JP2009225043A - 無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】再送回数を減らすことができ、消費電力の低減を図ることができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】 無線通信装置100は、(1)現状のフレームに対してACKが受信されない場合、通信環境状態の劣化に基づいてフォールバック制御時の送信出力レベルを上げる、(2)判定された通信環境状態が干渉であるとき、再送時にあらかじめ設定されている送信出力レベルを上げるとともに、再送回数を減らす、(3)送信出力レベルを上げて再送するとき、送信先のアクセスポイントからのACKの送信出力レベルを上げる要求を発行する、(4)通信環境状態の劣化に基づいて、受信信号が高感度モードアンプ104を経由するように受信スイッチ(SW)103を切り替える、送信出力制御の少なくともいずれか一つを実施する。
【選択図】図2
【解決手段】 無線通信装置100は、(1)現状のフレームに対してACKが受信されない場合、通信環境状態の劣化に基づいてフォールバック制御時の送信出力レベルを上げる、(2)判定された通信環境状態が干渉であるとき、再送時にあらかじめ設定されている送信出力レベルを上げるとともに、再送回数を減らす、(3)送信出力レベルを上げて再送するとき、送信先のアクセスポイントからのACKの送信出力レベルを上げる要求を発行する、(4)通信環境状態の劣化に基づいて、受信信号が高感度モードアンプ104を経由するように受信スイッチ(SW)103を切り替える、送信出力制御の少なくともいずれか一つを実施する。
【選択図】図2
Description
本発明は、現状のフレームに対してACKが受信されない場合、再送を実行する無線通信装置に関し、例えば、無線LAN(WLAN:Wireless Local Area Network)に用いられる無線端末装置に関する。
近年、敷設の容易性、導入コストの経済性等を考慮して、オフィスや家庭等で、無線LANを構築するケースが増えてきている。無線LANの代表的な技術には、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)により標準化されたIEEE802.11がある。この標準化された技術は、OSI(Open System Interconnection)モデルにおける、物理層から、データリンクの下位層であるMAC(Medium Access Control:媒体アクセス制御)層までを規定しており、有線のLAN伝送路であるイーサーネットと置きかえることができ、さらに、ワイヤレスであるが故の付加機能として、ローミング(roaming)機能も提供できる仕様になっている。
現在、無線LANについては802.11bの伝送速度11Mbps、802.11a及び802.11gの最大伝送速度54Mbpsが制定されており、対応製品が市販されるようになった。このことから、低価格の無線LANが普及し、個人ユーザが無線LANを構築するケースが急増し、無線LANの普及が一気に進んだ。今では企業等の業務用途だけでなく、個人の家庭内ネットワークとしても広く使われるようになった。
無線LANはライセンス不要な帯域であるISM(Industrial Science and Medicine)帯域を使用するため、伝送誤りが特に多発する。無線LANは、例え、狭帯域伝送を行っても雑音や干渉の影響を受けやすい。よって、無線LANは、電子レンジや他の無線送信機器からの電波を考慮する必要がある。また、雑音に加えてマルチパスフェージングによるデットポイントに端末が入ると、フレームが送信できなくなる。
802.11においては、伝送誤りに対処するために肯定応答(ACK:ACKnowledge Character)方式の再送を行う。肯定応答方式の再送において、受信側は、送信側から送信されたすべてのフレームに対してACKを返す必要がある。このすべてのフレームに対してACKを返す全てのステップが成功すれば動作完了とみなされ、そうでなければすべての動作が失敗したとみなされる。すなわち、データフレームの送信元がACKを受信しなければ、フレームは消失したと見なされる。送信元は、データフレームが最初の伝送中に失われたか、又はACKが伝送中に失われたのかに係わらず、ACKを受信できない場合には、同一のデータフレームを再送信する。
無線LANにおいては、1台のアクセスポイントに対して所定のステーションが基本動作(上記記載シーケンス)を行っている間、他のステーションが現在使用中のステーションの基本動作を邪魔しないように通信を抑制し衝突を回避する。
データフレームの伝送誤りに対する検出と訂正は、基本フレームの交換を開始したステーション側、すなわち送信ステーションにおいて行われる。伝送誤りは送信ステーションにおいて検出されなくてはならない。例えば、送信ステーションは受信ステーションからACKが返らないことによって誤りを検出する。送信ステーションは誤りを検出するとフレームを再送する。
送信ステーションは、フレームの再送をカウントするための再送カウンタを備えており、フレームが再送されるたびに再送カウンタを1増加させる。再送カウンタは、各フレームまたは各フラグメント毎に設けられる。また、再送カウンタは、ショートフレーム再送カウンタとロングフレームカウンタとの2種類に分類されることができる。
無線LANは再送によって信頼性を確保している。フレームを送信したステーションは、アクセスポイントあるいは受信ステーションからACKを受け取らないと、フレームの送信が失敗したと判断する。失敗した送信は再送カウンタを1増加させる。再送回数が所定の上限値に達するとステーションはそのフレームの送信をあきらめ、プロトコルの上位層にその旨を伝える。
特許文献1には、再送信が実行された時、伝送レートが変化した時に受信部を高感度モードに切り替え、また、その時に送信のACKの送信電力を可変させることで再送信の回数を減らす無線通信装置が記載されている。
また、特許文献2には、無線端末毎に伝送レートを設定可能とすることにより、電波伝播環境に応じた最適な通信を可能にし、無線通信システム全体のスループットを向上させるデータ通信方法が記載されている。
ところで、無線LANは、無線LAN導入以前より使用されていた有線LANと比較して、通信可能な範囲内において、無線LANを形成する各端末を移動させることが可能で機動性が高いが、通信可能な範囲を示す境界が曖昧である。通信可能な範囲を示す境界が曖昧であるために、複数の無線LANが隣接して存在している場合、複数の無線LAN夫々の通信可能な範囲が重複する範囲に、端末が存在してしまうことがある。これらの端末は互いに隣接する無線LAN内の夫々の電波を受信することで、電波干渉問題が発生し、スループットが低下する場合がある。
電波干渉を検出した場合に、以下のような干渉回避方法が採られる。特許文献3には、電波干渉を検出した場合に、周波数チャンネルを変更することにより干渉回避を実施する技術が開示されている。特許文献3記載の電波干渉回避方法は、無線ネットワークシステムにおいて、複数の周波数チャンネルを選択的に設定して機器端末と無線通信接続する場合に、無線アンテナで受信した信号に基づいて、複数の周波数チャンネル毎の電波のレベルを所定の周期で測定し、この測定された他を所定の閾値と比較して周波数チャンネル毎に使用あるいは未使用を判定して周波数チャンネル毎に使用頻度の統計データとして記憶し、上記機器端末と無線通信を実行中に、必要に応じてその統計データに基づいて周波数チャンネルを変更するようにする。
また、通信エラーが発生した場合、伝送レートを落としていき、伝送距離を伸ばすフォールバック制御が実施される。しかし、フォールバックにより伝送レートを最低レートまで落としてしまうと大幅にスループットが低下することになる。特許文献4には、干渉発生によりエラーが発生した場合に、フォールバックにより伝送レートを最低レートまで落とすことによる大幅なスループット低下を避けるために、干渉時の基準スループットを設けてそのスループットになるように速度モードを制御し、一定レベルのスループットを確保しようとする。具体的には、無線通信装置が受信すべき周波数帯と同じ周波数帯で動作し、かつ、無線通信装置の通信に用いる規格とは異なる規格に基づいて動作する干渉機器からの干渉の有無を無線通信装置が検知した場合には、速度モードを変更する際の基準となるスループットを干渉スループットとして無線通信装置が設定し、それによって速度モードを変更する。
特開2000−49663号公報
特開2003−51781号公報
特開2005−333510号公報
特開2005−278052号公報
上記無線LANを搭載する携帯端末が普及してきている。携帯電話機などの携帯端末では、電池の持ちが、通話時間及び待ち受け時間に直結するため低消費電流化が重要になる。しかし、無線LANの送信時の消費電流を低減させると、送信電力が下がり通話距離の確保ができなくなる課題がある。
例えば、従来の無線通信装置は、フレームを送信し、各フレームのACKを受信しているときには通常動作状態になる。しかし、通信状態の劣化によりACKが受信されない場合、送信側のSTA(ステーション)は再送信を試みる。再送信に入った送信側のSTAは、現状の送信電力、かつ同レートにより、あらかじめ設定しておいた回数分フレームの再送信を実行する。次に、再送信に入った送信側のSTAは、上記フレームの再送回数が満了すると、レートフォールバック状態に入りデータレートを下げる。このことにより以下の課題が考えられる。
(1)通信環境状態にかかわらず、再送信を規定の回数が満了するまで送信し続けることで消費電力のUPにつながる。
(2)干渉波等により通信環境状態が劣化したときは、STAからのACKがAP(Access Point)に届かないために再送信が発生している。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、再送回数を減らすことができ、消費電力の低減を図ることができる無線通信装置を提供することを目的とする。
本発明の無線通信装置は、現状のフレームに対してACKが受信されない場合、所定の送信出力レベル及び伝送レートで、あらかじめ設定した回数分再送を実行し、このフレームの再送回数が満了すると伝送レートを下げるフォールバック制御を行う無線通信装置であって、通信環境状態を判定する通信環境判定手段と、現状のフレームに対してACKが受信されない場合、前記通信環境状態の劣化に基づいて前記フォールバック制御時の送信出力レベルを上げる送信出力制御手段と、を備える構成を採る。
本発明の無線通信装置は、現状のフレームに対してACKが受信されない場合、所定の送信出力レベル及び伝送レートで、あらかじめ設定した回数分再送を実行し、このフレームの再送回数が満了すると伝送レートを下げるフォールバック制御を行う無線通信装置であって、通信環境状態を判定する通信環境判定手段と、前記通信環境判定手段により判定された通信環境状態が干渉であるとき、再送時にあらかじめ設定されている送信出力レベルを上げる送信出力制御手段と、を備える構成を採る。
本発明の無線通信装置は、現状のフレームに対してACKが受信されない場合、所定の送信出力レベル及び伝送レートで、あらかじめ設定した回数分再送を実行し、このフレームの再送回数が満了すると伝送レートを下げるフォールバック制御を行う無線通信装置であって、受信信号の受信感度を上げる増幅手段と、受信信号が前記増幅手段を経由する/経由しないを切り替える切替手段と、通信環境状態を判定する通信環境判定手段と、前記通信環境状態の劣化に基づいて、受信信号が前記増幅手段を経由するように前記切替手段を切り替える送信出力制御手段と、を備える構成を採る。
本発明によれば、通信環境状態が劣化しているとき、送信出力レベルを上げることにより、再送回数を減らすこと又は再送信そのものをなくすことができ、消費電力の低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図1は、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図1において、無線通信システムは、無線通信装置100、アクセスポイントAP200、及びネットワーク300を備えて構成される。
無線通信装置100は、無線LAN機能を有するPHS(Personal Handy-Phone System)/携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等のステーションであり、アクセスポイント200に接続して無線通信を行う。無線通信装置100は、周辺に存在するアクセスポイント200からビーコン(Beacon)を受信して、アクセスポイント200のネットワーク名、通信機器の通信速度、セキュリティ強度、通信チャンネル、及び電波強度を取得する。
なお、無線通信装置100は、無線LAN接続機能を有する携帯端末であればよく、上記携帯電話機に限らず、PHSやPDAなどの携帯情報端末でもよい。また、PCMCIAカード,CFカード形状の無線LAN接続装置など、形態は限定されない。さらに、無線通信は、無線LANには限定されず、Bluetooth(登録商標),UWB(Ultra Wideband)やWiMAXでもよい。また、FWA(Fixed Wireless Access)端末のような、使用場所を移動することが可能な無線通信端末も含まれる。無線通信装置100の詳細な構成及び機能については、図2により後述する。
アクセスポイント200は、パワーセーブモード機能を持つ無線LANのアクセスポイントであり、無線通信装置100とネットワーク300とを無線LANを用いて接続する。アクセスポイント200は、無線通信装置100と図示しないサーバとの通信を中継する。アクセスポイント200は、例えばインターネット接続環境を有する家庭や公衆無線LANサービスで利用され、無線LAN使用可能エリアを形成する。
ネットワーク300は、アクセスポイント200と図示しないサーバとを接続するインターネット又は専用回線からなる。ネットワーク300は、移動体通信網、公衆電話網、LANやインターネットなどから構成するネットワークであり、有線系又は無線系などネットワークの種類とプロトコルの種類は特に問わない。また、ネットワーク300のアクセス回線としてはFTTH(Fiber To The Home)、HFC(Hybrid Fiber Coax:光同軸ケーブル)、及びADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)/VDSL(Very high data rate Digital Subscriber Line)等の大容量回線が利用可能である。
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、無線LANにおける無線通信装置に適用した例である。
図2において、無線通信装置100は、アンテナ101、送受信スイッチ(T/R SW)102、受信スイッチ(SW)103、高感度モードアンプ104、無線受信部105、復調部106、変調部107、無線送信部108、ネットワークインターフェイス109、通信制御部110、通信環境判定部111、再送回数設定部112、MAC部113、及び送信電力制御部114を備えて構成される。
アンテナ101は、無線LAN通信方式の信号を受信して、図示しないフィルタを介して送受信スイッチ(T/R SW)102に出力する。また、アンテナ101は、送受信スイッチ(T/R SW)102から入力される無線LAN通信方式の送信信号を送信する。
送受信スイッチ(T/R SW)102は、送信するタイミング及び受信するタイミングにおいてスイッチを切り替える。送受信SW102は、アンテナ101から入力した受信信号を受信スイッチ(SW)103を介して無線受信部105に出力するとともに、無線送信部108から入力した送信信号をアンテナ101に出力する。
受信スイッチ(SW)103は、MAC部113からの指示に従って受信信号が高感度モードアンプ104を経由する/経由しないを切り替える。受信スイッチ(SW)103は、<高感度モード>に受信信号が高感度モードアンプ104を経由するように切り替える。
高感度モードアンプ104は、受信信号の受信感度を上げるアンプである。
無線受信部105は、受信スイッチ(SW)103を介して入力された受信信号を無線周波数からベースバンド周波数にダウンコンバートして復調部106に出力する。
復調部106は、無線受信部105から入力した受信信号を復調して受信データとして通信制御部110に出力する。
変調部107は、送信データを変調して送信信号を生成し、生成した送信信号を無線送信部108に出力する。
無線送信部108は、変調部107から入力した送信信号をベースバンド周波数から無線周波数にアップコンバートして送受信SW102に出力する。
ネットワークインターフェイス109は、ネットワーク300に接続するインターフェイスである。
通信制御部110は、MACレイヤ以上のプロトコル処理を行うとともに、ネットワーク300接続機能を含む装置全体の無線LAN制御を行う。通信制御部110は、MAC部113と協働して、現状のフレームに対してACKが受信されない場合、所定の送信出力レベル及び伝送レートで、あらかじめ設定した回数分再送を実行し、このフレームの再送回数が満了すると伝送レートを下げるフォールバック制御を行う。
通信環境判定部111は、通信環境状態を判定する。特に、通信環境判定部111は、妨害波、干渉波等による電波障害による通信品質劣化を判定する。本実施の形態では、通信環境判定部111は、現状のフレームのSNR(Signal power to Noise power Ratio)が、ある閾値以下であることを判別し、電子レンジ等による干渉がある通信環境状態を判定する。なお、干渉はSNRのほか、受信パケットのNoisefloor値を測定、またBeacon取得時のNoisefloor値を測定でもよい。さらに、受信したパケットのFCS(Frame Check Sequence)エラー、FCSエラー以外の受信エラーやS/N値であってもよい。
再送回数設定部112は、再送時の再送回数、送信出力レベル及び伝送レートをあらかじめ設定する。再送回数設定部112は、MAC部113からの指示に従って、フォールバック制御時又は再送時には、送信出力レベルを上げ、また再送回数を減らす。再送回数設定部112は、設定した送信出力レベルをMAC部113を介して送信電力制御部114に出力する。
MAC部113は、無線通信装置100が送信を行う場合には送信フレームを生成し、無線通信装置100が受信を行う場合には送信フレームの処理を行う。MAC部113は、上記無線区間のアクセス制御の基本機能に加え、以下の送信出力制御を行うことを特徴とする。なお、本実施の形態における送信出力制御は、再送時の送信出力制御であり、再送時の送信電力制御と同じ意味に用いている。
(1)MAC部113は、現状のフレームに対してACKが受信されない場合、通信環境状態の劣化に基づいてフォールバック制御時の送信出力レベルを上げる。(2)また、MAC部113は、判定された通信環境状態が干渉であるとき、再送時にあらかじめ設定されている送信出力レベルを上げる。送信出力レベルを上げた場合は、再送回数を減らすことが好ましい。(3)MAC部113は、通信環境状態の劣化に基づいて、受信信号が高感度モードアンプ104を経由するように受信スイッチ(SW)103を切り替える。上記(1)乃至(3)の送信出力制御は、それぞれ単独でもよいし組み合わせてもよい。
本実施の形態では、MAC部113が、上記(1)乃至(3)の送信出力制御機能を有する構成としたが、これに限らず、MAC部113は、メディアアクセス制御(MAC)の基本機能のみとし、上記(1)乃至(2)の送信出力制御機能を、通信制御部110が実行する又は新たに設ける送信出力制御部が実行する態様でもよい。通信制御部110を含む各制御部は、CPU等により構成されており、実行部はどの機能部が担うものでも便宜上のものである。
送信電力制御部114は、設定された送信出力レベルで送信するよう無線送信部108の送信電力を制御する。
なお、家庭内における無線LAN通信においては、アクセスポイント1台に対して複数のステーションが接続され、同時通信可能なステーションを確保する必要がある。
以下、上述のように構成された無線通信装置100の送信電力制御動作について説明する。
図3は、ステーション(無線通信装置100)とアクセスポイント200間の送受信周期を示す図である。図3において、送信側では、無線LANにより最大伝送速度54Mbpsでデータ送信を行う。受信側では、データ送信後、ショートインタフレームスペース(SIFS:Short Inter-Frame Space)区間経過後にACKを返し、DCFインタフレームスペース(DIFS:DCF Inter-Frame Space)と呼ばれる一定のアイドル時間にわたる待機を開始する。データ送信開始からDIFS区間終了まで他のステーションにとってのアクセス待機期間となる。DIFS区間が終了すると、ステーション間でスケジューリングされずステーション主導で送信されるチャネルであるコンテンション・ウィンドウ(contention Window)となる。
本実施の形態では、以下〔1〕−〔3〕の送信電力制御を行うことを特徴とする。
〔1〕再送信時の送信電力制御
現状のフレームに対して通信品質の劣化によりACKが受信されない場合に、現状のフレームに対して再送信後のデータレートを下げたときの送信出力レベルを上げる。
現状のフレームに対して通信品質の劣化によりACKが受信されない場合に、現状のフレームに対して再送信後のデータレートを下げたときの送信出力レベルを上げる。
〔2〕通信環境状態による再送信時の送信電力制御
通信品質劣化時の通信環境状態を判断して送信電力を可変する。
通信品質劣化時の通信環境状態を判断して送信電力を可変する。
通信品質劣化は、具体的には干渉により発生する。本実施の形態では、受信感度が現状のフレームのSNRよりある閾値以下の場合は、室内の電子レンジ等による干渉であると判断する。この場合は、送信出力をMaxpowerに設定する。
〔3〕ACKの送信電力制御
(1)アクセスポイントのACK制御
通信環境状態によりアクセスポイント側のACKの送信電力をUPさせる。
(1)アクセスポイントのACK制御
通信環境状態によりアクセスポイント側のACKの送信電力をUPさせる。
(2)受信感度をUPに伴うACKの送信出力制御
通信環境状態の判断より高感度モードにSWで切り替え再送信を行わずに通信を行う。また、高感度モードで受信した後のステーションからのACKに対して送信電力制御を行う。
通信環境状態の判断より高感度モードにSWで切り替え再送信を行わずに通信を行う。また、高感度モードで受信した後のステーションからのACKに対して送信電力制御を行う。
まず、〔1〕再送信時の送信電力制御について説明する。
図4は、送信側再送数と送信電力の関係を説明する図であり、図4(a)は従来例を、図4(b)は実施の形態の送信電力制御を示す。
図4(a)に示すように、従来例では、送信側のステーションは、データ伝送速度及び再送回数にかかわらず送信出力は一定である。
これに対して、本実施の形態では、図4(b)に示すように、送信側のステーション(無線通信装置100)は、ACKが受信されない場合に再送する再送回数が所定回数に達した場合、送信出力レベルを上げる。また、図4(b)には示されていないが、再送信時には、レートフォールバック状態に入りデータレートを下げる。この再送信後のデータレートを下げたときの送信出力レベルを上げる。本制御は、MAC部113が、再送回数設定部112の再送回数と通信環境判定部111の通信環境状態に基づいて設定し、送信電力制御部114に指示する。MAC部113は、再送回数が所定回数に達した場合、又はレートフォールバック状態に入りデータレートを下げた場合、送信出力レベルを上げる指示を出す。送信電力制御部114は、無線送信部108に対して送信出力レベルを上げる制御を行う。
次に、〔2〕通信環境状態による再送信時の送信電力制御について説明する。
図5は、通信環境状態による再送信時の送信電力制御を説明する図であり、図5(a)はフェージングによる送信側の再送数と送信電力の関係を、図5(b)は干渉による送信側の再送数と送信電力の関係をそれぞれ示す。
図5(a)(b)に示すように、送信側のステーション(無線通信装置100)は、通信環境状態が劣化しACKが受信されない場合にデータ再送を行う。通信環境判定部111は、現状のフレームのSNRと閾値の比較により通信環境を判定し、判定結果をMAC部113に出力する。MAC部113は、通信環境状態の劣化がフェージングであると判定した場合には、再送信を規定の回数が満了するまで送信出力レベル一定で送信し続ける。なお、所定回数の再送後は、フォールバック制御により伝送レートが48Mbpsに下げられる。
一方、図5(b)矢印に示すように、MAC部113は、通信環境状態の劣化が干渉であると判定した場合には、送信出力レベルを上げるとともに、再送信は規定の回数よりも減らす。すなわち、干渉発生時には、送信出力レベルを上げることで送信可能性を高める一方で、再送回数は減らすことで消費電力の低減を図る。
通信環境状態が劣化したとき、それが干渉波等であればステーションからのACKが、アクセスポイント200に届かないために再送信が発生している。この場合は、設定回数の再送を行ってもステーションからのACKがアクセスポイント200に届かないことが多い。干渉波発生それ自体は防げるものではないので、フレームの再送信をあらかじめ設定しておいた回数分、一律に実行する態様では消費電力の増大を招くばかりである。そこで、干渉発生時には、送信出力レベルを上げた送信を行うことで送信可否を早期に見極め、送信出力レベルを上げても送信できない場合は送信可能性が低いと判断して見切りをつけ、あらかじめ設定しておいた再送回数よりも少ない再送回数のところで再送を打ち切る。なお、この再送回数の再送後は、フォールバック制御により伝送レートが48Mbpsに下げられる。
次に、〔3〕ACKの送信電力制御について説明する。
図6は、アクセスポイントのACK制御を説明する図である。図中、APはアクセスポイント200、STAはステーション(無線通信装置100)を示す。また、○印はAPとSTA間の送信OKを、×印はAPとSTA間の送信NGを示す。
図6(a)に示すように、通信環境状態が良好のときは、APからのデータ送信をSTA側で受信し、またSTAからのACKをAP側で受信する。そして、STAからのデータ送信をAP側で受信し、またAPからのACKをSTA側で受信する。以下これが繰り返される。
図6(b)に示すように、干渉による通信劣化が生じると、APはSTAからのデータを受信できない。このため、APはACKをSTAに送信しない。本実施の形態では、この場合、送信出力レベルを上げて、データ1回目を再送する。具体的には、MAC部113は、送信出力レベルを上げる指示を送信電力制御部114に出し、送信電力制御部114は、無線送信部108に対して送信出力レベルを上げる制御を行う。
APは送信出力レベルを上げて送信されたSTAからの1回目再送データを受信する。APは1回目再送データが送信出力レベルを上げて送信されているため、干渉による通信環境状態の劣化があっても受信することができる。また、STAは送信出力レベルを上げた時、APのACKの送信出力レベルを上げる要求をAPに投げる。そして、APはこの送信出力レベルを上げる要求に応えてACKの送信出力レベルを上げてACKを送信する。STAはAPからのACKが送信出力レベルを上げて送信されているため、干渉による通信環境状態の劣化があっても受信することができる。
図7は、受信感度UPに伴うACKの送信出力制御を示すフローチャートであり、MAC部113により実行される。図中、Sはフローの各ステップである。
再送信開始又は伝送レート変化により本フローがスタートすると、ステップS1でMAC部113は通信環境判定部111からの通信環境状態検出結果を基に干渉波か否かを判別し、干渉波でない場合はステップS2に進み、干渉波である場合はステップS4に進む。
ステップS2では、MAC部113は通信環境判定部111からの通信環境状態検出結果を基にフェージングか否かを判別し、フェージングである場合はステップS3に進み、フェージングでない場合はステップS4に進む。
ステップS3では、MAC部113はステーションを<通常受信モード>とする。
上記ステップS1で干渉波である場合、あるいは上記ステップS2でフェージングでない場合は、ステップS4でMAC部113はステーションが受信時であるとき、ステーションの受信感度を上げる<高感度モード>に切替える。具体的には、MAC部113は、<高感度モード>時に受信スイッチ(SW)103に切替信号を出力し、受信スイッチ(SW)103は、この切替信号により受信信号の送出先を高感度モードアンプ104側に切り替える。高感度モードアンプ104は、受信信号を増幅して無線受信部105に出力する。このように、通信環境判定部111の通信環境状態の判定において干渉波を検出すると、<高感度モード>に移行し受信スイッチ(SW)103を高感度モードアンプ104側に切り替えることで、再送信を行わずに通信を行うことを試みる。APの再送信回数を減らすことできる。
ステップS5では、MAC部113は<高感度モード>で受信ができたか否かを判別する。<高感度モード>で受信ができた場合は、ステップS6でMAC部113はステーションのACKの送信出力レベルを上げて本フローを終了する。APに対してのACKが干渉波の影響を受け難くするためである。
上記ステップS5で<高感度モード>で受信ができない場合は、ステップS7でMAC部113はステーションの再送信を各レートの設定回数分、最大送信出力レベルで行う。干渉波の影響を受け難くするためである。
図8は、干渉環境設定を示すフローチャートである。本フローは、干渉判定時に干渉環境における再送回数及び送信出力レベルを設定する。設定された再送回数及び送信出力レベルは、図7のACKの送信出力制御で使用される。
ステップS11では、MAC部113は通信環境判定部111からの通信環境状態検出結果を基にパケット毎のSNRが閾値以下であるか否かを判別する。パケット毎のSNRが閾値以下の場合は、ステップS12でMAC部113は電子レンジ等による干渉であると判断して干渉環境再送信回数及び送信出力レベルをMaxpowerに設定して本フローを終了する。詳しくは、MAC部113は、再送回数設定部112に対して干渉環境再送信回数及び送信出力レベルをMaxpowerに設定する。
上記ステップS11でパケット毎のSNRが閾値より大きい場合は、ステップS13でMAC部113は干渉は発生していないと判断してアプリケーション毎の再送信回数を設定して本フローを終了する。詳しくは、MAC部113は、再送回数設定部112に対してアプリケーション毎の再送信回数を設定する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信装置100は、(1)現状のフレームに対してACKが受信されない場合、通信環境状態の劣化に基づいてフォールバック制御時の送信出力レベルを上げる、(2)判定された通信環境状態が干渉であるとき、再送時にあらかじめ設定されている送信出力レベルを上げるとともに、再送回数を減らす、(3)送信出力レベルを上げて再送するとき、送信先のアクセスポイントからのACKの送信出力レベルを上げる要求を発行する、(4)通信環境状態の劣化に基づいて、受信信号が高感度モードアンプ104を経由するように受信スイッチ(SW)103を切り替える、送信出力制御の少なくともいずれか一つを実施するので、通信環境状態に応じて送信電力を可変することにより、通信環境状態が劣化している状況下で、徒に規定の再送回数の再送を繰り返す事態を避けることができ、消費電力の低減を図ることができる。
すなわち、上記(1)送信出力制御によれば、フォールバック制御時の送信出力レベルを上げることで、フォールバック制御を送信電力の増強の観点から支援してフォールバック制御の実効を高めることができる。フォールバック制御時までは送信出力レベルは規定の送信出力レベル通りであるため、この間の消費電力が増えることはない。
また、上記(2)送信出力制御によれば、フォールバック制御に移行する前の、再送時において干渉等が発生している場合は、再送信を規定の回数実施しても送信できるとは限らないことに鑑みて、一旦送信出力レベルを上げて送信して可否を確認し、その分再送回数は減らす。これにより、再送信を規定の回数が満了するまで送信し続けることによる消費電力の増大を防止することができる。
また、上記(3)送信出力制御によれば、送信先のアクセスポイントから送信出力レベル上げられたACKを返してもらうことで、アクセスポイントからのACK受信の可能性を高め、再送信をより早く終了することで消費電力の増大を防止することができる。
また、上記(4)送信出力制御によれば、通信環境状態が劣化している場合は受信感度を高めることで、再送信を行わなくても済む可能性を高め、再送信を行わずに通信することで消費電力の増大を防止することができる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。例えば、無線通信システムに属さない電子レンジなどの特定の干渉源について説明したが、干渉源はどのようなものでもよく、無線LANシステム内外で影響を与える干渉機器に全て適用できる。
また、本実施の形態では、通信環境判定部111により干渉を検出した場合に、MAC部113が、送信出力レベルと再送回数を設定しているが、これは通信制御部110が行ってもよい。いずれにせよ、電子レンジなどの干渉源による妨害波の影響を受けた際に、再送時の消費電力の増大を有効に防止することができる。
また、上述した(1)−(4)の送信出力制御は、単独でも併用でもよい。
また、上記実施の形態では、無線通信装置、送信出力制御という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、移動端末、無線通信機器、送信電力制御等でもよいことは勿論である。特に、送信出力制御は、再送信時送信電力制御であってもよい。
また、上記無線通信装置を構成する各回路部の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
また、以上説明した無線通信装置は、この無線通信装置の送信出力制御方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
本発明に係る無線通信装置は、再送時の送信出力制御により消費電力を低減する効果を有し、特に携帯電話機などのステーションをアクセスポイントを介して無線ネットワークに接続する無線通信システムを構成する無線通信装置に有効である。
100 無線通信装置
101 アンテナ
102 送受信スイッチ(T/R SW)
103 受信スイッチ(SW)
104 高感度モードアンプ
105 無線受信部
106 復調部
107 変調部
108 無線送信部
109 ネットワークインターフェイス
110 通信制御部
111 通信環境判定部
112 再送回数設定部
113 MAC部
114 送信電力制御部
101 アンテナ
102 送受信スイッチ(T/R SW)
103 受信スイッチ(SW)
104 高感度モードアンプ
105 無線受信部
106 復調部
107 変調部
108 無線送信部
109 ネットワークインターフェイス
110 通信制御部
111 通信環境判定部
112 再送回数設定部
113 MAC部
114 送信電力制御部
Claims (6)
- 現状のフレームに対してACK(肯定応答)が受信されない場合、所定の送信出力レベル及び伝送レートで、あらかじめ設定した回数分再送を実行し、このフレームの再送回数が満了すると伝送レートを下げるフォールバック制御を行う無線通信装置であって、
通信環境状態を判定する通信環境判定手段と、
現状のフレームに対してACKが受信されない場合、前記通信環境状態の劣化に基づいて前記フォールバック制御時の送信出力レベルを上げる送信出力制御手段と、
を備える無線通信装置。 - 現状のフレームに対してACKが受信されない場合、所定の送信出力レベル及び伝送レートで、あらかじめ設定した回数分再送を実行し、このフレームの再送回数が満了すると伝送レートを下げるフォールバック制御を行う無線通信装置であって、
通信環境状態を判定する通信環境判定手段と、
前記通信環境判定手段により判定された通信環境状態が干渉であるとき、再送時にあらかじめ設定されている送信出力レベルを上げる送信出力制御手段と、
を備える無線通信装置。 - 現状のフレームに対してACKが受信されない場合、所定の送信出力レベル及び伝送レートで、あらかじめ設定した回数分再送を実行し、このフレームの再送回数が満了すると伝送レートを下げるフォールバック制御を行う無線通信装置であって、
受信信号の受信感度を上げる増幅手段と、
受信信号が前記増幅手段を経由する/経由しないを切り替える切替手段と、
通信環境状態を判定する通信環境判定手段と、
前記通信環境状態の劣化に基づいて、受信信号が前記増幅手段を経由するように前記切替手段を切り替える送信出力制御手段と、
を備える無線通信装置。 - 前記送信出力制御手段は、前記送信出力レベルを上げるとき、再送時にあらかじめ設定されている再送回数を減らす請求項2記載の無線通信装置。
- 前記送信出力制御手段は、前記送信出力レベルを上げて再送するとき、送信先のアクセスポイントからのACKの送信出力レベルを上げる要求を発行する請求項1又は請求項2に記載の無線通信装置。
- 前記送信出力制御手段は、前記切替手段の切替え後に、ACKが受信されない場合に再送を実行する請求項3記載の無線通信装置。
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