JP2003132733A - 導体組成物およびこれを用いた配線基板 - Google Patents

導体組成物およびこれを用いた配線基板

Info

Publication number
JP2003132733A
JP2003132733A JP2001330241A JP2001330241A JP2003132733A JP 2003132733 A JP2003132733 A JP 2003132733A JP 2001330241 A JP2001330241 A JP 2001330241A JP 2001330241 A JP2001330241 A JP 2001330241A JP 2003132733 A JP2003132733 A JP 2003132733A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
mass
conductor composition
powder
insulating substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001330241A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoji Furukubo
洋二 古久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2001330241A priority Critical patent/JP2003132733A/ja
Publication of JP2003132733A publication Critical patent/JP2003132733A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】メタライズ配線層とガラスセラミックスなどの
低温焼成セラミックスからなる絶縁基板との焼成時の収
縮挙動を一致させ、これにより基板の反りを抑制し、か
つ接着強度を向上させ、かつハンダ濡れ性にも優れた導
体組成物およびこれを用いた配線基板を得る。 【解決手段】低温焼成セラミックスからなる絶縁基板
と、この絶縁基板の表面および/または内部に被着形成
されたメタライズ配線層とを備え、このメタライズ配線
層が低抵抗金属粉末と、中空ガラスを破砕して形成され
た鱗片状のガラス粉末と、有機ビヒクルとからなり、前
記鱗片状のガラス粉末を前記低抵抗金属粉末100質量
部に対して0.1〜10質量部の割合で含む導体組成物
を絶縁基板表面に被着し焼成して配線基板を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導体組成物および
これを用いた配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、配線基板においては、高周波回路
の対応性、高密度化、高速化が要求され、従来のアルミ
ナ系セラミック材料に比較して低い誘電率が得られ、配
線層の低抵抗化が可能な低温焼成配線基板が注目されて
いる。
【0003】また、この低温焼成配線基板は、配線層の
低抵抗化、絶縁基板の低誘電率、低誘電損失化などによ
って、半導体素子を収納する半導体素子収納用パッケー
ジや、配線回路基板、携帯電話やパーソナルハンディホ
ンシステム、各種衛星通信用に使用される高周波用多層
配線基板などのあらゆる分野への応用が進められてい
る。
【0004】例えば、ガラスセラミックスからなる絶縁
基板の表面および内部に銅粉末を主成分とするメタライ
ズ配線層を形成する場合には、ガラスセラミックス原料
粉末および有機バインダーに溶剤を添加して調製したス
ラリーをドクターブレード法などによってシート状に形
成し、得られたグリーンシートに貫通孔を打ち抜き加工
し、該貫通孔に銅粉末を主成分とする導体ペーストを充
填し、同時にグリーンシート上に銅粉末を主成分とする
導体ペーストをスクリーン印刷法などで印刷して配線パ
ターンを形成する。そして、配線パターンや貫通孔に導
体が充填されたビアホール導体が形成されたグリーンシ
ートを複数枚加圧積層し、800〜1000℃で焼成す
ることよってメタライズ配線層を有する配線基板が得ら
れる。
【0005】ここで、導体ペーストとして銅粉末のみの
ものを使用すると、銅の焼結が絶縁基板の焼成開始温度
よりも早い600℃付近から徐々に焼結が進行する為、
絶縁基板においては脱バインダー不良が発生しこれによ
りメタライズ配線層の接着強度の低下や、磁器との収縮
不整合により基板に反りが起きる。
【0006】このような問題を解決する為に、特開平3
−285208号ではCuOにガラスフリットとMgO
により還元工程後のCu粉末の焼結を阻害し収縮挙動を
一致させている。また特開平4−190502号では銅
粉末をシランカップリング剤により被覆し、銅粉末の焼
結開始温度をより高温側にシフトさせ収縮挙動を一致さ
せている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなペーストにおいては次のような問題が発生する。
即ち、CuOにガラスフリットとMgOを添加したペー
ストではMgOの添加量により焼結抑制の効果が急激に
変化し、現にMgO添加量が3質量%以上でセラミック
クラックが発生する。更にはMgOによる焼結抑制では
収縮開始温度は合わせられるものの、最終収縮量をも同
時に合わせる事が出来ず、これによる基板の反りが問題
となる。一方銅粉末をシランカップリング剤により被覆
したものでは、シランカップリング剤のカーボン残さに
より部分的な強度劣化が発生し、平均強度としては3K
g/4mm2の強度が得られるが、強度バラツキは大き
く、最小強度が1Kg/4mm2と小さくなる。
【0008】また、MgOやガラスなどの無機フィラー
の添加量を増やすことによって、メタライズ配線層の焼
結の開始を遅らせることができ、絶縁基板との焼結のマ
ッチングを高めることができるが、その添加量が多くな
ると、メタライズ配線層の表面に無機フィラーやガラス
が露出しメタライズ配線層表面における半田との濡れ性
が低下するという問題があった。
【0009】従って、本発明の目的は、メタライズ配線
層とガラスセラミックスなどの低温焼成セラミックスか
らなる絶縁基板との焼成時の収縮挙動を一致させ、これ
により基板の反りを抑制し、かつ接着強度を向上させ、
かつ半田濡れ性にも優れたメタライズ配線層を形成する
ことができる導体組成物およびこれを用いた配線基板を
提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低抵抗金属粉末に鱗
片状のガラス粉末と、有機ビヒクルからなる導体組成物
を使用してメタライズ配線層を形成する場合には、導体
組成物の収縮開始温度と最終収縮率の両方を低温焼成セ
ラミックスのそれらと一致させることができ、しかも、
鱗片状のガラス粉末を用いることによって、従来の球状
粉末フィラーを用いた場合に比較して、少量の添加で低
抵抗金属粉末同士の焼結を抑制でき、無機フィラーの添
加量を減少させることができるために、無機フィラーの
添加による半田濡れ性が低下することを防止することが
できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに
到った。
【0011】即ち、本発明の導体組成物は、低抵抗金属
粉末と、鱗片状のガラス粉末と、有機ビヒクルとからな
り、前記鱗片状のガラス粉末を前記低抵抗金属粉末10
0質量部に対して0.1〜10質量部の割合で含むこと
を特徴とするものである。
【0012】なお、この鱗片状のガラス粉末は、中空ガ
ラスを破砕して形成することによって容易に得ることが
できる。
【0013】また、このガラスの軟化点は、650〜1
000℃であること、ホウ珪酸系ガラスであること、特
にガラス組成が、SiO2を25〜70質量%、B23
を3〜15質量%、アルカリ土類を15〜50質量%、
Al23を0〜30質量%の割合でそれそれ含むことが
望ましい。
【0014】一方、前記低抵抗金属が、金、銀、銅、ニ
ッケル、アルミニウム、白金、パラジウムの群から選ば
れる少なくとも1種からなる平均粒径0.5〜10μm
の球状粉であることが焼結性を高めるうえで望ましい。
【0015】また、本発明の配線基板は、低温焼成セラ
ミックスからなる絶縁基板と、この絶縁基板の表面およ
び/または内部に被着形成されたメタライズ配線層とを
備えるものであって、このメタライズ配線層が上記の導
体組成物を前記絶縁基板表面に被着し焼成したものであ
ることを特徴とするものである。なお、前記低温焼成セ
ラミックスの0〜400℃までの熱膨張係数が8〜18
×10-6/℃であることが、配線基板をハンダボールな
どの接続端子を介して、熱膨張係数が13〜30ppm
/℃のプリント配線基板に表面実装した場合のハンダ接
続部に加わる熱応力を緩和し、その結果、実装信頼性が
改善される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
導体組成物およびこれを用いた配線基板を説明する。図
1は、本発明の一実施形態にかかる配線基板の構造を示
しており、複数のガラスセラミックス絶縁層からなる多
層配線基板である。
【0017】図1に示すように、配線基板1は、絶縁基
板2とメタライズ配線層3とを含んでいる。絶縁基板2
は、複数のガラスセラミック絶縁層2a・・・2dを積
層した積層体から構成され、各層間および絶縁基板2の
表面には銅粉末等の低抵抗金属粉末を主成分とする厚み
が5〜30μm程度のメタライズ配線層3が被着形成さ
れている。また、絶縁基板2内には、各絶縁層2a・・
・2dを厚さ方向に貫通した直径が50〜200μm程
度のビアホール導体4が形成されている。
【0018】本発明の配線基板において、絶縁基板表面
のメタライズ配線層3は、ICチップ等の各種電子部品
5を搭載するためのパッドとして、シールド用導体膜と
して、さらには外部回路と接続する端子電極として用い
られる。各種電子部品5は配線層3にハンダや導電性接
着剤等の接合剤6を介して接合される。なお、図示して
いないが、表面に珪化モリブデンなどの厚膜抵抗体膜や
配線保護膜等を形成しても構わない。
【0019】絶縁基板2は、少なくともSiO2を含有
するガラス、またはSiO2を含有するガラスと無機フ
ィラーとの複合材料からなるガラスセラミックスからな
る。具体的には、ガラスセラミックス材料のガラス成分
は、複数の金属酸化物から構成され、焼成後において非
晶質、または焼成によってコージェライト、ムライト、
アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウ
ィレマイト、ドロマイト、リチウムシリケートやその置
換誘導体の結晶の群から選ばれる少なくとも1種を析出
する結晶化ガラスによって構成される。
【0020】ガラス成分としては、例えばSiO2以外
にLi2O,K2O,Na2O等のアルカリ金属酸化物、
CaO,MgOなどのアルカリ土類金属酸化物、Al2
3,P 25,ZnO,B23およびPbOから選ばれ
る1種または2種以上を含有するホウ珪酸ガラス、アル
カリ珪酸ガラス、BaO系ガラス、ナトリウムソーダー
ガラスなどが挙げられる。前記フィラー成分としては、
例えばクオーツ、クリストバライト、石英、コランダム
(αアルミナ)、ディオプサイド、ムライト、コージェ
ライトおよびフォルステライトから選ばれる1種または
2種以上が使用可能である。
【0021】ガラス成分とフィラー成分との割合は、ガ
ラス成分が30〜70質量%、フィラー成分が70〜3
0質量%であるのが適当である。
【0022】また、セラミック絶縁基板2は、0〜40
0℃までの熱膨張係数が8〜18×10-6/℃であるの
が好ましい。絶縁基板2の熱膨張係数が8×10-6/℃
を下回ると、絶縁基板2とプリント配線板とのハンダ接
合部に熱応力が加わり実装信頼性が低下するという問題
があり、逆に18×10-6/℃を超えると絶縁基板2と
シリコンチップとのハンダ接合部に熱応力が加わり実装
信頼性が低下するという問題がある。
【0023】メタライズ配線層3は低抵抗金属粉末を主
成分とする。本発明によれば、メタライズ配線層3は、
低抵抗金属粉末と、鱗片状のガラス粉末と、有機ビヒク
ルとからなる導体組成物を焼成することによって作製さ
れたものである。
【0024】本発明における上記導体組成物において
は、前記無機フィラーとして、鱗片状のガラス粉末を用
いることによって、導体組成物の収縮開始温度と最終収
縮率の両方をガラスセラミックスのそれらと容易に一致
させることができる。また、従来の球状粉末を用いた場
合に比較して、10質量%以下の少量の添加で低抵抗粉
末同士の焼結を抑制でき、導体組成物中、言い換えれば
メタライズ配線層3中における無機フィラーの添加量を
減少させることができるために、無機フィラーの添加に
よる半田濡れ性が低下することを防止することができ
る。
【0025】この鱗片状のガラス粉末は、銅粉末の焼結
が始まり銅粉末間にネックを形成した後は収縮が速やか
に進むものが良く、特に平均アスペクト比が5以上であ
ることが必要であり、このアスペクト比が5よりも小さ
いと、10質量%以下の少ない添加量で低温焼成セラミ
ックスとの焼結挙動を一致させることが難しく、添加量
を増やすと半田濡れ性が低下してしまう。
【0026】このアスペクト比はフィラーの最短径に対
する最長径の割合であるが、本発明における鱗片状のガ
ラス粉末の場合、短径を粒子の厚みとし、長径は、鱗片
状粒子の平面内の最長径を用い、最長径/厚みで求めた
ものである。
【0027】この鱗片状のガラスは、低温焼成セラミッ
クスの焼成収縮挙動、熱膨張率などにより適宜選択する
事が肝要で、概ね低温焼成セラミックスの収縮開始温度
が高ければ融点の高いガラスを、また低温焼成セラミッ
クスの熱膨張係数が低ければ熱膨張係数の低いガラスを
選択すれば良い。
【0028】但し、ガラスの屈伏点は650℃〜100
0℃が好ましい。これは、屈伏点が650℃よりも低い
とメタライズ配線層の収縮開始温度を低める結果とな
り、1000℃よりも高いと最終収縮率をセラミック絶
縁基板と整合させることが難しくなる。また、ガラス
は、焼成後においても結晶相が析出するものでない非晶
質ガラスであることが好ましい。これは、焼結過程で結
晶相が析出すると析出した結晶相が銅粉末同士の焼結を
妨げ、焼結不良となりやすいためである。
【0029】このようなガラスとしては、ホウ珪酸系ガ
ラスを用いることができ、特にSiO2と、B23と、
MgO、CaO、BaOのアルカリ土類金属酸化物のう
ちの少なくとも1種を含み、特に望ましくは、SiO2
を25〜70質量%、B23を3〜15質量%、アルカ
リ土類酸化物を15〜50質量%、さらにはAl23
0〜30質量%の割合で含むものが望ましい。
【0030】かかる組成において、SiO2が25質量
%未満ではガラス化が難しく、70質量%を超えるとク
リストバライトが析出し焼結不良を起こしやすくなる。
23はガラスの粘性を下げる効果があり、中空ガラス
を作りやすく、3質量%より少ないとこの効果が得られ
ず、15質量%よりも多いと屈伏点が下がり、焼結抑制
の効果が小さくなる。CaO、BaO,MgOなどのア
ルカリ土類酸化物はガラスの粘性を下げる効果とガラス
の熱膨張を調整する効果があり、ガラスセラミックスの
性質に合わせて適宜調整される。Al23はガラス安定
化の為に必要に応じて添加されるものであり、30質量
%を超えると結晶化しやすくなる。
【0031】また、鱗片状のガラスは、銅粉末同士の接
触を防止する役目がありその鱗片状粒子の厚みは0.1
〜2μmであることが好ましく、0.1μmよりも薄い
と所望の効果を得ることがむずかしく、2μmよりも厚
いと焼結を阻害し過ぎ、最終収縮率がセラミック絶縁基
板と整合させることが困難となる。
【0032】この鱗片状のガラスは、上記ガラスからな
る中空ガラスを粉砕することによって容易に得ることが
できる。この中空ガラスは、通常、ガラス中に発泡する
成分(H2O、Sなど)を加え、これを火炎中に分散滞
留させることによって作製されるもので、その平均粒径
が1〜20μm程度のものが適当である。そして、この
中空ガラスを前述した通り、平均アスペクト比が5以上
となるレベルに粉砕する。粉砕処理は、ボールなどの粉
砕メディアとともに混合するボールミルや、振動ミルな
どの通常の粉砕方法によって粉砕すればよい。また、こ
の粉砕処理は、ペースト化する際に、低抵抗金属粉末、
有機ビヒクルなどと一緒にボールミルを用いて混合する
との同時に行うこともできる。
【0033】一方、前記低抵抗金属粉末は、金、銀、
銅、ニッケル、アルミニウム、白金、パラジウムのうち
の1種または2種以上の組み合わせが好ましく、良好な
ペースト特性の観点からその平均粒径が0.1〜10μ
mであることが好ましい。平均粒径が0.1μmよりも
小さいと、比表面積の増加から、バインダー吸着量が大
きくなり、分散性が劣下し、焼成後の嵩減りによる抵抗
値の上昇なども引き起こす。逆に10μmよりも大きい
とメタライズの過焼結によるメタライズ配線層の強度低
下や、微細配線でのプリント時に目詰まりを起こしやす
くなる。
【0034】低抵抗金属としてはコスト、マイグレーシ
ョンの問題から銅がもっとも好ましい。また、本発明に
よれば、単体銅のみならず、還元雰囲気中での焼成によ
って単体銅を形成することができる酸化銅も銅粉末とみ
なし、前記単体銅の一部またはすべてを置換することも
できる。例えば、酸化銅の量を調整することによって酸
化銅の還元時の体積収縮によるメタライズ配線層の収縮
率を絶縁基板の収縮率に整合させることができる。
【0035】次に、本発明の配線基板を作製する方法に
ついて説明する。まず、上述したようなガラス成分、ま
たはガラス成分とフィラー成分とを混合してガラスセラ
ミックス組成物を調製し、その混合物に有機バインダー
等を加えた後、ドクターブレード法、圧延法、プレス法
等の適宜な成形手段によりシート状に成形してグリーン
シートを得る。
【0036】ついで、このグリーンシートの表面に導体
ペーストをスクリーン印刷等により配線パターン状に印
刷する。導体ペーストの主成分となる低抵抗金属粉末に
は、前記した所定粒径の金属単体(例えば銅)もしくは
該金属の酸化物(例えば酸化銅)またはそれらの混合物
が用いられる。金属酸化物は還元性雰囲気で焼成される
ことにより実質的に金属単体の粉末に還元される。
【0037】導体ペーストは、前記した低抵抗金属粉
末、鱗片状のガラス粉末のほか、アクリル樹脂等の有機
バインダー、α−テルピネオール、ジブチルフタレー
ト、ブチルカルビトール等の有機ビヒクルを均質に混合
して調製される。有機バインダーは無機成分100質量
部に対して1〜10質量部、有機溶剤は無機成分100
重質量部に対して5〜30質量部の割合で混合するのが
好ましい。
【0038】一方、ビアホール導体4を形成するには、
前記グリーンシートにレーザー、マイクロドリル、パン
チング等により直径50〜200μm程度の貫通孔を形
成し、この貫通孔の内部に前記配線層3と同じ導体ペー
ストを充填する。その後、配線層3やビアホール導体4
が形成されたグリーンシートを積層圧着して積層体を形
成する。ついで、積層体を400〜800℃の窒素雰囲
気中で加熱処理してグリーンシート内や導体ペースト内
に含有されている有機成分を分解除去した後、800〜
1000℃の窒素雰囲気(還元性雰囲気)中で同時焼成
することによりメタライズ配線層3およびビアホール導
体4を備えた多層配線基板を作製することができる。な
お、本発明の配線基板は上述したような多層配線基板に
限定されるものではなく、単層のガラスセラミックのグ
リーンシート上に前記と同様な導体ペーストで配線パタ
ーンを印刷し、同時焼成した配線基板をも包含する。ま
た、基板が多層構造であっても、内部のメタライズ配線
層4のみを積層体と同時に焼成処理し、表面の配線層4
をこの焼成した積層体の表面に焼き付け処理して形成し
たものであってもよい。
【0039】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の導体組成物およびこれを用いた配線基板
は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0040】実施例1 絶縁基板用のグリーンシートの材料として、SiO2
40質量%、Al23が6質量%、B23が5質量%、
CaOが15質量%、BaOが34質量%のガラスを5
0質量%、フィラーとしてシリカ50質量%の組成を用
いた。これらに分子量30万のアクリル系バインダーと
可塑剤、分散剤および溶剤を加え混合し、得られた泥し
ょうをドクターブレード法により平均厚さ200μmの
グリーンシートに成形した。
【0041】一方、表1に示す中空ガラスを直径2mm
のジルコニアボールを用いて24時間粉砕処理した。得
られた粉砕粉末に対して、走査型電子顕微鏡写真を用い
て、観察される粒子のうち、観察面に対してほぼ平行な
粒子における長径と、断面が露出した粒子から観察され
る短径とからアスペクト比を算出し表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】そして、平均粒径が4μmの銅粉末に、上
記中空ガラスを粉砕して得た鱗片状粉末を表2に示す添
加量で加えた。さらに、これら無機成分100質量部に
対して有機バインダーとしてアクリル樹脂2質量部、有
機溶剤としてα−テルピネオール15質量部を添加し、
樹脂ボールを粉砕メディアとするボールミルを用いて1
0時間混合して導体ペーストを作製した。
【0044】そして、上記のようにして得られた導体ペ
ーストとグリーンシートとを用いて、以下に示す3種類
のサンプルを作製した。 (1)接着強度を評価するサンプル 焼成後の寸法が直径0.6mmで厚さ20μmのパター
ンをグリーンシート上にスクリーン印刷し、このグリー
ンシートの下部に同じグリーンシート5枚を加圧積層し
た。 (2)基板反りを評価するサンプル 焼成後の寸法が10mm×10mmで厚さ20μmのパ
ターンをグリーンシート上にスクリーン印刷し、このグ
リーンシートの下部に同じグリーンシート1枚を加圧積
層した。 (3)ハンダ濡れ性を評価するサンプル 焼成後の直径が0.1mmの円形パターンをグリーンシ
ート上にスクリーン印刷し、このグリーンシートの下部
に同じグリーンシート5枚を加圧積層した。このように
して配線パターンが形成された未焼成状態の積層体を、
有機バインダー等の有機成分を分解除去するために、窒
素雰囲気中にて700℃で3時間保持した後、950℃
に昇温して1時間保持して焼成し、配線基板を得た。な
お、前記グリーンシートを焼成して得た絶縁基板の0〜
400℃での熱膨張係数は11.5ppm/℃であっ
た。前記(1)〜(3)のサンプルを用いて得た各配線
基板について、以下の方法にて特性を評価した。 (a)接着強度の評価方法 得られた配線基板の導体部分に厚さ1μmのNiメッキ
を施し、その表面に厚さ0.1μmの金メッキを施し
た。次に、この金メッキ層上に直径0.65mmの共晶
半田をのせ、230℃のヒータブロックで1分間加熱
し、半田ボール付けを行った。ついでこの半田ボールを
直接治具にて固定し、100μm/秒の条件にて垂直引
張強度を測定した。測定は1条件30サンプルを評価
し、サンプル中での最小値を表2に示した。 (b)基板反りの評価方法 配線基板の表面に存在する一辺が10mm四方の銅配線
層の対角方向(長さ14.2mm)に沿って接触型の表
面粗さ計にて表面粗さを測定し、50μm/14.2m
m以下のものを良品とした。 (c)ハンダ濡れ性の評価方法 配線基板の表面に存在する円形パターンの銅配線層にフ
ラックスを塗布し、235℃に保たれた共晶ハンダ中
に、鉛直方向に対して45度の角度で5秒間浸漬したも
のを実体顕微鏡にて観察し、銅配線層のパターン全面が
ハンダに濡れているものを良品とした。これらの試験結
果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2から明らかなように試料番号1では無
機フィラーの添加量が少ない為、メタライズ配線層と絶
縁基板との焼成収縮挙動の相違によって収縮差が大き
く、基板の反りが大きくなった。
【0047】また試料番号6では無機フィラーの添加量
が10質量%を超えて多い為、これらの成分がメタライ
ズ配線層の表面に浮き出し半田濡れ性が劣化した。さら
に、試料番号7では無機フィラーのアスペクト比が5よ
りも小さく、最終的な収縮量が合わず、反りが大きくな
った。
【0048】本発明品である試料番号2〜5、8〜12
では、少ない添加量で焼結抑制効果と、最終収縮量の一
致により接着強度、反り、半田濡れ性に優れる結果とな
った。特に、ガラスの屈伏点が650〜1000℃で特
に焼結抑制効果が顕著で、反りも小さいものであった。
【0049】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、銅
粉末等の低抵抗金属粉末に鱗片状のガラス粉末を添加、
混合した導体組成物を使用してメタライズ配線層を形成
することにより、ガラスセラミックスからなる絶縁基板
との焼成時の収縮挙動を一致させ、これにより基板の反
りを抑制し、かつ接着強度を向上させ、かつハンダ濡れ
性にも優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる配線基板の概略断
面図である。
【符号の説明】
1 配線基板 2 絶縁基板 3 メタライズ配線層 4 ビアホール導体 5 電子部品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E351 AA07 BB01 BB24 BB26 BB31 CC12 CC21 DD04 DD05 DD06 DD10 DD20 DD28 DD52 EE02 EE03 EE10 GG02 GG15 4K018 AA02 AA03 AA07 AA15 AB01 AB04 AB06 AC01 BA01 BA02 BA04 BA08 BD10 JA16 KA33 5E346 AA12 AA15 AA24 AA32 BB01 CC18 CC31 CC32 CC37 CC38 CC39 DD02 DD34 EE24 EE27 EE29 FF18 GG02 GG03 GG06 GG09 HH11 5G301 DA03 DA04 DA05 DA06 DA10 DA11 DA12 DA34 DA36 DA38 DA40 DA42 DD01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低抵抗金属粉末と、鱗片状のガラス粉末
    と、有機ビヒクルとからなり、前記鱗片状のガラス粉末
    を前記低抵抗金属粉末100質量部に対して0.1〜1
    0質量部の割合で含むことを特徴とする導体組成物。
  2. 【請求項2】前記鱗片状のガラス粉末が、中空ガラスを
    破砕して形成されたものである請求項1記載の導体組成
    物。
  3. 【請求項3】前記ガラスの屈伏点が、650〜1000
    ℃であることを特徴とする請求項1または請求項2のい
    ずれか記載の導体組成物。
  4. 【請求項4】前記ガラスが、ホウ珪酸系ガラスであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の
    導体組成物。
  5. 【請求項5】前記ガラスが、SiO2を25〜70質量
    %、B23を3〜15質量%、アルカリ土類を15〜5
    0質量%、Al23を0〜30質量%の割合で含むこと
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の導
    体組成物。
  6. 【請求項6】前記低抵抗金属が、金、銀、銅、ニッケ
    ル、アルミニウム、白金、パラジウムの群から選ばれる
    少なくとも1種からなる平均粒径0.5〜10μmの球
    状粉であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のい
    ずれか記載の導体組成物。
  7. 【請求項7】低温焼成セラミックスからなる絶縁基板
    と、この絶縁基板の表面および/または内部に被着形成
    されたメタライズ配線層とを備え、このメタライズ配線
    層が請求項1乃至請求項6のいずれか記載の導体組成物
    を前記絶縁基板表面に被着し焼成してなることを特徴と
    する配線基板。
JP2001330241A 2001-10-29 2001-10-29 導体組成物およびこれを用いた配線基板 Pending JP2003132733A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001330241A JP2003132733A (ja) 2001-10-29 2001-10-29 導体組成物およびこれを用いた配線基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001330241A JP2003132733A (ja) 2001-10-29 2001-10-29 導体組成物およびこれを用いた配線基板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003132733A true JP2003132733A (ja) 2003-05-09

Family

ID=19145991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001330241A Pending JP2003132733A (ja) 2001-10-29 2001-10-29 導体組成物およびこれを用いた配線基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003132733A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7352116B2 (en) 2004-04-20 2008-04-01 Murata Manufacturing Co., Ltd. Multilayer ceramic substrate, method for manufacturing the same, and piezoelectric resonator component
JP2009231543A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Kyocera Corp 多層配線基板およびその製造方法
JP2014156393A (ja) * 2008-10-02 2014-08-28 E.I.Du Pont De Nemours And Company 無電解ニッケルおよび金めっきするための銀ペースト組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7352116B2 (en) 2004-04-20 2008-04-01 Murata Manufacturing Co., Ltd. Multilayer ceramic substrate, method for manufacturing the same, and piezoelectric resonator component
JP2009231543A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Kyocera Corp 多層配線基板およびその製造方法
JP2014156393A (ja) * 2008-10-02 2014-08-28 E.I.Du Pont De Nemours And Company 無電解ニッケルおよび金めっきするための銀ペースト組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6630417B2 (en) Porcelain composition, porcelain and method of producing the same, and wiring board and method of producing the same
CA2050095A1 (en) Dielectric composition containing cordierite and glass
JP3678260B2 (ja) ガラスセラミックス組成物
JPH0676227B2 (ja) ガラスセラミツク焼結体
JP2006282474A (ja) ガラスセラミック焼結体およびその製造方法、並びにそれを用いた配線基板
JP2006256956A (ja) ガラスセラミックス焼結体及びマイクロ波用回路部材
JP2003132733A (ja) 導体組成物およびこれを用いた配線基板
JPH05116985A (ja) セラミツク基板
JP2002193691A (ja) 低誘電率セラミック焼結体及びその製造方法、並びにそれを用いた配線基板
JP4202117B2 (ja) 高周波用低温焼成磁器組成物及びその製造方法
JPH0617250B2 (ja) ガラスセラミツク焼結体
JP4580923B2 (ja) 高周波用低温焼成磁器組成物、その製造方法及び電子部品
JP2003277852A (ja) 銅メタライズ組成物およびセラミック配線基板
JPH11284296A (ja) 配線基板
JP2004256347A (ja) ガラスセラミック組成物、ガラスセラミック焼結体とその製造方法、並びにそれを用いた配線基板とその実装構造
JP3643264B2 (ja) 導体ペーストおよびこれを用いた配線基板
JP4540297B2 (ja) 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器並びに配線基板
JP4646362B2 (ja) 導体組成物およびこれを用いた配線基板
JPH09175853A (ja) 低温焼成磁器組成物
JPH11186727A (ja) 配線基板およびその製造方法
JP2003073162A (ja) ガラスセラミックスおよびそれを用いた配線基板
JP4632472B2 (ja) 銅導体組成物及びこれを用いた配線基板
JP3936164B2 (ja) 高周波用低温焼結磁器組成物及びその製造方法
JP2005216998A (ja) セラミック回路基板及びその製造方法
JP2003137657A (ja) ガラスセラミックスおよびその製造方法、並びに配線基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040415

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20060501

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061212

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070410

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02