JP2009218369A - 軸配位子を有するフタロシアニン化合物からなるn型有機半導体材料 - Google Patents

軸配位子を有するフタロシアニン化合物からなるn型有機半導体材料 Download PDF

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Abstract

【課題】有機電子デバイス(特に有機トランジスタ,有機光電変換素子)の作製に適した化合物、n型有機半導体材料、溶液および分散液を提供する。
【解決手段】下記一般式で表されるフタロシアニン化合物からなるn型有機半導体材料、該化合物の合成方法、溶液または分散液、薄膜、有機電子デバイス。

(Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、又は電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するフタロシアニン化合物、該化合物の合成方法、該化合物からなる有機半導体材料、該化合物を含む溶液または分散液、該化合物を用いた有機電子デバイス(特に有機トランジスタ、有機光電変換素子)に関する。
ユビキタスな情報社会を迎え、いつでもどこでも使用できる情報端末が求められている。そのため、フレキシブルかつ軽量で安価な電子デバイスが望まれているが、従来のシリコンのような無機半導体材料を用いた電子デバイスでは、これらの要望に十分に対応できていない。そこで、近年、これらの要望に対応可能な有機半導体材料を用いた電子デバイスの研究が活発になされている。特に、塗布法などの湿式プロセスにより成膜可能な有機半導体材料は、低温、低コストで大面積の素子を作製できる可能性を秘めている(例えば、非特許文献1又は2を参照。)。
これまでに見出された有機半導体材料の多くは、電荷輸送キャリアが正孔(ホール)であるp型半導体特性を示し、このようなp型有機半導体材料としては、例えば、真空蒸着法などの乾式プロセスにより成膜可能なペンタセンや湿式プロセスにより成膜可能なP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))など、優れた材料が見つかってきている。
これに対し、電荷輸送キャリアが電子であるn型有機半導体材料は限られており、さらなる特性の向上が求められている。例えば、乾式プロセスにより成膜可能なフラーレンや湿式プロセスにより成膜可能なフラーレン誘導体PCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)が知られているが、これらは、電子デバイスとして動作させるには大気中での劣化を防止するために封止が必要になるなど、大気中での安定性の点で十分満足できるものではなかった。従って、湿式プロセスによる成膜に適したn型有機半導体材料の開発が求められている(例えば、非特許文献1又は2を参照。)。
また、有機半導体材料を光電変換材料として用いることにより、光センサや有機薄膜太陽電池などの有機光電変換素子が得られる。これらは、シリコンなどの無機半導体材料を用いた素子と比べて製造工程が容易であり、特に湿式プロセスによる成膜が可能な有機半導体材料を用いれば、低温、低コストで大面積の素子を作製できる可能性を秘めている。これまでに、例えば、前述のP3HTとPCBMとからなるブレンド膜を光電変換層として用いた有機薄膜太陽電池が報告されているが、シリコン太陽電池に光電変換性能が及ばず、更なる性能の向上が求められている。有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率が低い原因の一つとしては、太陽から照射される光に対し、用いている材料の光吸収および光電変換可能な波長領域が狭く、長波長領域(近赤外領域)の光を利用できていないことが挙げられる。特に、n型材料として用いているPCBMの吸収波長領域はほぼ紫外域のみであり、太陽光を有効に利用できていない。従って、湿式成膜法での成膜に適しており、長波長域まで光吸収および光電変換特性を示すn型有機半導体材料の開発が求められている(例えば、非特許文献3又は4を参照。)。
これまでに知られているn型有機半導体材料の中で、化合物の化学的安定性、半導体動作安定性、長波長域まで光吸収および光電変換特性を示す、といった観点からは、電子欠乏性のフタロシアニン類が特に優れていることが分かっており、例えば、各種中心金属のヘキサデカフルオロフタロシアニン(F16CuPc、F16ZnPc、F16CoPc、F16FePc)、各種中心金属の塩素化フタロシアニン(Cl16FePc、Cl16CuPc)などの電子欠乏性のフタロシアニンが優れたn型有機半導体材料として知られている(例えば、特許文献1、非特許文献5又は6を参照。)。
しかし、これらのフタロシアニン類は、いずれも溶媒への溶解性が非常に低く、湿式プロセスによる成膜には適していないという問題があった。フタロシアニン類に溶解性を付与する方法として、一般にフタロシアニン骨格の周辺にアルキル基などの置換基を導入する方法が知られているが、フタロシアニン類にn型半導体特性を付与するためにはFやClなどの電子求引性基を導入するなどの方法で電子欠乏性にする必要があり、溶解性向上のための置換基導入との両立が困難であった。
さらに、置換基を有するフタロシアニンの合成においては、一般に、導入される置換基の種類や数が異なる副生成物や置換位置の異なる構造異性体が副生することが避けられず、単一成分・高純度な化合物の合成は非常に困難であった。
特開平11−251601号公報 Chemical Reviews,2007,107,1296−1323. 「Organic Field−Effect Transistors」(2007年刊、CRC Press)159−228頁。 「Organic Photovoltaics」(2005年刊、Taylor&Francis)49−104頁 Chemical Reviews,2007,107,1324−1338. Journal of American Chemical Society,1998,120,207−208. Applied Physics Letters,2006,89,163516.
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、湿式法により成膜可能であり、各種有機電子デバイス(特に有機トランジスタ、有機光電変換素子)への適用に適したn型有機半導体材料を提供することにある。
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
<1>下記一般式(Pc−1)で表される化合物からなるn型有機半導体材料。
(式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは中心金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
<2>前記一般式(Pc−1)で表される化合物が下記一般式(Pc−2)で表される化合物である、<1>項に記載のn型有機半導体材料。
(式中、XはF又はClを表し、MはSi、Ge又はSnのいずれかを表し、Rは炭素数1〜30の置換基を表す。)
<3>前記の置換基Rにおける中心金属Mと結合する部分が−C又は−OSiである(ここで前記Rは−の側でMと結合する。)、<1>又は<2>項に記載のn型有機半導体材料。
<4>前記中心金属MがSnである、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料。
<5>前記n型有機半導体材料が有機トランジスタ用n型有機半導体材料である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料。
<6>前記n型有機半導体材料が有機光電変換素子用n型有機半導体材料である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料。
<7>下記一般式(Pc−3)で表される化合物。
(式中、XはF又はClを表し、Rは炭素数1〜30の置換基を表す。ただし、Rは、Snと結合する部分が−C又は−OSiである(ここで、前記Rは、−の側でSnと結合する。)。)
<8>炭素数1〜30の置換基Rが1つ又は2つ金属原子Mに結合した化合物を中心金属源として環化反応を行う工程を含む、前記一般式(Pc−1)で表される化合物を製造する方法。
<9>前記一般式(Pc−1)で表される化合物を含む色素組成物であって、該色素組成物の示す吸収が主に前記化合物の吸収に由来するものである色素組成物。
<10>前記一般式(Pc−1)で表される化合物を質量濃度0.1〜100g/Lの範囲で含む溶液。
<11>前記一般式(Pc−1)で表される化合物を質量濃度0.1〜100g/Lの範囲で含む微粒子分散液。
<12>前記一般式(Pc−1)で表される化合物を含む薄膜。
<13><11>項に記載の微粒子分散液を塗布・乾燥することにより得られる、<12>項に記載の薄膜。
<14>前記化合物を膜中に5質量%以上含む、<12>又は<13>項に記載の薄膜。
<15><1>〜<4>のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料を用いてなる有機電子デバイス。
<16>前記有機電子デバイスが有機トランジスタである<15>項に記載の有機電子デバイス。
<17>前記有機電子デバイスが有機光電変換素子である<15>項に記載の有機電子デバイス。
本発明のn型有機半導体材料は、容易に均一溶液または微粒子分散液を得ることができる。該溶液または分散液を塗布・乾燥することにより、各種の有機電子デバイス(有機トランジスタ、有機光電変換素子など)に適した良質な薄膜を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のn型有機半導体材料は、下記一般式(Pc−1)で表される化合物(以下、本発明の化合物という。)からなる。以下、一般式(Pc−1)について説明する。
(式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは中心金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
本発明の化合物は、n型半導体特性を発現させるため、Qで表される部分が、電子求引性基が置換した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族ヘテロ環のいずれかより選ばれる。
Qで表される芳香族炭化水素としては、ベンゼン環に限らず、複数の置換位置で縮環した構造も好ましく、ナフタレン環などのように縮環したものも含む。
電子求引性基としては特に制限はなく、例えば、Chem.Rev.,1991,91,165.に記載されている置換基のうちHammet値が正の値のものが挙げられる。例としてはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、−CO−R1、−CO−CO−R1、−SO−R1、−SO2−R1、−C(=N−R2)−R1、−S(=NR2)−R1、−S(=NR2)2−R1、−P(=O)(R1)2、−O−R3、−S−R3、−N(−R2)−CO−R1、−N(−R2)−SO−R1、−N(−R2)−SO2−R1、−N(−R2)−C(=N−R2)−R1、−N(−R2)−S(=NR2)2−R1、及び−N(−R2)−P(=O)(R1)2で表される基などが挙げられる。ここで、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はメルカプト基を表す。具体的には、後述のWのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、又はホスホリル基を表す。具体的には、後述のWのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R3は、パーフルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、またはスルフィニル基を表す。具体的には、後述のWのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。
Qで表される芳香族炭化水素に結合する電子求引性基としては、好ましくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、パーフルオロアルキル基、スルホニル基、スルホ基、エステル基、カルボニル基、電子欠乏性の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、パーフルオロアルキル基、スルホニル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、ハロゲン原子の中で特に好ましくはフッ素原子又は塩素原子である。
芳香族炭化水素に結合する電子求引性基の数は特に限定されないが、異性体の副生を防ぐ意味では、当該芳香族炭化水素がベンゼン環の場合、ベンゼン環1つ当たりに電子求引性基が2つまたは4つ、対称に導入されていることが好ましい。本発明において「対称に導入されている」とは、1つの縮合環が、中心金属Mを通る軸を中心に線対称であることを意味する。具体的には、後述する例示化合物1〜35のように、該化合物における置換基X1(α位)がすべて同一の場合、又は置換基X2(β位)がすべて同一の場合を表す。好ましくは、該化合物における置換基X1及びX2がすべて同一の場合である。電子求引性基が置換した芳香族炭化水素として、最も好ましくはテトラハロゲノベンゼンである。
Qで表される電子欠乏性の芳香族へテロ環とは、ベンゼン環に比べて電子密度が低いヘテロ環であり、ベンゼン環に比べてより酸化が起こりにくく還元が起こりやすい分子構造のヘテロ環といってもよい。Qで表される電子欠乏性の芳香族ヘテロ環として、好ましくは窒素原子を1個以上含む炭素数2〜10のものであり、より好ましくはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、シロール環、ゲルモール環のいずれかであり、特に好ましくはピリジン環、ピラジン環である。
本発明の化合物は、湿式プロセス成膜適性を付与するため、中心金属Mに置換基Rを1つまたは2つ有する。中心金属Mに結合した置換基Rは軸配位子とも呼ばれる。置換基Rをフタロシアニン骨格の周辺(前記一般式(Pc−1)におけるQで表される部分)ではなく、中心金属Mに導入することにより、導入される置換基の種類や数が異なる副生成物や置換位置の異なる構造異性体が副生することなく、高純度化に適した化合物となる。また、軸配位子を有することにより、フタロシアニンのπ共役系同士のスタッキングが効率的に抑制されるため、比較的小さな置換基の導入でも効果的に溶媒への溶解性や分散性が向上し、湿式成膜適性を向上させることができる。
中心金属Mとしては、3価または4価をとり得る金属であればいかなるものでもよく、3価の金属の例としては、Al、Ga、In、Mn、Feが挙げられ、4価の金属の例としては、Si、Ge、Sn、Ti、Zrが挙げられる。これらの中で、溶解性向上および化合物の化学的安定性の観点からは、Si、Ge、Sn、Al、Ga、Inが好ましく、Si、Ge、Snがより好ましく、Snが特に好ましい。
置換基Rとしては、湿式プロセス適性の観点から炭素数1〜30のものが好ましい。このようなRは、いかなるものでもよく、後述のWから選ぶことができる。Rとして、好ましくは炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数3〜30のシリルオキシ基である。Mと結合する部分が−C、−OSi、−OC、−OCO(エステル結合)で表されるものが特に好ましく、Mと結合する部分が−Cまたは−OSiで表されるものが最も好ましい。ここで前記Rは−の側でMと結合する。具体的には、後述のWのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。
置換基Rの数は1つ又は2つのいずれでもよいが、湿式成膜適性向上の観点からは2つが好ましい。Rが2つの場合、2つのRは同一でも異なってもよいが、好ましくは同一の場合である。
本発明において、置換基の特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分の基はそれ自体が置換されていなくてもよく、また、一種以上の(可能な最多数までの)別の置換基でさらに置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。つまり、本発明における化合物における置換基はさらに置換されていても良い。
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としてはいかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(直鎖もしくは分岐アルキル基のほか、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基(直鎖もしくは分岐アルケニル基のほか、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が例として挙げられる。
さらに詳しくは、Wは、下記の(1)〜(48)等を表す。
(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、(2−a)〜(2−e)なども包含するものである。
(2−a)アルキル基
好ましくは炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
(2−b)シクロアルキル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
(2−c)ビシクロアルキル基
好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)
(2−d)トリシクロアルキル基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のトリシクロアルキル基(例えば、1−アダマンチル)
(2−e)さらに環構造が多い多環シクロアルキル基
なお、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、(3−a)〜(3−c)を包含するものである。
(3−a)アルケニル基
好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)
(3−b)シクロアルケニル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)
(3−c)ビシクロアルケニル基
置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)
(4)アルキニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
(5)アリール基
好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
(6)ヘテロ環基
好ましくは、5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜50の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。
(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性のヘテロ環基でも良い)
(7)シアノ基
(8)ヒドロキシ基
(9)ニトロ基
(10)カルボキシ基
(11)アルコキシ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)
(12)アリールオキシ基
好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
(13)シリルオキシ基
好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)
(14)ヘテロ環オキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)
(15)アシルオキシ基
好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)
(16)カルバモイルオキシ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)
(17)アルコキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)
(18)アリールオキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)
(19)アミノ基
好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
(20)アンモニオ基
好ましくは、アンモニオ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)
(21)アシルアミノ基
好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)
(22)アミノカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ(例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)
(23)アルコキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)
(24)アリールオキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)
(25)スルファモイルアミノ基
好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)
(26)アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)
(27)メルカプト基
(28)アルキルチオ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
(29)アリールチオ基
好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
(30)ヘテロ環チオ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
(31)スルファモイル基
好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)
(32)スルホ基
(33)アルキルもしくはアリールスルフィニル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
(34)アルキルもしくはアリールスルホニル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)
(35)アシル基
好ましくは、ホルミル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)
(36)アリールオキシカルボニル基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)
(37)アルコキシカルボニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)
(38)カルバモイル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)
(39)アリール又はヘテロ環アゾ基
好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)
(40)イミド基
好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド
(41)ホスフィノ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
(42)ホスフィニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基(例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)
(43)ホスフィニルオキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)
(44)ホスフィニルアミノ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)
(45)ホスホ基
(46)シリル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
(47)ヒドラジノ基
好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基(例えば、トリメチルヒドラジノ)
(48)ウレイド基
好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のウレイド基(例えばN,N−ジメチルウレイド)
また、2つのWが共同して環を形成することもできる。このような環としては芳香族、または非芳香族の炭化水素環、またはヘテロ環や、これらがさらに組み合わされて形成された多環縮合環が挙げられる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、及びフェナジン環が挙げられる。これらの中で好ましい環は、ベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環である。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
前記一般式(Pc−1)で表される化合物は、下記一般式(Pc−2)で表される化合物であることがより好ましい。
(式中、XはF又はClを表し、MはSi、Ge又はSnのいずれかを表し、Rは炭素数1〜30の置換基を表す。)
前記一般式(Pc−2)において、Xは、フッ素原子または塩素原子である。Mは、Si、Ge、Snのいずれかであり、最も好ましくはSnである。Rは、炭素数1〜30の置換基を表し、前記一般式(Pc−1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(Pc−2)で表される化合物は、下記一般式(Pc−3)で表される化合物であることが更に好ましい。
(式中、XはF又はClを表し、Rは炭素数1〜30の置換基を表す。ただし、Rは、Snと結合する部分が−C又は−OSiである(ここで、前記Rは、−の側でSnと結合する。)。)
前記一般式(Pc−3)において、Xは、フッ素原子または塩素原子である。Rは、炭素数1〜30の置換基を表し、前記一般式(Pc−1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。ただし、Rは、Snと結合する部分が−C又は−OSiである(ここで前記Rは−の側でSnと結合する。)。
以下に、前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物の好ましい具体例を示す。ただし本発明は以下の例に限定されるものではない。本明細書において、Buはブチル基、Phはフェニル基、Etはエチル基をそれぞれ表す。
前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表されるフタロシアニン類の合成は、白井汪芳、小林長夫編・著「フタロシアニン−化学と機能−」(アイピーシー社、1997年刊)の1〜62頁、廣橋亮、坂本恵一、奥村映子編「機能性色素としてのフタロシアニン」(アイピーシー社、2004年刊)の29〜77頁に準じて行うことができる。
フタロシアニン類の代表的な合成法としては、これらの文献に記載のワイラー法、フタロニトリル法、リチウム法、サブフタロシアニン法、および塩素化フタロシアニン法などが挙げられる。本発明においては、いかなる反応条件を用いても良い。環形成反応においては、フタロシアニン類の中心金属となる種々の金属を添加することが好ましいが、中心金属を持たないフタロシアニン類を合成後に、所望の金属を導入しても良い。
中心金属に置換基(軸配位子)を有するフタロシアニンの合成法としては、下記スキーム(上段)に示すように金属塩化物(MCln+2)を中心金属源として用いて、M−Cl結合を有するクロロ体やジクロロ体を合成した後に、塩素原子を所望の置換基Rに変換する方法が一般的である(従来法)。しかし、この方法では溶解性の極めて低い合成中間体を経ることになり、合成できないか、または収率が極めて低くなることが多かった。
これに対し、本発明の方法は、下記スキーム(下段)に示すように、あらかじめ所望の置換基Rが1つ又は2つ金属原子に結合された化合物(R2MCl2など)を中心金属源として環化反応を行う工程を含む。本発明の方法によれば、少ないステップ数で、より高い収率で本発明の化合物を製造することが可能である。
本発明の化合物は、前記の従来法により調製してもよいが、上述の本発明の方法により調製することが好ましい。
上記スキームでは原料としてジニトリルの例を示したが、上記のフタロシアニン化合物の合成に使用する原料としては、ジニトリル(フタロニトリル等)以外にも、無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸およびその塩、フタル酸ジアミド、1,3−ジイミノイソインドリンなどの各種誘導体を用いることができる。これらの原料は任意の方法で合成することができる。
本発明の方法において、中心金属源として用いる金属化合物は、任意の方法で合成することができる。反応溶媒としては、いかなる溶媒を用いても良いが、好ましくは高沸点の溶媒である。高沸点の溶媒の好ましい例としては、例えば、キノリン、テトラリン、クロロナフタレン、キシレン、トルエン、ピコリン、ピリジン、ペンタノール、ブタノール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。また、環形成反応促進のために、酸または塩基を用いることが好ましく、特に塩基を用いることが好ましい。最適な反応条件は、目的とするフタロシアニン化合物の構造により異なるが、上述した文献に記載された具体的な反応条件を参考に設定することができる。
前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物は、通常のフタロシアニン化合物と比べて電子欠乏性であるため、酸化が起こりにくく、従って大気中での化学的安定性が高い。また、前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物は、溶媒中で均一に溶解または分散し、均一溶液や均一微粒子分散液を得ることができる。特に均一微粒子分散液は、均一溶液に近い吸収特性を示しながら、微粒子であるため、顔料と同様の非常に高い耐候性を示す。
このため、前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物は、n型有機半導体材料としての使用のみならず、耐候性の高い色素としての使用にも適する。
前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物を色素として使用する場合、本発明の化合物単独で用いてもよいし、他の材料や各種溶媒と混合して色素組成物として用いてもよい。色素組成物として用いる場合、該色素組成物の示す吸収が主に本発明の化合物の吸収に由来するものであることが好ましい。本発明の化合物の極大吸収波長は、600〜1000nmにあることが好ましい。
前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物を含む色素組成物は、有機電子デバイスの他、各種のインクや染料などに適用することができる。
前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物は、混合する溶媒の種類を選ぶことで、簡便に均一溶液や微粒子分散液を得ることができる。混合する溶媒の種類はいかなるものでもよいが、好ましい例としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、THF、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。微粒子の均一分散液を得るためには、本発明の化合物を0.1〜100g/Lの濃度で用いることが好ましく、0.5〜10g/Lの濃度で用いることが特に好ましい。
前記一般式(Pc−1)〜(Pc−3)のいずれかで表される化合物の溶液または微粒子分散液を塗布・乾燥することにより、簡便に良質な薄膜を得ることができる。塗布方法の詳細は後述の有機半導体薄膜の形成方法と同様である。
薄膜の膜厚は、好ましくは1nm〜100μmであり、より好ましくは5nm〜1μmである。薄膜中に占める本発明の化合物の割合(濃度)は、いかなるものでもよいが、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。
本発明の化合物を含んでなる薄膜は、各種有機電子デバイスの他、カラーフィルターや光記録媒体(光ディスクなど)などに適用することができる。
次に、本発明の有機半導体材料について説明する。
本発明における有機半導体材料とは、半導体の特性を示す有機材料のことであり、本発明においてはキャリア(正孔または電子)を輸送する能力を有する有機材料と言い換えてもよい。無機材料からなる半導体と同様に、正孔(ホール)をキャリアとして伝導するp型有機半導体材料(正孔輸送材料と言ってもよい。)と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体材料(電子輸送材料と言ってもよい。)がある。本発明の有機半導体材料は、特にn型有機半導体としての利用に適している。
有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。用途によっても異なるが、一般に移動度は高い方がよく、10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、10-5cm2/Vs以上であることがより好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
本発明の有機半導体材料は、良質な薄膜を形成しやすく、薄膜としての利用に適している。薄膜の形成に際し、バインダー材料や他の有機半導体材料などと混合した膜として用いることも好ましいが、この場合、膜中に本発明の化合物を1質量%以上含有していることが好ましく、5質量%以上含有していることがより好ましく、10質量%以上含有していることがさらに好ましい。膜厚は、電子デバイスの種類などにより特に制限はないが、好ましくは1nm〜1mm、より好ましくは5nm〜1μmである。
本発明の有機半導体材料を含む薄膜を形成する方法は、いかなる方法でも良いが、乾式プロセスあるいは湿式プロセスにより成膜される。好ましくは湿式プロセスによる成膜である。乾式プロセス成膜の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子ビームエピタキシー(MBE)法などの物理気相成長法あるいはプラズマ重合などの化学気相蒸着(CVD)法が挙げられる。湿式プロセス成膜は、有機化合物を溶解させることができる溶媒中に溶解させ、あるいは均一に分散した分散液とし、その溶液または分散液を用いて成膜する方法であり、具体的にはキャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、Langmuir−Blodgett(LB)法などが挙げられ、キャスト法、スピンコート法およびインクジェット法を用いることが好ましい。
湿式プロセスを用いて有機半導体膜を形成する場合、有機半導体材料、あるいはその材料とバインダー樹脂を適当な有機溶媒および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。その塗布液中の本発明の有機半導体材料の濃度を好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは0.1〜10質量%とすることにより、任意の厚さの膜を形成できる。
前記有機溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等)、エーテル系溶媒(例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等)、極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキサイド等)などが挙げられる。
樹脂バインダーを用いる場合、樹脂バインダーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの絶縁性ポリマー、およびこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどの光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレンなどの導電性ポリマーを挙げることができる。樹脂バインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用しても良い。膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造の樹脂バインダーや光伝導性ポリマー、導電性ポリマーが好ましい。樹脂バインダーは使わない方が有機半導体の特性上好ましいが、目的によっては使用することもある。使う場合の樹脂バインダーの使用量は、特に制限はないが、有機半導体膜中、好ましくは0.1〜90質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜30質量%で用いられる。
基板表面は凹凸や平滑性、親水性・疎水性、分子間相互作用などを制御し、膜のモルフォロジーや分子配向状態を制御するために処理がなされていてもよく、例としては、二酸化ケイ素表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の塗布により表面処理する方法、金表面をアルカンチオールで表面処理する方法などが挙げられる。
成膜の際、基板を加熱または冷却してもよく、基板の温度を変化させることで膜のモルフォロジーや分子配向状態を制御することが可能である。基板の温度としては特に制限はないが、0℃〜200℃の間であることが好ましい。
以下、本発明の有機電子デバイスについて、さらに詳細に説明する。
本発明の有機電子デバイスはいかなるものでも良いが、膜構造を有するエレクトロニクス要素を用いたデバイスとすることが好ましい。本発明のエレクトロニクス要素(n型有機半導体材料)を用いた有機電子デバイスとしては、例えば、有機光電変換素子、有機トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子が挙げられる。有機光電変換素子は、光センサ用途(固体撮像素子)、エネルギー変換用途(有機太陽電池)のいずれにも用いることができる。有機電子デバイスとして、好ましくは、有機光電変換素子、有機トランジスタ、有機電界発光素子であり、さらに好ましくは有機光電変換素子、有機トランジスタである。以下、これらのものの好ましい態様のうち代表的なものについて、図面を参照しながら詳しく説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
図1は、本発明のエレクトロニクス要素(n型有機半導体材料)を用いた代表的な有機トランジスタ素子の構造を概略的に示す断面図である。本発明の有機トランジスタはいかなる構造のものでもよいが、最も好ましいのは図1に示す電界効果型トランジスタ(FET)構造である。このトランジスタは積層構造を基本構造として有するものであり、最下層に基板11(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面の一部にゲート電極12を設け、さらに該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体層13の上面に有機半導体層14を設け、その上面の一部にソース電極15aとドレイン電極15bとを隔離して配置している。電極12、電極15a及び電極15bの構成材料は、導電性を示すものであれば特に制限なく用いることができ、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子など、既知の導電性材料であれば特に制限することなく使用できる。なお、図1の構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、電極15aと15bが有機半導体層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。また、キャリアが有機半導体膜の膜厚方向に流れる縦型トランジスタ構造であってもよい。
ゲート幅(チャンネル幅)Wとゲート長(チャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの比W/Lが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
各層の厚さに特に制限はないが、より薄いトランジスタとする必要がある場合には、例えばトランジスタ全体の厚さを0.1〜0.5μmとすることが好ましく、そのために各層の厚さを10〜400nmとすることが好ましく、電極の厚さを10〜50nmとすることが好ましい。
絶縁層を構成する材料は必要な絶縁効果が得られれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料、アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。
素子を大気や水分から遮断し、素子の保存性を高めるために、素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、パリレンなどの高分子材料などで封止しても良い。
図2は、本発明のエレクトロニクス要素(n型有機半導体材料)を用いた有機薄膜光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。図2の素子は積層構造を有するものであり、最下層に基板21(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面に電極層22を設け、さらにその上層としてp型有機半導体および/またはn型有機半導体を含む光電変換層23を設け、さらにその上面に電極層24を設けている。光電変換層23は、p型有機半導体材料またはn型有機半導体材料を含む単一層でもよく、p型有機半導体材料を含む層とn型有機半導体材料を含む層の積層構造(この場合、積層の順番や積層数はいかなるものでもよい)でもよく、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料をいずれも含む層(この場合、分子レベルで両者が完全に混ざり合っていてもよく、何らかの相分離構造を形成していてもよい)であってもよい。電極層22や24と光電変換層23との間には、表面の平滑性を高めるバッファ層、ホールまたは電子の電極からの注入を促進するキャリア注入層、ホールまたは電子を輸送するキャリア輸送層、ホールまたは電子を阻止するキャリアブロック層などが含まれていてもよい。
電極層22として用いる材料は、可視光または赤外光を透過し、導電性を示すものであれば特に制限はない。可視光または赤外光の透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。そのような材料としては、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物が好ましく、プロセス適性や平滑性の観点からITOまたはIZOが特に好ましい。
電極層24として用いる材料は、前述のトランジスタのものと同様、導電性を示すものであれば特に制限はないが、光利用効率を高める観点からは、光反射性の高い材料が好ましく、特に好ましいのはAl、Pt、W、Au、Ag、Ta、Cu、Cr、Mo、Ti、Ni、Pd、Znである。
各層の厚さに特に制限はなく、好ましい素子全体の厚さ、各層の厚さ、電極層の厚さなどは、前述のトランジスタのものと同様である。
素子の保存性を高めるためには、前述のトランジスタのものと同様に素子全体を封止してもよく、好ましい封止用材料も同様である。
光電変換素子をエネルギー変換用途の太陽電池として用いる場合、太陽光を効率良く吸収し、エネルギー変換効率を高めるために、600nm以上の長波長域まで、特に好ましくは700nm以上の近赤外領域まで光を吸収し、光電変換する材料を光電変換層に用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1
(例示化合物1の製造)
テトラフルオロフタロニトリル(10.0g、50.0mmol)、二塩化ジブチルスズ(7.60g、25.0mmol)、1−クロロナフタレン(50mL)を、窒素雰囲気下、230℃で4時間攪拌した。室温まで冷却した後、ヘキサンを約200mL添加し、ろ過すると緑色粉末が得られた。この粉末をヘキサンでよく洗浄した後、ヘキサン200mLで2回煮沸洗浄し、真空乾燥することで例示化合物1を800mg(収率6%)得た。有機トランジスタ素子、有機光電変換素子の作製用には、さらにHPLCグレードのアセトニトリルで煮沸洗浄した後、電子工業グレードのイソプロパノール、電子工業グレードのアセトンで順次洗浄し、真空乾燥したものを用いた。
19F NMR(DMF−d6,CF3COOH=0ppm)δ=64.6,70.8ppm。MALDI−TOF−MS(DMF、nega)m/z=977([M−Bu]-)(文献J.Organometallic Chem.,1988,341,165−179.等で公知なように、軸配位子を有するフタロシアニン類のMSにおいては、本例のように軸配位子1つ分少ない分子量で検出されることが多い。以下の化合物でも同様。)。融点>200℃
製造例2
(例示化合物2の製造)
二塩化ジブチルスズの代わりに二塩化ジ(t−ブチル)スズを用いたこと以外は製造例1と同様にして例示化合物2(2.37g、収率74%)を得た。
19F NMR(DMF−d6,CF3COOH=0ppm)δ=64.6,70.8ppm。MALDI−TOF−MS(DMF、nega)m/z=977([M−t-Bu]-)。融点>200℃
製造例3
(例示化合物3の製造)
二塩化ジブチルスズの代わりに二塩化ジフェニルスズを用いたこと以外は製造例1と同様にして例示化合物3(32mg、収率1%)を得た。
19F NMR(DMF−d6,CF3COOH=0ppm)δ=64.6,70.8ppm。MALDI−TOF−MS(DMF、nega)m/z=997([M−Ph]-)。
製造例4
(例示化合物23の製造)
(1)合成中間体1の調製
テトラクロロフタロニトリル(10.4g、37.6mmol)、ホルムアミド(200mL)、水酸化ナトリウム(6.1g、152mmol)、THF(200mL)を、窒素雰囲気下、50℃で4時間攪拌した。室温まで冷却した後、氷水2Lに投入し、ろ過し、よく水で洗うことにより合成中間体1を得た(8.24g、収率75%)。
MALDI−TOF−MS(DMF、posi)m/z=281.8([M+H]+)。融点>200℃
(2)例示化合物23の調製
合成中間体1(400mg、1.41mmol)、二塩化ジブチルスズ(215mg、0.71mmol)、1−クロロナフタレン(7mL)を、窒素雰囲気下、150℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、ヘキサンを約30mL添加し、ろ過すると緑色粉末が得られた。この粉末をトルエン、THF、アセトンで順次洗浄し、真空乾燥することで例示化合物23を150mg(収率33%)得た。
MALDI−TOF−MS(DMF、nega)m/z=1232.5([M−Bu]-)。融点>200℃
製造例5
(例示化合物39の製造)
2,3−ジシアノピラジン(1.00g、6.32mmol)、尿素(419mg、6.95mmol)、二塩化ジブチルスズ(960mg、3.16mmol)、トリブチルアミン(2.33g、12.6mol)、1−クロロナフタレン(5mL)を、窒素雰囲気下、150℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、ヘキサンを約30mL添加し、ろ過すると紫色粉末が得られた。この粉末をトルエン、THF、アセトンで順次洗浄し、真空乾燥することで例示化合物39を520mg(収率44%)得た。
MALDI−TOF−MS(DMF、nega)m/z=697([M−Bu]-)。融点>200℃
参考例
(例示化合物25の調製)
本発明の好ましい具体例として挙げたその他の例示化合物も上記製造例1〜5に準じて調製することができるが、前述の従来法に従って調製することもできる。従来法によって調製する場合の例として、例示化合物25の従来法による合成スキームを以下に示す。
キノリン中、合成中間体1とSiCl4を180℃で約3時間攪拌することによりテトラクロロシリコンフタロシアニンのジクロロ体が得られる。ジクロロ体を濃硫酸中、室温で約2時間攪拌し、氷にあけてろ過、水洗した後、ピリジン中、NaOHと加熱還流下、2時間攪拌することでジヒドロキシ体が得られる。得られたジヒドロキシ体を、β−ピコリン中、トリエチルシラノール、n−トリブチルアミンと加熱還流下、3時間攪拌することで例示化合物25が得られる。
実施例1
(分散液および溶液の作製)
例示化合物1〜3を、それぞれ1g/Lの濃度となるようにアセトンと混合し、動的光散乱式粒度分布測定器(日機装製、商品名、UPA−EX150)により粒度分布を測定した。測定結果を図3(a)に示す。
また、例示化合物23又は39を、それぞれ0.5g/Lの濃度となるようにアセトンと混合し、5分間超音波照射した後に、上記と同様にして粒度分布を測定した。測定結果を図3(b)に示す。
図3(a)及び(b)の結果から明らかなように、いずれの化合物も微粒子分散液であることが分かった。特に、例示化合物1〜3は分散性が高く、ナノメートルサイズの微粒子の分散液となることがわかった。
また、濃度依存性を調べるために、例示化合物1の濃度を1g/Lから10g/Lに変更したこと以外は上記と同様にして調製し粒度分布測定を行った。その結果、最頻値を示す粒径が13nmから36nmになる程度で、相変わらず高い分散性を示すことがわかった。
また、例示化合物1〜3を、それぞれ1g/Lの濃度となるようにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)と混合し、5分間超音波照射した後に、上記と同様にして粒度分布を測定した。その結果、測定可能範囲である0.8nm〜6.5μmの範囲に粒子の存在が確認されず、均一溶液であることが分かった。
本発明の好ましい具体例として挙げたその他の例示化合物も、溶媒を選ぶことで上記と同様にして均一溶液または微粒子分散液を調製することができる。
比較例1
例示化合物1の代わりにフッ素化銅フタロシアニン(F16CuPc、Aldrich社製)を用いたこと以外は上記と同様にして実験を行ったところ、全く溶解も分散もしなかった。
実施例2
(塗布膜の作製)
例示化合物1を2g/Lの濃度でアセトンと混合して溶液を調製し、5分間超音波照射した後に、当該溶液を石英基板上にキャストし、シャーレで覆ってアセトン飽和蒸気下で乾燥させることで、良質な固体膜が得られた。固体膜表面を光学顕微鏡(キーエンス社製、商品名、VHX−200)で観察を行った(倍率500倍)。結果を図4に示す。図4から明らかなように、得られた固体膜は均一な表面状態の固体膜であることが分かった。
また、例示化合物1を例示化合物2、3、23又は39に代えたこと以外は同様にして溶液(濃度10-5〜10-6mol/L)を調製し、塗布膜を作製した。
図5に、これらの溶液および塗布膜の吸収スペクトルを示す。図5(a)は例示化合物1、図5(b)は例示化合物2、図5(c)は例示化合物3、図5(d)は例示化合物23、図5(e)は例示化合物39の溶液および塗布膜の吸収スペクトルをそれぞれ示す。吸収スペクトルは紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所製、商品名、UV−3600)を用いて測定した。
図5(a)〜(e)の結果から明らかなように、いずれの化合物も膜状態では溶液状態に比べて吸収スペクトルがブロード化していた。このことから、膜中では分子同士が分子間相互作用していることが分かった。
比較例2
例示化合物1の代わりにF16CuPc(Aldrich社より購入し、昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例2と同様の方法で基板上に塗布しようと試みた。しかしながら、全く溶解も分散もせず、塗布法で固体膜を得ることはできなかった。
実施例3
(有機トランジスタ素子の作製)
例示化合物1のアセトン分散液(電子工業グレード)2g/LまたはN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液(HPLCグレード)2g/Lをトランジスタ特性評価用基板上にキャストし、シャーレで密閉してアセトン飽和蒸気下で乾燥させることで厚さ1μm以下の固体膜を形成させることで有機トランジスタ素子を得た。トランジスタ特性評価用基板としては、図6に示すボトムコンタクト構造の基板を用いた。図6に示すように、最下層に基板31を配置し、その上面に電極32を設け、さらに該電極32を覆い、かつ電極32以外の部分で基板31と接するように絶縁体層33を設けた。絶縁膜33としてはSiO2(膜厚200nm)を用いた。さらに絶縁体層33の上面の一部に電極34aと電極34bとを隔離して配置した。電極34a及び34bとしては、くし型に配置された金/クロム(ゲート幅W=100000μm、ゲート長L=100μm)を用いた。さらに電極34a及び34bを覆い、かつ電極34a及び34b以外の部分で絶縁体層33と接するようにn型有機半導体を含む層35を設けた。
これらの作製した有機トランジスタ素子を光学顕微鏡および電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名、TM−1000)で観察した。結果を図7及び図8に示す。図7は、例示化合物1を用いた有機トランジスタ素子の光学顕微鏡写真であり(倍率500倍)、図7(a)はアセトン分散液から得られた素子、図7(b)はDMAc溶液から得られた素子をそれぞれ示す。なお、図中の縦縞はソース電極およびドレイン電極を示す。図8は、例示化合物1を用いた有機トランジスタ素子の電子顕微鏡写真であり(倍率10000倍)、図8(a)はアセトン分散液から得られた素子、図8(b)はDMAc溶液から得られた素子をそれぞれ示す。
図7及び図8の結果、光学顕微鏡レベルでは図7に示すようにいずれも膜質の良質な均一膜となっているが、電子顕微鏡レベルでは、図8に見られるように、アセトン分散液から得られた膜は微粒子が凝集してできた膜、DMAc溶液から得られた膜は均一膜であることが分かった。
これらの素子のトランジスタ特性をセミオートプローバー(ベクターセミコン社製、商品名、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent社製、商品名、4156C)を用いて常圧・窒素雰囲気下(グローブボックス中)で測定したところ、n型のトランジスタ特性を示す。キャリア移動度は、ドレイン電流Idを表わす式Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth2(式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す)により計算できる。
本発明の好ましい具体例として挙げたその他の例示化合物を用いた場合も、上記と同様にして有機トランジスタ素子を作製することができ、これらもn型のトランジスタ特性を示す。
比較例3
例示化合物1の代わりにF16CuPc(Aldrich社より購入し、昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、同様の測定条件でトランジスタ特性を調べたところ、全くトランジスタ特性を示さなかった。また、測定に用いた素子を光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察したところ、薄膜を形成していないことが分かった。
実施例4
(有機光電変換素子の作製)
ITO電極がパターニングされたガラス基板(2.5cm×2.5cm)を、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後、乾燥した。さらに、ITO電極表面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン処理を30分間行った。次に、ITO基板上にPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポリスチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品))をスピンコート(4000rpm、60秒間)し、120℃で10分間乾燥することにより、膜厚約50nmのバッファ層を形成させた。
グローブボックス(窒素雰囲気)中でP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、regioregular、Mw〜87000、Aldrich社製)6mgおよび例示化合物1 3mgをクロロホルム(スペクトルグレード)/アセトン(電子工業グレード)混合溶媒(体積比1:1)2mLに溶解させ、この溶液を5分間超音波照射した後、先のバッファ層の上にキャストし、シャーレで密閉してアセトン飽和蒸気下で乾燥させることで厚さ1μ以下の光電変換層を形成させた。この光電変換層の上に、アルミニウムを80nmの厚さになるように真空蒸着することにより金属電極を形成させた。真空を保ったままグローブボックスへと移し、窒素雰囲気下でガラス製の封止缶とUV硬化樹脂を用いて封止することにより、有効面積0.04cm2の有機光電変換素子を得た。
この得られた素子にソーラーシミュレーター(Oriel社製、150W簡易型)を用いてAM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光を照射し、電気化学アナライザー(BAS社製、商品名、ALSモデル660B)を用いてI−V特性を測定したところ、光照射により光電流が発生することがわかった。
この素子の光電変換層の吸収スペクトルを、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所製、商品名、UV−3600)を用いて測定した(図9)。図9に示すように、この有機光電変換素子の光電変換層は、紫外〜可視〜近赤外域におよぶ幅広い波長域で効率的に光を吸収することが分かった。このことから、本発明の有機光電変換素子は、太陽電池として高い性能を示すことがわかった。
本発明の好ましい具体例として挙げたその他の例示化合物を用いた場合も上記と同様にして有機光電変換素子を作製することができる。
比較例4
例示化合物1の代わりにF16CuPc(Aldrich社より購入し、昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例4と同様にして光電変換素子を作製し、同様の方法でI−V特性を測定しようと試みた。しかしながら、凹凸の大きな膜となってしまったため電気的にショートしてしまい、太陽電池としての特性を示さなかった。
以上のように、本発明の特定の構造を有するフタロシアニン化合物からなるn型有機半導体材料は、均一溶液または微粒子分散液とすることができ、これらの溶液または分散液を塗布・乾燥することにより簡便に良質な固体膜が得られ、各種有機電子デバイス(特に有機トランジスタ、有機光電変換素子)への適用に適することがわかった。
本発明の有機トランジスタ素子の構造を概略的に示す断面図である。 本発明の有機光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。 例示化合物1〜3、23、39のアセトン分散液の粒度分布測定結果を示すグラフである。 例示化合物1からなる塗布薄膜の表面の光学顕微鏡写真である。 本発明の化合物の溶液および塗布膜の吸収スペクトル測定結果を示す図である((a)例示化合物1、(b)例示化合物2、(c)例示化合物3、(d)例示化合物23、(e)例示化合物39)。 本発明で用いた有機トランジスタ特性測定用基板を概略的に示す断面図である。 例示化合物1を用いた有機トランジスタ素子の光学顕微鏡写真である(倍率500倍)。 例示化合物1を用いた有機トランジスタ素子の電子顕微鏡写真である(倍率10000倍)。 例示化合物1を用いた有機光電変換素子の光電変換層の吸収スペクトルを示す図である。
符号の説明
11 基板
12 ゲート電極
13 絶縁体層
14 有機半導体層
15a ソース電極
15b ドレイン電極
21 基板
22 電極
23 光電変換層
24 電極
31 基板
32 電極
33 絶縁体層
34a、34b 電極
35 有機半導体層

Claims (17)

  1. 下記一般式(Pc−1)で表される化合物からなるn型有機半導体材料。
    (式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは中心金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
  2. 前記一般式(Pc−1)で表される化合物が下記一般式(Pc−2)で表される化合物である、請求項1記載のn型有機半導体材料。
    (式中、XはF又はClを表し、MはSi、Ge又はSnのいずれかを表し、Rは炭素数1〜30の置換基を表す。)
  3. 前記の置換基Rにおける中心金属Mと結合する部分が−C又は−OSiである(ここで前記Rは−の側でMと結合する。)、請求項1又は2に記載のn型有機半導体材料。
  4. 前記中心金属MがSnである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料。
  5. 前記n型有機半導体材料が有機トランジスタ用n型有機半導体材料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料。
  6. 前記n型有機半導体材料が有機光電変換素子用n型有機半導体材料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料。
  7. 下記一般式(Pc−3)で表される化合物。
    (式中、XはF又はClを表し、Rは炭素数1〜30の置換基を表す。ただし、Rは、Snと結合する部分が−C又は−OSiである(ここで、前記Rは、−の側でSnと結合する。)。)
  8. 炭素数1〜30の置換基Rが1つ又は2つ金属原子Mに結合した化合物を中心金属源として環化反応を行う工程を含む、下記一般式(Pc−1)で表される化合物を製造する方法。
    (式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
  9. 下記一般式(Pc−1)で表される化合物を含む色素組成物であって、該色素組成物の示す吸収が主に前記化合物の吸収に由来するものである色素組成物。
    (式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
  10. 下記一般式(Pc−1)で表される化合物を質量濃度0.1〜100g/Lの範囲で含む溶液。
    (式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
  11. 下記一般式(Pc−1)で表される化合物を質量濃度0.1〜100g/Lの範囲で含む微粒子分散液。
    (式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
  12. 下記一般式(Pc−1)で表される化合物を含む薄膜。
    (式中、Qは電子求引性基が結合した芳香族炭化水素、または電子欠乏性の芳香族へテロ環を表す。Mは金属原子を表す。Rは炭素数1〜30の置換基を表し、nは1又は2である。)
  13. 請求項11記載の微粒子分散液を塗布・乾燥することにより得られる、請求項12記載の薄膜。
  14. 前記化合物を膜中に5質量%以上含む、請求項12又は13に記載の薄膜。
  15. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のn型有機半導体材料を用いてなる有機電子デバイス。
  16. 前記有機電子デバイスが有機トランジスタである請求項15記載の有機電子デバイス。
  17. 前記有機電子デバイスが有機光電変換素子である請求項15記載の有機電子デバイス。
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