JP2009221251A - インクジェット記録用インクセット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シアン色用顔料、有機溶媒、中和剤、及び水を含有するシアン色系の水性インク組成物と、マゼンタ色用顔料、有機溶媒、中和剤、及び水を含有するマゼンタ色系の水性インク組成物と、イエロー色用顔料、有機溶媒、中和剤、及び水を含有するイエロー色系の水性インク組成物と、を含み、前記シアン色用顔料、前記マゼンタ色用顔料、及び前記イエロー色用顔料が、下記一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆されている〔R1:水素原子,メチル基;Ar:無置換又は置換の芳香族環;n(平均の繰り返し数)=1〜6〕。
【選択図】なし
Description
さらに、画像を記録する場合において、打滴中に起こるミストの発生により、ヘッド近辺に複数の液が混合してできる凝集体が付着乾燥する等を原因とした吐出方向性不良が生じ、その凝集体は新たに吐出される液体によっては除去されず、付着した凝集体の除去性(すなわちメンテナンス性)も充分ではないため、記録された画像中に白抜け等の故障が発生する課題がある。
<1> シアン色用顔料、有機溶媒、中和剤、及び水を含有するシアン色系の水性インク組成物と、マゼンタ色用顔料、有機溶媒、中和剤、及び水を含有するマゼンタ色系の水性インク組成物と、イエロー色用顔料、有機溶媒、中和剤、及び水を含有するイエロー色系の水性インク組成物と、を含み、前記シアン色用顔料、前記マゼンタ色用顔料、及び前記イエロー色用顔料が、下記一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆された顔料であるインクジェット記録用インクセットである。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、シアン色系、マゼンタ色系、及びイエロー色系の少なくとも3色の水性インク組成物を備えており、各インクにおけるシアン色用顔料、マゼンタ色用顔料、イエロー色用顔料の3種全てを、以下に示す一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆した構成としたものである。なお、本発明においては、水性インク組成物の1つ(例えばシアン色系の水性インク組成物)に含まれる顔料の全てが本発明における水不溶性樹脂で被覆されている必要はなく、全顔料の一部のみでもよい。
本発明において好ましくは、更に、ブラック色系の水性インク組成物を備え、この水性インク組成物に含まれるカーボンブラックが、同様に以下に示す一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆された形態が好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクセットを構成する各水性インク組成物は、下記の一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆されたシアン色用顔料、マゼンタ顔料もしくはイエロー顔料、もしくは場合によりカーボンブラック、及び/又は他の顔料(以下、これらを「樹脂被覆顔料」ということがある。)と、有機溶媒と、中和剤と、水とを含んでなり、必要に応じて、樹脂微粒子又はポリマーラテックスや界面活性剤などの他の成分を用いて構成することができる。
本発明のインクセットを構成する各水性インク組成物は、下記一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂(以下、「本発明における水不溶性樹脂」ということがある。)によって被覆された顔料(シアン色用顔料、マゼンタ色用顔料、イエロー色用顔料、及び場合によりカーボンブラック、並びに必要に応じて他の色相の顔料を含む。;樹脂被覆顔料)から色相に応じて少なくとも一種を選択して含有する。本発明においては、少なくともシアン色用顔料、マゼンタ色用顔料、及びイエロー色用顔料の全てが同一の水不溶性樹脂で被覆されていることが重要であり、これによりカラー画像を記録したときの白抜け等の画像故障の発生が抑制され、記録された画像の耐擦過性が高められる。
前記「ヘテロ環が縮環した芳香環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。ヘテロ環が縮環した芳香環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
中でも、Arとしては、無置換のベンゼン環、無置換のナフタレン環が好ましく、無置換のベンゼン環が特に好ましい。
親水性構造単位(A)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸に由来の構造単位が好ましく、水不溶性樹脂中にはアクリル酸に由来の構造単位もしくはメタクリル酸に由来の構造単位のいずれか又は両方を含むことが好ましい。このほかの親水性構造単位(A)としては、非イオン性の親水性基を有するモノマーに由来の構造単位が挙げられ、例えば、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、親水性の官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。
親水性構造単位(A)は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明の水不溶性樹脂は、疎水性構造単位(B)として、前記一般式(I)で表される構造単位以外の他の疎水性構造単位を更に有してもよい。他の疎水性構造単位としては、例えば、親水性構造単位(A)に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位、等に由来の構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。中でも、ビニルアセテートが好ましい。
また、L1は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR2−、*−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、L1で表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。フェニレン基が置換されている場合の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等、シアノ基等が挙げられる。
中でも、特に好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CH2CH2O)n−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
Ar1で表される芳香環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環、又は2個以上連結したベンゼン環が挙げられる。炭素数8以上の縮環型芳香環、及びヘテロ環が縮環した芳香環の詳細については既述の通りである。
親水性構造単位(A)の含有量が15質量%以下であると、単独で水性媒体中に溶解する成分量が抑えられ、顔料の分散などの諸性能が良好になり、インクジェット記録時には良好なインク吐出性が得られる。
なお、酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインク組成物の塗膜としての機能を発揮することができる。本発明における水不溶性樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
前記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の種々の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、水との混合溶媒として用いてもよい。重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/cm2であり、特に1〜30kg/cm2程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた樹脂は、再沈殿などの精製を行なってもよい。
次に、前記本発明における水不溶性樹脂で被覆される顔料について説明する。
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
マゼンタインク(マゼンタ色用)の顔料として、例えば、C.I.ピグメント・レッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、48(Ca)、48(Mn)、48:2、48:3、48:4、49、49:1、50、51、52、52:2、53:1、53、55、57(Ca)、57:1、60、60:1、63:1、63:2、64、64:1、81、83、87、88、89、90、101(ベンガラ)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、163、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、269等、及びC.I.ピグメント・バイオレット19が挙げられ、特にC.I.ピグメント・レッド122が好ましい。
また、シアンインク(シアン色用)の顔料として、例えば、C.I.ピグメント・ブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー4、60、63等が挙げられ、特にC.I.ピグメント・ブルー15:3が好ましい。
転相乳化法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相乳化法」による具体的な方法は、特開平10−140065号公報に記載されている方法を参照できる。
b)酸析法
酸析法は、樹脂と顔料とからなる含水ケーキを用意し、その含水ケーキ中の、樹脂が有するアニオン性基の一部又は全部を、塩基性化合物を用いて中和することによって、カプセル化顔料を製造する方法である。
酸析法は、具体的には、(1)樹脂と顔料とをアルカリ性水性媒体中に分散し、必要に応じて加熱処理を行なって樹脂のゲル化を図る工程と、(2)pHを中性又は酸性にすることによって樹脂を疎水化して、樹脂を顔料に強く固着する工程と、(3)必要に応じて、濾過及び水洗を行なって含水ケーキを得る工程と、(4)含水ケーキを中の、樹脂が有するアニオン性基の一部または全部を、塩基性化合物を用いて中和し、その後、水性媒体中に再分散する工程と、(5)必要に応じて加熱処理を行ない、樹脂のゲル化を図る工程と、を含む方法がある。
工程(1):一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂、有機溶媒、中和剤、顔料、及び水を含有する混合物を攪拌等により分散して分散物を得る工程
工程(2):前記分散物から前記有機溶媒を除去する工程
なお、より具体的には、特開平11−209672号公報及び特開平11−172180号の記載を参照することができる。
本発明における水性インク組成物は、有機溶媒の少なくとも1種を含有する。有機溶媒は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
水溶性有機溶媒の例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
有機溶媒の水性インク組成物中における含有量としては、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
本発明における水性インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明における水性インク組成物は、中和剤の少なくとも1種を含有する。中和剤は、水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子を作製する際に、水不溶性樹脂に含まれる酸基を中和することができ、樹脂の酸価に対して0.5〜1.5当量となる量を用いることが好ましく、1〜1.5当量の範囲内であることが好ましい。
本発明における水性インク組成物は、界面活性剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いられ、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、ベタイン系の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、インクジェット法で良好に打滴するために、水性インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整できる量を含有するのが好ましい。中でも、界面活性剤の含有量は、表面張力を20〜45mN/mに調整できる量が好ましく、より好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
本発明における水性インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、樹脂微粒子又はポリマーラテックス、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の他の成分を含有してもよい。
アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
樹脂微粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂微粒子の添加量は、水性インク組成物に対して、0.5〜20質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つポリマー微粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
前記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
本発明における水性インク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、水性インクを25℃の条件下で測定されるものである。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、水性インクを20℃の条件下で測定されるものである。
また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインク組成物や、いわゆる印刷分野における特色のインク組成物等を用いることができる。
上記の各色調のインク組成物は、着色剤として用いる顔料の色相を所望により変更することにより調製できる。
本発明のインクセットは、これを構成する既述のシアン色系の水性インク組成物、マゼンタ色系の水性インク組成物、イエロー色系の水性インク組成物、及び場合によりブラック色系の水性インク組成物などを、記録しようとする画像情報にしたがって所望の記録媒体上にインクジェット法で吐出することによりカラー画像を記録する記録形態(第1記録形態)に用いることができる。
この第1記録形態のほか、本発明のインクセットは、シアン色系の水性インク組成物、マゼンタ色系の水性インク組成物、イエロー色系の水性インク組成物、及び場合によりブラック色系の水性インク組成物などを、水性インク組成物の各々と混合したときに水性インク組成物中の顔料等を凝集させる成分を含む水性液体組成物(凝集液)と共に用い、水性インク組成物と水性液体組成物とを接触させて画像を記録する記録形態(第2記録形態)にも用いることができる。
以下、第2記録形態に用いる水性液体組成物について説明する。
水性液体組成物は、既述の水性インク組成物と混合したときに、水性インク組成物中の顔料等の粒子を凝集させる凝集成分を少なくとも含んでなり、必要に応じて他の成分を用いて構成することができる。
水性液体組成物は、水性インク組成物中の顔料等の粒子を凝集させる凝集成分の少なくとも1種を含有する。インクジェット法で吐出された前記水性インク組成物に水性液体組成物が混合することにより、水性インク組成物中で安定的に分散している顔料等の粒子の凝集が促進される。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記水性インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、水性液体組成物のpH(25℃)が4以下である場合が好ましい。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)、の塩を挙げることができる。これら金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
顔料を凝集させる凝集成分の水性液体組成物中における含有量としては、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%であり、更に好ましくは10〜20質量%の範囲である。
本発明のインクセットは、上記の第1記録形態及び第2記録形態のいずれにも用いることができる。
第1記録形態では、所望の被記録媒体上に、既述のシアン色系の水性インク組成物とマゼンタ色系の水性インク組成物とイエロー色系の水性インク組成物と場合によりブラック色系の水性インク組成物及び他の色相の水性インク組成物とをインクジェット法により付与するインク付与工程を設けて記録する。
第2記録形態では、所望の被記録媒体上に、既述のシアン色系の水性インク組成物とマゼンタ色系の水性インク組成物とイエロー色系の水性インク組成物と場合によりブラック色系の水性インク組成物及び他の色相の水性インク組成物とをインクジェット法により付与するインク付与工程と、被記録媒体上に、水性インク組成物中の顔料を凝集させる成分を含む水性液体組成物を付与する凝集成分付与工程とを設け、水性インク組成物と水性液体組成物とを接触させて画像を形成する。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
具体的には、特開2002−166638号公報(特願2000−363090)、特開2002−121440号公報(特願2000−315231)、特開2002−154201号公報(特願2000−354380)、特開2002−144696号公報(特願2000−343944)、特開2002−080759号公報(特願2000−268952)に記載の方法を好ましく用いることができる。
例えば第2記録形態の場合、最初に画像形成する被記録媒体として中間転写体を用い、中間転写体上に、既述の本発明のインクセット中の少なくともシアン色系、マゼンタ色系、及びイエロー色系(並びに好ましくはブラック色系)の水性インク組成物をインクジェット法により付与するインク付与工程と、中間転写体上に、水性インク組成物中の顔料を凝集させる成分を含む水性液体組成物を付与する凝集成分付与工程とを設け、水性インク組成物と水性液体組成物とを接触させて中間転写体上に画像を形成した後、中間転写体に形成された画像を所望とする最終の被記録媒体に転写する転写工程を設けた方法が挙げられる。
この場合も、上記と同様に、例えば、乾燥除去工程、加熱定着工程などの他の工程を更に設けることができ、また、凝集成分付与工程で水性液体組成物を付与した後にインク付与工程を設ける態様が好ましい。
〜樹脂分散剤P−1の合成〜
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、これにメチルエチルケトン50gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、フェノキシエチルメタクリレート70g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート20gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は過剰量のヘキサンに2回再沈殿させ、析出した樹脂を乾燥させて、フェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(共重合比[モル比]=70/20/10)共重合体(樹脂分散剤P−1)96.5gを得た。
得られた樹脂分散剤P−1の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は49400であった。さらに、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
前記樹脂分散剤P−1の合成において、フェノキシエチルメタクリレート70g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート20gをそれぞれ対応するモノマーの種類及び比率になるように、下記表1に示すように変更したこと以外は、樹脂分散剤P−1の合成とほぼ同様にして、樹脂分散剤P−2、P−3、P−4を合成した。
−樹脂被覆顔料粒子の分散物C1の調製−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルー A220、大日精化(株)製)10部と、上記のフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)4.5部と、メチルエチルケトン45.5部と、1規定 NaOH水溶液5.3部と、イオン交換水84.7部とを混合し、ビーズミルで0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物C1(シアン色)を調製した。
Cromophtal Jet Magenta DMQ(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記のフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)4.5部と、メチルエチルケトン21.5部と、1規定 NaOH水溶液5.3部と、イオン交換水78.7部とを混合し、ビーズミルで0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物M1(マゼンタ色)を調製した。
Irgalite Yellow GS(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;イエロー顔料)10部と、上記のフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)4.5部と、メチルエチルケトン15.5部と、1規定 NaOH水溶液5.3部と、イオン交換水84.7部とを混合し、ビーズミルで0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物Y1(イエロー色)を調製した。
得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物の各々について、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により体積平均粒径を測定した。測定は、樹脂被覆顔料粒子の分散物30μlに対してイオン交換水10mlを加えて測定用サンプル液を調製し、これを25℃に調温して行なった。測定結果は下記表1に示す。
次に、得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物を用い、以下の組成にて水性インクC1,M1,Y1を調製した。これらの水性インクの25℃でのpHはいずれも9.0であった。
<水性インクC1の組成>
・前記樹脂被覆顔料粒子C1の分散物 ・・・37.2部
・サンニックスGP250(三洋化成工業(株)製;水溶性溶剤) ・・・10部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・5部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1部
・イオン交換水 ・・・46.8部
<水性インクM1の組成>
・前記樹脂被覆顔料粒子M1の分散物 ・・・31.7部
・サンニックスGP250(三洋化成工業(株)製;水溶性溶剤) ・・・10部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・5部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1部
・イオン交換水 ・・・52.3部
<水性インクY1の組成>
・前記樹脂被覆顔料粒子Y1の分散物 ・・・31.7部
・サンニックスGP250(三洋化成工業(株)製;水溶性溶剤) ・・・10部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・5部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1部
・イオン交換水 ・・・52.3部
インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェット装置を用意し、これに上記より得たインクセットを装填して、以下の方法により評価を行なった。被記録媒体には、FX−L紙(富士ゼロックス(株)製)を用いた。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
FX−L紙上に100%カバレッジパターンを記録した後、この記録面に別の未使用(白紙)のFX−L紙を重ね、その上から4.9×104[N/m2]の荷重で押し付けながら5往復し、カバレッジパターンの傷の程度を、予め作成しておいた限度見本に照合して下記の評価基準にしたがって目視により評価した。
<評価基準>
AA:傷は付かなかった。
A :僅かに傷が付いた。
B :傷は付いたが、実用上許容できる範囲であった。
C :傷が目立ち、実用上許容できない範囲であった。
得られた水性インクを各々別個のヘッドからFX−L紙上に30分間吐出した後、メンテナンス作業として、15KPaの圧力で10秒間加圧した後にクリーンワイパーFF−390c((株)クラレ製)でワイプを行ない、その後さらに5分間吐出を継続し、5分経過後にFX−L紙に記録された画像(5cm×5cm)を観察した。そして、観察した画像を下記の評価基準にしたがって目視評価した。
<評価基準>
A:白抜けの発生はみられなかった。
B:白抜けの発生が2箇所以下であった。
C:白抜けの発生が3〜10箇所であった。
D:白抜けの発生が10箇所を超えていた。
実施例1において、樹脂被覆顔料粒子の分散物C1,M1,及びY1の調製に用いたフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)を、下記表1に示すように、樹脂分散剤P−2、P−3、P−4にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ると共に、粒子径の測定、水性インクの調製及び評価を行なった。尚、樹脂分散剤P−2を用いて、シアン、マゼンタ、イエローの分散物C1,M1,Y1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を5.8部としてイオン交換水を0.5部減量した。樹脂分散剤P−3を用いて、シアン、マゼンタ、イエローの分散物C1、M1、Y1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を6.3部としてイオン交換水を1部減量した。樹脂分散剤P−4を用いて、シアン、マゼンタ、イエローの分散物C1,M1,Y1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を6.3部としてイオン交換水を1.0部減量した。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
実施例1において、樹脂被覆顔料粒子の分散物C1,M1,及びY1の調製に用いたフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)を、下記表1に示すように、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=90/10[質量%])共重合体(比較例1)、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=80/20[質量%])共重合体(比較例2)、スチレン/メタクリル酸(=90/10[質量%])共重合体(比較例3)にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ると共に、粒子径の測定、水性インクの調製及び評価を行なった。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。尚、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=80/20[質量%])共重合体の分散物の調製(比較例2)においては、分散物調製時の1規定 NaOH水溶液の量を10.5部とし、代わりにイオン交換水を5.2部減量した。
下記のようにして、シアン色調、マゼンタ色調、イエロー色調、及びブラック色調の4色の水性インクC1,M1,Y1,Bk1からなるインクセットを作製し、実施例1と同様の評価を行なった。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
(1)まず、実施例1と同様の水性インクC1,M1,Y1を同様の方法で調製した。
(2)次に、以下の組成の成分を混合して水性インクBk1を調製した。水性インクBk1の25℃でのpHは9.0であった。
<水性インクBk1の組成>
・下記の樹脂被覆顔料粒子Bk1の分散物 ・・・32.5部
・サンニックスGP250(三洋化成工業(株)製;水溶性溶剤) ・・・10部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・5部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1部
・イオン交換水 ・・・51.5部
NIPEX180−IQ(Evonik degussa社製;カーボンブラック顔料)10部と、上記のフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)4.5部と、メチルエチルケトン27.5部と、1規定 NaOH水溶液5.8部と、イオン交換水72.2部とを混合し、ビーズミルで0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物Bk1(ブラック色)を調製した。
実施例5において、樹脂被覆顔料粒子の分散物C1,M1,Y1,及びBk1の調製に用いたフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)を、下記表1に示すように、樹脂分散剤P−2、P−3、P−4にそれぞれ代えたこと以外は、実施例5と同様にして、樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ると共に、粒子径の測定、水性インクの調製及び評価を行なった。尚、樹脂分散剤P−2を用いて、シアン、マゼンタ、イエローの分散物C1,M1,Y1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を5.8部としてイオン交換水を0.5部減量し、ブラックの分散物Bk1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を6.3部としてイオン交換水を0.5部減量した。樹脂分散剤P−3を用いて、シアン、マゼンタ、イエローの分散物C1、M1、Y1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を6.3部としてイオン交換水を1部減量し、ブラックの分散物Bk1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を6.8部としてイオン交換水を1部減量した。また、樹脂分散剤P−4を用いて、シアン、マゼンタ、イエローの分散物C1,M1,Y1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を6.3部としてイオン交換水を1.0部減量し、ブラックの分散物Bk1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を6.8部としてイオン交換水を1部減量した。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
実施例5において、樹脂被覆顔料粒子の分散物C1,M1,Y1,及びBk1の調製に用いたフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)を、下記表1に示すように、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=90/10[質量%])共重合体(比較例4)、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=80/20[質量%])共重合体(比較例5)、スチレン/メタクリル酸(=90/10[質量%])共重合体(比較例6)にそれぞれ代えたこと以外は、実施例5と同様にして、樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ると共に、粒子径の測定、水性インクの調製及び評価を行なった。尚、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=80/20[質量%])共重合体(比較例5)でシアン、マゼンタ、イエローの分散物C1,M1,Y1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を10.5部とし、イオン交換水の量を5.2部減量し、ブラックの分散物Bk1を調製する際には、1規定 NaOH水溶液の量を11部とし、イオン交換水の量を5.2部減量した。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
実施例5において、「樹脂被覆顔料粒子の分散物C1(シアン色)の調製」に用いたフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)をスチレン/メタクリル酸(=90/10[質量%])共重合体に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ると共に、粒子径の測定、水性インクの調製及び評価を行なった。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
実施例5において、「樹脂被覆顔料粒子の分散物C1(シアン色)の調製」に用いたフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)をスチレン/メタクリル酸(=90/10[質量%])共重合体に代え、「樹脂被覆顔料粒子の分散物Y1(イエロー色)の調製」に用いたフェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)をベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=90/10[質量%])共重合体に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ると共に、粒子径の測定、水性インクの調製及び評価を行なった。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
これに対し、比較例では、画像の耐擦過性が悪く、また、凝集体のヘッドへの付着が多く、吐出されたインクの吐出方向性不良が防止できず、白抜け故障の発生も抑えられなかった。
Claims (7)
- 前記一般式(I)中のArで表される前記芳香族環が、無置換又は置換のベンゼン環であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- カーボンブラック、有機溶媒、中和剤、及び水を含有するブラック色系の水性インク組成物を更に含み、前記カーボンブラックが、前記一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆された顔料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記水不溶性樹脂は、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)とを含み、芳香族環の含有割合が水不溶性樹脂の全質量の20質量%以下であって、
前記疎水性構造単位(B)の少なくとも1種は前記一般式(I)で表される構造単位であり、
前記親水性構造単位(A)の割合が水不溶性樹脂の全質量の15質量%以下であり、前記親水性構造単位(A)が少なくとも(メタ)アクリル酸に由来の構造単位を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。 - 前記水不溶性樹脂は、酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記一般式(I)で表される構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆された顔料は、転相乳化法により水不溶性樹脂で被覆された顔料であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記水性インク組成物の少なくとも1種が、更に界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
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