JP5405719B2 - フタロシアニン化合物、並びにそれを用いた半導体及び電子素子 - Google Patents

フタロシアニン化合物、並びにそれを用いた半導体及び電子素子 Download PDF

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Description

本発明は、特定の構造をもつフッ素置換フタロシアニン化合物、フッ素置換フタロシアニン有機半導体、及び該化合物を含む薄膜有機半導体に関する。また、本発明は、該有機半導体よりなる電子素子、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、及び有機電界発光素子に関する。
ユビキタスな情報社会を迎え、いつでもどこでも使用できる情報端末が求められている。そのため、フレキシブル、軽量で安価な電子素子が望まれているが、従来のシリコンのような無機材料を用いる電子素子では、これらの要望に十分に対応できていない。そこで、近年、これらの要望に対応可能な有機材料を半導体等として用いた電子素子の研究が活発になされている。p型有機半導体は、乾式成膜法で薄膜の作製が可能なペンタセンや湿式成膜法で薄膜の作製が可能なP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))などが知られている。
また、n型有機半導体は乾式成膜法で薄膜の作成が可能なフラーレンや湿式成膜法で薄膜の作製が可能なPCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)が知られている。しかし、このものは、電子素子として動作させるには大気中での劣化を防止するために封止が必要になるなど、大気中での安定性の点で十分満足できるものではなかった。また、大気中での劣化の少ないヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン(F16CuPc)が知られているが、溶媒への溶解度が低く湿式成膜法での薄膜(本発明では、数nm〜数mm程度の厚さで、好ましくは数十nm〜数μm程度の厚さの膜をいう。)の作製には適さないという問題があった(非特許文献1、非特許文献2)。
従って、電子素子の動作時の大気中での劣化が少なく、湿式法(塗布法など)での薄膜の作製に適したn型有機半導体材料の開発が求められている。
また、有機半導体を光電変換材料として用いることにより、有機薄膜太陽電池などの有機光電変換素子が得られる。これらは、シリコンなどの無機半導体を用いた素子と比べて製造工程が容易であり、特に湿式成膜が可能な有機半導体を用いれば、低温、低コストで大面積の素子を作製できる可能性を秘めている。これまでに、例えば、P3HTとPCBMの混合膜を光電変換層として用いた有機薄膜太陽電池が報告されているが、シリコンを用いた素子に光電変換性能が及ばず、更なる性能の向上が求められている。有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率が低い原因の一つとしては、太陽から照射される光に対し、用いている材料の光吸収および光電変換可能な波長領域が狭く、特に長波長領域の光を利用できていないことが挙げられる(非特許文献3、4)。
従って、湿式成膜法(塗布法など)での成膜に適しており、長波長域まで光吸収および光電変換特性を示す有機半導体材料の開発が求められている。
工藤一浩 監修「有機トランジスタの動作性向上技術〔材料開発 作製法 素子設計〕」技術情報協会(2003年刊)p.48〜49 ケミストリー・オブ・マテリアルズ(Chemistry of Materials)16,p.4436−4451(2004) 上原赫・吉川暹監修「有機薄膜太陽電池の最新技術」シーエムシー出版(2005年刊行)第1〜8頁 エム・アール・エス・ビュレティン(MRS Bulletin),30,33−36(2005)
本発明の目的は、耐久性が高く湿式成膜法での前記のような薄膜を形成し得る有機半導体材料を提供することにある。また、別の目的は、長波長域まで吸収を有し、高効率の光電変換素子を提供することにある。
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
〔1〕下記一般式(PC−2)で表される化合物の少なくとも一種を含む有機半導体。
(式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
〔2〕下記一般式(PC−3)で表される化合物の少なくとも一種を含む有機半導体。
(式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R13〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基であり、これらのうち少なくとも一つが−SO 17 または−SO N(R 17 である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
〔3〕下記一般式(PC−2)で表される化合物。
(式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
〔4〕下記一般式(PC−3)で表される化合物。
(式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R13〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基であり、これらのうち少なくとも一つが−SO 17 または−SO N(R 17 である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
〔5〕〔3〕または〔4〕に記載の一般式(PC−2)及び(PC−3)のいずれかで表される化合物を含む薄膜有機半導体。
〔6〕〔1〕または〔2〕に記載の有機半導体を含んでなる電子素子。
〔7〕〔1〕または〔2〕に記載の有機半導体を含んでなる有機光電変換素子。
〔8〕〔1〕または〔2〕に記載の有機半導体を含んでなる有機電界効果トランジスタ。
〔9〕〔1〕または〔2〕に記載の有機半導体を含んでなる有機電界発光素子。
〔10〕〔3〕または〔4〕に記載の一般式(PC−2)及び(PC−3)のいずれかで表される化合物を含有する塗布液を用いて有機半導体薄膜を製造する方法。
本発明により、湿式成膜法による成膜が可能で、大気中でも半導体特性を示す有機半導体(好ましくはn型有機半導体)が提供され、さらに、これらを含む薄膜、及び各種の高性能な電子素子(電界効果トランジスタ(FET),光電変換素子等)が提供される。
以下に参考例及び本発明を詳細に説明する。
一般式(PC−1)[参考例]で表されるフタロシアニン化合物について説明する。
本発明において、前記一般式(PC−1)、(PC−1a)、(PC−2)又は(PC−3)についても、R1〜R16で示される特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はR1〜R16それ自体が置換されていなくてもよく、また、一種以上の(可能な最多数までの)別のさらに置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。つまり、本発明における化合物における置換基は、さらに置換されていてもよい。
このようなR1〜R16で示される置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といっても良い。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が例として挙げられる。
さらに詳しくは、Wは、下記の(1)〜(48)等を表す。
(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、(2−a)〜(2−e)なども包含するものである。
(2−a)アルキル基
好ましくは炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
(2−b)シクロアルキル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
(2−c)ビシクロアルキル基
好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)
(2−d)トリシクロアルキル基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のトリシクロアルキル基(例えば、1−アダマンチル)
(2−e)さらに環構造が多い多環シクロアルキル基
なお、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、(3−a)〜(3−c)を包含するものである。
(3−a)アルケニル基
好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)
(3−b)シクロアルケニル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)
(3−c)ビシクロアルケニル基
置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)
(4)アルキニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
(5)アリール基
好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
(6)複素環基
好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜50の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。
(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い)
(7)シアノ基
(8)ヒドロキシル基
(9)ニトロ基、
(10)カルボキシル基
(11)アルコキシ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)
(12)アリールオキシ基
好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
(13)シリルオキシ基
好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)
(14)ヘテロ環オキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)
(15)アシルオキシ基
好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)
(16)カルバモイルオキシ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)
(17)アルコキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)
(18)アリールオキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)
(19)アミノ基
好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
(20)アンモニオ基
好ましくはアンモニオ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)
(21)アシルアミノ基
好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)
(22)アミノカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ(例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)
(23)アルコキシカルボニルアミノ基
好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)
(24)アリールオキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)
(25)スルファモイルアミノ基
好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)
(26)アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基
好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)
(27)メルカプト基
(28)アルキルチオ基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
(29)アリールチオ基
好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
(30)ヘテロ環チオ基
好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
(31)スルファモイル基
好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)
(32)スルホ基
(33)アルキルもしくはアリールスルフィニル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
(34)アルキルもしくはアリールスルホニル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル
(35)アシル基
好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)
(36)アリールオキシカルボニル基
好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)
(37)アルコキシカルボニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)
(38)カルバモイル基
好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)
(39)アリール及びヘテロ環アゾ基
好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)
(40)イミド基
好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド
(41)ホスフィノ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
(42)ホスフィニル基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基(例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)
(43)ホスフィニルオキシ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)
(44)ホスフィニルアミノ基
好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)
(45)ホスフォ基
(46)シリル基
好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
(47)ヒドラジノ基
好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基(例えば、トリメチルヒドラジノ)
(48)ウレイド基
好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のウレイド基(例えばN,N−ジメチルウレイド)
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
前記一般式(PC−1)又は(PC−1a)において、R1〜R16は、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、これらのうち少なくとも二つは、二種類以上の置換基である。置換基としては、前述のWが挙げられる。二種類以上の置換基として、好ましくは少なくとも一種類が電子吸引基である場合で、より好ましくは少なくとも二種類が電子吸引基である場合である。電子吸引基である置換基の一種類として、好ましくはフッ素原子又は塩素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。したがって、R1〜R16のうち少なくとも一つがフッ素原子であり、少なくとも一つがフッ素原子以外の電子吸引基である場合が最も好ましく、これは前記一般式(PC−1a)で表される化合物に該当する。ここでいう電子吸引基とは、いかなるものでもよいが、例えばハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−CO−R、−CO−CO−R、−SO−R、−SO2−R、−C(=N−R’)−R、−S(=NR’)−R、−S(=NR’)2−R、−P(=O)R2、−O−R”、−S−R”、−N(−R’)−CO−R、−N(−R’)−SO−R、−N(−R’)−SO2−R、−N(−R’)−C(=N−R’)−R、−N(−R’)−S(=NR’)2−R、および−N(−R’)−P(=O)R2で表される基が挙げられる。ここでRは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、OH基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはSH基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R’は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、またはホスホリル基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R”はペルフルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、またはスルフィニル基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。
R、R’、R”で表される基は置換基(例えば、Wで示した置換基)でさらに置換されていてもよく、置換基の具体例としてはハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含む複素環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、およびシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)等が挙げられる。
一般式(PC−1)又は(PC−1a)における電子吸引基として好ましくは−L1−R17で表される基が用いられる。ここで、L1**−SO2***−SO3***−SO2N(−)2 ***−SO−***−CO−***−CON(−)2 ***−COO−***−COCO2*、および**−COCON(−)2 *で表される基の中から選ばれる基を表す。**はこの位置でフタロシアニン骨格と結合し、*はこの位置でR17と結合することを表す。R17が複数結合する場合、それぞれのR17は同一であっても異なっても良い。
1は好ましくは**−SO2***−SO2N(−)2 ***−CO−***−CON(−)2 *または**−COO−*で表される基が用いられ、より好ましくは**−SO2***−SO2N(−)2 *または**−CON(−)2 *で表される基が用いられ、特に好ましくは**−SO2*または**−SO2N(−)2 *で表される基が用いられる。
17は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。具体的には、前述のWのうちアルキル基、アリール基または複素環基の例として示したものが挙げられる。R17として好ましくはアルキル基、アリール基または複素環基である。R17がアルキル基、アリール基または複素環基の場合は、これらはさらに他の置換基(例えば、Wで示した置換基)で置換されていても良い。
17としてさらに好ましくはアルキル基またはアリール基が用いられ、特に好ましくはアルキル基が用いられる。R17は炭素数1〜30のものが用いられ、好ましくは1〜20ものが用いられ、より好ましくは1〜10ものが用いられる。また、R17は分岐のアルキル基を含む場合が、溶媒への溶解性が向上する点では好ましい。
1〜R16のうち少なくとも一つがフッ素原子であるが、好ましくはフッ素原子が2個以上の場合であり、さらに好ましくは4個以上の場合であり、特に好ましくは8個以上の場合であり、最も好ましくは12個の場合である。また、フッ素原子の数の上限は15個である。4個以上のフッ素原子を有する場合、これらは同一のベンゼン環上、すなわち、R1〜R4、R5〜R8、R9〜R12、又はR13〜R16のいずれかの群が全てフッ素原子で置換されている場合が好ましい。フッ素原子が4個以上の場合は、R1〜R4がフッ素原子である場合が好ましく、フッ素原子が8個以上の場合は、R1〜R4とR5〜R8、又はR1〜R4とR9〜R12がフッ素原子である場合が好ましく、フッ素原子が12個の場合は、R1〜R4とR5〜R8とR9〜R12がフッ素原子である場合が好ましい。
1〜R16のうち少なくとも一つがフッ素原子以外の電子吸引基であり、電子吸引基の数は1〜15個の範囲であればいずれでも良いが、好ましくは1〜4個である。また、電子吸引基はフッ素原子が置換しているベンゼン環上、すなわち、R1〜R4、R5〜R8、R9〜R12、又はR13〜R16のいずれかの同じ群に置換していても、別の群に置換していてもいずれでも良いが、好ましくは別の群に置換している場合である。
複数の電子吸引基を有する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、好ましくは同一の場合である。
一般に複数の置換基を有するフタロシアニン化合物には置換基の結合している位置の異なる位置異性体が存在しうる。本発明に用いられる一般式(PC−1)又は(PC−1a)で表される化合物においても例外ではなく、場合によっては数種類の位置異性体が考えられる。本発明においてはフタロシアニン化合物は単一の化合物として用いても良いが、位置異性体の混合物としてこともできる。位置異性体の混合物として用いる場合には、混合している位置異性体の数、それぞれの位置異性体における置換基の置換位置、および位置異性体の混合比率はいかなるものでもよい。
一般式(PC−1)又は(PC−1a)においてMは、金属原子、又はイソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する各々の水素原子を表す。Mが金属原子を表す場合は、安定な錯体を形成するものであれば金属はいかなるものでも良く、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Hg、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Pd、Cd、Sn、Pt、Pb、Sr、V、Mn、Ti、InまたはGaなどを使用することができる。金属原子には置換基が結合していてもよく、置換基としては後述のWを用いることができる。Mとして好ましくはMg、Ca、AlCl、SiCl2、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Sn、SnCl2、Pt、Pb、VO、MnまたはTiOが用いられ、より好ましくはFe、Co、Ni、CuまたはZnが用いられ、特に好ましくはCuが用いられる。なお、前記一般式(PC−1)においてMが水素原子である場合は、下記一般式(PC−1’)で表される。ここで、R1〜R16は、前記一般式(PC−1)におけるR1〜R16と同義である。
本発明において、前記一般式(PC−1)で表される化合物が前記一般式(PC−2)から選ばれる化合物である場合が好ましい。以下、前記一般式(PC−2)について説明する。
前記一般式(PC−2)中、Mは前記一般式(PC−1)におけるMと同義であり、好ましい範囲も同様である。R5〜R16は、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、R5〜R16は前記一般式(PC−1)におけるR5〜R16と同義であり、同様の置換基が挙げられ同様のものが好ましい。これらのうち少なくとも一つが−SO217または−SO2N(R17)2である。複数のR17は同一でも異なっていても良い。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。R17は前記一般式(PC−1)におけるR17と同義であり、同様の置換基が挙げられ同様のものが好ましい。−SO217または−SO2N(R17)2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、好ましくは同一の場合である。
前記一般式(PC−2)で表される化合物において、好ましい態様について説明する。
5〜R16の置換基として好ましくは、少なくとも一つがフッ素原子である場合であり、さらに好ましくは4個以上の場合であり、特に好ましくは8個の場合である。また、フッ素原子の数の上限は11個である。4個以上のフッ素原子を有する場合、これらは同一のベンゼン環上、すなわち、R5〜R8、R9〜R12、又はR13〜R16のいずれかの群が全てフッ素原子で置換されている場合が好ましい。フッ素原子が4個以上の場合は、R5〜R8又はR9〜R4がフッ素原子である場合が好ましく、フッ素原子が8個以上の場合は、R5〜R8とR9〜R12がフッ素原子である場合が好ましい。
前記一般式(PC−2)においてR5〜R16の置換基としてフッ素原子が4個以上である場合を、下記一般式(PC−2a)及び(PC−2b)に示す。下記一般式(PC−2a)及び(PC−2b)において、M及びR5〜R16は一般式(PC−1)におけるM及びR5〜R16と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(PC−2a)及び(PC−2b)において、R5〜R16のうち少なくとも一つが−SO217または−SO2N(R17)2であり、−SO217または−SO2N(R17)2の数は1〜12個の範囲であればいずれでも良いが、好ましくは1〜4個である。また、R5〜R16にフッ素原子が置換している場合、−SO217または−SO2N(R17)2は、フッ素原子が置換しているベンゼン環上、すなわち、R5〜R8、R9〜R12、又はR13〜R16のいずれかの同じ群に置換していても、別の群に置換していてもいずれでも良いが、好ましくは別の群に置換している場合である。
前述の一般式(PC−1)の場合と同様に、本発明の前記一般式(PC−2)で表される化合物は単一の化合物として用いても良いし、位置異性体の混合物として用いることもできる。位置異性体の混合物として用いる場合には、混合している位置異性体の数、それぞれの位置異性体における置換基の置換位置、および位置異性体の混合比率はいかなるものでも良い。
本発明において、前記一般式(PC−1)で表される化合物が前記一般式(PC−3)から選ばれる化合物である場合が好ましい。
前記一般式(PC−3)において、Mは前記一般式(PC−1)におけるMと同義であり、好ましい範囲も同様である。R13〜R16は、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、R13〜R16は前記一般式(PC−2)と同義であり、同様の置換基が挙げられ同様のものが好ましい。これらのうち少なくとも一つが−SO217または−SO2N(R17)2である。複数のR17は同一でも異なっていても良い。R17は、前記一般式(PC−1)と同義であり、同様の置換基が挙げられ同様のものが好ましい。−SO217または−SO2N(R17)2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、好ましくは同一の場合である。−SO217または−SO2N(R17)2の数は1〜4個の範囲であればいずれでも良い。
前述の一般式(PC−2)の場合と同様に、本発明の前記一般式(PC−3)で表される化合物は単一の化合物として用いても良いし、位置異性体の混合物として用いることもできる。位置異性体の混合物として用いる場合には、混合している位置異性体の数、それぞれの位置異性体における置換基の置換位置、および位置異性体の混合比率はいかなるものでも良い。
本発明の有機半導体は、前記一般式(PC−1)においてすべてのR1〜R16がフッ素原子である場合の化合物、すなわち下記式(PC−4)で表される化合物を実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、前記一般式(PC−1)および/または前記一般式(PC−2)および/または前記一般式(PC−3)で表される化合物と下記式(PC−4)で表される化合物の総量に対する下記式(PC−4)で表される化合物の含有量が50モル%以下であることを意味する。本発明の有機半導体において、下記一般式(PC−4)で表される化合物の前記含有量は40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることがさらに好ましい。
式中、Mは前記一般式(PC−1)におけるMと同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明の化合物の好ましい態様である、電子吸引的なフッ素原子に加え、電子吸引性と溶解性の付与能力を兼ね備えた電子吸引基を併せ持つフタロシアニン誘導体は、溶媒への溶解性が高いため湿式成膜法で薄膜の形成が可能であり、適度なエネルギーレベルを持つために特にn型半導体としての優れた特性を示し、大気中での安定性も高い。従来、これらの特性を全て満足するものはなかったが、本発明によりこれらを満足することが可能になった。
以下に本発明で使用される前記一般式(PC−1)、(PC−1a)、(PC−2)又は(PC−3)で表される化合物の例を示す。ただし本発明は以下の例に限定されるものではない。また、以下の化合物例のうち、一般式(P−2)、(P−3)、(P−5)又は(P−6)で表される化合物は位置異性体混合物を一つの化合物として表記している。
本発明の化合物のフタロシアニン環形成反応は、白井汪芳,小林長夫編・著「フタロシアニン−化学と機能−」アイピーシー社(1997年刊)の第1〜62頁、廣橋亮,坂本恵一,奥村映子編「機能性色素としてのフタロシアニン」(アイピーシー社,2004年刊,第29〜77頁)に準じて行うことができる。
フタロシアニン誘導体の代表的な合成方法としては、これらの文献に記載の、ワイラー法、フタロニトリル法、リチウム法、サブフタロシアニン法、及び塩素化フタロシアニン法が挙げられる。本発明においては、フタロニトリル法を好ましく用いることができる。異なる構造のイソインドリン環が1:3、2:2、又は3:1の比率のフタロシアニン誘導体を合成する場合、例えば二種以上のフタロニトリル誘導体を所望の比率で混合して反応させることにより、意図したイソインドリン環の比率をもつフタロシアニン誘導体を主生成物として含むフタロシアニン混合物を得ることができる。この方法は、サブフタロシアニン法に比べて反応の選択性は劣るが、比較的工程の短い合成法である。なお、1:3、又は3:1の比率のフタロシアニン誘導体を選択的に得るためには、例えば、ホウ素を中心として3つのイソインドリン環を持つサブフタロシアニン誘導体と異種の1,3−ジイミノイソインドリン誘導体等を反応させるサブフタロシアニン法を好ましく用いることができる。
フタロシアニン環形成反応において、いかなる反応条件を用いても良い。環形成反応においては、フタロシアニンの中心金属となる種々の金属を添加することが好ましいが、中心金属を持たないフタロシアニン誘導体を合成後に、所望の金属を導入しても良い。反応溶媒としては、いかなる溶媒を用いても良いが、好ましくは高沸点の溶媒である。また、環形成反応促進のために、酸又は塩基を用いることが好ましく、特に塩基を用いることが好ましい。最適な反応条件は、目的とするフタロシアニン誘導体の構造により異なるが、上記の文献に記載された具体的な反応条件を参考に設定することができる。
上記のフタロシアニン誘導体の合成に使用する原料としては、無水フタル酸、フタルイミド、無水フタル酸及びその塩、フタル酸ジアミド、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン等の誘導体を用いることができる。これらの原料は公知のいかなる方法で合成しても良い。
本発明の化合物の合成は、例えば、フッ素原子で置換されたフタロニトリルと、フッ素原子以外の電子吸引基で置換されたフタロニトリルとを反応させる方法を好ましく用いることができる。
以下で本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明における有機半導体とは、半導体の特性を示す有機材料のことである。無機材料と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型半導体と、電子をキャリアとして伝導するn型半導体がある。有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。移動度は高い方がよく、10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、10-5cm2/Vs以上であることがより好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
本発明で用いる電子素子はいかなるものでも良いが、薄膜の層構造を有するエレクトロニクス要素を用いた素子とすることが好ましい。本発明のエレクトロニクス要素を用いた半導体電子素子としては、例えば、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサー、有機整流素子,有機インバーター,情報記録素子が挙げられる。有機光電変換素子は光センサー用途、エネルギー変換用途のいずれにも用いることができる。好ましくは、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子であり、さらに好ましくは有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタであり、特に好ましくは有機光電変換素子である。以下、これらのものの好ましい態様について、代表的なものを図面を用いて詳しく説明するが、本発明はこれらの態様により限定されるものではない。
図1は本発明のエレクトロニクス要素を用いた有機電界効果トランジスタの構造を概略的に示す断面図である。図1のトランジスタは積層構造を基本構造として有するものであり、最下層に基板11(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN),ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面の一部に電極12を設け、さらに該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体層13の上面に有機半導体層14を設け、その上面の一部に二つの電極15aと15bとを隔離して配置している。電極12、電極15a、および電極15bの構成材料は、導電性を示すものであれば特に制限なく用いることができ、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子など、既知の導電性材料であれば特に制限することなく使用できる。なお、図1の構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、電極15aと15bが有機半導体層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。
ゲート幅(チャンネル幅)Wとゲート長(チャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの比W/Lが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
各層の厚さに特に制限はないが、より薄いトランジスタとする必要がある場合には、例えばトランジスタ全体の厚さを0.1〜0.5μmとすることが好ましく、そのために各層の厚さを10〜400nmとすることが好ましく、電極の厚さを10〜50nmとすることが好ましい。
絶縁層を構成する材料は必要な絶縁効果が得られれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料,アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。絶縁層13の上面は表面処理がなされていてもよく、例えば、二酸化ケイ素表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の塗布により表面処理した絶縁層を好ましく用いることができる。
素子を大気や水分から遮断し、素子の保存性を高めるために、素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素などの無機材料、パリレンなどの高分子材料などで封止しても良い。
図2は本発明のエレクトロニクス要素を用いた有機薄膜光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。図2の素子は積層構造を有するものであり、最下層に基板21(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面に電極層22を設け、さらにその上層としてp型有機半導体、及び/又はn型有機半導体を含む層23を設け、さらにその上面に電極層24を設けている。電極層22や24とp型有機半導体および/またはn型有機半導体を含む層23との間には、表面の平滑性を高めるバッファ層、ホールまたは電子の電極からの注入を促進するキャリア注入層、ホールまたは電子を阻止するキャリアブロック層などが含まれていても良い。
電極層22として用いる材料は、可視光または赤外光を透過し、導電性を示すものであれば特に制限はない。可視光または赤外光の透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。そのような材料としては、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物が好ましく、プロセス適性や平滑性の観点からITOまたはIZOが特に好ましい。
電極層24として用いる材料は、導電性を示すものであれば特に制限はないが、光利用効率を高める観点からは、光反射性の高い材料が好ましく、特に好ましいのはAl、Pt、W、Au、Ag、Ta、Cu、Cr、Mo、Ti、Ni、Pd、Znである。
各層の厚さに特に制限はなく、好ましい素子全体の厚さ、各層の厚さ、電極層の厚さなどは、上述のトランジスタのものと同様である。
素子の保存性を高めるためには、素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素などの無機材料、パリレンなどの高分子材料などで封止し、素子を大気や水分から遮断することが好ましい。
光電変換素子をエネルギー変換用途の太陽電池として用いる場合、太陽光を効率良く吸収しエネルギー変換効率を高めるために、600nm以上の長波長域まで、特に好ましくは700nm以上の近赤外領域まで光を吸収し光電変換する材料を用いることが好ましい。本発明の化合物は、600nm以上、及び/又は700nm以上の長波長域まで吸収を有し光電変換する点で好ましい。
本発明の有機半導体化合物を含む薄膜を形成する方法は、いかなる方法でも良いが、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子ビームエピタキシー(MBE)法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等の化学気相蒸着(CVD)法が挙げられる。湿式成膜法は、有機化合物を溶解させることができる溶媒中に溶解させ、その溶液を用いて薄膜化する方法である。塗布方法としては、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、Langmuir−Blodgett(LB)法等の通常の方法を用いることができ、スピンコート法およびインクジェット法を用いることが好ましい。
本発明においては、湿式成膜法により成膜することが好ましい。本発明の有機半導体は、塗布法により、厚さ数mm〜数nm以下に形成できる。膜厚は、電子素子の種類などにより、特に制限はないが、好ましくは5nm〜50μm、より好ましくは20nm〜500nmである。
湿式成膜法を用いて有機半導体薄膜層を形成する場合、層を形成する材料あるいはその材料とバインダー樹脂を適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,2−ジクロロベンゼンなどの炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイドなどの極性溶媒)および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。その塗布液中の本発明のフタロシアニン化合物中の濃度は、好ましくは、0.1〜80質量%、より好ましくは0.5〜10質量%とすることにより、任意の厚さの膜を形成できる。
有機薄膜層に樹脂バインダーを用いることも可能である。有機薄膜層の樹脂バインダーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等の絶縁性ポリマーおよびこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン等の導電性ポリマーを挙げることができる。樹脂バインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。薄膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造の樹脂バインダーや光伝導性ポリマー、導電性ポリマーが好ましい。この樹脂バインダーは使わない方が有機半導体の特性上好ましいが、目的によっては使用することもある。この場合の樹脂バインダーの使用量は、特に制限はないが、有機半導体薄膜層中、好ましくは0.1〜10質量%で用いられる。
本発明の材料は、特に湿式成膜法での薄膜作製に適している。湿式成膜で薄膜を作製するためには、上記で挙げた溶媒等に材料が溶解することが必要であるが、単に溶解するだけでは不十分である。通常、乾式成膜法で薄膜を作製する材料でも、溶媒にある程度溶解させることができる。しかし、湿式成膜法では、材料を溶媒に溶解させて薄膜にした後で、溶媒が蒸発して薄膜が形成する過程があり、湿式成膜法に適さない材料は結晶性が高いものが多いため、この過程で結晶化してしまい良好な薄膜を形成させることが困難である。本発明の材料は、このような結晶化が起こりにくい点でも優れている。
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(1−1)本発明の例示化合物(P−1−1)、(P−2−1)、(P−3−1)の調製
合成中間体(4−n−オクチルチオフタロニトリル(A−1))の調製
反応容器を水浴で冷却しながら4−ニトロフタロニトリル17.3g(100mmol)、1−オクタンチオール15.7g(110mmol)、炭酸カリウム20.7g(150mmol)、およびN,N−ジメチルアセトアミド80mlを混合し、室温で7時間、40℃で1時間攪拌した。反応混合物を3%塩酸600mlに注ぎ、析出物を吸引ろ過によりろ別して水洗、乾燥した後、メタノール190ml/水9ml混合溶媒から再結晶させることにより白色粉末の合成中間体(A−1)を18.5g(収率68%)(融点=37〜38℃)得た。
1HNMR(300MHz、CDCl3)δ=7.63(d、1H)、7.55(d、1H)、7.48(dd、1H)、3.00(t、2H)、1.77−1.67(m、2H)、1.51−1.25(m、10H)、0.88(t、3H)。
合成中間体(4−n−オクチルスルホニルフタロニトリル(A−2))の調製
4−n−オクチルチオフタロニトリル9.5g(35mmol)をエタノール35ml/酢酸1ml混合溶媒に溶解させた後、タングステン(VI)酸ナトリウム二水和物0.32g(0.97mmol)および30%過酸化水素水9.9g(88mmol)を添加し、65℃で1.5時間かくはんした。室温まで放冷した後、析出物を吸引ろ過によりろ別して水洗、乾燥し、イソプロパノールから再結晶することにより白色粉末の合成中間体(A−2)を9.7g(収率91%)(融点=70〜71℃)得た。
1HNMR(300MHz、CDCl3)δ=8.34(d、1H)、8.26(dd、1H)、8.05(d、1H)、3.14(t、2H)、1.78−1.67(m、2H)、1.42−1.20(m、10H)、0.87(t、3H)。
本発明の例示化合物(P−1−1)、(P−2−1)、(P−3−1)の調製
窒素雰囲気下、テトラフルオロフタロニトリル3.0g(15mmol)、合成中間体(B)1.5g(5.0mmol)、および塩化銅(I)0.99g(10mmol)を1−メチル−2−ピロリドン50mlに溶解させ、180℃で3時間かくはんした。室温まで放冷した後、反応混合物を5%塩酸200mlに注ぐと、青色結晶が析出した。この結晶を吸引ろ過によりろ別して、水で洗浄した後、アセトニトリルで洗浄し、乾燥させた。さらにアセトニトリル50mlとともに1時間煮沸させ、室温まで放冷した後、析出物を吸引ろ過によりろ別して、乾燥させて例示化合物(P−1−1)、(P−2−1)、(P−3−1)とヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン(F16CuPc)の混合物(PP−1)2.2g(収率45%)(融点>200℃)を得た。
液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)により求めたフタロシアニン誘導体の混合比率は、面積比で(P−1−1):(P−2−1):(P−3−1):(F16CuPc)=54.0:26.4:4.1:15.5である(検出波長254nmでの(P−1−1)、(P−2−1)、(P−3−1)、(F16CuPc)のモル吸収強度はほぼ同じであるので、AREA面積から求めた比率はモル比と等しくなる)。
測定条件:TSK gel ODS−80Ts(2mmφ×150mm)、溶離液:0分から15分まではA/B(容積比3:7)混合溶液、15分から20分まではA/B(同15:85)(溶離液A:水、溶離液B:テトラヒドロフラン/メタノール(同9:1)混合溶液)、流量0.2ml/分、検出波長254nm、大気圧化学イオン化法(APCI)−質量分析(MS)にて構造決定(MSにより、保持時間=8.185分のピークは(F16CuPc)、保持時間=11.676分のピークは(P−1−1)、保持時間=13.905分のピークは(P−2−1)、保持時間=14.350分のピークは(P−3−1)であることを確認した)、0分から4分まではブランクでピークが検出されたため4分からの測定とした。
図3〜6に、本発明の化合物を含む混合物(PP−1)の液体クロマトグラフィー図(図3)、マススペクトル図(図4)(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)−飛行時間型(TOF)−質量分析計(MS)で測定)、IR図(図5)、NMP溶液中の電子(吸収)スペクトル図(図6)を示す。
(1−2)本発明の化合物を含む混合物(PP−1)の電子スペクトルと電界効果トランジスタ(FET)特性
(PP−1)5mgを1,2−ジクロロベンゼン1ml/N,N−ジメチルアセトアミド1ml混合溶媒に溶解させ、この溶液をホットプレートで80℃に加熱したガラス基板上にキャストすることで、厚さ1mm以下で厚みが均一な電子スペクトル測定用薄膜試料を得た。また、同様に80℃に加熱したFET特性測定用基板上にキャストすることで、厚さ1mm以下の厚みが均一なFET特性測定用試料を得た。FET特性測定用基板として、図7に示したものを使用した。電極として金(ゲート幅100000μm、ゲート長100μm)、絶縁膜としてSiO2(膜厚100nm)を備えたボトムコンタクト構造の基板を用いた。
電子スペクトルは紫外可視分光光度計(島津製作所製、MPC−2200/UV−2400、商品名)を用いて反射で測定した。FET特性はセミオートプローバー(ベクターセミコン製、AX−2000、商品名)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent製、4156C、商品名)を用いて常圧・大気下、および常圧・窒素雰囲気下(グローブボックス中)で測定した。
図8に大気下で測定したFET特性(ドレイン電圧−ドレイン電流特性)を示す。本発明の化合物を含む混合物(PP−1)はn型半導体として良好な特性を示した。キャリア移動度μは、ドレイン電流Idを表わす式Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth2を用いて算出した。式中、Lはゲート長であり、Wはゲート幅である。また、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧である。また、オン/オフ比は、最大および最小ドレイン電流値(Id)の比より算出した。本発明の化合物を含む混合物(PP−1)の大気下での移動度は、μ=1.2×10-5cm2/Vsで、ドレイン電圧+10V、ゲート電圧+30Vで動作時のオン/オフ比は130だった。FET素子を光学顕微鏡で観察したところ、本発明の素子は、上記のような薄膜で均一な有機薄膜を形成していた(図10(a))。図10(a)及び(b)の写真中の縦縞は、ソース電極およびドレイン電極を示す(図14においても同様。)。
図11にガラス基板を用いて反射で測定した本発明の化合物を含む混合物(PP−1)の薄膜の電子スペクトルを示す。フタロシアニン構造のモノマー吸収に由来す680nm付近の吸収の他に、近赤外領域(700〜800nm)に会合体の形成に由来する長波吸収が観測された。この結果から本発明の化合物の高い分子会合性が示唆され、この会合性が良好なFET特性などの高い電子機能の発現に寄与していると考えられる。
図12に、上記の本発明のFET特性測定用試料を用いて、大気下でのゲート電圧−ドレイン電流特性(ドレイン電圧=+10V)の繰り返し特性を、ドレイン電圧+10Vで10回繰り返し測定し、曲線a〜jで示した。図中の、a、b、c、d、e、f、g、h、i、jは、各々、第1回、第2回、第3回、・・・・、第10回の測定結果を示す。本発明の化合物は、測定回数毎に移動度の低下をもたらしたが、10回の繰り返し試験を行ってもなお移動度が9.7×10-6cm2/Vsと、19%低下するにとどまり、大気下での繰り返し動作安定性に優れていることが分かった。
また、窒素雰囲気下でFET特性を測定したところ、飽和領域から求めたキャリア移動度μ=1.5×10-4cm2/Vsで、ドレイン電圧+10V、ゲート電圧+100Vで動作時のオン/オフ比は540だった。
(1−3)本発明の化合物を含む混合物(PP−1)を用いた素子の光電変換特性
ITO電極(100nm)がパターニングされたガラス基板を、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後、乾燥した。さらに、ITO電極表面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン処理を行なった。次に、ITO基板上にPEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/PSS(ポリスチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品)、商品名)をスピンコート(4000rpm、30秒間)により塗布することにより、膜厚約50nmの薄膜を形成させた。
120℃で1時間乾燥させた後、p型有機半導体としてP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、regioregular、Mw〜87000、Aldrich製)(0.5質量%)、n型有機半導体として本発明の化合物を含む混合物(PP−1)(0.5質量%)を1,2−ジクロロベンゼン/N,N−ジメチルアセトアミド(1:1)混合溶媒に溶解させ、この混合溶液をスピンコート(1000rpm、60秒間)することにより厚さ20〜30nmの有機光電変換層を形成させた。こうして得られた均一混合膜たる有機薄膜層の上に、LiFを1nm、アルミニウムを80nmの厚さになるように順次真空蒸着することにより金属電極を形成させた。真空を保ったままグローブボックスへと移し、窒素雰囲気下で金属の封止缶とUV硬化樹脂を用いて封止することにより、有効面積0.04cm2の光電変換膜(素子)を得て、これを試料(PV−1)とした。光電変換特性の測定は、キセノンランプ(浜松ホトニクス社製、L2195、商品名)を光源とした白色光(0.05mW/cm2)を、光電変換膜のITO電極側から直径1.5mmの照射範囲で照射しながら、ソースメータ(Keithley社製、6430、商品名)を備えた分光感度測定装置(住友重機械アドバンストマシナリー社製)を用いて行った。
以上の方法で得られた試料(PV−1)の光電変換スペクトルを図15に示す。この測定により、本発明の化合物を含む混合物(PP−1)は可視域から近赤外域まで幅広い波長域で光電変換特性を示すことが分かった。
(比較例1)
本発明の化合物を含む混合物(PP−1)の代わりにF16CuPc(Aldrich社より購入し、昇華精製したもの)を用いた以外は、(実施例1−2)と同様の方法でFET素子を作製し、同様の測定条件でFET特性を調べたところ、大気下においても窒素雰囲気下においても全くFET特性を示さなかった(図9)。測定に用いた素子を光学顕微鏡で観察したところ、F16CuPcの塗布物は溶解性の低さおよび結晶化のために薄膜を形成していないことが分かった(図10(b))。
(比較例2)
本発明の化合物を含む混合物(PP−1)の代わりに湿式成膜法での薄膜作製が可能なn型有機半導体PCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)を用いた以外は実施例1の(1−2)と同様にFET素子を作製し、大気下でFET特性を測定したところ、全くFET特性を示さなかった(図13)。測定に用いた素子を光学顕微鏡で観察したところ、厚さ1mm以下の結晶化していない薄膜が形成されており(図14)、FET特性を示さなかった理由は、PCBMの大気下での動作安定性が低く、大気下では特性が劣化してしまうためと考えられる。
(比較例3)
n型有機半導体として本発明の化合物を含む混合物(PP−1)の代わりにPCBMを用い、溶解する溶媒として1,2−ジクロロベンゼン/N,N−ジメチルアセトアミド(1:1)混合溶媒の代わりに1,2−ジクロロベンゼンを用いた以外は、実施例1の(1−3)と同様に作製して得られた光電変換素子を比較用試料(PV−2)とした。PV−2の光電変換スペクトルを図13に示す。PCBMを用いた場合に比べ、本発明の化合物を含む混合物(PP−1)を用いることで長波長領域の光電変換特性が大きく向上することが分かった。
(実施例2)
本発明の例示化合物(P−1−2)、(P−2−2)、(P−3−2)の調製
合成中間体(A−2)の代わりに、合成中間体(A−2)と同様にして合成した4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)スルホニルフタロニトリルを用いたこと以外は実施例1の(1−1)に準じた操作により、本発明の例示化合物(P−1−2)、(P−2−2)、(P−3−2)とF16CuPcの混合物(PP−2)を収率50%で得た。LCMSにより求めたフタロシアニン誘導体の混合比率は、面積比で(P−1−2):(P−2−2):(P−3−2):(F16CuPc)=33:47:0:20。
本発明の化合物を含む混合物(PP−2)を用いて実施例1の(1−2)と同様の方法でFET素子を作製し、窒素雰囲気下で測定したFET特性はμ=2.0×10-5cm2/Vs、ドレイン電圧+10V、ゲート電圧+100Vで動作時のオン/オフ比=4600であった。また、基板としてガラス基板の代わりに石英基板を用い、反射ではなく吸収で測定すること以外は(実施例1−2)と同様の方法で測定した薄膜の電子スペクトルでは図11に示すように近赤外領域(700〜800nm)まで及ぶ長波吸収が観測された。
(実施例3)
本発明の例示化合物(P−1−3)、(P−2−3)、(P−3−3)の調製
合成中間体(A−2)の代わりに、合成中間体(A−2)と同様にして合成した4−t−テトラデシルスルホニルフタロニトリルを用いたこと以外は実施例1の(1−1)に準じた操作により、本発明の例示化合物(P−1−3)、(P−2−3)、(P−3−3)とF16CuPcの混合物(PP−3)を収率76%で得た。LCMSにより求めたフタロシアニン誘導体の混合比率は、面積比で(P−1−3):(P−2−3):(P−3−3):(F16CuPc)=46:13:0:41。
本発明の化合物を含む混合物(PP−3)を用いて実施例1の(1−2)と同様の方法でFET素子を作製し、窒素雰囲気下で測定したFET特性はμ=2.2×10-6cm2/Vs、ドレイン電圧+10V、ゲート電圧+100Vで動作時のオン/オフ比=34であった。また、(実施例2)と同様の方法で測定した薄膜の電子スペクトルでは図11に示すように近赤外領域(700〜800nm)まで及ぶ長波吸収が観測された。
(実施例4)
本発明の例示化合物(P−1−3)、(P−2−3)、(P−3−3)の調製
合成中間体(A−2)の代わりに、合成中間体(A−2)と同様にして合成した4−(2−エチルヘキシル)スルホニルフタロニトリルを用いたこと以外は実施例1の(1−1)に準じた操作により、本発明の例示化合物(P−1−4)、(P−2−4)、(P−3−4)とF16CuPcの混合物(PP−4)を収率43%で得た。LCMSにより求めたフタロシアニン誘導体の混合比率は、面積比で(P−1−4):(P−2−4):(P−3−4):(F16CuPc)=46:30:6:18。
本発明の化合物を含む混合物(PP−4)を用いて実施例1の(1−2)と同様の方法でFET素子を作製し、窒素雰囲気下で測定したFET特性はμ=9.5×10-7cm2/Vs、ドレイン電圧+10V、ゲート電圧+100Vで動作時のオン/オフ比=15であった。また、実施例2と同様の方法で測定した薄膜の電子スペクトルでは図11に示すように近赤外領域(700〜800nm)まで及ぶ長波吸収が観測された。
(実施例5)
本発明の例示化合物(P−4−1)、(P−5−1)、(P−6−1)の調製
合成中間体(A−2)の代わりに、合成中間体(A−2)と同様にして合成した3−n−オクチルスルホニルフタロニトリルを用いたこと以外は実施例1の(1−1)に準じた操作により、本発明の例示化合物(P−4−1)、(P−5−1)、(P−6−1)とF16CuPcの混合物(PP−5)を収率52%で得た。LCMSにより求めたフタロシアニン誘導体の混合比率は、面積比で(P−4−1):(P−5−1):(P−6−1):(F16CuPc)=61:23:0:16。
本発明の化合物を含む混合物(PP−5)を用いて実施例1の(1−2)と同様の方法でFET素子を作製し、窒素雰囲気下で測定したFET特性はμ=1.9×10-6cm2/Vs、ドレイン電圧+10V、ゲート電圧+100Vで動作時のオン/オフ比=1800であった。また、実施例2と同様の方法で測定した薄膜の電子スペクトルでは図11に示すように近赤外領域(700〜800nm)まで及ぶ長波吸収が観測された。
表3に、本発明の化合物を含む混合物(PP−1〜PP−5)を用いて作製したFET素子のFET特性およびオン/オフ比の結果についてまとめて示す。
本発明の有機電界効果トランジスタの構造を概略的に示す断面図である。 本発明の有機薄膜光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。 本発明の化合物(P−1−1)、(P−2−1)及び(P−3−1)の液体クロマトグラフィーを示す図である。 本発明の化合物(P−1−1)、(P−2−1)及び(P−3−1)のマススペクトルを示す図である。 本発明の化合物(P−1−1)、(P−2−1)及び(P−3−1)のIRを示す図である。 本発明の化合物(P−1−1)、(P−2−1)及び(P−3−1)の電子吸収スペクトルを示す図である(λmax=674nm,ε=7.58×104)。 電解効果トランジスタ(FET)特性測定用基板を示す図である。 本発明の化合物(P−1−1)、(P−2−1)及び(P−3−1)のドレイン電圧−ドレイン電流特性を示す図である。(a)は、ドレイン電圧−ドレイン電流特性を示し、(b)は、ゲート電圧−ドレイン電流特性(ドレイン電圧=+30V)を示す。 比較試料F16CuPcの電解効果トランジスタ(FET)測定を示す図である。 本発明のFET素子と比較試料の薄膜を顕微鏡観察した図である。 本発明の化合物の反射電子スペクトルを示す図である。 光電変換スペクトルを示す図である。 n型有機半導体のPCBMを用いたFET特性を測定した結果を示す図である。 本発明の化合物を用いた薄膜の光学顕微鏡による観察写真を示す図である。 実施例3の試料(PV−1)および試料(PV−2)の光電変換スペクトルを示す図である。 本発明の化合物の電子スペクトルを示す図である。
符号の説明
11 基板
12 電極
13 絶縁体層
14 有機物層(半導体有機物層)
15a、15b 電極
21 基板
22 電極
23 光電変換層
24 電極
31 基板
32 電極
33 絶縁体層
34a、34b 電極
35 有機物層(半導体有機物層)

Claims (10)

  1. 下記一般式(PC−2)で表される化合物の少なくとも一種を含む有機半導体。
    (式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
  2. 下記一般式(PC−3)で表される化合物の少なくとも一種を含む有機半導体。
    (式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R13〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基であり、これらのうち少なくとも一つが−SO 17 または−SO N(R 17 である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
  3. 下記一般式(PC−2)で表される化合物。
    (式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
  4. 下記一般式(PC−3)で表される化合物。
    (式中、Mは、金属原子、又は水素原子(水素原子の場合は、イソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する。)を表す。R13〜R16は、それぞれ独立して水素原子あるいは−SO17または−SON(R17で表される置換基であり、これらのうち少なくとも一つが−SO 17 または−SO N(R 17 である。R17は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基である。)
  5. 請求項3または4に記載の前記一般式(PC−2)及び(PC−3)のいずれかで表される化合物を含む薄膜有機半導体。
  6. 請求項1または2に記載の有機半導体を含んでなる電子素子。
  7. 請求項1または2に記載の有機半導体を含んでなる有機光電変換素子。
  8. 請求項1または2に記載の有機半導体を含んでなる有機電界効果トランジスタ。
  9. 請求項1または2に記載の有機半導体を含んでなる有機電界発光素子。
  10. 請求項3または4に記載の前記一般式(PC−2)及び(PC−3)のいずれかで表される化合物を含有する塗布液を用いて有機半導体薄膜を製造する方法。
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