JP2009231744A - I−iii−vi族カルコパイライト型薄膜系太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

I−iii−vi族カルコパイライト型薄膜系太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】I−III−VI族カルコパイライト化合物の結晶配向性を改善し、光電変換効率の向上を図ることが可能なI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に少なくとも、積層構造の金属裏面電極10と、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体5とが順次積層され、更に透明電極7が積層されてなるI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池であり、積層構造の金属裏面電極10の少なくとも、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体5に接する層が体心立方構造を有し、その結晶配向性が主として(002)配向を有し、かつ、その体心立方構造のa軸の格子定数が面内方向で異なった値を持つことを特徴とするI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、I−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池およびその製造方法に関する。
I−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池は、Inなどの希少金属は用いるものの薄膜であることから、その使用量は極めて少なく低コストの太陽電池として期待されている。さらに、単結晶シリコン太陽電池や単結晶化合物半導体太陽電池のように単結晶基板を用いる必要がないので、この点もコスト面で有利である。I−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池用の基板には、ガラス基板、金属基板などの低コスト基板が一般的に使用される。
さらにI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の光電変換効率も向上しており単結晶シリコン太陽電池の効率に近づきつつある。I−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の光電変換効率も向上させる方法としてアルカリ金属を添加することが効果的であると開示されている(特許文献1)。特許文献1においてはアルカリ金属を添加する理由としてI−III−VI族カルコパイライト化合物Cu(In+Ga)Seの結晶性が促進されていることが挙げられている。
I−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の金属裏面電極にはMoが用いられることが一般的である。理由としては、Moが後処理工程で一般的に用いられるHSeガス、HSガスあるいはSe,Sに対して耐食性を有すること、比較的高い導電性を有することなどが挙げられる。
前述したようにI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の光電変換効率を向上させるためにはI−III−VI族カルコパイライト化合物の結晶性を向上させることが重要であるが、金属裏面電極のMoの結晶配向性を制御して、I−III−VI族カルコパイライト化合物の結晶性を促進させようと試みる研究はあまり実施されていない。
また、特許文献2においては、c軸配向した下地CdSを成膜することによりCuInSeが(112)配向することが示されているが、CdSを如何にc軸配向させるかについては明示されていない。
特開2006−210424号公報 特開平5−48140号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、金属裏面電極のMoあるいはその代替となる材料(例えばW,Ta,Nb,Mo合金、W合金、Ta合金、Nb合金)の結晶構造に意図的に歪みを発生させることにより、I−III−VI族カルコパイライト化合物の結晶配向性を改善し、光電変換効率の向上を図ることが可能なI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、以下の構成を採用することとした。
(1) 基板上に少なくとも、積層構造の金属裏面電極と、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体とが順次積層され、更に透明電極が積層されてなるI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池であり、前記積層構造の金属裏面電極の少なくとも、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層が体心立方構造を有し、その結晶配向性が主として(002)配向を有し、かつ、その体心立方構造のa軸の格子定数が面内方向で異なった値を持つことを特徴とするI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(2) 前記金属裏面電極のうち前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層において、前記体心立方構造のa軸の格子定数の面内方向での分布が2回対称性を持つことを特徴とする(1)に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(3) 前記基板上あるいは、前記積層構造の金属裏面電極の一部に一定方向の条痕を有することを特徴とする(1)または(2)に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(4) 前記積層構造の金属裏面電極が、少なくとも2層構造を有し、それらの2層が基板側から配向制御層、配向層であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(5) 前記積層構造の金属裏面電極が、少なくとも3層構造を有し、それらの3層が基板側からシード層、配向制御層、配向層であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(6) 前記配向制御層が、Cr、V、Cr合金、V合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(7) 前記配向制御層が、RuAl合金からなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(8) 前記配向層が、Mo,W,Ta,Nb,Mo合金、W合金、Ta合金、Nb合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(9) 前記シード層が、Co、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする(5)〜(8)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(10) 前記シード層が、Mo,Wから選ばれる何れか1種類以上と、Ru,Reから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする(5)〜(8)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(11) 前記シード層が、NiP合金、MoP合金、CrP合金、FeP合金、MnP合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする(5)〜(8)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(12) 前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体がI族元素としてCu、Ag、III族元素としてGa,In,Al,VI族元素としてS,Se,Teから選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする(1)〜(11)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(13) 前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体上にn型バッファー層が積層され、前記n型バッファー層上に前記透明電極が積層されていることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(14) 前記n型バッファー層が、CdS合金、InS合金、ZnS合金、ZnMgO合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする(13)に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(15) 前記透明電極が、ITO(In−SnO)、AZnO(ZnO−Al)、IZnO(In−ZnO)、GZO(ZnO−GeO)から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする(1)〜(14)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
(16) 基板上に、積層構造の金属裏面電極と、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体と順次積層し、更に透明電極を積層するI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法であり、前記積層構造の金属裏面電極の少なくとも、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層を、体心立方構造を有し、その結晶配向性が主として(002)配向を有し、かつ、その体心立方構造のa軸の格子定数が面内方向で異なった値を持つ層とすることを特徴とするI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
(17) 前記金属裏面電極のうち前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層を、前記体心立方構造のa軸の格子定数の面内方向での分布が2回対称性を持つ層とすることを特徴とする(16)に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
(18) 前記基板上あるいは、前記積層構造の金属裏面電極の一部に一定方向の条痕を形成することを特徴とする(16)または(17)に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
(19) 前記基板上に、配向制御層及び配向層を順次積層することによって、2層構造の前記金属裏面電極を形成することを特徴とする(16)〜(18)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
(20) 前記基板上に、シード層と、配向制御層と、配向層とを順次積層することによって、3層構造の前記金属裏面電極を形成することを特徴とする(16)〜(19)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
(21) 前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体上にn型バッファー層を積層し、前記n型バッファー層上に前記透明電極を積層することを特徴とする(16)〜(20)のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
本発明のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池においては、積層構造の金属裏面電極の少なくとも、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層(配向層)が体心立方構造を有し、その結晶配向性が主として(002)配向を有し、かつ、その体心立方構造のa軸の格子定数が面内方向で異なった値を持つことにより、I−III−VI族カルコパイライト化合物の結晶配向性が改善され、光電変換効率に優れたI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池が得られる。
さらに、前記体心立方構造のa軸の格子定数の面内方向での分布が2回対称性をもつことで、よりI−III−VI族カルコパイライト化合物の結晶配向性が改善され、光電変換効率に優れたI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池が得られる。
また、本発明のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法によれば、上述の構成により、光電変換効率に優れたI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池を製造することができる。
以下に、本発明のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の一実施形態について、図面を適宜参照しながら説明する。
但し、本発明は以下の実施形態の各々に限定されるものではなく、例えば、これら実施形態の構成要素同士を適宜組み合わせても良い。
[I−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の全体構成]
図1は本発明のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の断面を模式的に示した図である。
図1において、1は基板、2はシード層、3は配向制御層、4は配向層、5はp型I−III−VI族カルコパイライト層(p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体)、6はn型バッファー層、7は透明電極、8は負極、9は正極である。
本実施形態において金属裏面電極10は、シード層2、配向制御層3、配向層4により構成され、金属裏面電極10の上部の一部上にp型I−III−VI族カルコパイライト層5とn型バッファー層6と透明電極7とが積層され、透明電極7の上面の一部上に負極8が形成されている。なお、本実施形態の太陽電池において、基板1の構成材料の選択によりシード層2は省くことも可能である。
(基板1)
基板1にはガラス基板、金属基板、プラスチック基板あるいは金属ロール、プラスチックロールなど周知の材料をなんら制限なく用いることができる。好ましくはSやSeに対して耐食性の強いガラス基板、あるいは耐食性を向上させるためにシリカコートやNiPメッキを施した金属基板、プラスチック基板、金属ロール、プラスチックロールなどが用いられる。さらに好ましくはガラス基板としてソーダライムガラスを用いることが安価であるので好ましい。
(シード層2)
シード層2にはCo,NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W,Mo,TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上の成分から構成される合金層を用いることが出来る。あるいは、Mo,Wから選ばれる何れか1種類以上と、Ru,Reから選ばれる何れか1種類以上の成分から構成される合金層を用いることが出来る。あるいは、NiP合金、MoP合金、CrP合金、FeP合金、MnP合金から選ばれるいずれか1種以上の成分から構成される合金層を用いることが出来る。
上述のシード層2に用いられる合金層の組成は特に限定されるものではない。しかし、好ましくは、Co,Ni及びFeの合計含有率が20at%〜80at%の範囲内であり、W,Mo,Ta及びNbの合計含有率が20at%〜80at%の範囲内であることが望ましい。Co,Ni及びFeの合計含有率が20at%未満および80%を超える範囲では、配向制御層3の結晶配向が十分ではなく配向層4の結晶性が劣化してしまう。
同様の理由でM、Wの合計含有率が20at%〜80at%の範囲内であり、Ru,Reの合計含有率が20at%〜80at%の範囲内であることが望ましい。
NiP合金、MoP合金、CrP合金、FeP合金、MnP合金も組成は特に限定されるものではないが、好ましくはPの含有量が5〜30%の範囲であることが望ましい。Pの含有量が5%未満では配向制御層3の結晶配向が十分ではなく配向層4の結晶性が劣化してしまう。P含有量が30%を超えると電気抵抗率が上昇してしまい電極材料としては好ましくない。
上述のシード層2には、より好ましくはCo−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金、Mo−Ru系合金、Mo−Re系合金、W−Ru系合金、W−Re系合金、NiP系合金、MoP系合金、CrP系合金、FeP系合金、MnP系合金の中から選択される少なくとも1つの合金層を用いることが望ましい。
Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金はそれぞれ単独でも特性は発揮し、これらのいくつかが組み合わさった合金でも同様の特性を発現する。例えば、Co−W−Mo系合金、Co−Ni−Nb系合金、Co−W−Mo−Ta系合金などでも同様の特性を発現する。同様にMo−Ru系合金、Mo−Re系合金、W−Ru系合金、W−Re系合金それぞれ単独でも特性は発揮し、これらのいくつかが組み合わさった合金でも同様の特性を発現する。例えば、Mo−W−Ru合金、Mo−W−Re合金などでも同様の特性を発揮する。
本発明におけるシード層2の膜厚は1nm〜1000nmが好ましい。1nm未満では薄すぎて配向制御層3の結晶配向性が十分ではなく配向層4の結晶性が劣化してしまう。膜厚の上限は特に限定はないが生産性の観点から1000nm以下が好ましい。
本発明におけるシード層2には、補助的効果を有する元素を添加しても良い。添加元素としてはTi,V,Cr,Mn,Zr,Hf,Ru,B,Al,Si,Pなどが例示される。添加元素の合計含有率は20at%以下であることが好ましい。合計含有率が20at%を超えると上述の配向調整膜の効果が低下してしまう。合計含有量の下限は、0.1at%であり、含有量が0.1at%未満では添加元素の効果が無くなる。
シード層2は、p型I−III−VI族カルコパイライト層に含まれるS,Se,Teと直接接することはないため配向層4に要求されるS,Se,Teに対する耐食性を有する必要性はないが、側面からの腐食を防ぐためにS,Se,Teに対する耐食性は有していたほうが好ましい。なお、上記物質はいずれもS,Se,Teに対して側面からの腐食を起こさない程度の耐食性を有する。
(配向制御層3)
配向制御層3にはCr、Vまたは、Cr合金、とりわけCrとMn,Ti,Mo,Al,Ta,W,Ni,B,SiおよびVから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるCr合金層あるいは、V合金とりわけVとMn,Ti,Mo,Al,Ta,W,Ni,B,SiおよびCrから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるV合金層を用いることが好ましい。また配向制御層3としてRuAl合金を用いることもできる。
配向制御層3は体心立方構造あるはB2構造を取ることが好ましい。さらに、いずれの場合も(002)配向することがより好ましい。
本発明における配向制御層3の膜厚は1nm〜1000nmが好ましい。1nm未満では薄すぎて配向層4の結晶配向性が十分ではない。膜厚の上限は特に限定はないが生産性の観点から1000nm以下が好ましい。
配向制御層3は、p型I−III−VI族カルコパイライト層5に含まれるS,Se,Teと直接接することはないため配向層4に要求されるS,Se,Teに対する耐食性を有する必要性はないが、側面からの腐食を防ぐためにS,Se,Teに対する耐食性は有していたほうが好ましい。なお、上記物質はいずれもS,Se,Teに対して側面からの腐食を起こさない程度の耐食性を有する。
(配向層4)
配向層4はMo、W、Ta,NbまたはMo合金、とりわけMoとW,Ta,Nb,Cr,V,Ti,Mn,Al,Ni,SI,Bから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるMo合金層、あるいはW合金、とりわけWとMo,Ta,Nb,Cr,V,Ti,Mn,Al,Ni,SI,Bから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるW合金層、あるいはTa合金、とりわけTaとMo,W,Nb,Cr,V,Ti,Mn,Al,Ni,SI,Bから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるTa合金層、あるいはNb合金、とりわけNbとMo,W,Ta,Cr,V,Ti,Mn,Al,Ni,SI,Bから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるNb合金層を用いることが好ましい。
配向層4はp型I−III−VI族カルコパイライト層5に接する層であり、体心立方構造を取ることが好ましい。さらに(002)配向することがより好ましい。
本発明における配向層4の膜厚は1nm〜10000nmが好ましい。1nm未満では薄すぎてp型I−III−VI族カルコパイライト層5の結晶配向性が十分ではない。膜厚の上限は特に限定はないが生産性の観点から10000nm以下が好ましい。
シード層2、配向制御層3、配向層4の成膜は従来公知のいずれの方法も用いることができるが、好ましくはスパッタ法、蒸着法など従来公知の真空装置を用いることが望ましい。さらに好ましくはスパッタ法が用いることが、より緻密で結晶配向性の優れた膜を成膜することが可能である。
シード層2、配向制御層3、配向層4はそれぞれ別の装置で成膜することも可能であるが、結晶配向性を向上させるために真空中で連続成膜することが好ましい。また、シード層2を用いる場合は、シード層2を成膜したのち、配向制御層3を成膜する前に、シード層2の表面を酸素雰囲気に曝露する工程を有することが好ましい。
曝露する酸素雰囲気は、例えば5×10−4Pa以上の酸素ガスを含む雰囲気とするのが好ましい。また曝露用の雰囲気ガスを水と接触させたものを用いることもできる。また曝露時間は、0.5秒〜15秒の範囲内とするのが好ましい。酸素雰囲気に曝露することにより、結晶配向性を向上させることができる。
また、シード層2成膜後、基板を加熱することにより、さらに良好な配向制御層3、配向層4の結晶配向性を得ることができる。基板の加熱は100℃〜500℃が好ましい。
シード層2、配向制御層3、配向層4は電気的に直列に接続するためにレーザスクライブ法などを用いて分割することがあるが、この際、シード層2、配向制御層3、配向層4は良好に除去されることが好ましい。上記、シード層2、配向制御層3、配向層4はいずれもこの条件を満たす。
なお、I−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池は、通常の構成においては起電力が1.3V程度であるので、実用的に太陽電池として用いる起電力としては不十分である。実用的な太陽電池の起電力は用途により様々であるが、5Vから100Vの間が一般的であるので、この起電力を実現するためには複数の電池を直列接続する必要がある。
ここで、基板1の上に上述の薄膜を積層して太陽電池構造を実現する場合、基板1を含めた積層膜をスクライブして複数の太陽電池ユニットに分割し、これら分割した複数の太陽電池ユニットを接続する必要がある。この際に上述の如くレーザスクライブ法などにより分割するなどの方法を実施する場合、成膜装置の成膜室から積層膜を大気中に取り出す必要が生じる。
p型I−III−VI族カルコパイライト層5は、比較的軟質であるので、スクライブラインを入れることは比較的容易に実施することができる。また、スクライブすることを考慮すると、p型I−III−VI族カルコパイライト層5の下層側に位置する他の層は硬質であることが好ましいが、前述の各層はその条件を満たしている。
また、p型I−III−VI族カルコパイライト層5、n型バッファー層6を成膜後、同じく電気的に直列に接続するためにメカニカルスクライブ法によりp型I−III−VI族カルコパイライト層5、n型バッファー層6のみを除去することがあるが、この際、シード層2、配向制御層3、配向層4はメカニカルスクライブ法で除去されてはいけないために、十分な密着性および硬度を持っていることが好ましい。上記、シード層2、配向制御層3、配向層4はいずれもこの条件を満たす。好ましくはスパッタ法を用いて成膜することにより密着性の高いシード層2、配向制御層3、配向層4を得ることができる。
(p型I−III−VI族カルコパイライト層5)
p型I−III−VI族カルコパイライト層5は、I族元素としてCu、Ag、III族元素としてGa,In,Al,VI族元素としてS、Se、Teから選ばれるいずれか1種以上からなる構成を用いることが好ましい。さらに好ましくはCu(In+Ga)(S+Se)を用いることが光電変換効率を向上させることが可能である。また、Inは希少金属であるのでInの代替としてFeを用いてCu(Fe+Ga)(S+Se)を用いることも可能である。
p型I−III−VI族カルコパイライト層5は、カルコパイライト型結晶構造を取ることが好ましい。カルコパイライト型結晶構造は等軸晶のセン亜鉛鉱構造の単位胞を縦に2つ積み重ねた構造を持っている。カルコパイライト型結晶構造にはさまざまな組成があるが、a軸の格子定数は5.3〜6.4Åの範囲に存在している。カルコパイライト型結晶構造を取るCuInSe(200)面の断面図を図2に示す。CuInSeのa軸の格子定数は5.78Åであり、その単位ユニットは図2の実線に示された正方形である。
一方、Mo,W,Ta、Nbの格子定数は3.1〜3.3Åであり、例えば上記5.78Åとは整合性が悪いように見える。しかしながら、図3に示すMo(002)面の断面図から分かるように、実線で示された単位ユニットを2倍にした正方形が存在していることが分かる。この正方形の一辺の長さはa軸の格子定数の2倍であるので、6.33Åである。
6.33/5.78=1.095であるので、両者は約9.5%の格子不整合性を持つことになる。不整合性が15%以下であれば結晶成長は促進されるのでMo(002)面上にCuInSe(200)面を結晶成長させることが可能になる。
以上説明のために、CuInSeとMoを用いたが、不整合性が15%以内であればいずれのカルコパイライト型結晶構造、Mo,W,Ta,Nbを用いることが可能である。
しかしながら、カルコパイライト型結晶構造は(200)面と(002)面の構造が類似しているので、カルコパイライト型結晶構造の(200)面と(002)面が配向層4上に同時に配向してしまうことがある。カルコパイライト型結晶構造の(200)面と(002)面が配向層4上に同時に配向してしまうと結晶配向性が劣化し光電変換効率の低下につながる。カルコパイライト型結晶構造およびMo,W,Ta,Nbの選び方によって、どちらか一方の配向にのみに制御することは可能であるが、制御範囲が狭いので量産などの安定性が要求させる仕様を満たすことは難しい。
カルコパイライト型結晶構造は等軸晶のセン亜鉛鉱構造の単位胞を縦に2つ積み重ねた構造であるが、完全に立方体を2個重ねた構造ではなく若干a軸の格子定数とc軸の格子定数にずれがあることが分かっている。表1にカルコパイライト化合物の結晶構造パラメータを示す。(化合物薄膜太陽電池の最新技術、株式会社シーエムシー出版 2007年6月発行 p20の表2に記載の実験値を用いた。)
Figure 2009231744
表1から分かるようにカルコパイライト型結晶構造のc/aは完全な立方体を2個重ねた構造を示す2から若干ずれていることがわかる。このことから、図4に示すように(002)面の断面図は正方形であるが、(200)面の断面図は長方形であることが分かる。
一方、Mo,W,Ta,Nbは体心立方構造であるので、(002)面と(200)面の断面図は正方形である。しかしながら、膜応力により格子定数が変化する特性を用いると体心立方構造であっても、(002)面の断面図を長方形にすることが可能になる。
膜応力を制御する方法としては、基板上あるいは、積層構造の金属裏面電極10の一部に一定方向の条痕を有することが有効である。一定方向に条痕を施すことにより、条痕方向と、それと直交する方向の膜応力に差をつけることが可能になる。このことにより条痕方向の格子定数とそれと直交する方向の格子定数に差ができるので長方形を作成することが可能になる。例えば、Moの場合、図5に示すように、加工条件を適切に設定することにより条痕方向の格子定数を変化させることができる。
上記手法によりカルコパイライト型結晶構造を(200)配向させることが可能になるが、さらにカルコパイライト型結晶構造のc軸方向の制御も可能になり、よりカルコパイライト化合物の結晶性を向上させることができる。例えば、CuInSeの場合、c軸の方がa軸の2倍よりも大きいので、c軸が条痕の方向と直交する方向に配向する。一方、CuGaSe2の場合、c軸の方がa軸の2倍よりも小さいので、c軸が条痕の方向に配向する。
条痕の方向は直線であることが好ましいが、円周など局部的にみて直線的な条痕が施されていればよい。局部的とは100μm角の視野で見た場合、条痕の方向が直線であれば、条痕方向と、それと直交する方向の膜応力に差をつけることが可能になる。また条痕の方向は完全な直線である必要性はなく、例えば、クロス角が10度以下であれば、クロス加工が施されていても良い。
また、条痕の算術平均粗さRa(JIS B 0601)は、大きすぎると面直方向の結晶性を劣化させてしまう。しかしながら、小さすぎても面内方向に十分な応力差を発生させることができない。したがって、算術平均粗さRaは0.1nmから100nmが好ましい。さらに好ましくは0.1nmから10nmであり、さらに好ましくは0.1nmから2nmである。
条痕を施す方法は、公知の方法であれば特に限定されないが、例えば固定砥粒を用いたラッピングテープや遊離砥粒によるメカニカルテクスチャー加工などにより、表面に条痕を形成することができる。メカニカルテクスチャー加工は、基板1あるいは金属裏面電極10の一部(例えば配向層4)に施される。
なお、メカニカルテクスチャー加工とは、太陽電池で一般的に用いられるテクスチャーとは異なる。太陽電池で一般的に用いられるテクスチャーとは入射を閉じ込め光電変換効率を向上させるための技術であるが、メカニカルテクスチャー加工とは結晶性を改善させるための技術である。
次に、p型I−III−VI族カルコパイライト層5の成膜方法は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、Cu(In+Ga)(S+Se)の場合、CuGa,Inをスパッタ法により成膜し、その後、硫化水素、セレン化水素を用いて高温(400〜800℃)にて硫化、セレン化することにより、p型I−III−VI族カルコパイライト層5を得ることができる。また、S,Seを蒸着した後に、高温(400〜800℃)にてアニールすることによっても、p型I−III−VI族カルコパイライト層5を得ることができる。また、真空成膜法を用いずにCu(In+Ga)(S+Se)粉末を作製し、それを塗布して高温(400〜800℃)にて焼成することによっても、p型I−III−VI族カルコパイライト層5を得ることができる。
本発明におけるp型I−III−VI族カルコパイライト層5の膜厚は、0.1μm〜10μmが好ましい。0.1μm未満では薄すぎて光吸収が十分ではない。上限は特に限定されないが、生産性の観点から10μm以下が好ましい。
(n型バッファー層6)
n型バッファー層6は、CdS合金、InS合金、ZnS合金、ZnMgO合金から選ばれるいずれか1種以上からなる構成を用いることが好ましい。
n型バッファー層6の役割としては、CdやZnのp型I−III−VI族カルコパイライト層5への拡散により、p型I−III−VI族カルコパイライト層5の表層だけn型化されてpnホモ接合が形成される。あるいは、高抵抗層が形成されるためにシャントパスが低減されるなど、さまざまなことが提言されているが、正確にその役割は解明されていない。したがって、今後n型バッファー層6に代替する新たな物質が開発される可能性はあるが、本発明はp型I−III−VI族カルコパイライト層5の結晶性を向上させて光電変換効率を向上させることを目的としているので、例えば、n型バッファー層6に代替する新たな物質が開発されても、本発明の効果が無くなるわけではない。
(透明電極7)
透明電極7は、可視光において十分な透過性と導電性を持っていれば、いずれの物質も使用可能であるが、好ましくはITO(In−SnO)、AZnO(ZnO−Al)、IZnO(In−ZnO)、GZO(ZnO−GeO)から選ばれるいずれか1種以上からなる構成である。
上記の図1に示すI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池は、基板1上に、シード層2、配向制御層3、配向層4、p型I−III−VI族カルコパイライト層5、n型バッファー層6、透明電極7を順次積層した後、p型I−III−VI族カルコパイライト層5、n型バッファー層6及び透明電極7の一部をメカニカルスクライブ法等によって除去して配向層4(金属裏面電極)の一部を露出させ、露出させた配向層4上に電極8(正極)を形成すると共に、透明電極6上にも電極7(負極)を形成することによって製造できる。また、基板1または裏面金属電極10の一部に対してテクスチャ加工を施す。裏面金属電極10にテクスチャ加工を行う場合は、配向層4に対してテクスチャ加工するとよい。
上記の製造方法においては、基板1または裏面金属電極10の一部に対してテクスチャ加工を施すことで、配向層4を(002)配向させる。そして、この配向層4上にp型I−III−VI族カルコパイライト層5を積層させる。p型I−III−VI族カルコパイライト層5は、配向層4上に積層することによって結晶配向性が向上し、主として(002)配向するようになる。これにより、太陽電池の光電変換効率が高められる。
次に、本発明のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
基板1にソーダライムガラス(板厚0.7mm)を用い、その基板上にメカニカルテクスチャーを施した。メカニカルテクスチャー加工の条件は以下の通りである。スラリーに含まれる砥粒はD90(累積質量%が90質量%に相当するときの粒径値)が0.15μmのダイアモンド砥粒を使用した。スラリーは50ml/分で加工が開始される2秒前に滴下した。研磨テープにはポリエステル製の織物布を使用した。研磨テープの送りは75mm/分とした。加工時は基板を線速1m/sで移動させた。テープの押し付け圧力は2.0kgf(19.6N)とした。基板表面を、Degital Instrument社製AFMで測定したところ、平均粗さ4Åの条痕が確認された。
メカニカルテクスチャー終了後、基板表面を洗浄、乾燥したのちスパッタ装置に投入し、シード層2としてCoW合金(100nm)、配向制御層3としてCr(10nm)、配向層4としてMo(500nm)、Cu、Inを連続成膜した。なお、シード層2であるCoW合金成膜後に基板を250℃まで加熱し、その後、酸素暴露を0.05Paで5秒間実施した。真空装置から基板を取り出した後、セレン化法によりp型I−III−VI族カルコパイライト層5であるCuInSeを作成した。そのときの膜厚は1.5μmであった。
その後、スパッタ装置に基板を投入し、n型バッファー層6としてZnS(20nm)、透明電極7としてAZO(ZnO−Al:5wt%)(300nm)成膜した。
その後、メカニカルスクライブ法により、金属裏面電極10を露出させ金属裏面電極10の一部に正極9を形成した。また、透明電極7上の一部に負極8を形成した。電極の形成にはスパッタ装置を用い、Al(50nm),Ag(300nm)を順次積層することにより形成した。
(比較例1)
基板1にソーダライムガラス(板厚0.7mm)を用い、基板表面を洗浄、乾燥したのちスパッタ装置に投入し、配向層4Mo(500nm)、Cu、Inを連続成膜した。真空装置から基板を取り出した後、セレン化法によりp型I−III−VI族カルコパイライト層5CuInSeを作成した。そのときの膜厚は1.5μmであった。
その後、スパッタ装置に基板を投入し、n型バッファー層6ZnS(20nm)、透明電極7AZO(ZnO−Al:5wt%)(300nm)成膜した。
その後、メカニカルスクライブ法により、金属裏面電極10を露出させ金属裏面電極10の一部に正極9を形成した。また、透明電極7上の一部に負極8を形成した。電極の形成にはスパッタ装置を用いAl(50nm)、Ag(300nm)を順次積層することにより形成した。
(評価)
実施例1および比較例1について、変換効率の測定を実施した。評価条件としてはエア・マス(AM)1.5、100mW/cmの擬似太陽光を透明電極側から照射した。結果を表2に示す。なお、表2の変換効率とは、(Isc・Voc・FF)/100mWの式で示される値を%表示したものであり、100mWの当力電力に対してどの程度の出力が得られたかを意味する規格化された指標として知られている。
Figure 2009231744
比較例1は金属裏面電極としてMoのみを使用した場合である。一方、実施例1はガラス基板にメカニカルテクスチャー加工を施し、金属裏面電極として、シード層にCoW、配向制御層にCr、配向層にMoを使用した。実施例1の変換効率は比較例と比べて改善していることが示された。
図1は、本発明のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の断面を模式的に示した図である。 図2は、カルコパイライト型結晶構造を取るCuInSe(200)面の断面図である。 図3は、Mo(002)面の断面図である。 図4は、カルコパイライト型結晶構造を取るCuInSe(002)面の断面図と、CuInSe(200)面の断面図である。 図5は、条痕方向を説明するための図であり、Mo(002)面の断面図である。
符号の説明
1・・・基板、2・・・シード層、3・・・配向制御層、4・・・配向層、5・・・p型I−III−VI族カルコパイライト層、6・・・n型バッファー層、7・・・透明電極、8・・・負極、9・・・正極、10・・・金属裏面電極。

Claims (21)

  1. 基板上に少なくとも、積層構造の金属裏面電極と、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体とが順次積層され、更に透明電極が積層されてなるI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池であり、
    前記積層構造の金属裏面電極の少なくとも、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層が体心立方構造を有し、その結晶配向性が主として(002)配向を有し、かつ、その体心立方構造のa軸の格子定数が面内方向で異なった値を持つことを特徴とするI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  2. 前記金属裏面電極のうち前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層において、前記体心立方構造のa軸の格子定数の面内方向での分布が2回対称性を持つことを特徴とする請求項1に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  3. 前記基板上あるいは、前記積層構造の金属裏面電極の一部に一定方向の条痕を有することを特徴とする請求項1または2に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  4. 前記積層構造の金属裏面電極が、少なくとも2層構造を有し、それらの2層が基板側から配向制御層、配向層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  5. 前記積層構造の金属裏面電極が、少なくとも3層構造を有し、それらの3層が基板側からシード層、配向制御層、配向層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  6. 前記配向制御層が、Cr、V、Cr合金、V合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  7. 前記配向制御層が、RuAl合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  8. 前記配向層が、Mo,W,Ta,Nb,Mo合金、W合金、Ta合金、Nb合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  9. 前記シード層が、Co、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  10. 前記シード層が、Mo,Wから選ばれる何れか1種類以上と、Ru,Reから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  11. 前記シード層が、NiP合金、MoP合金、CrP合金、FeP合金、MnP合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  12. 前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体がI族元素としてCu、Ag、III族元素としてGa,In,Al,VI族元素としてS,Se,Teから選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  13. 前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体上にn型バッファー層が積層され、前記n型バッファー層上に前記透明電極が積層されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  14. 前記n型バッファー層が、CdS合金、InS合金、ZnS合金、ZnMgO合金から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項13に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  15. 前記透明電極が、ITO(In−SnO)、AZnO(ZnO−Al)、IZnO(In−ZnO)、GZO(ZnO−GeO)から選ばれるいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池。
  16. 基板上に、積層構造の金属裏面電極と、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体と順次積層し、更に透明電極を積層するI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法であり、
    前記積層構造の金属裏面電極の少なくとも、p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層を、体心立方構造を有し、その結晶配向性が主として(002)配向を有し、かつ、その体心立方構造のa軸の格子定数が面内方向で異なった値を持つ層とすることを特徴とするI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
  17. 前記金属裏面電極のうち前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体に接する層を、前記体心立方構造のa軸の格子定数の面内方向での分布が2回対称性を持つ層とすることを特徴とする請求項16に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
  18. 前記基板上あるいは、前記積層構造の金属裏面電極の一部に一定方向の条痕を形成することを特徴とする請求項16または17に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
  19. 前記基板上に、配向制御層及び配向層を順次積層することによって、2層構造の前記金属裏面電極を形成することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
  20. 前記基板上に、シード層と、配向制御層と、配向層とを順次積層することによって、3層構造の前記金属裏面電極を形成することを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
  21. 前記p型I−III−VI族カルコパイライト型化合物半導体上にn型バッファー層を積層し、前記n型バッファー層上に前記透明電極を積層することを特徴とする請求項16〜20のいずれか1項に記載のI−III−VI族カルコパイライト型薄膜系太陽電池の製造方法。
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