JP2009231789A - 3次元モールドの製造方法、3次元モールド、加工物及び樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の3次元モールドの製造方法では、レジスト層を基体上に備える被加工物を準備する工程、第一の加熱工程、照射工程、第二の加熱工程、及び現像工程を少なくとも有する。レジスト層は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含む。下記一般式(1)において、R1は水素原子又は1価の有機基を表し、R2は1価の有機基を表し、nは1〜3の整数を表す。第二の加熱工程ではレジスト層を300℃以上で加熱する。更にこの製造方法によって得られる3次元モールドをモールドとして、加工物及び樹脂成形品を作製する。
【選択図】なし
Description
一方、高いアスペクト比を実現すべく、レジスト組成についても多くの研究がなされている(例えば、特許文献4参照。)
しかし、高アスペクト比を有する周期的な微細構造を作製するには、膨大なコストと時間を要する。
また、本発明の第二の課題は、この製造方法によって得られる3次元モールド、加工物、及び樹脂成形品を提供することである。
前記レジスト層を加熱する第一の加熱工程と、
前記第一の加熱工程後に、前記レジスト層に電子線を照射する照射工程と、
前記照射工程後に、前記レジスト層を300℃以上で加熱する第二の加熱工程と、
前記第二の加熱工程の後に、レジスト層を現像液により現像する現像工程と、
を有する3次元モールドの製造方法である。
前記第一の加熱工程での加熱温度が200℃以上450℃以下であり、前記第二の加熱工程での加熱温度が300℃以上575℃以下であることを特徴とする前記<6>又は<7>に記載の3次元モールドの製造方法である。
前記第一の加熱工程での加熱温度が270℃以上320℃以下であり、前記第二の加熱工程での加熱温度が410℃以上500℃以下であることを特徴とする前記<6>又は前記<7>に記載の3次元モールドの製造方法である。
前記第一の加熱工程での加熱温度が350℃以上450℃以下の範囲であり、前記第二の加熱工程での加熱温度が350℃以上550℃以下の範囲であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の3次元モールドの製造方法である。
本発明の3次元モールドの製造方法では、(1)レジスト層を準備する工程と、(2)第一の加熱工程(以下、PB(Pre Bake)と称する場合がある)と、(3)照射工程と、(4)第二の加熱工程(以下、PEB(Post Exposure Bake)と称する場合がある)と、(5)現像工程と、を少なくとも有する。
図1(A)と(B)とを比較すれば明らかなように、PEBを行なわない場合(図1(B))にはレジスト層20の表面の膜減りが著しいのに対して、PEBを行なった場合(図1(A))にはこの膜減りが抑えられる。この原因は、PEBの加熱によってレジスト層20表面の未照射部がSi−O−Si化し、現像液に対する濡れ性が低下しているためと思われる。一方、照射部のオルガノシロキサンSi−R1は、電子線照射によってSi−OHとなる。Si−OHはSi−R1に比べて現像液に対する濡れ性が高いので、現像液による現像性が高くなっているものと推測される。
すなわち、未照射部分ではSi−O−Si化して現像性が低くなり、照射部分ではSi−OHにより現像性が高くなり、結果、照射部と未照射部での現像性の差異が大きくなって高アスペクト比のパターンを実現しているものと推測される。
パターンが微細になるほど電子線Bの照射距離間隔が狭まり、隣りのパターンでの電子線照射の影響を受け易くなる(以下「近接効果」と称する場合がある)。これは電子線がレジスト膜内で散乱することによる。また、図2に示すように、散乱電子から放出された2次電子によって更に近接効果を増長させる。その結果、近接効果が現れる微細パターンにおいては、設計した寸法から外れてパターンが広がり易くなり、またレジスト表面の膜減りが大きくなり易い。
このような近接効果の大きい微細なパターンを形成する場合にも、PEBは極めて有効である。これは、2次電子のエネルギーが低いためにPEBの加熱によってレジストがアニーリングされ、仮に2次電子によって結合が切断されたとしてもその結合は元の結合状態に戻るためと考えられる。よって、PEBによって2次電子の散乱によるパターンのラインやスペースの広がりを抑えることができる。
したがって、PEBを採用する本発明の方法は、高アスペクト比を有するパターン形成のほか、微細パターンの形成にも有効である。
基体10上にレジスト層20を有する被加工体100は、予め別途独立に作製しておいたものを用いてもよいし、下記一連の工程における1つの工程として作製してもよい。
レジスト層20は、少なくとも、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含む。更に、レジスト層20はコントラスト増強剤を含んでもよい。
本発明に係るレジスト層20は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含む。
モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリプロポキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリプロポキシシラン、モノプロピルトリメトキシシラン、モノプロピルトリエトキシシランなどのモノアルキルトリアルコキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、モノフェニルトリエトキシシランなどのモノフェニルトリアルコキシシラン等を挙げることができる。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシランなどのジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジフェニルジアルコキシシラン等を挙げることができる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシランなどのトリアルキルアルコキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどのトリフェニルアルコキシシラン等を挙げることができる。
本発明では、光及び/又は熱に感応して、レジスト層20の現像液への溶解度を制御することにより、現像後のレジスト層20の凹凸によるコントラストを増強するコントラスト増強剤を含有することができる。本発明に係るコントラスト増強剤としては、上記の機能を有していれば、特に限定されるものではない。レジスト層20の組成、現像液の種類等によって、公知の化合物から適宜選択することが可能である。
コントラスト増強剤の配合量は、全組成物に対して、1.0質量%以上15.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以上10.0質量%以下が更に好ましい。
−溶剤−
本発明のレジスト層20は、塗布によって形成されることが好ましい。そのため、レジスト層20を形成する塗布液は、塗布性および膜厚均一性を向上させる目的で、溶剤を含むことが好ましい。この溶剤としては、従来より一般的に使用されている有機溶剤が使用できる。
具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノールのような一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネートのようなアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのような多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのような多価アルコール誘導体;酢酸、プロピオン酸のような脂肪酸;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトンなどを挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記塗布液に、その他の樹脂、界面活性剤、密着助剤等の添加剤等を配合することが可能である。その他の配合成分は、所望の機能等によって、適宜選択することが可能である。
界面活性剤を使用する場合の割合は、界面活性剤以外の固形分100質量部に対して、通常、5質量部以下、好ましくは0.01質量部以上2質量部以下である。
接着助剤を使用する場合の割合は、接着助剤以外の固形分100質量部に対して、通常、20質量部以下、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下、特に好ましくは1質量部以上10質量部以下である。
一連の工程の中の一つの工程としてレジスト層20を形成する場合の、レジスト層20形成工程について、以下に説明する。
まず、基体10の上に前述のレジスト塗布液を塗布し、レジスト層20を形成する。
レジスト塗布液の塗布方法は、いずれの方法であってもよく、浸漬法、スピンコート法、蒸着法、スプレー法、ロールコート法等を適用することができるが、塗布膜の厚さの制御のしやすさから、スピンコート法が好ましい。
例えば、得られる加工体をインプリントリソグラフィ用モールドとして使用する場合には、印加される圧力に耐えうる必要があることから、例えば、ガラス、ポリシリコン、ダイヤモンド、炭化ケイ素、サファイア又は樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、或いはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド、キャストナイロン、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン等のエンジニアリングプラスチックなどの耐熱性プラスチック等)などを用いることが好ましい。さらに、光インプリントによるリソグラフィを行なう場合には、光(例えば、UV等)を照射することから、基体10には透明性があることが好ましい。
ダイヤモンドを基体10として用いる場合、天然ダイヤモンド、高温高圧合成によるバルクダイヤモンド又は気相合成によるダイヤモンド膜のいずれであっても同様の微細加工が可能である。気相合成によるダイヤモンド膜である場合には、(111)又は(100)面に配向しているダイヤモンド結晶が、均一なエッチングが可能である点で好ましい。また、前記ダイヤモンドは、不純物元素がドーピングされた半導体ダイヤモンドであってもよい。半導体ダイヤモンドの場合、電子デバイスへの適用も可能となる。ダイヤモンドの高耐摩耗性を利用して、工具及びマイクロマシーン用へも適用が可能である。
接着層を設ける場合、接着層の厚みは、0.1nm以上1nm以下であることが好ましく、2nm以上10nm以下であることが好ましい。
前記塗布工程によって形成されたレジスト層を焼成又は半焼成(PB(Pre Bake))して、一定量の溶媒を除去し、レジスト層20を形成する。PBの加熱温度や加熱時間は、レジストや溶媒の種類によって好適な範囲が異なるので適宜決定する。一般的には、加熱温度や加熱時間を変えてパターンを形成し、アスペクト比が高くなるようなPBの条件を決定する。
PBの加熱温度としては、具体的には100℃以上500℃以下が好ましい。
PBは、大気中、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、真空雰囲気下などで行なうことができる。
PB後、レジスト層20に電子線を照射する。
本発明における電子線の加速電圧は特に制限されず、膜厚やレジスト層20の組成に応じて適宜設定することができる。具体的には、1kV以上200kV以下の加速電圧を適用することができる。
1次電子が基板に達すると基板で電子が散乱する(これを「後方散乱」と称する)。一方、1次電子が基板に達するまでは、電子はレジスト膜中で入射方向と同じ方向又はある程度の角度をもって散乱する(これを「前方散乱」と称する。図2の点線を参照。)。1次電子が基板に達する加速電圧で照射すると、前方散乱よりも後方散乱が支配的になる。レジスト表面の膜減りは前方散乱による影響が大きいため、後方散乱が支配的な条件で照射した場合にはレジスト表面の膜減りを抑えることができる。
また、線幅は電子ビーム径に比例するために、電子ビーム径を調整することによっても、100nm以下、さらには80nm以下、調整によっては10nm程度に、微細に形成することができる。電子ビーム径は、3nm程度まで集束可能であり、ナノオーダーの線幅でレジスト層20を加工することができる。
しかしながら、電子ビーム径を細くするにはビーム電流を下げる必要があり、それゆえ照射のための時間を要し、結局生産効率の低下に繋がることになる。また、所望の電子ビーム径に調節するのは難しく煩雑な操作を要する。そこで、可能な限り電子ビーム径を最小値となるように固定した上でドーズ量等を調節することで、目的の加工線幅を得ることが好ましい。
第二の加熱工程(PEB)では、前記露光工程を経たレジスト層20を焼成又は半焼成する。第二の加熱工程(PEB)での加熱温度は、300℃以上でなければならない。未照射部分のレジスト表面をSi−O−Si化したり、2次電子の散乱によって切断されたシロキサン結合をアニーリングによって元の結合状態に戻すには、300℃以上の熱量が必要であるものと推測される。
好適には、PEB温度は、300℃以上600℃以下であり、より好適には380℃以上600℃以下であり、更に好適には410℃以上575℃以下である。
(i)PB:200℃以上450℃以下、PEB:300℃以上575℃以下
(ii)PB:270℃以上320℃以下、PEB:410℃以上500℃以下
(iii)PB:350℃以上450℃以下、PEB:350℃以上550℃以下
PEB後、レジスト層20を現像液によって現像し、3次元モールド110を形成する。ポジ型レジストの場合、露光部が現像によって取り除かれる。
現像時間は、30〜300秒が好ましく、60〜120秒がより好ましい。
本発明における3次元モールドの「3次元」とは、モールド内に複数の加工部(例えば、繰り返しパターンなど)を有することを意味する。
本発明における3次元モールドは、レジスト層20を基体10上に設けてなる3次元モールド110である。上記製造方法によれば、レジスト層20のアスペクト比を、0.5以上100以下の様々な値に調整することができる。なお、アスペクト比とは、現像後に残存したレジストパターンの線幅に対する残存のレジスト層厚をいう。
本発明では、3次元モールドの作製にPEBを適用しているので、高いアスペクト比を実現でき、2以上100以下のアスペクト比を有する3次元モールドや、更には20以上100以下のアスペクト比や50以上100以下のアスペクト比を有する3次元モールドを得ることができる。
具体的には、アスペクト比100の3次元モールドは、例えば、単独パターン(加工部(スペース)に対してレジスト残存部(ライン)が限りなく広いパターン形状)において、膜厚を1μm(1000nm)とし、電子ビーム径を絞って10nmの加工部(スペース)を形成すれば、作製可能である。なお、単独パターンであっても、PEBを採用しない製造方法では、基板まで加工深さが達しないため、このような高アスペクト比のパターンを得ることはできない。
なお、PEBを採用する本発明の製造方法によれば、上記アスペクト比を有する周期的なパターンを得ることもできる。
また、3次元モールド110を、後述する樹脂成形品の成形用の型として用いることもできる。
本発明の加工物120の製造方法の一例を図4に示す。
上記3次元モールドの製造方法によって得られた、基体10上に凹凸部を有するレジスト層20を設けてなる3次元モールド110に、酸素イオンビーム等を照射して、凹凸に加工された前記基体10、すなわち加工物120、を得ることができる。
基体10が石英の場合は、アルゴンイオンビームを用いることが好ましい。
加工物120の材質は、上記3次元モールドの基体10で説明したものであり、ダイヤモンド、炭化ケイ素、シリコン、ガラス、サファイア又樹脂等を用いることができる。
この加工物120は、次に説明する樹脂成形品の成形用の型として用いることができる。
本発明の樹脂成形品の製造方法では、上記3次元モールド110又は上記加工物120を成形用の型として用いる。3次元モールド110又は上記加工物120に樹脂を押し付ける際、樹脂のガラス転移温度よりも高い温度に設定して樹脂を軟らかくした上で、樹脂に型を押し付けた後、樹脂を硬化し、その後、型と樹脂とを剥離する。
ガラス40と型の間に樹脂30を挟みこみ(図5(1))、圧力を一定に保ったまま(図5(2))、樹脂30を硬化する(図5(3))。その後、型を引き離すと、ガラス40上に樹脂30の樹脂成形品130が形成される(図5(4))。
図5では、型として、基体10上に凹凸部を有するレジスト層20を設けてなる3次元モールド110を用いているが、上述の通り、基体10に凹凸を形成してなる加工物120を用いてもよい。また、ガラス40を用いているがその他の材料であってもよい。
また、型を剥離しやすいよう、型の表面に剥離剤を付与しておくことも好ましい。剥離剤としては、シランカップリング剤を挙げることができ、剥離しやすいよう金属薄膜を設けることも好ましい。しかし、剥離剤も繰り返しインプリントすると剥がれるため、できれば剥離処理なしで行えることが好ましい。なお、基体10にサファイアを用いた加工物120を型として用いると、剥離性が良好である。
熱硬化樹脂としては、PMMA等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド等を挙げることができ、PMMA等のアクリル系樹脂が好ましい。
光硬化樹脂としては、紫外線等で硬化する樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、及びこれらの混合物を挙げることができる。
<レジスト組成物の調製>
メチルトリメトキシシラン367.7g(2.7モル)、テトラメトキシシラン411.0g(2.7モル)、アセトン690.5g、イソプロピルアルコール690.5gを混合、撹拌した。そこに、水340.2g(19.0モル)、濃度60質量%の硝酸58.9μLを加え、さらに3時間撹拌して加水分解反応させた。加水分解率は約200%であった。
その後、26℃で2日間反応させることにより、シロキサンポリマーを含む反応溶液を得た。反応溶液中のシロキサンポリマーの質量平均分子量(Mw)は1956であった。
この得られた反応溶液を、Si換算質量%で7質量%となるように、アセトン:イソプロピルアルコール=1:1の混合溶液で調整した。さらに、調整後の溶液に、下記化合物1の光塩基発生剤(商品名NBC−101、みどり化学社製)を51.4g(0.189モル)添加して、組成物−1を得た。なお、この光塩基発生剤の分解温度は300℃であった。
シリコン基板上に、上記組成物−1を下記表1の条件でスピンコートし1層目のレジスト層を作製した。この後、大気中で、250℃で1時間の加熱(PB)を行なった。
上記で得られた試料1に電子線を照射した。電子線照射には、走査型電子顕微鏡ERA−8800FE(エリオニクス社製)をパソコン上の描画パターンを露光できるように改造したものを用いた。
加速電圧を30kV、ドーズ量を2500μC/cm2に固定して、試料1に電子線を照射した。なお、照射時のビーム電流を0.3×10−9A、ビーム径を20nmに固定した。
電子線照射後の試料1を、大気中で、ホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)にて、425℃で5分間加熱した。
PEB後の試料1を、2.5%フッ酸緩衝液(HF:NH4F=7:3混合液)中に90秒間20℃で浸漬した後、純水でリンスした。
現像後の加工線幅を走査型電子顕微鏡ERA−8800FE(エリオニクス社製)を用いて測定した。その電子顕微鏡写真を図6に示す。図6は、設計値をライン幅/スペース幅で135nm/324nmとしたときに得られたパターンである。
実施例1と同様にして、但し、PEBを行なわずにパターンを形成した。その電子顕微鏡写真を図7に示す。図7も、実施例1の図6と同様に、設計値をライン幅/スペース幅で、135nm/324nmとしたときに得られたパターンである。
<樹脂成形品の製造>
実施例1で得られたレジストパターン(図6)を成形用の型として用いて、樹脂成形品を製造した。光硬化樹脂はPAK−01(東洋合成工業社製)を用い、インプリント圧力は、2.44MPa、保持時間は60秒、紫外線照射量は2J/cm2とした。
実施例1と同様にして(ドーズ量2500μC/cm2に固定)、但し、PEBの加熱温度を変えてパターンを形成した。具体的には、430℃以下の場合には実施例1と同様にホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)で5分間加熱した。それ以上の温度の場合には、マッフル炉(ヤマト科学社製、型番:FO100、製造番号:43200438R)を用いて1時間加熱した。
得られたパターンの加工部分の深さを、段差測定器(Tencor Alpha-Step500;KLA-Tencor Co.製)で測定した。その結果を図9に示す。なお、「加工部分の深さ」及び「加工深さ」とは、スペース部分におけるレジスト表面からの距離を表す。
実施例1と同様にして、但しホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)で、PEBの加熱温度を320℃〜380℃で変えてパターンを形成した。また、露光時のドーズ量を1000μC/cm2〜5000μC/cm2で変更してパターンを形成した。
得られたパターンの加工部分の深さを、実施例3と同様の方法で測定した。その結果を図10に示す。
ここで、本実施例のようにレジスト層厚が1μm程度の場合には、ドーズ量が2000μC/cm2未満では、電子線がシリコン基板まで到達しないため、加工深さが膜厚程度まで達しないが、それ以上のドーズ量であれば、電子線がシリコン基板まで到達していると思われる。
なお、本実施例では、レジスト層を3層積層し、膜厚を約1μmと厚くしているため、ドーズ量が2000μC/cm2以上でないとシリコン基板まで電子線が達していない。しかし、膜厚が薄い場合には、これよりも低いドーズ量で電子線がシリコン基板に達する。したがって、膜厚によっては、ドーズ量を2000μC/cm2未満としても、300℃のPEB温度で加工深さを膜厚程度にまで深くすることが可能である。
実施例1と同様にして、但し、PEBの加熱温度と照射時のドーズ量をそれぞれ変えてパターンを形成した。PEBの加熱温度は、実施例3と同様の方法で変更した。
得られたパターンの加工部分の深さを、実施例3と同様の方法で測定した。その結果を図11に示す。
<レジスト層の形成>
シリコン基板上に、メチルシロキサンポリマーと有機溶媒とを含有するAccuglass SOG512B(ラサ工業社製)を下記条件でスピンコートし、1層目のレジスト層を作製した。
この後、大気中で、425℃で1時間の加熱(PB)を行なった。
上記で得られた試料に電子線を照射した。電子線照射には、走査型電子顕微鏡ERA−8800FE(エリオニクス社製)をパソコン上の描画パターンを露光できるように改造したものを用いた。
加速電圧を30kV、ドーズ量を500μC/cm2〜5000μC/cm2のいずれかに固定して、試料に電子線を照射した。なお、照射時のビーム電流を0.3×10−9A、ビーム径を20nmに固定した。
電子線照射後の試料を、大気中で、ホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)にて、425℃で5分間加熱した。
PEB後の試料を、2.4%フッ酸緩衝液(HF:NH4F=1:1混合液)中に90秒間20℃で浸漬した後、純水でリンスした。
現像後の加工深さを、段差測定器(Tencor Alpha-Step500;KLA-Tencor Co.製)を用いて測定した。得られた結果を図12に示す。
実施例6と同様にして、但しPEBの加熱温度を変えてパターンを形成した。具体的には、425℃まではホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)で5分間加熱した。425℃以上の温度の場合には、マッフル炉(ヤマト科学社製、型番:FO100、製造番号:43200438R)を用いて1時間加熱した。
PEBの加熱温度以外は、実施例6と同様にして実験を行なった。現像後の加工深さを、実施例6と同様の方法で測定した。得られた結果を図12に示す。
実施例6と同様にして、但しPEBを行なわなかった。現像後の加工深さを、実施例6と同様の方法で測定した。得られた結果を図12に示す。
また光塩基発生剤を含まないSOGの場合、300℃〜600℃のいずれのPEB温度でも、加工深さが深くなっていた。特にPEBの効果が見られたのは、350℃〜550℃の範囲であり、600℃では膜減りが発生していた。
実施例1〜7では、レジスト層を3層重ねて膜厚を約1100nmとしたが、実施例8ではレジスト層を1層にして実験を行なった。
シリコン基板上に、実施例1の組成物−1を、3秒間300rpmでプレスピンし、更に10秒間3000rpmでスピンしてスピンコートを行い、レジスト層を作製した。この後、大気中で、300℃で90秒間の加熱(PB)を行なった。
得られた試料の膜厚を測定したところ、約300nmであった。
上記で得られた試料に、実施例1と同じ照射装置で、2kV又は4kVの加速電圧、20〜500μC/cm2のドーズ量で電子線を照射した。なお、照射時のビーム電流を1pA、ビーム径を20nmに固定した。
電子線照射後の試料を、大気中で、ホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)にて、100℃、200℃、300℃、又は425℃で5分間加熱した。また、PEBを行なわないサンプルも作製した。
PEB後の試料を、2.5%フッ酸緩衝液(HF:NH4F=7:3混合液)中に90秒間20℃で浸漬した後、純水でリンスした。
10μm×10μm角のパターンで照射したときの現像後の加工部分の深さを、段差測定器(Tencor Alpha-Step500;KLA-Tencor Co.製)で測定した。その結果を図13に示す。なお図13は、ドーズ量を40μC/cm2に固定したときのPEB温度と現像深さの関係を示すグラフである。ここで「現像深さ」とは、スペース部分における基板からのレジストの高さをいう。つまり、スペース部分におけるレジストの残存膜厚を意味する。
図13に示されるように、レジスト膜厚が300nmのように薄い場合であっても、PEB温度が300℃以上で加工深さが深くなり、高いアスペクト比のパターンが得られた。
加速電圧が2kV、4kVのいずれの場合であっても、PEB温度が300℃以上で現像後の加工線幅が細くなっていた。また、加速電圧は2kVよりも4kVにおいて、現像後の加工線幅が細くなっていた。一方で、加速電圧4kVでは、2kVの場合よりもドーズ量を多く必要とすることが分かった。
図15(A)の写真で示されるように、PEBなしでは、パターンが形成されていなかった。図15(B)のPEB温度200℃の場合にはパターンが形成されるものの、ライン及びスペースの幅が広がり、微細なパターンを形成できなかった。またパターンのエッジの形状も粗く、パターン形状も良好でないことが分かった。
これに対して、図15(C)のPEB温度300℃では、ライン幅が61nm、スペース幅が249nm、図15(D)のPEB温度425℃では、ライン幅が69nm、スペース幅が237nmと、設計値に近いパターンが得られた。更に、パターンのエッジの形状も滑らかであり、パターン形状にも優れていることが分かった。
図16に示すように、スペース幅が狭く、近接効果が大きいパターンであっても、微細なパターンを形成することができた。
<樹脂成形品の製造>
実施例8で得られた図16のレジストパターンを成形用の型として用いて、樹脂成形品を製造した。光硬化樹脂はPAK−01(東洋合成工業社製)を用い、インプリント圧力は、2.44MPa、保持時間は60秒、紫外線照射量は2J/cm2とした。
図17に、得られた樹脂成形品の電子顕微鏡写真を示す。図16のレジストパターンに対応して忠実にパターンが転写されていることが分かる。
<レジスト層の形成>
実施例8と同様にして、シリコン基板上に実施例1の組成物−1のレジスト層を作製した。得られた試料の膜厚を測定したところ、約300nmであった。
上記で得られた試料に、実施例1と同じ照射装置を用いて、4kVの加速電圧、60〜240μC/cm2のドーズ量で電子線を照射した。なお、照射時のビーム電流を17pAに固定した。
このときの照射パターンを図18に示す。1ドット18nmの設計寸法で照射した。
電子線照射後の試料を、大気中で、ホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)にて、300℃、又は425℃で5分間加熱した。
PEB後の試料を、20℃の2.5%フッ酸緩衝液(HF:NH4F=7:3混合液)中に60秒間浸漬した後、純水でリンスした。
図19の電子顕微鏡写真は、PEB温度300℃のときに得られたパターンであり、(A)は、ドーズ量が100μC/cm2、(B)は、ドーズ量が120μC/cm2、(C)は、ドーズ量が140μC/cm2のときに得られたパターンである。
また、図20の電子顕微鏡写真は、PEB温度425℃のときに得られたパターンであり、(A)は、ドーズ量が200μC/cm2、(B)は、ドーズ量が220μC/cm2、(C)は、ドーズ量が240μC/cm2のときに得られたパターンである。
また、図19及び図20に示すように、PEB温度300℃のときよりも425℃において、最適なドーズ量が多くなっていることがわかる。
本発明に係るレジスト層において、1)電子線照射、2)PEB、及び3)現像液による表面状態の変化をFT−IR(NICOLET 6700、Thermo Fisher社製)で観察した。
この実験では、下記3種の試料を用いた。
試料1:PB工程を経た後、電子線を照射した試料。
試料2:PB工程を経た後、電子線を照射し、PEBを行なった試料。
試料3:PB工程を経た後、電子線を照射し、PEBを行ない、フッ酸緩衝液(BHF)で現像した試料。
レジスト層は実施例10と同様のものを用いた。
照射条件は以下の通りである。
・加速電圧: 4kV
・電流: 20nA
・ドーズ量: 100μC/cm2
・1ドット設計値: 360nm
・描画装置: エリオニクス社製 ESA−2000
・描画面積: 3×3mm角
大気中で、ホットプレート(アズワン株式会社製、HP−2SA、製造番号:6AM0286)にて、300℃で5分間加熱した。
PEB後の試料を、20℃の2.5%フッ酸緩衝液(HF:NH4F=7:3混合液)中に15秒間浸漬した後、純水でリンスした。
なお、上記現像条件は、現像後の露光部における状態を測定できるよう、通常の現像時間60秒から15秒に減らして、露光部が残存するように設定している。
1)電子線照射の影響
図21に、上記試料1における電子線照射部および未照射部のFT−IRデータを示す。
図21に示すように、未照射部に存在するSi−C及びアルキル基のピークが消滅し、Si−OHのピークが大きくなっている。このことから、照射によって、珪素原子とアルキル基(有機基)との結合「Si−C」が切断され、その切断部分がSi−OHになったものと思われる。
また、未照射部では、照射部よりも、Si−O−Siのピークが幅広になっている。このことから、未照射部では照射部よりも、Si−O−Siの結合が多く存在することがわかる。
図22には、試料1と試料2における電子線照射部および未照射部のFT−IRデータを示す。なお、図22における試料1のFT−IRデータは、図21の電子線照射部および未照射部のチャートをそれぞれ分けて示したものである。
図22では、PEBを行なっていない試料1とPEBを行なった試料2とを比較することで、PEBの影響を確認することができる。
このことから、PEBは、未照射部のOH基を消失させる作用があると考えられる。未照射部のOH基が消失すると、現像液に対する濡れ性が低下し、現像液に対してより溶けにくい状態になる。これにより、未照射部における膜減りが抑えられる。一方、PEB後の照射部ではOH基の存在が確認されることから、現像液に対して濡れ性があり、現像液に溶解する。
以上から、図21に示すように照射のみによってもパターンが形成されるが、PEBを施すことによって、現像液に対する濡れ性の差異が、未照射部と照射部とでさらに大きくなり、よりコントラストの高いパターンが得られるものと推測される。
図23には、試料2と試料3における電子線照射部および未照射部のFT−IRデータを示す。なお、図23における試料2のFT−IRデータは、図22に示したものと同じものである。
図23では、現像を行なっていない試料2と現像を行なった試料3とを比較することで、現像液による影響を確認することができる。
図23に示されるように、試料2と試料3のチャートで大きな変化はない。したがってPEB後の試料は安定した状態で現像されていることがわかる。これにより、PEBを施す本発明のパターン形成方法は、安定的に細密なパターンを提供し得ることがわかる。
20 レジスト層
30 樹脂
40 ガラス
100 被加工体
110 3次元モールド
120 加工物
130 樹脂成形品
Claims (17)
- 下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含むレジスト層を基体上に有する被加工物、を準備する工程と、
前記レジスト層を加熱する第一の加熱工程と、
前記第一の加熱工程後に、前記レジスト層に電子線を照射する照射工程と、
前記照射工程後に、前記レジスト層を300℃以上で加熱する第二の加熱工程と、
前記第二の加熱工程の後に、レジスト層を現像液により現像する現像工程と、
を有する3次元モールドの製造方法。
〔一般式(1)において、R1は、水素原子又は1価の有機基を表し、R2は、1価の有機基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕 - 前記第二の加熱工程での加熱温度を、300℃以上600℃以下とすることを特徴とする請求項1に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記第二の加熱工程での加熱温度を、410℃以上575℃以下とすることを特徴とする請求項1に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記第二の加熱工程での加熱温度が、前記第一の加熱工程での加熱温度と同じ又はそれ以上であることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記第二の加熱工程での加熱温度が、前記第一の加熱工程での加熱温度よりも、80℃以上150℃以下高いことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記レジスト層が、光及び熱の少なくとも一方に感応して現像液への溶解度を制御するコントラスト増強剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記コントラスト増強剤が、光塩基発生剤であることを特徴とする請求項6に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記レジスト層が、前記コントラスト増強剤を含有し、
前記第一の加熱工程での加熱温度が200℃以上450℃以下であり、前記第二の加熱工程での加熱温度が300℃以上575℃以下であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の3次元モールドの製造方法。 - 前記レジスト層が、前記コントラスト増強剤を含有し、
前記第一の加熱工程での加熱温度が270℃以上320℃以下であり、前記第二の加熱工程での加熱温度が410℃以上500℃以下であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の3次元モールドの製造方法。 - 前記第二の加熱工程での加熱温度が、前記コントラスト増強剤の分解温度よりも、0℃以上200℃以下高いことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記第一の加熱工程での加熱温度が、前記コントラスト増強剤の分解温度に対して−30℃以上10℃以下の範囲にあることを特徴とする請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の3次元モールドの製造方法。
- 前記レジスト層が、光及び熱の少なくとも一方に感応して現像液への溶解度を制御するコントラスト増強剤を含有せず、
前記第一の加熱工程での加熱温度が350℃以上450℃以下の範囲であり、前記第二の加熱工程での加熱温度が350℃以上550℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の3次元モールドの製造方法。 - 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の方法によって製造されてなり、アスペクト比が、2以上100以下の3次元モールド。
- 光学部材に用いる波長板であることを特徴とする請求項13に記載の3次元モールド。
- アスペクト比が2以上100以下の加工部を有する、ダイヤモンド、シリコン、ガラス、サファイア又は耐熱性プラスチックで形成された加工物。
- アスペクト比が2以上100以下の加工部を有する樹脂成形品。
- 光学部材に用いる波長板であることを特徴とする請求項16に記載の樹脂成形品。
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