JP2009221965A - 可変容量圧縮機の容量制御弁及び往復動型可変容量圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】弁孔を通じて弁体が圧力を受ける受圧面積が開閉作動に伴ない変化することが抑制され、容量制御の精度が向上する可変容量圧縮機の容量制御弁及び当該容量制御弁を備えた往復動型可変容量圧縮機を提供する。
【解決手段】可変容量圧縮機の容量制御弁は、往復動型可変容量圧縮機の吐出圧力領域とクランク室との間を繋ぐ給気通路に介挿される。容量制御弁は弁体(306)を備え、弁室(303)に配置される弁体(306)の一端部は、円筒形状の外周面及び前記外周面の端縁を含み、且つ、弁座(338)に対し線接触に近い状態で当接可能なシール領域(346)を有する。また、弁体(306)の摺動部は、挿通孔(304)によって摺動自在に支持され、感圧室の圧力及び電磁力を弁体(306)の一端部に伝達する。
【選択図】図4
【解決手段】可変容量圧縮機の容量制御弁は、往復動型可変容量圧縮機の吐出圧力領域とクランク室との間を繋ぐ給気通路に介挿される。容量制御弁は弁体(306)を備え、弁室(303)に配置される弁体(306)の一端部は、円筒形状の外周面及び前記外周面の端縁を含み、且つ、弁座(338)に対し線接触に近い状態で当接可能なシール領域(346)を有する。また、弁体(306)の摺動部は、挿通孔(304)によって摺動自在に支持され、感圧室の圧力及び電磁力を弁体(306)の一端部に伝達する。
【選択図】図4
Description
本発明は、空調システムに適用される可変容量圧縮機の容量制御弁及び往復動型可変容量圧縮機に関する。
例えば車両用空調システムに用いられる往復動型の可変容量圧縮機として、斜板式可変容量圧縮機はハウジングを備え、ハウジングの内部には吐出圧力領域(吐出室)、吸入圧力領域(吸入室)、クランク室及びシリンダボアが区画形成される。クランク室内を延びる駆動軸には斜板が傾動可能に連結され、斜板を含む変換機構は、駆動軸の回転をシリンダボア内に配置されたピストンの往復運動に変換する。ピストンの往復運動は、吸入室からシリンダボア内への作動流体の吸入、吸入した作動流体の圧縮及び圧縮された作動流体の吐出室への吐出工程を実行する。
ピストンのストローク長、即ち圧縮機の吐出容量は、制御圧力としてのクランク室の圧力(クランク圧力Pc)を変化させることにより可変である。そこで吐出容量を制御するために、ハウジング内に容量制御弁が収容される。容量制御弁は、吐出室とクランク室とを連通する給気通路に配置され、クランク室と吸入室とを連通する抽気通路には絞りが配置される。
例えば、特許文献1が開示する容量制御弁は作動ロッドを有し、作動ロッドは弁体部及びガイドロッド部を有する。弁体部の端面の内側部分には、吐出室の圧力(吐出圧力Pd)が作用し、その外側部分には、クランク圧力Pcが作用するものと考えられている。ガイドロッド部の端面には、吸入室の圧力(吸入圧力Ps)が作用するものと考えられ、作動ロッドに対して、吐出圧力Pd及び吸入圧力Psは相互に対抗する方向に作用する。
特許文献1の容量制御弁を用いた場合、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの間の差(Pd−Ps差圧)が目標値に近付くように、吐出容量がフィードバック制御される。すなわち、特許文献1が開示する空調装置では、Pd−Ps差圧を制御対象として容量制御弁への通電量を変化させ、これに伴い吐出容量を変化させる。例えば、この空調装置では、Pd−Ps差圧が縮小しようとすれば、吐出容量を増大させてPd−Ps差圧を所定値に近付けるように動作する。
特開2001-153042号公報
特許文献1の図12によれば、弁孔が開いている状態にあっても、作動ロッドの弁体部に対して吐出圧力Pdが作用する内側部分(吐出圧力受圧面)の面積はSGであり、クランク圧力Pcが作用する外側部分(クランク圧力受圧面)の面積はSF―SGであるとされている。
しかしながら、実際の開弁時、弁座からの弁体部の移動量(弁リフト)は微小であり、また、弁体部及び弁座の相互の当接部分は、通常、所定の幅(シール幅)を有する。従って、開弁時、流体は弁体部と弁座との隙間をシール幅に渡って流れ、弁体部と弁座との隙間は絞りに相当する。絞りは減圧部であって、シール幅の内側(吐出圧力側)から外側(クランク圧力側)に向かって圧力勾配があると考えるのが妥当であり、また流体が流れていることから、弁体に対し開弁方向に動圧が作用する可能性もある。このような事を考慮すると、吐出圧力Pdが作用する面積がSGであり、クランク圧力Pcが作用する面積がSF−SGであるとは考え難い。
しかしながら、実際の開弁時、弁座からの弁体部の移動量(弁リフト)は微小であり、また、弁体部及び弁座の相互の当接部分は、通常、所定の幅(シール幅)を有する。従って、開弁時、流体は弁体部と弁座との隙間をシール幅に渡って流れ、弁体部と弁座との隙間は絞りに相当する。絞りは減圧部であって、シール幅の内側(吐出圧力側)から外側(クランク圧力側)に向かって圧力勾配があると考えるのが妥当であり、また流体が流れていることから、弁体に対し開弁方向に動圧が作用する可能性もある。このような事を考慮すると、吐出圧力Pdが作用する面積がSGであり、クランク圧力Pcが作用する面積がSF−SGであるとは考え難い。
一方、可変容量圧縮機の容量制御弁の弁孔径は、R134aが冷媒である場合には例えば2mm〜3.5mmの範囲にあり、又、二酸化炭素が冷媒である場合には例えば0.4mm〜1.0mmの範囲にあり、弁孔面積は非常に小さい。このため、特許文献1の図12の容量制御弁にあっては、その数6式〜数8式からわかるように、僅かな受圧面積の違いがPd−Ps差圧の制御特性に大きく影響する。特に、この影響は、Pd−Ps差圧が大きい領域で顕著になる。
また、特許文献1の図12の容量制御弁にあっては、弁体部の平坦な端面が弁座に当接しており、弁体部と弁座との当接部の形状は円環形状であると考えられる。このため、弁体部が弁孔を閉塞している状態では、弁体部に対してクランク圧力Pcは作用していないと考えるのが妥当である。つまり、この容量制御弁では、弁孔が閉じているときと開いているときとで弁体部に作用する力が異なり、閉弁状態から開弁するときの弁体部の動作特性に対し、開弁後の弁体部の動作特性がずれる。このような弁体部の動作特性のずれは、容量制御のばらつきの原因となるため好ましくない。
本発明は上述した事情に基づいてなされたもので、その目的は、弁孔を通じて弁体が圧力を受ける受圧面積が開閉作動に伴ない変化することが抑制され、容量制御の精度が向上する可変容量圧縮機の容量制御弁及び当該容量制御弁を備えた往復動型可変容量圧縮機を提供することにある。
上記の目的を達成するべく、本発明によれば、往復動型可変容量圧縮機の吐出圧力領域とクランク室との間を繋ぐ給気通路に介挿される可変容量圧縮機の容量制御弁において、前記往復動型可変容量圧縮機の吸入圧力領域と連通する感圧室、前記給気通路の一部を介して前記クランク室と連通する弁室、前記給気通路の残部を介して前記吐出圧領域と連通し且つ前記弁室に開口した弁孔、前記弁室と前記感圧室との間を延びる挿通孔が区画された弁ハウジングと、前記弁ハウジングに設けられ、前記弁孔の開口を囲む弁座と、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁体に対して電磁力を可変にて作用させるためのソレノイドユニットとを備え、前記弁体は、前記弁室に配置され、円筒形状の外周面、及び、前記外周面の端縁を含み且つ前記弁座に対し線接触に近い状態で当接可能なシール領域を有する一端部と、前記挿通孔によって摺動自在に支持され、前記感圧室の圧力及び前記電磁力を前記一端部に伝達する摺動部とを含むことを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御弁が提供される(請求項1)。
ここで、線接触に近い状態で当接可能であるとは、弁体の外径に応じて、例えばシール領域の内縁と外縁との距離(シール幅)が0.05mm〜0.3mm程度であり、弁体が弁孔を閉じているとき、シール領域と弁座との接触面積が小さいことをいう。
好ましくは、前記弁体及び弁座は、前記弁体と前記弁座との間の距離が前記弁体のシール領域から径方向内側に向かうに連れて増大するように成形されている(請求項2)。
好ましくは、前記弁体及び弁座は、前記弁体と前記弁座との間の距離が前記弁体のシール領域から径方向内側に向かうに連れて増大するように成形されている(請求項2)。
好ましくは、前記弁座は平面からなり、前記弁体は前記シール領域の径方向内側に凹みを有する(請求項3)。
好ましくは、前記弁体の一端部の外径は、前記摺動部の外径よりも大である(請求項4)。
また、本発明によれば、請求項1乃至4の何れか1項に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁を備えることを特徴とする往復動型可変容量圧縮機が提供される(請求項5)。
好ましくは、前記弁体の一端部の外径は、前記摺動部の外径よりも大である(請求項4)。
また、本発明によれば、請求項1乃至4の何れか1項に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁を備えることを特徴とする往復動型可変容量圧縮機が提供される(請求項5)。
好ましくは、前記往復動型可変容量圧縮機は、冷媒としての二酸化炭素の圧縮に用いられる(請求項6)。
本発明の請求項1の可変容量圧縮機の容量制御弁では、弁体が弁座に線接触に近い状態で当接するので、弁孔を通じて吐出圧力を受ける弁体の面積(受圧面積)が明確に規定される。また、弁体において、シール領域は円筒形状の外周面の端縁側に位置しているため、開弁時、弁体は開弁方向に動圧の影響を受けにくい。
従って、この容量制御弁では、閉弁状態から開弁状態になるときの弁体の動作特性と、開弁状態にあるときの弁体の動作特性とを同一の特性式によって高精度に表すことができる。
従って、この容量制御弁では、閉弁状態から開弁状態になるときの弁体の動作特性と、開弁状態にあるときの弁体の動作特性とを同一の特性式によって高精度に表すことができる。
更に、この構成では、弁体において弁孔を通じて吐出圧力を受ける受圧面積が、円筒形状の外周面の端縁側つまり弁体の一端部の外径若しくは断面積でほぼ規定され、弁体において吸入圧力を受ける面積が摺動部の外径若しくは断面積で規定される。弁体の一端部及び摺動部は、一体になって同一の部品(弁体)を構成しているため、吐出圧力を受ける面積と吸入圧力を受ける面積との間での面積調整が、弁体製造の際に高精度で実施される。
これらの結果として、この容量制御弁を適用した可変容量圧縮機において、吐出容量が高精度に制御される。
請求項2の可変容量圧縮機の容量制御弁では、シール領域から径方向内側に向かうに連れて弁体と弁座との距離が増大することで、受圧面積が明確に規定される。これにより、弁孔を通じて弁体が圧力を受ける面積が、閉弁状態と開弁状態とで変化することが確実に抑制され、容量制御弁を適用した可変容量圧縮機において、吐出容量が確実に高精度にて制御される。
請求項2の可変容量圧縮機の容量制御弁では、シール領域から径方向内側に向かうに連れて弁体と弁座との距離が増大することで、受圧面積が明確に規定される。これにより、弁孔を通じて弁体が圧力を受ける面積が、閉弁状態と開弁状態とで変化することが確実に抑制され、容量制御弁を適用した可変容量圧縮機において、吐出容量が確実に高精度にて制御される。
請求項3の可変容量圧縮機の容量制御弁では、弁座が平面からなるため、弁座に対して弁体が軸ずれしたとしても、弁体によって弁孔が確実に閉塞される。この結果として、この容量制御弁では不所望の弁漏れが防止される。
請求項4の可変容量圧縮機の容量制御弁では、吐出圧力を受ける面積と、吸入圧力を受ける面積は弁体における一端部及び摺動部の寸法で決まるので、吐出圧力を受ける面積と吸入圧力を受ける面積との面積差が高精度で調整される。そして、一端部を摺動部よりも大径にすることにより、弁体が閉弁方向にてクランク圧力を受ける面積が高精度にて増大するように調整される。この結果、クランク圧力の上昇速度が高精度にて減少するように制御され、吐出容量が安定に制御される。
請求項4の可変容量圧縮機の容量制御弁では、吐出圧力を受ける面積と、吸入圧力を受ける面積は弁体における一端部及び摺動部の寸法で決まるので、吐出圧力を受ける面積と吸入圧力を受ける面積との面積差が高精度で調整される。そして、一端部を摺動部よりも大径にすることにより、弁体が閉弁方向にてクランク圧力を受ける面積が高精度にて増大するように調整される。この結果、クランク圧力の上昇速度が高精度にて減少するように制御され、吐出容量が安定に制御される。
請求項5の可変容量圧縮機は往復動型の可変容量圧縮機であり、この可変容量圧縮機にあっては、斜板要素の最小傾角で規定されるストローク長を非常に小さく設定可能であり、吐出容量の可変範囲が広い。かかる可変容量圧縮機に上述した容量制御弁を適用すれば、広範な可変範囲の全域にわたり、吐出容量が高精度にて制御される。
一般に、冷媒としての二酸化炭素を圧縮するのに用いられる往復動型可変容量圧縮機では、容量制御弁の弁孔の内径が小さく設計される。請求項6の往復動型可変容量圧縮機によれば、弁孔の内径が小さくても、弁体が弁座に対して線接触に近い状態で当接するため、吐出容量が高精度にて制御される。
一般に、冷媒としての二酸化炭素を圧縮するのに用いられる往復動型可変容量圧縮機では、容量制御弁の弁孔の内径が小さく設計される。請求項6の往復動型可変容量圧縮機によれば、弁孔の内径が小さくても、弁体が弁座に対して線接触に近い状態で当接するため、吐出容量が高精度にて制御される。
図1は、車両用空調システムの冷凍サイクル10を示し、冷凍サイクル10は、作動流体としての冷媒が循環する循環路12を備える。循環路12には、冷媒の流動方向でみて、圧縮機100、放熱器(凝縮器又はガスクーラ)14、膨張器16及び蒸発器18が順次介挿され、圧縮機100が作動すると、圧縮機100の吐出容量に応じて循環路12を冷媒が循環する。
すなわち、圧縮機100は、冷媒の吸入工程、吸入した冷媒の圧縮工程及び圧縮した冷媒の吐出工程からなる一連のプロセスを行う。
放熱器14は、圧縮機100から吐出された冷媒を冷却する機能を有し、冷却された冷媒は、膨張器16を通過することによって膨張させられる。膨張した冷媒は蒸発器18内で気化し、気化した冷媒は圧縮機100に吸入される。
放熱器14は、圧縮機100から吐出された冷媒を冷却する機能を有し、冷却された冷媒は、膨張器16を通過することによって膨張させられる。膨張した冷媒は蒸発器18内で気化し、気化した冷媒は圧縮機100に吸入される。
蒸発器18は、車両用空調システムの空気回路の一部も構成しており、蒸発器18を通過する空気流は、蒸発器18内の冷媒によって気化熱を奪われることによって冷却される。
圧縮機100は可変容量圧縮機であり、例えば斜板式のクラッチレス圧縮機である。圧縮機100はシリンダーブロック101を備え、シリンダーブロック101には、複数のシリンダボア101aが形成されている。シリンダーブロック101の一端にはフロントハウジング102が連結され、シリンダーブロック101の他端には、バルブプレート103を介してリアハウジング(シリンダヘッド)104が連結されている。
圧縮機100は可変容量圧縮機であり、例えば斜板式のクラッチレス圧縮機である。圧縮機100はシリンダーブロック101を備え、シリンダーブロック101には、複数のシリンダボア101aが形成されている。シリンダーブロック101の一端にはフロントハウジング102が連結され、シリンダーブロック101の他端には、バルブプレート103を介してリアハウジング(シリンダヘッド)104が連結されている。
シリンダーブロック101及びフロントハウジング102はクランク室105を規定し、クランク室105内を縦断して駆動軸106が延びている。駆動軸106は、クランク室105内に配置された環状の斜板107を貫通し、斜板107は、駆動軸106に固定されたロータ108と連結部109を介してヒンジ結合されている。従って、斜板107は、駆動軸106に沿って移動しながら傾動可能である。
ロータ108と斜板107との間を延びる駆動軸106の部分には、斜板107を最小傾角に向けて付勢するコイルばね110が装着され、斜板107を挟んで反対側の部分、即ち斜板107とシリンダーブロック101との間を延びる駆動軸106の部分には、斜板107を最大傾角に向けて付勢するコイルばね111が装着されている。
駆動軸106は、フロントハウジング102の外側に突出したボス部102a内を貫通し、駆動軸106の外端には、動力伝達装置としてのプーリ112に連結されている。プーリ112は、ボール軸受113を介してボス部102aによって回転自在に支持され、外部駆動源としてのエンジン114のプーリとの間にベルト115が架け回される。
駆動軸106は、フロントハウジング102の外側に突出したボス部102a内を貫通し、駆動軸106の外端には、動力伝達装置としてのプーリ112に連結されている。プーリ112は、ボール軸受113を介してボス部102aによって回転自在に支持され、外部駆動源としてのエンジン114のプーリとの間にベルト115が架け回される。
ボス部102aの内側には軸封装置116が配置され、フロントハウジング102の内部と外部とを遮断している。駆動軸106はラジアル方向及びスラスト方向にベアリング117,118,119,120によって回転自在に支持され、エンジン114からの動力がプーリ112に伝達され、プーリ112の回転と同期して回転可能である。
シリンダボア101a内にはピストン130が配置され、ピストン130には、クランク室105内に突出したテール部が一体に形成されている。テール部に形成された凹所130a内には一対のシュー132が配置され、シュー132は斜板107の外周部に対し挟み込むように摺接している。従って、シュー132を介して、ピストン130と斜板107とは互いに連動し、駆動軸106の回転によりピストン130がシリンダボア101a内を往復動する。
シリンダボア101a内にはピストン130が配置され、ピストン130には、クランク室105内に突出したテール部が一体に形成されている。テール部に形成された凹所130a内には一対のシュー132が配置され、シュー132は斜板107の外周部に対し挟み込むように摺接している。従って、シュー132を介して、ピストン130と斜板107とは互いに連動し、駆動軸106の回転によりピストン130がシリンダボア101a内を往復動する。
リアハウジング104の内部には、吸入室140及び吐出室142が区画形成され、吸入室140は、バルブプレート103に設けられた吸入孔103aを介してシリンダボア101aと連通可能である。吐出室142は、バルブプレート103に設けられた吐出孔103bを介してシリンダボア101aと連通している。なお、吸入孔103a及び吐出孔103bは、図示しない吸入弁及び吐出弁によってそれぞれ開閉される。
シリンダーブロック101の外側にはマフラ150が設けられ、マフラケーシング152は、シリンダーブロック101に一体に形成されたマフラベース101bに図示しないシール部材を介して接合されている。マフラケーシング152及びマフラベース101bはマフラ空間154を規定し、マフラ空間154は、リアハウジング104、バルブプレート103及びマフラベース101bを貫通する吐出通路156を介して吐出室142と連通している。
マフラケーシング152には吐出ポート152aが形成され、マフラ空間154には、吐出通路156と吐出ポート152aとの間を遮るように逆止弁200が配置されている。具体的には、逆止弁200は、吐出通路156側の圧力とマフラ空間154側の圧力との圧力差に応じて開閉し、圧力差が所定値ΔPsetより小さい場合閉作動し、圧力差が所定値ΔPsetより大きい場合開作動する。
したがって吐出室142は、吐出通路156、マフラ空間154及び吐出ポート152aを介して循環路12の往路部分と連通可能であり、マフラ空間154は逆止弁200によって断続される。一方、吸入室140は、リアハウジング104に形成された吸入ポート104aを介して循環路12の復路部分と連通している。
リアハウジング104には、本発明の第1実施形態の可変容量圧縮機の容量制御弁(電磁制御弁)300が収容され、容量制御弁300は給気通路160に介挿されている。給気通路160は、吐出室142とクランク室105との間を連通するようにリアハウジング104からバルブプレート103を経てシリンダーブロック101にまで亘っている。
リアハウジング104には、本発明の第1実施形態の可変容量圧縮機の容量制御弁(電磁制御弁)300が収容され、容量制御弁300は給気通路160に介挿されている。給気通路160は、吐出室142とクランク室105との間を連通するようにリアハウジング104からバルブプレート103を経てシリンダーブロック101にまで亘っている。
一方、吸入室140は、クランク室105と抽気通路162を介して連通している。抽気通路162は、駆動軸106とベアリング119,120との隙間、空間164及びバルブプレート103に形成された固定オリフィス103cからなる。
また、吸入室140は、リアハウジング104に形成された感圧通路166を通じて、給気通路160とは独立して容量制御弁300に接続されている。
また、吸入室140は、リアハウジング104に形成された感圧通路166を通じて、給気通路160とは独立して容量制御弁300に接続されている。
より詳しくは、容量制御弁300は、弁ユニットと弁ユニットを開閉作動させるソレノイドユニットとからなる。弁ユニットは、円筒状の弁ハウジング301を有し、弁ハウジング301の一端には入口ポート(弁孔301a)が形成されている。弁孔301aは、給気通路160の上流側部分を介して吐出室142と連通し、且つ、弁ハウジング301の内部に区画された弁室303に開口している。
弁室303には、弁ハウジング301を径方向に貫通する出口ポート301bが開口し、弁室303は、出口ポート301b及び給気通路160の下流側部分を介してクランク室105と連通している。
また、弁室303には、弁孔301aとは反対側にて挿通孔304の一端が開口し、挿通孔304は、弁孔301aと同様に、弁ハウジング301の軸線上を延びている。挿通孔304の他端は、感圧室305に開口し、感圧室305には、弁ハウジング301を径方向に貫通する感圧ポート301cが開口している。従って、感圧室305は、感圧ポート301c及び感圧路166を通じて吸入室140と連通している。
また、弁室303には、弁孔301aとは反対側にて挿通孔304の一端が開口し、挿通孔304は、弁孔301aと同様に、弁ハウジング301の軸線上を延びている。挿通孔304の他端は、感圧室305に開口し、感圧室305には、弁ハウジング301を径方向に貫通する感圧ポート301cが開口している。従って、感圧室305は、感圧ポート301c及び感圧路166を通じて吸入室140と連通している。
弁ハウジング301内には、弁体306が配置されている。図3に拡大して示したように、弁体306は円筒形状の本体部306aを有し、本体部306aは、弁室303から挿通孔304を経由して感圧室305まで渡っている。本体部306aは、挿通孔304によって摺動自在に支持されている。
弁体306は、本体部306aに一体且つ同軸に連なる軸部306bを有し、軸部306bは、感圧室305内に位置している。本体部306aとは反対側の軸部306bの端部には、軸部306bよりも大径の頭部306cが一体に形成されている。挿通孔304が開口した感圧室305の端壁と頭部306cとの間には、円錐コイルばねからなる開放ばね307が配置され、開放ばね307は、弁孔301aから離間する方向(開弁方向)に弁体306を付勢している。
弁体306は、本体部306aに一体且つ同軸に連なる軸部306bを有し、軸部306bは、感圧室305内に位置している。本体部306aとは反対側の軸部306bの端部には、軸部306bよりも大径の頭部306cが一体に形成されている。挿通孔304が開口した感圧室305の端壁と頭部306cとの間には、円錐コイルばねからなる開放ばね307が配置され、開放ばね307は、弁孔301aから離間する方向(開弁方向)に弁体306を付勢している。
再び図2を参照すると、ソレノイドユニットは円筒状のソレノイドハウジング310を有し、ソレノイドハウジング310は弁ハウジング301の他端と圧入により同軸的に連結されている。ソレノイドハウジング310の開口端は、エンドキャップ312によって閉塞され、ソレノイドハウジング310内には、樹脂部材314によって覆われた円筒形状のコイル(ソレノイドコイル)316が収容されている。
またソレノイドハウジング310内には、同心上に円筒状の固定コア318が収容され、固定コア318は、弁ハウジング301からエンドキャップ312に向けてコイル316の中央まで延びている。固定コア318のエンドキャップ312側は筒状部材320によって囲まれ、筒状部材320は、エンドキャップ312側に閉塞端を有する。
筒状部材320の内側には、支持部材322が、筒状部材320の閉塞端に密着して配置され、固定コア318と支持部材322との間には、円筒状の可動コア324を収容する可動コア収容空間325が規定されている。
筒状部材320の内側には、支持部材322が、筒状部材320の閉塞端に密着して配置され、固定コア318と支持部材322との間には、円筒状の可動コア324を収容する可動コア収容空間325が規定されている。
ここで、固定コア318は中央孔318aを有し、中央孔318aの一端は、可動コア収容空間325に開口している。中央孔318aにはソレノイドロッド326が挿通され、ソレノイドロッド326は固定コア318の両端から突出している。
可動コア収容空間325を縦断するソレノイドロッド326の部分には、円筒状の可動コア324が一体に固定されている。ソレノイドロッド326は支持部材322にまで到達しており、支持部材322側のソレノイドロッド326の端部は、支持部材322の円筒形状の有底孔によって摺動自在に支持されている。
可動コア収容空間325を縦断するソレノイドロッド326の部分には、円筒状の可動コア324が一体に固定されている。ソレノイドロッド326は支持部材322にまで到達しており、支持部材322側のソレノイドロッド326の端部は、支持部材322の円筒形状の有底孔によって摺動自在に支持されている。
可動コア324、固定コア318、ソレノイドハウジング310及びエンドキャップ312は磁性材料で形成され、磁気回路を構成する。筒状部材320は非磁性材料のステンレス系材料で形成されている。
可動コア324と支持部材322との間には圧縮コイルばね328が配置され、圧縮コイルばね328は、支持部材322から離間する方向(閉弁方向)に可動コア324を付勢する。
可動コア324と支持部材322との間には圧縮コイルばね328が配置され、圧縮コイルばね328は、支持部材322から離間する方向(閉弁方向)に可動コア324を付勢する。
ただし、可動コア324と固定コア318との間には所定の隙間が確保されている。また、可動コア324の外径は、筒状部材320の内径よりも小さく、可動コア324と筒状部材320との間には隙間が確保されている。
一方、中央孔318aの他端は感圧室305に開口し、再び図3を参照すると、感圧室側305内に突出した固定コア318の突出端部において、中央孔318aの内径は縮小されている。感圧室305側のソレノイドロッド326の端部は、固定コア318の突出端部、すなわち中央孔318aの縮径部によって摺動自在に支持されている。そして、感圧室305内に突出したソレノイドロッド326の端部は、弁体306の頭部306cに当接している。
一方、中央孔318aの他端は感圧室305に開口し、再び図3を参照すると、感圧室側305内に突出した固定コア318の突出端部において、中央孔318aの内径は縮小されている。感圧室305側のソレノイドロッド326の端部は、固定コア318の突出端部、すなわち中央孔318aの縮径部によって摺動自在に支持されている。そして、感圧室305内に突出したソレノイドロッド326の端部は、弁体306の頭部306cに当接している。
固定コア318の突出端部の根元には連通孔330が形成され、感圧室305は、連通孔330及び中央孔318aを通じて可動コア収容空間325と連通している。従って、ソレノイドロッド326を介して、弁体306の背面側、即ち感圧室305側には、閉弁方向に吸入室140の圧力、則ち吸入圧力Psが作用する。
そして、コイル316には、圧縮機100の外部に設けられた制御装置400が接続され(図2参照)、制御装置400からコイル316に制御電流Iが供給されると、ソレノイドユニットは電磁力F(I)を発生する。ソレノイドユニットの電磁力F(I)は、可動コア324を固定コア318に向けて吸引し、ソレノイドロッド326を介して、弁体306に対し閉弁方向に作用する。
そして、コイル316には、圧縮機100の外部に設けられた制御装置400が接続され(図2参照)、制御装置400からコイル316に制御電流Iが供給されると、ソレノイドユニットは電磁力F(I)を発生する。ソレノイドユニットの電磁力F(I)は、可動コア324を固定コア318に向けて吸引し、ソレノイドロッド326を介して、弁体306に対し閉弁方向に作用する。
図4は、図3中の領域IVを拡大して示しており、本体部306aの端面は、弁孔301aが開口した弁室303の壁面に当接することによって、弁孔301aを閉塞可能である。つまり、弁孔301aが開口した弁室303の壁面は、平面からなる弁座338として機能する。
ここで、本体部306aの横断面積Srは、弁孔301aの開口面積Sdよりも大であり(Sr>Sd)、本体部306aの端面には、浅皿形状の凹み340が中央に開口している。凹み340は、凹み340の開口縁に連なる曲面部342と、曲面部342の内側に連なる平坦部344とによって形成されている。平坦部344は凹み340の底をなし、弁座338と平行である。本体部306aの径方向でみて軸心に近づくほど、弁孔301aの軸線方向でみて曲面部342と弁座338若しくは弁孔301aとの距離は長くなる。
ここで、本体部306aの横断面積Srは、弁孔301aの開口面積Sdよりも大であり(Sr>Sd)、本体部306aの端面には、浅皿形状の凹み340が中央に開口している。凹み340は、凹み340の開口縁に連なる曲面部342と、曲面部342の内側に連なる平坦部344とによって形成されている。平坦部344は凹み340の底をなし、弁座338と平行である。本体部306aの径方向でみて軸心に近づくほど、弁孔301aの軸線方向でみて曲面部342と弁座338若しくは弁孔301aとの距離は長くなる。
本体部306aの端面における凹み340の開口面積Scは、本体部306aの横断面積Srに比べて略等しいか若しくは僅かに小さい。このため、本体部306aの端面には、凹み340を囲む平坦な環状のシール領域346が区画されている。本体部306aは円筒形状の外周面を有するけれども、シール領域346は、この円筒形状の外周面の端縁を含む。
なお、凹み340の開口面積Scは、弁孔301aの開口面積(横断面積)Sdよりも大きい。このため、シール領域346の内周縁の直径は、弁孔301aの開口縁の直径よりも大きく、シール領域346は、弁孔301aの開口縁から所定距離だけ径方向外側にて弁座338に当接する。
上述した容量制御弁300にあっては、弁体306の本体部306aの端面が弁孔301aに面し、本体部306aの端面には開弁方向に吐出室142の圧力、則ち吐出圧力Pdが作用する。また、弁体306の他端、則ち頭部306cは感圧室305内に位置し、弁体306の他端には閉弁方向に吸入室140の圧力、則ち吸入圧力Psが作用する。従って、弁体306は、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの圧力差に応答して動作する感圧部材としても機能する。
上述した容量制御弁300にあっては、弁体306の本体部306aの端面が弁孔301aに面し、本体部306aの端面には開弁方向に吐出室142の圧力、則ち吐出圧力Pdが作用する。また、弁体306の他端、則ち頭部306cは感圧室305内に位置し、弁体306の他端には閉弁方向に吸入室140の圧力、則ち吸入圧力Psが作用する。従って、弁体306は、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの圧力差に応答して動作する感圧部材としても機能する。
換言すれば、弁体306は、シール領域346を有する一端部と、当該一端部に感圧室305の圧力則ち吸入室140の圧力及びソレノイドユニットの電磁力F(I)を伝達する摺動部とを含む。
弁体306が弁孔301aを閉じている状態にあるとき、弁孔301aを通じて吐出圧力Pdが開弁方向に作用する弁体306の受圧面積(Sv1)は、シール領域346の内周縁よりも径方向内側の面積、つまり、凹み340の開口面積Scと等しい。また、吸入圧力Psが作用する弁体306の受圧面積は、挿通孔304に支持された本体部306aの横断面積Srに等しくなる。
弁体306が弁孔301aを閉じている状態にあるとき、弁孔301aを通じて吐出圧力Pdが開弁方向に作用する弁体306の受圧面積(Sv1)は、シール領域346の内周縁よりも径方向内側の面積、つまり、凹み340の開口面積Scと等しい。また、吸入圧力Psが作用する弁体306の受圧面積は、挿通孔304に支持された本体部306aの横断面積Srに等しくなる。
本実施形態では、受圧面積Sv1と横断面積Srとが略等しくなるように本体部306aは形成され、これにより弁体306には、開閉方向に弁室303内の圧力、つまりクランク室105の圧力(クランク圧力Pc)が実質的に殆ど作用しない。
具体的には、シール領域346の外縁とシール領域346の内縁との距離が0.05mm以上0.3mm以下程度の範囲に設定され、シール領域346は、弁体306が弁孔301aを閉じているとき、弁座338に対して線接触に近い状態で当接する。
具体的には、シール領域346の外縁とシール領域346の内縁との距離が0.05mm以上0.3mm以下程度の範囲に設定され、シール領域346は、弁体306が弁孔301aを閉じているとき、弁座338に対して線接触に近い状態で当接する。
従って、弁体306に作用する力は、吐出圧力Pdと、吸入圧力Psと、コイル316の電磁力F(I)と、開放ばね307の付勢力f1、及び、圧縮コイルばね328の付勢力f2である。これらのうち、吐出圧力Pd及び開放ばね307の付勢力f1は開弁方向、それ以外の吸入圧力Ps、ソレノイドユニットの電磁力F(I)及び圧縮コイルばね328の付勢力f2は、開弁方向とは対抗する閉弁方向に作用する。
上記した関係は、以下の特性式(1)で示され、Sv1=Srとして特性式(1)を変形すると特性式(2)が得られる。そして、電磁力F(I)が制御電流Iに比例するようにソレノイドユニットを設計しておき、F(I)=A・I(Aは係数)として特性式(2)を変形すると特性式(3)が得られる。
特性式(3)は、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの圧力差(Pd−Ps差圧)をソレノイドユニットの電磁力F(I)、つまりコイル316へ供給される制御電流Iで調整可能であることを示している。電磁力F(I)は弁体306に対して閉弁方向に作用し、制御電流Iを増加させることによって、図5に示すように、Pd−Ps差圧を増大させることができる。
制御装置400は、車両用空調システムの外部情報検知手段(図示せず)から提供される種々の外部情報に基づいて目標差圧ΔP、若しくは目標差圧ΔPに対応する制御電流Iを設定し、Pd−Ps差圧が目標差圧ΔPに近付くように容量制御弁300に制御電流Iを供給する。制御電流Iに対応して容量制御弁300の弁開度は調整され、これにより圧縮機100の吐出容量がフィードバック制御される。
なお、開放ばね307の付勢力f1は、圧縮コイルばね328の付勢力f2よりも大きく設定されているため(f1>f2)、制御電流Iをゼロにすると、開放ばね307の付勢力f1によって弁孔301aは開かれる。これにより、吐出室142からクランク室105に冷媒が供給され、斜板107の傾角が最小になり吐出容量は最小になる。
上述した容量制御弁300にあっては、弁体306の本体部306aが弁座338に当接する領域は、凹み340を形成したことにより、シール領域346である。
上述した容量制御弁300にあっては、弁体306の本体部306aが弁座338に当接する領域は、凹み340を形成したことにより、シール領域346である。
凹み340はシール領域346から径方向内側に向かうに連れて弁体306と弁座338との距離が増大するように形成され、これにより受圧面積Sv1が明確に規定される。
そして、シール領域346のシール幅若しくは面積が微小に設定されているため、シール領域346が弁座338から離間しているときに本体部306aに吐出圧力Pdが作用する面積は、シール領域346が弁座338に当接している状態での受圧面積Sv1と殆ど同じであり、実質的に受圧面積Sv1と等しいとみなせる。
そして、シール領域346のシール幅若しくは面積が微小に設定されているため、シール領域346が弁座338から離間しているときに本体部306aに吐出圧力Pdが作用する面積は、シール領域346が弁座338に当接している状態での受圧面積Sv1と殆ど同じであり、実質的に受圧面積Sv1と等しいとみなせる。
従って、弁体306が弁座338に当接している閉弁状態での弁体306の動作特性、及び、弁体306が弁座338から離間した開弁状態での弁体306の動作特性は、上記特性式(1)〜(3)に正確に従う。
更に、シール領域346が本体部306aの円筒形状の外周面の端縁側にあり、且つ微小に設定されているため、開弁時、弁体306は開弁方向に動圧の影響を受けにくい。また、吐出圧力Pdを受ける面積(受圧面積Sv1)が円筒形状の外周面の端縁側、つまり弁体306の本体部306aの寸法でほぼ規定され、吸入圧力Psを受ける面積が弁体306の軸部306bの寸法で規定されるため、これらの面積を同等に調整することが容易である。
更に、シール領域346が本体部306aの円筒形状の外周面の端縁側にあり、且つ微小に設定されているため、開弁時、弁体306は開弁方向に動圧の影響を受けにくい。また、吐出圧力Pdを受ける面積(受圧面積Sv1)が円筒形状の外周面の端縁側、つまり弁体306の本体部306aの寸法でほぼ規定され、吸入圧力Psを受ける面積が弁体306の軸部306bの寸法で規定されるため、これらの面積を同等に調整することが容易である。
この結果として、容量制御弁300によれば、特性式(3)に基づいて決定された制御電流Iをコイル316に供給すれば、Pd−Ps差圧が目標差圧ΔPに確実に近づき、吐出容量制御の精度が向上する。特に、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差が大きい領域で、容量制御弁300は吐出容量制御の精度向上に寄与する。
また更に、容量制御弁300では、弁座338が平面からなるため、弁座338に対して弁体306が軸ずれしたとしても、弁体306によって弁孔301aが確実に閉塞される。この結果として、この容量制御弁300では不所望の弁漏れが防止される。
また更に、容量制御弁300では、弁座338が平面からなるため、弁座338に対して弁体306が軸ずれしたとしても、弁体306によって弁孔301aが確実に閉塞される。この結果として、この容量制御弁300では不所望の弁漏れが防止される。
図6は、第2実施形態に係る容量制御弁の一部を拡大して示している。第2実施形態に係る容量制御弁は、弁体350の形状を除き、容量制御弁300と同一の構成を有する。
弁体350は、容量制御弁300における弁体306の本体部306aに相当する部分が、挿通孔304によって摺動自在に支持される摺動部306dと、摺動部306dよりも大径で円筒形状の大径端部(一端部)306eとによって構成されている。摺動部306dの直径は、本体部306aの直径と同じであり、大径端部306eの端面は弁座338に当接可能である。
弁体350は、容量制御弁300における弁体306の本体部306aに相当する部分が、挿通孔304によって摺動自在に支持される摺動部306dと、摺動部306dよりも大径で円筒形状の大径端部(一端部)306eとによって構成されている。摺動部306dの直径は、本体部306aの直径と同じであり、大径端部306eの端面は弁座338に当接可能である。
大径端部306eの端面には、凹み360が形成され、凹み360も曲面部362及び平坦部364によって構成されている。従って、大径端部306eの端面にも、環状のシール領域366が形成され、シール領域366は、大径端部306eの円筒形状の外周面の端縁を含んでいる。
凹み360の開口面積は、弁孔301aの開口面積よりも大きく、シール領域366の内周縁は、弁孔301aの開口縁から所定距離だけ径方向外側に離間している。また、凹み360の開口面積は、摺動部306dの横断面積Srよりも大に設定されている。
凹み360の開口面積は、弁孔301aの開口面積よりも大きく、シール領域366の内周縁は、弁孔301aの開口縁から所定距離だけ径方向外側に離間している。また、凹み360の開口面積は、摺動部306dの横断面積Srよりも大に設定されている。
第2実施形態の容量制御弁にあっては、弁体350の大径端部306eの端面が弁孔301aに面し、大径端部306eの端面には開弁方向に吐出圧力Pdが作用する。また、弁体350の大径端部306eとは反対側には吸入圧力Psが作用する。従って、弁体350は、Pd−Ps差圧に応答して動作する感圧部材としても機能する。
弁体350が弁孔301aを閉じた時に、吐出圧力Pdが開弁方向に作用する弁体350の受圧面積(Sv2)は、シール領域366の内周縁よりも内側の面積、つまり、凹み360の開口面積と等しい。また、閉弁方向に吸入圧力Psが作用する弁体350の受圧面積は、挿通孔304に支持された摺動部306dの横断面積Srに等しくなる。
弁体350が弁孔301aを閉じた時に、吐出圧力Pdが開弁方向に作用する弁体350の受圧面積(Sv2)は、シール領域366の内周縁よりも内側の面積、つまり、凹み360の開口面積と等しい。また、閉弁方向に吸入圧力Psが作用する弁体350の受圧面積は、挿通孔304に支持された摺動部306dの横断面積Srに等しくなる。
ここで、凹み360の開口面積、則ち受圧面積Sv2は、摺動部306dの横断面積Srよりも大に設定されているため(Sv2>Sr)、受圧面積Sv2と横断面積Srとの差(Sv2−Sr)に相当する大径端部306eの面積に対して、クランク圧力Pcが閉弁方向に作用する。
従って、弁体350に作用する力は、次の特性式(4)〜(7)にて示される。
従って、弁体350に作用する力は、次の特性式(4)〜(7)にて示される。
なお、Pc=Ps+αとして特性式(4)を変形すると特性式(5)が得られるが、Pc=Ps+α、すなわち、クランク圧力Pcと吸入圧力Psとの差αが略一定の範囲に入ることは、経験的に知られている。
特性式(7)は、第2実施形態の容量制御弁にあっても、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの圧力差(Pd−Ps差圧)をソレノイドユニットの電磁力F(I)、つまりコイル316へ供給される制御電流Iで調整可能であることを示している。
特性式(7)は、第2実施形態の容量制御弁にあっても、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの圧力差(Pd−Ps差圧)をソレノイドユニットの電磁力F(I)、つまりコイル316へ供給される制御電流Iで調整可能であることを示している。
第2実施形態の容量制御弁において、容量制御弁300と異なる点は、弁体350に対して閉弁方向にクランク圧力Pcが作用することであり、特性式(7)についてみれば、特性式(3)と異なるのは、右辺にαが含まれていることである。
この相違点はSv2>Srで示される関係が満たされていることによって生じている。かかる関係に起因して、弁体350が弁座338に当接している閉弁状態であっても、弁体350が弁座338から離間している開弁状態であっても、開弁方向にクランク圧力Pcが作用することはなく、閉弁方向にクランク圧力Pcが確実に作用する。
この相違点はSv2>Srで示される関係が満たされていることによって生じている。かかる関係に起因して、弁体350が弁座338に当接している閉弁状態であっても、弁体350が弁座338から離間している開弁状態であっても、開弁方向にクランク圧力Pcが作用することはなく、閉弁方向にクランク圧力Pcが確実に作用する。
従って、開弁時に弁体350が弁座338から離間して冷媒がクランク室105に流入してクランク圧力Pcが急上昇したときに、弁体350には閉弁方向に作用する力が増大する。このため、弁体350が弁座338から過度に離間することが抑制される。また、受圧面積Sv2と摺動部306dの横断面積Srとの差を調整することにより、クランク圧力Pcの上昇速度を調整することができる。これらの結果として、第2実施形態の容量制御弁を適用した可変容量圧縮機100においては、吐出容量制御が安定になる。
なお、第2実施形態の容量制御弁にあっては、その組み立てを考慮して、弁体350に頭部306cを設けずに、軸部306bに対してスナップリングをばね座として取り付けてもよい。
本発明は、上述した第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。
本発明は、上述した第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、弁体306,350の端面に凹み340,360を形成することによって、弁体306,350の一端部に、円筒形状の外周面の端縁を含み且つ弁座338に線接触に近い状態で当接可能なシール領域346,366を形成したが、弁体及び弁座の形状は特に限定されない。
具体的には、図7は、第3実施形態に係る容量制御弁の一部を拡大して示しており、この容量制御弁は弁体350に代えて弁体370を有する。弁体370は、大径端部306eに凹みが形成されておらず、これに伴い、弁座372は平面座ではなく雌テーパ形になっている。即ち、弁座372は、弁孔301aの開口端に連なる雌テーパ面によって構成され、弁座372の開口面積は、弁室303に近付くに連れて徐々に拡大している。このため、閉弁時には、大径端部306eの端面の外周縁がシール領域376として弁座372に線接触に近い状態で当接する。
具体的には、図7は、第3実施形態に係る容量制御弁の一部を拡大して示しており、この容量制御弁は弁体350に代えて弁体370を有する。弁体370は、大径端部306eに凹みが形成されておらず、これに伴い、弁座372は平面座ではなく雌テーパ形になっている。即ち、弁座372は、弁孔301aの開口端に連なる雌テーパ面によって構成され、弁座372の開口面積は、弁室303に近付くに連れて徐々に拡大している。このため、閉弁時には、大径端部306eの端面の外周縁がシール領域376として弁座372に線接触に近い状態で当接する。
第1及び第2実施形態では、弁体306,350は微小な面積を有するシール領域346,366を有しているが、シール領域346,366をより小さく設定して更に線接触に近い状態で弁座338に当接するようにすれば、開弁状態と閉弁状態とで弁体306,350の動作特性が更に変化せず、吐出容量制御の精度が一層向上する。
具体的には、シール領域346,366の外周縁の半径とシール領域346,366の内周縁の半径との差(シール幅)は、0.05mm以上0.2mm以下の範囲にあるのが好ましい。
具体的には、シール領域346,366の外周縁の半径とシール領域346,366の内周縁の半径との差(シール幅)は、0.05mm以上0.2mm以下の範囲にあるのが好ましい。
第1及び第2実施形態では、弁体306,350の凹み340,360は曲面部342,362を有し、径方向中央に近付くに連れて、弁体306,350と弁座338若しくは弁孔301aとの距離が大きくなったけれども、凹みは、曲面部に代えて直角な角部を有していてもよい。ただし、凹みの成形のし易さを考慮すれば、第1及び第2実施形態のように、凹みは曲面部を有するのが好ましい。
第1及び第2実施形態では、弁体306,350とソレノイドロッド326とは別体であったけれども、一体であってもよい。
第1及び第2実施形態では、圧縮コイルばね328を省略してもよい。また、第1及び第2実施形態では、開放ばね307のみによって、弁体306,350を開弁方向に常時付勢していたけれども、2つ又は3つ以上のばねを組み合わせて弁体306,350を開弁方向に常時付勢してもよい。
第1及び第2実施形態では、圧縮コイルばね328を省略してもよい。また、第1及び第2実施形態では、開放ばね307のみによって、弁体306,350を開弁方向に常時付勢していたけれども、2つ又は3つ以上のばねを組み合わせて弁体306,350を開弁方向に常時付勢してもよい。
第1実施形態の容量制御弁300及び第2実施形態の容量制御弁では、弁体306,350に対して吐出圧力Pd、吸入圧力Ps又は電磁力F(I)を作用させるために、ベローズやダイアフラムを用いてもよい。
例えば、一端が開口し、他端が閉塞した小型のベローズを用いた場合、弁体306の頭部306cをベローズの閉塞端の外面に当接させる。ソレノイドロッド326の先端側の部分は、ベローズの開口端を通じてベローズの内側に挿入され、ソレノイドロッド326の先端をベローズの閉塞端の内面に当接させる。これにより、ソレノイドロッド326が弁体306を電磁力F(I)にて付勢可能にする。そして、ベローズの内側の圧力は吸入圧力Psに等しくなるようにし、ベローズを介して弁体306に吸入圧力Psを作用させる。
例えば、一端が開口し、他端が閉塞した小型のベローズを用いた場合、弁体306の頭部306cをベローズの閉塞端の外面に当接させる。ソレノイドロッド326の先端側の部分は、ベローズの開口端を通じてベローズの内側に挿入され、ソレノイドロッド326の先端をベローズの閉塞端の内面に当接させる。これにより、ソレノイドロッド326が弁体306を電磁力F(I)にて付勢可能にする。そして、ベローズの内側の圧力は吸入圧力Psに等しくなるようにし、ベローズを介して弁体306に吸入圧力Psを作用させる。
第1及び第2実施形態では、可動コア324は筒状部材320に接触していなかったけれども、可動コア324の外周面を筒状部材320の内周面に摺動させることにより、筒状部材320によって可動コア324を支持してもよい。
第1及び第2実施形態では、制御装置400が、目標差圧ΔPに対応する制御電流Iを設定し、Pd−Ps差圧が目標差圧ΔPに近付くように容量制御弁300に制御電流Iを供給したけれども、制御装置400が実行する制御方法はこれに限定されない。
第1及び第2実施形態では、制御装置400が、目標差圧ΔPに対応する制御電流Iを設定し、Pd−Ps差圧が目標差圧ΔPに近付くように容量制御弁300に制御電流Iを供給したけれども、制御装置400が実行する制御方法はこれに限定されない。
例えば、特性式(3)を変形すると以下の特性式(8)が得られ、特性式(8)の関係に基づけば、図8に示したように、吸入圧力Psの目標値として目標吸入圧力Pssを予め決定し、変動する吐出圧力Pdの情報がわかれば、発生させるべき電磁力F(I)つまり制御電流Iを演算できる。そこで、コイル316に供給される制御電流Iをこの演算された制御電流Iに等しくなるよう調整すれば、吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssに近付くように弁体306,350が動作し、クランク圧力Pcが調整される。すなわち、吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssに近付くように吐出容量が制御される。
つまり、第1実施形態の容量制御弁300及び第2実施形態の容量制御弁によれば、Pd−Ps差圧が目標差圧ΔPに近付くように制御電流Iを調整する吐出容量の制御方法のほかにも、吐出圧力Pdと目標吸入圧力Pssに基づいて制御電流Iを調整して吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssに近付くように吐出容量の制御方法を採用可能である。
なお、後者の場合、車両用空調システムに吐出圧力Pdを検知するための検知手段を設ける必要がある。
なお、後者の場合、車両用空調システムに吐出圧力Pdを検知するための検知手段を設ける必要がある。
第1及び第2実施形態では、圧縮機100は往復動型の斜板式可変容量圧縮機であったけれども、往復動型の揺動板式可変容量圧縮機であってもよい。揺動板式可変容量圧縮機は、揺動板を揺動させるための要素を有し、斜板107及びこの要素をまとめて斜板要素という。圧縮機100は、電動モータで駆動されるものであってもよい。
斜板要素を有する往復動型の可変容量圧縮機にあっては、斜板要素の最小傾角で規定されるストローク長を非常に小さく設定可能であり、吐出容量の可変範囲が広い。かかる可変容量圧縮機に上述した容量制御弁を適用すれば、広範な可変範囲の全域にわたり、吐出容量が高精度にて制御される。
斜板要素を有する往復動型の可変容量圧縮機にあっては、斜板要素の最小傾角で規定されるストローク長を非常に小さく設定可能であり、吐出容量の可変範囲が広い。かかる可変容量圧縮機に上述した容量制御弁を適用すれば、広範な可変範囲の全域にわたり、吐出容量が高精度にて制御される。
第1及び第2実施形態の圧縮機100では、抽気通路162の流量を規制してクランク圧力Pcを昇圧するために、抽気通路162に絞り要素として固定オリフィス103cを配置したが、絞り要素として、流量可変の絞りを用いてもよく、また、弁を配置して弁開度を調整してもよい。
第1及び第2実施形態の冷凍サイクル10では、冷媒はR134aや二酸化炭素に限定されず、その他の新冷媒を使用してもよい。つまり、第1実施形態の容量制御弁300及び第2実施形態の容量制御弁は、従来の空調システムにも適用可能である。
第1及び第2実施形態の冷凍サイクル10では、冷媒はR134aや二酸化炭素に限定されず、その他の新冷媒を使用してもよい。つまり、第1実施形態の容量制御弁300及び第2実施形態の容量制御弁は、従来の空調システムにも適用可能である。
最後に、本発明に係る可変容量圧縮機の容量制御弁は、車両用空調システム以外の室内用空調システム等、空調システム全般に適用可能である。
301a 弁孔
306 弁体
338 弁座
346 シール領域
306 弁体
338 弁座
346 シール領域
Claims (6)
- 往復動型可変容量圧縮機の吐出圧力領域とクランク室との間を繋ぐ給気通路に介挿される可変容量圧縮機の容量制御弁において、
前記往復動型可変容量圧縮機の吸入圧力領域と連通する感圧室、前記給気通路の一部を介して前記クランク室と連通する弁室、前記給気通路の残部を介して前記吐出圧領域と連通し且つ前記弁室に開口した弁孔、前記弁室と前記感圧室との間を延びる挿通孔が区画された弁ハウジングと、
前記弁ハウジングに設けられ、前記弁孔の開口を囲む弁座と、
前記弁孔を開閉する弁体と、
前記弁体に対して電磁力を可変にて作用させるためのソレノイドユニットと
を備え、
前記弁体は、
前記弁室に配置され、円筒形状の外周面、及び、前記外周面の端縁を含み且つ前記弁座に対し線接触に近い状態で当接可能なシール領域を有する一端部と、
前記挿通孔によって摺動自在に支持され、前記感圧室の圧力及び前記電磁力を前記一端部に伝達する摺動部とを含む
ことを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御弁。 - 前記弁体及び弁座は、前記弁体と前記弁座との間の距離が前記弁体のシール領域から径方向内側に向かうに連れて増大するように成形されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 前記弁座は平面からなり、
前記弁体は前記シール領域の径方向内側に凹みを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。 - 前記弁体の一端部の外径は、前記摺動部の外径よりも大であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 請求項1乃至4の何れか1項に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁を備えることを特徴とする往復動型可変容量圧縮機。
- 冷媒としての二酸化炭素の圧縮に用いられることを特徴とする請求項5に記載の往復動型可変容量圧縮機。
Priority Applications (2)
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- 2008-03-17 JP JP2008067643A patent/JP2009221965A/ja active Pending
-
2009
- 2009-03-16 WO PCT/JP2009/055020 patent/WO2009116485A1/ja active Application Filing
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