JP2009229077A - 路車間通信システムとこれに用いる光ビーコン、及び、車両の位置評定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、通信領域Aにおいて車載機2と光ビーコン4の投受光器8との間で光信号による双方向通信を行う路車間通信システムである。このシステムは、通信領域Aに含まれるアップリンク領域UAを車両進行方向で分割してなる複数の分割領域UA1〜UA4に対応してアップリンク光UOを受信可能となるように、投受光器8に設けられた複数の光受信部9と、アップリンク光UOを受信した第1の光受信部9(PDi)以外の第2の光受信部9(PDj)の受信レベルを利用して、第1の光受信部9に対応する分割領域UAi内におけるアップリンク光UOの送信位置を特定する位置特定部50とを備えている。
【選択図】 図3
Description
具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信され、逆に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報及び車線通知情報等を含むダウンリンク情報が光ビーコンから車載機に送信されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
例えば図12に示すように、光ビーコン104のビーコンヘッド(投受光器)108は、通常、その直下よりも上流側よりに通信領域Aが設定されている。光ビーコン(光学式車両感知器)104の「近赤外線式インタフェース規格」によれば、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(図12の右側部分)と重複し、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端は互いに一致するものとされている。
このダウンリンク領域DAに車両が進入することで、その車両に搭載された車載機102の投受光器(車載ヘッド)が第1のダウンリンク情報を受信すると、当該車載機102は、自己の車両IDを格納した車線通知情報を含むアップリンク情報の送信を開始する。
現在、実際に運用されている光ビーコン104の通信領域A、特にアップリンク領域UAは、車載機102からのアップリンク情報をより確実に受信するため、例えば図12に仮想線で示すように、前記規格で規定された正式な領域よりもかなり広い領域(例えば、△db′c′で示す領域)になっていることが多い。同様に、ダウンリンク領域DAについても前記規格の領域よりも設定されている場合が多い。
このため、この距離情報を利用した安全運転支援の精度も同じように低下することになり、例えば、安全運転支援機能によって、停止線40の手前に停止させるように車両を制動したにも関わらず、停止線40をオーバーして車両が停止するといった事態が起こりうる。
このため、「距離情報」の始点と実際の車両(車載機)の位置がそれほど大きくずれることがなく、ドライバに対する安全運転支援を精度よく行うことができる。
つまり、PD分割タイプでは、各分割領域に対応するどの光受信部がアップリンク光を受信したかによって、どの分割領域に車両が存在するかということは認識できるが、更に車両が当該分割領域内の何処に存在するかということまでは、特定することができない。
このため、上記送信位置に関する情報をダウンリンク光に含めるようにすれば、車両の位置に関する情報提供を精度よく行うができる。
このため、前記位置特定部は、具体的には、第1の前記光受信部の受信レベルと第2の前記光受信部の受信レベルとを対比することにより、前記送信位置を特定することができる(請求項2)。また、前記位置特定部は、複数の第2の前記光受信部の受信レベルを対比することによっても、前記送信位置を特定することができる(請求項3)。
(a) 前記通信領域内の基準位置から、その下流側の所定位置までの距離に関する情報
(b) 前記送信位置の前記基準位置に対するずれに関する補正情報
このため、車載機は、所定位置の手前で車両を停止させる等の安全運転支援をより精度よく実行することができる。
(c) 前記送信位置からその下流側の所定位置までの距離に関する情報
この場合には、位置特定部が特定した送信位置そのものが実際の走行距離に関する情報を構成しており、車載機側においてこの情報に補正を加える必要がない。このため、車載機として、ダウンリンク光に含まれる情報を補正しないで、前記所定位置までの前記車両の走行距離を求める距離認識部を有するものを採用すれば足りる(請求項8)。
また、本発明の車両の位置評定方法(請求項9)は、前記路車間通信システム(請求項1)において行われる位置評定方法であり、同システムと同様の作用効果を奏する。
このため、路車間通信を利用してドライバに対する安全運転支援を行う場合には、この支援制御をより精度よく行うことができる。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する各車両Cに搭載された車載機2とを備えて構成されている。
交通管制システム1は、管制室に設けられた中央装置3と、道路Rの各所に多数設置された光ビーコン(光学式車両感知器)4とを有している。光ビーコン4は、近赤外線を通信媒体とした光通信によって車載機2との間で双方向通信を行う。なお、中央装置3は交通管制室に設けられている。
光ビーコン4は、電話回線等の通信回線5を介して中央装置3と接続された通信インタフェースである通信部6と、この通信部6が接続されたビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図例では4つ)のビーコンヘッド(投受光器)8とを備えている。
各ビーコンヘッド8は、発光ダイオード(LED)10と、フォトダイオード(PD)11を含む光受信部9とを筐体の内部に収納している(図3参照)。
ビーコンヘッド8には、後述するアップリンク領域UAの各分割領域UA1〜UA4に対応して複数(図例では4つ)のフォトダイオード11が設けられており、この各フォトダイオード11は、その電気出力信号を増幅する増幅回路とともに、アップリンク光UOの光受信部9を構成している(図7参照)。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、各車線R1〜R4に対応して設けられた前記複数のビーコンヘッド8と、これらビーコンヘッド8を一括制御する制御部である一台の前記ビーコン制御機7とを備えている。
なお、このビーコン制御機7による路車間通信の内容については後述する。
なお、この位置特定部50の処理内容についても後述する。
各ビーコンヘッド8のLED10は、各車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ヘッド8の上流側に設定されている。
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、車載機2の投受光器である車載ヘッド27がダウンリンク情報を受信することができるダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、光ビーコン4のビーコンヘッド8が車載ヘッド27からのアップリンク情報を受信することができるアップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
従って、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端cは互いに一致し、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(図3の右側部分)と重複している。また、ダウンリンク領域DAの車両進行方向長さは通信領域A全体の同方向長さと一致している。
また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。従って、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。
このようにアップリンク領域UA及びダウンリンク領域DAが広くなると、車載機2と光ビーコン4との間のアップリンク情報35及びダウンリンク情報34,36の送受信の確実性が増すことになる。
ビーコンヘッド8に設けられた4つのフォトダイオード11(図1参照)は、それぞれアップリンク領域UAの各分割領域UA1〜UA4を受信領域としている。従って、例えば、最も上流側に位置する分割領域UA1内で車載ヘッド27から送信されたアップリンク光UOは、この分割領域UA1に対応するフォトダイオード11によって受光される。
図4は、光ビーコン4と路車間通信する前記車載機2と、この車載機2が搭載された車両Cの概略構成図である。
図4に示すように、この車両Cは、ドライバの搭乗席(図示せず)を有する車体21と、この車体21に搭載された前記車載機2と、車両Cの各部を統合制御する電子制御装置(ECU)22と、車体21を駆動するエンジン23と、車体21を制動するブレーキ装置24と、車両Cの現時の速度を常時検出している速度検出器25とを備えている。
車載機2は、車載コンピュータ26と、このコンピュータ26のセンサ用インタフェースに接続された車載ヘッド(投受光器)27と、搭乗席のドライバに対するヒューマンインタフェースとしてのディスプレイ28及びスピーカ装置29とを備えている。
車載コンピュータ26は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、車載ヘッド27による光ビーコン4との路車間通信の制御処理を行う。
図7は、光受信部とビーコン制御機の回路構成の一例を示すブロック図である。
なお、以下において、必要に応じて、最上流側の分割領域UA1に対応するフォトダイオード11をPD1といい、上流側から2番目、3番目及び4番目の分割領域UA2〜UA4に対応するフォトダイオード11を、それぞれPD2、PD3及びPD4ということがある。
各増幅回路42の出力側は単一の加算器43に接続され、この加算器43の出力側にはコンパレータ44が接続されている。
各増幅回路42からの出力電圧は、加算器43で1つのアナログ信号に重畳され、コンパレータ44によってデジタル信号に変換されてビーコン制御機7の処理プロセッサ45に送られる。処理プロセッサ45は、コンパレータ44のデジタル信号からアップリンク情報35に含まれるデータ信号や通信制御信号を抽出する。
処理プロセッサ45は、A/Dコンバータ47のデジタル信号からPD1〜PD4の受信レベルを検出し、この受信レベルを所定の閾値と比較することで、アップリンク光UOがPD1〜PD4のうちのどれに照射されたものかを判定する。
すなわち、ビーコン制御機7の記憶装置48は、路車間通信のための通信制御と、アップリンク光UOの位置を特定するための位置特定とを行うためのコンピュータプログラムを備えている。なお、記憶装置48には、位置特定のプログラムを実施する際に使用する参照テーブル51が記録されている。
次に、ビーコン制御機7の位置特定部50が行う処理内容について説明する。
車載機2が送信するアップリンク光UOは、車載ヘッド27からスポット光として発光されていずれかのPDi(i=1〜4)に届くので、完全なスポット光よりなるアップリンク光UOがある特定のPDiに照射した場合には、通常、そのスポット光が他のPDj(j=1〜4;j≠i)に到達することはなく、当該PDjの受信レベルは殆どゼロになる。
従って、例えば1つのアップリンク光UOがPD1に受光された場合、その受信レベルよりも非常に小さいレベルではあるが、当該アップリンク光UOがPD1に到達した時点で、他のPD2〜PD4にも微弱周辺光が当たることになる。
そこで、本実施形態では、アップリンク光UOを受光したPDi以外の他のPDjに到達する微弱周辺光の受信レベルがどの程度であるかを予め実測し、その実測値を参照テーブル51に記録してある。
例えば、図8に示すように、仮にPD1にスポット光が照射したとして、その受信レベル値がV1だったとする。この場合、PD2〜PD4に受光される微弱周辺光の受信レベルがV2〜V4だったとする。
ここで、例えば図8(a)に示すように、参照テーブル51のデータとして、分割領域UA1内の最もPD2から遠い位置(分割領域UA1の最上流端)でアップリンク光UOを発光した場合の、PD1とPD2の受信レベルV1,V2の分布が100:10になっているものとする。
この場合、仮に図8(c)に示すように、実際に車載機2が送信したアップリンク光UOがPD1で受光された際の、PD1とPD2の受信レベルV1,V2の分布が、例えば100:20であったとすると、アップリンク光UOは、分割領域UA1内のほぼ中央点近傍で送信されたと推定することができる。
従って、PD1における照射位置(分割領域UA1内の発光位置に対応)ごとに、PD2とPD3の受信レベルV2,V3の分布を、参照テーブル51に記憶することにしてもよい。
また、図9(b)に示すように、分割領域UA1内の最もPD2に近い位置(分割領域UA1の最下流端)でアップリンク光UOを発光した場合の、PD2とPD3の受信レベルV2,V3の分布が10:2になっているものとする。
例えば図10に示すように、アップリンク光UO(スポット光)がPD2に照射され、その前後のPD1とPD3に微弱周辺光が照射されている場合を想定すると、この場合、PD1とPD3の受信レベルV1,V3同士を比較することによって、分割領域UA2内でのアップリンク光UOの送信位置を推定することができる。
そして、この場合、分割領域UA2の車両進行方向の距離をD2とすると、アップリンク光UOの発光位置は、上記受信レベルV1,V3の比を比例配分することにより、分割領域UA1と分割領域UA2の境界線BLから(1/4)×D2だけ下流側の位置であると推定できる。
図5は、通信領域Aにおいて、ビーコンヘッド8と車載ヘッド27との間で行われる双方向での路車間通信の手順を示している。以下、図5を参照しつつ、本実施形態の路車間通信の内容を説明する。
なお、この段階では、車線通知情報には未だ車両IDは格納されていない。
この際、車載機2の車載コンピュータ26は、当該車両Cが実際の通信領域A内に存在していることを認識する。その後、車載コンピュータ26は、アップリンク情報35の送信を開始し(図5のF2)、このアップリンク情報35をビーコンヘッド8に対して所定の送信周期(アップリンク送信周期)で送信する(図5のF3)。
また、車載コンピュータ26は、光ビーコン4のビーコン制御機7がダウンリンクの切り替えを行ったことを認識するまで、当該アップリンク情報35を送信し続ける。
このため、異なる車線R1〜R4を走行する各車両Cの車載コンピュータ26は、その格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを判断することにより、自車両がどの車線R1〜R4を走行しているかを認識できる。
この支援情報には、光ビーコン4より下流側の信号機の灯色が変わるタイミング情報である信号情報の他、アップリンク領域UAからその下流側の所定位置(例えば、停止線)までの距離に関する距離情報、及び、前記位置特定部50が求めた送信位置に基づく補正情報等が含まれている。
前記規格によれば、第2のダウンリンク情報36は、1〜80個の最小フレーム37で構成することができ、送信可能時間は250msに設定されている。また、このダウンリンク情報36は送信すべき情報量に対応した任意数の最小フレーム37で構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。
車載機2の車載コンピュータ26は、第2のダウンリンク情報36を受信した時点(図6のF7)で光ビーコン4でのダウンリンクの切り替えを認識し、この時点でアップリンク情報35の送信を停止する。
以下、前記した距離情報及び補正情報の内容と、これに基づいて車載機2が行う安全運転支援のための距離認識について説明する。
本実施形態のビーコン制御機7では、通信領域A内の各基準位置P1〜P4から、その下流側の所定位置P0までの距離L1〜L4(図3参照)の数値よりなる距離情報が、予め記憶装置48に記憶されている。
図3に示すように、上記距離L1〜L4の下流端(終点)P0は、光ビーコン4の下流側に設置された、例えば信号機手前の停止線40の位置に設定されている。
また、通信制御部49は、位置特定部50が特定したアップリンク光UOの送信位置が基準位置P1〜P4に対して車両進行方向にどれだけずれているかを算出し、この算出結果を距離L1〜L4に対する補正値d1〜d4とする。この補正値d1〜d4は、例えば車両進行方向が正(+)になっており、この場合、終点P0までの実際の走行距離Lは、L=Pi−di(i=1〜4)で算出することができる。
例えば、図3及び図6に示すように、最上流側の分割領域UA1において車載機2がアップリンク光UO(図3の実線矢印)を送信し、このアップリンク光UOを当該分割領域UA1に対応するPD1が受光して、ビーコン制御機7がアップリンク情報35として認識した場合、ビーコン制御機7の通信制御部49は、その分割領域UA1に対応する距離L1とその補正値d1を選択し、ダウンリンクの切り換えを行った上で、それらの情報を、LED10を介して車載機2に送信する。
このように、ビーコン制御機7は、アップリンク情報35を受信したフォトダイオードPD1〜PD4に応じた距離情報及び補正情報を特定し、これらの情報をダウンリンク情報36に含めてダウンリンクの切り替えを行う制御部としての機能も併有している。
図4に示すように、上記距離情報と補正情報を含む第2のダウンリンク情報36を車載ヘッド27が受信すると、車載コンピュータ26の距離認識部30は、そのダウンリンク情報36のフレームに含まれている距離情報から、距離L1〜L4を抽出する。また、車載コンピュータ26の補正部31は、ダウンリンク情報36のフレームに補正情報が含まれている場合に、この情報から補正値d1〜d4を抽出し、前記距離L1〜L4に対する補正処理を行って所定位置P0までの残りの走行距離L(L=Pi−di)を演算する。
一方、ダウンリンク情報36に含まれる距離情報が、ビーコン側において補正済みの走行距離Lである場合には、補正部31は上記補正処理を行わない。
そして、車載コンピュータ26の支援制御部32は、補正済みの上記走行距離Lを利用してドライバに対する安全運転支援を行う。
ECU22は、当該減速度となるようにブレーキ装置24を作動させ、これにより、車両Cを停止線40の手前で自動停止させることができる。
例えば、支援制御部32により、停止線40までの補正済み距離Lをディスプレイ28に表示させてもよい。また、現時の車両Cの走行速度が速すぎる場合には、支援制御部32により、停車や減速を促す注意喚起をディスプレイ28に表示させたり、その注意喚起をスピーカ装置29から音声出力させたりしてもよい。
ここで、信号情報とは、交通信号機が表示する現在又は将来の信号灯色に関する情報を指し、各信号灯色の表示継続予定期間や表示する順序等に関する情報(表示予定情報)等を含む。例えば、「現在灯色が青信号で継続予定時間が5秒であり、次の灯色が黄信号で継続予定時間が8秒であり、その次の灯色が右折青矢印灯で継続予定時間10秒である」といった情報である。
そして、例えば、現在の信号灯色は青信号であるが、停止線40に到着する時点で信号灯色が赤信号と予測されるような場合には、安全に停止線40の手前で停止することができるように、車両Cを制動するための制御を行う。逆に、減速しなければ安全に交差点を通過できると判断できるような場合には、車両Cの速度を維持するための制御を行うことができる。
また、支援制御部32では単に制動や速度維持に関する情報を生成し、その情報をECU22に通知することによってECU22でブレーキ装置24やアクセルを制御するものであってもよい。すなわち、支援制御部32は、間接的な制御を行うものであってもよい。また、支援制御部32は、車載装置の主導による制御のみならず、ブレーキアシストなど、ドライバの運転動作を補助する動作をしても良い。
安全運転の支援については、不適切なタイミングや内容でドライバに情報を通知することのないようなヒューマンインタフェースとするため、例えば低速走行時には音声や画像表示による報知を行わないようにすることができる。
また、信号情報は、光ビーコンから取得するものであってもよいし、光ビーコン以外のインフラ装置等から取得するものであってもよい。
そして、本実施形態では、上記送信位置と基準位置P1〜P4のずれを補正情報としてダウンリンク光DOに含めて車載機2側に通知するようにしたので、車両Cの位置に関する情報提供を精度よく行うができる。
図11は、本発明の第1実施形態を示すための、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図11に示すように、この第2実施形態では、通信領域Aの最上流端cに基準位置Pcか設定されており、ビーコン制御機7の記憶装置48は、距離情報としては、上記基準位置Pcから下流側の所定位置P0までの距離L0のみを記憶し、第1の補正情報として、この距離L0に対する補正距離ΔL1〜ΔL4を記憶している。
更に、ビーコン制御機7の通信制御部49は、位置特定部50が特定したアップリンク光UOの送信位置に基づいて、基準位置P1〜P4に対するずれ量である前記補正値d1〜d4を算出し、この補正値d1〜d4を第2の補正情報として、第2のダウンリンク情報36の送信フレームに格納する。
そこで、補正部31は、所定位置P0までの走行距離Lを、L=L0−ΔL1−di(i=1〜4)として演算し、この走行距離Lを利用して、支援制御部32が前記した安全運転支援を行う。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態では、分割領域UA1〜UA4に対応する基準位置P1〜P4から所定位置P0までの距離L1〜L4を予め固定値として記憶装置48に記憶させ、位置特定部49が実測した送信位置を、それらの距離L1〜L4に対する補正値d1〜d4を算出するために利用しているが、このような固定的な距離情報を記憶装置48に記憶させるのではなく、位置特定部49が実測した送信位置をそのまま実際の走行距離Lの上流端として利用することにしてもよい。
このため、上記各実施形態のように、距離L1〜L4,L0に関する主情報としては、基準位置P1〜P4,Pcを用いた固定的な距離情報を用い、位置特定部49が特定した送信位置については、基準位置P1〜P4と実際の車両走行位置とのずれを補正するためのオプショナルな補正情報として用いることが好ましい。
従って、この場合、通信領域A内で第2のダウンリンク情報36の送信ができなくなり、そのダウンリンク情報36に渋滞情報等の所定情報を含めて車載機2に送るという本来的な路車間通信が阻害される恐れがある。
もっとも、本実施形態において、各分割領域UA1〜UA4の車両進行方向長さは、距離認識精度として要求されるレベルに応じて設定することができる。また、各分割領域UA1〜UA4の車両進行方向長さは、互いに異なっていてもよい。
また、車載コンピュータ26が予め距離L1〜L4とその識別番号とを記憶している場合には、アップリンク情報35を受信したフォトダイオード11に応じた1の識別番号のみを第2のダウンリンク情報36に含ませてもよい。
この場合、車載機2の距離認識部30において、第2のダウンリンク情報36から第1情報と第2情報を抽出し、抽出した第1情報から第2情報を減算する補正を補正部31が行うことにより、所定位置P0(停止線40)までの実距離を演算することができる。
例えば、基準位置P1〜P4は、各分割領域UA1〜UA4の道路R上の上流端(c,e1,e2,e3で示す位置)に設定したり、各分割領域UA1〜UA4の道路R上の下流端(e1,e2,e3,bで示す位置)に設定したりすることができる。
更に、距離情報を構成する距離L1〜L4の下流端については、停止線40のほか、信号機の設置位置や車両感知器の位置としてもよい。
また、本実施形態における距離情報は、所定位置P0までの距離の値を直接格納する形式に限られず、所定位置P0までの距離を一意に決定しうる情報であれば、どのような形式であってもよい。
例えば、始点となるアップリンク領域UA内の所定位置(例えばアップリンク領域UAの上流端c)からその直近のノードまでの距離、各ノード間の距離、及び、所定位置P0直近のノードから所定位置P0までの距離によって距離情報を構成することができる。この場合、この距離情報を受信した車載コンピュータ26は、各距離の合計値を求めることで、所定位置P0までの距離を認識することができる。
例えば、距離情報は、アップリンク領域UA内の基準位置P1〜P4に関する位置情報と、所定位置P0の位置情報と、位置特定部50が求めたアップリンク光UOの送信位置とで構成し、これらの絶対位置に基づいて、車載機2の距離認識部30が自身で距離を算出してもよい。
また、所定位置P0の地点を含む道路の形状を示す道路形状情報や詳細な地図情報と、当該道路上又は地図上であって、本発明によって得られるアップリンク領域UA内の位置に対応する位置情報とを光ビーコン4が送信し、この情報をもとに車載機2が所定位置P0までの距離を取得する方法を用いてもよい。
更に、車載コンピュータ26の各機能部30,31,32は、車両Cの電子制御装置(ECU)に組み込むこともできる。
上記各実施形態では、通信領域A(特に、アップリンク領域UA)が、光ビーコンの「近赤外線式インタフェース規格」よりも広いものとして説明しているが、通信領域Aは、当該規格に準じた寸法に設定されていてもよい。
2 車載機
3 中央装置
4 光ビーコン
7 ビーコン制御機
8 ビーコンヘッド(投受光器)
9 光受信部
10 発光ダイオード(LED)
11 フォトダイオード(PD)
34 第1のダウンリンク情報
35 アップリンク情報
36 第2のダウンリンク情報
49 通信制御部
50 位置特定部
51 参照テーブル
A 通信領域
C 車両
R 道路
P0 停止線(所定位置)
P1〜P4 基準位置
DA ダウンリンク領域
UA アップリンク領域
UA1〜UA4 分割領域
DO ダウンリンク光
UO アップリンク光
Claims (9)
- 道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された投受光器を有する光ビーコンとを備え、前記通信領域において前記車載機と前記光ビーコンの投受光器との間で光信号による双方向通信を行う路車間通信システムであって、
前記通信領域に含まれるアップリンク領域を車両進行方向に分割してなる複数の分割領域に対応してアップリンク光を受信可能となるように、前記投受光器に設けられた複数の光受信部と、
アップリンク光を受信した第1の前記光受信部以外の第2の前記光受信部の受信レベルを利用して、第1の前記光受信部に対応する前記分割領域内におけるアップリンク光の送信位置を特定する位置特定部と、
を備えていることを特徴とする路車間通信システム。 - 前記位置特定部は、第1の前記光受信部の受信レベルと第2の前記光受信部の受信レベルとを対比することにより、前記送信位置を特定する請求項1に記載の路車間通信システム。
- 前記位置特定部は、複数の第2の前記光受信部の受信レベルを対比することにより、前記送信位置を特定する請求項1に記載の路車間通信システム。
- 前記光ビーコンは、アップリンク光の受信後に前記投受光器が送信するダウンリンク光に、次の(a)及び(b)で定義される情報を含める通信制御部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の路車間通信システム。
(a) 前記通信領域内の基準位置から、その下流側の所定位置までの距離に関する情報
(b) 前記送信位置の前記基準位置に対するずれに関する補正情報 - 前記光ビーコンは、アップリンク光の受信後に前記投受光器が送信するダウンリンク光に、次の(c)で定義される情報を含める通信制御部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の路車間通信システム。
(c) 前記送信位置からその下流側の所定位置までの距離に関する情報 - 前記車載機は、前記(a)の情報を前記(b)の情報で補正することにより、前記所定位置までの前記車両の走行距離を求める距離認識部を有する請求項4に記載の路車間通信システム。
- 前記車載機は、ダウンリンク光に含まれる情報を補正しないで、前記所定位置までの前記車両の走行距離を求める距離認識部を有する請求項5に記載の路車間通信システム。
- 道路の所定範囲に通信領域が設定された投受光器を有し、前記通信領域において前記投受光器と車両の車載機との間で光信号による双方向通信を行う光ビーコンであって、
前記通信領域に含まれるアップリンク領域を車両進行方向に分割してなる複数の分割領域に対応してアップリンク光を受信可能となるように、前記投受光器に設けられた複数の光受信部と、
アップリンク光を受信した第1の前記光受信部以外の第2の前記光受信部の受信レベルを利用して、第1の前記光受信部に対応する前記分割領域内におけるアップリンク光の送信位置を特定する位置特定部と、
を備えていることを特徴とする光ビーコン。 - アップリンク領域を車両進行方向に分割してなる複数の分割領域に対応して、投受光器に設けられた複数の光受信部のうちの1つで受信したアップリンク光に基づいて、車両の車両進行方向の位置を求める車両の位置評定方法であって、
アップリンク光を受信した第1の前記光受信部以外の第2の前記光受信部の受信レベルを利用して、第1の前記光受信部に対応する前記分割領域内におけるアップリンク光の送信位置を特定することを特徴とする車両の位置評定方法。
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