以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1乃至3は、干渉検出回路及び方法についての適用例、実施の形態4及び5は、干渉回避回路及び方法についての適用例である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、WLANにおける無線通信装置に適用した例である。
図1において、無線通信装置100は、無線通信を行う携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)やPDAなどの無線通信端末であり、キャリア以外のローカルネットワークにアクセスできるシステムとしてWLAN機能を備える。キャリア以外のネットワークを使った情報配信サービスとしてWLANのほか、Bluetooth(登録商標)、UWBなどの小電力近距離双方向無線通信方式がある。
無線通信装置100は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、ED(Energy Detect)値検出回路105、Ackエラー検出回路106、送信パケット干渉エラー判定回路107、干渉回避制御回路108、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及びWLAN制御回路111を備えて構成される。
上記ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106及び送信パケット干渉エラー判定回路107は、全体として、送信パケット干渉エラー検出回路120を構成し、上記干渉回避制御回路108、レート制御回路109及び再送回数制御回路110は、全体として、干渉回避回路130を構成する。
送受信切替スイッチ(T/R SW)102は、送信するタイミング及び受信するタイミングにおいてSWを切り替える。WLAN送信回路103は、WLANにおける信号を送信する。WLAN受信回路104は、WLANにおける信号を受信する。WLAN制御回路111は、WLAN送信回路103及びWLAN受信回路104を制御する。これらは、図30の無線通信装置10と同一の構成である。
〔送信パケット干渉エラー検出回路120構成〕
ED値検出回路105は、パケットを送信する前に、妨害波のレベル(ED値)を測定し、干渉判定閾値と比較し超過していることを判定する。Ackエラー検出回路106は、送信したパケットに対するAckが欠落したことを検出する。送信パケット干渉エラー判定回路107は、ED値検出回路105により検出されたED値とAckエラー検出回路106により検出されたAckエラー検出から送信パケット干渉エラーが発生したことを判定する。
〔干渉回避回路130構成〕
干渉回避制御回路108は、干渉エラーが発生したときに、干渉回避のために、伝送レートと再送回数を制御する。レート制御回路109は、干渉回避制御回路108の要求に従い、実際にレートを変更する。再送回数制御回路110は、干渉回避制御回路108の要求に従い、再送回数を変更する。干渉回避回路130による干渉回避制御の詳細については、実施の形態4及び実施の形態5により後述する。
以下、上述のように構成された無線通信装置の干渉検出方法について説明する。
従来例では、単に干渉波が発生しているかどうかを検出するのみであり、干渉波の発生により通信エラーが発生しているかどうかを検出することは実施されていなかった。本実施の形態では、発生した通信エラーが干渉によるものか干渉によらないものかを判定する。すなわち、本干渉検出方法は、実際に干渉の発生による要因で通信エラーが発生したか否かを検出する。本干渉検出方法として、送信パケット、受信パケット及びBeaconの3パケットに関する干渉検出方法があるが、本実施の形態では、送信パケット干渉エラー検出方法について説明する。
図2は、送信パケット干渉エラー検出回路120による送信パケット干渉エラー検出方法を説明する図である。本干渉検出方法をAckエラー判定方法と呼ぶ。
WLANの通常動作において、送信パケットの送信前にWLAN以外の他システムの通信キャリアが存在するかどうかを検出する又は電子レンジ等の妨害波が発生しているかを検出するためにED(Energy Detect)値の検出とWLANの通信キャリアの存在を検出するキャリアセンス(CS)が実施される。
まず、送信パケット干渉エラー検出回路120において、ED値検出回路105は、パケット送信前に検出するED値を測定し、Ackエラー検出回路106は、あらかじめ設定した干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットに対するAP(Access Point)からのAck応答を検出する。送信パケット干渉エラー判定回路107では、送信したパケットに対するAPからのAck応答が欠落した場合、干渉による送信パケットエラーと判定する。
図2を参照して、送信パケット干渉エラー検出方法を具体的に説明する。
(1) ED値検出回路105では、パケットを送信する前に、周辺で送信している妨害波レベルを検出するために、ED値を測定する。測定したED値をあらかじめ設定した干渉判定閾値と比較し、このED値が干渉判定閾値を超過しているかを判定する(図2a.参照)。次いで、図2b.に示すパケット送信(送信1)を行うが、この送信1は、電子レンジONなどの干渉区間に衝突し、送信したパケットに対するAckが欠落する(図2c.参照)。Ack欠落を受けて、WLAN制御回路111は、WLAN送信回路103に対して該当パケットを再送させる(図2d.参照)。この再送についても干渉区間に衝突してAckが欠落する。
(2) 送信パケット干渉エラー検出回路120は、上記再送動作とは別に、図2c.のタイミングで、Ackエラー検出回路106により送信したパケットに対するAck欠落を検出する。すなわち、Ackエラー検出回路106は、送信したパケットに対するAckが検出できたか否かのAckエラー判定を行う。いま、図2e.でAck欠落及びED値の干渉判定閾値超過が発生したとする。
(3) 送信パケット干渉エラー判定回路107では、上記(1)で検出したED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットがAckエラーとなった場合に、干渉による送信パケットエラー(干渉エラーという)と判定する(図2f.参照)。従来技術においては、干渉波のレベルを検出し干渉発生と判断していたが、その干渉波が発生している環境下で実際にエラーが発生しているかどうかを検出することは実施していなかった。
本発明においては、ED値により干渉波レベルを検出するとともに、実際に、干渉波が発生している条件下で送信したパケットがエラーになったかどうかを判定することを特徴としている。本実施の形態の送信パケット干渉エラー検出回路120は、測定したED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットがAckエラーとなった場合に、干渉エラーと判定する。
送信パケット干渉エラー検出回路120により、干渉エラーが判定されると、WLAN制御回路111は、干渉回避回路130に対して干渉回避モードを実行させる(図2g.参照)。
干渉回避回路130による干渉回避制御については、実施の形態4乃至実施の形態5により後述する。
ここでは、簡略して説明すると、干渉回避回路130は、干渉を検出した場合に、伝送レートをあらかじめ設定したレートに設定する<レート設定>と、再送回数を固定する<再送回数設定>を実施する(図2h.参照)。
干渉回避回路130による干渉回避制御に基づいて、レート設定及び再送回数設定が実施され、このレート設定及び再送回数設定に従って、図2i.に示すパケット送信(送信2)を行う。ここでは、この送信2についても干渉区間に衝突し、送信したパケットに対するAckが欠落する(図2j.参照)。このAck欠落を受けて、WLAN制御回路111は、WLAN送信回路103に対して該当パケットの再送を繰り返すと(図2k.参照)、干渉区間を抜けて再送が成功し(図2l.参照)、Ack受信により通信OKとなる(図2m.参照)。
上記、速やかな干渉回避を可能にしたのは、送信パケット干渉エラー検出回路120による干渉エラー検出を受けて、干渉回避回路130が、レート設定及び再送回数設定による干渉回避制御を直ちに実施するからである。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信装置100は、パケット送信前のED値を測定するED値検出回路105、送信したパケットに対するAckエラーを検出するAckエラー検出回路106及び送信パケット干渉エラー判定回路107からなる送信パケット干渉エラー検出回路120を備え、測定したED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットに対して、Ackエラーが検出された場合に干渉エラーと判定するので、実際に、干渉の発生による要因で通信エラーが発生したことを検出することができる。従来例では、干渉波が発生しているかどうかを検出するにとどまっていた。これに対して、本実施の形態では、発生した通信エラーが干渉エラーによるものかそうでないかを区別することができ、通信エラーの内容に応じた対応が可能になる。例えば、干渉エラーの場合は、干渉回避回路130による干渉回避制御が実施できる。
また、本実施の形態では、送信パケット干渉エラー検出回路120により干渉を検出した場合に、干渉回避回路130が、レート設定と再送回数を設定して干渉回避制御を実施することにより、図2に示す電子レンジなどの干渉源による妨害波の影響を受けた際に、干渉を有効に回避することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態は、送信パケットの干渉エラー検出方法に適用した例である。
図3において、無線通信装置200は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、ED値検出回路105、送信エラー検出回路211、送信パケット干渉エラー判定回路212、干渉回避制御回路108、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及びWLAN制御回路111を備えて構成される。
上記ED値検出回路105、送信エラー検出回路211及び送信パケット干渉エラー判定回路212は、全体として、送信パケット干渉エラー検出回路220を構成する。送信パケット干渉エラー検出回路220は、図1の送信パケット干渉エラー検出回路120のAckエラー検出回路106及び送信パケット干渉エラー判定回路107を、送信エラー検出回路211及び送信パケット干渉エラー判定回路212に代えた点のみが異なる。
送信エラー検出回路211は、送信したパケットが規定の再送で送信できなかったことを送信エラーとして検出する。
送信パケット干渉エラー判定回路212は、ED値検出回路105により検出されたED値と送信エラー検出回路211により検出された送信エラー検出結果から送信パケット干渉エラーが発生したことを判定する。
以下、上述のように構成された無線通信装置の干渉検出方法について説明する。実施の形態1は、ED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットがAckエラーとなった場合に、干渉エラーと判定していた。本実施の形態では、同様の条件で送信したパケットが複数回の再送によっても送信できなかった場合に、干渉エラーと判定する点のみの動作が異なる。
図4は、送信パケット干渉エラー検出回路220による送信パケット干渉エラー検出方法を説明する図である。本干渉エラー検出方法を送信エラー判定方法と呼ぶ。
WLANの通常動作において、送信パケットの送信前に他の通信キャリアが存在するかどうかを検出するためにED値検出と無線LANの通信キャリアの存在を検出するキャリアセンス(CS)が実施される。
まず、送信パケット干渉エラー検出回路220において、ED値検出回路105は、パケット送信前に検出するED値を測定し、送信エラー検出回路211は、あらかじめ設定した干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットが規定の再送で送信できたかどうかを検出する。送信パケット干渉エラー判定回路212では、ED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットが複数回の再送によっても送信できなかった場合に、干渉エラーと判定する。
図4を参照して、送信パケット干渉エラー検出方法を具体的に説明する。
(1) ED値検出回路105では、パケットを送信する前に、周辺で送信している妨害波レベルを検出するために、ED値を測定する。あらかじめ設定した干渉判定閾値と比較し、ED値が干渉判定閾値を超過しているかを判定する(図4a.参照)。次いで、図4b.に示すパケット送信(送信1)を行うが、この送信1は、電子レンジONなどの干渉区間に衝突し、送信したパケットに対するAckが欠落する(図4c.参照)。Ack欠落を受けて、WLAN制御回路111は、WLAN送信回路103に対して該当パケットを再送させる(図4d.参照)。この再送についても干渉区間に衝突してAckが欠落する。
(2) 送信エラー検出回路211は、送信したパケットが規定の再送で送信できなかったことを送信エラーとして検出する。いま、図4e.で送信エラー及びED値の干渉判定閾値超過が発生したとする。
(3) 送信パケット干渉エラー判定回路212では、上記(1)で検出したED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットが規定の再送によっても送信できず終了したエラー(送信エラー)を検出する(図4f.参照)。従来技術においては、干渉波のレベルを検出し干渉発生と判断していたが、その干渉波が発生している環境下でエラーが発生しているかどうかを検出することは実施していなかった。
本発明においては、ED値により干渉波レベルを検出するとともに、実際に、干渉波が発生している条件下で送信したパケットが規定の再送によっても送信できずに送信エラーになったかどうかを判定することを特徴としている。本実施の形態の送信パケット干渉エラー検出回路220は、ED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットが送信エラーとなった場合に、干渉エラーと判定する。
送信パケット干渉エラー検出回路220により、干渉エラーが判定されると、WLAN制御回路111は、干渉回避回路130に対して干渉回避モードを実行させる(図4g.参照)。
干渉回避回路130による干渉回避制御については、実施の形態4及び実施の形態5により後述する。
ここでは、簡略して説明すると、干渉回避回路130は、干渉を検出した場合に、伝送レートをあらかじめ設定したレートに設定する<レート設定>と、再送回数を設定する<再送回数設定>を実施する(図4h.参照)。
干渉回避回路130による干渉回避制御に基づいて、レート設定及び再送回数設定が実施され、このレート設定及び再送回数設定に従って、図4i.に示すパケット送信(送信2)を行う。ここでは、この送信2についても干渉区間に衝突し、送信したパケットに対するAckが欠落する(図4j.参照)。このAck欠落を受けて、WLAN制御回路111は、WLAN送信回路103に対して該当パケットの再送を繰り返すと(図4k.参照)、干渉区間を抜けて再送が成功し(図4l.参照)、Ack受信により通信OKとなる(図4m.参照)。
前述した実施の形態1によるAckエラー判定方法は、干渉波判定について即応性に優れる方法ではあるが、本実施の形態による送信エラーによる判定は、実際にパケットがエラーになったことを判定するため、確実性がある方法である。例えば、Ackエラーがあっても実際には再送によって通信がエラーなく継続されている場合がある。したがって、即応性に優れるAckエラー判定方法と確実性に優れる送信エラーによる判定方法とを、WLANの適用環境において適応的に選択することが好ましい。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態は、受信パケットの干渉エラー検出方法に適用した例である。
図5において、無線通信装置300は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、Noisefloor(干渉波レベル)値測定回路310、受信エラー検出回路311、受信パケット(Beacon)干渉エラー判定回路312、干渉回避制御回路108、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及びWLAN制御回路111を備えて構成される。
上記Noisefloor値測定回路310、受信エラー検出回路311及び受信パケット(Beacon)干渉エラー判定回路312は、全体として、受信パケット干渉エラー検出回路320を構成する。受信パケット干渉エラー検出回路320は、図1の送信パケット干渉エラー検出回路120に代えて用いられる。
Noisefloor(NF)値測定回路310は、受信パケットの前後で測定したNoisefloor(ノイズレベル)を測定する。受信エラー検出回路311は、受信したパケットがエラー(FCSエラー:Frame Check Sequenceエラー)となったことを判定する。受信パケット(Beaconも含む)干渉エラー判定回路312は、Noisefloor(ノイズレベル)と受信エラー検出回路311から通知された情報を基に、受信パケットエラーが干渉エラーかどうかを判定する。
以下、上述のように構成された無線通信装置の干渉検出方法について説明する。
実施の形態1,2は、送信パケットから干渉エラーを判定していた。本実施の形態では、受信パケット及びBeaconから干渉エラーを検出する干渉検出方法である。
図6は、受信パケット干渉エラー検出回路320による受信パケット干渉エラー検出方法を説明する図である。
受信パケット取得時のNoisefloor値を測定し、あらかじめ設定した干渉判定閾値を超過した状態で受信したパケットがエラーとなった場合に、干渉による受信パケットエラーと判定する。
図6を参照して、受信パケット干渉エラー検出方法を具体的に説明する。
(1) Noisefloor値測定回路310では、受信パケットの前後で測定したNoisefloorを測定する。あらかじめ設定した干渉判定閾値と比較し、Noisefloor値が干渉判定閾値を超過しているかを判定する(図6a.参照)。次いで、図6b.に示すパケットを受信(受信1)するが、この受信1は、電子レンジONなどの干渉区間に衝突して受信できず、受信するパケットに対するAckが未送信となる(図6c.参照)。Ack未送信を受けて、WLAN制御回路111は、WLAN送信回路103に対して該当パケットを再送させる(図6d.参照)。この再送についても干渉区間に衝突してAck未送信となる。
(2) 受信パケット干渉エラー検出回路320は、上記再送動作とは別に、図6e.のタイミングで、受信エラー検出回路311により、受信したパケットがエラー(FCSエラー)となったことを判定する。いま、図6e.でNoisefloor値判定及びFCSエラーが発生したとする。
(3) 受信パケット(Beacon)干渉エラー判定回路312では、上記(1)で検出したNoisefloor値が干渉判定閾値を超過した条件で受信したパケットがエラーとなった場合に、干渉による受信パケットエラーと判定する(図6f.参照)。従来技術においては、干渉波のレベルを検出し干渉発生と判断していたが、その干渉波が発生している環境下でエラーが発生しているかどうかを検出することは実施していなかった。
本発明においては、Noisefloor値により干渉波レベルを検出するとともに、実際に、干渉波が発生している条件下で受信したパケットがエラーになったかどうかを判定することを特徴としている。本実施の形態の受信パケット干渉エラー検出回路320は、Noisefloor値が干渉判定閾値を超過した状態で受信したパケットがFCSエラーとなった場合に、干渉エラーと判定する。
受信パケット干渉エラー検出回路320により、干渉エラーが判定されると、WLAN制御回路111は、干渉回避回路130に対して干渉回避モードを実行させる(図6g.参照)。
干渉回避回路130による干渉回避制御については、実施の形態4及び実施の形態5により後述する。
ここでは、簡略して説明すると、干渉回避回路130は、干渉を検出した場合に、伝送レートをあらかじめ設定したレートに設定する<レート設定>と、再送回数を設定する<再送回数設定>を実施する(図6h.参照)。
干渉回避回路130による干渉回避制御に基づいて、レート設定及び再送回数設定が実施され、このレート設定及び再送回数設定に従って、図6i.に示すパケット送信(送信1)を行う。ここでは、この送信1についても干渉区間に衝突し、送信したパケットに対するAckが欠落する(図6j.参照)。このAck欠落を受けて、WLAN制御回路111は、WLAN送信回路103に対して該当パケットの再送を繰り返すと(図6k.参照)、干渉区間を抜けて再送が成功し(図6l.参照)、Ack受信後(図6m.参照)、受信パケットも干渉以外の区間で受信(図6n.参照)することができれば送信及び受信パケット相互の通信がOKとなる(図6o.参照)。
このように、本実施の形態によれば、無線通信装置300は、受信パケット又はBeaconのNoisefloor値を測定するNoisefloor値測定回路310及び受信したパケットがFCSエラーであることを検出する受信エラー検出回路311からなる受信パケット(Beacon)干渉エラー判定回路312、測定したNoisefloor値が干渉判定閾値を超過した条件で受信したパケットに対して、FCSエラーが検出された場合に干渉エラーと判定するので、実施の形態1,2と同様の効果、すなわち実際に、干渉の発生による要因で通信エラーが発生したことを検出することができ、発生した通信エラーが干渉エラーによるものかそうでないかを区別することができる。
なお、本実施の形態では、受信パケットのNoisefloor値を測定しているがBeacon取得時のNoisefloor値を測定してもよく、同様の効果を得ることができる。
また、受信エラーとして、受信したパケットのFCSエラーを検出しているが、FCSエラー以外の受信エラーやS/N値であってもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4及び実施の形態5は、上記干渉検出方法により干渉が発生した場合に干渉を回避する干渉回避制御について説明する。
本実施の形態の干渉回避回路は、WLANにおける無線通信装置の干渉回避回路に適用した例である。ここでは、図1、図3又は図5の無線通信装置の干渉回避回路130に適用した例により説明する。
例えば、図1において、干渉回避回路130は、干渉エラーが発生したときに、干渉回避のために、伝送レートと再送回数を制御する干渉回避制御回路108と、干渉回避制御回路108の要求に従い、実際にレートを変更するレート制御回路109と、干渉回避制御回路108の要求に従い、再送回数を変更する再送回数制御回路110とから構成される。
以下、上述のように構成された無線通信装置の干渉回避方法について説明する。
無線通信装置が送受信を行っている通信キャリアの周波数帯域で電子レンジがONした場合、この電子レンジが干渉波発生源となり、電子レンジONの間が干渉区間となる。従来例では、図33(a)に示すように、送信時に干渉が発生すると、フォールバックにより伝送レートを落とし、結果としてパケット長が長くなった状態で再送され、しかも図33(b)に示すように、再送回数は少ない規定数であった。このため、フォールバックにより伝送レートを落とすのに伴いパケット長が長くなるために、再送パケットが電子レンジON(干渉区間)の隙間を抜けることができず、また、再送回数が少ない規定数であるため、電子レンジON(干渉区間)を超える再送が実現しない。
そこで、本実施の形態では、(1)干渉検出時にフォールバック制御を停止して伝送レートを一定のレートに固定し、(2)干渉検出時には再送回数を通常通信より多く設定する。
図7は、本実施の形態の無線通信装置の干渉回避回路130による干渉波とパケット再送回数との関係を示す図である。20msecの間に電子レンジON(干渉区間)が断続的に発生した場合を例にとる。また、Beaconは、1msec程度のパケット長である。
(1)伝送レートの固定
干渉エラー検出回路120,220,320により干渉を検出すると(図1,図3,図5f.参照)、干渉回避回路130は<干渉回避モード>に移行し(図1,図3,図5g.参照)、干渉回避制御回路108は、レート制御回路109に対してフォールバック制御を停止して伝送レートをあらかじめ設定したレートに設定する。例えば、図7に示すように、伝送レートを電子レンジON(干渉区間)と次の電子レンジON(干渉区間)の隙間において回避できるようなレートに固定する。レート制御回路109が、フォールバック制御を停止して伝送レートを一定のレートに固定することでパケット長を長くせずに再送する。これにより、干渉回避時にあらかじめ想定したパケット長に制御することが可能となるため図7a.の再送n及び図7c.の受信のように、電子レンジON(干渉区間)の隙間を抜けることが可能になる。なお、図7b.は再送nのAck、図7d.は受信に対するAckである。
(2)再送回数の設定
また、干渉回避制御回路108は、再送回数制御回路110に対して再送回数を、通常動作よりも多い再送回数に設定する。例えば、通常動作において、再送回数は3〜7回程度であるが、干渉を検出した場合には、10数回以上の再送回数に設定する。これにより、図7a.の再送nに示すように、電子レンジON(干渉区間)を超えるような再送回数による再送が実施されることで通信が成功する。
以上述べた干渉回避制御についてさらに詳細に説明する。
図8は、干渉エラー回避回路130による干渉回避処理を示すフロー図である。図中、Sはフローの各ステップを示す。図9は、干渉波レベル判定と干渉エラー判定の動作内容を表にして示す図である。
まず、ステップS1で干渉エラー検出回路120,220,320が通信状態を監視しており、ステップS2で干渉波レベルを判定する。干渉波レベル判定は、図9の表に示すように、〔送信パケット〕を用いる場合には、送信する前のED値を測定し、測定したED値が干渉判定閾値を超過しているか否かを判定する(実施の形態1,2参照)。〔受信パケット〕を用いる場合には、受信時のNoisefloor値を測定し、測定したNoisefloor値が干渉判定閾値を超過しているか否かを判定する(実施の形態3参照)。上記ED値又はNoisefloor値が干渉判定閾値未満の場合は、干渉波が発生していない状況であるため、干渉回避動作への移行は実施せず、通常の通信状態を継続するため上記ステップS1に戻る。
上記ステップS2でED値又はNoisefloor値が干渉判定閾値を超過している場合は、ステップS3で干渉エラー判定を行う。干渉波エラー判定は、図9の表に示すように、〔送信パケット〕を用いる場合には、ED値が干渉判定閾値を超過している条件で送信されたパケットに対するAPからのAckが欠落した場合に干渉エラーと判定する(実施の形態1参照)。あるいは、ED値が干渉判定閾値を超過している条件で送信されたパケットが規定の再送において送信できなかった場合に干渉エラーと判定する(実施の形態2参照)。〔受信パケット〕を用いる場合には、Noisefloor値が干渉判定閾値を超過している条件で受信したパケットがエラーであった場合に干渉エラーと判定する。このように、干渉波レベルがあらかじめ設定した干渉判定閾値を超過するような大きなレベルが発生している環境下で送信した又は受信したパケットがエラーとなる場合には、干渉エラーであると判定する。
上記ステップS3でED値又はNoisefloor値が干渉判定閾値を超過しているがエラーが発生していない場合は、本干渉回避を実行する必要がないため通常の通信状態を継続する。上記ステップS3で干渉エラーであると判定した場合は、ステップS4で干渉源(例えば電子レンジON)の隙間において通信可能なようにあらかじめ設定した固定のレートに伝送レートを設定し、ステップS5で再送回数を通常通信よりも大きくする再送回数を設定して本フローを終了する。上記伝送レート設定では、レート制御回路109がフォールバック制御を停止して伝送レートをあらかじめ設定した伝送レートに設定する。また、上記再送回数設定では、再送回数制御回路110が通常動作よりも多い再送回数に設定する。例えば、通常通信において、3〜7回程度の再送回数を10数回程度まで再送回数を増加させる。
上述した干渉回避動作により、フォールバック制御停止で固定のパケット長になるようにレート設定し、かつ再送回数を増加して再送することで、干渉エラー検出時には干渉波の隙間に対して適正なパケットサイズとなるようにあらかじめ設定した再送が通常回数よりも数多く再送されることになり、干渉源の隙間を抜けるヒット率が向上し、干渉源の隙間を抜けて通信が可能となる効果が期待できる。
このように、本実施の形態によれば、干渉回避制御回路108、レート制御回路109及び再送回数制御回路110からなる干渉回避回路130を備え、干渉回避回路130は、干渉エラー検出時、伝送レートを下げるフォールバック制御を停止して伝送レートを一定のレートに固定し、かつ再送回数を通常通信より多く設定するので、ある一定のパケット長により再送しながら、干渉源の隙間において通信可能となり、WLAN通信時に、電子レンジなどの干渉源による妨害波の影響を受けた際に、干渉を回避することができ、通信を行うことができる。
(実施の形態5)
実施の形態4では、干渉検出時にフォールバック制御を停止し、伝送レートを一定のレートに固定し、かつ再送回数を通常通信より多く設定することで、干渉源の隙間で干渉回避を行うことが可能になった。本実施の形態では、上記干渉回避時における伝送レートと再送回数を、送信するデータサイズに応じて設定する例である。
図10は、本発明の実施の形態5に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。図1及び図5と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態は、送信パケット及び受信パケットの干渉エラー検出方法に適用した例である。
図10において、無線通信装置400は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106、送信パケット干渉エラー判定回路107、Noisefloor(干渉波レベル)値測定回路310、受信エラー検出回路311、受信パケット(Beacon)干渉エラー判定回路312、パケットサイズ入力回路431、レート/再送回数決定回路432、干渉回避制御回路433、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及びWLAN制御回路111を備えて構成される。
上記ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106、送信パケット干渉エラー判定回路107、Noisefloor値測定回路310、受信エラー検出回路311及び受信パケット干渉エラー判定回路312は、全体として、パケット干渉エラー検出回路420を構成し、上記パケットサイズ入力回路431、レート/再送回数決定回路432、干渉回避制御回路433、レート制御回路109及び再送回数制御回路110は、全体として、干渉回避回路430を構成する。
パケット干渉エラー検出回路420は、図1の送信パケット干渉エラー検出回路120と図5の受信パケット干渉エラー検出回路320を併せ持つ構成である。
干渉回避回路430は、図1の干渉回避回路130に、パケットサイズ入力回路431及びレート/再送回数決定回路432が追加され、干渉回避制御回路433は、伝送レートと再送回数を送信するデータサイズに応じて設定する制御が付加される点が異なる。
パケットサイズ入力回路431は、送信するパケットサイズをレート/再送回数決定回路432に入力する。
レート/再送回数決定回路432は、入力されたパケットサイズからあらかじめ設定したテーブルに従い、レート/再送回数を決定する。
図11は、レート/再送回数決定回路432が参照する干渉回避テーブルの一例を示す図である。
図11において、干渉回避設定テーブル500は、パケットサイズP(A),P(B),P(C),…における伝送レートA,B,C…[Mbps]と、再送回数R(A),R(B),R(C),…とをあらかじめテーブル値として格納する。例えば、送信するデータサイズ(パケットサイズ)P(A)が入力されると、このパケットサイズP(A)に対応する伝送レートと再送回数が参照され、この場合は伝送レートA[Mbps]と再送回数R(A)が読み出される。
以下、上述のように構成された無線通信装置の干渉回避方法について説明する。
図12は、本実施の形態の無線通信装置の干渉回避回路430による干渉波とパケット再送回数との関係を示す図である。20msecの間に電子レンジON(干渉区間)が断続的に発生した場合を例にとる。また、Beaconのパケット長は、1msec程度である。
本実施の形態では、干渉回避時における伝送レートと再送回数を、送信するデータサイズに応じて設定する。伝送レートと再送回数の設定後の基本動作は、実施の形態4と同様である。
(1)送信するデータサイズ入力
干渉エラー検出回路420により干渉を検出すると、干渉回避回路430は<干渉回避モード>に移行する。
干渉回避回路430のパケットサイズ入力回路431では、送信するパケットサイズをレート/再送回数決定回路432に入力する。
(2)伝送レート/再送回数決定
レート/再送回数決定回路432では、干渉回避設定テーブル500を参照して、入力された送信するパケットサイズに対応する伝送レートA,B,C…[Mbps]と再送回数R(A),R(B),R(C),…を読み出す。図12(a)は、送信するデータサイズ(パケットサイズ)P(A)が入力され、パケットサイズP(A)に対応する伝送レートA[Mbps]と再送回数R(A)が読み出されて設定された場合を、図12(b)は、送信するデータサイズ(パケットサイズ)P(C)が入力され、パケットサイズP(C)に対応する伝送レートC[Mbps]と再送回数R(C)が読み出されて設定された場合を示す。
(3)伝送レートの設定
干渉回避制御回路433は、レート制御回路109に対してフォールバック制御を停止して、伝送レートをレート/再送回数決定回路432により設定したレートに固定する。例えば、図12(a)に示すように、発生した送信パケットサイズP(A)に対応し、かつ伝送レートを電子レンジON(干渉区間)と次の電子レンジON(干渉区間)の隙間において回避できるような伝送レートA[Mbps]に固定する。本実施の形態では、レート制御回路109により設定される伝送レートは、送信するデータサイズに応じて可変されることになる。例えば、図12(b)に示すように、発生した送信データサイズがパケットサイズP(C)である場合には、この送信データサイズのパケットを送信でき、かつ電子レンジON(干渉区間)と次の電子レンジON(干渉区間)の隙間において回避できるような伝送レートC[Mbps]に設定する。図12では、パケットサイズP(A)とパケットサイズP(C)に応じて、再送及び受信の伝送レートA[Mbps]と伝送レートC[Mbps]とが異なるが、電子レンジON(干渉区間)の隙間にて通信できるようなパケット長に設定されるこれにより、送信パケット及び再送パケット長は、送信データサイズに対応した干渉回避可能なパケットサイズとなり、図12(a),(b)の再送を繰り返すことで電子レンジON(干渉区間)の隙間を抜けることが可能になる。
(4)再送回数の設定
また、干渉回避制御回路433は、再送回数制御回路110に対して、再送回数をレート/再送回数決定回路432により決定した再送回数に設定する。レート/再送回数決定回路432が決定する再送回数の基本値自体が、通常動作よりも多い再送回数であり、かつこれに送信データサイズに応じた調整が施された再送回数が設定される。図12では、パケットサイズP(A)とパケットサイズP(C)に応じて、再送回数R(A)と再送回数R(C)とがそれぞれ設定される。通常動作において、再送回数は3〜7回程度であるが、干渉を検出した場合には、10数回以上の再送回数R(A),R(C)が設定される。これにより、図12(a),(b)の再送nに示すように、電子レンジON(干渉区間)を超えるように再送が繰り返されることで再送による通信が成功する。
以上述べた干渉回避制御についてさらに詳細に説明する。
図13は、干渉エラー回避回路430による干渉回避処理を示すフロー図である。図8のフローと同一処理を行うステップには同一符号を付している。
まず、ステップS1で干渉エラー検出回路420が通信状態を監視しており、ステップS2で干渉波レベルを判定する。干渉波レベル判定は、前記図9の表に示すように、〔送信パケット〕を用いる場合には、送信する前のED値を測定し、測定したED値が干渉判定閾値を超過しているか否かを判定する。〔受信パケット〕を用いる場合には、受信時のNoisefloor値を測定し、測定したNoisefloor値が干渉判定閾値を超過しているか否かを判定する。上記ED値又はNF値が干渉判定閾値未満の場合は、干渉波のレベルが低いため干渉波が発生していないと判断し、上記ステップS1に戻る。
上記ステップS2でED値又はNoisefloor値が干渉判定閾値を超過している場合は、ステップS3で干渉エラー判定を行う。干渉波エラー判定は、前記図9の表に示すように、〔送信パケット〕を用いる場合には、ED値が干渉判定閾値を超過している条件で送信されたパケットに対するAPからのAckが欠落した場合に干渉エラーと判定する。あるいは、ED値が干渉判定閾値を超過している条件で送信されたパケットが規定の再送において送信できなかった場合に干渉エラーと判定する。〔受信パケット〕を用いる場合には、Noisefloor値が干渉判定閾値を超過している条件で受信したパケットがエラーであった場合に干渉エラーと判定する。このように干渉波が発生している条件で送信又は受信したパケットがエラーとなった場合に、干渉エラーであると判定する。
上記ステップS3でED値又はNoisefloor値が干渉判定閾値を超過しているが干渉エラーでないと判定した場合は、干渉波が発生している状態においても、通信を継続することができるため、通常の通信状態を継続する。
上記ステップS3で干渉エラーであると判定した場合は、ステップS11でパケットサイズを算出する。発生した送信データサイズをパケットサイズ入力回路431により入力し、このパケットサイズ入力からパケットサイズを算出する。次いで、ステップS12で算出したパケットサイズに応じて、あらかじめ設定した干渉回避設定テーブル500を参照して伝送レートを設定し、ステップS13で干渉回避設定テーブル500を参照して再送回数を設定して本フローを終了する。干渉回避設定テーブル500を参照して設定される伝送レートは、干渉源(例えば電子レンジON)の隙間において通信可能なようにあらかじめ設定した固定の伝送レートである。干渉回避設定テーブル500を参照して設定される再送回数は、通常動作よりも多い再送回数である。
上述した干渉回避動作により、フォールバック制御停止で固定のパケット長にレート設定し、かつ再送回数を増加して再送することで、干渉エラー検出時にはあらかじめ干渉回避のために設定したパケットサイズの再送が通常回数よりも数多く再送されることになり、干渉源の隙間を抜けるヒット率が向上し、干渉源の隙間を抜けて通信が可能になる効果が期待できる。
このように、本実施の形態によれば、さらに、送信するパケットサイズに応じて伝送レート及び再送回数を設定するので、一定のパケット長により再送する場合に、適正な伝送レート及び再送回数を設定することができ、WLAN通信時に、電子レンジなどの干渉源による妨害波の影響を受けた際に、干渉回避の実効をより一層高める効果が期待できる。
ここで、本実施の形態では、送信するパケットサイズに応じて、あらかじめ設定した干渉回避設定テーブル500に従い伝送レート及び再送回数を設定しているが、送信するデータサイズに応じて伝送レート又は再送回数を設定するものであればどのような方法でもよい。例えば、伝送レート設定において、テーブルを持たずに送信するパケットサイズから、ある一定のパケット長になるように、伝送レートを算出する方法を用いてもよい。あるいは、あらかじめ干渉回避時におけるパケット長を設定し、発生した送信データサイズからそのパケット長になるような伝送レートを自動的に算出する方法を用いてもよい。また、ある一定期間干渉波の隙間の時間を検出し、その隙間にて通信可能な伝送レート及び再送回数を算出する方法を用いてもよい。
(実施の形態6)
上述した実施の形態4,5により、WLAN通信時に、電子レンジなどの干渉源による妨害波から、干渉を有効に回避することが可能になった。
実施の形態4,5では、干渉回避時に、固定の伝送レート(例えば11Mbps)でかつ14回程度の再送数を設定していた。これは、電子レンジでの干渉回避を想定して再送回数を設定していたためである。
ところが、電子レンジ以外の干渉源が発生した場合に、11Mbpsの伝送レート及び14回の再送数では適正な干渉回避ができない可能性がある。電子レンジ以外の干渉源には、医療機器による電波干渉がある。また、BluetoothやUWBなどの特定小電力近距離双方向無線通信方式による電波干渉も考えられる。
そこで、以下の実施の形態6乃至10では、干渉発生時に、干渉源に合致する伝送レート、再送数及び/又は送信タイミングを設定し、より有効に干渉回避を行う干渉回避方法について説明する。
伝送レート、再送数、送信タイミング決定方法により、以下の3方式を提案する。
(1)干渉マッピングによる干渉回避方法
(2)干渉エラーレート(IER)、パケットエラーレート(PER)による干渉回避方法
(3)干渉パターンリストによる干渉回避方法
実施の形態6は、上記(1)干渉マッピングによる干渉回避方法の例である。
図14は、本発明の実施の形態6に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図14において、無線通信装置600は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、ED(Energy Detect)値検出回路105、Ackエラー検出回路106、送信パケット干渉エラー判定回路107、WLAN制御回路611、干渉マッピング処理回路612、干渉回避制御回路631、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632を備えて構成される。
上記ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106及び送信パケット干渉エラー判定回路107は、全体として、送信パケット干渉エラー検出回路120を構成し、上記干渉回避制御回路631、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632は、全体として、干渉回避回路630を構成する。
ED値検出回路105は、パケットを送信する前に、妨害波のレベル(ED値)を測定し、干渉閾値と比較し、超過しているかどうかを判定する。
Ackエラー検出回路106は、送信したパケットに対するAckが欠落したかどうかを判定する。
送信パケット干渉エラ−判定回路107は、ED値検出回路105とAckエラー検出回路106から送信パケット干渉エラーが発生したかどうかを判定する。
WLAN制御回路611は、送信パケット干渉エラー検出回路120からの干渉エラーが判定結果に基づいて、干渉回避回路630に対して干渉回避モードを実行させる。
干渉マッピング処理回路612は、送信したパケットが送信成功か失敗かをマッピングして、そのマッピング結果から再送数、伝送レート及び送信タイミングを決定する。
干渉回避制御回路631は、干渉マッピング処理回路612により決定された再送数、伝送レート及び送信タイミングを基に、干渉回避のために、伝送レート、再送回数及び送信タイミングを制御する。
レート制御回路109は、干渉回避制御回路631の要求に従い、実際にレートを変更する。再送回数制御回路110は、干渉回避制御回路631の要求に従い、再送回数を設定する。送信タイミング制御回路632は、干渉回避制御回路631の要求に従い、送信タイミングを設定する。
以下、上述のように構成された無線通信装置600の干渉回避方法について説明する。
〔干渉マッピングによる干渉回避方法の基本的な考え方〕
図15は、無線通信装置600の干渉マッピング処理回路612による干渉波とパケット再送数と送信タイミングとの関係を示す図である。
図15(a)に示すように、電子レンジ又は電子レンジ以外の干渉波が断続的に発生している。送信したパケットは、断続的に発生する干渉波により図15(a)の×印で衝突し失敗、図15(a)の○印で通り抜けて成功になるものとする。
本実施の形態の干渉マッピングによる干渉回避方法は、(1)干渉波発生時に、送信がOKとなったタイミングを記憶し、その周期に対応した再送回数と伝送レートを設定する。(2)また、通信OKとなるタイミングから送信するタイミングを調整する。本実施の形態では、WLAN制御回路611の干渉マッピング処理回路612が、送信したパケットがOKとなったタイミングを記憶し、送信成功か失敗かの干渉マッピングを作成する。例えば、図15(a)に示す送信成功/失敗のマッピングが作成される。干渉回避制御回路631は、干渉マッピング処理回路612からのマッピング結果を基に、再送回数と送信タイミングを制御する。そして、再送回数制御回路110は、干渉回避制御回路631の要求に従い、再送回数を設定する。送信タイミング制御回路632は、干渉回避制御回路631の要求に従い、送信タイミングを設定する。
図15(b)に示すように、干渉波発生時に、送信がOKとなったタイミングを記憶し、送信成功か失敗かの干渉マッピングを作成する。このマッピング結果から最適再送数を決定する。ここでは、干渉回避制御回路631が、マッピング結果を基に、断続的に発生する干渉波の隙間で送信するために必要な再送数5回を設定する。図15(a)(b)から分かるように、パケットサイズが所定サイズであるとすると、送信パケットの再送回数を5回以上に設定しない場合には、干渉波の隙間に届かず送信失敗となる一方、それ以上の再送回数を設定しても干渉波に妨げられて無駄となる。したがって、この場合の最適再送数は5回となる。干渉マッピング処理回路612によるマッピング結果から最適再送数を設定することができる。
同様に、図15(c)に示すように、干渉マッピング処理回路612によるマッピング結果から送信タイミングを決定する。本実施の形態では、干渉回避制御回路631が、干渉マッピング処理回路612からのマッピング結果を基に、断続的に発生する干渉波の隙間で送信するために必要な送信タイミングを設定する。図15(a)(c)から分かるように、図15(c)に示す送信タイミングで再送すると、断続的に発生する干渉波の隙間で送信が成功する。
以上のことから、干渉マッピングによる干渉回避方法には、マッピング結果から、(1)送信タイミングを決定する方法と、(2)最適再送数を決定する方法とを採ることができる。これら干渉回避方法の詳細については、図17及び図18の制御フローにより後述する。
図16は、無線通信装置600の干渉マッピング処理回路612の干渉マッピング処理の一例を示す図であり、図16(a)はその干渉マッピング例、図16(b)はその干渉マッピングにより推定される干渉源発生推定結果を示す。
図16(a)に示すように、干渉マッピングは、送信時間t1−tn毎に、送信完了(送信成功/失敗)と送信Rateをマッピングする。
この干渉マッピングは、干渉源の特徴を把握するために実施される。パケットを送信した時間とそのパケットが実際に送信できたかどうかと送信したパケットの伝送速度を干渉マッピング上に記憶させる。
このマッピングは例えば、VoIP(Voice over Internet Protocol)等のパケットを想定する場合には、VoIPのパケット周期20msから、約100パケット分の2sec程度を送信したパケットが正常に送信できたかどうかをモニタしその傾向をみる。また、干渉源の特徴から、電子レンジは50Hz/60Hz程度、Bluetoothに関しても1ms程度の周期であるため、2ms程度をモニタすれば干渉源の特徴は検出できる。その中で、実際に送信できた時間から、干渉源のパターンを分析し、干渉が発生していないと予測できるタイミングと周期を算出する。
図16(a)の干渉マッピング例では、t8−t4の周期で干渉源が発生し、送信時間t4,t8,t12の周期で干渉源が停止していると予想される。図16(b)はその干渉マッピングにより推定される干渉源発生推定結果である。
本実施の形態では、干渉マッピング処理回路612によるマッピング結果を基に算出された周期とタイミングから、干渉回避制御回路631が適正な再送数と伝送レートと送信タイミングを決定する。
図17は、干渉マッピング処理回路612によるマッピング処理及び干渉回避制御回路631による干渉回避処理を示すフロー図である。本制御フローは、上記マッピング結果から、送信タイミングを決定する方法に適用した例である。
ステップS21では、送信パケット干渉エラー検出回路120は干渉エラーを検出し、検出した干渉エラーをWLAN制御回路611の干渉マッピング処理回路612に出力する。
ステップS22では、干渉マッピング処理回路612は干渉マッピングを開始する。干渉マッピング処理回路612は、図16に示すように送信トラフィックの成功/失敗とその時間をマッピングする。
ステップS23では、干渉回避制御回路631は送信成功タイミングを検出し、ステップS24で干渉源周期を検出する。干渉回避制御回路631は、干渉マッピング処理回路612からのマッピング結果を基に、送信成功タイミングと周期を検出する。例えば、図15(b)に示す送信タイミングを決定する。
ステップS25では、干渉回避制御回路631は送信成功タイミングとその周期から、干渉回避で動作させる伝送レートを決定し、ステップS26で再送数を決定する。干渉回避制御回路631は、干渉マッピング処理回路612からのマッピング結果を基に、干渉回避で動作させる伝送レートと再送数を決定する。例えば、図15(a)に示す再送数を決定する。
ステップS27では、干渉回避制御回路631はレート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632にそれぞれ伝送レート、再送回数及び送信タイミングを設定して、レート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632により干渉回避動作を開始して本フローを終了する。
図18は、干渉マッピング処理回路612によるマッピング処理及び干渉回避制御回路631による干渉回避処理を示すフロー図である。本制御フローは、上記マッピング結果から、最適再送数を決定する方法に適用した例である。
ステップS31では、送信パケット干渉エラー検出回路120は干渉エラーを検出し、検出した干渉エラーをWLAN制御回路611の干渉マッピング処理回路612に出力する。
ステップS32では、干渉回避制御回路631は干渉源(例えば電子レンジON)の隙間において通信可能なようにあらかじめ設定したレートに伝送レートを設定し、ステップS33で再送数を設定する。本実施の形態では、マッピング結果を基に、干渉源に合致する伝送レート、再送数及び送信タイミングを設定する干渉回避方法である。このステップS32,S33は、干渉マッピングに先立って、伝送レート、再送数及び送信タイミングの基本設定をしておく。
ステップS34では、干渉マッピング処理回路612は干渉マッピングを開始し、ステップS35で干渉マッピングを完了する。干渉マッピング処理回路612は、図16に示すように送信トラフィックの成功/失敗とその時間をマッピングする。
ステップS36では、干渉回避制御回路631は送信成功タイミングを検出するとともに、干渉源周期を検出する。干渉回避制御回路631は、干渉マッピング処理回路612からのマッピング結果を基に、送信成功タイミングと周期を検出する。例えば、図15(b)に示す送信タイミングを決定する。
ステップS37では、干渉回避制御回路631はマッピング結果により設定された再送数を全て実行したか否かを判別する。再送数を全て実行していない場合は、ステップS38で再送数を変更して上記ステップS34に戻り干渉マッピング処理を実施する。
再送数を全て実行した場合は、ステップS39で設定した伝送レートでの最適再送数を決定する。
ステップS40では、干渉回避制御回路631は設定された伝送レートを全て実行したか否かを判別する。伝送レートを全て実行していない場合は、ステップS41で伝送レートを変更して上記ステップS33に戻り同様に最適再送数を決定する。
伝送レートを全て実行した場合は、ステップS42で干渉回避制御回路631はそれぞれの伝送レートにおける結果から最良の伝送レートと再送数を選択する。干渉回避制御回路631は、干渉マッピング処理回路612からのマッピング結果を基に、干渉回避で動作させる最適伝送レートと再送数を決定する。
ステップS43では、干渉回避制御回路631はレート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632にそれぞれ伝送レート、再送回数及び送信タイミングを設定して、レート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632により干渉回避動作を開始して本フローを終了する。
このように、本実施の形態によれば、干渉波発生時に、送信がOKとなったタイミングを記憶し、その周期に対応した再送回数と伝送レートを設定する。また、通信OKとなるタイミングから送信するタイミングを調整する。これにより、干渉波の周期に合致した再送数、伝送レート及び送信タイミングを設定することができ、送信時間占有時間を最適化することができる。したがって、電子レンジ以外の干渉源が発生した場合であっても、より適切に干渉回避を実施することができる。
(実施の形態7)
実施の形態6は、干渉発生時に、干渉源に合致する伝送レート、再送数及び送信タイミングを設定することで、送信時間占有時間を最適化している。
実施の形態7では、干渉エラーレート(IER)を検出し、最適な伝送レートと再送数を設定する例である。
図19は、本発明の実施の形態7に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。図14と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態は、干渉エラーレート(IER)検出による再送数、伝送レート制御方法に適用した例である。
図19において、無線通信装置700は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106、送信パケット干渉エラー判定回路107、WLAN制御回路711、IER検出回路712、干渉回避パラメータ実行回路713、干渉回避制御回路731、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632を備えて構成される。
上記ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106及び送信パケット干渉エラー判定回路107は、全体として、送信パケット干渉エラー検出回路120を構成し、上記干渉回避制御回路731、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632は、全体として、干渉回避回路730を構成する。
WLAN制御回路711は、送信パケット干渉エラー検出回路120からの干渉エラーが判定結果に基づいて、干渉回避回路730に対して干渉回避モードを実行させる。
IER検出回路712は、干渉エラーが発生した干渉エラーレートを検出する。
干渉回避パラメータ実行回路713は、IERを検出しながら、再送数、伝送レート、送信タイミングを変化させ、最もIERが小さくなる干渉回避パラメータを決定する。
干渉回避制御回路731は、干渉回避パラメータ実行回路713により決定された干渉回避パラメータを基に、干渉回避のために、伝送レートと再送回数を制御する。
レート制御回路109は、干渉回避制御回路731の要求に従い、実際にレートを変更する。再送回数制御回路110は、干渉回避制御回路731の要求に従い、再送回数を設定する。送信タイミング制御回路632は、干渉回避制御回路731の要求に従い、送信タイミングを設定する。
以下、上述のように構成された無線通信装置700のIER検出による再送数及び伝送レート制御方法について説明する。
〔IER検出による再送数及び伝送レート制御方法の基本的な考え方〕
実施の形態4,5では、再送回数を初期設定で15程度と固定していたため、1台の端末で送信時間の占有時間が大きく、他の端末の通信に影響を及ぼす可能性があった。
そこで、本実施の形態では、干渉波発生時に、IERを検出しながら、エラー率が最小となる伝送レートと再送数を設定する。
まず、前記実施の形態1乃至3で説明した干渉検出方法に基づいて、干渉エラーレート(IER)を定義する。
実施の形態1乃至3では、パケットのエラーが発生した時に、送信したパケットが干渉によるエラーであるか、干渉以外のエラーかどうかを判断することが可能である。また、干渉エラーレートと全体のパケットエラーレートを算出することが可能である。
干渉エラーレートの算出式は、次式(1)に、パケットエラーレートの算出式は、次式(2)にそれぞれ示される。
干渉エラーレート=干渉エラーパケット数/送信パケット数 …(1)
パケットエラーレート=送信エラーパケット数/送信パケット数 …(2)
上記送信パケットエラー数は、送信したパケットの中で、送信が完了せずにエラーとなった全てのパケット数であり、干渉によるエラーも全て含んでいる。
図20は、無線通信装置700のIER検出回路712によるIER検出とパケット再送数と伝送レートとの関係を示す図である。
図20(a)に示すように、電子レンジ又は電子レンジ以外の干渉波が断続的に発生している。送信したパケットは、断続的に発生する干渉波により図20(b)−(d)の×印で衝突し失敗、○印で通り抜けて成功になるものとする。
本実施の形態は、IERを検出しながら再送数、伝送速度を調整する。
IER検出による再送数、伝送レート制御方法の結果は、以下の通りである。
図20(b)に示すように、再送数2回、伝送レート5.5Mに設定してIERを検出する。干渉エラーレートは66%である。
図20(c)に示すように、再送数3回、伝送レート5.5Mに設定してIERを検出する。干渉エラーレートは33%である。
図20(d)に示すように、再送数4回、伝送レート11Mに設定してIERを検出する。干渉エラーレートは0%である。
このように、干渉波発生時に、IERを検出しながら、エラー率が最小となる伝送レートと再送数を設定することで、干渉源に合致した再送数及び伝送レートを設定することができる。
図21は、IER検出回路712によるIER検出、干渉回避パラメータ実行回路713による最適干渉回避パラメータ決定及び干渉回避制御回路731による干渉回避処理を示すフロー図である。
ステップS51では、送信パケット干渉エラー検出回路120は干渉エラーを検出し、検出した干渉エラーをWLAN制御回路711のIER検出回路712に出力する。
ステップS52では、干渉回避制御回路731は干渉源(例えば電子レンジON)の隙間において通信可能なようにあらかじめ設定したレートに伝送レートを設定し、ステップS53で再送数を設定する。本実施の形態では、IERを検出し、最適な伝送レートと再送数を設定する干渉回避方法である。このステップS52,S53は、IER検出に先立って、伝送レート及び再送数の基本設定をしておく。
ステップS54では、IER検出回路712は伝送レートと再送数を設定して送信を実行した際のIERを検出する。
ステップS55では、干渉回避制御回路731は設定された再送数を全て実行したか否かを判別する。再送数を全て実行していない場合は、ステップS56で再送数を変更して上記ステップS54に戻りIER検出を実施する。
再送数を全て実行した場合は、ステップS57で干渉回避パラメータ実行回路713は実行中の伝送レートでの最適再送数を決定する。
ステップS58では、干渉回避制御回路731は設定された伝送レートを全て実行したか否かを判別する。伝送レートを全て実行していない場合は、ステップS59で伝送レートを変更して上記ステップS53に戻り、同様にその伝送レートでの最適再送数を決定する。
伝送レートを全て実行した場合は、ステップS60で干渉回避パラメータ実行回路713はそれぞれの伝送レートにおける結果から最良の伝送レートと再送数を選択する。干渉回避パラメータ実行回路713は、IERを検出しながら、再送数、伝送レート、送信タイミングを変化させ、最もIERが小さくなる干渉回避パラメータを決定する。
ステップS61では、干渉回避制御回路731はレート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632にそれぞれ伝送レート、再送回数及び送信タイミングを設定して、レート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632により干渉回避動作を開始して本フローを終了する。
このように、本実施の形態によれば、干渉波発生時に、IERを検出し、IERが最小となる伝送レートと再送数を設定することで、干渉源に合致した再送数及び伝送レートを設定することができ、実際の通信品質を考慮した干渉回避が実現できるとともに、送信パケットの占有時間を最適化することができる。
(実施の形態8)
実施の形態8では、IERを検出し、最適な送信タイミングを設定する例である。
本発明の実施の形態8に係るWLANにおける無線通信装置の構成は、図19と同一構成であるため説明を省略する。
本実施の形態では、WLAN制御回路711の干渉回避パラメータ実行回路713が、干渉源に合致した送信タイミングを設定する。
干渉回避制御回路731は、干渉回避パラメータ実行回路713により決定された干渉回避パラメータを基に、干渉回避のために、送信タイミングを制御する。
以下、上述のように構成された無線通信装置のIER検出による送信タイミング制御方法について説明する。
図22は、無線通信装置700のIER検出回路712によるIER検出と送信タイミングの調整の関係を示す図である。
図22(a)に示すように、電子レンジ又は電子レンジ以外の干渉波が断続的に発生している。送信したパケットは、断続的に発生する干渉波により図22(b)−(d)の×印で衝突し失敗、○印で通り抜けて成功になるものとする。
本実施の形態は、IERを検出しながら送信タイミングを調整する。
IER検出による送信タイミングの調整結果は、以下の通りである。
図22(b)(c)に示す送信タイミングでは、失敗である。
図22(d)に示すように、IERを検出しながら送信タイミングを調整することで、再送数を最小にすることができる。
図23は、IER検出回路712によるIER検出、干渉回避パラメータ実行回路713による送信タイミング調整及び干渉回避制御回路731による干渉回避処理を示すフロー図である。
ステップS71では、送信パケット干渉エラー検出回路120は干渉エラーを検出し、検出した干渉エラーをWLAN制御回路711のIER検出回路712に出力する。
ステップS72では、干渉回避制御回路731は干渉源(例えば電子レンジON)の隙間において通信可能なように送信タイミングを設定する。
ステップS73では、IER検出回路712は設定した送信タイミングで送信を実行した際のIERを検出する。
ステップS74では、干渉回避制御回路731は設定した送信タイミングを全て実行したか否かを判別する。設定した送信タイミングを全て実行していない場合は、ステップS75で送信タイミングを変更して上記ステップS73に戻りIER検出を実施する。
設定した送信タイミングを全て実行した場合は、ステップS76で干渉回避パラメータ実行回路713は最もIERが小さくなる送信タイミングを選択する。
ステップS77では、干渉回避制御回路731はレート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632にそれぞれ伝送レート、再送回数及び送信タイミングを設定して、レート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632により干渉回避動作を開始して本フローを終了する。
このように、本実施の形態によれば、干渉波発生時に、IERを検出し、IERが最小となるように送信タイミングに設定することで、再送数を最小にすることができ、1パケットに対する送信時間占有時間も最小化することができる。
(実施の形態9)
実施の形態9では、IER検出に加え、さらにパケットエラーレート(PER)検出し、PERとIERを使用した伝送速度、再送数制御方法の例である。
図24は、本発明の実施の形態9に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。図3及び図19と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態は、PERとIER検出による再送数、伝送レート制御方法に適用した例である。
図24において、無線通信装置800は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、ED値検出回路105、送信エラー検出回路211、送信パケット干渉エラー判定回路212、WLAN制御回路811、IER検出回路712、PER検出回路812、干渉回避パラメータ実行回路813、干渉回避制御回路831、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632を備えて構成される。
上記ED値検出回路105、送信エラー検出回路211及び送信パケット干渉エラー判定回路212は、全体として、送信パケット干渉エラー検出回路220を構成し、上記干渉回避制御回路831、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632は、全体として、干渉回避回路830を構成する。
送信エラー検出回路211は、送信したパケットが規定の再送で送信できなかったことを送信エラーとして検出する。
送信パケット干渉エラー判定回路212は、ED値検出回路105により検出されたED値と送信エラー検出回路211により検出された送信エラー検出結果から送信パケット干渉エラーが発生したことを判定する。
実施の形態6乃至8は、ED値が干渉判定閾値を超過した条件で送信したパケットがAckエラーとなった場合に、干渉エラーと判定していた。本実施の形態では、同様の条件で送信したパケットが複数回の再送によっても送信できなかった場合に、干渉エラーと判定する。但し、本実施の形態において、送信パケット干渉エラー検出回路220がAckエラー検出回路107を備える構成であってもよい。
WLAN制御回路811は、送信パケット干渉エラー検出回路220からの干渉エラー判定結果に基づいて、干渉回避回路830に対して干渉回避モードを実行させる。
IER検出回路712は、干渉エラーが発生した干渉エラーレート(IER)を検出する。
PER検出回路812は、送信パケットに対するエラーをパケット毎に検出し、パケットエラーレート(PER)を検出する。
干渉回避パラメータ実行回路813は、IERとPERを検出しながら、再送数、伝送レート、送信タイミングを変化させ、最もPERとIERが小さくなる干渉回避パラメータを決定する。
干渉回避制御回路831は、干渉回避パラメータ実行回路813により決定された干渉回避パラメータを基に、干渉回避のために、伝送レートと再送回数を制御する。
レート制御回路109は、干渉回避制御回路831の要求に従い、実際にレートを変更する。再送回数制御回路110は、干渉回避制御回路831の要求に従い、再送回数を設定する。送信タイミング制御回路632は、干渉回避制御回路831の要求に従い、送信タイミングを設定する。
以下、上述のように構成された無線通信装置800のPERとIER検出による再送数及び伝送レート制御方法について説明する。
図25は、無線通信装置800のIER検出回路712によるIER検出とPER検出回路812によるPERと送信タイミングの調整の関係を示す図である。
本実施の形態では、干渉波発生時に、PERとIERを検出しながら、最適な伝送レートと再送数を設定する。
図25に示すように、干渉波が断続的に発生している。
干渉波発生時に、PER検出回路812はPERを検出し、IER検出回路712はIERを検出する(図25a.参照)。
IERとPERを検出しながら、干渉回避パラメータ実行回路813は、最適な伝送レート、再送数となる干渉回避パラメータを決定する(図25b.参照)。
図25c.では、伝送レート11Mbps,再送回数2回で送信し、IER=0%,PER=10%を検出した。図25d.では、伝送レート5.5Mbps,再送回数2回で送信し、IER=0%,PER=2%を検出した。図25c.d.に示す2送信パケットを比較すると、IERはいずれも0%であるため、IER検出だけでは最適な伝送レート及び再送数を判断できない。この場合、IERが0%のときに、PERが10%であるケースでは、IERのみの制御ではPERが最適となる伝送レート及び再送数を設定できない。本実施の形態では、PERを検出を追加し、例えばIERが0%となる伝送レートが5.5Mbpsと11Mbpsの2通り検出できた場合に、PERが最小となる伝送レートを選択する。
干渉回避制御回路831は、干渉回避パラメータ実行回路813により決定された干渉回避パラメータを基に、伝送レート及び再送数を変化させ、最もPERとIERが小さくなる伝送レート及び再送数を設定する(図25e.参照)。これにより、図25f.に示す伝送レート5.5Mbps,再送回数4回が最適な伝送レートと再送数として設定される。
図26は、PERとIERを使用した伝送レート及び再送数設定による干渉回避処理を示すフロー図である。
ステップS81では、送信パケット干渉エラー検出回路220は干渉エラーを検出し、検出した干渉エラーをWLAN制御回路811のIER検出回路712及びPER検出回路812に出力する。
ステップS82では、干渉回避制御回路731は干渉源(例えば電子レンジON)の隙間において通信可能なようにあらかじめ設定したレートに伝送レートを設定し、ステップS83で再送数を設定する。本実施の形態では、PERとIERを検出し、最適な伝送レートと再送数を設定する干渉回避方法である。このステップS82,S83は、PERとIER検出に先立って、伝送レート及び再送数の基本設定をしておく。
ステップS84では、IER検出回路712は伝送レートと再送数を設定して送信を実行した際のIERを検出して記憶する。
ステップS85では、PER検出回路812は伝送レートと再送数を設定して送信を実行した際のPERを検出して記憶する。
ステップS86では、干渉回避制御回路831は設定された再送数を全て実行したか否かを判別する。再送数を全て実行していない場合は、ステップS87で再送数を変更して上記ステップS84に戻りIER検出及びPER検出を実施する。
再送数を全て実行した場合は、ステップS88で干渉回避パラメータ実行回路813は実行中の伝送レートでの最適再送数を決定する。
ステップS89では、干渉回避制御回路831は設定された伝送レートを全て実行したか否かを判別する。伝送レートを全て実行していない場合は、ステップS90で伝送レートを変更して上記ステップS83に戻り、同様にその伝送レートでの最適再送数を決定する。
伝送レートを全て実行した場合は、ステップS91で干渉回避パラメータ実行回路813はそれぞれの伝送レートにおける結果から最良のIERとPERとなる伝送レートと再送数を選択する。
ステップS92では、干渉回避制御回路831はレート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632にそれぞれ伝送レート、再送回数及び送信タイミングを設定して、レート制御回路109、再送回数制御回路110及び送信タイミング制御回路632により干渉回避動作を開始して本フローを終了する。
このように、本実施の形態によれば、PERとIERを検出し、PERとIERが最小となる伝送レートと再送数を設定することで、干渉源に合致した再送数及び伝送レートを設定することができる。これにより、実際の通信品質を考慮した干渉回避が実現できるとともに、送信パケットの占有時間を最適化することができる。
特に、IER検出に加え、PERも同時に検出することで実際の伝送路で発生しているエラーが最小となるレートを設定することができる。例えば、実行した伝送レートのIERがいずれも0%であり、IERのみの制御では最適となる伝送レート及び再送数を設定できない場合であっても、PERを検出することでPERが最小となる伝送レートを選択することができる。
(実施の形態10)
実施の形態10は、干渉回避パターンリストによる干渉回避方法に適用した例である。
図27は、本発明の実施の形態10に係るWLANにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。図19と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図27において、無線通信装置900は、アンテナ101、送受信切替スイッチ(T/R SW)102、WLAN送信回路103、WLAN受信回路104、ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106、送信パケット干渉エラー判定回路107、WLAN制御回路911、干渉回避パラメータ実行回路912、干渉回避制御回路931、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632を備えて構成される。
上記ED値検出回路105、Ackエラー検出回路106及び送信パケット干渉エラー判定回路107は、全体として、送信パケット干渉エラー検出回路120を構成し、上記干渉回避制御回路931、レート制御回路109、再送回数制御回路110、及び送信タイミング制御回路632は、全体として、干渉回避回路930を構成する。
WLAN制御回路911は、送信パケット干渉エラー検出回路120からの干渉エラーが判定結果に基づいて、干渉回避回路930に対して干渉回避モードを実行させる。
干渉回避パターン実行回路912は、あらかじめ規定してある干渉回避パターンを実行し、その結果から最良のパターンを検出し、干渉回避制御回路に対して、決定したパターンでの伝送レートと再送数により通信を実施することを指示する。
図28は、干渉回避パターン実行回路912が保持する干渉回避パターンリストの一例を示す図である。
図28において、干渉回避パターンリスト1000は、干渉源に対応する複数の干渉回避パターン1,2,…をあらかじめリストとして格納する。例えば、干渉回避パターン1は、想定干渉源は「電子レンジ」、伝送レートは「11Mbps」、再送数は「20回」である。干渉回避パターン2は、想定干渉源は「Bluetooth」、伝送レートは「5.5Mbps」、再送数は「10回」である。想定干渉源が同種の「電子レンジ」であっても伝送レート又は再送数が異なる干渉回避パターンを複数設けてもよい。想定干渉源はどのようなものでもよく、例えば医療機器による電波干渉がある。上記干渉回避パターンは、一例であり、設定例やリストの形態は限定されない。
以下、上述のように構成された無線通信装置900の干渉回避パターンリスト1000による干渉回避方法について説明する。
図29は、干渉回避パターンリスト1000による干渉回避処理を示すフロー図である。
ステップS101では、送信パケット干渉エラー検出回路120は干渉エラーを検出し、検出した干渉エラーをWLAN制御回路911の干渉回避パラメータ実行回路912に出力する。
ステップS102では、干渉回避パラメータ実行回路912は、あらかじめ想定していた干渉回避パターンリストに従い、伝送レートと再送数を設定し送信を実行する。ここでは、図28の干渉回避パターンリスト1000から干渉回避パターン1を読み出し、干渉回避パターン1の伝送レート及び再送数を設定して送信を実行する。
ステップS103では、干渉回避パターン1により設定した伝送レート及び再送数で送信を実行した際のIER/PERを検出する。
ステップS104では、干渉回避パターンリスト1000の干渉回避パターンを全て実行したか否かを判別する。
全ての干渉回避パターンを実行していない場合は、ステップS105で次の干渉回避パターンを実行して上記ステップS103に戻る。
上記ステップS104で全ての干渉回避パターンを実行した場合は、ステップS106で干渉回避制御回路931は実施した中で最良の干渉回避パターンを決定する。
ステップS107では、干渉回避制御回路931は決定した干渉回避パターンの伝送レートと再送数により干渉回避動作を開始して本フローを終了する。
このように、本実施の形態によれば、複数の干渉回避パターンを記憶した干渉回避パターンリスト1000をあらかじめ用意し、想定した干渉回避パターンリスト1000から干渉回避パターンを読み出して順次適用するので、最良干渉回避パターンを容易に決定することができ、干渉回避制御を迅速に実施することができる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。例えば、無線LANシステムに属さない電子レンジなどの特定の干渉源について説明したが、干渉源はどのようなものでも良く、無線LANシステム内外で影響を与える干渉機器に全て適用できる。
また、上記各実施の形態では、無線通信装置、無線LANシステム、干渉検出方法及び干渉回避方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、移動端末、無線通信機器、無線通信制御方法、電波干渉解消方法等でもよいことは勿論である。
また、上記無線通信装置を構成する各回路部の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
また、以上説明した干渉検出方法及び干渉回避方法は、この干渉検出方法及び干渉回避方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。