<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態における受信装置の構成について図面を参照して説明する。なお、以下では、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial)方式の地上波デジタルテレビジョン放送に対応する受信装置を例に挙げて説明するが、本発明の受信装置は他の通信方式に対応するものであっても構わない。
図1は、本実施形態における受信装置の構成を示すブロック図である。図1に示す受信装置1は、デジタル放送信号を受信する複数のアンテナ2a〜2dを備える。図1では、例として4つのアンテナ2a〜2dを備えた場合について示している。アンテナ2a,2bは1つの組を構成しており、アンテナ2c,2dも1つの組を構成している。そして、この組毎に、アンテナ2a〜2dを介して入力される信号の相関が高くなるように構成されている。即ち、アンテナ2a,2bに入力されるそれぞれの信号の相関と、アンテナ2c,2dに入力されるそれぞれの信号の相関と、がそれぞれ高くなるように構成されている。
入力される信号の相関を高めるために、例えば、ある組を構成するあるアンテナどうしの間隔(例えばアンテナ2a,2bの間隔)を、ある組のアンテナとある組に含まれないアンテナとの間隔(例えばアンテナ2a,2cの間隔、アンテナ2a,2dの間隔、アンテナ2b,2cの間隔、アンテナ2b,2dの間隔)よりも短くなるようにしても構わない。また、組を構成するアンテナの向きが略等しくなるように構成しても構わない。
また、受信装置1は、アンテナ2a〜2dのそれぞれで受信されたRF信号から所望の帯域のデジタル放送信号を選局するとともにIF信号に変換したり増幅を行なったりするチューナ部3a〜3dと、チューナ部3a〜3dのそれぞれから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するADC部4a〜4dと、ADC部4a〜4dのそれぞれから出力される信号をベースバンド信号に変換する直交復調部5a〜5dと、を備える。
また、受信装置1は、直交復調部5a,5bから出力される信号を合成する時間領域合成部6aと、直交復調部5c,5dから出力される信号を合成する時間領域合成部6bと、を備える。さらに、時間領域合成部6a,6bから出力されるそれぞれの信号をサンプリングし直すリサンプラ7a,7bと、リサンプラ7a,7bから出力されるそれぞれの信号のRF周波数誤差を除去するデロテータ8a,8bと、デロテータ8a,8bから出力されるそれぞれの信号を高速フーリエ変換して時間軸の信号から周波数軸の信号へと変換するFFT部9a,9bと、FFT部9a,9bから出力されるそれぞれの信号に等化処理を施して伝送路による信号の歪みを除去する等化部10a,10bと、を備える。
また、受信装置1は、等化部10a,10bから出力される信号を合成する周波数領域合成部11と、周波数領域合成部11から出力される信号を変調方式に応じてデマッピングしてビットデータに変換するデジタル復調部12と、デジタル復調部12から出力されるデータを復号化してエラー訂正を行うとともに出力信号を出力するエラー訂正部13と、を備える。なお、図示していないが、出力信号をMPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮方式に基づいて復号化するMPEGデコーダや、ディスプレイやスピーカなどの出力装置に信号を出力するための処理を行う出力信号処理部などを備えても構わない。
時間領域合成部6aは、直交復調部5a,5bから出力されるそれぞれの信号に複素係数を積算する積算部6aa,6abと、直交復調部5a,5bから出力される信号に基づいて複素係数を決定し積算部6aa,6abのそれぞれに入力する係数決定部6acと、積算部6aa,6abから出力される信号を加算して合成する加算部6adと、を備える。また、加算部6adから出力される信号が、時間領域合成部6aから出力される信号となる。
時間領域合成部6bも同様であり、直交復調部5c,5dから出力されるそれぞれの信号に複素係数を積算する積算部6ba,6bbと、直交復調部5c,5dから出力される信号に基づいて複素係数を決定し積算部6ba,6bbのそれぞれに入力する係数決定部6bcと、積算部6ba,6bbから出力される信号を加算して合成する加算部6bdと、を備える。また、加算部6bdから出力される信号が、時間領域合成部6bから出力される信号となる。
周波数領域合成部11は、等化部10a,10bから出力されるそれぞれの信号に複素係数を積算する積算部11a,11bと、等化部10a,10bから出力される信号に基づいて複素係数を決定し積算部11a,11bのそれぞれに入力する係数決定部11cと、積算部11a,11bから出力される信号を加算して合成する加算部11dと、を備える。また、加算部11dから出力される信号が、周波数領域合成部11から出力される信号となる。
また、アンテナ2a〜2dの実装例について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態における受信装置を車に実装した場合について示す模式的な斜視図である。図2に示す例では、車のフロントガラスFにアンテナ2a,2bが配置され、リアガラスRにアンテナ2c,2dが配置されている。また、それぞれのアンテナ2a〜2dにおいて受信された信号はアンテナケーブルACを介して受信装置本体Bに入力される。受信装置本体Bは、ディスプレイDなどの出力装置と出力ケーブルOCを介して接続されており、映像信号や音声信号などが出力装置に入力される。なお、アンテナ2a〜2dを実装する場所は上述した限りではなく、ボディの側面やスポイラーなど、どのような場所に実装しても構わない。
次に、受信装置1の受信動作について説明する。受信装置1は、まずOFDM伝送方式によるデジタル放送の信号をアンテナ2a〜2dのそれぞれで受信する。なお、OFDM方式は、1チャネルの帯域内に互いに直交する多数のサブキャリアを多重して伝送する方式である。チューナ部3a〜3dでは、所望するチャネルのRF信号であるOFDM信号(デジタル放送信号)を選局し、選局したOFDM信号をIF信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。
また、チューナ部3a〜3dから出力されるそれぞれの信号は、ADC部4a〜4dにおいてアナログ信号からデジタル信号に変換される。そして、ADC部4a〜4dから出力されるそれぞれの信号は、直交復調部5a〜5dにそれぞれ入力され、ベースバンド信号に変換される。ベースバンド信号は、実数成分であるI(In-phase)成分と虚数成分であるQ(Quadrature-phase)成分との2つの成分を有する。なお、以下において説明する処理はそれぞれの成分に対して行われるが、簡単のために1つの信号であるものとしてまとめて説明する。
直交復調部5a〜5dから出力されるそれぞれのベースバンド信号は、時間領域合成部6a,6bにおいて合成される。このとき、時間領域合成部6aは、アンテナ2a,2bを介して入力された時間軸の信号の合成を行い、時間領域合成部6bは、アンテナ2c,2dを介して入力された時間軸の信号の合成を行う。
上述したように、アンテナ2a,2bや、アンテナ2c,2dはそれぞれ組になっており、組を構成するアンテナ2a,2b、2c,2dからは、それぞれ相関の高い時間軸の信号が入力される。ただし、組を構成するそれぞれのアンテナ2a,2b、2c,2dには、信号が到達する際の行路差の影響があるため、組を構成するアンテナ2a,2b、2c,2dのそれぞれから出力される信号に位相回転差が生じていることがある。
時間領域合成部6a、6bは、まず、組を構成するアンテナ2a,2b、2c,2dを介して入力された信号の相関を取り、相関の低さからノイズ成分を検出するとともにそれぞれの信号に積算する複素係数を決定する。相関の判定や複素係数の決定は、係数決定部6ac、6bcで行う。また、係数決定部6ac、6bcは上述した位相回転差の発生を考慮した上で相関を取る。
そして、積算部6aa,6ab、6ba,6bbにおいて、直交復調部5a、5b、5c,5dから出力されるベースバンド信号に複素係数が積算される。また、積算部6aa、6abから出力される信号は加算部6ad、6bdで加算される。これによって、時間領域の合成が行われる。
時間領域合成部6a,6bから出力されるそれぞれの信号は、リサンプラ7a,7bに入力され、再度サンプリングが行われる。これにより、ADC部4a〜4dにおけるクロック速度と、後段の処理で要求されるクロック速度との誤差が修正される。また、リサンプラ7a,7bから出力されるそれぞれの信号は、デロテータ8a,8bに入力されてRF周波数誤差が修正される。
なお、ここでシンボル同期を行うこととしても構わない。シンボル同期は時間方向の同期であり、例えば図3の模式図に示すような信号に対して行う。図3に示すように、信号は、有効シンボルの後半の一部と同一の信号であるとともにシンボルの先頭に設けられるガードインターバルを備えている。シンボル同期は、信号と、有効シンボル分だけ遅らせた信号と、の相関を取ることによって行われる。より具体的には、相関が高くなることによってガードインターバルの位置が把握され、それに基づいてシンボルの先頭位置が検出される。
上述したように誤差の修正や同期が行われた信号は、次にFFT部9a,9bに入力される。FFT部9a,9bは、入力される信号にFFT処理を施して周波数軸の信号であるOFDM信号に変換する。OFDM信号は、周波数方向及び時間方向に配列されたデータシンボルとパイロットシンボルとを備える。また、図4にOFDMシンボル信号の一例を示す。
なお、ISDB−T方式では、パイロットシンボルとして、既知の値を有するスキャッタードパイロットシンボル(以下において、「SPシンボル」と呼ぶ)が用いられる。また、周波数方向及び時間方向は、それぞれキャリア方向及びシンボル方向とも呼ばれる。また、図4において、時間方向に対応するシンボル番号をs(s≧0の整数)で表し、周波数方向に対応するキャリア番号をl(0≦l≦(L−1)の整数、L:サブキャリアの総本数)で表す。また、sは、OFDM信号のシンボル長を単位としたときの時刻を表す。さらに、sとlとによって一意に定められるOFDMシンボル信号内の位置をキャリア位置と呼び、このキャリア位置を(s,l)で表すものとする。
SPシンボルは、l=3×(s mod 4)+12p、を満たすキャリア位置に配置される。なお、modは剰余演算を表しpは整数であるものとする。即ち、図4に示すように、ある時刻sの信号では、SPシンボルは周波数軸上に12サブキャリア毎に配置される。そして、時刻s+1におけるSP信号は、時刻sの状態から3サブキャリア分だけ周波数方向にシフトしたキャリア位置に配置されている。換言すると、SPシンボルが配置されるサブキャリアlでは、SPシンボルが時間軸上に4シンボル毎に配置されることとなる。
例えば、時刻s=0では、キャリア位置(0,0)、(0,12)、(0,24)、(0,36)、・・・にSPシンボルが配置され、時刻s=1では、キャリア位置(1,3)、(1,15)、(1,27)、(1,39)、・・・にSPシンボルが配置される。又、このSPシンボルが配置されたキャリア位置以外のキャリア位置には、データシンボルが配置される。
上述したOFDM信号が等化部10a,10bにそれぞれ入力されると、図4に示したSPシンボルによって、各サブキャリアのシンボル毎、即ち、キャリア位置毎の伝送路特性が推定される。そして、推定された伝送路特性に基づいて等化処理が行われる。また、伝送路特性の推定にはSPシンボルが用いられる。例えば、まず等化部10a,10b内で生成した所定の値のSPシンボルによって、受信信号より得られたSPシンボルを複素除算することで、SPシンボルの伝送路特性を推定する。
そして、同一サブキャリアに4シンボル毎に配置されたSPシンボルの伝送路特性を利用して、時間方向の補間を行う。これにより、SPシンボルを4シンボル毎に有するサブキャリアの全てのシンボルに対して、伝送路特性が推定される。即ち、時間方向に対して並ぶSPシンボルの間が補間されることで、各データシンボルの伝送路特性が推定される。この時間方向の伝送路特性の補間を行う際、IIR(Infinite Impulse Response)型の低域通過フィルタにより、SPシンボルより推定された伝送路特性の平均化処理が行われる。
次に、時間方向の補間によって得られた伝送路特性を用いて周波数方向の内挿を行う。そして、SPシンボルより直接、または、時間方向の補間により3サブキャリア毎に推定された伝送路特性により、SPシンボルが配置されていないサブキャリアの全てのシンボルに対して、伝送路特性を推定する。即ち、周波数方向に対してSPシンボルを有するサブキャリア間に配列されたサブキャリアの補間を行うことで、各データシンボルの伝送路特性が推定される。この周波数方向の伝送路特性の補間を行う際、例えば、FIR(Finite Impulse Response)型の低域通過フィルタに、SPシンボルを有するサブキャリアに対して推定された伝送路特性が入力されることで、SPシンボルの配置されていないサブキャリアの伝送路特性が推定される。
以上のようにSPシンボルに基づいて全てのデータシンボルの伝送路特性を推定し、FFT部9a,9bから出力されるそれぞれの周波数軸の信号から得られるデータシンボルを伝送路特性で複素除算することにより、等化処理を行う。等化処理により、マルチパスなどによる振幅や位相の歪みが除去される。なお、この等化処理として、推定された伝送路特性を直接除算するゼロ・フォーシング等化方式を用いても構わない。また、ゼロ・フォーシング等化処理では雑音強調の問題があるため、雑音強調を軽減するために最小平均2乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)等化方式を用いても構わない。MMSE等化方式を用いる場合、伝送路上で付加された雑音(付加雑音)の平均電力の値も推定することとする。
等化部10a,10bから出力される信号は、周波数領域合成部11においてサブキャリア毎に合成される。ここでは、例えば等化部10a,10bから出力されるそれぞれの信号の電力値や、SN(Signal to Noise)比などに基づいて、係数決定部11cが複素係数を決定する。なお、合成後のSN比が最大となるように合成することとしても構わない。
そして、積算部11a,11bにおいて、等化部10a,10bから出力されるサブキャリア毎の信号に複素係数が積算される。また、積算部11a,11bから出力される信号は加算部11dで加算される。これにより、周波数領域の合成が行われる。
周波数領域合成部11によって合成された信号は、デジタル復調部12に入力される。デジタル復調部12では、サブキャリア毎に設定されているデジタル変調方式に基づいた復調が行われる。即ち、デマッピングが行われ、入力される信号のI成分及びQ成分がビットデータに変換される。デジタル変調方式としては、例えば、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)などがある。
そして、デジタル復調部12から出力された信号は、エラー訂正部13でビタビ復号やリードソロモン復号が行われ、伝送中に生じたエラーが訂正される。そして、エラー訂正部13から出力される出力信号は、MPEG圧縮方式に基づいて復号化されたり、出力用のアナログ信号に変換されたりする。そして、図2に示すディスプレイDなどの出力装置に与えられることで、映像や音声などが出力される。
以上のように構成することによって、設置環境が同様のものとなるアンテナ2a,2b、2c,2dが受信する相関が高い信号は、時間領域合成部6a、6bで合成されることとなる。そのため、合成時の信号とノイズとの判定が正確なものとなり、合成による信号改善の効果を得ることが可能となる。また、設置環境が異なるそれぞれの組(アンテナ2a,2b及びアンテナ2c,2d)によって受信されて時間領域合成部6a,6bで合成される信号は、周波数領域合成部11で合成されることとなる。そのため、合成による信号改善の効果を得ることが可能となる。また、設置環境が異なる複数の組のアンテナ2a,2b、2c,2dを備えるため、多様な受信状況と成り得る移動体通信などにおいても、良好な信号を得ることが可能となる。したがって、アンテナ2a〜2dの数に応じた信号改善の効果を得ることが可能となる。
さらに、組を構成するアンテナ2a,2bと、アンテナ2c,2dと、を介して受信されるそれぞれの信号を、受信処理の前段で合成する構成とすることによって、リサンプラ7a,7bやデロテータ8a,8b、FFT部9a,9b、等化部10a,10bなどの後段の処理を行う装置の数を減少させることが可能となる。即ち、リサンプラ7a,7bやデロテータ8a,8b、FFT部9a,9b、等化部10a,10bなどの装置の数を、アンテナ2a〜2dの数よりも少なくすることが可能となる。したがって受信装置1の小型化を図ることが可能となる。
なお、上述の実施例では、4本のアンテナ2a〜2dを備える構成としたが、本実施形態はこれに限るものではない。例えば、総数k本のアンテナをm本と(k−m)本の2組に分け、k本のアンテナを介して入力される信号を組毎に時間領域合成部によって合成し、2つの合成後の信号を周波数領域合成部によって合成する構成としても構わない(ただし、kは3以上の整数、mはkより小さい自然数である)。この構成とすると、2セットのリサンプラやデロテータ、FFT部、等化部が必要となるだけであるため、(k−2)セット分は設ける必要がなくなる。そのため、受信装置の小型化を図ることが可能となる。
また、ある組に含まれるアンテナが1つであるとしても構わなく、このアンテナの後段に時間領域合成部を設けない構成としても構わない。ただし、複数のアンテナが含まれる他の組には、時間領域合成部が設けられることとする。このような構成とすることで、さらに受信装置1の小型化を図ることが可能となる。
また、上述の実施例では、時間領域合成部6a,6bの係数決定部6bcが直交復調部5a〜5dから出力される信号に基づいて複素係数を決定することとしたが、これ以外の信号に基づいて複素係数を決定することとしても構わない。同様に、周波数領域合成部11の係数決定部11cが、等化部10a,10b以外から出力される信号に基づいて複素係数を決定することとしても構わない。また、ベースバンド信号のI成分、Q成分毎に複素係数を決定することとしても構わない。
また、図1に示す受信装置1において、アンテナ2a〜2d及びチューナ部3a〜3d以外の部分が、LSI(Large Scale Integration)などの1つのIC(Integrated Circuit)に形成される構成としても構わない。この受信装置の構成例を示す模式的なブロック図を図5に示す。図5に示すように、本例の受信装置1は、複数のチューナ2a〜2dから出力された信号が1つのLSI14に入力され、LSI14によって信号処理された後に1つの出力信号が出力される構成となる。
このように構成すると、信号処理を行う装置を1つのICに収容することができるようになる。さらに、図12に示す受信装置100のようにアンテナ部100aと復調部100bとを分ける構成ではなくなるため、直交変調部106やDAC部107、ADC部108、直交復調部109などが不要となる。したがって、受信装置1を小型化することが可能となる。
また、上述の実施例では、IF信号が出力されるチューナ部3a〜3dを用いた構成について示しているが、図6の受信装置の別の構成例を示す模式的なブロック図に示すように、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yを接続する構成としても構わない。さらに、チューナ部3x,3yを用いる構成とする場合において、チューナ部3x,3yから出力されるベースバンド信号のI成分及びQ成分が、ADC部4a,4bや、ADC部4c,4dにそれぞれ入力される構成としても構わない。
このような構成とすると、IF信号が出力されるチューナ部3a〜3dと、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yと、を入れ替えて使用することができるようになる。特に、本例のようにADC部4a,4b、4c,4dが2つずつ組になるような場合、後段のリサンプラ7a,7bやデロテータ8a,8bなどが、1組のADC部4a,4b、4c,4dに対して1系統だけ備えられることとなる。そのため、組となるADC部4a,4b、4c,4dにチューナ部3x,3yの出力であるI成分及びQ成分をそれぞれ入力することとすれば、I成分及びQ成分が異なる系統で処理されることを防止することができる。
また、チューナ部3x,3yを用いる場合、I成分及びQ成分の信号に分かれて出力される部分が、ADC部4a〜4dの後段(直交復調部5a〜5d)から前段(チューナ部3x,3y)になる。そのため、従来の受信装置では、前段の入力信号が増えるためにADC部を追加する必要が生じていた。しかしながら本例の受信装置1では、時間軸の信号の合成を行うために、2つずつ組となるADC部4a,4b、4c,4dを備えているため、この構成を利用することができる。即ち、上述のように組となるADC部4a,4b、4c,4dに、チューナ部3x,3yの出力であるI成分及びQ成分をそれぞれ入力するだけで、ADC部を追加する必要がなくなる。そのため、大幅な設計変更を伴わずに構成を変更することができる。したがって、設計の自由度を向上することが可能となる。
また、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yをLSI14に接続することによって、図1に示す直交復調部5a〜5dや時間領域合成部6a,6dに信号が入力されなくなったり、これらの部分の動作が無効化されたりするようにしても構わない。即ち、ADC部4a〜4dから出力される信号が、直接的にリサンプラ7a,7bに入力される構成としても構わない。このように構成すると、ユーザまたはこのLSI14を用いて受信装置を製造する者が、容易かつ自由にチューナ3a〜3d,3x,3yを選択することが可能となる。また、IF信号が出力されるチューナ部3a〜3dと、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yと、が併用可能な構成としても構わない。このように構成すると、1つのLSIに接続されるアンテナ及びチューナ部の数を自在に変更することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態における受信装置の構成について、図面を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については同じ符号を付し、動作などの詳細な説明については省略する。
図7は、第2実施形態における受信装置の構成を示すブロック図である。図7に示す受信装置20は、アンテナ2a,2eと、アンテナ2a,2eで受信されたそれぞれの信号が入力される時間領域処理部15eと、時間領域処理部15eから出力される信号が入力されるFFT部9eと、FFT部9eから出力される信号が入力される等化部10eと、を備える。また、アンテナ2b,2fと、アンテナ2b,2fで受信されたそれぞれの信号が入力される時間領域処理部15fと、時間領域処理部15fから出力される信号が入力されるFFT部9fと、FFT部9fから出力される信号が入力される等化部10fと、を備える。また、等化部10e,10fから出力される周波数軸の信号を合成する周波数領域合成部11aを備える。
周波数領域合成部11aは、等化部10e,10fから出力されるそれぞれの信号に複素係数を積算する積算部11aa,11abと、等化部10e,10fから出力される信号に基づいて複素係数を決定し積算部11aa,11abのそれぞれに入力する係数決定部11acと、積算部11aa,11abから出力される信号を加算して合成する加算部11adと、を備える。また、加算部11adから出力される信号が、周波数領域合成部11aから出力される信号となる。
また、図7に示す受信装置20は、アンテナ2c,2gと、アンテナ2c,2gで受信されたそれぞれの信号が入力される時間領域処理部15gと、時間領域処理部15gから出力される信号が入力されるFFT部9gと、FFT部9gから出力される信号が入力される等化部10gと、を備える。また、アンテナ2d,2hと、アンテナ2d,2hで受信されたそれぞれの信号が入力される時間領域処理部15hと、時間領域処理部15dから出力される信号が入力されるFFT部9hと、FFT部9hから出力される信号が入力される等化部10hと、を備える。また、等化部10g,10hから出力される周波数軸の信号を合成する周波数領域合成部11bを備える。
周波数領域合成部11bは、等化部10g,10hから出力されるそれぞれの信号に複素係数を積算する積算部11ba,11bbと、等化部10g,10hから出力される信号に基づいて複素係数を決定し積算部11ba,11bbのそれぞれに入力する係数決定部11bcと、積算部11ba,11bbから出力される信号を加算して合成する加算部11bdと、を備える。また、加算部11bdから出力される信号が、周波数領域合成部11bから出力される信号となる。
また、図7に示す受信装置20は、周波数領域合成部11a,11bから出力されるそれぞれの信号をさらに合成する追加周波数領域合成部16と、追加周波数領域合成部16から出力される信号が入力されるデジタル復調部12と、デジタル復調部12から出力される信号が入力されるエラー訂正部13と、を備える。
追加周波数領域合成部16は、周波数領域合成部11a,11bから出力されるそれぞれの信号に複素係数を積算する積算部16a,16bと、周波数領域合成部11a,11bから出力される信号に基づいて複素係数を決定し積算部16a,16bのそれぞれに入力する係数決定部16cと、積算部16a,16bから出力される信号を加算して合成する加算部16dと、を備える。また、加算部16dから出力される信号が、追加周波数領域合成部16から出力される信号となる。
時間領域信号処理部15e〜15hは、チューナ部3a〜3hと、ADC部4a〜4hと、直交復調部5a〜5hと、時間領域合成部6e〜6hと、リサンプラ7e〜7hと、デロテータ8e〜8hと、をまとめて省略して記載したものである。また、時間領域信号処理部15e〜15hの構成は、図1の受信装置1において対応する部分の構成と同様のものとなる。時間領域信号処理部15e〜15hの構成について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の受信装置における時間領域信号処理部の構成について示したブロック図である。
図8に示すように、時間領域処理部15e〜15hは、チューナ部3a,3e〜3d,3hと、チューナ部3a,3e〜3d,3hから出力されるそれぞれの信号が入力されるADC部4a,4e〜4d,4hと、ADC部4a,4e〜4d,4hから出力されるそれぞれの信号が入力される直交復調部5a,5e〜5d,5hと、直交復調部5a,5e〜5d,5hから出力されるそれぞれの信号が入力される時間領域合成部6e〜6hと、時間領域合成部6e〜6hから出力されるそれぞれの信号が入力されるリサンプラ7e〜7hと、リサンプラ7e〜7hから出力されるそれぞれの信号が入力されるデロテータ8e〜8hと、を備える。
時間領域合成部6e〜6hは、直交復調部5a,5e〜5d,5hから出力されるそれぞれの信号に複素係数を積算する積算部6ea,6eb〜6ha,6hbと、直交復調部5a,5e〜5d,5hから出力される信号に基づいて複素係数を決定し積算部6ea,6eb〜6ha,6hbのそれぞれに入力する係数決定部6ec〜6hcと、積算部6ea,6eb〜6ha,6hbから出力される信号を加算して合成する加算部6ed〜6hdと、を備える。また、加算部6ed〜6hdから出力されるそれぞれの信号が、時間領域合成部6e〜6hから出力されるそれぞれの信号となる。
また、アンテナ2a〜2hの実装例について図9を用いて説明する。図9は、本実施形態における受信装置を車に実装した場合について示す模式的な斜視図であり、第1実施形態について示した図2に相当するものである。図9に示すように、車のフロントガラスFにアンテナ2a,2e、2b,2fが配置され、リアガラスRにアンテナ2c,2g、2d,2hが配置されている。また、それぞれのアンテナ2a〜2hにおいて受信された信号はアンテナケーブルACを介して受信装置本体Bに入力される。受信装置本体Bは、ディスプレイDなどの出力装置と出力ケーブルOCを介して接続されており、映像信号や音声信号などが出力装置に入力される。なお、アンテナ2a〜2hを実装する場所は上述した限りではなく、ボディの側面やスポイラーなど、どのような場所に実装しても構わない。
本実装例では、アンテナ2a,2eと、アンテナ2b,2fと、アンテナ2c,2gと、アンテナ2d,2hと、がそれぞれ組になっており、組を構成するそれぞれのアンテナ2a,2e〜2d,2hで受信されるそれぞれの信号の相関が、高いものとなるように設置されている。例えば、アンテナ2aの最も近くに設置されるアンテナがアンテナ2eであり、アンテナ2bの最も近くに設置されるアンテナがアンテナ2fであり、アンテナ2cの最も近くに設置されるアンテナがアンテナ2gであり、アンテナ2dの最も近くに設置されるアンテナがアンテナ2hであるように配置される。また、組を構成するそれぞれのアンテナ2a,2e〜2d,2hの向きをそれぞれ略等しいものとしても構わない。
以上のように構成することによって、第1実施形態の受信装置1と同様の効果を得ることができる。即ち、設置環境が同様のものとなるアンテナ2a,2b〜2d,2hが受信する相関が高い信号が、時間領域合成部6e〜6hで合成されることとなるため、合成時の信号とノイズとの判定が正確なものとなり、合成による信号改善の効果を得ることが可能となる。
また、設置環境が異なるそれぞれの組(アンテナ2a,2e、アンテナ2b,2f、アンテナ2c,2g及びアンテナ2d,2h)によって受信されて時間領域合成部6e〜6hで合成された信号は、周波数領域合成部11a,11b及び追加周波数領域合成部16で合成されることとなる。そのため、合成による信号改善の効果を得ることが可能となる。また、設置環境が異なる複数の組のアンテナ2a,2e〜2d,2hを備えるため、多様な受信状況と成り得る移動体通信などにおいても、良好な信号を得ることが可能となる。したがって、アンテナ2a〜2hの数に応じた信号改善の効果を得ることが可能となる。
さらに、組を構成するアンテナ2a,2e〜2d,2hを介して入力されるそれぞれの信号を、受信処理の前段で合成する構成とすることによって、リサンプラ7e〜7hやデロテータ8e〜8h、FFT部9e〜9h、等化部10e〜10hなどの後段の処理を行う装置の数を減少させることが可能となる。そのため、リサンプラ7e〜7hやデロテータ8e〜8h、FFT部9e〜9h、等化部10e〜10hなどの装置の数を、アンテナ2a〜2hの数よりも少なくすることが可能となる。したがって受信装置1の小型化を図ることが可能となる。
なお、上述の実施例では、8本のアンテナ2a〜2hを備える構成としたが、本実施形態はこれに限るものではない。例えば、総数k本のアンテナをp組に分け、k本のアンテナを介して入力される信号を組毎に時間領域合成部によって合成するとともに、出力されるp個の合成後の信号を周波数領域合成部及び追加周波数領域合成部によって合成する構成としても構わない(ただしk、pは、k≧3、p≧2、k>pを満たす整数とする)。この場合、pセットのリサンプラやデロテータ、FFT部、等化部が必要となるだけであるため、(k−p)セット分は設ける必要がなくなる。したがって、受信装置20の小型化を図ることが可能となる。
また、ある組に含まれるアンテナが1つであるとしても構わなく、このアンテナの後段に時間領域合成部を設けない構成としても構わない。ただし、複数のアンテナが含まれる他の組には、時間領域合成部が設けられることとする。このような構成とすることで、さらに受信装置20の小型化を図ることが可能となる。
また、追加周波数領域合成部16を設けない構成として、1つの周波数領域合成部で周波数軸の信号の合成を行うこととしても構わない。このような構成とすることで、受信装置20のさらなる小型化を図ることが可能となる。
また、上述の実施例では、時間領域合成部6e〜6hの係数決定部6ec〜6hcが直交復調部5a,5e〜5d,5hから出力される信号に基づいて複素係数を決定することとしたが、これ以外の信号に基づいて複素係数を決定することとしても構わない。同様に、周波数領域合成部11a,11bの係数決定部11ac,11bcが、等化部10e,10f、10g,10h以外から出力される信号に基づいて複素係数を決定することとしても構わない。また、信号中のI成分、Q成分毎に複素係数を決定することとしても構わない。
また、図7及び図8に示す受信装置20において、アンテナ2a〜2h及びチューナ部3a〜3h以外の部分が、LSIなどのICに形成される構成としても構わない。この受信装置の構成例を示す模式的なブロック図を図10に示す。図10に示すように、本例の受信装置20は、チューナ2a,2e,2b,2fから出力された信号がLSI14aに入力され、チューナ2c,2g,2d,2hから出力された信号がLSI14bに入力される。そして、周波数領域合成部11bから出力される信号が、LSI14bのLSI出力端子14baから出力され、LSI14aのLSI入力端子14abに入力される。このLSI入力端子14abから入力される信号は、上述のように追加周波数領域合成部16で合成されるとともにデジタル復調部12やエラー訂正部13により信号処理され、1つの出力信号となり出力される。
このように構成すると、信号処理を行う装置をICに収容することができるようになる。さらに、図12に示す受信装置100のようにアンテナ部100aと復調部100bとを分ける構成ではなくなるため、直交変調部106やDAC部107、ADC部108、直交復調部109などが不要となる。したがって、受信装置20を小型化することが可能となる。なお、LSI14aの追加周波数領域合成部16が、複数の周波数軸の信号を合成することが可能である構成としても構わない。そして、LSI14aがLSI入力端子14abを複数備える構成としても構わない。
また、図10に示すLSI14a,14bは、LSI出力端子14ba及びLSI入力端子14abのいずれか一方のみを備える構成としているが、両方備える構成としても構わない。このようなLSIについて図11に示す。図11は、本実施形態における受信装置の別の構成例を示す模式的なブロック図である。図11に示すLSI14cは、図10に示すLSI14aと同様の構成である。ただし、LSI14cは、追加周波数領域合成部16から出力される信号が出力されるLSI出力端子14caを備えている。また、LSI入力端子14cbから信号が入力されない場合、周波数領域合成部11aから出力される信号がそのまま追加周波数領域合成部16の出力になることとしても構わない。
このように構成する場合、1種類のLSI14cを任意の数接続することにより、多数のアンテナを備える構成とすることができる。即ち、LSIの大幅な設計変更を行うことなく、容易に構成を変更することが可能となる。したがって、設計の自由度を向上させることが可能となる。なお、このLSI14cにおいて、LSI出力端子14ca側に信号を出力する場合と、デジタル復調部12側に信号を出力する場合と、を切り替えるスイッチなどの切替部を設けても構わない。
また、第1実施形態について示した図6の受信装置1bのように、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yを用いる構成としても構わない。さらに、チューナ部3x,3yを用いる構成とする場合において、ベースバンド信号のI成分及びQ成分が、ADC部4a,4e、ADC部4b,4f、ADC部4c,4g、ADC部4d,4hに入力される構成としても構わない。
このような構成とすると、IF信号が出力されるチューナ部3a,3e〜3d,3hと、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yと、を入れ替えて使用することができるようになる。特に、本例のようにADC部4a〜4hが2つずつ組になるような場合は、後段のリサンプラ7e〜7hやデロテータ8e〜8hなどが、1組のADC部4a,4e〜4d,4hに対して1つ備えられることとなる。そのため、組となるADC部4a,4e〜4d,4hにチューナ部3x,3yの出力であるI成分及びQ成分をそれぞれ入力することとすれば、I成分及びQ成分が異なる系統で処理されることを防止することができる。
また、チューナ部3x,3yを用いる場合、I成分及びQ成分の信号に分かれて出力される部分が、ADC部4a〜4hの後段(直交復調部5a〜5h)から前段(チューナ部3x,3y)になる。そのため、従来の受信装置では、前段の入力信号が増えるためにADC部を追加する必要が生じていた。しかしながら本例の受信装置1では、時間軸の信号の合成を行うために、2つずつ組となるADC部4a,4e〜4d,4hを備えているため、この構成を利用することができる。即ち、上述のように組となるADC部4a,4e〜4d,4hに、チューナ部3x,3yの出力であるI成分及びQ成分をそれぞれ入力するだけで、ADC部を追加する必要がなくなる。そのため、大幅な設計変更を伴わずに構成を変更することができる。したがって、設計の自由度を向上することが可能となる。
また、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yをLSI14a〜14cに接続することによって、図8に示す直交復調部5a,5e〜5d,5hや時間領域合成部6e〜6hに信号が入力されなくなったり、これらの部分の動作が無効化されたりするようにしても構わない。即ち、ADC部4a,4e〜4d,4hから出力される信号が、直接的にリサンプラ7e〜7hに入力される構成としても構わない。このように構成すると、ユーザまたはこのLSI14a〜14cを用いて受信装置を製造する者が、容易かつ自由にチューナ3a〜3h,3x,3yを選択することが可能となる。また、IF信号が出力されるチューナ部3a〜3hと、ベースバンド信号が出力されるチューナ部3x,3yと、が併用可能な構成としても構わない。このように構成すると、1つのLSIに接続されるアンテナ及びチューナ部の数を自在に変更することが可能となる。
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態の受信装置1,20において、受信装置1,20が行う信号処理などの動作を、マイコンなどの制御装置が行うこととしても構わない。さらに、このような制御装置によって実現される機能の全部または一部をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能の全部または一部を実現するようにしても構わない。
また、上述した場合に限らず、受信装置1,20は、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現可能である。また、ソフトウェアを用いて受信装置1,20を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すこととする。
以上、本発明における実施形態についてそれぞれ説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。