JP2009220435A - 印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータにより回転駆動される画像転写用の回転部品を備えた印刷装置において、モータの交換時期を正確に把握することができ、且つモータのコスト増を抑える。
【解決手段】本発明に係わる印刷装置は、制御部81において、モータの負荷変動条件に基づいて算出した寿命補正値と、予め設定された初期寿命値と、印刷枚数とに基づいて寿命値を算出し、この寿命値が所定値となったときにモータの交換時期と判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像転写用の回転部品を駆動するモータの交換時期を正確に把握することができる印刷装置に関する。
従来より、印刷時にモータにより回転駆動される画像転写用の回転部品を備えた印刷装置が知られている。例えば、孔版印刷装置は、製版された孔版原紙を回転するドラムの外周面に巻き付け、印刷用紙をプレスロールによりドラムの外周に圧接しながら搬送するとともに、ドラムの内部から供給したインキを孔版原紙に形成された穿孔部から印刷用紙に転写することにより印刷画像を形成するものである。
このような印刷装置において、ドラムなどの回転部品を駆動するモータは長期間使用すると、摺動部が磨耗したり、軸受け部分が劣化して本来の性能を発揮できなくなる、いわゆる寿命を迎えることになる。通常、モータが寿命となり装置の動作に不具合が発生してからモータを交換するとユーザの印刷作業に支障をきたすことになるため、モータの消耗具合を早めに、且つ正確に検出することが求められている。
従来、このような機械部品などの寿命を検出する技術としては、例えば、サーマルヘッドやフォトインタラプタ、ローラなどの寿命を印刷枚数や製版枚数から求めるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。また、サーマルヘッドの寿命を印加パルス量から検出するようにしたものが知られている(特許文献2参照)。また、プリント板に実装されている電気部品への通電時間により電気部品の寿命計算を行うようにしたものが知られている(特許文献3参照)。また、モータの寿命を他の電気部品で検知した電位の変化により判定するようにしたものが知られている(特許文献4参照)。更に、寿命を正常に動作するまでの所要時間から求めるようにしたものが知られている(特許文献5参照)。
特開2007−45121号公報 特開2001−113666号公報 特開2004−42368号公報 特開平11−327386号公報 特開2005−234092号公報
上述のような印刷装置に用いられるモータの消耗は印刷枚数だけでなく、負荷変動条件によっても大きく異なる。負荷変動条件とは、印刷速度、インキ温度(粘度)などである。したがって、上記従来技術のようにモータの寿命を単に印刷枚数や通電時間などの合計に基づいて判定するだけでは、モータの寿命による交換時期を正確に把握することは困難であった。そのため、寿命のため廃棄すべきモータを再利用してしまったり、或いは、まだ使用可能であるモータを廃棄してしまう可能性があり、資源を有効利用できないこともあった。
また、モータが寿命となり装置の動作に不具合が発生してからモータを交換するとユーザの印刷作業に支障をきたすことになるため、従来はモータの耐久寿命を製品寿命の2倍以上に設定することで、モータを長期間交換しないで済むようにしていた。このため、モータの部品設計の難易度が上がり、且つ構成部品に対する性能要求も高くなり、大幅なコスト増となっていた。
本発明は上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、モータの交換時期を正確に把握することができ、且つモータのコスト増を抑えることができる印刷装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係わる発明は、印刷時にモータにより回転駆動される画像転写用の回転部品を備えた印刷装置において、印刷画像の形成された印刷用紙の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段と、前記モータの負荷変動条件に基づいて寿命補正値を算出する寿命補正値算出手段と、予め設定された初期寿命値と、前記印刷枚数カウント手段でカウントされた印刷枚数と、前記寿命補正値算出手段で算出された寿命補正値とに基づいて前記モータの寿命値を算出する寿命値算出手段と、前記寿命値算出手段で算出された前記モータの寿命値を書き替え可能に記憶する寿命値記憶手段と、前記寿命値算出手段で算出された前記モータの寿命値に基づいて前記寿命値記憶手段に記憶されている寿命値を書き替える寿命値書替え手段と、前記寿命値算出手段で算出された寿命値が所定値となったときに前記モータの交換時期と判定する寿命値判定手段と、前記寿命値判定手段の判定結果を使用者に通知する通知手段とを備えることを要旨とする。
請求項2に係わる発明は、請求項1において、前記寿命値判定手段により前記モータの交換時期と判定されたときは、前記モータの動作を制限するモータ動作制限手段を備えることを要旨とする。
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2において、前記寿命補正値算出手段が、前記モータの負荷変動条件として、少なくとも印刷速度とインキ温度とに基づいて寿命補正値を算出することを要旨とする。
請求項4に係わる発明は、請求項1又は2において、前記寿命値算出手段が、前記モータで消費された電流量を積算することで寿命値を算出することを要旨とする。
請求項5に係わる発明は、請求項1乃至4のいずれか一項において、前記寿命値記憶手段が前記モータに取り付けられていることを要旨とする。
請求項1に係わる発明では、モータの負荷変動条件に基づいて寿命補正値を算出し、この寿命補正値を用いてモータの寿命値を算出するようにしたので、従来のようにモータの寿命を単に印刷枚数や通電時間などの合計に基づいて判定するものと比べて、モータの実際の消耗具合に即した寿命判定を行うことができる。また、モータの適切な寿命判定が行えるため、モータの耐久寿命を必要以上に高める必要がなく、モータ部品設計の難易度や、構成部品に対する性能要求を通常のレベルに止めることができる。したがって、モータの交換時期を正確に把握することができるだけでなく、モータのコスト増を抑えることができる。
請求項2に係わる発明では、モータの交換時期と判定したときに、モータの動作制限処理を実行するため、モータが寿命を迎えて動作しなくなるまでの期間を出来るだけ長くすることができる。したがって、サービスセンターが離れた場所にあり、モータを交換するまでに時間がかかる場所に印刷装置を設置する場合や、時間が掛かっても印刷を継続して行いたい場合に有効となる。
請求項3に係わる発明では、モータの負荷変動条件として、回転速度と負荷トルクに対応する印刷速度とインキ温度とに基づいて寿命補正値を算出するため、モータの消耗具合をより正確に反映した寿命補正値を得ることができる。
請求項4に係わる発明では、モータの寿命値を、モータで消費される電流量に基づいて算出するため、印刷速度やインキ温度などの二次的な負荷要因からモータの消耗具合を推定する場合に比べて誤差の影響を少なくすることができ、より正確な寿命補正を算出することができる。
請求項5に係わる発明では、寿命値記憶部をモータに取り付けた構成としたので、交換などのためにモータを装置本体から取り外した場合でも、寿命値記憶部に記憶されているデータを読み出すことにより、そのモータの寿命を正確に知ることができる。このため、寿命のため廃棄すべきモータを再利用してしまったり、或いは、まだ使用可能であるモータを廃棄してしまうことがなく、資源を有効利用することが可能となる
以下、本発明に係わる印刷装置を孔版印刷装置に適用した場合の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係わる孔版印刷装置のモータ寿命判定機能の制御系を示すブロック図、図2は本実施形態に係わる孔版印刷装置の全体的な構成図、図3は操作パネルの配置を示す説明図である。
まず、孔版印刷装置1の全体的な構成について説明する。図2に示すように、本実施形態の孔版印刷装置1は大別すると、原稿読取部10、製版書込部20、カッター部30、及び印刷部40から構成されている。
原稿読取部10は、原稿の読み取り処理を行うための機構であり、被複写物である原稿7をセットする原稿セット台12と、原稿セット台12上にセットされた原稿7を検知する原稿センサ17と、原稿センサ17の検知信号により回転駆動される原稿搬送ロール対14と、搬送されてきた原稿7の画像を光学的に読み取りアナログの電気信号に変換する密着型のイメージセンサ11と、イメージセンサ11で読み取られた原稿7を原稿排出トレー19に排出するための原稿排出ロール対15とから構成されている。
なお、原稿INセンサ16は、搬送されてきた原稿7を検知する手段であり、後述する製版書込部20のスタートを決定するものである。また、原稿搬送ロール対14ならびに原稿排出ロール対15は、図中点線で示したようにステッピングモータ18により回転駆動される。
この原稿読取部10では、図示しない制御部において、原稿センサ17からの検知信号を受信すると、原稿搬送ロール対14を回転駆動して原稿7を所定方向に向けて搬送させ、イメージセンサ11により原稿7の画像を光学的に読み取る。画像を読み取った原稿7は原稿排出ロール対15により原稿排出トレー19に排出される。また、イメージセンサ11で読取られた1版分のアナログの電気信号は図示しないA/D変換部で8ビットのデジタルデータに変換された後、図示しない画像処理部へ送られる。
製版書込部20は、主走査方向に複数の発熱素子21aがライン状に配列されたサーマルヘッド21と、孔版原紙ロール22から送り出される孔版原紙23をサーマルヘッド21に押し当てながら搬送するプラテンロール24と、サーマルヘッド21にて製版された孔版原紙23を後述するドラム33のクランプ部32に向けて搬送する原紙搬送ロール対26とから構成されている。なお、図中点線で示した書込みモータ25はステッピングモータであり、プラテンロール24および原紙搬送ロール対26を回転駆動する。
カッター部30は、孔版原紙23を切断するための機構であり、サーマルヘッド21によって製版された孔版原紙23がドラム33に巻き付けられて所定量の長さになったときに、孔版原紙23を所定位置で切断するカッター31を備えている。
印刷部40は、ドクタロール56とスクージロール57間に形成されたインキ溜り58より一定量のインキをその内面に供給するインキ供給部を内蔵する画像転写用の回転部品としてのドラム33と、給紙台44上に積載され複写物となる印刷用紙から一枚ずつ印刷用紙43をピックアップして搬送する一次給紙ロール46と、一次給紙ロール46から搬送されてきた印刷用紙43を所定のタイミングで送り出す1対の二次給紙ロール42と、二次給紙ロール42より送り出されてきた印刷用紙43をドラム33の外周面に押し付けるプレスロール35と、印刷された印刷用紙43をドラム33より剥ぎ取るための分離爪55と、ドラム33より剥ぎ取り排紙された印刷用紙43を排紙積載する排紙台49とから構成されている。
また印刷部40には、給紙センサ45と、排紙センサ47とが設けられている。給紙センサ45は、二次給紙ロール42間に印刷用紙43が搬送されたか否かを検知する透過型のセンサであり、印刷用紙43が搬送されたことを検知すると、所定電位の検知信号が後述する制御部へ出力される。一方、排紙センサ47は、印刷用紙43がドラム33とプレスロール35との間から排出されたか否かを検知する反射型のセンサであり、印刷用紙43が排出されたことを検知すると、所定電位の検知信号が後述する制御部へ出力される。この排紙センサ47から検知信号が出力される度にカウンタの値を加算することにより、印刷画像の形成された印刷用紙43の印刷枚数を計数することができる。
また、ドラム33の外周面には、サーマルヘッド21にて製版され搬送されてきた孔版原紙23の先端部をクランプするクランプ部32が設けられている。このクランプ部32にクランプされた製版済みの孔版原紙23は、ドラム33を回転させることによりその外周面に巻き付けられる(着版)。
なお、図中点線で示したメインモータ34はDCモータであり、ドラム33を回転駆動するたのものである。以下の説明において、メインモータを適宜に「モータ」という(符号を省略)。また図1において、符号41は搬送路である。
また、装置本体の上面には図3に示すような操作パネル60が設けられている。この操作パネル60には、モード設定した製版や印刷処理などを開始させるスタートキー62、動作中の製版や印刷処理などを停止させるストップキー63、操作パネル60から設定した項目をリセットするためのリセットキー64、印刷枚数、天地位置の移動量などを入力するためのテンキー65、製版や印刷などのモードを選択するためのモード選択キー66、選択したモード設定を確認するための設定確認キー67、製版処理後に試し刷り印刷を行うための試し刷りキー68、印刷位置のセンタリングを行うセンターキー69などが配置されている。
また、操作パネル60には、表示/入力パネル70が配置されている。この表示/入力パネル70は、前面に配置された感圧式或いは静電式の透明なタッチパネル(図示せず)と、このタッチパネルの裏面に配置された液晶表示パネル(図示せず)とを備えている。ユーザーは液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れることで各種パラメータの入力などを行うことができる。例えば、製版や印刷処理を行う際には、タッチパネル下に表示される設定入力画面を通じてソーター機能の設定、連写/連続印刷機能の設定などを行うことができる。
また、液晶表示パネルには、製版終了や印刷開始のほか、モータの交換時期を通知するメッセージなども表示される。このような各種データ、設定などの入力手段は本実施形態の操作パネル60の例に限らず、同等に機能するものであれば、他の形式、形態であってもよい。
なお、操作パネル60の表示/入力パネル70は、後述する制御部81の寿命値判定手段としての処理による判定結果をユーザに通知する通知手段として機能する。
次に、孔版印刷装置1においてモータ寿命判定機能を実現する制御系の構成を図1を参照しながら説明する。なお図1では、モータ寿命判定機能を実現する制御系以外の構成については適宜に図示を省略している。
図1において、制御部81は、モータ寿命判定機能を実現するための動作を制御する部分であり、各種の演算処理やデータの入出力等の処理を実行する中央演算ユニット(CPU)により構成されている。この制御部81には、操作パネル60から入力された各種のコマンドやデータのほか、後述する印刷枚数カウント値などを記憶するRAM(ランダムアクセスメモリ)82、制御プログラムや後述する動作負荷テーブルなどを記憶するROM(リードオンリーメモリ)83、排紙センサ47、操作パネル60、モータ駆動回路84、インキ温度センサ87、プレス圧センサ88、送受信部89などが接続されている(このほかの接続機器については図示及び説明を省略する)。
また制御部81は、本発明の要部に係わる処理として、印刷画像の形成された印刷用紙43の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段としての処理を実行する。ここでは、排紙センサ47から用紙の検知信号が出力される度にカウンタ値を加算することにより、印刷画像の形成された印刷用紙43の印刷枚数を計数している。また、カウントされた印刷枚数は印刷枚数カウント値としてRAM82に記憶される。
また制御部81は、本発明の要部に係わる処理として、モータの負荷変動条件に基づいて印刷動作毎に寿命補正値を算出する寿命補正値算出手段としての処理を実行する。ここで、モータの負荷変動条件について説明する。図4は、モータの負荷変動条件を示す動作負荷テーブルの説明図である。この動作負荷テーブルのデータはROM83に記憶されており、制御部81が寿命補正値を算出する際に読み出される。
図4の上段に示す項目は、モータの負荷変動条件であり、本実施形態では「印刷速度」、「インキ温度」、「プレス圧」、「分離ポンプ」、「ドラム数」の5項目を設定している。各項目においては標準設定を破線枠で示している。
印刷速度は、毎分当たりの印刷枚数で表され、ユーザが操作パネル60を通じて所望の印刷速度を選択することにより設定される。印刷速度の項目において、左側の数値が印刷枚数であり、ハイフンに続く数値が補正値(他の項目も同じ)である。ここでは印刷速度130(枚/分)が標準設定となる。この印刷速度が速くなるほどドラム33の回転速度も速くなるため、印刷速度が130より速いときには補正値が大きくなり、また遅いときには補正値が小さくなるように設定されている。
インキ温度は、図2に示すインキ溜り58に蓄えられたインキの温度であり、インキ温度センサ87(図1)から出力される温度信号に基づいて自動的に設定される。一般にインキの温度が低くなるとインキの粘度が高くなり、ドラム33の駆動トルクを大きくする必要があるため、標準設定である23℃よりも低いときには補正値が大きくなり、高いときには補正値が小さくなるように設定されている。
プレス圧は、図2に示すプレスロール35がドラム33に押し付けられる際の圧力であり、インキ温度やユーザ設定(印刷濃度)により高〜低の3段階に設定される。このプレス圧が高くなるとドラム33の駆動トルクを大きくする必要があるため、標準設定である「中」よりも高いときには補正値が大きくなり、低いときには補正値が小さくなるように設定されている。
分離ポンプは、印刷された印刷用紙43をドラム33から分離するために圧縮空気を送るポンプ(図示せず)の作動を有効とするか、無効とするかを示すものである。メインモータ34で発生する動力の一部は上記ポンプを駆動するために用いられており、標準設定の「有効」ではなく「無効」が選択されたときには補正値が小さくなるように設定されている。この分離ポンプの有効/無効はユーザの選択により設定されるものである。
ドラム数は、装置内部に設けられたドラム33の数を表している。通常の単色印刷に対応した装置(単色機)であればドラム33は1つとなるが、2色同時印刷が可能な装置(2色機)では、第1色、第2色に対応した2つのドラムが配置されている。このような2色同時印刷では、それぞれのドラムで製版が行われ、印刷時には2つのドラムに連続して印刷用紙が搬送される。通常、2色機では1つのメインモータで2つのドラムを駆動しているため、2色のときは単色に比べてメインモータの駆動トルクも大きくなる。このため、標準設定の「単色」ではなく「2色」である場合には補正値が大きくなるように設定されている。このドラム数の項目は単色機であれば出荷時にデフォルト値として設定されるが、2色機の場合は単色での印刷も可能であるため、ユーザの選択により設定される。
制御部81では、寿命補正値算出手段としての処理において、上記動作負荷テーブルを参照し、ユーザの選択による設定、或いは自動的に設定された各項目の補正値を掛け合わせて寿命補正値を算出する。例えば、すべての項目が標準設定であれば寿命補正値は「1」となる。また、すべての項目で補正値が最も小さくなる設定、すなわちメインモータの動作負荷が最も小さくなる設定であれば寿命補正値は「0.4」となる。また、すべての項目で補正値が最も大きくなる設定、すなわちメインモータの動作負荷が最も大きくなる設定であれば寿命補正値は「4.5」となる(小数点以下2桁目四捨五入)。
また制御部81は、本発明の要部に係わる処理として、予め設定された初期寿命値と、上記印刷枚数カウント手段としての処理において計数した印刷枚数カウント値と、上記寿命補正値算出手段としての処理において算出した寿命補正値とに基づいてメインモータ34の寿命値(以下、「残寿命値」という)を算出する寿命値算出手段としての処理を実行する。
ここで、初期寿命値とは、標準設定で使用した場合のモータ寿命を印刷枚数で表したもので、モータごとに設定される固定値である。例えば、単色印刷で標準印刷速度設定で連続印刷した場合は200万枚、単色印刷で高速印刷速度設定で連続印刷した場合は約110万枚、2色印刷の低温インキ温度設定で連続印刷した場合は約100万枚が目安となる。この初期寿命値は後述の寿命値記憶部86に固定値として記憶されている。
また制御部81は、寿命値算出手段としての処理において、以下の式(1)を用いて残寿命値を算出する。
残寿命値=前残寿命値−(印刷枚数カウント値×寿命補正値)・・・(1)
ここで、前残寿命値とは、前回算出された残寿命値、すなわち寿命値記憶部86に記憶されている寿命値であり、初期状態では初期寿命値が設定される。例えば、初期寿命値を2,000,000枚、印刷枚数カウント値を300枚、寿命補正値を0.4として計算すると、残寿命値は1,999,880枚となる。次回の残寿命値の算出では、この1,999,880枚が前残寿命値となる。
また、制御部81は、本発明の要部に係わる処理として、上記寿命値算出手段としての処理において算出したモータの残寿命値に基づいて寿命値記憶部86に記憶されている寿命値を書き替える寿命値書替え手段としての処理を実行する。
ここで、寿命値記憶部86について説明する。図5はメインモータ34の外観図である。図5に示すように、メインモータ34は、ギヤヘッド部36とモータ部37とから構成されている。そして、モータ部37の外壁には寿命値記憶部86が取り付けられている。この寿命値記憶部86としては、例えば書替え可能なメモリを内蔵するICチップとアンテナとで構成されたRFタグ(非接触タグ)を用いることができる。このようなRFタグのICチップ内に初期寿命値、残寿命値を記憶しておくことにより、制御部81はモータごとの初期寿命値を取得し、また算出した残寿命値を記憶させることができる。なお、寿命値記憶部86と制御部81との間でのデータのやり取りは、図1に示す送受信部89を通じて行われる。
そして、交換などのためにメインモータ34を装置本体から取り外した場合は、パソコンなどのデータ送受信機能を用いることにより、ICチップ内に記憶しているデータを読み出すことができる。また、寿命値記憶部86と制御部81との間でのデータのやり取りは無線である必要はなく、有線により接続されたものであってもよい。この場合も、メインモータ34を装置本体から取り外した場合は、パソコンなどのデータ送受信機能を備えた機器と接続することにより、ICチップ内に記憶しているデータを読み出すことができる。
制御部81は寿命値書替え手段としての処理において、指定枚数の印刷処理が終了したときに、上述した残寿命値を算出して寿命値記憶部86に記憶されている残寿命値を更新する。なお、本実施形態における寿命値記憶部86は、制御部81で算出されたモータの残寿命値を書き替え可能に記憶する寿命値記憶手段として機能する。
ここで、寿命値算出手段の他の実施形態について説明する。他の実施形態における制御部81は、本発明の要部に係わる処理として、モータで消費された電流量を積算することで寿命値を算出する寿命値算出手段としての処理を実行する。具体的には、図1に示すように、モータ駆動回路84に電流検出回路85を接続し、制御部81の上記寿命値算出手段の処理として、印刷用紙1枚当りの消費電流量を検出する。そして、印刷処理が実行される毎に検出された消費電流値を積算し、この積算値を寿命値とするものである。
また制御部81は、本発明の要部に係わる処理として、上記寿命値算出手段としての処理において算出した残寿命値が所定値となったときにモータが交換時期に達したものと判定する寿命値判定手段としての処理を実行する。本実施形態では、指定枚数の印刷処理が終了するごとに、寿命値記憶部86に記憶している残寿命値を減算していき、残寿命値が0以下(≦0)となったときにモータの交換時期に達したものと判定するようにしている。ただし、以下の式(2)を用いて残寿命値を算出してもよい。
残寿命値=印刷枚数カウント値×寿命補正値・・・(2)
この場合は、指定枚数の印刷処理が終了するごとに、残寿命値を加算していき、初期寿命値を超えたときにモータの交換時期に達したものと判定する。
また、上記他の実施形態において、消費電流値を積算して得られた積算値を寿命値とした場合は、寿命値が所定値を越えたときにモータの交換時期に達したものと判定する。この場合の所定値は先に説明した初期寿命値に相当するものであり、標準設定で使用した場合のモータ寿命を消費電流値で表したものとなる。
また制御部81では、上記寿命値判定手段としての処理において、モータの交換時期に達したものと判定したときは、操作パネル60の表示/入力パネル70に判定結果、すなわちモータの交換時期であることを通知する。例えば、「○○部品を交換してください」というようなメッセージを表示したり、所定のアイコンを表示するなどの手法によりモータの交換時期であることを通知する。
また、メッセージは段階的に表示させるようにしてもよい。例えば、残寿命値が0以下となる前、例えば残寿命値が500以下となったときには「サービスセンターに連絡してください」という点検を促すメッセージを表示し、残寿命値が0以下となったときには「○○部品を交換してください」という修理を促すメッセージを表示するようにしてもよい。
更に、他の実施形態として、制御部81は、寿命値判定手段としての処理において、モータの交換時期と判定したときに、モータの動作を制限するモータ動作制限手段(図1)としての処理を実行するようにしてもよい。この処理は、モータの交換時期と判定された後に、装置の動作を制限することにより、モータが寿命を迎えて動作しなくなるまでの期間を出来るだけ長くしようとするものである。このモータの動作制限処理では、図4に示した動作負荷テーブルの項目のうち、例えば印刷速度を「60(枚/分)」、プレス圧を「低」、分離ポンプを「無効」、ドラム数を「単色」(2ドラムの場合は1つを使えないようにする)というように、モータの負担が出来るだけ小さくなるように制限する。また、このほかにも印刷枚数や連続印刷時間を制限するようにしてもよい。このようなモータの動作制限処理を実行した場合は、操作パネル60の表示/入力パネル70に「動作制限中です」というようなメッセージを表示することでユーザに対しモータの交換を促すことができる。また、このとき操作パネル60において、印刷速度やプレス圧などの設定を受け付けないようにしてもよい。このようなモータの動作制限処理は、例えばサービスセンターが離れた場所にあり、モータを交換するまでに時間がかかる場所で印刷装置を使用する場合や、時間が掛かっても印刷を継続して行いたい場合に有効となる。
なお、上記のようなモータの動作制限処理を前提とした場合は、モータの交換時期に達したと判定した場合でも、しばらくの期間は通常通りの印刷処理が可能となるように初期寿命値に余裕をもたせておくことが望ましい。
次に、上述した各機能手段としての処理を実行する制御部81において、モータの交換時期判定を行う場合の処理手順を図6のフローチャートに基づいて説明する。なお、原稿の読取り処理、製版処理、印刷処理については従来と同じであるため説明を省略する。
まず、制御部81は、印刷処理が終了したかどうかを判定する(ステップS101)。ここでNOであれば印刷処理が終了するまで待機し、YESであれば、RAM82に記憶されている印刷枚数カウント値を取得する(ステップS102)。続いて、制御部81は、送受信部89を通じて寿命値記憶部86にアクセスし、内部に記憶されている前残寿命値を取得する(ステップS103)。次に、制御部81は、ROM83に記憶されている動作負荷テーブルを参照し、各項目の設定内容に基づいて寿命補正値を算出する(ステップS104)。そして、制御部81は、予め設定された初期寿命値、印刷枚数カウント値、及び寿命補正値に基づいて残寿命値を算出し(ステップS105)、算出した残寿命値が0以下か否かを判定する(ステップS106)。ここでNOであれば、制御部81は、寿命値記憶部86に記憶されている残寿命値をステップS105で算出した残寿命値に更新する(ステップS107)。その後、RAM82に記憶されている印刷枚数カウント値をクリアして(ステップS108)、本ルーチンの処理を終了する。またステップS106でYESであれば、制御部81は、操作パネル60の表示/入力パネル70に、モータの交換時期であることを知らせるメッセージを表示して(ステップS109)、ステップS107へ移行する。
また、ステップS109の処理に続いて、上述したモータの動作制限処理を実行(ステップS110)した後、ステップS107へ移行するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係わる孔版印刷装置1では、モータの負荷変動条件に基づいて寿命補正値を算出し、この寿命補正値を用いてモータの残寿命値を算出するようにしたので、従来のようにモータの寿命を単に印刷枚数や通電時間などの合計に基づいて判定するものと比べて、モータの実際の消耗具合に即した寿命判定を行うことができる。また、モータの適切な寿命判定が行えるため、モータの耐久寿命を必要以上に高める必要がなく、モータ部品設計の難易度や、構成部品に対する性能要求を通常のレベルに止めることができる。したがって、本実施形態に係わる孔版印刷装置1によれば、モータの交換時期を正確に把握することができるだけでなく、モータのコスト増を抑えることができる。
また、モータの交換時期と判定したときに、モータの動作制限処理を実行するようにした場合は、モータが寿命を迎えて動作しなくなるまでの期間を出来るだけ長くすることができる。したがって、サービスセンターが離れた場所にあり、モータを交換するまでに時間がかかる場所に印刷装置を設置する場合や、時間が掛かっても印刷を継続して行いたい場合に有効となる。
また、モータの消耗具合を決める要因として最も影響が大きいのは回転速度と負荷トルクと考えられている。本実施形態では、モータの負荷変動条件として、回転速度と負荷トルクに対応する印刷速度とインキ温度とに基づいて寿命補正値を算出しているため、モータの消耗具合をより正確に反映した寿命補正値を得ることができる。
また、モータの寿命値を、モータで消費される電流量に基づいて算出するようにした場合は、印刷速度やインキ温度などの二次的な負荷要因からモータの消耗具合を推定する場合に比べて誤差の影響を少なくすることができるので、より正確な寿命補正を算出することができる。
更に、本実施形態では、寿命値記憶部86をメインモータ34に取り付けた構成としたので、交換などのためにメインモータ34を装置本体から取り外した場合でも、寿命値記憶部86に記憶されているデータを読み出すことにより、そのモータの寿命を正確に知ることができる。このため、寿命のため廃棄すべきモータを再利用してしまったり、或いは、まだ使用可能であるモータを廃棄してしまうことがなく、資源を有効利用することが可能となる。
以上、本発明を孔版印刷装置に適用した実施形態について説明したが、本発明は印刷時にモータにより回転駆動される画像転写用の回転部品を備えた印刷装置全般に適用可能であり、例えば、感光ドラムを備えたPPC複写機などにも適用することができる。
実施形態に係わる孔版印刷装置のモータ寿命判定機能の制御系を示すブロック図。 実施形態に係わる孔版印刷装置の全体的な構成図。 操作パネルの配置を示す説明図。 モータの負荷変動条件を示す動作負荷テーブルの説明図。 メインモータの外観図。 モータの交換時期判定を行う場合の処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…孔版印刷装置
10…原稿読取部
20…製版書込部
23…孔版原紙
24…プラテンロール
33…ドラム
34…メインモータ
35…プレスロール
36…ギヤヘッド部
37…モータ部
40…印刷部
43…印刷用紙
45…給紙センサ
47…排紙センサ
60…操作パネル
65…テンキー
70…表示/入力パネル
81…制御部
82…RAM
83…ROM
84…モータ駆動回路
85…電流検出回路
86…寿命値記憶部
87…インキ温度センサ
88…プレス圧センサ
89…送受信部

Claims (5)

  1. 印刷時にモータにより回転駆動される画像転写用の回転部品を備えた印刷装置において、
    印刷画像の形成された印刷用紙の枚数をカウントする印刷枚数カウント手段と、
    前記モータの負荷変動条件に基づいて寿命補正値を算出する寿命補正値算出手段と、
    予め設定された初期寿命値と、前記印刷枚数カウント手段でカウントされた印刷枚数と、前記寿命補正値算出手段で算出された寿命補正値とに基づいて前記モータの寿命値を算出する寿命値算出手段と、
    前記寿命値算出手段で算出された前記モータの寿命値を書き替え可能に記憶する寿命値記憶手段と、
    前記寿命値算出手段で算出された前記モータの寿命値に基づいて前記寿命値記憶手段に記憶されている寿命値を書き替える寿命値書替え手段と、
    前記寿命値算出手段で算出された寿命値が所定値となったときに前記モータの交換時期と判定する寿命値判定手段と、
    前記寿命値判定手段の判定結果を使用者に通知する通知手段と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記寿命値判定手段により前記モータの交換時期と判定されたときは、前記モータの動作を制限するモータ動作制限手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記寿命補正値算出手段は、前記モータの負荷変動条件として、少なくとも印刷速度とインキ温度とに基づいて寿命補正値を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 前記寿命値算出手段は、前記モータで消費された電流量を積算することで寿命値を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  5. 前記寿命値記憶手段が前記モータに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
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