像読取装置10とは異なる通信回線40に接続される所定の装置から送信される印刷ジョブの受付可能状態へ移行させる機能を有している。
次に、画像読取装置による読取処理(画像データ処理)について、図13を参照して説明する。
図13は、その読取処理(画像データ処理)の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図4に示した実施の形態1の処理手順においてステップS112〜ステップS115を削除し、ステップS131〜S135を追加した処理手順になっている。
すなわち、画像読取装置10において、制御部150は、ジャムが発生したと判断した場合に、「停止コマンド」を、I/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信し(ステップS111)、その画像形成装置20から送信される画像データを受信し(ステップS131)、その受信した画像データを記憶部160に保存し、その後、ジャムが解除されたか否かを判断する(ステップS132)。
ところで、画像形成装置20から画像読取装置10に向けて画像データが送信されるのは、例えば両面印刷、ソート指定での印刷など複数の画像データ(複数のページ分の画像データ)に基づき印刷処理が実施される場合における当該複数の画像データのうちの一部の画像データが、画像形成装置20によって受信され蓄積されているときに、画像読取装置10で異常が発生(ジャムが発生)したときである。
ジャム検知部132からジャムの発生を検知した旨が通知されている場合にはジャム発生中であると判断され、これに対し、ジャムの原因となっている原稿が取り除かれ、ジャム検知部132によってジャムの発生が検知されない場合はジャムが解除されたと判断される。
制御部150は、ステップS132において、ジャムが解除されていない場合にはジャムが解除されるまで待機し、一方、ジャムが解除された場合は、操作・表示部140からのスタートボタン(図示せず)が押下された旨の通知を受けて(ステップS133)、「再開コマンド」を、I/F部110を介して画像形成装置20に向けて送信するとともに(ステップS134)、記憶部160に保存されている画像形成装置20からの画像データを画像形成装置20に向けて送信する(ステップS135)。
ステップS135が終了した場合は、ステップS108に進む。
なお、図13の読取処理(画像データ処理)の処理手順において、ステップS102において設定されるパラメータ(カラーモード、両面指定、給紙トレイなど)は、ジョブイベントコマンドのパラメータとして設定されず、例えばヘッダ情報として最初の画像データに付加される。もちろん、パラメータ(カラーモード、両面指定、給紙トレイなど)を、ジョブイベントコマンドのパラメータに含めるようにしてもよい。また、ユーザによるパラメータの設定が行われない場合は、デフォルトのパラメータが採用されるようになっているので、ステップS102は省略することも可能である。
次に、画像形成システム1において、原稿2枚を用紙(1枚)に両面印刷する場合の画像読取装置10と画像形成装置20間で送受信されるデータのデータ通信の処理手順を示すシーケンス(動作シーケンス)について、図14を参照して説明する。
画像読取装置10が、ジョブ開始(ジョブ開始指示)を検知したことに起因して「開始コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S501)、画像形成装置20は新規ジョブとして認識し、開始応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S602)。
画像読取装置10が1枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page1)を画像形成装置20へ送信すると(S603)、画像形成装置20は受信した画像データ(Page1)を記憶部260に保持する。
次に、画像読取装置10が2枚目の原稿の読み取り時にジャム発生を検知し「停止コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S604)、画像形成装置20は、画像読取装置10からのジョブ処理を一旦停止し、画像読取装置10からのジョブの受付可能状態から他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態へ移行する。
また、画像形成装置20は、記憶部260に印刷すべき画像データ(Page1)が存在するため、「停止コマンド」に対する停止応答(応答結果「OK」、PageID=1)を画像読取装置10へ通知するとともに(S605)、記憶部260に記憶されている画像データ(Page1)を画像読取装置10へ送信する(S606)。
このステップS606において、記憶部260に記憶されている画像データ(Page1)が画像読取装置10へ移動される(戻される)ので、記憶部260には画像データ(Page1)は存在しない。そのため記憶部260の空き容量(未使用の記憶容量)は、その画像データ(Page1)のサイズ分のデータ容量だけ増加することになる。
画像読取装置10は、ジャム解除を検知したことに起因して「再開コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S607)、画像形成装置20は、他の装置からのジョブ(他のジョブ)の受付可能状態から当該ジョブの受付不可状態へ移行し、画像読取装置10からのジョブに対する処理に備え、さらに再開応答(応答結果「OK」)を画像読取装置10へ送信する(S608)。
画像読取装置10はジョブ再開コマンドに対する応答通知を受けて、画像形成装置20から送信され記憶部160に記憶されている画像データ(Page1)を画像形成装置20に向けて再送信する(S609)。
すなわち、画像読取装置10は、異常発生時(ジャム発生時)に画像形成装置20から送信されてきた画像データを記憶部160に保存し、その異常解除時(ジャム解除時)に、保持されている画像データを画像形成装置20へ再送信する。
画像読取装置10は、2枚目の原稿を読み取りこの読み取った結果に対応する画像データ(Page2)を画像形成装置20へ送信すると(S610)、画像形成装置20は画像データ(Page2)を受信し、この画像データ(Page2)と記憶部260に記憶されている画像データ(Page1)とに基づき両面印刷する。
画像読取装置10は、ジョブ終了(ジョブ終了指示)を検知したことに起因して「終了コマンド(JobID=001のパラメータ)」を画像形成装置20へ通知すると(S611)、画像形成装置20は画像読取装置10からのジョブ終了を認識する。
以上説明したように、実施の形態5の画像形成システムでは、実施の形態1の画像形成システムと比較して、異常が発生(ジャムが発生)したときに、画像形成装置20においてジョブイベントコマンドに基づく所定の処理の対象である画像データ(例えば画像データ(Page1))にかかわる原稿の読み取り動作を再度実施する必要はない。
また、画像読取装置10の異常時(例えばジャム発生時)、画像形成装置は、その画像読取装置によって占有されることなく、他の所定の装置例えば他の画像読取装置あるいはコンピュータからのジョブの印刷を受付可能状態へ移行でき、しかも画像形成装置内のリソース利用(例えばメモリ資源の利用)が制限されることはない。
ところで、上述した実施の形態2〜5の各画像形成システムのハードウェア構成は、図6に示した実施の形態1の画像形成システム1の場合と同様になっている。ただし、実施の形態3〜5の各画像形成システム1において、画像読取装置10のRAM13は記憶部160の機能を有し、また画像形成装置20のRAM22は記憶部260の機能を有している。
上述した実施の形態1から実施の形態5において、原稿がセットされた後に設定されるパラメータは、カラーモード、両面指定、給紙トレイであるとしているが、これに限定されることなく、これらのパラメータ、モノクロモード、片面指定およびソート指定の各パラメータを含む複数のパラメータの中の1以上のパラメータであればよい。
本願明細書において、画像読取装置の各機能を実現し、上記読取処理(画像データ処理)の処理手順を示すプログラムを含む所定のプログラム(画像データ処理プログラム)を記録媒体としてのROMに記憶する実施形態として説明したが、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
すなわち、上記所定のプログラムをハードディスクなどの記憶装置に格納しておき、CPUが、このプログラムをこの記憶装置から主記憶装置へローディングして実行するようにしても良い。
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしても良い。この場合、その記録媒体に記録されたプログラムを画像読取装置がインストールした後、このプログラムをCPUが実行するようにする。このプログラムのインストール先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置がある。そして、画像読取装置は、必要に応じてこの記憶装置に記憶したプログラムを主記憶装置にローディングして実行する。
さらには、画像読取装置を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータ等のコンピュータと接続するようにし、当該画像読取装置が、サーバ装置あるいはコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、このプログラムを実行するようにしても良い。この場合、このプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)がある。そして、当該画像読取装置が、必要に応じてこの記憶装置に記憶された上記プログラムを主記憶装置にローディングして実行するようにする。