JP2009231543A - 多層配線基板およびその製造方法 - Google Patents

多層配線基板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ビア凸の発生が抑制されるとともに、抵抗の上昇が極力抑制された配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、複数のガラスセラミック絶縁層1a、1b、1c、1d、1eが積層されてなる絶縁基体1と、少なくとも表層を構成するガラスセラミック絶縁層1a、1eの内部に形成された金、銀および銅のうちいずれかを主成分とする貫通導体3とを具備してなる多層配線基板において、貫通導体3が、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有するガラス転移温度が650〜800℃のガラスを含んでいることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種回路基板や高周波用の配線基板として好適であり、良好な収縮整合性による高い接着強度と低抵抗とを両立した貫通導体を備えた多層配線基板およびその製造方法に関するものである。
ICやLSI等の半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージや、半導体素子の他に各種電子部品を搭載した混成集積回路装置等の各種配線基板を構成する絶縁基体の形成材料としては、電気絶縁性や化学的安定性等の特性に優れていることからアルミナセラミックスが用いられ、また配線層の形成材料としてはアルミナの焼成温度(約1600℃)よりも高い融点を有するタングステン(W)やモリブデン(Mo)が用いられている。
ところが、近年になって、タングステンやモリブデンよりも低い配線抵抗が要求され、配線層の形成材料として金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの低抵抗金属が注目されるようになり(例えば特許文献1および特許文献2を参照)、これに対応する絶縁基体としてこれらの低抵抗金属の融点よりも低い900℃程度で焼成可能なガラスセラミックスが使用されてきている。
かかるガラスセラミックスを絶縁基体とする配線基板は、一般にはガラスセラミック原料粉末と有機バインダー、溶媒を用いて調製した泥漿をドクターブレード法等のシート成形方法で成形してグリーンシートを作製した後、得られたグリーンシートにスルーホール等を打ち抜き加工し、このスルーホールに金属粉末を含む貫通導体用ペーストを充填した後、グリーンシート上に同様の配線層用導体ペーストを用いて所定の配線パターンをスクリーン印刷法等の厚膜手法により印刷形成し、得られたグリーンシートを複数枚重ね合わせ、加圧して積層し、次いでこの積層体を加熱してバインダーを除去した後、焼成することにより作製されていた。
ここで、低抵抗金属である金、銀および銅は、一般にガラスセラミックスよりも低温から収縮を開始するため、貫通導体が配線基板の表面から突出し(以下、ビア凸と称す)部品の実装等に不具合が生じるという問題がある。
これに対し、貫通導体用ペースト(銅メタライズ組成物)中に、例えば鉛ホウケイ酸ガラスやホウケイ酸ガラス、亜鉛ホウケイ酸ガラス、リチウムケイ酸ガラス、シリカ(SiO)等のガラス粉末を添加して収縮挙動をガラスセラミックスの収縮挙動に近づけることにより、ビア凸を解消することが提案されている(特許文献3を参照。)。
特開昭63−301405号公報 特開平1−112605号公報 特開平11−16418号公報
しかしながら、特許文献3に記載された発明では、導体抵抗が大きく上昇してしまうという問題があった。この導体抵抗の上昇は、添加されたガラス粉末が絶縁体であることによる抵抗上昇(ガラス自体による抵抗上昇)に加え、ガラス粉末から発生する泡に起因して焼成後にボイドが形成されることによる抵抗上昇が影響しているからである。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、ビア凸の発生が抑制されるとともに、抵抗の上昇が極力抑制された多層配線基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、複数のガラスセラミック絶縁層が積層されてなる絶縁基体と、少なくとも表層を構成するガラスセラミック絶縁層の内部に形成された金、銀および銅のうちいずれかを主成分とする貫通導体とを具備してなる多層配線基板において、前記貫通導体が、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有するガラス転移温度が650〜800℃のガラスを含んでいることを特徴とするものである。
また本発明は、複数のガラスセラミックグリーンシートを作製する工程と、前記複数のガラスセラミックグリーンシートの積層体を作製する際に該積層体の少なくとも表層に配置されるガラスセラミックグリーンシートに、貫通孔を形成して、該貫通孔に、金、銀および銅のうちいずれかの金属粉末と、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有し、かつ焼成によって結晶を析出しないガラス転移温度が650〜800℃のガラス粉末とを含む貫通導体用ペーストを充填する工程と、前記貫通孔に前記貫通導体用ペーストが充填されたガラスセラミックグリーンシートを少なくとも表層に配置して、前記複数のガラスセラミックグリーンシートの積層体を作製する工程と、前記積層体を焼成する工程とを具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法である。
本発明の多層配線基板によれば、金、銀および銅のうちいずれかを主成分とする貫通導体がガラス転移温度650〜800℃のガラスを含んでいることにより、貫通導体となる貫通導体用ペーストとガラスセラミック絶縁層となるガラスセラミックスグリーンシートとの収縮挙動差を小さくすることができるため、絶縁基体の表面からの貫通導体の突出(ビア凸)が抑制された多層配線基板を実現することができる。また、上記ガラスがSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有することにより、貫通導体中のボイドを低減させることができ、貫通導体の抵抗上昇が極力抑制された多層配線基板を実現することができる。
また、本発明の多層配線基板の製造方法によれば、貫通導体を形成するための貫通導体用ペーストが、金、銀および銅のうちいずれかの金属粉末と、焼成によって結晶を析出しないガラス転移温度650〜800℃のガラス粉末とを含むものを用いることにより、貫通導体用ペーストとガラスセラミックスグリーンシートとの収縮挙動差を小さくすることができ、その結果、絶縁基体の表面からの貫通導体の突出(ビア凸)が抑制された多層配線基板を得ることができる。また、上記ガラス粉末にSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有させることにより、貫通導体中のボイドを低減させることができ、貫通導体の抵抗上昇が極力抑制された多層配線基板を得ることができる。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の多層配線基板の一実施形態を示す概略縦断面図であって、図1に示す多層配線基板は、複数のガラスセラミック絶縁層1a、1b、1c、1d、1eが積層されてなる絶縁基体1と、絶縁基体1の表面および内部に形成された配線層2と、少なくとも表層を構成するガラスセラミック絶縁層1a、1eの内部に形成された貫通導体3とを具備している。
なお、図1では、多層配線基板の上面に、例えばICやフィルター、コンデンサ等の各種電子部品4が実装され、ワイヤボンディングやフリップチップ実装(図示せず)により表面(上面)に形成された配線層(接続端子)と電気的に接続されている。さらに、保護用の封止樹脂5が多層配線基板の上面を被覆するように設けられている。また、図示しないが、得られた多層配線基板は外部回路基板(プリント基板)に実装され、下面に形成された配線層(接続端子)と外部回路基板(プリント基板)の接続端子とが半田などのロウ材や導電性接着剤を介して電気的に接続される。ただし、本発明は図1に例示される形態に限定されるものではない。
複数のガラスセラミック絶縁層1a〜1eが積層されてなる絶縁基体1は、ガラス粉末単独、またはガラス粉末とセラミック粉末とを混合してガラスセラミックグリーンシートを成形した後、金、銀および銅などの低抵抗金属の融点以下の温度にて焼成して得られるガラスセラミック焼結体からなり、各種結晶およびガラスを含有するものである。
結晶としては、アルミナ、ジルコニア、クオーツ、クリストバライト、コーディエライト、ムライト、スピネル、ガーナイト、エンスタタイト、フォルステライト、アノーサイト、スラウソナイト、セルジアン、ディオプサイド、モンティセライト、アケルマナイト、ウイレマイトやその固溶体、置換誘導体などを例示でき、複数の結晶が共存していてもよい。抗折強度を向上させるという点で、アルミナやジルコニア、フォルステライト、エンスタタイト、スピネル、アノーサイト、スラウソナイト、セルジアンを採用するのが好ましく、特に、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、セルジアンが望ましい。また、誘電率を下げて高周波信号の伝送損失を低減させるという点で、フォルステライト、エンスタタイト、クオーツ、クリストバライト、コーディエライト、ムライト、が好ましく、特に、フォルステライト、クオーツ、コーディエライトが望ましい。
これらの結晶は、セラミック粉末(原料粉末)としてもともと添加したものであってもガラス粉末から焼成中に析出したものであってもよく、セラミック粉末とガラス粉末との反応生成物であってもよい。
ガラス粉末としては、珪酸系ガラス、硼珪酸系ガラス、硼酸系ガラス、燐酸系ガラス等が挙げられ、SiO、B、Pといった網目形成酸化物に対して、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、希土類酸化物等の修飾酸化物、Al、ZrO、TiO等の中間酸化物または遷移金属酸化物を適宜選択して添加されたものである。
上述したガラス粉末単独、またはガラス粉末とセラミック粉末とを適宜組み合わせ、具体的にはガラス粉末30〜100質量%、セラミック粉末0〜70質量%の範囲内で調整してガラスセラミックグリーンシートを作製することにより、800〜1000℃の温度で焼成して用途に応じた特性(機械的特性、熱特性、誘電特性等)のガラスセラミック焼結体を得ることができる。
配線層2は、絶縁基体1の表面および内部に形成されており、金、銀および銅のうちいずれかの金属粉末を含む導体ペーストを用いてスクリーン印刷法やグラビア印刷法にて形成されたものでもよく、金属箔転写法やめっき法により形成されたものでもよい。
また、少なくとも表層を構成するガラスセラミック絶縁層1a、1eの内部に形成された貫通導体3は、配線層2と同様の金、銀および銅のうちいずれかの金属粉末を含む貫通導体用ペーストを用いて形成されたものであって、金、銀および銅のうちいずれかを主成分とするものである。
そして、この貫通導体3は、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有するガラス転移温度が650〜800℃のガラスを含んでいることが重要である。
貫通導体3が、ガラス転移温度650〜800℃、好ましくはガラス転移温度700〜750℃のガラスを含んでいることにより、後述するように、製造過程において、貫通導体3となる貫通導体用ペーストとガラスセラミック絶縁層1a、1eとなるガラスセラミックスグリーンシートとの収縮挙動差を小さくすることができる。前述のように、ガラス粉末単独、またはガラス粉末とセラミック粉末とを適宜組み合わせたガラスセラミックグリーンシートは、800℃〜1000℃の焼成温度で焼結するようにされたものであるから、ガラス転移温度が上記の範囲であることで、収縮挙動差を小さくすることができるのである。その結果、絶縁基体1の表面からの貫通導体3の突出(ビア凸)が抑制された多層配線基板を実現することができる。
また、上記ガラス転移温度が650〜800℃のガラスがSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有することにより、貫通導体3中のボイドを低減させることができる。後述するように、貫通導体用ペーストの原料としてSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有し、かつ焼成によって結晶を析出しないガラス転移温度650〜800℃のガラス粉末を用いることで、微細な気泡のないガラス粉末を用いていることとなるからである。その結果、貫通導体3の抵抗上昇が極力抑制された多層配線基板を実現することができる。
なお、焼成後の貫通導体3には、貫通導体用ペーストとガラスセラミックグリーンシートとの収縮挙動差が小さく、貫通導体の抵抗が大きくなりすぎないように、金、銀および銅のうちいずれかの導体成分100質量部に対してガラスが2〜20質量部含まれていることが望ましく、実質的にガラスから析出した結晶は存在していない。なお、実質的に存在しないとは、X線回折においてその結晶に由来する回折ピークが認められない程度の量であることを意味する。
なお、貫通導体3中のガラスの特性は、透過型電子顕微鏡に付属のX線プローブマイクロアナリシス(TEM−EPMA)や、蛍光X線分析(XRF)等を用いて貫通導体中に含まれるガラスの組成分析を行い、その組成と同一組成のガラスを作製することにより評価が可能である。
図1に示す多層配線基板においては、貫通導体3はすべてのガラスセラミック絶縁層1a、1b、1c、1d、1eのそれぞれの層を貫通するように形成されており、すべての貫通導体3が後述するSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有するガラス転移温度が650〜800℃のガラスを含むことが望ましいが、本発明においては少なくとも表層を構成するガラスセラミック絶縁層1a、1eに形成された貫通導体3に後述するSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有するガラス転移温度650〜800℃のガラスを含むものであればよい。
次に、本発明の多層配線基板の製造方法について説明する。
まず、複数のガラスセラミックグリーンシートを作製する。ガラスセラミックグリーンシートは、少なくともガラス粉末を含んでいて、このガラス粉末と必要に応じて所望の特性を得るために適宜選択したセラミック粉末とを原料粉末とし、この原料粉末に適当な有機樹脂バインダー、溶媒等を添加した後、混合してスラリーを得る。得られたスラリーから、所望の成形手段、例えばドクターブレード法、カレンダーロール法、圧延法等によりガラスセラミックグリーンシートを作製する。
次に、複数のガラスセラミックグリーンシートの積層体を作製する際に積層体の少なくとも表層に配置されるガラスセラミックグリーンシートに、貫通孔を形成して、この貫通孔に貫通導体用ペーストを充填する。
ここで、貫通導体用ペーストは、金、銀および銅のうちいずれかの金属粉末と、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有し、かつ焼成によって結晶を析出しないガラス転移温度が650〜800℃のガラス粉末とを、所望の配合比にて秤量し、適当な有機樹脂バインダー、溶媒等を添加した後、混合して得られたものである。
貫通導体用ペーストが、ガラス転移温度650〜800℃の焼成によって結晶を析出しないガラス粉末を含んでいるのは、ガラス粉末が焼成中に結晶を析出してしまうものであると、貫通導体用ペーストの焼成収縮が結晶化と同時に阻害され、貫通導体用ペーストとガラスセラミックグリーンシートとの収縮挙動差を小さくすることができないからである。また、ガラス粉末のガラス転移温度が650〜800℃の範囲内にないと、貫通導体用ペーストとガラスセラミックグリーンシートとの収縮挙動差をより小さくすることができないからである。
このように貫通導体用ペースト中に添加するガラス粉末を適切に選択することにより、貫通導体用ペーストの収縮挙動を制御することができる。ガラス粉末としては、ガラス転移温度が650〜800℃であって、焼成によって結晶を析出しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば珪酸系ガラス、硼珪酸系ガラス、硼酸系ガラス、燐酸系ガラス等が挙げられ、SiO、B、Pといった網目形成酸化物に対して、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、希土類酸化物等の網目修飾酸化物、Al、ZrO、TiO等の中間酸化物または遷移金属酸化物を適宜選択して添加されたものが挙げられる。
そして、上記ガラス粉末はSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有している。したがって、上記ガラスはSb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有している。
Sb、As、F、NおよびSは、ガラス(ガラス粉末)の製造時に、原料の一部としてSb、As、CaF、NaNO、NaSO、NaAlF、NaSiF等の化合物のかたちで調合されて残存した成分である。これらの化合物が原料の一部として含まれていると、ガラス(ガラス粉末)の製造過程である加熱によるガラス溶解時に、O、F、NO、NO、SO等のガスを発生し、大きな気泡を生成する。
ガラスの融液中には様々な原因で微細な気泡が多数存在するが、この微細な気泡は上記の大きな気泡に取り込まれて、融液の外に排出される。なお、微細な気泡は融液中にて浮力が小さいことから、そのままで融液の外に排出されることは困難であるが、大きな気泡は融液中にて浮力が大きいことから、融液の外に容易に排出される。
このように、貫通導体用ペースト中に添加するガラス粉末として、残留している気泡の量が極めて少ないガラス粉末を使用することにより、ガラス粉末から発生する泡の量を抑制できることから、焼成時にこの泡に起因して焼成時に形成されるボイドを減少させ、ガラス粉末添加による貫通導体の抵抗上昇を極力抑制することができる。
ただし、Sb、As、F、NおよびSは合計で0.01〜0.5mol%である必要があり、0.01mol%よりも少ない場合には、加熱によるガラス溶解時の大きな気泡の生成が不十分となってボイドを低減できなくなるおそれがあり、0.5mol%を超える場合には、ガラス粉末の流動特性が変化して逆にボイドが増加したり、ガラスが結晶化したりするおそれがある。Sb、As、F、NおよびSの含有量の特に望ましい範囲は、合計で0.02〜0.2mol%である。なお、Sb、As、F、NおよびSのうち、元素自体の毒性の有無、加熱によるガラス溶解時の発生ガスの有毒性や取り扱いの難易度等の観点より、Sbを用いることが望ましい。
ガラス粉末の添加量は、導体成分100質量部に対して2〜20質量部、特に5〜15質量部であるのが望ましく、2質量部よりも少ない場合には、貫通導体用ペーストとガラスセラミックグリーンシートとの収縮挙動差を小さくする効果が不十分となるおそれがあり、20質量部よりも多い場合には、貫通導体の抵抗が大きくなりすぎるおそれがある。
このように、ガラス粉末の組成や添加量を適宜調整することにより、貫通導体中のボイド面積率を5%以下、特に3%以下に抑制することができる。ここでいうボイド面積率とは、貫通導体のある任意の断面を鏡面研磨し、操作型電子顕微鏡(SEM)等にて写真を撮影し、ボイド部分とそれ以外の部分とを画像解析装置を用いて2値化し、貫通導体中のボイドの面積を比率で表したものである。
次に、所望のガラスセラミックグリーンシート上に、金、銀および銅のうちいずれかを主成分とする導体ペーストを用いて配線層となる導体パターンをスクリーン印刷法やグラビア印刷法にて形成する。この導体ペーストは、有機バインダー、有機溶剤およびそれらの量などを貫通導体用ペーストと異ならせて、粘度が異なるようにされているのが好ましい。なお、この導体パターンは、金属箔転写法やめっき法により形成してもよい。
次いで、貫通孔に貫通導体用ペーストの充填されたガラスセラミックグリーンシートを少なくとも表層に配置して複数のガラスセラミックグリーンシートの積層体を作製する。具体的には、複数のガラスセラミックグリーンシートを位置合わせして、熱圧着法や積層助剤を用いて加圧し積層する。
最後に、得られた積層体を焼成する。
ここで、積層体中から成形のために配合した有機樹脂バインダー成分を除去するため、貫通導体用ペーストの導体成分として金または銀を用いた場合には、大気中で500℃前後まで積層体の積層界面の剥離がないように昇温し、必要に応じて500℃前後にて保持し、続いて大気中で900℃前後まで再度昇温し、焼成の最高温度にて0.2〜10時間、特に0.5〜5時間焼成することにより本発明の多層配線基板を得る。
一方、貫通導体用ペーストの導体成分として銅を用いた場合には、窒素雰囲気中で700℃前後まで積層体の積層界面の剥離がないように昇温し、必要に応じて700℃前後にて保持し、続いて窒素雰囲気中で900℃前後まで再度昇温し、焼成の最高温度にて0.2〜10時間、特に0.5〜5時間焼成することにより本発明の多層配線基板を得る。
加熱して溶解し急冷した後に表1に示すような組成となるように、ガラス原料粉末を秤量、混合した後に、加熱して溶解し急冷して、さらにボールミル粉砕にて平均粒径2μmのガラス粉末を準備した。なお、表1には全体を100mol%としたときのmol比を示すとともに、それぞれのガラス粉末のガラス転移温度も示した。
また、前記ボールミル粉砕をせずに急冷、除冷したバルク体を5×5×10mmの大きさに切断、研削加工したものを、大気中、900℃にて1時間保持の条件にて熱処理を行い、さらに粉砕した試料を準備し、粉末X線回折(XRD)を用いて析出結晶の有無を測定し、その結果を表1に示した。
一方、表2に示す種類の平均粒径5μmの金属粉末を準備した。
そして、表2に従い、前記ガラス粉末と前記金属粉末とを秤量し、メタクリル系樹脂からなる有機バインダーと有機溶媒、分散剤を適宜選択、調整することにより貫通導体用ペーストを作製した。
次に、SiO−Al−MgO−CaO系ガラス粉末とアルミナ粉末とを適宜選択、調整した原料粉末を秤量し、メタクリル系樹脂からなる有機バインダー、可塑剤および溶媒と混合し、得られたスラリーをドクターブレード法により、焼成後のガラスセラミック絶縁層の厚みが100μmとなるように成形して、ガラスセラミックグリーンシートを得た。
このガラスセラミックグリーンシートに対して、レーザー加工機を用いて焼成後の直径が100μmとなるように貫通孔を形成し、前記貫通導体用ペーストをこの貫通孔にスクリーン印刷法にて充填し、さらに貫通導体用ペーストと同じ導体成分を主成分とする導体ペーストを用いて、スクリーン印刷法にてグリーンシート上に配線パターンを形成した。
こうして作製された複数のガラスセラミックグリーンシートを所定枚数、位置あわせして熱圧着にて積層し、貫通導体用ペーストおよび導体ペーストに金または銀を使用した場合には大気中、500℃にて2時間保持を行うことにより脱バインダー処理を行った後、大気中、900℃にて1時間の条件にて多層配線基板を得た。一方、貫通導体用ペーストおよび導体ペーストに銅を使用した場合には水蒸気含有窒素中、700℃にて2時間保持を行うことにより脱バインダー処理を行った後、水蒸気含有窒素中、900℃にて1時間の条件にて多層配線基板を得た。
なお、得られた多層配線基板のサンプル形状としては、縦35mm、横35mm、厚み800μm(前記グリーンシートを8層積層)とし、その中央に基板を貫通するように長さ800μm、直径100μmの貫通導体を上から見て300μm間隔にて縦10列、横10列、合計100本配置し、その上を完全に被覆するように表面に配線層を配置した構造とした。
そして、得られた多層配線基板中の任意の貫通導体の断面を鏡面研磨し、操作型電子顕微鏡(SEM)等にて写真を撮影し、ボイド部分とそれ以外の部分とをルーゼックス画像解析装置を用いて2値化し、貫通導体中のボイドの面積をボイド面積率として算出し、結果を表2に示した。なお、表2に示す結果はn数を5(5本)としてそれらの平均値を求めたもので、5%以下を合格とした。
また、得られた多層配線基板に対して微小電流計を用いた4端子法にて上から見て縦に直列する貫通導体の抵抗値を測定し、別途断面研磨により貫通導体の形状を測定した寸法から、貫通導体の比抵抗を算出し、結果を表2に示した。なお、表2に示す結果はn数を5(5列)としてそれらの平均値を求めたもので、4.0μΩcm以下を合格とした。
また、得られた多層配線基板の任意の貫通導体に対して、3次元形状測定機を用いて多層配線基板の形状を測定し、多層配線基板の平坦部分をベースラインとして、そのラインより最も高い部分との高低差をビア凸として測定し、結果を表2に示した。なお、表2に示す結果はn数を5(5本)としてそれらの平均値を求めたもので、10μm以下を合格とした。
なお、比較試料として、表1、表2に従い、上記同様の方法にて作製した試料を準備し、同様の評価を行った(試料No.18〜24)。その結果を表2に示す。
Figure 2009231543
Figure 2009231543
表2から明らかなように、本発明の範囲内に相当する多層配線基板である試料No.1〜17については、貫通導体用ペースト中に、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有し、かつ焼成によって結晶を析出しないガラス転移温度650〜800℃のガラス粉末が含まれていることにより、貫通導体中のボイドを減少させ、低い比抵抗および少ないビア凸を両立することができる。
これに対し、ガラス粉末中のSb、As、F、NおよびSの含有量が0.5mol%を超える本発明範囲外の試料No.18では、ビア凸が多くなった。
また、ガラス粉末中のSb、As、F、NおよびSの含有量が0.01mol%未満である本発明範囲外の試料No.19〜21では、貫通導体中のボイド面積率が高く、比抵抗が高くなった。
また、ガラス粉末中のSb、As、F、NおよびSの含有量は本発明範囲内であるが、ガラス転移温度が650℃未満であるガラス粉末を使用した試料No.22では、ビア凸が多くなった。
また、ガラス粉末中のSb、As、F、NおよびSの含有量は本発明範囲内であるが、結晶化するガラス粉末を使用した試料No.23では、ボイド面積率、比抵抗、ビア凸のいずれも悪い結果となった。
また、ガラス粉末を添加しない試料No.24は比抵抗は小さいもののビア凸が大きくなった。
本発明の配線基板の一実施形態を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1 絶縁基体
1a、1b、1c、1d、1e ガラスセラミック絶縁層
2 配線層
3 貫通導体

Claims (2)

  1. 複数のガラスセラミック絶縁層が積層されてなる絶縁基体と、少なくとも表層を構成するガラスセラミック絶縁層の内部に形成された金、銀および銅のうちいずれかを主成分とする貫通導体とを具備してなる多層配線基板において、前記貫通導体が、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有するガラス転移温度が650〜800℃のガラスを含んでいることを特徴とする多層配線基板。
  2. 複数のガラスセラミックグリーンシートを作製する工程と、
    前記複数のガラスセラミックグリーンシートの積層体を作製する際に該積層体の少なくとも表層に配置されるガラスセラミックグリーンシートに、貫通孔を形成して、該貫通孔に、金、銀および銅のうちいずれかの金属粉末と、Sb、As、F、NおよびSの群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.01〜0.5mol%含有し、かつ焼成によって結晶を析出しないガラス転移温度が650〜800℃のガラス粉末とを含む貫通導体用ペーストを充填する工程と、
    前記貫通孔に前記貫通導体用ペーストが充填されたガラスセラミックグリーンシートを少なくとも表層に配置して、前記複数のガラスセラミックグリーンシートの積層体を作製する工程と、
    前記積層体を焼成する工程とを具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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