JP2009228040A - 低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐震性を必要とする建築用鋼材とくに梁用材料として使用される板厚40mm以下、降伏比80%以下の高張力鋼板として好適な低降伏比鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.18%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、必要に応じて、Cu,Ni、Cr,Ti、Ca、REMの一種または二種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下式で示される炭素当量Ceqが0.30〜0.45%の組成と、平均結晶粒径10μm以下のフェライトを体積分率20%以上、残部がベイナイトを呈するミクロ組織からなる板厚40mm以下の低降伏比高張力鋼板。Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
【選択図】なし

Description

本発明は、海洋構造物、橋梁、造船、ラインパイプ、建産機械等に用いる低降伏比高張力鋼板およびその製造方法に関し、特に、耐震性を必要とする建築用鋼材とくに梁用材料として使用される板厚40mm以下、降伏比80%以下の高張力鋼板として好適なものに関する。
近年、建築構造物などでは地震時の安全性確保の観点から耐震性を有する鋼板が要求され、建築用鋼材として、降伏比が80%以下の鋼材が使用される場合が多い。地震発生時に最も塑性変形能が要求される梁材には、より低降伏比の鋼材が望ましいとされる。
特許文献1〜9は低降伏比高張力鋼の製造方法に関し、特許文献1には、スラブ加熱温度を低温化し、さらに未再結晶温度域での圧下率を30%以上と規定して靭性を改善し、冷却速度、冷却停止温度を制御することにより、高強度、低降伏比、高靭性を両立させることが記載されている。
特許文献2には、加速冷却時の冷却速度を、水量密度を変化させて制御し、種々の板厚においてもほぼ同一の冷却速度で冷却して、板厚によらず同一の強度、降伏比を得ることが記載されている。
特許文献3には、熱間圧延終了後の加速冷却速度を1℃/s以上に制御し、750〜600℃まで冷却して低降伏比高強度鋼を製造することが記載されている。
特許文献4には、熱間圧延終了後の加速冷却時の冷却速度を1〜5℃/sに制御することにより、高強度と低YRを両立した耐溶接割れ性に優れた低降伏比高張力鋼が記載されている。
特許文献5には、熱間圧延終了後の加速冷却速度または、再加熱焼入れ時の冷却速度を5℃/s以上に制御し、さらに焼戻し時の昇温速度を制御することにより、低降伏比を達成した高張力厚鋼板が記載されている。
特許文献6には、低降伏比と微細組織を確保するため、Ar3変態点+50℃〜Ar3変態点−50℃で加速冷却を実施することが記載されている。特許文献7には、熱間圧延終了後の加速冷却時の冷却速度を0.3〜3℃/sに制御して島状マルテンサイトを一定量含む組織とし、高強度と低降伏比を確保することが記載されている。
特許文献8や特許文献9には、圧延後、予備冷却を実施し所定の温度になり次第、空冷し、その後再度冷却することにより、低降伏比を達成することが記載され、特許文献8では板厚40〜100mmでYR75%以下の厚鋼板が得られる。
特開平5−320752号公報 特開平5−339631号公報 特開平6−340924号公報 特開平9−3596号公報 特開平9−3595号公報 特開平10−306316号公報 特開2001−226737号公報 特開2000−256736号公報 特開2000−87138号公報
しかしながら、特許文献1記載の手法では、スラブの低温加熱により、変形抵抗が高く圧延装置に負荷をかけることや仕上温度が低いため、厳密な温度管理が必要となり、安定製造が困難、かつ、圧延能率が低下する。
特許文献2記載の手法では、板厚40mm以下の薄物材を水量密度を減少させて低冷却速度で冷却する場合、鋼板全面に渡って均一冷却をすることは困難で、冷却歪が大きくなる。
特許文献3記載の手法では、冷却停止温度が600℃以上で高強度を得ようとする場合、Cu、Ni、Moなどの高価な元素を多量に添加する必要があり、その結果、大幅に製造コストが増加する。
特許文献4記載の手法では、1〜5℃/sという遅い冷却速度では、高強度確保のためにCu、Ni、Moなどの高価な元素を多量に添加する必要があり、その結果、大幅に製造コストが増加する。
特許文献5記載の手法では、焼戻し時の昇温速度制御には、実製造上厳密な温度管理、時間管理が必要であり、安定製造が困難である。
特許文献6記載の二相域熱処理は、低降伏比を安定に確保できる手法であるものの、オフラインでの熱処理回数の増加により製造コストが上昇し、製造工期が長期化する。
特許文献7記載の手法では、遅い冷却速度のため、高強度確保のために多量の合金元素添加が必須となり、その結果、大幅に製造コストが増加する。
特許文献8記載の手法や特許文献9記載の手法では、予備冷却後の空冷時間を予備冷却停止温度と変態点で構成された式で管理するが、実質的に空冷時間が非常に長くなり、その結果、生産性が低下する。
また、板厚40mm以下の薄物材に特許文献8や特許文献9に記載されている手法を適用した場合、空冷時間が非常に長くなり、鋼板上下面に温度差が若干存在するだけでも鋼板に歪が発生し、鋼板の平坦度が低下する。
そこで、本発明は、高価な合金元素添加や厳密な製造条件管理、さらには、オフラインでの二相域熱処理を必要とせずに、安価かつ簡便に靭性に優れた低降伏比高張力鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は以下の手段により達成可能である。
1.質量%で、
C:0.05〜0.18%
Si:0.05〜0.50%
Mn:0.6〜2.0%
P:0.020%以下
S:0.005%以下
Al:0.1%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、式(1)で示される炭素当量Ceqが0.30〜0.45%の組成と、
平均結晶粒径10μm以下のフェライトを体積分率20%以上、残部がベイナイトを呈するミクロ組織からなる板厚40mm以下の低降伏比高張力鋼板。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 (1)
ここで,C,Si,Mn,Ni,Cr,Mo,Vは各元素の含有量(質量%)。
2.さらに、鋼組成が質量%で、
Cu:0.1〜1.0%
Ni:0.1〜2.0%
Cr:0.05〜1.0%
Ti:0.005〜0.05%
の1種または2種以上含有することを特徴とする1記載の低降伏比高張力鋼板。
3.さらに、鋼組成が質量%で、
Ca:0.0005〜0.0050%
REM:0.0005〜0.0050%
の1種または2種以上含有することを特徴とする1または2記載の低降伏比高張力鋼板。
4.1乃至3の何れか一つに記載の組成を有する鋼片を1000〜1250℃に加熱後、圧延終了温度が850〜950℃となるように熱間圧延を行い、圧延終了温度からの温度低下量が40℃以下の温度域から平均冷却速度が5℃/s以上で冷却停止温度を550〜650℃とする冷却を開始し、冷却後、4〜60秒間空冷を行い、その後、再び500℃以下まで平均冷却速度15℃/s以上の冷却速度で冷却することを特徴とする板厚40mm以下の低降伏比高張力鋼板の製造方法。
本発明によれば、低コストで生産性良く、低降伏比高張力鋼板を製造することが可能で、産業上極めて有用である。
[化学成分]以下の説明において%は質量%とする。
C:0.05〜0.18%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、耐震性を必要とする建築用鋼材として一般的に使用される鋼板の引張強度である490MPa以上を確保するためには、0.05%以上が必要である。しかし,過剰に添加すると低温溶接割れ感受性を増大させるため,0.05〜0.18%の範囲に限定する。
Si:0.05〜0.50%,
Siは、脱酸元素として作用し、製鋼上0.05%以上の含有が必要であるが、0.50%を超えて含有すると母材靭性が低下するため,0.05〜0.50%の範囲に限定する。
Mn:0.6〜2.0%,
Mnは鋼の焼入れ性を増加し強度を向上させる元素であり、この効果を確保するために0.6%以上の含有を必要とする。一方,2.0%を超えての含有は、溶接性を著しく劣化させるため,0.6〜2.0%の範囲に限定する。
P:0.020%以下
Pは、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であり,鋼の靭性を劣化させるためにできるだけ低減することが望ましい。特に、0.020%を越えての含有は、著しく靭性を劣化させるため、0.020%以下に限定する。
S:0.005%以下
Sは、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であり、鋼の靭性や引張試験における絞りを劣化させるためできるだけ低減することが望ましい。特に、0.005%を越えての含有は、上記特性を著しく劣化するため、0.005%以下に限定する。
Al:0.1%以下
Alは,脱酸材として作用し,溶鋼の脱酸プロセス上もっとも汎用的に使われる。0.1%を越えての含有は、粗大な酸化物を形成して、母材の延性を著しく劣化させるため、0.1%以下に限定する。
本発明の基本成分は以上であるが、更に特性を向上させる場合、Cu,Ni、Cr,Ti、Ca、REMの一種または二種以上を含有させることが可能である。
Cu:0.1〜1.0%
Cuは、靭性を劣化させずに強度を上昇させるのに有効な元素であり、その効果を発揮するためには0.1%以上の添加が必要である。しかし、1.0%を超えて添加すると、熱間圧延時に表面疵が多発するため、添加する場合は、0.1〜1.0%とする。
Ni:0.1〜2.0%
Niは、靭性を劣化させずに強度を上昇させるのに有効な元素であり、その効果を発揮するためには0.1%以上の添加が必要である。しかし、2.0%を超えて添加すると、合金コストが上昇するため、添加する場合は、0.1〜2.0%とする。
Cr:0.05〜1.0%
Crは、合金コストを著しく上昇させることなく強度を上昇させるのに有効な元素であり、その効果を発揮するためには0.05%以上の添加が必要である。しかし、1.0%を超えて添加すると、溶接性が劣化するため、添加する場合は0.05〜1.0%とする。
Ti:0.005〜0.05%
Tiは、母材および溶接継手部の靭性向上に有効な元素であり、その効果を発揮するためには0.005%以上必要である。しかし、0.05%を超えて添加すると、溶接性が劣化するため、添加する場合は0.005〜0.05%とする。
Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%
CaやREMは溶接熱影響部の特性向上に有効な元素であり、添加する場合はCa:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%とする。
Ceq:0.30〜0.45%
Ceq(=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14、各元素は含有量(質量%)で、含まない元素は0とする)は、溶接構造物として必要不可欠である溶接継手の強度を確保するために0.30%以上必要である。
しかし、0.45%超えとすると、溶接性を劣化させる。そのため、Ceqは0.30〜0.45%とする。なお、溶接継手部の強度、靭性などの観点から、Ceqは0.35〜0.43%とすることが望ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、Nb:0.005%以下、Mo:0.02%以下、V:0.005%以下、W:0.02%以下、O:0.040%以下、Pb:0.01%以下、Sn:0.01%以下、Sb:0.01%以下を許容できる。なお、不可避的不純物は少ないほど望ましい。
[ミクロ組織]
本発明に係る鋼は、平均結晶粒径10μm以下のフェライトを体積分率20%以上、残部がベイナイトを呈するミクロ組織とする。
降伏比80%以下の低降伏比とするため、フェライトの体積分率を20%以上とする。しかし、フェライトの体積分率が80%超えとなると引張強さが低下するようになるので、80%以下とすることが好ましい。建築用鋼としての強度を確保するため残部はベイナイト組織とする。
また、建築用鋼としての靭性を確保するため、フェライトの平均結晶粒径は10μm以下とする。
製造条件は、低降伏比と高靭性を両立させる適切なミクロ組織を得るための熱履歴が付与されるように規定する。
まず、熱間圧延により適切な等軸サイズのオーステナイト粒を得て、当該オーステナイト粒の成長を抑制するために圧延直後に一次冷却し、過冷オーステナイト状態とする。
次に、過冷オーステナイト状態から、適切な時間を空冷することにより、適切な量のフェライトを生成させ、そのフェライトを成長させないように、二次冷却を実施することにより目的とする微細なフェライトを含む組織を得る。それぞれの条件の範囲は下記のとおりである。
加熱温度:1000〜1250℃
加熱温度は、1000℃未満では変形抵抗が大きくなり、圧延装置に負荷をかける。また、1250℃超えでは、熱間加工時に表面疵が多発する。そのため、加熱温度は1000〜1250℃とする。
圧延終了温度:850〜950℃
圧延終了温度は、850℃未満では未再結晶温度域での圧延となり等軸なオーステナイト粒が得られず高靭性が得られない。また、950℃超えでは粗大なオーステナイト粒となり、高靭性が得られない。そのため、圧延終了温度は、850〜950℃とする。
図1に圧延終了温度と靭性(延性ー脆性破面遷移温度)の関係を示す。0.12%C−0.28%Si−1.53%Mn−0.008%P−0.002%S−0.035%Al−0.008%Tiを含み、Ceq0.40%の組成の、厚さ120mmの鋼片を1150℃に加熱した。
圧延終了温度を800〜1000℃とし、板厚20mmまで圧延後、圧延終了温度から20℃温度低下した後に600℃まで平均冷却速度20℃/sで冷却し、20秒空冷後、450℃まで再度40℃/sの平均冷却速度で冷却した。
得られた試験材についてシャルピー衝撃試験を実施した。圧延終了温度が850℃から950℃の範囲で延性−脆性遷移温度が−60℃以下の高靭性が得られていることが認められる。
冷却開始温度:圧延終了温度からの温度低下量が40℃以下の温度域
冷却開始温度は圧延終了温度からの温度低下量が40℃以下の温度域とする。圧延終了温度から40℃を超えて低下すると、オーステナイト粒が成長し、10μm以下の微細なフェライト粒組織を得られないため、温度低下量が40℃以下の温度域とする。冷却開始温度を上記の温度域とする冷却を一次冷却とする。
図2に圧延終了温度から冷却開始温度までの温度低下量と靭性(延性−脆性破面遷移温度)の関係を示す。0.12%C−0.28%Si−1.53%Mn−0.008%P−0.002%S−0.035%Al−0.008%Tiを含み、Ceq0.40%である厚さ120mmの鋼片を1150℃に加熱した。
その後、圧延終了温度を920℃とし、板厚20mmまで圧延後、圧延終了温度から10〜80℃温度低下した後に600℃まで平均冷却速度20℃/sで冷却し、20秒空冷後、450℃まで再度40℃/sの平均冷却速度で冷却した。
得られた試験材についてシャルピー衝撃試験を実施した。温度低下量が40℃以下の場合に延性−脆性遷移温度が−60℃以下の高靭性が得られていることが認められる。
冷却停止温度:550〜650℃
冷却停止温度(一次冷却停止温度)が550℃未満の場合、ベイナイト変態が開始するため微細なフェライト組織が得られない。また650℃超えでは、オーステナイトの過冷度が高すぎるため、短時間ではフェライト変態が起こらず、フェライトが生成したとしても粗大化するため靭性が劣化する。したがって、(一次)冷却停止温度を550〜650℃とする。
図3に一次冷却停止温度と靭性の関係を示す。0.12%C−0.28%Si−1.53%Mn−0.008%P−0.002%S−0.035%Al−0.008%Tiを含み、Ceq0.40%である厚さ120mmの鋼片を1150℃に加熱した。
その後、圧延終了温度を920℃とし、板厚20mmまで圧延後、圧延終了温度から20℃温度低下した後に700〜500℃まで平均冷却速度20℃/sで冷却し、20秒空冷後、420℃まで再度40℃/sの平均冷却速度で冷却した。
得られた試験材についてシャルピー衝撃試験を実施した。一次冷却停止温度が550℃から650℃で延性−脆性遷移温度が−60℃以下の高靭性が得られていることが認められる。
一次冷却の冷却速度:5℃/s以上
一次冷却は、過冷オーステナイトの状態を保持するために必要であり、冷却中のフェライト生成を回避すればよい。そのためには平均冷却速度で5℃/s以上の冷却速度が必要である。
空冷時間:4〜60秒
板厚中心部の温度が550〜650℃になるまで冷却することにより、過冷却オーステナイトの状態になり、この状態から空冷することによりフェライト生成を促進することが可能となる。
空冷時間を4秒以上とすることによりフェライト分率(体積分率)が20%以上となり低降伏比が得られる。一方、60秒を超えて空冷するとフェライト分率が80%超えとなり引張強さが低下し、さらに、生成したフェライト粒が粗大化するため靭性が劣化する。そのため空冷時間は4〜60秒とする。
図4に空冷時間とフェライト分率(体積分率)、降伏比、靭性(延性ー脆性破面遷移温度)の関係を示す。0.12%C−0.28%Si−1.53%Mn−0.008%P−0.002%S−0.035%Al−0.008%Tiを含み、Ceq0.40%である厚さ120mmの鋼片を1150℃に加熱した。
その後、圧延終了温度を920℃とし、板厚20mmまで圧延後、圧延終了温度から20℃温度低下した後に640℃まで平均冷却速度20℃/sで冷却し、1〜100秒空冷後、450℃まで再度40℃/sの冷却速度で冷却(二次冷却)した。
得られた試験材について、引張試験、シャルピー衝撃試験、組織観察を実施した。
空冷時間が4秒未満では、フェライト分率が20%未満であり、さらにYRが80%超えと高い。また、空冷時間が60秒超えでは、靭性が劣化する。4〜60秒で低降伏比と高靭性が両立していることが確認できる。尚、フェライト分率は体積分率とする。
冷却停止温度:500℃以下
二次冷却の冷却停止温度が500℃超えの場合、空冷中に生成したフェライトが成長し、粗大化するため靭性が劣化する。したがって500℃以下まで冷却する必要がある。
二次冷却時の冷却速度:15℃/s以上
二次冷却を実施するに当たっては、空冷中に生成したフェライトの成長の抑制と、更に鋼板の歪等も考慮する必要がある。均一冷却をするためには、強冷却のほうが望ましく、平均冷却速度を15℃/s以上とする。
なお、上記のように製造した鋼板に対して、焼戻し熱処理を実施することも可能である。その場合は、焼戻し温度:200℃〜Acとする。
焼戻し熱処理は、水冷による鋼板内の残留応力を軽減するために実施する。焼戻し温度が200℃を下回る温度では、残留応力軽減効果が得られず、Ac以上では強度などの材質が著しく変化する。そのため、焼戻し熱処理を実施する場合には、その温度は200℃〜Acとすることが好ましい。
表1に示した化学成分を有する鋼から表2に示した条件で鋼板を製造した。表2に機械的性質も合わせて示す。引張試験は、JIS Z2201 4号試験片で実施した。試験片採取位置は1/4t部とした。
また、シャルピ−衝撃試験は、JIS Z2204 2mmVノッチ試験片で実施した。試験片採取位置は1/4t部とした。
また、得られた鋼板の1/4t部のミクロ組織を観察し、フェライト体積分率およびフェライトの平均粒径を測定した。フェライト体積分率は、光学顕微鏡により400倍で観察した5視野の面積分率の平均値を求め、この面積分率から体積分率を求めた。フェライト粒径は観察した視野の中のフェライト200個程度の平均円相当径を画像解析により測定した。
本発明鋼(No.1,4,7,10)は、YRが80%以下であり、かつ、シャルピ−衝撃試験における脆性−延性破面遷移温度が−60℃以下と高靭性であることが確認された。
一方、比較鋼(No.2,3,5,6,8,9,11,12)は、いずれかの製造条件が本発明範囲外であるため、降伏比が80%を超えているか、または、遷移温度が−40℃以上であった。
Figure 2009228040
Figure 2009228040
圧延終了温度と靭性(延性−脆性破面遷移温度)の関係を示す図。 圧延終了温度から冷却開始温度までの温度低下量と靭性(延性−脆性破面遷移温度)の関係を示す図。 一次冷却停止温度と靭性(延性−脆性破面遷移温度)の関係を示す図。 空冷時間とフェライト分率、降伏比、靭性(延性−脆性破面遷移温度)の関係を示す図。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.18%
    Si:0.05〜0.50%
    Mn:0.6〜2.0%
    P:0.020%以下
    S:0.005%以下
    Al:0.1%以下
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、式(1)で示される炭素当量Ceqが0.30〜0.45%の組成と、
    平均結晶粒径10μm以下のフェライトを体積分率20%以上、残部がベイナイトを呈するミクロ組織からなる板厚40mm以下の低降伏比高張力鋼板。
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 (1)
    ここで,C,Si,Mn,Ni,Cr,Mo,Vは各元素の含有量(質量%)。
  2. さらに、鋼組成が質量%で、
    Cu:0.1〜1.0%
    Ni:0.1〜2.0%
    Cr:0.05〜1.0%
    Ti:0.005〜0.05%
    の1種または2種以上含有することを特徴とする請求項1記載の低降伏比高張力鋼板。
  3. さらに、鋼組成が質量%で、
    Ca:0.0005〜0.0050%
    REM:0.0005〜0.0050%
    の1種または2種以上含有することを特徴とする請求項1または2記載の低降伏比高張力鋼板。
  4. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の組成を有する鋼片を1000〜1250℃に加熱後、圧延終了温度が850〜950℃となるように熱間圧延を行い、圧延終了温度からの温度低下量が40℃以下の温度域から平均冷却速度が5℃/s以上で冷却停止温度を550〜650℃とする冷却を開始し、冷却後、4〜60秒間空冷を行い、その後、再び500℃以下まで平均冷却速度15℃/s以上の冷却速度で冷却することを特徴とする板厚40mm以下の低降伏比高張力鋼板の製造方法。
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