JP2009088483A - 有機半導体膜およびその製造方法 - Google Patents

有機半導体膜およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液プロセスでの素子作製に適した溶媒可溶性を有しながら、成膜後に化学的安定性および半導体動作安定性が高く良好な半導体特性を示す、特定の置換基を有する化合物を用いて得られる有機半導体膜、およびその製造方法、該半導体膜を用いた有機電子デバイスを提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物を基板上に成膜する工程、及び該化合物から前記置換基を脱離させる工程を含む有機半導体膜の製造方法、並びにこれにより得られる有機半導体膜、有機電子デバイス。
Figure 2009088483

(式中、Rは水素原子以外の置換基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体膜およびその製造方法に関し、特定の置換基を有するπ共役系化合物を用いて有機半導体膜を製造する方法に関する。
有機半導体材料を用いたデバイスは、従来のシリコンなどの無機半導体材料を用いたデバイスと比べて簡単なプロセスにより製造でき、さらに、分子構造を変化させることで容易に材料特性を変化させることが可能であるため材料のバリエーションが豊富であり、無機半導体材料では成し得なかったような機能や素子を実現することが可能になると考えられ、近年盛んに研究されている。特に、溶液を基板上に塗布する工程いわゆる溶液プロセスにより素子作製が可能な有機半導体材料は、低コスト生産や大面積化が容易であるため、大いに期待されている(非特許文献1)。
有機半導体材料は高分子材料と低分子材料に大別される。
ポリチオフェン誘導体P3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))に代表される高分子材料は、溶媒可溶性(溶解性)や塗布成膜性に優れているが、高純度化が困難なことや、分子量に分布が生じてしまうこと、分子構造の立体規則性等の不完全部分に由来する膜中での構造欠陥が性能を制限する要因になるなどの理由から、現在までに性能や安定性の観点で十分満足できる材料は見出されていない。
これに対し、ペンタセン、オリゴチオフェン、フタロシアニンなどに代表される低分子材料は、昇華精製や再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの様々な精製法が適用できるため高純度化が可能であり、分子構造が定まっているため秩序の高い結晶構造を取りやすく、高い特性を示すものが多く知られている。
しかしながら、これまでに報告されている比較的特性が良好な低分子材料は、溶媒可溶性に乏しく、成膜には製造コストの高い真空プロセス(真空条件下での成膜方法)により成膜しなければならないものが一般的である。例えば、ペンタセンは、真空蒸着法により成膜することでアモルファスシリコンを凌ぐ非常に高いキャリア移動度やオン−オフ比を示すが、汎用溶媒に対する溶解性が乏しく、いわゆる溶液プロセスでの成膜に適していない。これまでに見出されている、比較的良好な半導体特性を示し、かつ溶液プロセスで成膜可能な有機半導体材料はごく限られている。
一方、有機半導体材料の溶媒可溶性を向上させるために有機半導体骨格にアルキル基などの置換基を導入する方法が知られている。しかし、置換基の導入は、しばしば分子同士の間の配列やパッキングを阻害し、半導体特性の低下につながる。
この問題を解決し、溶液プロセス適性と半導体特性を両立すべく、これまでに溶媒への溶解性が高いペンタセンやポルフィリンの前駆体を溶液プロセスで成膜し、その後に熱などの外部刺激を与えることで半導体へと変換し、電界効果トランジスタを作製する方法が報告されている(非特許文献2、特許文献1)。しかし、これらの例では、いずれも半導体前駆体や処理後に得られる半導体の化学的安定性や動作安定性などの観点で改善が求められていた。
特開2003−304014号公報 Chemical Reviews,107,1296−1323(2007) Advanced Materials,11,480−483(1999)
本発明は、上記の技術的背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶液プロセスでの素子作製に適した溶媒可溶性を有しながら、成膜後に化学的安定性および半導体動作安定性が高く良好な半導体特性を示す、特定の置換基を有する化合物を用いて得られる有機半導体膜、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、以上のような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来とは異なる特定の置換基を有するπ共役系化合物を有機半導体の前駆体として用いることにより、基板上への成膜が容易で、かつ得られる膜に熱などの外部刺激を加えることにより置換基の脱離反応が効率的に進行し、化学的安定性および半導体動作安定性が高く良好な半導体特性を示す有機半導体膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
[1]下記一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物を基板上に成膜する工程、及び該化合物から前記置換基を脱離させる工程を含むことを特徴とする有機半導体膜の製造方法。
Figure 2009088483
(式中、Rは水素原子以外の置換基を表す。)
[2]前記化合物が下記一般式(II)で表される化合物である、[1]項に記載の有機半導体膜の製造方法。
Figure 2009088483
(式中、Mは、金属原子または水素原子を表す。Mが水素原子を表す場合、2つの水素原子がN〜Nのいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合する。Qは、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQは同一でも異なっていてもよい。Rは水素原子以外の置換基を表す。nは自然数である。nが2以上の場合、複数の−SO基は同一でも異なっていてもよい。)
[3]前記化合物がフタロシアニン化合物である、[2]項に記載の有機半導体膜の製造方法。
[4]前記の化合物を基板上に成膜する工程が、前記化合物を溶媒に溶解させた溶液を基板上に塗布乾燥して成膜する工程である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法。
[5]前記の置換基を脱離させる工程が熱処理である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法により得られる有機半導体膜。
[7][6]項に記載の有機半導体膜を含む有機電子デバイス。
[8][6]項に記載の有機半導体膜を含む有機電界効果トランジスタ。
[9][6]項に記載の有機半導体膜を含む有機光電変換素子。
本発明の方法により、溶液プロセスによる成膜が可能であり、化学的安定性および半導体動作安定性が高く良好な半導体特性を示す有機半導体膜を低コストで効率的に製造することができる。
本発明の有機半導体膜およびこれを用いた電子デバイス(特に電界効果トランジスタ(FET))は、有機半導体材料が高純度であり、半導体動作安定性が高く、良好な半導体特性を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機半導体膜の製造方法は、前記の一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物(以下、「本発明に用いられる化合物」という。)を基板上に成膜する工程、及び該化合物から前記置換基を脱離させる工程を含む。
[π共役系化合物]
本発明におけるπ型共役系化合物としては、広いπ共役平面を有する化合物であればいかなるものでもよいが、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、フラン環、チオフェン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環などの芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環が2つ以上、縮環された、および/または共有結合で連結されており、それらの芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環がそれぞれ有するπ電子が、縮環及び/又は連結による相互作用によって縮環及び/又は連結環に非局在化した構造であることが好ましい。縮環された及び/又は共有結合で連結された芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環の数は、1〜20個が好ましく、2〜12個がより好ましい。
本発明におけるπ型共役系化合物の具体例としては、テトラセン、ペンタセン、トリフェニレン、ヘキサベンゾコロネンなどの縮合多環化合物、クォーターチオフェンやセキシチオフェンなどのヘテロ環オリゴマー、フタロシアニン類、ポルフィリン類などが挙げられる。
また、本発明におけるπ型共役系化合物は溶媒不溶性であり、下記一般式(I)で表される置換基を該化合物に置換させることによって溶媒に可溶化することができる。ここで、溶媒不溶性とは、該溶媒に対して、該溶剤を加熱還流した後に室温まで冷却した状態で1質量%未満の溶解度を有することと定義する。好ましくは0.5質量%未満であり、より好ましくは0.1質量%未満である。また、溶媒に可溶とは、該溶媒に対して、該溶剤を加熱還流した後に室温まで冷却した状態で1質量%以上の溶解度を有する化合物と定義する。好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。
(一般式(I)で表される置換基)
本発明に用いられる化合物は、下記一般式(I)で表される置換基を有する。
一般式(I)で表される置換基について説明する。
Figure 2009088483
前記一般式(I)において、Rは水素以外の置換基を表す。Rで表される置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基等の環状構造を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基等の環状構造を含む。)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
さらに詳しくは、Rで表される置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。これらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。これらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、
アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、
カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、
アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。より具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。また、Rはさらに置換基によって置換されていても良い。
で表される置換基として好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、5又は6員の置換もしくは無置換のヘテロ環基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基である。さらに好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基である。より好ましくは、t−ブチル基、s−ブチル基、i−プロピル基、置換または無置換のアミノ基、フェニル基のいずれかであり、最も好ましくはt−ブチル基である。
分子内に有する前記一般式(I)で表される置換基の数に特に制限はない。溶媒可溶性や成膜性の観点からは、前記置換基の数が多いほど有利であるが、その一方、半導体特性の観点からは、置換基の脱離前後での体積変化が小さい方が膜中での分子のパッキング変化が小さくなるため好ましい。そのため、分子内に有する前記一般式(I)で表される置換基の数は1個〜8個であることが好ましく、1個〜4個であることがより好ましい。前記一般式(I)で表される置換基を分子内に複数有する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I)で表される置換基は熱などの外部刺激により容易にその一部または全部を脱離させることができる。また、一般式(I)で表される置換基は電子求引性であるため、前記π共役系化合物の酸化耐性が高くなり、化学的に安定なπ共役系化合物となる。
(一般式(II)で表される化合物)
本発明に用いられる化合物は、化合物の化学的安定性および半導体動作安定性、半導体特性の観点からは、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましく、フタロシアニン化合物であることが特に好ましい。ここで、フタロシアニン化合物は、フタロシアニン骨格を有する化合物をいい、フタロシアニンに置換基が結合した誘導体である。
Figure 2009088483
前記一般式(II)中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQは同一でも異なっていてもよい。ここで、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環としては4〜10員環が好ましく、5〜7員環がより好ましく、5又は6員環がさらに好ましく、6員環が特に好ましい。
Qにより形成される芳香族ヘテロ環に含まれるヘテロ原子は特に限定されないが、窒素、酸素、硫黄、セレン、ケイ素、ゲルマニウム又はリンが好ましく、窒素、酸素又は硫黄がさらに好ましく、窒素が特に好ましい。Qにより形成される芳香族ヘテロ環ひとつに含有されるヘテロ原子数は特に限定されないが、1〜3が好ましい。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環の具体例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環は、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述のRで挙げたものが適用できる。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環はさらに他の環と縮合環を形成してもよく、縮合する環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。上記の置換基および縮合環は、さらに置換基を有していてもよく、さらに他の環と縮合していてもよい。置換基としては、前述のRとして挙げたものが適用できる。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、フラン環、チオフェン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環であり、さらに好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、チオフェン環であり、特に好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環である。
前記一般式(II)中、π共役系化合物骨格に結合している−SO基は、分子内のどこに結合していてもよいが、好ましくはQにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環に置換している。Rは、前記の一般式(I)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。nは自然数である。nが2以上の場合、複数の−SO基は、同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(II)中、Mは金属原子または水素原子を表す。Mが水素原子を表す場合、2つの水素原子がN〜Nのいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合する。
Mが金属原子を表す場合、安定な錯体を形成するものであれば金属はいかなるものでも良く、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Hg、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Pd、Cd、Sn、Pt、Pb、Sr、V、Mn、Ti、In又はGaなどを使用することができる。金属原子には置換基が結合していてもよく、置換基としては前述のRで挙げたものを用いることができる。
Mとして好ましくはMg、Ca、AlCl、SiCl、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Sn、SnCl、Pt、Pb、V=O、Mn又はTi=Oが用いられ、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu又はZnが用いられ、特に好ましくはCu又はZnが用いられる。なお、Mが水素原子である場合も好ましく、Mが水素原子である場合、前記一般式(II)は下記一般式(II’)で表される。
Figure 2009088483
前記一般式(II’)において、Q、R及びnは、前記一般式(II)におけるQ、R及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
(異性体の存在)
一般に、複数の置換基を有するフタロシアニン化合物には、置換基の結合している位置の異なる位置異性体が存在し得る。本発明に用いられる化合物においても例外ではなく、場合によっては数種類の位置異性体が考えられる。本発明においては、フタロシアニン化合物は単一の化合物として用いても良いし、位置異性体の混合物として用いることもできる。位置異性体の混合物として用いる場合には、混合している位置異性体の数、それぞれの位置異性体における置換基の置換位置、および位置異性体の混合比率はいかなるものでも良い。
(純度)
高いキャリア移動度を示すための条件として、有機半導体材料が高純度であることが挙げられる。有機半導体膜中に不純物が微量でも含まれると、不純物がキャリアのトラップとなり、あるいは結晶構造に欠陥をもたらすため、移動度の低下を引き起こす。このような観点からは、不純物の濃度が低いことが望ましく、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下である場合である。材料の純度は、例えば液体クロマトグラフィー(HPLC)により調べることができる。
(好ましい具体例)
以下に、本発明に用いられる化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらの例示した化合物に限定されるわけではない。下記の化合物1〜10では、位置異性体混合物を一つの化合物として表記している。
例示した化合物中、Mは2価の金属または水素原子を表す。Mが金属を表す場合、Mとしては、例えば、Cu、Zn、Fe、Co、Ni等の単一金属の他、3価以上の金属と他の元素が結合して2価になっている原子団、例えば、AlCl、Ti=O、V=O、SiCl等も含まれる。また、Mが水素原子の場合、2つの水素原子がイソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環のいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合する。
Figure 2009088483
Figure 2009088483
置換基が少なくとも1つ脱離することにより、化合物1、2、5、6、7、8、9、10はp型有機半導体へ、化合物3、4、11はn型有機半導体へと変換される。
さらに、本発明に用いられるフタロシアニン化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらの例示した化合物に限定されるものではない。
下記表1〜4において、例えば「Rα1/Rα2」という表記は「Rα1又はRα2のいずれか一方」という意味を表しており、従ってこの表記のある化合物は置換位置異性体の混合物である。また、Rα1〜Rα8又はRβ1〜Rβ8が無置換の場合、即ち水素原子が置換している場合は表記を省略している。置換基の*印は、下記一般式(V)で表されるフタロシアニン誘導体への結合部位を示す。Buはブチル基を、Meはメチル基を表す。
Figure 2009088483
Figure 2009088483
Figure 2009088483
Figure 2009088483
Figure 2009088483
(合成法)
フタロシアニン化合物の合成は、白井汪芳,小林長夫編・著「フタロシアニン−化学と機能−」(アイピーシー社,1997年刊)の第1〜62頁、廣橋亮,坂本恵一,奥村映子編「機能性色素としてのフタロシアニン」(アイピーシー社,2004年刊)の第29〜77頁、特開2005−119165号公報等に記載の方法に準じて行うことができる。
フタロシアニン化合物の代表的な合成方法としては、これらの文献に記載のワイラー法、フタロニトリル法、リチウム法、サブフタロシアニン法、および塩素化フタロシアニン法などが挙げられる。具体的には、t−ブチルスルホニルフタロニトリル等のような前記一般式(I)で表される置換基を有する化合物を原料として、フタロシアニン環形成反応を行うことが好ましい。本発明においては、フタロシアニン環形成反応においていかなる反応条件を用いても良い。環形成反応においては、フタロシアニンの中心金属となる種々の金属を添加することが好ましいが、中心金属を持たないフタロシアニン化合物を合成後に、所望の金属を導入しても良い。反応溶媒としては、いかなる溶媒を用いても良いが、好ましくは高沸点の溶媒である。また、環形成反応促進のために、酸または塩基を用いても良い。最適な反応条件は、目的とするフタロシアニン化合物の構造により異なるが、上記の文献に記載された具体的な反応条件を参考に設定することができる。
上記のフタロシアニン化合物の合成に使用する原料としては、無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸およびその塩、フタル酸ジアミド、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリンなどの誘導体を用いることができる。これらの原料を、必要に応じて適宜一般式(I)で表される置換基に置換し、上記段落[0054]、[0055]に記載の方法で合成することにより、上記フタロシアニン化合物を得ることができる。また、これらの一般式(I)で表される置換基で置換された原料は公知のいかなる方法で合成しても良い。具体的には、例えば、3−t−ブチルスルホニルフタロニトリルと中心金属源となる金属塩とを、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)存在下、ブタノール中で加熱することにより、例示化合物1を得ることができる。
また、本発明に用いられる、フタロシアニン化合物以外のπ共役系化合物骨格を有する化合物については、「Organic Field−Effect Transistors」(CRC Press,2007年刊)の159頁−228頁の記載、もしくはそこで引用されている文献等を参照して調製することができる。
[成膜工程]
本発明では、まず、前記の一般式(I)で表される置換基を有する化合物を基板上に成膜する。
(基板)
本発明においては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなどの種々の材料を基板として用いることができ、用途に応じていかなる基板を選択してもよい。例えば、フレキシブルな素子の用途の場合にはフレキシブル基板を用いることができる。また、基板の厚さは特に限定されない。
(成膜方法)
本発明において、前記化合物を基板上に成膜する方法はいかなる方法でも良いが、溶液プロセスにより成膜することが特に好ましい。
溶液プロセスによる成膜とは、ここでは有機化合物を溶解させることができる溶媒中に溶解させ、その溶液を基板上に塗布し乾燥させて成膜する方法を指す。具体的には、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、ラングミュア−ブロジェット(Langmuir−Blodgett)(LB)法などの通常の方法を用いることができる。本発明においては、キャスト法、スピンコート法、およびインクジェット法を用いることがさらに好ましい。このような溶液プロセスにより、表面が平滑で大面積の有機半導体膜を低コストで生産することが可能となる。
(塗布条件)
溶液プロセスにより基板上に成膜する場合、層を形成する材料を適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン等の炭化水素系溶媒;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒;例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒;例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶媒など)及び/又は水に溶解又は分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。
その塗布液中の本発明に用いられる化合物の濃度は、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは0.1〜10質量%であり、これにより任意の厚さの膜を形成できる。
また、成膜の際に樹脂バインダーを用いることも可能である。この場合、層を形成する材料とバインダー樹脂とを前述の適当な溶媒に溶解させ、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。樹脂バインダーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等の絶縁性ポリマー、およびこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン等の導電性ポリマーなどを挙げることができる。樹脂バインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用しても良い。薄膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造の樹脂バインダーや光伝導性ポリマー、導電性ポリマーが好ましい。
樹脂バインダーは使わない方が有機半導体の特性上好ましいが、目的によっては使用することもある。この場合の樹脂バインダーの使用量は、特に制限はないが、本発明の有機半導体膜中、好ましくは0.1〜30質量%で用いられる。
用途によっては別の半導体材料や添加剤を添加した混合溶液を塗布し、複数の材料種からなるブレンド膜としてもよい。例えば、光電変換層を作製する場合、別の半導体材料との混合溶液を用いることが好ましく、用いる別の半導体材料としては、本発明で用いる化合物の置換基が脱離した後の極性(p型、n型)とは別の極性のものを混合することが好ましい。
混合する別の半導体材料がp型材料である場合、ホール輸送性を示す材料であれば有機半導体材料、無機半導体材料のうちいかなる材料を用いてもよいが、好ましくはp型π共役高分子(例えば、置換または無置換のポリチオフェン、ポリセレノフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリアニリンなど)、縮合多環化合物(例えば、置換または無置換のアントラセン、テトラセン、ペンタセン、アントラジチオフェン、ヘキサベンゾコロネンなど)、トリアリールアミン化合物(例えば、m−MTDATA、2−TNATA、NPD、TPD、mCP、CBPなど)、ヘテロ5員環化合物(例えば、置換または無置換のオリゴチオフェン、TTFなど)、フタロシアニン化合物(置換または無置換の各種中心金属のフタロシアニン、ナフタロシアニン、アントラシアニン、テトラピラジノポルフィラジン)、ポルフィリン化合物(置換または無置換の各種中心金属のポルフィリン)、p型無機半導体(例えば、Si1−X(0≦X≦1)、CuI、CuS、GaAs、ZnTe、CuO、CuS、CuSCN、CuF、CuCl、CuBr、CuInSe、CuInS、CuAlSe、CuGaSe、CuGaS、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi、MoO、Crなどの無機酸化物)のいずれかであり、より好ましくはp型π共役高分子、縮合多環化合物、トリアリールアミン化合物、ヘテロ5員環化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物のいずれかであり、さらに好ましくは、p型π共役高分子である。
混合する別の半導体材料がn型材料である場合、ホール輸送性を有するものであれば有機半導体材料、無機半導体材料のうち、いかなるものでもよいが、好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、TCNQ化合物、n型π共役高分子、n型無機半導体であり、より好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、π共役高分子であり、特に好ましくはフラーレン化合物、π共役高分子である。本発明において、フラーレン化合物とは、置換または無置換のフラーレンを指し、フラーレンとしてはC60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C96、C116、C180、C240、C540などのいずれでもよいが、好ましくは置換または無置換のC60、C70、C86であり、特に好ましくはPCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)およびその類縁体(C60部分をC70、C86等に置換したもの、置換基のベンゼン環を他の芳香環またはヘテロ環に置換したもの、メチルエステルをn−ブチルエステル、i−ブチルエステル等に置換したもの)である。電子欠乏性フタロシアニン類とは、電子求引基が4つ以上結合した各種中心金属のフタロシアニン(F16MPc、FPc−S8など)、ナフタロシアニン、アントラシアニン、置換または無置換のテトラピラジノポルフィラジンなどである。ナフタレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ナフタレンビスイミド化合物(NTCDI)、ペリノン顔料(Pigment Orange 43、Pigment Red 194など)である。ペリレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、ペリレンビスイミド化合物(PTCDI)、ベンゾイミダゾール縮環体(PV)である。TCNQ化合物とは、置換または無置換のTCNQおよび、TCNQのベンゼン環部分を別の芳香環やヘテロ環に置き換えたものであり、例えば、TCNQ、TCAQ、TCN3Tなどである。無機半導体とは、電子輸送性を有するものであればいかなるものでもよいが、例えばTiO、TiSrO、ZnO、Nb、SnO、WO、Si、SiO、CdS、CdSe、V、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO、FeS、PbS、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、LiF、CaFなどである。n型有機半導体材料の特に好ましい例を以下に示す。
なお、式中のRとしては、いかなるものでも構わないが、水素原子、置換基または無置換で分岐または直鎖のアルキル基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8のもの)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14のもの)のいずれかであることが好ましい。
Figure 2009088483
複数の材料種の混合溶液を用いる場合、混合する材料種のうち、本発明に用いられる化合物が10〜99.9質量%であることが好ましく、20〜99質量%であることがより好ましく、30〜99質量%であることがさらに好ましい。
また、成膜の際、基板を加熱または冷却してもよく、基板の温度を変化させることで膜質や膜中での分子のパッキングを制御することが可能である。基板の温度としては特に制限はないが、好ましくは−200℃〜400℃、より好ましくは−100℃〜300℃、さらに好ましくは0℃〜200℃である。
本発明に用いられる前記の一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物は、特に溶液プロセスによる成膜に適している。本発明では、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子ビームエピタキシー(MBE)法などの物理気相成長法、あるいはプラズマ重合などの化学気相蒸着(CVD)法などの真空プロセスにより成膜することも可能であるが、これらは製造コストが高く、膜表面の平滑性に劣るため好ましくない。また、溶液プロセスで成膜するためには、上記で挙げた溶媒などに材料が溶解することが必要であるが、単に溶解するだけでは不十分である。通常、真空プロセスで成膜する材料でも、溶媒にある程度溶解させることができる。しかし、溶液プロセスでは、材料を溶媒に溶解させて塗布した後で、溶媒が蒸発して薄膜が形成する過程がある。ここで、溶液プロセスに適さない材料は、結晶性の高いものが多いため、この過程で結晶化してしまい、良好な薄膜を形成させることが困難である。これに対し、本発明に用いられる前記の一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物は、このような結晶化が起こりにくい点でも優れている。
前記化合物を含有する溶液の塗布量は、溶媒の種類や溶液の濃度などによって異なるが、形成される有機半導体膜の膜厚が後述の範囲内となるように適宜決定される。
[置換基脱離工程]
前記の一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物を基板上に成膜した後、該化合物から前記置換基を脱離させる。
前記一般式(I)で表される置換基の脱離反応は、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上に加熱することで引き起こすことができる。加熱温度の上限は好ましくは500℃以下、より好ましくは450℃以下、さらに好ましくは400℃以下である。高温であるほど反応時間は短く、低温であるほど脱離反応に必要な時間は長くなる。
有機半導体膜の用途によっては、加熱温度や加熱時間を変えることで、前記一般式(I)で表される置換基の一部のみを脱離させて、有機半導体膜の特性(例えば移動度)を調整することも可能である。前記一般式(I)で表される置換基のうち、脱離させる割合は、好ましくは30%〜100%、より好ましくは40%〜100%、さらに好ましくは50%〜100%である。
加熱にはヒーターを用いた伝熱による加熱の他、赤外線ランプや、化合物が吸収する波長の光を照射することを利用してもよい。また、前記の一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物の膜の近傍に光を吸収する層を設け、光をこの層で吸収させることにより加熱してもよい。これらの加熱は、窒素やアルゴン、真空中などの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[有機半導体材料]
本発明における有機半導体材料とは、半導体の特性を示す有機材料のことである。無機材料からなる半導体の場合と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型有機半導体と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体がある。有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。用途にもよるが、一般に移動度は高い方がよく、10−7cm/Vs以上であることが好ましく、10−6cm/Vs以上であることがより好ましく、10−5cm/Vs以上であることがさらに好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
(有機半導体膜の後処理)
作製された有機半導体膜は、後処理により特性を調整することができる。例えば、加熱処理や溶媒蒸気への暴露により膜のモルホロジーや膜中での分子のパッキングを変化させることで特性を向上させることが可能である。また、酸化性または還元性のガスや溶媒、物質などにさらす、あるいはこれらを混合することで酸化あるいは還元反応を起こし、膜中でのキャリア密度を調整することができる。
(膜厚)
有機半導体膜の膜厚は、特に制限されず、用いられる電子デバイスの種類などにより異なるが、好ましくは5nm〜50μm、より好ましくは10nm〜5μm、さらに好ましくは20nm〜500nmである。
[有機電子デバイス]
本発明の有機電子デバイスは、前記の方法により得られた有機半導体膜を含む。ここで、有機電子デバイスとは、有機半導体を含有しかつ2つ以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、化学物質などにより制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場などを発生させるデバイスである。例としては、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子などが挙げられる。有機光電変換素子は光センサ用途、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。これらの中で、好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子、有機電界発光素子であり、より好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子であり、特に好ましくは有機電界効果トランジスタである。
(有機電界効果トランジスタ)
本発明の有機電子デバイスの好ましい一実施態様である有機電界効果トランジスタの素子構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機半導体膜を用いた有機電界効果トランジスタ素子の構造を概略的に示す断面図である。図1のトランジスタは積層構造を基本構造として有するものであり、最下層に基板11(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面の一部に電極12を設け、さらに該電極12を覆い、かつ電極12以外の部分で基板11と接するように絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体層13の上面に有機半導体層14を設け、その上面の一部に2つの電極15aと15bとを隔離して配置している。
電極12、電極15a及び電極15bの構成材料は、導電性を示すものであれば特に制限なく用いることができ、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子など、既知の導電性材料であれば特に制限することなく使用できる。なお、図1に示した構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、図2に示すように電極15a及び15bが有機半導体層14の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。
ゲート幅(チャンネル幅)W及びゲート長(チャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの比W/Lが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
各層の厚さに特に制限はないが、より薄いトランジスタとする必要がある場合には、例えばトランジスタ全体の厚さを0.1〜0.5μmとすることが好ましく、そのために各層の厚さを10〜400nmとすることが好ましく、電極の厚さを10〜50nmとすることが好ましい。
絶縁層13を構成する材料は、必要な絶縁効果が得られれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料、アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。絶縁層13の上面は表面処理がなされていてもよく、例えば、二酸化ケイ素表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の塗布により表面処理した絶縁層を好ましく用いることができる。
(封止)
素子を大気や水分から遮断し、素子の保存性を高めるために、素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素やアルミナなどの無機材料、パリレンなどの高分子材料などで封止しても良い。
[有機光電変換素子]
図2−2は本発明の有機半導体材料を用いた代表的な有機光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。図2−2の素子は積層構造を有するものであり、最下層に基板21を配置し、その上面に電極層22を設け、さらにその上層に、前記の方法により得られた有機半導体膜からなる有機光電変換層23を設け、さらにその上面に電極層24を設けている。電極層22や24と有機光電変換層23との間には、図2−2中には表記されていないが、表面の平滑性を高めるバッファ層、ホールまたは電子の電極からの注入を促進するキャリア注入層、ホールまたは電子を輸送するキャリア輸送層、ホールまたは電子を阻止するキャリアブロック層など(1つの層が前記複数の役割を兼ねることもある)が含まれていても良い。本発明においては、電極層と光電変換層との間に用いるこれらの層を、その役割によらず全てバッファ層という言葉で表すことにする。なお、電極層や各層は必ずしも平面でなくてもよく、大きな凹凸を有していたり、三次元的な形状(例えば、くし型)であっても良い。
基板21として用いる材料は、可視光または赤外光を透過するものであれば特に制限はない。可視光または赤外光の透過率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。このような材料の例としては、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなどが挙げられる。厚みは特に制限はない。
電極層22として用いる材料は、可視光または赤外光を透過し、導電性を示すものであれば特に制限はない。可視光または赤外光の透過率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。そのような材料としては、ITO、IZO、SnO、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物が好ましく、プロセス適性や平滑性の観点からITOまたはIZOが特に好ましい。膜厚に制限はないが、1nm〜200nmであることが好ましく、5nm〜100nmであることがより好ましい。電極22が構造自立性を有するものである場合、基板11は必ずしも必要ではなく、電極22が基板21を兼ねる場合は、膜厚は前述の厚みより厚くてもよい。
有機光電変換層を構成する材料は、本発明で用いる化合物(または本発明で用いる化合物から置換基の一部または全部が脱離した化合物)単独でもよいし、別の半導体材料を組み合わせて用いてもよいが、別の半導体材料を組み合わせて用いることが好ましい。別の半導体材料を組み合わせて使用する場合の成分、組成等は前述の通りである。
バッファ層として用いられる材料はキャリアを輸送する能力のある材料であれば有機材料および無機材料のいかなるものを用いても良いが、好ましくはアモルファス性のものである。ホール輸送性のバッファ材料としてはいかなるものでも良いが、好ましくは導電性高分子(例えばPEDOT:PSS)、p型π共役系高分子、トリアリールアミン化合物、p型無機半導体であり、より好ましくは導電性高分子、トリアリールアミン化合物である。電子輸送性のバッファ材料としてはいかなるものでも良いが、好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、n型π共役高分子、金属錯体化合物(例えばAlq、BAlqなど)、バソクプロイン、n型無機半導体、より好ましくは、ナフタレンテトラカルボニル化合物、金属錯体化合物、バソクプロイン、n型無機半導体である。
電極層24として用いる材料は、導電性を示すものであれば特に制限はないが、光利用効率を高める観点からは、光反射性の高い材料が好ましく、Al、Pt、W、Au、Ag、Ta、Cu、Cr、Mo、Ti、Ni、Pd、Znが好ましく、Al、Pt、Au、Agがより好ましい。電極層24の膜厚は、特に制限はないが、1nm〜1μmであることが好ましく、5nm〜500nmであることがより好ましい。
素子の保存性を高めるためには、素子が不活性雰囲気を保てるよう、封止することが好ましく、好ましい封止用材料としては金属、ガラス、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、パリレンなどの高分子材料が挙げられる。封止の際に、乾燥剤等を封入しても良い。
本発明の有機薄膜光電変換素子は、エネルギー変換用途(有機薄膜太陽電池)として用いても良いし、光センサ(固体撮像素子等)として用いても良い。エネルギー変換用途で用いる場合、本発明の有機薄膜光電変換素子を単独で用いても良いし、他の有機薄膜光電変換素子と積層(タンデム)しても良い。タンデムの方法については、Applied Physics Letters,2004,85,5757−5759.に詳細に記載されており、参考にできる。光センサとして用いる場合には、S/N比を向上させるため、電極12と電極14の間にバイアスを印加して信号を読み出すことが好ましく、この場合、光電変換層にかけるバイアスは1.0×10V/cm以上1.0×10V/cm以下であることが好ましい。有機薄膜光電変換素子を用いた固体撮像素子としては、特開2003−234460、特開2003−332551、特開2005−268609などに詳細に記載されており、参考にできる。
前記の一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物を有機半導体の前駆体として用いることにより、基板上への成膜が容易で、かつ、こうして成膜したものに熱などの外部刺激を加えることにより置換基の脱離反応が効率的に進行し、化学的安定性および半導体動作安定性が高く良好な半導体特性を示す有機半導体膜が得られる。本発明の有機半導体膜およびこれを用いた電子デバイス(特に電界効果トランジスタ(FET)、有機光電変換素子)は、高純度であり、半導体動作安定性が高く、良好な半導体特性を示す。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特開2005−119165号公報に記載の色素化合物(I−1)の合成法に従って、化合物1a(前記化合物1においてM=Cuの化合物)を合成した。α−t−ブチルスルホニルフタロニトリル6.21g、ヘキサメチルジシラザン10.5ml、ジメチルホルムアミド6.4ml、臭化亜鉛1.40gを混合し、100℃で8時間攪拌することで化合物1b(前記化合物1においてM=Znの化合物)を4.00g合成した。α−t−ブチルスルホニルフタロニトリル20.0g、N,N’−ジメチルエチレンジアミン2.2g、N−メチルピロリドン25mlを混合し、160℃で8時間攪拌することで化合物1c(前記化合物1においてM=Hの化合物)を3.50g合成した。液体クロマトグラフィー(HPLC;カラム:TSK−gel ODS−80Ts(東ソー製、商品名)、4.6×150mm、溶離液:THF/HO=47/53(AcOH,NEt各0.1%)、検出波長254nmおよび675nm)により、化合物1a、化合物1b、化合物1cの純度が99%以上であることを確認した。化合物7a(M=Znの化合物)、化合物7b(M=Hの化合物)はFrontier Scientific社より購入した。
(TG/DTA測定)
化合物1aについて熱分析(TG/DTA測定)を行った。TG/DTA測定は、Seiko Instruments Inc.製 EXSTAR6000(商品名)を用い、N気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/分で昇温を行い、質量減少率を求めた。測定結果を図3−1に示す。図3−1は、化合物1aのTG/DTA測定結果を示すグラフである。図3−1中、一番上の曲線は、温度に対する質量変化(TG)を示し、一番下の曲線は、温度に対する熱の出入り(エンタルピー変化)(DTA)を示し、真中の曲線は、TGの時間当たりの変化量(微分値)(DTG)を示す。
図3−1中の一番上の曲線から、200℃を越えたあたりから徐々に質量減少が起こり、340℃位までの間に約50%程度の質量減少が起きたことがわかった。この質量減少は、化合物1aにおける置換基(−SOC(CH基)の質量分に相当する。また、図3−1中の一番下の曲線から、約240℃付近から吸熱し始め、340℃程度まで吸熱が起きたことがわかった。これらの結果から、加熱により化合物1aから置換基が脱離したことが分かった。
(MALDI−TOF−MS測定)
窒素気流下、10℃/分の昇温速度で400℃まで加熱した前後の化合物1aについて、それぞれマトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析(MALDI−TOF−MS)測定を行った。MALDI−TOF−MS測定は、Applied Biosystems社製Voyager−DE PRO(商品名)を使用し、マトリックスとしてα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(東京化成社製)を用いていずれもポジモードで行った。スペクトル測定結果を図4に示す。図4(a)は化合物1aの加熱処理前のMALDI−TOF−MSスペクトル測定結果を示すグラフであり、図4(b)は化合物1aの加熱処理後のMALDI−TOF−MSスペクトル測定結果を示すグラフである。
加熱処理前の状態を示す図4(a)では、化合物1aの分子量に相当する1056([M]+1)のピークが見られたが、加熱処理後の状態を示す図4(b)では、このピークが消失し、新たに無置換の銅フタロシアニン(CuPc:C3216CuN)の分子量に相当する575([M])のピークが現れることがわかった。この結果から、化合物1aが加熱により無置換の銅フタロシアニンに変換されたことが分かった。
(X線回折測定)
窒素気流下、10℃/分の昇温速度で400℃まで加熱した前後の化合物1aについて、X線回折測定を行った。X線回折測定は、Rigaku社製X−ray DIFFRACTOMETER RINT−2500(商品名)を使用した。測定結果を図5に示す。
図5の結果から明らかなように、加熱前にはアモルファス固体だった化合物1aが、加熱後には結晶化していることが分かった。
以上の測定結果から、アモルファス固体状の化合物1aは、加熱によって、結晶性の無置換の銅フタロシアニンに変換されることが分かった。
化合物1aと同様に化合物1b、化合物1c、化合物7a、化合物7bについて熱分析(TG/DTA測定)を行った結果をそれぞれ図3−2、3−3、3−4、3−5に示す。いずれの化合物においても、加熱により置換基(−SOC(CH基または−SOH基)の質量分に相当する重量減少が観測された。
化合物1aと同様に化合物1b、化合物1c、化合物7a、化合物7bについて400℃まで加熱した前後でMALDI−TOF−MS測定を行った。加熱前にはそれぞれの分子量に相当する1057([M+H])、994(M)、896(M)、834(M)が観測されたのに対し、加熱処理後にはいずれも前記ピークが消失し、新たに576(ZnPc:C3216Znの分子量に相当)、514(HPc:C3218の分子量に相当)、576(ZnPc:C3216Znの分子量に相当)、514(HPc:C3218の分子量に相当)のピークが観測された。
以上の結果から、化合物1aと同様に加熱処理により化合物1b、化合物1c、化合物7a、化合物7bの置換基が脱離し、それぞれ無置換のZnPc、HPc、ZnPc、HPcへと変換されることが分かった。
実施例1
(吸収スペクトル測定用薄膜試料およびFET特性測定用試料の作製)
化合物1a(1mg)をクロロホルム(1mL)に溶解させ、この溶液を石英基板上にキャストすることで、厚さ1μm以下で厚みが均一な吸収スペクトル測定用薄膜試料を得た。
また、同様にFET特性測定用基板上にキャストすることで、厚さ1μm以下の厚みが均一なFET特性測定用試料を得た。FET特性測定用基板としては、図2−1に示したボトムコンタクト型の構成のものを使用した。ソースおよびドレイン電極としてくし型に配置されたクロム/金(ゲート幅W=100000μm、ゲート長L=100μm)、絶縁膜としてSiO(膜厚200nm)を備えたボトムコンタクト構造のシリコン基板を用いた。
(FET特性の測定)
まず、上記のFET特性測定用試料についてFET特性(ゲート電圧100V印加時のドレイン電圧−ドレイン電流特性)を測定した。FET特性はセミオートプローバー(ベクターセミコン製、商品名、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent製、商品名、4156C)を用いて常圧・窒素雰囲気下(グローブボックス中)で測定した。測定結果を図6(a)に示す。
図6(a)から明らかなように、加熱処理前の試料では、FET特性を全く示さなかった。この時の有機膜を偏光光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察したところ、均一なアモルファス膜が形成されていることが確認できた。
次に、上記のFET特性測定用試料について窒素雰囲気下300℃で5分間加熱処理した後にFET特性を測定した。測定結果を図6(b)に示す。
図6(b)から明らかなように、加熱処理後の試料では、良好なp型の半導体特性を示した。ドレイン電流Iを表わす式I=(W/2L)μC(V−Vth(式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Cは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す。)を用いてキャリア移動度μを算出すると、3.1×10−5cm/Vsであった。また、ドレイン電圧−100V印加時ゲート電圧−ドレイン電流特性における最大および最小ドレイン電流値(I)の比より算出したオン/オフ比は、5×10であった(ゲート電圧−100V時)。1ヶ月間大気中に放置した後、同様の測定を行ったところ、移動度の変化量は5%以内であり、大気下での安定性が高いことが分かった。
(吸収スペクトルの測定)
まず、上記の吸収スペクトル測定用薄膜試料について吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルは紫外可視分光光度計(島津製作所製、商品名、MPC−2200/UV−2400)を用いて測定した。次に、該試料について窒素雰囲気下300℃で5分間加熱処理した後に同様にして吸収スペクトルを測定した。測定結果を図8に示す。
図8から明らかなように、加熱処理前の試料では、スペクトル形状が溶液の吸収スペクトルに類似していることから、膜中で分子同士がほとんど分子間相互作用していないことが分かった(λmax=675nm)。一方、加熱処理後の試料では、加熱処理により置換基が脱離し、膜中での分子同士の分子間相互作用が増大していることが分かった(λmax=742nm)。
実施例2
化合物1aの代わりに化合物1bを用いた以外は実施例1と同様にしてFET特性を調べたところ、化合物1aと同様に、加熱前には全くFET特性を示さず、加熱処理後には良好なp型半導体特性を示した。移動度は4.0×10−7cm/Vsだった。
実施例3
化合物1aの代わりに化合物1cを用いた以外は実施例1と同様にしてFET特性を調べたところ、化合物1aと同様に、加熱前には全くFET特性を示さず、加熱処理後には良好なp型半導体特性を示した。移動度は9.1×10−6cm/Vsだった。
実施例4
塗布溶液として、化合物1a(1mL)のクロロホルム(1mL)溶液を用いる代わりに化合物7aの純水(1mL)溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてFET特性を調べたところ、化合物1aと同様に、加熱前には全くFET特性を示さず、加熱処理後には良好なp型半導体特性を示した。移動度は1.1×10−7cm/Vsだった。
実施例5
塗布溶液として、化合物1a(1mL)のクロロホルム(1mL)溶液を用いる代わりに化合物7aの純水(1mL)溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてFET特性を調べたところ、化合物1aと同様に、加熱前には全くFET特性を示さず、加熱処理後には良好なp型半導体特性を示した。移動度は2.7×10−6cm/Vsだった。
比較例1
化合物1aの代わりに銅フタロシアニン(CuPc:C3216Cu、東京化成より購入し昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてFET特性測定用試料を作製した。
作製した試料について実施例1と同様にしてFET特性を測定したが、全くFET特性を示さなかった。また、実施例1と同様にして加熱処理を行った後にFET特性を測定したが、やはり全くFET特性を示さなかった。
測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子顕微鏡により観察したところ、銅フタロシアニンのクロロホルムへの溶解性が極めて低いため、膜を形成していないことが分かった。
比較例2
化合物1bの代わりに亜鉛フタロシアニン(ZnPc:C3216Zn、東京化成より購入し昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例2と同様にしてFET特性測定用試料を作製した。
作製した試料について実施例1と同様にしてFET特性を測定したが、全くFET特性を示さなかった。また、実施例2と同様にして加熱処理を行った後にFET特性を測定したが、やはり全くFET特性を示さなかった。
測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子顕微鏡により観察したところ、亜鉛フタロシアニンのクロロホルムへの溶解性が極めて低いため、膜を形成していないことが分かった。
比較例3
化合物1cの代わりに無金属フタロシアニン(HPc:C3220、東京化成より購入し昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例3と同様にしてFET特性測定用試料を作製した。
作製した試料について実施例1と同様にしてFET特性を測定したが、全くFET特性を示さなかった。また、実施例3と同様にして加熱処理を行った後にFET特性を測定したが、やはり全くFET特性を示さなかった。
測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子顕微鏡により観察したところ、無金属フタロシアニンのクロロホルムへの溶解性が極めて低いため、膜を形成していないことが分かった。
比較例4
化合物1bの代わりに亜鉛フタロシアニン(ZnPc:C3216Zn、東京化成より購入し昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例4と同様にしてFET特性測定用試料を作製した。
作製した試料について実施例1と同様にしてFET特性を測定したが、全くFET特性を示さなかった。また、実施例2と同様にして加熱処理を行った後にFET特性を測定したが、やはり全くFET特性を示さなかった。
測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子顕微鏡により観察したところ、亜鉛フタロシアニンの純水への溶解性が極めて低いため、膜を形成していないことが分かった。
比較例5
化合物7bの代わりに無金属フタロシアニン(HPc:C3220、東京化成より購入し昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてFET特性測定用試料を作製した。
作製した試料について実施例1と同様にしてFET特性を測定したが、全くFET特性を示さなかった。また、実施例3と同様にして加熱処理を行った後にFET特性を測定したが、やはり全くFET特性を示さなかった。
測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子顕微鏡により観察したところ、無金属フタロシアニンの純水への溶解性が極めて低いため、膜を形成していないことが分かった。
実施例6
ITO電極がパターニングされたガラス基板(2.5cm×2.5cm)を、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後、乾燥した。さらに、ITO電極表面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン処理を30分間行った。次に、ITO基板上にPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポリスチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品))をスピンコート(4000rpm、60秒間)し、120℃で10分間乾燥することにより、膜厚約50nmのホール輸送性バッファ層を形成させた。膜厚は、触針式膜厚計(アルバック社製、商品名:DEKTAK 6M)により測定した(以下同)。次いで、化合物1aとPCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)のクロロホルム混合溶液(15mg+15mg/mL)をバッファ層の上に1000rpmでスピンコートすることで、厚さ200nm以下の厚みがほぼ均一な有機半導体(有機光電変換層)前駆体膜を形成させた。窒素雰囲気下、10℃/分で400℃まで加熱し、400℃で5分間保持することで有機半導体膜へと変換し、光電変換層を作製した。この光電変換層の上に、真空蒸着装置(アルバック社製、商品名:EBX−8C)を用いて、2×10−4以下の真空度で、バッファ層としてLiFを約1nm、金属電極としてアルミニウムを約80nm、順次真空蒸着することにより、有効面積0.04cmの有機光電変換素子を得た。
この素子にソーラーシミュレータ(Oriel社製、150W簡易型)を用いてAM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を照射し、電気化学アナライザー(BAS社製、商品名:ALSモデル660B)を用いて電流−電圧特性を測定したところ、光電流および光起電力が発生し、良好な光電変換特性を示した。光起電力は0.40Vだった。
比較例6
実施例6において、化合物1aの代わりに銅フタロシアニン(CuPc:C3216Cu、東京化成より購入し昇華精製したもの)を用いたこと以外は実施例6と同様にして有機光電変換素子を作製した。
作製した試料について実施例6と同様にして光電変換特性を測定したが、全く光電変換特性を示さなかった。
測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子顕微鏡により観察したところ、銅フタロシアニンのクロロホルムへの溶解性が極めて低いため、膜を形成していないことが分かった。
有機電界効果トランジスタのトップコンタクト型素子の構造を概略的に示す断面図である。 有機電界効果トランジスタのボトムコンタクト型素子の構造を概略的に示す断面図である。 本発明の有機光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。 化合物1aのTG/DTA測定結果を示す図である。 化合物1bのTG/DTA測定結果を示す図である。 化合物1cのTG/DTA測定結果を示す図である。 化合物7aのTG/DTA測定結果を示す図である。 化合物7bのTG/DTA測定結果を示す図である。 化合物1aの(a)加熱処理前および(b)加熱処理後のMALDI−TOF−MSスペクトル測定結果を示す図である。 化合物1aの加熱処理前及び加熱処理後のX線回折測定結果を示す図である。 本発明の化合物1aからなる膜の(a)加熱処理前および(b)加熱処理後のFET特性を示す図である。 化合物1aからなる膜の(a)加熱処理前および(b)加熱処理後の吸収スペクトルを示す図である。
符号の説明
11 基板
12 電極
13 絶縁体層
14 有機半導体層
15a、15b 電極
21 基板
22 電極
23 有機光電変換層(有機半導体層)
24 電極

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表される置換基を有するπ共役系化合物を基板上に成膜する工程、及び該化合物から前記置換基を脱離させる工程を含むことを特徴とする有機半導体膜の製造方法。
    Figure 2009088483
    (式中、Rは水素原子以外の置換基を表す。)
  2. 前記化合物が下記一般式(II)で表される化合物である、請求項1記載の有機半導体膜の製造方法。
    Figure 2009088483
    (式中、Mは、金属原子または水素原子を表す。Mが水素原子を表す場合、2つの水素原子がN〜Nのいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合する。Qは、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQは同一でも異なっていてもよい。Rは水素原子以外の置換基を表す。nは自然数である。nが2以上の場合、複数の−SO基は同一でも異なっていてもよい。)
  3. 前記化合物がフタロシアニン類である、請求項2記載の有機半導体膜の製造方法。
  4. 前記の化合物を基板上に成膜する工程が、前記化合物を溶媒に溶解させた溶液を基板上に塗布乾燥して成膜する工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法。
  5. 前記の置換基を脱離させる工程が熱処理である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られる有機半導体膜。
  7. 請求項6記載の有機半導体膜を含む有機電子デバイス。
  8. 請求項6記載の有機半導体膜を含む有機電界効果トランジスタ。
  9. 請求項6記載の有機半導体膜を含む有機光電変換素子。
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