JP2009226545A - 研磨テープ及び研磨テープの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効なセラミック粉末の割合が充分に高く、さらには外来異物の混入が少なく、安定した研磨を行うことができる研磨テープを提供する。
【解決手段】
基材フィルム101と樹脂層102とセラミック粉末103と接着剤104とを備える研磨テープであって、上記樹脂層102は上記基材フィルム101上に積層され、表面に複数の窪み105を有し、上記窪み105に上記セラミック粉末103が載置され、上記セラミック粉末103は上記樹脂層102に対して上記接着剤104によって固定され、上記セラミック粉末の平均粒子径が上記窪みの底部から上記接着剤の表面までの平均高さよりも大きいことを特徴とする研磨テープ106が提供される。
【選択図】図1
セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効なセラミック粉末の割合が充分に高く、さらには外来異物の混入が少なく、安定した研磨を行うことができる研磨テープを提供する。
【解決手段】
基材フィルム101と樹脂層102とセラミック粉末103と接着剤104とを備える研磨テープであって、上記樹脂層102は上記基材フィルム101上に積層され、表面に複数の窪み105を有し、上記窪み105に上記セラミック粉末103が載置され、上記セラミック粉末103は上記樹脂層102に対して上記接着剤104によって固定され、上記セラミック粉末の平均粒子径が上記窪みの底部から上記接着剤の表面までの平均高さよりも大きいことを特徴とする研磨テープ106が提供される。
【選択図】図1
Description
本願発明は、研磨テープ及び研磨テープの製造方法に関する。
一般的に、半導体ウエハ等の電子部材の研磨に用いられる研磨テープでは、砥粒となるダイヤモンドや金属酸化物などのセラミック粉末を接着剤成分に配合し、樹脂フィルムに塗工したものが知られている。
研磨テープがその機能を十分に発揮するためには、セラミック粉末が砥粒の役割を果たす必要があり、そのためにはセラミック粉末の一部分が接着剤成分から突出している必要がある。また、研磨の際に接着剤成分からセラミック粉末が脱落しない必要がある。上記の課題を解決するため、例えば特許文献1〜4では、セラミック粉末が突出した設計あるいは窪みの設計が記載されている。
しかし、これらの文献に記載されている手法では、セラミック粉末の突き出し高さの調整が困難であった。また、研磨に有効なセラミック粉末の割合が低く、十分な研磨性能が得られないという問題があった。
さらに、従来技術では研磨材と接着剤成分を含んでなるスラリーを基材フィルムに塗工するプロセスを経るため、接着剤成分との配合や塗工プロセスにおいて、例えば、研磨材が塗工装置のヘッド部の金属部分を削り取ってしまうため、金属等の外来異物が混入する問題があった。
即ち、本願発明の目的は、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効なセラミック粉末の割合が充分に高く、さらには外来異物の混入が低減され、安定した研磨を行うことができる研磨テープを提供することにある。さらに、本願発明の別の目的は、塗工設備由来の金属成分等の混入を抑止できるため、外来異物の混入が低減され、さらにはセラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効なセラミック粉末の割合が充分に高く、安定した研磨を行うことができる研磨テープの製造方法を提供することである。
本願発明によれば、基材フィルムと樹脂層とセラミック粉末と接着剤とを備える研磨テープであって、上記樹脂層は基材フィルム上に積層され、表面に複数の窪みを有し、上記窪みに上記セラミック粉末が載置され、上記セラミック粉末は上記樹脂層に対して上記接着剤によって固定され、上記セラミック粉末の平均粒子径が上記窪みの底部から上記接着剤の表面までの平均高さよりも大きいことを特徴とする研磨テープが提供される。
上記構成からなる研磨テープは、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効な、その一部が突き出しているセラミック粉末の割合が充分に高く、外来異物の混入が少ないので、安定した研磨を行うことができる。さらに、上記構成からなる研磨テープは、研磨テープ上にセラミック粉末を単層配列させるので、セラミック粉末の使用量を少量化することができ、製造コストを抑えることができる。
本願発明によれば、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効なセラミック粉末の割合が充分に高く、さらには外来異物の混入が少なく、安定した研磨を行うことができる研磨テープを提供することができる。
<用語の説明>
本明細書において、セラミック粉末とは、ガラス、カーボン、ダイヤモンドや金属酸化物などの無機材料粉末を意味する。
本明細書において、セラミック粉末とは、ガラス、カーボン、ダイヤモンドや金属酸化物などの無機材料粉末を意味する。
また、本願明細書において、「〜」という記号は「以上」及び「以下」を意味し、例えば、「A〜B」というのは、A以上でありB以下であるという意味である。
<実施の形態の概要>
以下、本願発明の実施の形態について、図1(a)を参照しながら説明する。
本願発明に係る研磨テープ106は、基材フィルム101と樹脂層102とセラミック粉末103と接着剤104とを備えている。上記樹脂層102は上記基材フィルム101上に積層される。そして、上記樹脂層102の表面に複数の窪み105を有している。そして、上記窪み105に上記セラミック粉末103が載置され、上記セラミック粉末103は上記樹脂層102に対して上記接着剤104によって固定される。そして、上記セラミック粉末の平均粒子径が上記窪みの底部から上記接着剤の表面までの平均高さよりも大きい構造である。
以下、本願発明の実施の形態について、図1(a)を参照しながら説明する。
本願発明に係る研磨テープ106は、基材フィルム101と樹脂層102とセラミック粉末103と接着剤104とを備えている。上記樹脂層102は上記基材フィルム101上に積層される。そして、上記樹脂層102の表面に複数の窪み105を有している。そして、上記窪み105に上記セラミック粉末103が載置され、上記セラミック粉末103は上記樹脂層102に対して上記接着剤104によって固定される。そして、上記セラミック粉末の平均粒子径が上記窪みの底部から上記接着剤の表面までの平均高さよりも大きい構造である。
上記構成からなる研磨テープは、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効な、その一部が突き出しているセラミック粉末の割合が充分に高く、さらには外来異物の混入が少なく、安定した研磨を行うことができる。さらに、上記構成からなる研磨テープは、研磨テープ上にセラミック粉末を単層配列させるので、セラミック粉末の使用量を少量化することができ、製造コストを抑えることができる。
次に、本願発明に係る研磨テープの各構成について説明する。
[基材フィルム]
本実施形態において、基材フィルムとはフィルム状の基材のことであって、種々の公知の合成樹脂素材を採用できる。
本実施形態において、基材フィルムとはフィルム状の基材のことであって、種々の公知の合成樹脂素材を採用できる。
基材フィルム101の素材は特に限定されないが、強度やコストおよび紫外線透過性に優れる点で、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが上げられ、上記特性を損なわない範囲でこれらの樹脂の混合物、共重合体、及び多層フィルム等を使用できる。
なお、基材フィルム101の厚みは25μm以上75μm以下の範囲内から選択されることが好ましい。これは、25μm以上だと基材シートとしての剛性が充分に保て、75μm以下だと非平面状の被削材にも十分密着させることができるからである。
[樹脂層]
樹脂層102は、上記基材フィルム101の片面に、種々の公知の合成樹脂を塗工することによって形成される。樹脂層102の材料としては、例えば紫外線硬化樹脂が好適に用いられる。そして、該樹脂層102が未硬化のうちに、例えば半球状に突出した凸部を有する型を押し当て、その後で紫外線を照射して硬化させることにより、樹脂層102上に窪み105を形成することができる。樹脂層102が紫外線硬化樹脂であると、紫外線照射によって硬化できるので、基材フィルム101として耐熱性を有さない素材が使用できる。
樹脂層102は、上記基材フィルム101の片面に、種々の公知の合成樹脂を塗工することによって形成される。樹脂層102の材料としては、例えば紫外線硬化樹脂が好適に用いられる。そして、該樹脂層102が未硬化のうちに、例えば半球状に突出した凸部を有する型を押し当て、その後で紫外線を照射して硬化させることにより、樹脂層102上に窪み105を形成することができる。樹脂層102が紫外線硬化樹脂であると、紫外線照射によって硬化できるので、基材フィルム101として耐熱性を有さない素材が使用できる。
なお、樹脂層102の厚みは25μm以上200μm以下の範囲内から選択されることが好ましい。これは、厚みが25μm以上だと、窪み105の形成時に型によって基材フィルム101が圧迫されて基材フィルム101が変形することを防ぐことができるためであり、200μm以下だと紫外線を効率よく照射できるからである。
[紫外線硬化樹脂]
樹脂層102は、紫外線の照射によって硬化する樹脂であればよく、特に限定はされないが、ここで用いる紫外線硬化樹脂としては、例えばウレタンアクリレートオリゴマを挙げることができる。このオリゴマは不飽和結合を1分子あたり3個以上有するものが好ましい。このウレタンアクリレートオリゴマの製造方法としては特に限定されず、例えば分子中にヒドロキシル基と複数の(メタ)アクロイル基を含有する(メタ)アクリレート化合物と、複数のイソシアネート基を有する化合物(例えばジイソシアネート化合物)を反応させてウレタンアクリレートオリゴマとする方法が挙げられる。このような製造方法では、安価にウレタンアクリレートオリゴマを製造することができる。
樹脂層102は、紫外線の照射によって硬化する樹脂であればよく、特に限定はされないが、ここで用いる紫外線硬化樹脂としては、例えばウレタンアクリレートオリゴマを挙げることができる。このオリゴマは不飽和結合を1分子あたり3個以上有するものが好ましい。このウレタンアクリレートオリゴマの製造方法としては特に限定されず、例えば分子中にヒドロキシル基と複数の(メタ)アクロイル基を含有する(メタ)アクリレート化合物と、複数のイソシアネート基を有する化合物(例えばジイソシアネート化合物)を反応させてウレタンアクリレートオリゴマとする方法が挙げられる。このような製造方法では、安価にウレタンアクリレートオリゴマを製造することができる。
複数のヒドロキシル基末端を有するポリオールオリゴマに、複数のイソシアネート基を有する化合物(例えばジイソシアネート化合物)を過剰に添加して反応させて複数のイソシアネート末端を有するオリゴマとし、更にヒドロキシル基と複数の(メタ)アクロイル基を含有する(メタ)アクリレート化合物と反応させてウレタンアクリレートオリゴマとしてもよい。このようなウレタンアクリレートオリゴマは、紫外線硬化によって得られる膜の強度が向上するために好ましい。
分子中にヒドロキシル基と複数の(メタ)アクロイル基を含有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−ジドロキシ−ペンタ(メタ)アクリレート、ビス(ペンタエリスリトール)−テトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタン−トリ(メタ)アクリレート、及びグリシドール−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような(メタ)アクリレート化合物を用いることにより、得られたウレタンアクリレートオリゴマの紫外線硬化後の膜強度が向上するために好ましい。
[反応開始剤]
また、上記樹脂層102は紫外線硬化のため公知の反応開始剤を含んでいてもよい。紫外線硬化の反応開始剤としては、α−ヒドロキシケトン系、フェニルグリオキシルレート系、α−アミノケトン系、ベンジルジメチルケタール系、ホスフィンオキシド系及びメタロセン系等の物質群より選択されたいずれか一つの物質が用いられる。または、上記物質群より選択された二つ以上の物質が用いられる。これらの物質は、ウレタンアクリレートの紫外線硬化を速やかに進めることができ好ましい。
また、上記樹脂層102は紫外線硬化のため公知の反応開始剤を含んでいてもよい。紫外線硬化の反応開始剤としては、α−ヒドロキシケトン系、フェニルグリオキシルレート系、α−アミノケトン系、ベンジルジメチルケタール系、ホスフィンオキシド系及びメタロセン系等の物質群より選択されたいずれか一つの物質が用いられる。または、上記物質群より選択された二つ以上の物質が用いられる。これらの物質は、ウレタンアクリレートの紫外線硬化を速やかに進めることができ好ましい。
[窪み]
上記樹脂層102に形成する窪み105の形状は、特に限定されないが、例えば半球状が好ましい。そして、その開口部の直径は、載置するセラミック粉末の粒子径によって任意に選ぶことができる。例えば、粒度が整った平均粒子径3μmのセラミックス粉末を載置する場合には、開口部直径4μmの半球状の窪みを形成すれば、そこに載置されたセラミック粉末が約1μm突き出す設計になる。このような設計にすることにより、セラミックの突き出し高さを略一定にし易くなる。
上記樹脂層102に形成する窪み105の形状は、特に限定されないが、例えば半球状が好ましい。そして、その開口部の直径は、載置するセラミック粉末の粒子径によって任意に選ぶことができる。例えば、粒度が整った平均粒子径3μmのセラミックス粉末を載置する場合には、開口部直径4μmの半球状の窪みを形成すれば、そこに載置されたセラミック粉末が約1μm突き出す設計になる。このような設計にすることにより、セラミックの突き出し高さを略一定にし易くなる。
また、窪み105の大きさは、直径が4μm以上40μm以下、深さが2μm以上20μm以下であることが好ましい。このような大きさであることによって、セラミックス粉末の十分な固定ができ、またセラミック粉末の粒子径に鑑みて平滑な仕上がりを実現することができる。
また、窪み105の開口部には、接着剤104を注入しやすいように溝を形成してもよい。この溝を伝い、窪み105に接着剤104を容易に注入することができる。
また、セラミックス粉末103は通常粒度分布を有するので、研磨力に特に効果を奏するような大粒子径の粉末が窪み105の中で上部に載置されるように、窪み105の底部にさらに小さい窪みを設け、小粒子径の粉末を内部に埋め込んでもよい。
ここで、隣接する窪み105の間隔は、1μm〜50μmであることが好ましい。さらには、5μm〜10μmであることが好ましい。このような間隔に設定することによって、研磨テープ表面における単位面積あたりのセラミック粉末103の数が多くなり、効率よく研磨を行うことができる。また、セラミック粉末103の凝集や脱落を妨ぐことができる。図2に、窪み105の例を示す。
[セラミック粉末]
上記窪み105には、セラミック粉末103が載置される。
上記窪み105には、セラミック粉末103が載置される。
載置されるセラミック粉末103の材料としては、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、酸化セリウム等の硬質の粒子が挙げられる。そして、これらの粒子を一種のみで、又は二種以上を混合して用いることができる。これらの材料は、硬度が高くまた略均一な粒度のものが得られるため好ましい。
なかでもセラミック粉末103としては、特に硬度の高いダイヤモンド粉末を用いることが好ましい。ここで、ダイモンド粉末の平均粒子径は0.3〜10μmであることが好ましく、さらには、平均粒子径が3〜7μmであることが好ましい。このような粒子径であることによって研磨速度の向上および平滑な仕上がり面の両立を図ることができる。
ここで、平均粒子径とは、粒度分布測定装置により測定して、自動演算処理装置により解析されたD50(累積50%)を意味するものである。
また、セラミック粉末103の表面は、凝集抑止や接着剤との親和性を向上するために、例えばカップリング処理や親水化処理のような、公知の粉末表面処理を施してもよい。
セラミック粉末103の載置は、乾式で窪み上に落下させてもよい。また、水中などで沈降させてもよい。このような方法によって、安定してセラミック粉末103の載置を行うことができる。
セラミック粉末103を、窪み105内に効率よく載置するには、例えば、超音波装置等によって振動を与える方法が用いられる。このような装置は、低コストで稼働することができるので好ましい。
なお、本明細書において、「セラミック粉末の平均粒子径が窪みの底部から接着剤の表面までの平均高さよりも大きい」とは、図1(b)に示すようにな状態を意味する。
ここで、「窪みの底部から接着剤の表面までの平均高さ」とは、研磨テープ全域にわたる平均値ではなくてもよく、例えば、ランダムに選択された10〜100個程度の窪みの底部からその直上の部分の接着剤表面までの高さを測定して平均すれば足りるものとする。
[接着剤]
セラミック粉末103を固定する接着剤104としては、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系の材料を用いることが好ましい。これらの接着剤は、高強度であるため好ましい。
セラミック粉末103を固定する接着剤104としては、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系の材料を用いることが好ましい。これらの接着剤は、高強度であるため好ましい。
また、接着剤104は熱硬化性接着剤、もしくは紫外線硬化性接着剤であってもよい。このような接着剤は、硬化の制御が容易であるため好ましい。
接着剤104の注入は、接着剤104がセラミック粉末103を完全に覆わないように、ディスペンサーなどの注入機で行うのが望ましい。また、窪み105の開口部に溝が形成してある場合には、この溝に沿って接着剤104を注入することができる。
[目詰まり防止用窪み]
本願発明に係る研磨テープ105では、研磨時に発生する研磨屑によるテープの目詰まりを抑止するため、樹脂層102に、上記窪み105とは別に、さらに目詰まり防止用窪みが設けられていてもよい。
本願発明に係る研磨テープ105では、研磨時に発生する研磨屑によるテープの目詰まりを抑止するため、樹脂層102に、上記窪み105とは別に、さらに目詰まり防止用窪みが設けられていてもよい。
目詰まり防止用窪みの形状は、例えば、半球状であってもよく、溝状であってもよい。このような形状であれば、研磨屑が効率的に目詰まり防止用窪みに流れ込むので好ましい。
目詰まり防止用窪みは、その数が多いと目詰まり抑止に有効であり、少ないと研磨テープ表面における単位面積あたりのセラミック粉末103の数を確保でき、充分な研磨力を有する傾向にある。そのため、目詰まり防止用窪みは、例えば、30μm〜500μmごとに10μm〜200μm程度の幅で深さ10μm〜100μmに形成された窪みであることが好ましい。
また、目詰まり防止用窪みは、例えば、30μm〜100μmごとに10μm〜200μm程度の幅で深さ10μm〜100μmに形成された溝であることが好ましい。
目詰まり防止用窪みは、セラミック粉末103を載置する前に予め設けられていてもよい。その場合は、セラミック粉末103の進入を防止するために、例えば、水溶性の樹脂で目詰まり防止用窪みにのみマスキングを施しておき、セラミック粉末103の載置後にマスキング樹脂を除去する方法が挙げられる。
また、目詰まり防止用窪みを得る簡便な方法としては、窪みの数に対して、セラミックス粉末の数を少なく投入し、窪みを残す手法が挙げられる。
また、セラミック粉末の載置後に、レーザー加工などで目詰まり防止用窪みを形成する方法も可能である。
[紫外線照射光源]
上記樹脂層102が紫外線硬化樹脂からなる場合、紫外線の照射によって該樹脂層102を硬化させることができる。このとき、紫外線照射光源としては、従来公知の紫外線照射装置を採用することができる。また、紫外線の光源は特に限定されず、公知のものが使用でき、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が好適に用いられる。
上記樹脂層102が紫外線硬化樹脂からなる場合、紫外線の照射によって該樹脂層102を硬化させることができる。このとき、紫外線照射光源としては、従来公知の紫外線照射装置を採用することができる。また、紫外線の光源は特に限定されず、公知のものが使用でき、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が好適に用いられる。
<研磨テープの製造方法>
次に、図3を用いて、本願発明に係る研磨テープの製造方法を説明する。
(1)まず、基材フィルム301上に樹脂を塗布し、樹脂層302を形成する。ここで、塗布する樹脂は紫外線硬化樹脂が好適に用いられる。また、紫外線硬化樹脂は反応開始剤を含んでいてもよい。(図3(a)〜図3(b))
次に、図3を用いて、本願発明に係る研磨テープの製造方法を説明する。
(1)まず、基材フィルム301上に樹脂を塗布し、樹脂層302を形成する。ここで、塗布する樹脂は紫外線硬化樹脂が好適に用いられる。また、紫外線硬化樹脂は反応開始剤を含んでいてもよい。(図3(a)〜図3(b))
(2)上記樹脂層302に型303を押し当て、窪み304を形成する。ここで、窪みの形状は、例えば図3のような半球状のものである。(図3(c))
(3)窪み304が形成された樹脂層302に対して紫外線等を照射し、樹脂層302を硬化させる。ここで、基材フィルム301として紫外線透過型樹脂フィルムを用いた場合、基材フィルム301側から紫外線を照射してもよい。(図3(c)〜図3(d))
(4)窪み304に、砥粒となるセラミック粉末305を載置する。このとき、樹脂層302に振動を与えることによって、窪み304にセラミック粉末305が載置される。ここで、振動を与えるには、公知の超音波装置等が用いられる。(図3(e))
(5)セラミック粉末305の固定材として、接着剤306を注入する。このとき、接着剤306はセラミック粉末305の表面全てを覆ってしまわないように、ディスペンサー等を用いて注入される。(図3(f))
上記製造方法によって得られる研磨テープは、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効な、その一部が突き出しているセラミック粉末の割合が充分に高く、金属等の外来異物の混入が少ないので、安定した研磨を行うことができる。さらに、上記製造方法によって得られる研磨テープは、研磨テープ上にセラミック粉末を単層配列させるので、セラミック粉末の使用量を少量化することができ、製造コストを抑えることができる。
[作用効果]
上記構成からなる研磨テープは、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効な、その一部が突き出しているセラミック粉末の割合が充分に高く、外来異物の混入が少ないので、安定した研磨を行うことができる。さらに、上記構成からなる研磨テープは、研磨テープ上にセラミック粉末を単層配列させるので、セラミック粉末の使用量を少量化することができ、製造コストを抑えることができる。
また、樹脂層が紫外線硬化樹脂を含んでいてもよい。これにより、紫外線を照射することで樹脂層の硬化が容易に行えるという効果が得られる。
また、上記窪みとは別に目詰まり防止用窪みがさらに設けられていてもよい。これにより、研磨時に発生する研磨屑による目詰まりが抑止できる。
また、本願発明に係る研磨テープの製造方法は、フィルムの上に紫外線硬化成分を含む樹脂層を形成する工程と、上記樹脂層の表面に複数の窪みを形成する工程と、上記樹脂層に紫外線を照射して硬化させる工程と、上記樹脂層の上記窪みにセラミック粉末を載置する工程と、上記窪みに載置された上記セラミック粉末を上記樹脂層に対して固定するための接着剤を注入する工程とを含むことを特徴としている。
上記製造方法によって得られる研磨テープは、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効な、その一部が突き出しているセラミック成分の割合が充分に高いという効果を有する。また、上記製造方法によって得られる研磨テープには外来異物の混入が少ないので、安定した研磨を行うことができる。さらに、上記製造方法によって得られる研磨テープは、研磨テープ上にセラミック粉末を単層配列させるので、セラミック粉末の使用量を少量化することができ、製造コストを抑えることができる。
以下、本願発明を実施例によりさらに説明するが、本願発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
次に、実施例1に係る研磨テープの製造方法を、図3を用いて説明する。
<研磨テープの製造方法>
1. 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製コスモシャイン、厚み50μm)からなる基材フィルム301上に、ウレタンアクリレート(大日本インキ化学製V4205)及びベンジルジメチルケタール(ウレタンアクリレート100質量部に対して2質量部)の混合物を厚み20μmで塗工し、樹脂層302を形成した。(図3(a)〜図3(b))
2. 上記樹脂層302に、半球状の凸部(直径15μm)が隙間40μmで形成された型303を押し当てた。(図3(c))
3. ブラックライト(8mW)を用いて、紫外線を上記樹脂層302に対して20秒間照射し、樹脂層302を硬化させ、窪み304が加工された38mm×100mmのテープを得た。(図3(c)〜図3(d))
4. 次いで、上記テープを箱に入れて、ダイヤモンド粉末305(d50粒子径=5.2μm)を投入した。そして、テープに振動を与え、ダイヤモンド粉末305を窪み304に載置した。(図3(e))
5. 固定のための接着材306として、ポリエステルウレタン樹脂(東洋紡績製UR−8200)をディスペンサーで注入した。(図3(f))
6. ポリエステルウレタン樹脂中の溶剤を加熱除去し、窪み304にダイヤモンド粉末305が固定された研磨テープ307を得た。
次に、実施例1に係る研磨テープの製造方法を、図3を用いて説明する。
<研磨テープの製造方法>
1. 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製コスモシャイン、厚み50μm)からなる基材フィルム301上に、ウレタンアクリレート(大日本インキ化学製V4205)及びベンジルジメチルケタール(ウレタンアクリレート100質量部に対して2質量部)の混合物を厚み20μmで塗工し、樹脂層302を形成した。(図3(a)〜図3(b))
2. 上記樹脂層302に、半球状の凸部(直径15μm)が隙間40μmで形成された型303を押し当てた。(図3(c))
3. ブラックライト(8mW)を用いて、紫外線を上記樹脂層302に対して20秒間照射し、樹脂層302を硬化させ、窪み304が加工された38mm×100mmのテープを得た。(図3(c)〜図3(d))
4. 次いで、上記テープを箱に入れて、ダイヤモンド粉末305(d50粒子径=5.2μm)を投入した。そして、テープに振動を与え、ダイヤモンド粉末305を窪み304に載置した。(図3(e))
5. 固定のための接着材306として、ポリエステルウレタン樹脂(東洋紡績製UR−8200)をディスペンサーで注入した。(図3(f))
6. ポリエステルウレタン樹脂中の溶剤を加熱除去し、窪み304にダイヤモンド粉末305が固定された研磨テープ307を得た。
(実施例2)
実施例2では、作製手順は上記実施例1とほぼ同様であるが、上記半球状の凸部に加えて、さらに100μmごとに幅10μm、深さ5μmの凸部が線状に形成されたパターンを有する型を押し当てた点が異なる。そして、該線状のパターンによって形成された部分のみを水溶性の樹脂でマスキングしておき、上記6の工程の後にマスキング樹脂を除去した。よって、上記線状のパターンによって形成された溝部分には、ダイヤモンド粉末は載置されていない。
実施例2では、作製手順は上記実施例1とほぼ同様であるが、上記半球状の凸部に加えて、さらに100μmごとに幅10μm、深さ5μmの凸部が線状に形成されたパターンを有する型を押し当てた点が異なる。そして、該線状のパターンによって形成された部分のみを水溶性の樹脂でマスキングしておき、上記6の工程の後にマスキング樹脂を除去した。よって、上記線状のパターンによって形成された溝部分には、ダイヤモンド粉末は載置されていない。
実施例1及び2の手順によって作製した研磨テープ305を38mm×20mmに切断し、テープ片を得た。そして、チッ化ケイ素膜が蒸着された直径200mmのシリコンウエハの中心から80mm位置の表面に接触面積0.1cm2、押し付け圧力15Nで該テープ片を押し付け、水をかけながらウエハを500rpmで回転させて研磨を行った。
(比較例1)
研磨テープ上の単位面積当たりのダイヤモンド粉末の個数が実施例1とほぼ同等になるように、ポリエステルウレタン(東洋紡績製UR−8200)100質量部に対してダイヤモンド粉末(d50粒子径=5.2μm)を40質量部混合した。そして、該混合物を塗膜厚みが5μmになるように、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製コスモシャイン、厚み50μm)からなる基材フィルム上に塗工して研磨テープとした。
研磨テープ上の単位面積当たりのダイヤモンド粉末の個数が実施例1とほぼ同等になるように、ポリエステルウレタン(東洋紡績製UR−8200)100質量部に対してダイヤモンド粉末(d50粒子径=5.2μm)を40質量部混合した。そして、該混合物を塗膜厚みが5μmになるように、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製コスモシャイン、厚み50μm)からなる基材フィルム上に塗工して研磨テープとした。
(比較例2)
基材フィルムとして、実施例1の1〜3の工程で作製したテープを用いた以外は比較例1と同様である。
基材フィルムとして、実施例1の1〜3の工程で作製したテープを用いた以外は比較例1と同様である。
実施例1及び2と同様に、比較例1及び2の研磨テープを38mm×20mmに切断し、テープ片を得た。そして、チッ化ケイ素膜が蒸着された直径200mmのシリコンウエハの中心から80mm位置の表面に接触面積0.1cm2、押し付け圧力15Nで該テープ片を押し付け、水をかけながらウエハを500rpmで回転させ研磨を行った。
次に、実施例及び比較例に係る実験結果を詳細に説明する。上記の研磨を行った結果を表1に示す。
一回目の研磨が終了したところで光学顕微鏡を用いてシリコンウエハの研磨部分の観察を行い、スクラッチの有無を確認した。またそのテープを用いて新しいウエハを研磨し、終了後にテープ面を観察した。その結果を表1に示す。
実施例及び比較例の研磨テープを用いて、複数回研磨を行った。一回研磨が終わったら、ウエハをそのままそのテープを用いて新しいウエハを研磨し、その要領で五枚のウエハを研磨した。
実施例1及び2の研磨テープでは、シリコンウエハの研磨面にはスクラッチは観察されなかった。これに対し、比較例1及び2の研磨テープでは、シリコンウエハの研磨面にスクラッチが見られた。
また、実施例1及び2の研磨テープでは、5回の使用でも著しい目詰まりは観察されなかった。これに対し、比較例1及び2の研磨テープでは部分的に目詰まりが見られた。
<考察>
比較例1及び2ではシリコンウエハの研磨面にスクラッチが観察されたのに対して、実施例1及び2ではスクラッチが観察されなかった。これは、本願発明に係る研磨テープでは、砥粒となるダイヤモンド粉末の突出高さがほぼ一様なためである。つまり、本願発明に係る研磨テープでは、窪みにのみダイヤモンド粉末が載置されるので、研磨テープ表面の法線方向に異常に突出したダイヤモンド粉末が無いため、研磨対象に不要な傷をつくることがない。また、製造過程において金属等の外来異物の混入がないため、そのような外来異物によるスクラッチも発生しない。
比較例1及び2ではシリコンウエハの研磨面にスクラッチが観察されたのに対して、実施例1及び2ではスクラッチが観察されなかった。これは、本願発明に係る研磨テープでは、砥粒となるダイヤモンド粉末の突出高さがほぼ一様なためである。つまり、本願発明に係る研磨テープでは、窪みにのみダイヤモンド粉末が載置されるので、研磨テープ表面の法線方向に異常に突出したダイヤモンド粉末が無いため、研磨対象に不要な傷をつくることがない。また、製造過程において金属等の外来異物の混入がないため、そのような外来異物によるスクラッチも発生しない。
また、実施例1及び2では、5回の使用でも、研磨レートが著しく低下することがなかった。これは、ダイヤモンド粉末の突出高さが一定であるために、ダイヤモンド粉末が樹脂層から脱落せず、研磨に有効なダイヤモンド粉末が複数回の使用にわたって保持されるためである。
また、このような複数回の使用に耐えうるのは、製造過程において金属等の外来異物の混入がないためである。つまり、本願発明に係る研磨テープでは、樹脂層に外来異物が混入していないので、研磨時に樹脂層に局所的な応力が発生して樹脂層の寿命を著しく縮めるようなことがない。
また、実施例2では、実施例1と比べて5回使用時の目詰まりがほとんどない。これは、目詰まり防止用の溝を設けたためである。つまり、研磨によって生じた研磨屑が目詰まり防止用の溝に排出され、樹脂層の研磨面に残留することがないので、研磨屑の接触によってダイヤモンド粉末が樹脂層から脱落することがなく、安定した研磨を行うことが可能となっている。
以上、本願発明を上記実施例に基づいて説明した。しかしながら、この実施例は例示であり、種々の応用例が可能なこと、また、応用例も本願発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
以上のように、本願発明によれば、基材フィルムと樹脂層とセラミック粉末と接着剤とを備える研磨テープであって、上記樹脂層は上記基材フィルム上に積層され、表面に複数の窪みを有し、上記窪みに上記セラミック粉末が載置され、上記セラミック粉末は上記樹脂層に対して上記接着剤によって固定され、上記セラミック粉末の平均粒子径が上記窪みの底部から上記接着剤の表面までの平均高さよりも大きいことを特徴とする研磨テープが提供される。上記構成からなる研磨テープは、セラミック粉末の突き出し高さが略一定であり、研磨に有効な、その一部が突き出しているセラミック粉末の割合が充分に高く、外来異物の混入が少ないので、安定した研磨を行うことができる。さらに、上記構成からなる研磨テープは、研磨テープ上にセラミック粉末を単層配列させるので、セラミック粉末の使用量を少量化することができ、製造コストを抑えることができる。
101、301 基材フィルム
102、201、302、 樹脂層
103、305 セラミック粉末
104、306 接着剤
105、202、304 窪み
106、307 研磨テープ
303 型
102、201、302、 樹脂層
103、305 セラミック粉末
104、306 接着剤
105、202、304 窪み
106、307 研磨テープ
303 型
Claims (5)
- 基材フィルムと樹脂層とセラミック粉末と接着剤とを備える研磨テープであって、
前記樹脂層は、前記基材フィルム上に積層され、表面に複数の窪みを有し、
前記窪みに前記セラミック粉末が載置され、
前記セラミック粉末は前記樹脂層に対して前記接着剤によって固定され、
前記セラミック粉末の平均粒子径が前記窪みの底部から前記接着剤の表面までの平均高さよりも大きいことを特徴とする研磨テープ。 - 前記樹脂層が紫外線硬化樹脂を含むことを特徴とする、請求項1記載の研磨テープ
- 前記樹脂層には、前記窪みとは別に目詰まり防止用窪みがさらに設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の研磨テープ
- 前記セラミック粉末の一部が前記樹脂層および前記接着剤から突き出た構造であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の研磨テープ。
- 基材フィルムの上に紫外線硬化樹脂を含む樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表面に複数の窪みを形成する工程と、
前記樹脂層に紫外線を照射して硬化させる工程と、
前記樹脂層の前記窪みにセラミック粉末を載置する工程と、
前記窪みに載置された前記セラミック粉末を前記樹脂層に対して固定するための接着剤を注入する工程とを含むことを特徴とする研磨テープの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008075056A JP2009226545A (ja) | 2008-03-24 | 2008-03-24 | 研磨テープ及び研磨テープの製造方法 |
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ID=41242568
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-
2008
- 2008-03-24 JP JP2008075056A patent/JP2009226545A/ja active Pending
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