JP2009231413A - ウエハ加工用テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のウエハ加工用テープ10は、基材フィルム1上に、粘着剤層2が形成されたウエハ加工用テープであって、粘着剤層2は、複数層2a,2bからなり、複数層のうち少なくとも1層が、無機化合物フィラーを含有する。
【選択図】図1
Description
図1及び図2に、本発明のウエハ加工用テープの2つの例を示す。図1は、基材フィルム1上に、粘着剤層2及び接着剤層3が積層されたダイシング・ダイボンディングテープ10を示す断面図であり、図2は、基材フィルム1上に、粘着剤層2のみが形成されたダイシングテープ20を示す断面図である。図1及び図2においては、ウエハ加工用テープに半導体ウエハWとリングフレーム12とが貼り合わされた様子が示されている。
以下に、各層について詳細に説明する。
粘着剤層2は、粘着剤からなる上層2aと、粘着剤と無機化合物フィラーとが所定比率で混合されてなる下層2bとを含む積層構造を有する。このように、無機化合物フィラーを含有する下層2bを有することにより、ブレードダイシングの際に生じる切削屑全体に占める粘着成分の割合を小さくすることができ、切削屑全体としての粘着性を低下させることができる。これにより、隣接するチップが接着し難くなる、及び/又は、ダイシングの際に切削屑が切削溝に詰まらずに外部へ排出されやすくなるので、該切削屑に起因するピックアップ不良の発生を抑制することが可能となる。さらに、粘着剤層が無機化合物フィラーを含有することで、粘着剤の切削屑によるブレードの詰まりを抑制するといったブレードの洗浄効果も期待できる。
これら積層構造の粘着剤層は、基材フィルム1上に各粘着剤組成物を塗工して形成することができる。
下層2bに含有される無機化合物フィラーとしては、平均粒径が50nm〜1000nmのものが好ましく、平均粒径が100nm〜800nmのものがより好ましく、平均粒径が300nm〜600nmのものがさらに好ましい。平均粒径が50nm未満では、粘着剤の配合および塗布作業中に無機化合物フィラーの凝集が急速に進行してしまい均一な粘着剤層が形成されないため、粘着効果が損なわれる。また、平均粒径が1000nmを超えると、粘着剤層に占める無機化合物フィラーの割合が大きくなり過ぎ、均一な粘着剤層が形成されない、あるいは、ダイシングテープまたはダイシングダイボンドシートとして使用するのに十分な粘着性が得られない。
粘着剤層2の下層2bに用いられる粘着剤としては、特に制限はなく、一般的な粘着剤を使用することができる。
粘着剤層2の上層2aに用いられる粘着剤としては、ダイシング時には接着剤層とのチップ飛びなどの不良を発生しない程度の保持性や、ピックアップ時には接着剤層と剥離が容易とする特性を有するものが好ましく、特に、以下に挙げるアクリル系粘着剤1及び2から選択されることが好ましい。
分子中にヨウ素価0.5〜20の光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)と、ポリイソシアネート類、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる化合物(B)とを含有するアクリル系粘着剤。
水酸基あるいはカルボキシル基を有するアクリル系共重合体(C)と、ポリイソシアネート類、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる化合物(B)とを含有するアクリル系粘着剤。
このうち、前記の放射線重合性炭素−炭素二重結合および官能基を有する化合物(1)は、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルなどの放射線重合性炭素−炭素二重結合を有する単量体(1)−1と、官能基を有する単量体(1)−2とを共重合させて得ることができる。
化合物(1)と化合物(2)の反応において、未反応の官能基を残すことにより、酸価または水酸基価などの特性に関して、後述するものを製造することができる。
この際、必要に応じて触媒、重合禁止剤を併用することができ、重合温度および重合時間を調節することにより、所望の分子量の(A)を得ることができる。また、分子量を調節することに関しては、メルカプタン、四塩化炭素系の溶剤を用いるのが好ましい。
なお、この反応は溶液重合に限定されるものではなく、塊状重合、懸濁重合など別の方法でもさしつかえない。
分子量が30万未満では、放射線照射の凝集力が小さくなって、ウエハをダイシングする時に、素子のずれが生じやすくなり、画像認識が困難となることがある。また、この素子のずれを、極力防止するためには、分子量が、40万以上であるのが好ましい。しかし、分子量が100万を越えると、合成時および塗工時にゲル化する可能性がある。
なお、本発明における分子量とは、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
ヨウ素価が0.5未満では、放射線照射後の粘着力の低減効果が小さくなり、ヨウ素価が20を越えると、放射線照射後の粘着剤の流動性が十分ではなく、延伸後の素子間隙が不十分であり、ピックアップ時に各素子の画像認識が困難になるという問題が発生する。
さらに、分子中のヨウ素価が大きすぎると光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)は、そのものが安定性に欠け、製造が困難となる。
ガラス転移点が低くすぎると、放射線照射に伴う熱に対する耐熱性が十分でなく、高すぎると、表面状態が粗いウエハにおけるダイシング後の素子の飛散防止効果が十分でない。
また、分子中にヨウ素価0.5〜20の光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)が、酸価0.5〜30のCOOH基を有すると粘着テープ復元性を改善することにより、使用済テープ収納型の機構への対応を容易にすることができるので好ましい。
ここで、水酸基あるいはカルボキシル基を有するアクリル系共重合体(C)の水酸基価が高すぎると、放射線照射後の粘着剤の流動性を損なう。酸価が高すぎると粘着剤の流動性を損なう。
(B)の添加量を、水酸基あるいはカルボキシル基を有するアクリル系共重合体(C)または分子中にヨウ素価0.5〜20の光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)100質量部に対して0.1〜10質量部とする。その量が0.1質量部未満では凝集力向上効果が十分でなく、10質量部を越えると粘着剤の配合および塗布作業中に硬化反応が急速に進行し、架橋構造が形成されるため、作業性が損なわれる。
粘着剤層2上に形成される接着剤層3は、半導体ウエハ等が貼合されダイシングされた後、チップをピックアップする際に、粘着剤層と剥離してチップに付着しており、チップを基板やリードフレームに固定する際の接着剤として使用されるものである。接着剤層3は、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤に使用される公知のポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコンオリゴマー系等を使用することができる。
接着剤層3は予め接着剤層がフィルム化されたもの(以下、接着フィルムと言う。)を、粘着剤2上に直接または間接にラミネートして形成してもよい。ラミネート時の温度は10〜100℃の範囲で、0.01〜10N/mの線圧をかけることが好ましい。なお、接着剤フィルムはセパレータ上に形成されたものを用い、ラミネート後にセパレータを剥離してもよく、あるいは、そのままダイシングダイボンド用粘接着テープのカバーフィルムとして使用し、ウエハを貼合する際に剥離してもよい。
基材フィルム1としては、特に限定されるものではなく公知のプラスチック、ゴムなどを用いることができる。放射線透過性であることが好ましく、特に粘着剤層に放射線硬化性の粘着剤を使用する場合にはその粘着剤が硬化する波長での放射線透過性の良いものを選択する必要がある。このような基材として選択し得るポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのα−オレフィンの単独重合体または共重合体あるいはこれらの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のエンジニアリングプラスチック、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体、ポリアミド−ポリオール共重合体等の熱可塑性エラストマー、およびこれらの混合物を列挙することができる。また、これらを複層にしたものを使用しても良い。
(粘着剤組成物A)
光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)[ヨウ素価12、酸価6、水酸基価56、ガラス転移温度−64℃、質量平均分子量:75万]100質量部にポリイソシアネート系硬化剤(B)[日本ポリウレタン製、商品名 コロネートL]を4質量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを2質量部を混合して粘着剤組成物Aを得た。
アクリル系共重合体(C)〔質量平均分子量:61万、ガラス転移温度−44℃〕100質量部、硬化剤としてポリイソシアネート系硬化剤(B)[日本ポリウレタン製、商品名 コロネートL]4質量部を混合して粘着剤組成物Cを得た。
アクリル系共重合体(C)〔質量平均分子量:52万、ガラス転移温度−23℃〕100質量部、硬化剤としてポリイソシアネート系硬化剤(B)[日本ポリウレタン製、商品名 コロネートL]8質量部を混合して粘着剤組成物Cを得た。
エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量197、分子量1200、軟化点70℃)50質量部、シランカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.5質量部、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン3質量部、平均粒径16nmのシリカフィラー30質量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、更にビーズミルを用いて90分混練した。
接着剤を厚さ25μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、110℃で1分間加熱乾燥して、膜厚が40μmのBステージ状態の塗膜を形成し、キャリアフィルムを備えた接着フィルムを作製した。
粘着剤層の下層に用いる粘着剤組成物Cにさらに粒径500nmのフィラー(シリカ微粒子)15重量%を混合し、厚さ100μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(基材フィルム)に、粘着剤組成物を乾燥膜厚が10μmとなるように塗工し、110℃で3分間乾燥させ、さらに表層に用いる粘着剤層組成物Aを乾燥膜厚が10μmとなるように塗工し、110℃で3分間乾燥させた。さらに、粘着剤層の表層上に、接着フィルムを貼り合わせ、実施例1のダイシング・ダイボンディングテープを作成した。
フィラーを粘着剤層の表層側に混合した以外は、実施例1と同様にして実施例2のダイシング・ダイボンディングテープを作成した。
フィラーの配合量を2重量%とした以外は、実施例1と同様にして実施例3のダイシング・ダイボンディングテープを作成した。
粒径10nmのフィラーを500重量%混合した以外は、実施例1と同様にして実施例4のダイシング・ダイボンディングテープを作成した。
表層として粘着剤組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5のダイシング・ダイボンディングテープを作成した。
表層及び下層のいずれにもフィラーを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1のダイシング・ダイボンディングテープを作成した。
表層及び下層のいずれにもフィラーを添加せず、且つ、表層として粘着剤組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2のダイシング・ダイボンディングテープを作成した。
25mm幅の短冊状にカットした各ダイシング・ダイボンディングテープを70℃×20秒でウエハへ加熱貼合した後、引っ張り試験機のサンプル台に水平に固定し、ダイシングテープのみ剥離角度90°、剥離速度50mm/minで剥離させたときの剥離力を測定した(サンプル数n=5)。
剥離力が0.05N/25mm未満のもの○、0.05N/25mm以上0.1N/25mm未満のものを△、0.1N/25mm以上のものを×として評価した。結果を表1に示す。
各ダイシング・ダイボンディングテープを70℃×20秒で50μm厚のウエハへ加熱貼合した後、ウエハを10mm×10mmにダイシングした。その後、粘着剤層に紫外線を空冷式高圧水銀灯(80W/cm、照射距離10cm)により200mJ/cm2照射した後、ダイボンダー装置(NECマシナリー製、商品名CPS−100FM)により、100チップのピックアップ試験を試み、隣接するチップが2個一緒にピックアップされた組数(ダブルチップ数)を数えた。ダブルチップが発生しなかった場合を○、1以上5組未満のダブルチップが発生した場合を△、5組以上のダブルチップが発生した場合を×として、ピックアップ性を評価した。結果を表1に示す。
2:粘着剤層
2a:上層
2b:下層
3:接着剤層
10:ダイシング・ダイボンディングテープ
12:リングフレーム
20:ダイシングテープ
Claims (7)
- 基材フィルム上に、粘着剤層が形成されたウエハ加工用テープであって、
前記粘着剤層は、2層以上の複数層からなり、
前記複数層のうち少なくとも1層が、無機化合物フィラーを含有することを特徴とするウエハ加工用テープ。 - 前記無機化合物フィラーを含有する層は、前記複数層のうち、最表層以外の層であることを特徴とする請求項1に記載のウエハ加工用テープ。
- 前記無機化合物フィラーは、平均粒径が50nm〜1000nmであり、層中の含有量が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエハ加工用テープ。
- 前記無機化合物フィラーは、シリカであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のウエハ加工用テープ。
- 前記粘着剤層の最表層は、水酸基あるいはカルボキシル基を有するアクリル系共重合体(C)と、ポリイソシアネート類、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる化合物(B)とを含有するアクリル系粘着剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のウエハ加工用テープ。
- 前記粘着剤層の最表層は、分子中にヨウ素価0.5〜20の光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)と、ポリイソシアネート類、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる化合物(B)とを含有するアクリル系粘着剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のウエハ加工用テープ。
- 前記粘着剤層上に、さらに接着剤層を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のウエハ加工用テープ。
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