JP2009229438A - 加熱調理物のおいしさ評価方法および評価装置 - Google Patents

加熱調理物のおいしさ評価方法および評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱調理して食べる食品の仕上がり具合を「食感を含めたおいしさ」として、簡単にだれでも判定できる方法を提案する。
【解決手段】加熱調理物に、加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率が10%以内となるような程度の加圧処理を行い、該加圧処理により加熱調理物から浸出した浸出液の量を測定することにより、その量の多少から加熱調理物のおいしさを評価することを特徴とする、加熱調理物のおいしさ評価方法およびそれに用いる評価装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、加熱調理後の食品等(以下、加熱調理物という。)のおいしさの評価方法および評価装置に関する。さらに詳しくは、加熱調理後の野菜、肉、魚介類などの調理物に関し、できあがった野菜等のおいしさの評価方法やそのために用いる評価装置に関するものである。
従来、食品のおいしさの評価はその食品に含まれる旨み(グルタミン酸、イノシン酸)や甘み(糖分)の量で評価されてきた。また、それらの成分を抽出するための手順として評価対象となる食品をできるだけ均質化するということが行われてきた。非特許文献1によると「野菜、果実、肉、魚介類などの生鮮食品、各種の加工食品や調理食品の多くは水分あるいは油分の高含量のものが多く、通常の粉砕処理はまず不可能である。このため、磨砕(すり潰し)して試料の均質化を図らなければならない。磨砕には乳鉢、らいかい器、肉ひき器(ミートチョッパー、ミートグラインダー)、ホモジナイザー、ミキサーなどが用いられる。」(非特許文献1の3頁)とかかれてあり、食品の分析においては、いかに試料を均質化するかという点に重点がおかれてきた。
そのように準備した後に、旨みや甘みの成分を液として抽出し成分ごとに食品単位重量あたりの量を測定することで食品としての評価をしていた。
新食品分析ハンドブック、菅原龍幸・前川昭男 監修、平成12年11月20日発行、株式会社建帛社発行
従来の食品全体を潰して均質にした後に分析を行う従来の評価方法では、成分分析を基にして食品全体を代表する値を測定するという点においては優れているが、加熱調理後の食品のテクスチャーが異なる食品においてその呈味(食感を含めたおいしさ)の差や加熱雰囲気による味の差を評価することができないという課題を有している。
食品全体をすりつぶして測定を行うと、加熱加減による味(おいしさの要因である甘みや旨みなどと硬さや歯ざわりなどを含めた総合的な食味)の感じ方の差が表現できず、加熱調理後の仕上がり状態の比較については、ヒトを使った官能評価に頼らざるを得ない状況であり、かなり手間と時間を有する必要があるという課題を有している。
本発明は、このような従来課題を解決しようとするものであって、加熱調理して食べる食品の仕上がり具合を「食感を含めたおいしさ」として、簡単にだれでも判定できる方法を提案することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、加熱調理物に、加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率が10%以内となるような程度の加圧処理を一定時間行い、該加熱調理物から浸出した液体を回収し、浸出した液体量を測定することで加熱調理物のおいしさを判定することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、加熱調理物に、加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率が10%以内となるような程度の加圧処理を行い、該加圧処理により加
熱調理物から浸出した浸出液の量を測定することにより、その量の多少から加熱調理物のおいしさを評価することを特徴とする、加熱調理物のおいしさ評価方法である。
ここで、「加熱調理物」とは、加熱調理を行った食品等を意味し、加熱調理後の野菜、肉(鶏、牛、豚等)、魚介類などの調理物全般を包含するものである。
また、「加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率」とは、加圧処理を行う前の加熱調理物の厚みに対する、加圧処理を行い除圧した後に厚みが一定となった時点での加熱調理物の厚みの変化量を、加圧前の厚みに対する百分率で示したものである。通常は、「変形率が10%以内となる」とは、除圧後の厚みが加圧前の厚みに対して、90%〜100%であることを意味する。
上記の浸出液量の測定のみによる評価方法は、基本的に、蒸す、煮る、焼く等のうち1種類の調理方法による加熱調理物を比較評価するための方法であり、異なる調理方法による加熱調理物を比較する場合には、浸出液量の測定だけでなく、浸出液中の水溶成分の濃度を測定し、その濃度の高低も考慮して、加熱調理物のおいしさを評価する方法を用いることが好ましい。
また、上記の浸出液量の測定のみによる評価方法は、基本的に、焼く、揚げる等の100℃より高い温度雰囲気での調理による加熱調理物をそれぞれ比較評価するための方法であり、異なる雰囲気で調理されたものを比較する場合には、浸出液量の測定だけでなく、浸出液中の水溶成分の濃度を測定し、その濃度の高低も考慮して、加熱調理物のおいしさを評価する方法を用いることが好ましい。
また、本発明の評価方法において、前記加圧処理は、好ましくは該加熱調理物の破断荷重の1/3〜1/5である荷重をかける処理、または、該加熱調理物の20〜30%変形させるだけの荷重をかける処理である。また、加圧処理を行う時間は、加熱調理物の破断荷重の1/3〜1/5である荷重をかける処理では15秒〜1分間であることが好ましく、加熱調理物の20〜30%変形させるだけの荷重をかける処理では30秒〜2分間が好ましい。
また、本発明は、加熱調理物を加圧するための加圧部、該加圧部による加熱調理物への加圧を制御するための制御手段、および、加圧時に加熱調理物から浸出した浸出液の量を測定するための液量測定手段を有する、加熱調理物のおいしさ評価装置である。
さらに、本発明は、加熱調理物を加圧するための加圧部、該加圧部による加熱調理物への加圧を制御するための制御手段、加熱調理物の重量および加圧時に加熱調理物から浸出した浸出液の量を計測できる計測手段を有する、加熱調理物のおいしさ評価装置である。
上記評価装置の加圧部は、加熱調理物を載せる試料台および試料に直接触れるプランジャーから構成され、該試料台または該プランジャーが可動式であることが好ましい。
上記評価装置の制御手段は、プランジャーに接続されたロードセル、加圧処理時間を示す時計手段、試験条件を設定する操作部、および、試験条件の設定内容や試験状況等を表示する表示部を有することが好ましい。加圧処理時間を示す時計手段としては、例えば、荷重時間をカウントできるタイマーが挙げられる。
上記評価装置の液量測定手段は、加圧処理時に加熱調理物から浸出する液体を回収し、重量測定もしくは容量測定するための手段であり、種々公知の手段を用いることができる。
また、本発明の評価装置は、さらに、浸出液を回収し液中の水溶成分の濃度を測定できる濃度測定手段を有していてもよい。該濃度測定手段としては、液の糖度等を測定できる光屈折率測定装置や電気伝導度測定装置などが挙げられる。光屈折率測定装置や電気伝導度測定装置などは単体では既によく知られた装置であり詳細な説明は省く。
本発明の評価方法によれば、加熱調理物に、形が潰れない程度に一定時間荷重した際に分離される液体の量を測定するので、人が食事の際に食品を口腔に入れたときや少し噛んだときに最初に口腔内に広がるジュース(食材から出る汁)に相当する液体のみを回収することができる。概ね人は口腔内に食品を入れた際の最初の印象でそのものの味を決定することが発明者らの検討により明らかになっている。すなわち、この発明によれば、加熱調理した食品の、加熱加減による調理後のおいしさの差を評価することが可能になる。
また、本発明の評価方法においては、加熱調理物から浸出した液体の量を測定することに加えて、さらに、浸出液中の可溶成分濃度を測定し、両者の値から加熱調理物のおいしさを評価することによって、加熱調理物を口腔に入れた際に最初に口腔内に広がるジュース(食材から出る汁)に相当する液体の濃さも合わせた数値を用いておいしさを判定することができるため、より実際の人の味覚に近いおいしさの評価をすることができる。
さらに、蒸す、煮る、焼く等の異なる調理方法で調理された加熱調理物は、同じ加熱時間であっても水分含有量が大きく異なるが、上記のように浸出液中の可溶成分濃度も考慮した評価方法によれば、異なる調理方法で調理された加熱調理物の加熱加減による調理後の味(おいしさ)の差も評価することが可能になる。
また、加熱雰囲気の異なる調理方法で調理された加熱調理物は、仕上がりの内部温度が同じ加熱時間であっても表面に分布する成分量が異なるが、上記のように浸出液中の可溶成分濃度も考慮した評価方法によれば、異なる雰囲気中で調理された加熱調理物の加熱加減による調理後の味(おいしさ)の差も評価することが可能になる。
本発明の評価方法において、加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率が10%以内となるかどうかは、基本的に目視で判定する必要があるが、先に評価したい食品の破断荷重を測定し、破断荷重の1/3〜1/5である荷重を加圧処理装置に設定しておけば、同種の食材を同様の調理方法で調理した加熱調理物については、個々に変形率を確認する必要がなくなり、そばに人がいない状態でも加熱調理後の食品の味(食感を含めたおいしさ)を評価することが可能となる。
また、加熱調理後の鶏肉に関しては、評価したい食品が加圧時に厚みの変形率が20〜30%となるように圧縮できる荷重を測定し、その荷重を加圧処理装置に設定しておけば、同種の食材を同様の調理方法で調理した加熱調理物については、個々に変形率を確認する必要がなくなり、そばに人がいない状態でも加熱調理後の食品の味(食感を含めたおいしさ)を評価することが可能となる。
また、本発明の上記構成を有する評価装置を用いることで、加熱調理物の調理後の味(食感を含めたおいしさ)をだれでも簡単に評価することが可能となる。
以上より明らかなように、本発明の加熱調理物のおいしさ評価方法または評価装置を用いることで、今まで官能評価でしか判定できなかった加熱調理後の加熱加減による呈味(食感を含めたおいしさ)の違いを簡単に測定することが可能になる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
<第1の実施形態>
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態で用いられる加熱調理物のおいしさ評価装置の構成を示す概略図である。測定対象となる加熱調理物としては、1cmに輪切りした後、蒸したニンジン片を例にする。
図1に示す加熱調理物のおいしさ評価装置1は、主に同種の調理方法で調理された加熱調理物のおいしさを比較評価するための装置である。
おいしさ評価装置1は、加熱調理物(ニンジン片)2をのせる上下稼動可能な試料台3と固定されたプランジャー5とを有しており、さらに、加熱調理物2にかけられた荷重を測定するためのロードセル4がプランジャー5に接続されている。また、評価装置1を制御するための制御部100が接続されている。
さらに、試料となる加熱調理物2の近傍には、荷重時に試料から浸出する液体を吸引するための細孔チューブ10の先端が配設してあり、吸引測定器11により浸出液が細孔チューブ10を通して回収され液量が測定されるようになっている。
プランジャー5は円柱型を主に使用するが、その試料と接触面の大きさは試料によって変更することができる。例えば、ニンジン片の場合は8mm径の円柱型プランジャー、アスパラガスの場合は15mm径のプランジャー、なすは20mm径のプランジャーなどと
試料に応じて測定者が変更すればよい。選択の基準としては、試験中に食材を押し潰してしまわないように柔らかい食材には大きいプランジャーを選択する。また、試料から水分が分離されにくいものは小さめのプランジャー、試料から水分が分離されやすいものは大き目のプランジャーを選択すればよい。また上記数値は一例でありそれに限定されるものではない。
制御部100は、ロードセル4で検知された荷重量を基に、試料台3の上昇スピードを制御し、設定された時間、設定された荷重が加熱調理物にかけられるよう制御する機能を有している。本発明の評価装置に用いられる制御手段は、このような制御部100およびロードセル4等から構成されるものであり、制御部100には、図2に示すような操作部や、表示部、時計手段が設けられていることが好ましい。
加熱調理後の野菜の破断強度は概ね20N以下であるため、ロードセル4は、0〜20Nのレンジでの荷重を検出できるものであればよく、上記制御部100は0.1N単位での荷重設定ができるようになっていることが好ましい。
細孔チューブ10は、その他端に取り付けられた吸引手段11により試料荷重時に試料から浸出した液体をチューブ内に吸引することが可能であり、吸引測定器11は、吸引だけでなく吸引した液体の量を重量変化により測定することもできる機能を有するものである。本発明の評価装置に用いられる液量測定手段は、このような細孔チューブ10および吸引手段11等から構成されるものである。
図2は、本発明のおいしさ評価装置における制御手段とその制御対象との関係を示すブロック図である。
図2において、制御部100には、荷重量(N)や荷重速度(mm/min)、荷重時間(min)、荷重時変形量(mm)等の各種試験条件の設定値を使用者が入力するための操作部や、試験条件の設定内容や試験状況等を表示する表示部が設けられている。さらに、加圧処理時間の情報を表示、出力するための時計手段を備えている。
本発明のおいしさ評価装置に用いられる制御手段は、図2に示されるような制御部、ロードセル、操作部、表示部および時計手段等から構成されるものである。
制御部100は、操作部で設定された各種設定値や、ロードセルで検出した荷重量の情報、時計手段からの加圧処理時間の情報を基に、加圧処理工程における荷重量や加圧処理時間を制御する機能を有している。
具体的には、上記操作部から各種の設定値が入力されると、この設定値に応じて、制御部100はロードセルの出力に対応して試料台の動作を制御する。そして、試料台が上昇動作を行うことにより設定された時間、設定された荷重が行われることになる。その後、試料が荷重されると試料表面から浸出した液体が試料近傍に配設した吸引測定部の動作により回収される。液体は吸引測定部で量を測定され、制御部の表示部に表示されることとなる。
つまり、おいしさの評価装置における制御手段は、予め決められた一定荷重を試料に一定時間荷重することにより、試料を潰すことなく液体を分離することを可能とするものである。
次に、実際の測定動作について説明を行う。
本実施の形態における加熱調理物は、蒸しモードを有する加熱調理器によって調理され
たものである。
測定者は、評価装置の試料台上に加熱調理後の野菜片を置く。制御部に接続された入力装置等に例えば「ニンジン」と入力し、制御部に測定物がニンジンであることを伝達する。測定者は、ニンジン片が加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率が10%以内となるように予測される範囲(おおよそ1〜5N)で荷重を設定する。この場合は2.5Nとする。次に、制御部にある入力手段で設定した荷重を入力する。その他、荷重スピード(例えば1mm/s)、荷重時間(例えば30秒)等も入力する。
測定者が制御部に設けたスタートボタンを押すと、試料台が設定速度で上昇し、ニンジンがプランジャーに接触する。接触したことをロードセルは検知し、一旦上昇動作をストップする。測定者はプランジャーと試料が接触していることと、細孔チューブ先端が試料上面に載っていることを確認し、再スタートする。試料台はさらに上昇し、設定された荷重で設定された時間だけ荷重をおこない、荷重時間完了とともに試料台は降下を始める。
再スタート時から吸引測定器は動作を行い、試料のプランジャー接触部近傍に浸出した液体(以下、浸出した液体を「エキス」と呼ぶこともある。)を細孔チューブを介して吸液する。エキスは吸引測定器に送られ、その量を測定し、測定結果が表示部に表示される。
本測定動作では荷重を2.5Nと設定した。先に3mm径のプランジャーで貫入試験による試験片の硬さの測定をおこなったところ、7.5N程度の硬さを有するサンプルであったためその硬さの1/3〜1/5の範囲(2.5〜1.5N)で荷重を設定したものである。
<実験例1>
加熱調理物の官能評価と加圧処理時のエキス量との関係を検討した。
(官能評価試験)
まず、過熱水蒸気調理器(ヘルシオ(登録商標):シャープ株式会社製)の蒸し(強)モードでニンジン片を調理し、試料(加熱調理物)を調製した。調理はヘルシオにより10分、20分、30分と調理時間を変えて調整したニンジン片を試料(加熱調理物)として、パネルによる官能評価を行った。ニンジン片としては、長崎産五寸ニンジン1本の上下5cmを切り落とし、径が約20〜30mmである中心部を1cm幅の輪切りにしたものを使用した。パネルは訓練された社内パネルに依頼し、11人の結果をまとめた。評価は、10分を基準としたときの他2試料の「硬さ」、「甘さ」、「ジューシーさ」及び30分を基準としたとき他2試料の「硬さ」、「甘さ」、「ジューシーさ」を、それぞれ一点比較によりパネルによって独立に行った。官能試験用紙には、−3から+3までの7段階の評点を設け、パネルは適当と思われる位置に記述を行った。
その結果、甘さについては10分<20分<30分と加熱時間が長くなるにつれ、甘く感じていることが分かった。硬さについても10分<20分<30分と調理時間が長くなるにつれ軟化を認識できた。ジューシーさについても10分<20分≦30分と甘さとほぼ同等な傾向が確認された。ヒトによる官能評価の結果、蒸し加熱時間を長くすると甘く感じやすくなる(=おいしく感じやすくなる)ことが分かる。ここで軟化が甘さやジューシーさに寄与していると考えられるが柔らかいだけでは甘く感じる説明にはならない。
(エキス量測定)
次に、本発明の評価方法によるエキス量の測定を行った。本実験は大阪と三重と2箇所
の研究所で上記官能評価に用いた試料と同一の試料(上記ニンジン片の加熱調理物および未加熱物)を使用し、それぞれ所有のテクスチャーメータを利用し測定を行った。各々の試料に荷重(2.5N)を30秒間かけた時に浸出するエキス量を、該試料の重量変化から算出した。テクスチャーメータでの荷重操作には、直径8mmの円柱型のプランジャーを使用した。その結果、未加熱では全く分離されなかったエキスが加熱時間を長くすることで多く分離されるようになる結果が得られた。
上述の甘さの官能評価の結果と加圧処理時のエキス量の測定結果との関係を示すグラフを図3に示す。先の官能評価の甘さの結果に相関する結果が得られている。
さらに、そのエキスを分析したところ10%程度の糖濃度を示し、固体全体を粉砕して抽出して得られた糖濃度(7%前後)よりも3%も高い値を示し、エキスはかなり甘い液になっていることが判った。試料はほとんど変形していないことから、実際には試料を口の中にいれただけで、高い糖濃度のエキスが出てきやすい状態になっており、それが官能評価の結果に影響を与えたものと推察される。
<従来の食品成分評価方法による測定>
図4を用いて試料の糖濃度を説明する。図4は上記官能評価に供したニンジン片の一部を従来の食品成分評価方法に従って全体を粉砕した後、糖成分を抽出し、キャピラリー電気泳動法で分析を行った結果を示している。ショ糖、ブドウ糖、果糖の3糖それぞれの分析をおこなったが、生、加熱後とも7%前後で糖総量、構成比とも加熱時間によって大きくは異ならない。つまり試料全体を粉砕して成分を抽出し測定を行う従来の分析方法では、加熱調理後に感じるおいしさの要因である旨みや甘みの差を十分に説明できないことがわかる。
<第2の実施形態>
図5に基づいて、本発明の評価装置の第2の実施形態を説明する。
測定対象は、加熱調理された野菜として、1cmに輪切り後、蒸したニンジン片を例にする。この場合加熱調理方法はゆでたり、レンジで加熱したり、蒸したりと異なる手段で調理されたものとする。
図5のおいしさ評価装置は、図1の評価装置に加えて、エキス中の水溶成分の濃度を測定するための濃度測定手段12を有している。濃度測定手段12は、内部に液体の光屈折率を測定できる機構を有しており、細孔チューブを通して、吸液されたエキスの可溶成分の濃度を測定可能となっている。光屈折率の測定値は、液中の可溶成分すべての濃度に影響されるものであるが、特に野菜の場合は、糖以外の成分による影響を無視できることが多いため、光屈折率の測定値によって糖濃度を算出することが一般的である。他の濃度測定手段としては、電気泳動法や糖度計((例)ATAGO製 ポケット糖度計PAL−1
)を利用した測定手段等が挙げられる。その他図面中に付与した数字は図1と同じ機能を示すので説明は省略する。
濃度測定手段12を有することで、例えば調理方法が異なり、仕上がりの状態が異なる試料を比較検討する際にも最初に口に広がる甘みの程度を精度よく比較することが可能となる。
<実験例2>
図6に、図5の評価装置を用い、上記の考え方に基づいて実験を行った結果を示す。
まず、蒸し器による調理、過熱水蒸気調理器(ヘルシオ(登録商標):シャープ株式会
社製)による調理、ゆで、レンジ加熱、生(未調理)の5種類の調理方法でニンジン片を調理し、試料(加熱調理物)を調製した。ニンジン片としては、上記蒸し調理を行った長崎産五寸ニンジン1本の上下5cmを切り落とし、径が約20〜30mmである中心部を1cm幅の輪切りにしたものを使用した。蒸し器による調理は試料中心温度が100℃に到達してから7分間行い、過熱水蒸気調理器(ヘルシオ(登録商標):シャープ株式会社製)による調理は試料中心温度が100℃に到達してから7分間行い、ゆで調理は試料中心温度が100℃に到達してから7分間行い、レンジ加熱はオーブンレンジ(シャープ株式会社製、型番RE−WD10−H)の自動メニュー「ゆで根菜」で約4分間行った。
次に、テクスチャーメータを利用し、各々の試料に荷重(4N)を30秒間かけた時に浸出するエキス量を、該試料の重量変化から算出した。テクスチャーメータでの荷重操作には、直径8mmの円柱型のプランジャーを使用した。
また、エキス中の水溶成分の濃度を電気泳動法を用いて測定した。
各々の試料について得られたエキス量およびエキス濃度の測定結果を図6に示す。グラフの縦軸は、「口に広がる糖分量」として、エキス量(mg)×エキス濃度(%)の値(mg)を示す。
別途、同一の試料について行った甘さの官能試験では、「蒸し器、加熱水蒸気調理器>ゆで、レンジ」の順に甘く感じた結果が得られており、図6に示した結果は、その官能試験にマッチした数値データが得られている。
また、本発明に基づく実験結果をニンジン以外の野菜、ナスとアスパラガスで説明する。
<実験例3>
図7は加熱時間ごとの焼きナスのエキス量の変化を示す。ナスは博多産長ナスを使用し、過熱水蒸気調理器(ヘルシオ(登録商標):シャープ株式会社製)を使用し、過熱水蒸気雰囲気で加熱を行った。加熱時間10、20、30分のものを官能評価により評価した結果、加熱時間20分のものが一番好まれた。
次に、同様に10、20、30分の加熱が行われた焼きナスの皮をむき、上下4cmを切り落とし、中心部を2.5mm幅に輪切りにした試料を調製した。テクスチャーメータを利用して、各試料に対して、その破断荷重の1/4である荷重を30秒間かけた時に浸出するエキス量を、該試料の重量変化から算出した。テクスチャーメータでの荷重操作には、直径20mmの円柱型のプランジャーを使用した。測定されたエキス量をみると20分前後で一番高い値を示し、官能試験によって得られた好ましさとの相関が確認された。焼きナスの評価の場合は先のニンジンに比べると分離されるエキス量が多く、加熱後の数cmにカットする試料調整中にもエキスのロスが生じてしまう。このようなエキス量の多い試料の場合は試料断面よりも大きめのプランジャーで荷重する方が十分にエキスを分離することが可能となる。また大き目のプランジャーで上から荷重する場合は試料を篩とエキス回収器との上に載せ、それらを試料台上に置き、荷重時に試料から分離されるエキスを下方から回収することも可能である。
<実験例4>
図8は加熱時間と調理方法を変えて調理した(蒸し器およびラップしてレンジ)アスパラガスを本発明による方法で測定した際に得られるエキス量を示したものである。
まず、アスパラガスを22cmの長さに調整後、蒸し器による加熱またはラップをしてレンジでの加熱により調理した。加熱調理したアスパラガスの上下7cmを切り落とし、
中心部を1cm幅の輪切りにして測定試料とした。測定は、テクスチャーメータを利用し、各々の試料に荷重(1.5N)を30秒間かけた時に浸出するエキス量を、該試料の重量変化から算出した。テクスチャーメータでの荷重操作には、直径8mmの円柱型のプランジャーを使用した。
別途、行った官能評価の結果では、約8分間蒸し加熱を行ったアスパラガスが2分間レンジで加熱したものよりもおいしいと評価されたが、8分間の蒸し加熱を行なったアスパラガスは十分エキスが分離される状態になっており、レンジ加熱のエキス量の最大値と比べても多く分離されているため、そのエキス量の多さがアスパラガスのおいしさ評価に繋がっていると考えられる。
また図には示さないが、アスパラガスは一般的に旨み成分のひとつであるグルタミン酸の量でおいしさを評価されることが多い。ただし、グルタミン酸の測定には液クロマトグラフィや電気泳動法、酵素法といった手間のかかる分析が必要になる。電気泳動法で分析されたグルタミン酸量と本発明による光屈折率を用いた水溶液中の可溶成分の濃度を比較するとほぼグルタミン酸量と同様な傾向を示し、液体の光屈折率を測定するだけで複雑な化学分析なく仕上がりを確認することが可能になっていることも確認している。
本実験時に得られたエキス中のグルタミン酸量は、蒸し加熱8分では140mg/100mL、レンジ加熱2分では115mg/100mLとやはり蒸し加熱の方がより表面に呈味成分が存在しており、蒸し加熱の方がより濃い味のエキスがたくさんでてくることでおいしさを感じやすい仕上がりになっている。
先の図5で説明したように、加熱方法が異なる調理法で仕上がりの比較を行う場合には、エキス量にその濃度を掛け合わせた数値を用いることでより正確に比較ができるようになる。
<第3の実施形態>
以下、図面に基づいて、本発明の第3の実施形態を説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態で用いられる加熱調理物のおいしさ評価装置の構成を示す概略図である。
図9に示す加熱調理物のおいしさ評価装置1は、主に同種の調理方法で調理された加熱調理物のおいしさを比較評価するための装置である。測定対象となる加熱調理物としては、例えば、厚みを2cm程度に均一に延伸した後、焼き加熱を行った鶏モモ肉片(45mm角)が挙げられる。
おいしさ評価装置1は、加熱調理物(鶏肉片)2をのせる上下稼動可能な試料台3と固定されたプランジャー5とを有しており、さらに、加熱調理物2にかけられた荷重を測定するためのロードセル4がプランジャー5に接続されている。また、評価装置1を制御するための制御部100が接続されている。試料台には台の上に載せられて試料や分離液の重量を測定できる重量測定手段31が設けられている。
プランジャー5は円柱型を主に使用するが、その試料と接触面の大きさは試料によって変更することができる。例えば、鶏肉片の場合は40mm径の円柱型プランジャー、ひき肉成型調理物の場合は50mm径のプランジャー、などと試料に応じて測定者が変更すればよい。選択の基準としては、試験中に食材を押し潰してしまわないように柔らかい食材には大きいプランジャーを選択する。また、試料から水分が分離されにくいものは小さめのプランジャーを選択すればよい。また上記数値は一例でありそれに限定されるものではない。
制御部100は、ロードセル4で検知された荷重量を基に、試料台3の上昇スピードを制御し、設定された時間、設定された荷重が加熱調理物にかけられるよう制御する機能を有している。本発明の評価装置に用いられる制御手段は、このような制御部100およびロードセル4等から構成されるものであり、制御部100には、図10に示すような操作部や、表示部、時計手段が設けられていることが好ましい。
加熱調理後の鶏肉の破断強度は概ね200N以下であるため、ロードセル4は、0〜200Nのレンジでの荷重を検出できるものであればよく、上記制御部100は1N単位での荷重設定ができるようになっていることが好ましい。
吸液手段101は試料荷重時に試料から浸出した液体を回収することが可能であり、液体を吸収等により回収することができるものであれば特に限定されないが、例えば、ガーゼ、スポンジ等が挙げられる。試料台3に取り付けられた重量測定手段31は、加熱調理物から浸出した浸出液の重量を測定するための手段であり、具体的には、加圧処理後に加熱調理物を取り除き、浸出液を吸収した吸液手段101の重量変化を測定することにより、浸出液の重量を測定することができる。本発明の評価装置に用いられる液量測定手段は、このような吸液手段101および重量測定手段31等から構成されるものである。
図10は、本発明のおいしさ評価装置における制御手段とその制御対象との関係を示すブロック図である。
図10において、制御部100には、荷重量(N)や荷重速度(mm/min)、荷重時間(min)、荷重時変形量(mm)等の各種試験条件の設定値を使用者が入力するための操作部や、試験条件の設定内容や試験状況等を表示する表示部が設けられている。さらに、加圧処理時間の情報を表示、出力するための時計手段を備えている。
本発明のおいしさ評価装置に用いられる制御手段は、図10に示されるような制御部、ロードセル、操作部、表示部および時計手段等から構成されるものである。
制御部100は、操作部で設定された各種設定値や、ロードセルで検出した荷重量の情報、時計手段からの加圧処理時間の情報を基に、加圧処理工程における荷重量や加圧処理時間を制御する機能を有している。
具体的には、上記操作部から各種の設定値が入力されると、この設定値に応じて、制御部100はロードセルの出力に対応して試料台の動作を制御する。そして、試料台が上昇動作を行うことにより設定された時間、設定された荷重が行われることになる。その後、試料が荷重されると試料表面から浸出した液体が吸液手段により回収される。吸液手段に回収された液体は試料を試料台から取り除くと同時に重量測定部で重量を測定され、制御部の表示部に表示されることとなる。
つまり、おいしさの評価装置における制御手段は、予め決められた一定荷重を試料に一定時間荷重することにより、試料を潰すことなく液体を分離することを可能とするものである。
次に、実際の測定動作について説明を行う。
本実施例における加熱調理物は、過熱水蒸気モードを有する加熱調理器によって調理されたものである。
測定者は、評価装置の試料台上に液を回収するためのガーゼ(吸液手段)を置く、その後加熱調理した鶏肉片をガーゼの上に置く。先に試料台の重量メモリはガーゼを載せた時点でゼロにリセットしておくことで、その試料の重量がそれぞれ測定され、制御部に表示される。鶏肉は全体をガーゼで包むようにする。制御部に接続された入力装置等に例えば「鶏肉(調理後)」と入力し、制御部に測定物が鶏肉片であることを伝達する。測定者は、鶏肉片が加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率が10%以内となるように予測される範囲(加圧処理時に、おおよそ先に測定した試料厚みの20%から30%圧縮できる範囲)で荷重を設定する。この場合は16Nとする。次に、制御部にある入力手段で設定した荷重を入力する。その他、荷重スピード(例えば1mm/s)、荷重時間(例えば1分)等も入力する。
測定者が制御部に設けたスタートボタンを押すと、試料台が設定速度で上昇し、鶏肉片がプランジャーに接触する。接触したことをロードセルは検知し、一旦上昇動作をストップする。測定者はプランジャーと試料が接触していることとを確認し、再スタートする。試料台はさらに上昇し、設定された荷重で設定された時間だけ荷重をおこない、荷重時間完了とともに試料台は降下を始める。
再スタート時から試料周辺には試料表面に分布した液体がガーゼで吸液される。徐圧後に試料を取り除くと、先に準備したガーゼがのこり、差し引きにより試料表面に分布した液体重量が重量測定手段によって計測され、表示部に表示される。
本測定動作では荷重を15Nと設定した。先に40mm径のプランジャーで加熱調理後の鶏肉片を圧縮試験により硬さの測定をおこなった。結果、圧縮20%の場合は平均8N、圧縮25%の場合は平均15N、圧縮30%の場合は平均20N程度の荷重量を必要とするサンプルであった。そのため圧縮荷重の25%程度の荷重を設定したものである。肉片は水分量が少ないのでエキスが分離されにくい。また筋繊維がしっかりしていて弾力があるため一旦大きく変形させても(例えば30%程度荷重を行っても)徐圧後の厚みは10%以下に抑えられることが厚みの実測で確認できている。そこで荷重量としては厚みの20%から30%変形させるだけの荷重量を規定することにした。
<実験例5>
加熱調理物の官能評価と加圧処理時のエキス量との関係を検討した。
(官能評価試験)
まず、過熱水蒸気加熱により焼き調理時間を変えて調整後切り出した鶏肉片を試料(加熱調理物)として、パネルによる官能評価を行った。鶏肉片としては、熊本産若鶏モモ肉(約250g±10g)を肉たたきでできるだけ厚みを均一にし、皮面にフォークで数箇所穴をあける。焼き網の上に皮面を上にして並べ、ウォーターオーブン(加熱水蒸気調理器、ヘルシオ(登録商標)、シャープ株式会社製)を用いて250℃で予熱した250℃の庫内に8分、10分間調理したものである。パネルは訓練された社内パネルに依頼し、11人の結果をまとめた。評価は、各試料(8分間調理物、10分間調理物)を2個ずつ計4個準備し、4つを2つのグループに分けてもらう方法をとった。試験は2日間にわけて行い、それぞれ5人/7人中、9人/11人中の人が8分間調理物と10分間調理物の味の違いを識別できた。これは統計的にも有為差がある結果である。
(エキス量測定)
次に、本発明の評価方法によるエキス量の測定を行った。本実験は終点温度が80℃と95℃の試料となっている。所有のテクスチャーメータを利用し測定を行った。各々の試料を45mm角に切り出し(約32g)に荷重15Nを1分間かけた時に浸出するエキス量を、ガーゼに吸液させる方法で定量した。テクスチャーメータでの荷重操作には、直径40mmの円柱型のプランジャーを使用した。その結果、加熱が進みすぎると表面に分離されるエキス量が少なくなる結果が得られた。図11にエキス量を示す。
<第4の実施形態>
図12に基づいて、本発明の評価装置の第4の実施形態を説明する。
測定対象は、加熱調理された鶏肉として、第3の実施例と同様の前処理後、加熱調理した鶏肉片を例にする。この場合、加熱調理方法は蒸気に使用する水を、例えば、水道水と軟水処理した水のように、水の性質を変えて調理したものである。
図12のおいしさ評価装置は、図9の評価装置に加えて、エキス中の水溶成分の濃度を測定するための濃度測定手段12を有している。濃度測定手段12は、内部に液体の電気伝導率を測定できる機構を有しており、ガーゼに吸液されたエキスの可溶成分の濃度を再溶解後測定可能となっている。電気伝導率の測定値は、液中のイオン化傾向を有するものの成分すべての濃度に影響されるものであるが、特にたんぱく質系食材の場合は、塩とグルタミン酸以外の成分による影響を無視できることが多いため、電気伝導率の測定値によって味濃度を算出することが可能である。他の濃度測定手段としては、電気泳動法や酵素法を利用した測定手段等が挙げられる。その他図面中に付与した数字は図9と同じ機能を示すので説明は省略する。
濃度測定手段12を有することで、例えば調理時の雰囲気が異なり、仕上がりの状態が異なる試料を比較検討する際にも最初に口に広がる味成分の程度を精度よく比較することが可能となる。
<実験例6>
図13に図12の評価装置等を用い、上記の考え方に基づいて実験を行った結果を示す。
試料は過熱水蒸気調理器(ヘルシオ(登録商標):シャープ株式会社製)による焼き調理雰囲気の水蒸気に使用する水を変えて調整した。使用する水は大阪府八尾市の上水をそのまま使用したもの(pH7.5)、一方は水道水をイオン交換樹脂で軟水処理を行い軟水化したもの(pH5.9)である。水タンクにそれぞれの水をいれm予熱後加熱を行うこととした。鶏肉片としては、熊本産若鶏モモ肉(約250g±10g)を使用し、肉たたきでできるだけ厚みを均一にし、皮面にフォークで数箇所穴をあける。焼き網の上に皮面を上にして並べ、ウォーターオーブン250℃で予熱した250℃の庫内で8分間調理したものである。
つまり、加熱中の水蒸気雰囲気の状態が変わるだけで、仕上がり時の重量減少率、終点温度は均一に仕上げたものである。
次に、テクスチャーメータを利用し、各々の試料に荷重(16N)を1分間かけた時に浸出するエキス量を、ガーゼの重量変化から算出した。各試料を45mm角に切り出し(約32g)テクスチャーメータでの荷重操作には、直径40mmの円柱型のプランジャーを使用した。加熱時間が同等であるため、第3の実施形態にあるように終点温度が85℃程度であり、エキス量はともに2.5g/鶏肉片であった。
また、エキス中の水溶成分の濃度としてグルタミン酸量と、比較のために固体全体のグルタミン酸濃度を、酵素法を用いて測定した。
各々の試料について得られた全固体中のグルタミン酸量とエキス中のグルタミン酸濃度測定結果を図13に示す。グラフの縦軸は、グルタミン酸量(mg/100g)を示す。
(官能評価試験)
実験例5の官能試験と同様にパネルは訓練された社内パネルに依頼し、11人の結果をまとめた。評価は、各試料を2個ずつ計4個準備し、4つを2つのグループに分けてもらう方法をとった。試験は2日間にわけて行いそれぞれ、6人/11人中、5人/7人中の人が識別できた。これは統計的にも有為な差がある結果である。
各資料中の全グルタミン酸量を比較しても差がないが、エキス中のグルタミン酸量については各試料で差が確認されている。内部温度を測定し、同等な仕上がりであるので、エキス量は同等である。人の感じる味の差は、特にエキス中の味成分の濃度によって評価できる点が確認できた。
そのため、加熱雰囲気が異なる調理法で仕上がりの比較を行う場合には、エキス量にその濃度を掛け合わせた数値を用いることにより正確に比較ができるようになる。
以上のように、加熱調理後の食品全体を粉砕してその試料から抽出される成分を分析する従来の手法ではなく、本発明の試料を加圧しそれが弾性変形領域にある間に分離されるエキスの量、あるいは量と濃度を比較することで実際にヒトが感じる味(甘みや旨みと硬さや歯応えといった食感を総合したおいしさ)を精度よく測定することが可能となる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明による評価方法によると、加熱調理物の仕上がり具合を判定する際に高価な機器を用いた科学分析の必要はなく、試料を潰さない程度に変形させたときに分離される液体の量を測定すればよい。そのため、食品加工の現場でも調理の仕上がりを一定に維持したり、調理シーケンスを開発する場合に試料のおいしさ判定が短時間で出来るなど開発現場などで簡単に利用できる実用性の高い評価方法である。
本発明の第1の実施形態であるおいしさ評価装置の構成を示す正面図である。 本発明のおいしさ評価装置における制御手段とその制御対象との関係を示すブロック図である。 加熱調理物(ニンジン片)の官能評価結果と加圧処理時のエキス量との相関性を示すグラフである。 従来の食品成分評価方法によるニンジン片の糖濃度測定値を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態であるおいしさ評価装置の構成を示す正面図である。 異なる加熱調理方法によって調理されたニンジン片のエキス量×エキス濃度の値を示すグラフである。 ナスの加熱時間ごとのエキス量のグラフである。 アスパラガスの加熱時間、加熱方法ごとのエキス量のグラフである。 本発明の第1の実施態様であるおいしさ評価装置の構成を示す正面図である。 本発明のおいしさ評価装置における制御手段とその制御対象との関係を示すブロック図である。 加熱調理物(鶏肉片)の官能評価結果に差がある試料の加圧処理時のエキス量のグラフである。 本発明の第2の実施態様であるおいしさ評価装置の構成を示す正面図である。 異なる雰囲気中で調理された鶏肉片のエキス濃度の値を示すグラフである。
符号の説明
1 おいしさ評価装置、2 加熱調理物、3 試料台、31 重量測定手段、4 ロードセル、5 プランジャー、10 細孔チューブ、101 吸液手段、11 吸引測定器、12 濃度測定手段、100 制御部。

Claims (10)

  1. 加熱調理物に、加圧前の加熱調理物の厚みに対する除圧後の加熱調理物の厚みの変形率が10%以内となるように加圧処理を行い、該加圧処理により加熱調理物から浸出した浸出液の量を測定することにより、その量の多少から加熱調理物のおいしさを評価することを特徴とする、加熱調理物のおいしさ評価方法。
  2. さらに、前記浸出液の水溶成分濃度を測定することにより、その濃度の高低からも加熱調理物のおいしさを評価する、請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記加圧処理が、該加熱調理物の破断荷重の1/3〜1/5である荷重を、加熱調理物に15秒〜1分間かける処理である、請求項1または2に記載の評価方法。
  4. 加熱調理物を加圧するための加圧部、
    該加圧部による加熱調理物への加圧を制御するための制御手段、および、
    加圧時に加熱調理物から浸出した浸出液の量を測定するための液量測定手段を有する、加熱調理物のおいしさ評価装置。
  5. 加熱調理物を加圧するための加圧部、
    該加圧部による加熱調理物への加圧を制御するための制御手段、および、加熱調理物から浸出した浸出液の重量を測定するための重量測定手段を有する、加熱調理物のおいしさ評価装置。
  6. さらに、前記浸出液の水溶成分の濃度を測定できる濃度測定手段を有する、請求項4または5に記載の評価装置。
  7. 請求項1に記載の評価方法に用いるための、請求項4または5に記載の評価装置。
  8. 請求項4または5に記載の評価装置を用いる、請求項1に記載の評価方法。
  9. 前記加熱調理物が加熱調理後の鶏肉である、請求項1または2に記載の加熱調理物のおいしさ評価方法。
  10. 前記加圧処理が、加圧時における前記加熱調理物の厚みの変形率が20〜30%となるように圧縮できる荷重を、加熱調理物に30秒〜2分間かける処理である、請求項9記載の評価方法。
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