JP2009228117A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009228117A
JP2009228117A JP2008078618A JP2008078618A JP2009228117A JP 2009228117 A JP2009228117 A JP 2009228117A JP 2008078618 A JP2008078618 A JP 2008078618A JP 2008078618 A JP2008078618 A JP 2008078618A JP 2009228117 A JP2009228117 A JP 2009228117A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
annealing
steel sheet
oriented electrical
grain
electrical steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008078618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5228563B2 (ja
Inventor
Takeshi Imamura
今村  猛
Mineo Muraki
峰男 村木
Yukihiro Aragaki
之啓 新垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2008078618A priority Critical patent/JP5228563B2/ja
Publication of JP2009228117A publication Critical patent/JP2009228117A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5228563B2 publication Critical patent/JP5228563B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】鏡面化材の最終仕上焼鈍に際して、磁気特性の劣化を招くことのない、方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】方向性電磁鋼板の製造方法において、素材中のS量を0.0005〜0.0060%の範囲に規制すると共に、最終仕上焼鈍前の鋼板の表面粗さを算術平均粗さRaで0.3μm以下に調整し、さらに焼鈍分離剤としてアルミナ系の分離剤を使用して1100℃以下の温度で最終仕上焼鈍を施す。
【選択図】図2

Description

本発明は、変圧器の鉄心材料に供して好適な方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
電圧変換用の大型変圧器や柱上変圧器には、そのエネルギーロスを低減するために、方向性電磁鋼板が使用されている。方向性電磁鋼板は、ゴス方位と呼ばれる{110}<001>方位を有する粒のみを選択的に巨大成長させることによって、鉄の磁化容易軸である<001>方位を一方向に配向させ、鉄損と呼ばれるエネルギーロスを低減している。
鉄損は、低いほど好ましいため、<001>方位の配向度を改善するだけでなく、たとえば磁区細分化処理と呼ばれる処理を鋼板に施すことによって、磁区幅を減少させ、励磁時の磁壁の移動距離を短くすることで低鉄損化を達成している。
磁区細分化処理方法としては、<001>方位に配向している圧延方向とほぼ垂直に物理的な溝や歪を導入させる方法が一般的であり、かような方法として、突起を有するロールで圧下する方法(特許文献1)、プラズマ照射により熱歪を導入する方法(特許文献2)、レーザ照射により熱歪を導入する方法(特許文献3)および化学的にエッチングする方法(特許文献4)等が開発されている。
特開昭60−96719号公報 特公平7−72300号公報 特公昭58−26405号公報 特公平6−57857号公報
その他、鋼板の表面を鏡面のように平滑化することで、磁壁移動時の障害を除去し、移動を円滑にせしめて低鉄損化する方法も知られている。鏡面化の方法としては、焼鈍分離剤として使用しているMgO中に種々の添加剤を加えて、フォルステライトと地鉄との界面の結合を弱くすることで、フォルステライト形成後に剥離させる方法(特許文献5,6)、フォルステライト被膜が形成した後に物理的もしくは化学的に被膜を除去する方法(特許文献7)および焼鈍分離剤としてフォルステライトを形成しない酸化物や無機物を使用する方法(特許文献8,9)等が提案されている。
特開平2−228481号公報 特開平7−173642号公報 特公平3−74488号公報 特開平5−156362号公報 特開平5−43943号公報
上記した従来法の中でも、フォルステライト被膜の形成を阻止すべく、焼鈍分離剤としてアルミナを使用する方法が盛んに検討されている。
アルミナは、安価であり、しかも種々の粒度のものが市販されているため、塗布性や鋼板への付着性を粒度調節によって変更することが容易である。また、アルミナは、極めて安定な物質であることから、例えばアルミナの酸素が離脱し、鋼中のSiと酸化物を形成して、特性を劣化させるおそれもない。
しかしながら、フォルステライト被膜を形成させることなく、表面鏡面化による鉄損の低減を検討している際に、最終仕上焼鈍を1200℃のような高温で行うと、磁気特性が劣化することが判明した。
かような現象は、フォルステライト被膜を形成する通常の方向性電磁鋼板の製造方法の場合には発生しなかった現象である。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、表面を鏡面化した材料(以下、鏡面化材という)の最終仕上焼鈍に際しても、磁気特性の劣化を招くことのない、方向性電磁鋼板の新しい製造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、鏡面化材の最終仕上焼鈍時に懸念される磁気特性の劣化を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、最終仕上焼鈍焼鈍前の鋼板の表面を平滑化し、かつ最終仕上焼鈍温度を低温化することによって、磁気特性の劣化が有利に回避できることを知見した。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.10%以下、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.0%およびS:0.0005〜0.0060%を含有する組成になる鋼スラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終冷延板とし、ついで一次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を施す一連の製造工程によって方向性電磁鋼板を製造するに当たり、
最終仕上焼鈍前の鋼板の表面粗さを算術平均粗さRaで0.3μm以下にすると共に、焼鈍分離剤としてアルミナ系の分離剤を使用し、1100℃以下の温度で最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする、フォルステライト被膜を有しない方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記鋼スラブが、さらに質量%で、Ni:0.010〜1.50%、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Nb:0.003〜0.050%、Sn:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%、Al:0.0010〜0.020%、N:0.0005〜0.010%およびSe:0.005〜0.10%のうちから選んだ少なくとも一種または二種以上を含有する組成になることを特徴とする上記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明に従い、最終仕上焼鈍焼鈍前の鋼板の表面を平滑化し、かつ最終仕上焼鈍温度を低温化することで、磁気特性に優れたフォルステライト被膜を有しない方向性電磁鋼板を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の基礎となった実験について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
<実験1>
C:600ppm、Si:3.28%、Mn:0.07%、S:0.0020%、Se:0.0035%、Cr:0.02%およびSb:0.050%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1250℃のスラブ加熱後、熱間圧延により2.5mm厚とし、ついで1000℃で60秒の熱延板焼鈍後、1回目の冷間圧延により0.60mmの中間厚さとした。ついで、1000℃で60秒の中間焼鈍後、2回目の冷間圧延(最終冷間圧延)により板厚:0.23mmの冷延板に仕上げた。その後、均熱条件が820℃で90秒の脱炭焼鈍を施した後、鋼板の表面に水に懸濁させたスラリー状のアルミナを塗布し、200℃で焼付けした。さらに、850℃で20時間保定した後に最終到達温度まで昇温して10時間保定する最終仕上焼鈍を行った。このとき、最終到達温度を種々に変更して実験を行った。
得られた方向性電磁鋼板からサンプルを採取し、かかるサンプルの鉄損W17/50をJIS C 2550に記載の方法で測定した結果を、図1に示す。
同図に示したとおり、最終仕上焼鈍の最終到達温度が1100℃を超えた場合に、鉄損が劣化することが判明した。
しかしながら、1100℃以下の温度であっても、得られた鉄損値は期待される鉄損値よりも幾分悪い結果であった。
そこで、地鉄中の微量元素の分析を行った。その結果、地鉄中のS量が鉄損に悪影響を及ぼしていることが判明した。
すなわち、従来の方向性電磁鋼板は地鉄中のSは5ppm未満(分析限界)であるため、このSが鉄損に悪影響を及ぼすことはなかったのであるが、上記の実験では、最終仕上焼鈍の最終到達温度が1125℃以上のときには地鉄中に10〜17ppmのSが、また1125℃未満であっても地鉄中に6〜11ppmのSが残存していることが判明した。この地鉄中のSが磁性を劣化させているものと推測される。
そこで、さらに検討を重ねた結果、最終仕上焼鈍前の鋼板の表面粗度がSの純化に強く関与していることを突き止めた。
<実験2>
実験1と同じ成分組成になる鋼スラブを用い、1250℃のスラブ加熱後、熱間圧延により2.5mmの厚さとし、ついで1000℃で60秒の熱延板焼鈍後、1回目の冷間圧延により0.60mmの厚さとした。ついで、1000℃で60秒の中間焼鈍後、2回目の冷間圧延(最終冷間圧延)により板厚:0.23mmの冷延板に仕上げた。その後、均熱条件が820℃で90秒の脱炭焼鈍を施した後、5%フッ酸を過酸化水素水に加えた酸で処理し、鋼板の表面粗さを種々に変更した。その後、水に懸濁させたスラリー状のアルミナを鋼板表面に塗布し、200℃で焼付けした。さらに、850℃で20時間保定した後に1100℃まで昇温して10時間保定する最終仕上焼鈍を行った。
得られた方向性電磁鋼板からサンプルを採取し、かかるサンプルの鉄損W17/50をJIS C 2550に記載の方法で測定した結果を、図2に示す。
同図に示したとおり、最終仕上焼鈍前の鋼板の表面粗さを算術平均粗さRaで0.3以下にすることにより、鉄損の改善が図られている。
また、地鉄中のS量を調査したところ、表面粗さRaが低く、鉄損が良好なサンプルではS量は5ppm未満(分析限界)まで低減されていることが判明した。
最終仕上焼鈍温度を1100℃以下とし、かつ表面粗さを小さくすることによって、磁気特性が改善する理由については必ずしも明らかとはなっていないが、発明者らは次のように考えている。
通常の方向性電磁鋼板のように、表面にフォルステライト被膜を形成する場合には、純化焼鈍によって鋼中のS等の不純物はフォルステライト被膜にトラップされると考えらる。しかしながら、焼鈍分離剤として表面被膜を形成しないような物質(例えばアルミナ)を使用した鏡面化材においては、不純物がトラップされる場所が存在しないため、気体となって地鉄から離脱すると考えられる。このとき、地鉄中のSは、水素と反応して硫化水素となって離脱すると考えられる。気体の標準生成自由エネルギーは一般的に高温ほど高くなることから、本実験の場合、最終到達温度が1100℃を超えたあたりから標準生成自由エネルギーが負の値から正の値になり、エネルギーが高くなって反応しなくなった、すなわち硫化水素が生成しなくなったと推測される。さらに、通常、最終仕上焼鈍は、コイル状に巻き取られた鋼板に対して適用されるため、鋼板表面同士が、焼鈍分離剤を介してはいるものの、接触しているような状況下にある。このとき、鋼板の表面粗さが大きく凹凸がある場合には、気体となった硫化水素の一部が凹部に止まり、何らかの状況下では再度地鉄中にSが戻ってしまい、磁気特性を劣化させているものと推定される。
以下、本発明において、鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について述べる。
C:0.10%以下
Cは、γ変態の促進により熱延後の組織を均質化させ、磁気特性を改善させる有用元素であるが、含有量が0.10%を超えると、磁気時効の起こらない50ppm以下まで低減することが困難になるので、C量は0.10%以下に限定した。
Si:2.0〜8.0%
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を改善させるために必要な元素であるが、含有量が2.0%未満では十分な効果が得難く、一方8.0%を超えると鋼の加工性が劣化し、圧延が困難になるため、Si量は2.0〜8.0%の範囲に限定した。
Mn:0.005〜1.0%
Mnは、熱間加工性を改善するために必要な元素であるが、含有量が0.005%に満たないとその添加効果に乏しく、一方1.0%を超えると製品板の磁束密度が低下するので、Mn量は0.005〜1.0%の範囲に限定した。
S:0.0005〜0.0060%
Sは、磁気特性劣化の主因と考えられる。本発明に従えば、鏡面化材においても効果的にSの悪影響を排除することができるとはいえ、含有量が0.0060%を超えると本発明をもってしても磁気特性の劣化が避け難いので、上限を0.0060%に定めた。一方、素材段階でS量が0.0005%未満の場合には、とくに本発明を適用する必要はないので、S量の下限は0.0005%とした。
以上、必須成分および抑制成分について説明したが、本発明ではその他にも、集合組織を改善して磁気特性を向上させる観点から、以下の元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.010〜1.50%
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させる上で有用な元素である。しかしながら、含有量が0.010%未満では磁気特性の向上量が小さく、一方1.50%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Niは0.010〜1.50%の範囲で含有させることが好ましい。
Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%
Cr,CuおよびPはいずれも、鉄損の改善に有用な元素であるが、それぞれ含有量が下限に満たないとその添加効果に乏しく、一方上限を超えると二次再結晶粒の発達が抑制され、磁気特性が劣化するので、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。
Nb:0.003〜0.050%、Sn:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%、Al:0.0010〜0.020%、N:0.0005〜0.010%、Se:0.005〜0.10%
Nb,Sn,Sb,Bi,Mo,Al,NおよびSeはいずれも、磁束密度を向上させる有用元素であるが、それぞれ含有量が下限に満たないとその添加効果に乏しく、一方上限を超えると二次再結晶粒の発達が抑制され、磁気特性が劣化するので、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。
なお、上掲した選択成分は、いずれか一種を単独で添加しても、また複合して添加したもいずれでもよい。
次に、本発明の製造方法について説明する。
上記の好適成分組成範囲に調整したスラブを、通常の造塊法、連続鋳造法で製造する。また、100 mm以下の厚さの薄鋳片を直接鋳造法で製造してもよい。
次に、スラブは、通常は加熱して熱間圧延に供するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には熱間圧延してもよいし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。熱間圧延前のスラブ加熱温度は、Al,N,S,Seを低減したインヒビター成分を含まない成分系の場合は、従来必須であったインヒビターを固溶させるための高温焼鈍を必要としないことから、1250℃以下の低温とすることがコストの面で望ましい。インヒビター成分を含む場合はこれらの成分の固溶の観点から1400℃超の加熱を必要とする場合がある。
ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。良好な磁性を得るためには、熱延板焼鈍温度は800℃以上1150℃以下が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると熱延でのバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を実現することが困難になり二次再結晶の発達が阻害される。一方、熱延板焼鈍温度が1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎることため、整粒の一次再結晶組織を実現する上で極めて不利となる。
熱延板焼鈍後、1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延により最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍を施す。冷間圧延工程において、温度を100〜300℃に上昇させて行うことや、冷間圧延途中で100〜300℃の範囲での時効処理を1回または複数回行うことは、磁気特性を向上させル上で有効である。一次再結晶焼鈍は、脱炭を必要とする場合には雰囲気を湿潤雰囲気とするが、脱炭を必要としない場合は乾燥雰囲気で行っても良い。一次再結晶焼鈍後に、浸珪法によってSi量を増加させる技術を併用してもよい。
その後、焼鈍分離剤としてアルミナ系の分離剤をスラリー状にして塗布する。ここに、アルミナ系の分離剤とは、アルミナが質量%で焼鈍分離剤成分の少なくとも50%を超えた量含まれていることを意味する。アルミナの他には、CaOやSiO2等の従来公知の成分を含有させても問題はないが、磁気特性の観点からはアルミナを90%以上含有させることが望ましい。
焼鈍分離剤を塗布した後、最終仕上焼鈍を施す。前述したとおり、最終仕上焼鈍前の鋼板の表面粗さは算術平均粗さRaで0.3μm以下とすることが肝要である。
ここに、最終仕上焼鈍前の鋼板の表面粗さを低減する手段としては、酸洗する方法や表面を機械的に研磨する方法等が考えられるが、脱炭焼鈍後の酸洗工程において過酸化水素水とフッ酸との混合液に5秒以上浸漬し、そのフッ酸の濃度と浸漬時間を変化させることによって、表面粗さを調整する方法がとりわけ好適である。
最終仕上焼鈍は、二次再結晶発現のために750℃以上で行う必要があるが、二次再結晶を完了させるために800℃以上の温度で5時間以上保持させることが望ましい。また、鋼中の不純物を純化するために1000℃以上で1時間以上保定することが望ましい。ただし、1100℃を超えた場合には、前述した理由により磁気特性が劣化するため、最高到達温度は1100℃以下に制限する。二次再結晶に最適な温度と純化に最適な温度は異なることが多いから、初めに二次再結晶に最適な温度で保定し、その後昇温して純化に最適な温度とすることが望ましい。
最終仕上焼鈍後には、付着したアルミナを除去するため、水洗やブラッシング、酸洗を行うことが有用である。その後、平坦化焼鈍により形状を矯正することが鉄損低減のために有効である。
また、鋼板を積層して使用する場合には、鉄損を改善するために、平坦化焼鈍前またはその後に、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことが有効である。鉄損低減のためには、張力コーティングを付与することが望ましい。鋼板表面は平滑化されているため、バインダーを介した張力コーティング塗布方法やCVDおよびPVDにより無機物を鋼板表層に蒸着させてコーティングとする方法は、密着性に優れるコーティングが得られ、かつ鉄損低減効果も著しいので、とくに好適である。
実施例1
C:220ppm、Si:3.20%、Mn:0.068%、S:0.0026%、Sn:0.059%、Al:0.0085%およびN:0.0035%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1200℃でスラブ加熱後、熱間圧延により2.5mm厚とし、ついで1000℃で45秒の熱延板焼鈍後、冷間圧延により板厚:0.23mmの冷延板に仕上げた。その後、均熱条件が850℃,90秒の脱炭焼鈍を施した後、酸洗により、鋼板表面のRaを表1に示すように種々に変更した。このとき、表面粗さRaの調整は、600番のエメリー紙を用いて表面を研磨しRaを増加させる、または5%フッ酸−過酸化水素水溶液に浸してRaを減少させる、ことにより行った。
ついで、アルミナ:100質量%の焼鈍分離剤をスラリー状にして鋼板表面に塗布し、200℃で焼付けした。その後、850℃で20時間保定したのち、表1に示したように最高到達温度を種々に変更して10時間保定する最終仕上焼鈍を行った。その後、付着しているアルミナを水洗ブラッシングにより除去したのち、CVD法によりTiNを鋼板表層に蒸着させてコーティングとした。
かくして得られた方向性電磁鋼板から磁気測定用のサンプルを採取し、JIS C 2550に記載の方法に準拠して磁気特性(鉄損W17/50)を測定を行った。
得られた結果を、表1に併記する。
Figure 2009228117
同表から明らかなように、本発明に従い、最終仕上焼鈍焼鈍前の鋼板の表面粗さをRaで0.3μm以下にした上で、最高到達温度が1100℃以下の条件で最終仕上焼鈍温度を施した場合には、良好な磁気特性を得ることができた。
実施例2
表2に示す成分組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1400℃でスラブ加熱後、熱間圧延により2.2mm厚とし、ついで1100℃で20秒の熱延板焼鈍後、1回目の冷間圧延により板厚:0.60mmの中間厚さとした。ついで、950℃で60秒の中間焼鈍後、2回目の冷間圧延により板厚:0.20mmの冷延板に仕上げた。その後、均熱条件が820℃で90秒の脱炭焼鈍を施した後、酸洗により、鋼板の表面粗さをRaで0.22〜0.29μmとした。ここに、表面粗さの調整は、5%フッ酸−過酸化水素水溶液に浸すことにより行った。
ついで、アルミナ:98質量%、シリカ:2質量%の組成になるアルミナ系の焼鈍分離剤をスラリー状にして鋼板表面に塗布し、200℃で焼付けした。その後、900℃で30時間保定したのち、1100℃で5時間保定する最終仕上焼鈍を行った。その後、付着しているアルミナを水洗ブラッシングにより除去したのち、CVD法によりTiNを鋼板表層に蒸着させてコーティングとした。
かくして得られた方向性電磁鋼板から磁気測定用のサンプルを採取し、JIS C 2550に記載の方法に準拠して磁気特性(鉄損W17/50)を測定を行った。
得られた結果を、表2に併記する。
Figure 2009228117
同表から明らかなように、本発明に従い、適正な成分とし、最終仕上焼鈍焼鈍前の鋼板の表面粗さをRaで0.3μm以下にした上で、最高到達温度が1100℃以下の条件で最終仕上焼鈍温度を施した場合には、良好な磁気特性が得られることが分かる。なお、No.2〜4の比較例はいずれも二次再結晶粒が発現しなかった。
最終仕上焼鈍時の最終到達温度と鉄損の関係を示した図である。 最終仕上焼鈍前の鋼板表面粗さRaと鉄損の関係を示した図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.10%以下、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.0%およびS:0.0005〜0.0060%を含有する組成になる鋼スラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終冷延板とし、ついで一次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を施す一連の製造工程によって方向性電磁鋼板を製造するに当たり、
    最終仕上焼鈍前の鋼板の表面粗さを算術平均粗さRaで0.3μm以下にすると共に、焼鈍分離剤としてアルミナ系の分離剤を使用し、1100℃以下の温度で最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする、フォルステライト被膜を有しない方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼スラブが、さらに質量%で、Ni:0.010〜1.50%、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Nb:0.003〜0.050%、Sn:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%、Al:0.0010〜0.020%、N:0.0005〜0.010%およびSe:0.005〜0.10%のうちから選んだ少なくとも一種または二種以上を含有する組成になることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
JP2008078618A 2008-03-25 2008-03-25 方向性電磁鋼板の製造方法 Active JP5228563B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008078618A JP5228563B2 (ja) 2008-03-25 2008-03-25 方向性電磁鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008078618A JP5228563B2 (ja) 2008-03-25 2008-03-25 方向性電磁鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009228117A true JP2009228117A (ja) 2009-10-08
JP5228563B2 JP5228563B2 (ja) 2013-07-03

Family

ID=41243836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008078618A Active JP5228563B2 (ja) 2008-03-25 2008-03-25 方向性電磁鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5228563B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016067636A1 (ja) * 2014-10-30 2016-05-06 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
KR20170036047A (ko) 2014-08-27 2017-03-31 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 무방향성 전기 강판 및 그 제조 방법
EP3225704A4 (en) * 2014-11-27 2017-11-15 JFE Steel Corporation Method for manufacturing grain-oriented electrical steel sheet
JP2018066061A (ja) * 2016-10-18 2018-04-26 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板およびその製造方法
EP3351649A4 (en) * 2015-09-17 2018-07-25 JFE Steel Corporation High silicon steel sheet and manufacturing method therefor
WO2019013352A1 (ja) * 2017-07-13 2019-01-17 新日鐵住金株式会社 方向性電磁鋼板
WO2019013355A1 (ja) * 2017-07-13 2019-01-17 新日鐵住金株式会社 方向性電磁鋼板
WO2019013354A1 (ja) * 2017-07-13 2019-01-17 新日鐵住金株式会社 方向性電磁鋼板

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07118749A (ja) * 1993-10-26 1995-05-09 Nippon Steel Corp 鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07118749A (ja) * 1993-10-26 1995-05-09 Nippon Steel Corp 鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法

Cited By (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106574346B (zh) * 2014-08-27 2019-01-04 杰富意钢铁株式会社 无方向性电磁钢板及其制造方法
KR20170036047A (ko) 2014-08-27 2017-03-31 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 무방향성 전기 강판 및 그 제조 방법
CN106574346A (zh) * 2014-08-27 2017-04-19 杰富意钢铁株式会社 无方向性电磁钢板及其制造方法
JP2016089194A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
WO2016067636A1 (ja) * 2014-10-30 2016-05-06 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法
RU2676199C2 (ru) * 2014-10-30 2018-12-26 ДжФЕ СТИЛ КОРПОРЕЙШН Способ изготовления текстурированной листовой электротехнической стали
EP3225704A4 (en) * 2014-11-27 2017-11-15 JFE Steel Corporation Method for manufacturing grain-oriented electrical steel sheet
US10428403B2 (en) 2014-11-27 2019-10-01 Jfe Steel Corporation Method for manufacturing grain-oriented electrical steel sheet
US10760143B2 (en) 2015-09-17 2020-09-01 Jfe Steel Corporation High-silicon steel sheet and method of manufacturing the same
EP3351649A4 (en) * 2015-09-17 2018-07-25 JFE Steel Corporation High silicon steel sheet and manufacturing method therefor
JP2018066061A (ja) * 2016-10-18 2018-04-26 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板およびその製造方法
KR20200017480A (ko) * 2017-07-13 2020-02-18 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 방향성 전자 강판
RU2729666C1 (ru) * 2017-07-13 2020-08-11 Ниппон Стил Корпорейшн Электротехнический стальной лист с ориентированной зеренной структурой
WO2019013352A1 (ja) * 2017-07-13 2019-01-17 新日鐵住金株式会社 方向性電磁鋼板
KR20200017458A (ko) * 2017-07-13 2020-02-18 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 방향성 전자 강판
CN110832113A (zh) * 2017-07-13 2020-02-21 日本制铁株式会社 方向性电磁钢板
JPWO2019013354A1 (ja) * 2017-07-13 2020-04-30 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板
JPWO2019013355A1 (ja) * 2017-07-13 2020-05-28 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板
JPWO2019013352A1 (ja) * 2017-07-13 2020-07-09 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板
RU2727435C1 (ru) * 2017-07-13 2020-07-21 Ниппон Стил Корпорейшн Лист анизотропной электротехнической стали
WO2019013354A1 (ja) * 2017-07-13 2019-01-17 新日鐵住金株式会社 方向性電磁鋼板
WO2019013355A1 (ja) * 2017-07-13 2019-01-17 新日鐵住金株式会社 方向性電磁鋼板
RU2736043C1 (ru) * 2017-07-13 2020-11-11 Ниппон Стил Корпорейшн Электротехнический стальной лист с ориентированной зеренной структурой
US11145446B2 (en) 2017-07-13 2021-10-12 Nippon Steel Corporation Grain-oriented electrical steel sheet
US11189407B2 (en) 2017-07-13 2021-11-30 Nippon Steel Corporation Grain-oriented electrical steel sheet
US11225706B2 (en) 2017-07-13 2022-01-18 Nippon Steel Corporation Grain-oriented electrical steel sheet
KR102359168B1 (ko) * 2017-07-13 2022-02-08 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 방향성 전자 강판
KR102360459B1 (ko) * 2017-07-13 2022-02-14 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 방향성 전자 강판

Also Published As

Publication number Publication date
JP5228563B2 (ja) 2013-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101620763B1 (ko) 방향성 전기 강판 및 그 제조 방법
JP5228563B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
WO2014013615A1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
CN111411294A (zh) 取向性电磁钢板
JP7299511B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
WO2014132354A1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP4784347B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
KR20160138253A (ko) 방향성 전기 강판의 제조 방법
WO2016067636A1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP7269505B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP4811390B2 (ja) 二方向性電磁鋼板
JP7299512B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2003342642A (ja) 磁気特性および被膜特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JP5194927B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2003034820A (ja) 下地被膜を有しない、打ち抜き加工性の良好な方向性電磁鋼板の製造方法
JP7255761B1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
WO2022250161A1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP7226677B1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2007262436A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
WO2022250160A1 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP2000096149A (ja) 被膜特性および磁気特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法
RU2771315C1 (ru) Способ производства листа электротехнической стали с ориентированной зеренной структурой
JP2706039B2 (ja) 鏡面方向性珪素鋼板の製造方法
JP2006144042A (ja) 磁気特性および被膜特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JP4259351B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130304

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5228563

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250