JP2009222274A - グロープラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンへの取付けにおけるシール性や効率的な熱伝導性の確保を、金属製筒状体に設けられた環状凸部の先端向き端面を、エンジンの取り付け穴の着座面に押付けることで担わせるように構成したもので、シール性や熱伝導性を確保させつつも、ヒータ素子に局所的に過大な応力が発生するのを防止し、ヒータ素子に脆性なセラミックヒータ素子を用いても、それに折損や破断が発生するのを防ぐ。
【解決手段】金属製筒状体21の内周面のうち、環状凸部22に対応する内周面の部位に、その内径が、ヒータ素子11の外周面を締り嵌め状態で保持している部位の内径より大きい拡径部29を設け、この拡径部29の内周面29aとヒータ素子11の外周面との間に空隙Kが形成される構成とした。相対的に肉厚な環状凸部22においてヒータ素子11を締め付けないため、過剰な応力の発生を防ぐ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジンの始動促進のための予備加熱等に使用されるグロープラグに関する。
この種のグロープラグとして、図10に示したものが知られている(特許文献1)。このグロープラグ201は、外周面に外方に突出し周方向に環状をなす環状凸部22を備えた金属製筒状体(外筒とも言われる)21の内側に対し、通電することにより発熱する抵抗発熱体を自身の内部(先端内)に有する棒状又は軸状のヒータ素子11を、そのヒータ素子11の先端10を該金属製筒状体21の先端から突出させて締り嵌め状態として固定し、その金属製筒状体21における前記環状凸部22の後端に、筒状の主体金具31の先端を当接させた状態で溶接によって固定して組み付けた構成とされている。このようなグロープラグ201には、ヒータ素子11内に埋め込まれた抵抗発熱体13に連なる2つの電極端子(電極取り出し部)16,17が、そのヒータ素子11の後端寄り部位の外周面に露出するように形成されている。そして、例えば、一方の電極端子16は、その後端に外嵌された接続用の金属リング(筒体)61を介して、主体金具31の内側に絶縁を保持するようにして同軸状に配置された金属製の軸体(金属軸)51に接続され、この金属軸51の後端に固着されたピン端子71に接続されている。また、他方の電極端子17は、ヒータ素子(以下、ヒータ素子、又は単に素子ともいう)11が締り嵌めによって固定(圧入)されている金属製筒状体21の内面に圧接され、接地電極をなすように構成されている。本明細書において、グロープラグ及びその構成部材(部品)さらにはそれらの各部位ないし部分に関して「先端」とは、図10におけるそれらの下端をいい、「後端」とは、その逆の端をいう。
このようなグロープラグ(以下、単にプラグともいう)201は、エンジンのシリンダヘッド(エンジンヘッド又は単にエンジンともいう)101におけるプラグ取付け穴103内に内挿されて、主体金具31の外周面に形成されたオスネジ37を介してねじ込み方式で取付けられる。そして、その取付けにおいては、環状凸部22の先端向き端面23が、プラグ取付け穴103の奥所の環状の着座面105に強く押付けられる。これにより、プラグ201は、そのねじ込み方向の位置決めがなされる。同時に、同取付け穴103における燃焼室と外部とのシール(気密)が保持されると共に、素子11の接地側の電極端子17が接続される。そして、このような取付け構造においては、次記するように、金属製筒状体21の熱がエンジンに逃がされるように構成されている。
上記構成のグロープラグ201の組立てにおいてヒータ素子11は、金属製筒状体21に締り嵌め状態として保持されるが、それには通常、金属製筒状体21に、相対的にヒータ素子11を圧入する(締り嵌め状態となるように押込む)ことで組み付けられる。ここで、ヒータ素子11を金属製筒状体21に締り嵌め状態として保持するのは、ヒータ素子11の外周面と金属製筒状体21の内周面との間の気密(封止)を保持するためである。これに加えて、エンジン燃焼室に配置されることで高温に晒されるヒータ素子11及び金属製筒状体21の熱を、エンジンに効率よく伝達して逃がすためである。一方、上記構成のグロープラグにおいて、金属製筒状体21の熱は、その環状凸部22の先端向き端面23がプラグ取付け穴103の着座面105に強く押付けられることから、その熱伝導性がよく、したがって、効率よくその熱をエンジン(ブロック)に逃がすことができるという利点がある。
特開2004−205148号公報
ところが、上記構成のグロープラグ201においては、ヒータ素子11が、特にその基体が脆性なセラミックからなるもの(以下、セラミックヒータ素子、ヒータ素子、又は単に素子ともいう)においては、その長手方向(軸線G方向)のうち、図10の左図に点線で示した、金属製筒状体21の環状凸部22に対応する部位H又はその近傍において折損又は破断するおそれがあった。本願発明者らにおいて、その原因を詳細に調査し、検討したところ、次のようなことが判明した。上記構造のグロープラグにおいては、金属製筒状体21における環状凸部22の先端向き端面23がエンジンの取り付け穴103の着座面105に押付けられて、シールの確保とともに、金属製筒状体21の熱をその先端向き端面23を介してエンジンに逃がすようにしている。このため、この金属製筒状体21のうち、環状凸部22の存在する部位Hの肉厚(半径方向の肉厚)は、それが存在しない他の部位(図10の金属製筒状体21における下方の薄肉の筒部)の肉厚に比べると、部分的に、その先端向き端面23の半径方向の突出寸法分、その肉厚が厚い。しかも、このような先端向き端面23は、グロープラグ201のシール性の確保や上記したような熱伝導性の向上のためからして、その先端向き端面23の半径方向の寸法はできるだけ大きく確保したいという要請がある。したがって、環状凸部22の肉厚は他の薄肉の筒部の肉厚に比較してかなり厚いものとせざるを得ず、具体的には、他の薄肉の筒部の肉厚の数倍の厚さとなってしまう。
他方、ヒータ素子11は、先端が半球面状に形成されている点を除くと、略同一直径の円柱をなすものであるのが普通であり、これが金属製筒状体21に、その軸方向において一定の締り嵌め状態となるように、通常、圧入されて組み付けられる。これに対して、金属製筒状体21は、上記もしたように、環状凸部22の部位Hを除けば、略一定厚さの薄肉のストレート筒(円筒)をなしている。このため、このような金属製筒状体21にて締り嵌め状態にあるヒータ素子11のうち、金属製筒状体21の内周面の軸線G方向の領域のうち、環状凸部22に対応する部位(環状凸部対応領域部位)Hの内周面が、ヒータ素子11の外周面を締り嵌め状態で保持している部位においては、他の部位、すなわち環状凸部22の存在しない相対的に薄肉の領域部位(以下、薄肉筒部ともいう)に比べると、その金属製の筒の肉厚差に対応して数倍と、局所的に大きい圧縮応力を受けることになる。このように、環状凸部22は、その肉厚の厚さに基づき、素子11における環状凸部22に対応する領域部位Hを局所的に、大きな締め付け力で締め付けることになる。この締め付け力が極端に大きく、過剰となると、素子11は、環状凸部対応領域部位Hにおいて、局所的に極端に大きい圧縮応力を受けることになる。これがヒータ素子11の軸線方向の当該部位Hないしその近傍での折損(折れ)や破断を招く要因となっていると考えられる。
こうした問題は、金属製筒状体21に肉厚の環状凸部22を設けなければ直ちに解消されうる。しかしながら、その構成では、エンジンへの取付けにおけるシール性の確保ができないか、その性能低下を招いてしまう。また、ヒータ素子11及び金属製筒状体21の熱をエンジンヘッドに短いルートで効率的に逃がすことはできない。
本発明は、こうした問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、上記構成のグロープラグのように、エンジンへの取付けにおけるシール性や効率的な熱伝導性の確保を、金属製筒状体に設けられた環状凸部の先端向き端面を、エンジンの取り付け穴の着座面に押付けることで担わせるように構成したものにおいて、それらシール性や熱伝導性を確保させつつも、ヒータ素子の上記した部位に、局所的に過大な応力が発生するのを抑制ないし防止して、ヒータ素子に脆性なセラミックヒータ素子を用いるような場合であっても、それに折損や破断が発生するのを防止することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1記載に記載の発明は、自身の筒状部の外周面に、外方に突出し周方向に環状をなす環状凸部を備えてなる金属製筒状体の内側に対し、通電することにより発熱する抵抗発熱体を有する棒状又は軸状のヒータ素子を締り嵌め状態として固定し、
このヒータ素子を固定してなる該金属製筒状体の後端側に、筒状の主体金具を当該金属製筒状体と同軸状にして組付けてなるグロープラグであって、
エンジンヘッドにおけるメスネジ付きのグロープラグ取付け穴内に内挿されて、前記主体金具の外周面に形成されたオスネジによってねじ込み方式で取付けられるように構成され、そのねじ込みによる取付けにおいて、前記環状凸部の先端向き端面が、該グロープラグ取付け穴の奥所の環状をなす着座面に押付けられるように構成されたグロープラグにおいて、
前記金属製筒状体の内周面のうち、前記環状凸部に対応する内周面の部位に、その内径が、前記ヒータ素子の外周面を締り嵌め状態で保持している部位の内径より大きい拡径部を設け、この拡径部の内周面と該ヒータ素子の外周面との間に空隙が形成される構成としたことを特徴とする。
請求項2記載に記載の発明は、前記環状凸部は、外周面が円筒面をなし、前記先端向き端面が、該円筒面の先端において先細りテーパ面をなすように形成されており、
前記拡径部の先端を、金属製筒状体の軸線方向において、前記円筒面と前記先細りテーパ面との境界をなす周方向の稜線を超える先端側に存在させたことを特徴とする請求項1に記載のグロープラグである。
請求項3記載に記載の発明は、前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面と、前記ヒータ素子の外周面との間の空隙に、
筒状をなし、該ヒータ素子を内挿すると共に、自身の外周面の一部が前記拡径部の内周面に、及び、自身の内周面の一部が前記ヒータ素子の外周面に、前記軸線方向の異なる位置において自身のバネ性にて押付けられることによって前記ヒータ素子が保持されるように形成されたヒータ素子保持用筒体を配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のグロープラグである。
請求項4記載に記載の発明は、前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面と、前記ヒータ素子の外周面との間の空隙に、
筒状をなし、該ヒータ素子を内挿すると共に、自身の後端又は後端寄り部位の外周面が前記拡径部の内周面に自身のバネ性にて押付けられる一方、この拡径部の内周面に自身のバネ性にて押付けられる部位より先端寄り部位の内周面が、前記ヒータ素子の外周面に自身のバネ性にて押付けられることによって前記ヒータ素子を保持するように形成されたヒータ素子保持用筒体を配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のグロープラグである。
請求項5記載に記載の発明は、前記ヒータ素子保持用筒体を金属製とし、前記ヒータ素子はその外周面に前記抵抗発熱体への通電用の電極端子が露出されており、このヒータ素子が該金属製筒状体内に締り嵌め状態で固定されている状態において、前記電極端子が、前記ヒータ素子保持用筒体の内周面に圧接されることによって前記金属製筒状体と前記抵抗発熱体とが電気的に接続していることを特徴とする請求項3又は4に記載のグロープラグである。
請求項6記載に記載の発明は、前記ヒータ素子保持用筒体が、前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面に自身のバネ性によって押付けられていることに代えて、
前記拡径部の内周面又は後端に溶接されていることを特徴とする請求項5に記載のグロープラグである。
請求項7記載に記載の発明は、前記ヒータ素子保持用筒体は、前記金属製筒状体よりも高硬度の金属製のものとされていることを特徴とする請求項5又は6に記載のグロープラグである。そして、請求項8記載に記載の発明は、前記ヒータ素子保持用筒体の内周面にはイオン化傾向がNi以下の金属層が形成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のグロープラグである。
請求項1に記載の本発明のグロープラグにおいては、前記構成により、金属製筒状体の環状凸部に対応する部位の内周面には、ヒータ素子の外周面より内径が大きい拡径部が設けられており、この拡径部の内周面とヒータ素子の外周面との間に空隙が形成される構成とされている。すなわち、本発明によれば、このような拡径部が設けられている分、他部位よりも肉厚が厚い環状凸部があるとしても、従来のようにヒータ素子の外周面を過剰に締め付けることを確実に低減ないし防止できる。したがって、素子に局所的に大きい応力が発生するのを抑制ないし防止できることから、ヒータ素子にセラミックヒータのような脆性な素材からなるものを使用したとしても、それに破損や破断が発生する危険性を低減させることができる。
請求項2に記載の本発明のグロープラグによれば次のような効果がある。本発明のようなプラグにおいては、環状凸部の先端向き端面は、取付け穴の着座面に押付けられるところであり、シールや熱伝導の向上のためにはその押付けによる接合面積の増大化が要請されることから、先細りテーパをなすように形成するのが好ましい。また、環状凸部の外周面は円筒面に形成するのが製造上ないしその構成上等からして好ましい。一方、従来のように、金属製筒状体の環状凸部の内側に拡径部が設けられておらず、ヒータ素子が締り嵌め状態とされているときにおいて、そのヒータ素子が受ける応力は、その軸線方向についてみると、環状凸部において一番厚肉となる円筒面にて締め付けられている部位で最大となるといえる。そして、その円筒面と先細りテーパ面との境界をなす周方向の稜線を超えると、半径方向の肉厚は確実に低減し、その先端側ほど素子が受ける応力も小さくなる。したがって、環状凸部を請求項2に記載のように形成しておき、その拡径部の先端の位置を、同請求項に記載したように設定しておくことで、ヒータ素子の破損、破断の防止効果が高められる。
請求項3又は4に記載の発明のように、ヒータ素子保持用筒体を設けておくと、素子は、金属製筒状体の環状凸部の内側の拡径部においても、その保持がなされる。すなわち、このようなヒータ素子保持用筒体を設けない場合には、拡径部においては、ヒータ素子は保持されないため、その分、素子の保持力ないし安定性が低下するところ、このようにヒータ素子保持用筒体を設けておけば、そうした問題を解消できる。なお、請求項4に記載のヒータ素子保持用筒体において、これを一定厚さの円筒で具体化する場合には、後端寄り部位の外径が先端寄り部位のそれより大きい異径の円筒体が例示される。そして、このような異径の円筒体においては、大径部、小径部共に平行筒からなる円筒(段付き径違円筒)としてもよいし、後端寄り部位の大径部を後端に向かって拡径するテーパ筒やラッパ筒としてもよい。また、後端に向けて全体にわたり、拡径するテーパ筒やラッパ筒としてもよい。なお、請求項4に記載の発明においては、拡径部の内面に周方向に凹溝を設けておき、ヒータ素子保持用筒体の後端又は後端寄り部位の外周面を、その凹溝に嵌り込むようにしておいてもよい。
請求項3又は4に記載の発明の場合、請求項5に記載の構成とするのが好ましい。このような構成によれば、素子の外周面に露出形成された接地用の電極端子が、環状凸部の内周面に圧接されて導通が保持される設計構造のプラグにおいても、その電極端子と金属製筒状体との電気的接続が、前記ヒータ素子保持用筒体を介して保持されるためである。しかも、このような構成とする場合には、ヒータ素子保持用筒体の硬度、強度、剛性、或いは肉厚等を変えることで、そのバネ性(弾性力)を調整することができるため、その電極端子に対する適正な圧接力(押付け力)を容易に付与できるため、設計の容易化が図られる。
素子を金属製筒状体内に締り嵌め状態として固定する手法としては、素子をその先端側から、金属製筒状体後端側から先端側に向かって圧入することによるのが普通である。したがって、前記ヒータ素子保持用筒体を、前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面と、前記ヒータ素子の外周面との間の空隙に配置するのは、素子の圧入前に、前記拡径部内に圧入によって配置しておき、その状態の下で、素子を前記したように圧入すればよい。なお、このようなヒータ素子保持用筒体を設けない場合において、前記電極を金属製筒状体の内面(内周面)に押付けて導通を保持する構成のプラグにおいては、その電極端子が、軸線方向において拡径部に対応しない位置で、金属製筒状体の内面(内周面)に押付けられて締り嵌め状態となるように、素子を設計すればよい。
前記ヒータ素子保持用筒体の配置においては、請求項6に記載のように、前記ヒータ素子保持用筒体が、前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面にバネ性にて押付けられていることに代えて、前記拡径部の内周面又は該拡径部の後端に溶接されていることとしてもよい。このようにしておけば、素子の圧入による組み付けにおいて、前記ヒータ素子保持用筒体が動くような問題もなくなるため、その組付けが容易となる。また、請求項7に記載のように、前記ヒータ素子保持用筒体を、前記金属製筒状体よりも高硬度の金属からなるものとすると、薄い肉厚で、所望とする強度やバネ性が得られるため、拡径部の内側の前記空隙のような狭い部位でも配置が容易となる。さらに、請求項8に記載のように、前記ヒータ素子保持用筒体の内周面にはイオン化傾向がNi以下の金属層を形成しておくのが好ましく、さらには高温の水蒸気と反応しないイオン化傾向がH以下の金属を用いるのが望ましい。このようにしておくことで、ヒータ素子保持用筒体の内周面の耐腐食性が向上するため、電気的接続の信頼性が高められるためである。
本発明の請求項1及び2に記載のグロープラグの実施の形態例について、図1〜図3に基づいて詳細に説明する。本形態のグロープラグ1は、軸状をなすセラミックヒータ素子11と、このヒータ素子11を、先端(図示下端)10を突出させて内側に締り嵌め状態で固定(固着)してなる金属製筒状体(外筒)21と、この金属製筒状体21の後端(図示上端)に、同軸状にして溶接された筒状の主体金具31等から、次のように構成されている。
ヒータ素子11は、軸線G方向において同径をなす円柱状又は丸棒状に形成されており、絶縁基体(例えば窒化珪素質セラミック)中の先端側内部に、本例ではU字状に形成され、通電することにより発熱する抵抗発熱体13が埋設されている。そして、絶縁基体中における抵抗発熱体13の両端部にはそれぞれ中継部(リード部)14、15が接続され、その両端がヒータ素子11の後端寄り部位において、先後にずれた位置で外周面(側面)に露出され、正負の各電極端子(電極取り出し部)16、17をなしている。なお、ヒータ素子11の先端10は曲面状に加工されている。
一方、このヒータ素子11を締り嵌め状態で固定している金属製筒状体(外筒)21は、ステンレス鋼製で次のように形成されている。すなわち、本形態の金属製筒状体21は、その軸線G方向に長い円筒状の筒状部20を有している。ただし、筒状部20の後端寄り部位の外周面には次記するような環状凸部22を備えている。筒状部20は、内径と外径が共に先後に一定で、素子11の圧入による締り嵌めにおいても、過剰な締付けとならない、厚みの円筒状に形成されている。そして、筒状部20の後端には、半径外方にツバ状に突出し、周方向に円環状をなす環状凸部22を、筒状部20と同心(同軸線G)で一体的に備えている。この環状凸部22の外周面は先後に同一径の円筒面26をなしており、その円筒面26の先端には、先細り状テーパをなす先端向き端面(図示下向き端面)23が形成されている。また、環状凸部22の後端(後端向き端面ともいう)25は、本形態では軸線Gに垂直(垂直平面)とされている。すなわち、先端向き端面23はテーパ面、後端向き端面25は平面、そして円筒面26は先後に同一径とされている。
このような金属製筒状体21は、図1中の拡大図に示すように、先端21aから、環状凸部22の円筒面26と、先細りテーパをなす先端向き端面23との境界をなす、周方向の稜線24より、若干先端寄り部位までの領域L1が、ヒータ素子11の外周面を締り嵌め状態で固定可能に、一定の内径をなす空孔(以下、締り嵌め用空孔ともいう)27とされている。そして、本例では、軸線G方向の領域のうち、環状凸部22の後端25から、稜線24を若干超えた先端側位置までの領域L2にわたり、内径は、締り嵌め用空孔27と同心であるが、その内径より一定寸法大きく拡径された横断面円形の拡径部29とされている。この拡径部29の内径は、先後に一定の直径(外径)のヒータ素子11が締り嵌め用空孔27にて締り嵌め状態に固定されたときにおいて、拡径部29の内周面29aと、素子11の外周面との間に、微小でも空隙(環状の空隙)Kが確保される大きさであればよいが、本例では、軸線G方向の先後にわたり、片側の空隙(半径方向の空隙)Kが、1mmとなるように拡径されている。
また、このような拡径部29を有する環状凸部22の先端向き端面23のテーパ角度θ及び半径方向の寸法は、プラグ1をエンジンのプラグ取付け孔103にねじ込んで取付けた際に、その環状凸部22の先端向き端面23が、その取付け孔の奥所の着座面105に押付けられてシールを保持でき、かつ加熱された金属製筒状体21の熱がこの押付けによる接合面を介して効率的にエンジンヘッド(図中、2点鎖線で示す)101に熱伝導され得る接合面積が確保される観点から設定されている。因みに、先端向き端面23のテーパ角度θは、基本的には着座面105に対応して設定されるが、軸線Gを挟んで60度〜150度の範囲とされるのが好ましいといえるが、テーパのない平面であってもよい。
なお、本形態では、素子11の外周面に露出形成された電極端子のうちの接地用の電極端子17の位置が、素子11が金属製筒状体21の筒状部20内に圧入等により所定位置に位置決めされて締り嵌め状態に保持(固定)されているときに、筒状部20の後端寄り部位に位置するように設定されている。そして、その電極端子17は、その位置において筒状部20の内周面(締り嵌め用空孔)にヒータ素子11の外周面と共に押付けられており、プラグ1がエンジンヘッドの取り付け穴に取付けられた際に、その金属製筒状体21を介してエンジンヘッドに電気的に接続されるように設定されている。すなわち、本形態では、素子11をその先端10から、金属製筒状体21の後端25側からその内側(空孔)に所定ストローク圧入して、金属製筒状体21内に締り嵌め状態に保持することで、素子11の外周面(側面)に露出されている接地用の電極端子17が金属製筒状体21の内周面に電気的に接続されている。
そして、このようにしてヒータ素子11を固定してなる金属製筒状体21における環状凸部22の後端25に対しては、図1に示したように、主体金具31がその先端33を同軸状にして当接させた(付き合わせた)状態で、本形態では溶接(周方向のレーザ溶接)により、気密状に固定されている。なお、主体金具31は、全体としてみると、細長い円筒状をなしており、その内周面は後端寄り部位を除いて、略同一径とされている。また、外周面は、先端側が、環状凸部22の外径と同一の外径の直管部35とされ、これに続く後方には、エンジンヘッド101におけるメスネジ付きのプラグ取付け穴103内に内挿されてねじ込み方式で取り付けられるようにネジ(オスネジ)37が形成されており、その後方の後端部の外周には、ねじ込み用工具の係合のための工具係合部(多角形部)39が形成されている。なお、主体金具31の内周面の後端には拡径部が同軸状に設けられており、該部位内にシール用のOリング41及び絶縁部材43を装填して、素子11の後端の他方の電極端子16と接続するための金属軸51が同軸状に設けられている。
本形態では、円筒状の金属リング(リング部材)61が、素子11の後端にその後端の一部を突出させた状態で嵌められて、素子11の側面に露出する前記した他方の電極端子16に圧接されて接続されている。そして、この筒状の金属リング61の後端の内側に対し、主体金具31の外部に設けられるピン端子71との接続用の中継線をなす細長い金属軸(中軸)51が、その先端部53を圧入し、或いは溶接により接続され、主体金具31内において同軸状に設けられている。ただし、金属軸51は、先端部53と後端部寄り部位55を除く中間部位57が括れて細い異径の丸棒からなっている。そして、その後端寄り部位55は主体金具31の後端から一部が突出させられており、主体金具31の後端の内周面に形成された拡径部に、上記したように、Oリング41及び環状の絶縁部材43を装填、介在させて、その間のシールと絶縁が保持されている。なお、金属軸51の後端にはピン端子71が外嵌されて、先端側に押付けられながら縮径状にかしめられることによって固着されている。なお、素子11の後端と金属軸51とを連結する金属リング61は、ステンレス鋼製とされ、表面には銅メッキ、或いは金メッキが予めかけられている。
このような本形態のグロープラグの全体の組み付け手順は次のようである(図2、図3参照)。まず、素子11の後端を金属リング61の先端部の内周面に、電極端子16が電気的に接続するように圧入、嵌合する(図2左図参照)。次に、接地用の電極端子17の電気的接続を確立するため、ヒータ素子11に、金属製筒状体21を所定位置まで圧入して締まり嵌め状態に保持する。こうしてヒータ素子11、金属製筒状体21及び金属リング61を一体にする(図2中間図参照)。次いで、金属軸51の先端部53を金属リング61の後端側に圧入、位置決めし、レーザ溶接する(図2右図参照)。
そして、このように一体化した金属軸51の後端(図示上端)を主体金具31の先端側からその内側に挿通する。そして、金属製筒状体21の後端である環状凸部22の後端25を、主体金具31の先端33に当接させて溶接により接合する(図3左図参照)。その後、金属軸51の後端にOリング41、絶縁部材43を外嵌し、金属軸51の後端にピン端子71を嵌め込み、絶縁部材43を軸線G方向先端側に押圧した状態で、ピン端子71の先端寄り部位の外周面を縮径状にかしめて固定することで、図1に示したグロープラグ1が得られる。
かくして組み付けられたグロープラグ1は、その後、エンジンヘッド101におけるプラグ取付け穴103内に内挿され、主体金具31の外周面に形成されたオスネジ37を介してねじ込み方式で取付けられる。そして、その取付けにおいては、環状凸部22の先端向き端面23が、プラグ取付け穴103の奥所の環状の着座面105に押付けられ、シールと共に素子11の接地側の電極端子17との電気的接続が確保される。
そして、本形態のグロープラグ1において重要なのは次の点である。すなわち、このようなグロープラグ1においては、環状凸部22の先端向き端面23は、その半径方向に対する突出量が従来と同様に十分確保されており、この先端向き端面23にてプラグ取付け穴103の着座面105に押付けられる。したがって、エンジンの駆動中において、素子11及び金属製筒状体21の熱は、その押付けによる接合面を介して、エンジンヘッドに従来と同様に効率よく逃がすことができる。すなわち、本形態のグロープラグ1においては、その熱伝達性が阻害されることはない。
加えて、素子11は、金属製筒状体21のうち、相対的に肉厚の薄い筒状部20において締り嵌め状態に保持されており、相対的に肉厚の厚い環状凸部22の対応領域(L2)ではその内周面に拡径部29が設けられているため、締り嵌めとなっておらず、素子11の外周面には空隙Kを有している。このため、素子11は、この領域L2において、すなわち、相対的に肉厚の厚くなる環状凸部22に対応する部位においては、従来のように局所的に過剰な締め付けを受けない。したがって、その分、素子11に発生する応力の低減が図られるため、それに起因する素子11の折損や破断が防止される。これにより、ヒータ素子11にセラミックヒータのような脆性な素材からなるものを使用したとしても、破損や破断を発生させる危険性を低減させることができるという顕著な効果がある。
しかも、本形態では、環状凸部22の先端向き端面23を先細りテーパをなすように形成し、その外周面を円筒面26となすように形成している。そして、拡径部29の先端の位置を、軸線G方向において、環状凸部22の後端25から、稜線24を超えた先端側としている。すなわち、本形態では、環状凸部22の内周面に拡径部29が設けられているのであるが、その拡径部29の先端を、円筒面26の範囲内とせず、その円筒面26の先端の稜線24を超えた位置に存在させたため、ヒータ素子11が一番肉厚となる環状凸部22の円筒面26に対応する部位にて締付けられるということがない。したがって、素子11に過大な応力が発生する領域を極めて小さくし得るため、素子に破損や破断が発生する危険性を大きく低減できるという顕著な効果がある。
さて、次に、請求項3〜8に記載の発明を具体化した実施の形態について、図4〜図6に基づいて説明する。ただし、本形態のグロープラグは、前記形態のグロープラグ1における、金属製筒状体21における拡径部29と、ヒータ素子11の外周面との間の空隙(環状の空隙)Kに、筒状をなすヒータ素子保持用筒体81を配置してなる点と、このヒータ素子保持用筒体81の内周面に接地用の電極端子17を押付けさせて、その電気的な導通を保持している点のみが相違する。したがって、前記形態のグロープラグ1と同一部位には同一の符号を付し、その相違点を中心として説明する。以下、別例においても同様とする。
すなわち、本形態では、金属製筒状体21における拡径部29の内周面29aと、ヒータ素子11の外周面との間の空隙(環状の空隙)Kに、円筒状をなすヒータ素子保持用筒体81が配置されている。ただし、その配置状態では、ヒータ素子保持用筒体81の外周面の後端寄り部位の一部が大径部83をなし、拡径部29の内周面29aに自身のバネ性で押付けられるように設定されている。一方、ヒータ素子保持用筒体81のうち、拡径部29の内周面29aに押付けられている部位よりも先端部位の内周面86は、それ自身のバネ性により、圧入されたヒータ素子11がその外周面にて押付けるようにして、ヒータ素子保持用筒体81内に保持されている。そして、素子11の外周面に露出形成された電極端子のうちの接地用の電極端子17は、素子11が金属製筒状体21内に圧入されて締り嵌め状態で固定されている状態において、その拡径部29に配置されているヒータ素子保持用筒体81の内周面86に押付けられている。本形態では、ヒータ素子保持用筒体81は、ステンレス鋼製で、ヒータ素子11の接地用の電極端子17は、このヒータ素子保持用筒体81を介して金属製筒状体21と電気的に接続されている。なお、本形態では、ヒータ素子保持用筒体81はビッカース硬さ(硬度)Hv:400のステンレス鋼からなるのに対して、金属製筒状体21はビッカース硬さ、Hv:200のステンレス鋼からなっている。
本形態では、拡径部29内に配置されているヒータ素子保持用筒体81は、後端82に向かってテーパ部83aを介して拡径された径大部83を有しており、その径大部83を除く先端寄り部位の相対的に小径をなす部位(径小部)84の外周面85と、拡径部29の内周面29aとの間に空隙が保持されるように形成されている。ただし、その径大部83の後端82が拡径部29の内周面29aに押付けられるように、同筒体81は拡径部29内に圧入されて配置されているが、組み付け上、その後端82において拡径部29の後端と溶接で固定しておいてもよし、ロウ付けで固定しても良いなど、その固定手段又は接合手段は限定されるものではない。
なお、このようなヒータ素子保持用筒体81は、金属製筒状体21内に素子11が締り嵌め状態に保持されている状態において、その拡径部29内に配置され、或いは固定されていればよい。ただし、このようなヒータ素子保持用筒体81は、グロープラグの組み付け工程において、図6に示したように、それを拡径部29内に配置し、或いは固定した状態としておき、その状態において、その内周面86に素子11が圧入され、その内周面86に接地用の電極端子17が押付けられることによってその電気的接続が確保されるようにするのが好ましい。なお、ヒータ素子保持用筒体81の径大部83の外径D1は、その自由状態において、拡径部29の内周面29aの内径D0より大きくしておき、拡径部29内に配置されたときに締り嵌め状態となるようにしておくのが好ましい。また、ヒータ素子保持用筒体81の径小部84の内径D2は、拡径部29内に配置されたときにヒータ素子11を締り嵌め状態とし得る大きさであればよい。
本形態では、このようなヒータ素子保持用筒体81内に素子11が圧入されているため、その後端82の径大部83を除く外周面85と、拡径部29の内周面29aとの間には空隙が保持されるように設定されている。しかして、素子11をこのヒータ素子保持用筒体81内においてそれ自身のバネ性(弾性変形)にて保持している。そして、この保持状態においては、素子11の外周面を締め付ける力が過剰な締付けとならないように、同保持用筒体81自身の肉厚は、従来において環状凸部自体で直接締め付けていた場合のその肉厚より小さく、しかも、締り嵌め代も小さめに設定されている。
なお、本形態では、このヒータ素子保持用筒体81は、その先端89を、拡径部29の先端に位置する環状棚面30に当接させるか、当接させることなく若干、離間させている。そして、後端82は環状凸部22の後端に一致させている。また、このようなヒータ素子保持用筒体81は、本形態では、その表面に銅メッキがかけられ、さらにその表面には貴金属からなるメッキ層(例えば金メッキ層)が形成さており、電極端子17の酸化防止が図られている。
しかして、このような本形態では、前記形態において、ヒータ素子11を金属製筒状体21に圧入して締まり嵌め状態に保持する前に、金属製筒状体21の拡径部29内に、ヒータ素子保持用筒体81を圧入し、或いは上記のように溶接で固定しておく。そして、素子11をヒータ素子保持用筒体81側から金属製筒状体21内に、先端に向けて所定ストローク圧入することで、締り嵌め状態に保持する。こうすることで、本形態では、素子11が金属製筒状体21内に締り嵌め状態に保持されると同時に、接地用の電極端子17及びその近傍における素子11の外周面(側面)は、拡径部29内に配置されたヒータ素子保持用筒体81の内周面86に押付けられ、電極端子17は金属製筒状体21に電気的に接続される。
すなわち、本形態では素子11は、金属製筒状体21の環状凸部22の内側の拡径部29に配置されたヒータ素子保持用筒体81によっても、その保持がなされるため、ヒータ素子11の保持が安定する。また、素子11の外周面に露出形成された接地用の電極端子17は、軸線G方向において、環状凸部22の内周面に対応する位置において電気的接続が確保される。したがって、従来において環状凸部の内周面にてその電気的接続を保持していた素子と同様の位置でのその接続が確保できるため、そのような構成の従来の素子をそのまま用いることができる。
なお、本形態のように、拡径部29内に配置したヒータ素子保持用筒体81によっても、素子11を保持する構成とする場合、ヒータ素子保持用筒体81が素子11を過剰な締付けとならないようにする必要がある。これに対しては、上記もしたように、電極端子17との電気的接続の確保のみを考慮した締め付けが得られるように、その締り嵌め代を設定すればよい。そして、このような締め付けは、ヒータ素子保持用筒体81の肉厚が環状凸部22の肉厚より薄いため、その素材の硬度(硬さ)、強度等を変えることで、容易に得られる。特に、本形態においては、ヒータ素子保持用筒体81を金属製筒状体21よりも高硬度材で形成したため、上記もしたように比較的薄い肉厚で、所望とする強度やバネ性が得られる。
前記においては、素子11の接地用の電極端子17を、ヒータ素子保持用筒体81の内周面に圧接させて、金属製筒状体21を介してエンジンヘッドに電気的に接続する構成のものとして説明したが、素子11の接地用の電極端子17と金属製筒状体21との接続が、図1〜図3の形態のように、素子11が締り嵌め状態にある筒状部20の内周面27で確保される構成である場合のように、別の経路でその電気的接続が確保されるような場合には、ヒータ素子保持用筒体81には、素子11を保持する役割のみを担わせるようにしてもよく、したがって、その場合には、ヒータ素子保持用筒体81を介した電気的接続を考慮する必要はない。しかしながら、本形態の如く、電極端子17との電気的接続をヒータ素子保持用筒体81によって確保する場合には、当然、このヒータ素子保持用筒体81の内周面には、電極端子17と素子11をなす絶縁基体とが共に当接(圧接)する構成となる。この電極端子17と絶縁基体との界面は材質の異なる接合面であるため、素子11における他の部位に比較して強度が低い。電気的接続を図るためにヒータ素子保持用筒体81の内周面は、この界面へも圧接されるのであるが、この力が過大であると、ヒータ素子11が破損してしまうおそれがある。これに対して本形態のヒータ素子保持用筒体81では、この圧接力を適度に緩和することができるため、この界面を起点とする素子11の破壊を防ぐことができる。
つまり、素子11を構成する電極端子17と絶縁基体とは異質な材料(素材)からなるため、力がかかると両者の界面を起点として割れ等を生じる可能性があるのに対し、本形態のヒータ素子保持用筒体81では、その力(素子の保持力)を緩和することができるため、素子11がそのような割れを生じやすい場合に特に有効である。なお、ヒータ素子保持用筒体81は、後端82に向かってテーパ部83aを介して拡径された径大部83を有しているものとしたが、図7に示したように、径大部83全体をテーパ状又はラッパ管状に形成してもよい。
また、前記形態では、ヒータ素子保持用筒体81を、その後端82側に径大部83を有するものとして説明した。しかし、同筒体81による素子11の保持の点からは、これに限定されるものではない。拡径部29の内周面29aと、ヒータ素子11の外周面との間の空隙に、筒状をなし、素子11を内挿する。それと共に、自身の外周面の少なくとも一部が拡径部29の内周面29aに、そして、自身の内周面29aの少なくとも一部が素子11の外周面に、軸線G方向の異なる位置において自身のバネ性にて押付けられることによって素子11を保持するように形成されたものであれば十分である。したがって、図8に示したように、図4〜図6に示したグロープラグにおいて使用したヒータ素子保持用筒体81に代えて、自身の後端82側と先端側に径大部83、83´を設け、その先後の両径大部83、83´の外周面が拡径部29の内周面29aに押付けられ、その先後の両径大部83、83´の相互間において相対的に小径をなす部位の内周面86が素子11の外周面に、それぞれ自身のバネ性にて押付けられることで、素子11を保持するようにしてもよい。
そして、素子11の接地用の電極端子17を、ヒータ素子保持用筒体81の内周面に圧接させて、金属製筒状体21を介してエンジンヘッドに電気的に接続する構成とする場合には、そのような圧接が確保されるように、ヒータ素子保持用筒体81を形成しておけばよい。なお、ヒータ素子保持用筒体81がなくとも、素子11の保持が十分であり、接地用の電極端子17との電気的接続の問題もなければ、拡径部29内にヒータ素子保持用筒体81を配置する必要はなく、環状凸部22の内側に空隙を形成しておけばよい。
本発明は、上記した実施の形態のものに限定されるものではなく、適宜に設計変更して具体化できる。上記形態では、主体金具31との金属製筒状体21とを、主体金具31の先端33に金属製筒状体21の後端25を突き合わせる形で溶接により固定して組み付けた構造のものにおいて、具体化した場合を例示したが、このような組み付け構造のものに限定されるものではない。この点は、図9に示したように、ヒータ素子11を固定してなる金属製筒状体21の後端25の環状凸部22の外周面である円筒面26に、筒状の主体金具31の先端33寄り部位を外嵌し、その状態において溶接等によって固定して組み付けた構造のものとしても具体化できる。
本発明のグロープラグの実施の形態の縦断面図及びその要部拡大図。 図1のグロープラグの組み付け工程の前半を説明する図。 図1のグロープラグの組み付け工程の後半を説明する図。 図1のグロープラグにおいて金属製筒状体の拡径部にヒータ素子保持用筒体を配置した構成の縦断面図及びその要部拡大図。 図4のA部拡大図。 金属製筒状体の拡径部にヒータ素子保持用筒体を組み付ける説明用断面図。 ヒータ素子保持用筒体の別例を示す断面図。 ヒータ素子保持用筒体の更なる別例を組み付けてなるグロープラグの要部拡大断面図。 図4〜図6のグロープラグにおいて金属製筒状体の拡径部の外周面に主体金具の先端を外嵌してなる組み付け状態を説明する要部拡大断面図。 従来のグロープラグを説明する縦断面図及びその要部拡大図。
符号の説明
1 グロープラグ
11 ヒータ素子
17 ヒータ素子の接地側の電極端子
20 金属製筒状体の筒状部
21 金属製筒状体
22 金属製筒状体の環状凸部
23 環状凸部の先端向き端面
24 周方向の稜線
25 金属製筒状体の後端
26 環状凸部の外周面の円筒面
29 拡径部
29a 拡径部の内周面
31 主体金具
33 主体金具の先端
37 主体金具の外周面に形成されたオスネジ
81 ヒータ素子保持用筒体
85 ヒータ素子保持用筒体の外周面
86 ヒータ素子保持用筒体の内周面
101 エンジンヘッド
103 グロープラグ取付け穴
105 グロープラグ取付け穴の奥所の環状をなす着座面
K 空隙
G 金属製筒状体の軸線

Claims (8)

  1. 自身の筒状部の外周面に、外方に突出し周方向に環状をなす環状凸部を備えてなる金属製筒状体の内側に対し、通電することにより発熱する抵抗発熱体を有する棒状又は軸状のヒータ素子を締り嵌め状態として固定し、
    このヒータ素子を固定してなる該金属製筒状体の後端側に、筒状の主体金具を当該金属製筒状体と同軸状にして組付けてなるグロープラグであって、
    エンジンヘッドにおけるメスネジ付きのグロープラグ取付け穴内に内挿されて、前記主体金具の外周面に形成されたオスネジによってねじ込み方式で取付けられるように構成され、そのねじ込みによる取付けにおいて、前記環状凸部の先端向き端面が、該グロープラグ取付け穴の奥所の環状をなす着座面に押付けられるように構成されたグロープラグにおいて、
    前記金属製筒状体の内周面のうち、前記環状凸部に対応する内周面の部位に、その内径が、前記ヒータ素子の外周面を締り嵌め状態で保持している部位の内径より大きい拡径部を設け、この拡径部の内周面と該ヒータ素子の外周面との間に空隙が形成される構成としたことを特徴とするグロープラグ。
  2. 前記環状凸部は、外周面が円筒面をなし、前記先端向き端面が、該円筒面の先端において先細りテーパ面をなすように形成されており、
    前記拡径部の先端を、金属製筒状体の軸線方向において、前記円筒面と前記先細りテーパ面との境界をなす周方向の稜線を超える先端側に存在させたことを特徴とする請求項1に記載のグロープラグ。
  3. 前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面と、前記ヒータ素子の外周面との間の空隙に、
    筒状をなし、該ヒータ素子を内挿すると共に、自身の外周面の一部が前記拡径部の内周面に、及び、自身の内周面の一部が前記ヒータ素子の外周面に、前記軸線方向の異なる位置において自身のバネ性にて押付けられることによって前記ヒータ素子が保持されるように形成されたヒータ素子保持用筒体を配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のグロープラグ。
  4. 前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面と、前記ヒータ素子の外周面との間の空隙に、
    筒状をなし、該ヒータ素子を内挿すると共に、自身の後端又は後端寄り部位の外周面が前記拡径部の内周面に自身のバネ性にて押付けられる一方、この拡径部の内周面に自身のバネ性にて押付けられる部位より先端寄り部位の内周面が、前記ヒータ素子の外周面に自身のバネ性にて押付けられることによって前記ヒータ素子を保持するように形成されたヒータ素子保持用筒体を配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のグロープラグ。
  5. 前記ヒータ素子保持用筒体を金属製とし、前記ヒータ素子はその外周面に前記抵抗発熱体への通電用の電極端子が露出されており、このヒータ素子が該金属製筒状体内に締り嵌め状態で固定されている状態において、前記電極端子が、前記ヒータ素子保持用筒体の内周面に圧接されることによって前記金属製筒状体と前記抵抗発熱体とが電気的に接続していることを特徴とする請求項3又は4に記載のグロープラグ。
  6. 前記ヒータ素子保持用筒体が、前記金属製筒状体における前記拡径部の内周面に自身のバネ性によって押付けられていることに代えて、
    前記拡径部の内周面又は後端に溶接されていることを特徴とする請求項5に記載のグロープラグ。
  7. 前記ヒータ素子保持用筒体は、前記金属製筒状体よりも高硬度の金属製のものとされていることを特徴とする請求項5又は6に記載のグロープラグ。
  8. 前記ヒータ素子保持用筒体の内周面にはイオン化傾向がNi以下の金属層が形成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のグロープラグ。
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