JP2009219452A - 海藻食品の製造方法及びこの方法により製造された海藻食品 - Google Patents

海藻食品の製造方法及びこの方法により製造された海藻食品 Download PDF

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Abstract

【課題】海苔等の海藻類などの食材を裁断又は粉砕してなる海藻粉末をカプセル状とし、食塩を加えることなく長期保存をすることができ、更に料理の素材に適した美観に優れる形状を備える海藻食品の製造方法及びこれにより製造される海藻食品を提供することを課題とする。
【解決手段】本海藻食品は、海藻粉末と酸と水溶性多糖類塩溶液からなる海藻分散物を調製し、その後、海藻分散物をカルシウム塩溶液に滴下して滴下物の表面に多糖類の難水溶性カルシウム塩被膜を形成させた球状の海藻食品とする。このような海藻食品によれば、酸による制菌及び殺菌効果により、海藻が湿潤した状態でも雑菌等の増加を抑制することができるため長期保存が可能である。また、酸味は他の調味料との相性もよく、塩による保存などに比べて食材としての応用範囲が広くなり、本海藻食品をそのまま食用にできるのみならず各種食品の材料に用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、海藻食品の製造方法及びこの方法により製造された海藻食品に関する。更に詳しくは、本発明は、海苔等の海藻類などの食材を裁断又は粉砕してなる海藻粉末をカプセル状とし、食塩を加えることなく長期保存をすることができ、更に料理の素材に適した美観に優れる形状を備える海藻食品の製造方法及びこの方法により製造される海藻食品に関する。
海藻類はそのままでは各種食品材料として利用しにくいという問題がある。例えば、板海苔は広く用いられる伝統的な海藻食品であるが、板状であることから海苔巻き、おにぎりなどの用途が限定されている。また、海藻は雑菌が多く含まれており、湿潤状態で長期保存をするためには、例えば、食塩等を添加して腐りにくいように処理する必要がある。食塩等の濃厚な味の成分を添加した海藻は、食材への用途に制限が生じ、例えば薄味な料理等に用いることができないという問題がある。また、ゼリー状及び粒状等の従来と異なる形状を備える海藻食品が提案されている(例えば、特許文献1〜4を参照。)。更に、海藻類の抽出物を成型した寒天などの食材も一般的であるが、これらは抽出の過程で本来海藻に含まれている栄養成分、機能性成分が失われている。
特開2005−198596号公報 特開2004−254662号公報 特開2001−333745号公報 特開平06−169704号公報
特許文献1は、ペースト状の海苔及び黒酢を含有し、ゲル化剤を添加してゼリー状にした海藻食品である。この海藻食品は黒酢による長期保存を期待できるが、ゼリー状であるため調理に際して形状を保持することが困難であり、また、海藻食品そのものの美観を用いる料理には適さない等、料理の素材としては制限がある。
特許文献2は、水戻しをした海苔に醸造酢等の味付けをした海藻食品である。この海藻食品は醸造酢による長期保存を期待できるが、一定形状に保つことができず、調理に用いた場合には他の食材中に分散するため、美観上好ましくない。
特許文献3は、わかめ等の海藻類をアルギン酸塩中に含ませ、粒状にした海藻食品である。この海藻食品は、いくらのような粒状であり美観に優れるが、長期保存及び長期保存のための防腐処理について検討されていない。
特許文献4は、海苔佃煮等の塩類含有食品を、ジェランガム及びアルギン酸塩等により被覆した食品の製造方法である。この食品は、様々な形状で作成することができ美観に優れるが、塩類を含有しているため、食材の用途に制限があるという問題がある。
そこで、本発明は、食塩を加えることなく長期保存をすることができ、更に料理の素材に適した美観に優れる形状を備える海藻食品の製造方法及びこの方法により製造される海藻食品の提供を課題とする。
本発明は、以下のとおりである。
1.海藻粉末と酸と水溶性多糖類塩溶液からなる海藻分散物を調製し、その後、該海藻分散物をカルシウム塩溶液に滴下して滴下物の表面に多糖類の難水溶性カルシウム塩被膜を形成させた球状の海藻食品とすることを特徴とする海藻食品の製造方法。
2.上記水溶性多糖類塩がアルギン酸ナトリウムである上記1.記載の海藻食品の製造方法。
3.上記海藻粉末が、あまのり属、ひとえぐさ属、あおさ属、あおのり属、こんぶ属、とろろこんぶ属及びわかめ属のうちの少なくとも1種の海藻の粉末である上記2.記載の海藻食品の製造方法。
4.上記海藻粉末を篩により分級したとき、該海藻粉末を100質量%とした場合に、5mmパスから0.2mmオンの砕片の質量割合が80質量%以上である上記3.記載の海藻食品の製造方法。
5.上記酸が、酢酸、クエン酸、乳酸及びりんご酸のうちの少なくとも1種である上記2.又は上記3.に記載の海藻食品の製造方法。
6.上記海藻分散物に調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方が添加されている上記2.乃至4のうちのいずれか1項に記載の海藻食品の製造方法。
7.上記1.乃至6のうちのいずれか1項に記載の海藻食品の製造方法により製造されたことを特徴とする海藻食品。
8.表面に多糖類のカルシウム塩被膜が形成され且つ酸と水溶性多糖類塩溶液とからなるゲル状物中に、多数の海藻粉末が分散しており、球状である上記7.記載の海藻食品。
9.調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方が添加されている上記8.記載の海藻食品。
本発明の海藻食品の製造方法及びこの方法により製造された海藻食品によれば、酸による制菌及び殺菌効果により、海藻が湿潤した状態でも雑菌等の増加を抑制することができるため長期保存が可能である。また、酸味は他の調味料との相性もよく、塩による保存などに比べて食材としての応用範囲が広くなり、本海藻食品をそのまま食用にできるのみならず各種食品の材料に用いることができる。
また、アルギン酸ナトリウム溶液中に海藻粉末を分散させることによって、一定の球状を保ち、美観に優れて飾り付け等にも利用できる食品とすることができる。更に、アルギン酸ナトリウム溶液は、無味であるため、海藻の味わいを損なうことがない。また、海藻をそのまま粉末に加工したものを使用するため、海藻の全ての栄養成分、機能性成分を保持した食材が提供できる。更に、従来はほぼ収穫したままの食品、又は薄片状に加工した食品としてのみ提供されていた海藻食材を、従来とは形状が異なる料理の素材に適する美観を備える食品として提供することができる。
また、海藻類が、あまのり属、ひとえぐさ属、あおさ属、あおのり属、こんぶ属、とろろこんぶ属及びわかめ属のうちの少なくとも1種である場合は、本海藻食品の海藻粉末において味及び加工性に関して適しており、従来はほぼ収穫したままの食品、又は薄片状に加工した食品としてのみ提供されていた海藻食材を、従来とは形状が異なる料理の素材に適した美観を備える食品として提供することができる。
更に、海藻粉末の5mmパスから0.2mmオンの砕片の質量割合が80質量%以上の場合は、多糖類溶液との混合が容易であり、且つより均一に分散、混合させることができ、均質な海藻食品とすることができる。
また、上記酸が、酢酸、クエン酸、乳酸及びりんご酸のうちの少なくとも1種である場合は、風味がよい海藻食品とすることができる。
更に、海藻分散物に調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方が添加されている場合は、食材としての応用範囲が広くなり、そのまま食用にする場合でも味わいある食品とすることができる。
また、海藻食品が表面に多糖類のカルシウム塩被膜が形成され且つ酸と水溶性多糖類塩溶液とからなるゲル状物中に、多数の海藻粉末が分散しており、球状である場合は、従来とは形状が異なる料理の素材に適する美観を備える食品として提供することができる。
更に、海藻食品に調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方が添加されている場合は、食材としての応用範囲が広くなり、そのまま食用にする場合でも味わいある食品とすることができる。
以下、実施例により本発明の海藻食品の製造方法及びこの方法により製造された海藻食品を具体的に説明する。
本海藻食品は、海藻粉末と酸とを水溶性多糖類塩溶液に投入して海藻分散物を調製し、その後、該海藻分散物をカルシウム塩溶液に滴下して滴下物の表面に多糖類の難水溶性カルシウム塩被膜を形成させた海藻食品とすることを特徴とする。
海藻類はそのままでは各種食品材料として利用しにくいという問題がある。例えば、板海苔は広く用いられる伝統的な海藻食品であるが、板状であることから海苔巻き、おにぎりなどの用途が限定されている。そこで、海藻類を食材として広く用いることができるようにするため、酸を混合して長期保存性を高め、且つ海藻を適当な大きさの粉末にしたものを水溶性多糖類塩中に封じ込めた。
上記海藻粉末に用いる海藻類の種類は特に限定されず、食用に供されている全ての海藻類を用いることができる。この海藻類としては、あまのり属、ひとえぐさ属、あおさ属、あおのり属、こんぶ属、とろろこんぶ属、わかめ属のうちの少なくとも1種を用いることができる。海藻類としては、より具体的には、あさくさのり、すさびのり、うっぷるいのり、おにあまのり、くろのり、こすじのり、まるばあまのり、ひとえぐさ、あおさ、あなあおさ、すじあおのり、ひらあおのり、ぼうあおのり、うすばあおのり、まこんぶ、りしりこんぶ、ほそめこんぶ、みついしこんぶ、ながこんぶ、おにこんぶ、とろろこんぶ、わかめ、あおわかめ及びひろめ等が挙げられる。
粉末に裁断又は粉砕されて用いられる海藻類の部位は特に限定されず、食用可能であれば海藻類全体を用いることもでき、茎、根等の特定の部位のみを用いることもできる。また、裁断又は粉砕されて用いられる海藻類の形状は特に限定されず、例えば粒形状、板様形状、棒様形状等を挙げられる。
海藻粉末の砕片の寸法は特に限定されないが、海藻食材を篩により分級したとき、海藻粉末を100質量%とした場合に、5mmパスから0.2mmオンの砕片の質量割合が80質量%以上、特に90質量%以上、更に95質量%以上であることが好ましい。この質量割合は99質量%以上とすることもでき、より多くの砕片の寸法が0.2mm以上、5mm未満であることが好ましい。5mmパスから0.2mmオンの砕片の質量割合が80質量%以上であれば、適度な空隙を有し、且つ均質な海藻食品を容易に製造することができる。
海藻を裁断又は粉砕して海藻粉末にする方法も特に限定されず、食材の加工に一般に用いられる方法により裁断又は粉砕することができる。例えば、切断、破砕、摩擦、空気圧、水圧等を利用して加工する各種の裁断機及び粉砕機を用いることができる。より具体的には、気流式粉砕器、パワーミル、フェザーミル、ピンミル及びボールミル等が挙げられる。特に微粉末の製造にあたっては気流式粉砕機が好ましい。
これらの海藻類は乾燥状態若しくは収穫されたままの湿潤状態で加工することができる。粉砕して使用する場合には乾燥状態が特に好ましい。
上記酸としては食用に用いられるものであれば特に制限はないが、例えば、酢酸(食酢を含む)、クエン酸、乳酸、りんご酸等を挙げられる。酸の濃度としては菌数の低下、又は増加を抑制することができる濃度であればよく、酢酸換算の酸度0.4以上が好ましい。また、味覚の面から考えると酸度が3.5以下、特に3以下の濃度が好適である。
更に、海藻粉末は、その他の食材を裁断又は粉砕した粉砕食材とを混合し、併用することもできる。この他の食材としては、チーズ等の乳製品、野菜類及びその加工品、鶏卵等の卵の加工品、肉類及びその加工品並びに米、麦等の穀類及びその加工品のうちの少なくとも1種の食材の粉砕物を用いることができる。また、わさび、ショウガ、唐辛子、各種西洋ハーブ等の香辛料・ハーブ類からなる粉砕食材を併用することもできる。これらの併用する粉砕食材は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
上記水溶性多糖類塩溶液に溶解させる多糖類塩としては、ゲル状の滴下物を形成することができ、且つカルシウム塩溶液に滴下することで、滴下物の表面に多糖類の難水溶性カルシウム塩被膜を形成できるものであれば任意に選択することができ、例えば、アルギン酸、アガロース、カラギナン、キサンタンガム、ペクチン及びテンプン等、並びにこれらの誘導体のナトリウム塩等が挙げられる。
また、水溶性多糖類塩溶液に海藻粉末と酸とを投入して海藻分散物を形成する際は、加熱、pH調整剤の添加、及びゲル化剤の添加等の方法を、多糖類塩の種類に応じて行ってもよい。
上記カルシウム塩溶液は、水溶性多糖類塩と反応させて難水溶性の多糖類のカルシウム塩を形成できるものであれば任意に選択することができ、例えば、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム及びリン酸水素二ナトリウム等を挙げられる。
海藻分散物は、調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方を添加することもできる。調味料としては、塩、砂糖、醤油、味噌、胡椒等が挙げられる。また、保存剤としては、安息香酸、アスコルビン酸、ソルビン酸等が挙げられる。更に、海藻分散物には、γ−アミノ酪酸、ビタミンC等の各種ビタミンなどの機能性成分を添加し、海藻食品の栄養価を高めることもできる。
本発明の海藻食品は、そのまま食することもできるが、各種食品の素材に広く利用できる。例えば、各種調味料で味付けして佃煮風の食品とすることもできる。更に、他の食材とともに調理することも可能である。健康飲料、ジュース類などの飲料に懸濁させて利用することもできる。
また、海藻食品は、調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方を添加することもできる。調味料としては、塩、砂糖、醤油、味噌、胡椒等が挙げられる。また、保存剤としては、安息香酸、アスコルビン酸、ソルビン酸等が挙げられる。更に、海藻食品には、γ−アミノ酪酸、ビタミンC等の各種ビタミンなどの機能性成分を添加し、海藻食品の栄養価を高めることもできる。海藻食品に調味料及び保存剤を添加する方法は任意に選択することができ、例えば海藻食品の表面に調味料等を付着させることが挙げられる。また、調味料等の溶液に海藻食品を漬けて調味料等を含浸させることが挙げられる。
更に、海藻食品の品質をより長期間保持するため、海藻食品を真空パックで包装してもよいし、遮光できる材質からなる包装材を用いて包装してもよい。
1.海藻混合物の日持ち検査
酸による海藻粉末の細菌の増殖抑制効果を調べるため、以下に示す手順で海藻粉末に酸を含ませた海藻混合物の日持ち検査を行った。
日持ち検査に用いた海藻混合物は、5mmパスから0.2mmオンの砕片の質量割合が80質量%以上となる乾燥海藻の粉末(あまのり)に、食酢を希釈した食酢希釈液又はクエン酸水溶液を含浸させて作製した。また、上記食酢は、酢酸及び調味料を含む米酢であり、酸度が4.2であるものを用いた。
尚、食酢希釈液又はクエン酸水溶液の濃度は、表1に示す質量%とした。
更に、比較例として上記(1)の食酢水溶液又はクエン酸水溶液99ccを純水99ccに置き換えた他は同じ製造方法を用いた海藻混合物を作製した。
上記作製方法で作成した実施例1〜6と比較例1を、5℃に保った冷蔵庫に収納した状態で製造日から1週間経過後、及び製造日から2週間経過後に、それぞれ一般細菌数、大腸菌群の有無及び黄色ブドウ球菌の有無について調べた結果を表1に示す。
また、上記作製方法で作成した実施例7〜12と比較例2を、常温(25℃)の陽の当たらない場所に載置し、製造日から1週間経過後、及び製造日から2週間経過後に、それぞれ一般細菌数、大腸菌群の有無及び黄色ブドウ球菌の有無について調べた結果を表2に示す。
また、表1及び表2において、一般細菌数が1.0×10未満、若しくは大腸菌群及び黄色ブドウ球菌が非検出であるときは○、そうでなければ×とした。更に、表中一般細菌数が3.0×10以下である例は、計測範囲の下限以下であることを表す。
表1に示すように、食酢希釈液又はクエン酸水溶液を加えない比較例1は、一般細菌数が2週間経過した後には計測範囲以上に増殖したが、食酢が10質量%以上又はクエン酸1%以上の実施例1〜6では、3.0×10以下と、一般細菌の増殖を抑えることができることが分かった。
また、比較例1及び実施例1〜6は、いずれも2週間が経過した後でも大腸菌群及び黄色ブドウ球菌が検出されてないことが分かった。
表2に示すように、食酢希釈液又はクエン酸水溶性を加えない比較例2は、一般細菌数が1週間後には計測範囲以上に増殖したが、食酢が10質量%以上又はクエン酸が1%以上の実施例7〜12では、2週間経過しても一般細菌の増殖が抑えられていることができることが分かった。即ち、実施例中において最も一般細菌数が多かった食酢が10質量%の実施例7であっても一般細菌数が5.0×10であった。また、食酢が15質量%以上の実施例8〜10、及びクエン酸が1%以上の実施例11、12では、いずれも3.0×10以下であった。
また、比較例2は、2週間経過すると大腸菌群が検出可能になるまで増殖していたが、実施例7〜12は、いずれも2週間経過した後でも大腸菌群及び黄色ブドウ球菌が検出されてないことが分かった。
2.海藻食品の日持ち検査
更に、海藻食品を以下に示す製造方法で作製し、その日持ち検査を行った。
(1)始めに、上記1.と同じ酸度4.2の食酢が10体積%、及びアルギン酸ナトリウムが1質量%の水溶液に、上記1.と同じ乾燥海苔(あまのり)1gを投入した海藻分散物を作製した。
(2)次いで、(1)の海藻分散物を乳酸カルシウム1質量%水溶液に滴下することにより、海藻分散物表面にアルギン酸カルシウムからなる被膜を形成させて海藻食品を作製した。
上記製造方法を用いて作製した海藻食品は図1に示すように球状であり、表面にアルギン酸カルシウムからなる難水溶性被膜が形成された海藻分散物を備える。また、海藻分散物は、水溶性のアルギン酸ナトリウムと食酢とが含まれるゲル状物中に多数の海藻粉末が分散している。
このように、海藻食品は、球状であるため、板状及びペースト状等の従来の海苔及びその加工品とは異なる形状であり、美観に優れて飾り付け等にも利用できる食品とすることができる。また、アルギン酸ナトリウムは無味であるため、海藻食品は、海苔と食酢による味を味わうことができ、そのまま食用にする場合でも味わいある食品とすることができる。
このような海藻食品を5℃に保った冷蔵庫に収納した状態で製造日から3ヶ月経過後に、それぞれ一般細菌数、大腸菌群の有無について調べた。その結果、一般細菌数は3.0×10以下と増加が見られず、また大腸菌群も検出されなかった。
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。例えば、海藻は、湿潤状態のまま加工してもよい。また、海藻粉末、海藻分散物また海藻食品に砂糖、醤油、味噌、胡椒等から選択される少なくとも一つに任意の調味料を添加してもよい。
本発明の海藻食品は、そのまま、もしくは味付けして食品として提供することができ、更にスナック菓子等、及び吸い物、みそ汁、スープ等の料理の具材などの製品分野において利用することができる。また、食塩を加えることなく長期保存をすることができ、更に料理等の素材にも適した美観に優れる形状を備える本発明の海藻食品は、風味及び食感に優れ、従来、板のり等の薄片状の食品としてのみ提供されていた海藻類を多様な食品分野において利用することができる。
本製造方法によって作製した海藻食品を撮影した画像である。

Claims (9)

  1. 海藻粉末と酸と水溶性多糖類塩溶液からなる海藻分散物を調製し、その後、該海藻分散物をカルシウム塩溶液に滴下して滴下物の表面に多糖類の難水溶性カルシウム塩被膜を形成させた球状の海藻食品とすることを特徴とする海藻食品の製造方法。
  2. 上記水溶性多糖類塩がアルギン酸ナトリウムである請求項1記載の海藻食品の製造方法。
  3. 上記海藻粉末が、あまのり属、ひとえぐさ属、あおさ属、あおのり属、こんぶ属、とろろこんぶ属及びわかめ属のうちの少なくとも1種の海藻の粉末である請求項2記載の海藻食品の製造方法。
  4. 上記海藻粉末を篩により分級したとき、該海藻粉末を100質量%とした場合に、5mmパスから0.2mmオンの砕片の質量割合が80質量%以上である請求項3記載の海藻食品の製造方法。
  5. 上記酸が、酢酸、クエン酸、乳酸及びりんご酸のうちの少なくとも1種である請求項2又は3に記載の海藻食品の製造方法。
  6. 上記海藻分散物に調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方が添加されている請求項2乃至4のうちのいずれか1項に記載の海藻食品の製造方法。
  7. 上記請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の海藻食品の製造方法により製造されたことを特徴とする海藻食品。
  8. 表面に多糖類のカルシウム塩被膜が形成され且つ酸と水溶性多糖類塩溶液とからなるゲル状物中に、多数の海藻粉末が分散しており、球状である請求項7記載の海藻食品。
  9. 調味料及び保存剤のうちの少なくとも一方が添加されている請求項8記載の海藻食品。
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