JP2009218352A - 基板切断装置及び基板切断方法 - Google Patents

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晋 小山
Junya Enogaki
淳也 榎垣
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Abstract

【課題】 複数の基板間がミクロジョイントにより接合され部品実装された多面取基板を個片化する際、個々の基板のミクロジョイントが粉塵となり、飛散した粉塵が基板に付着して、電子部品に影響を与えるという問題があった。
【解決手段】 多面取基板における電子部品の搭載面を上部カバー治具で覆い、基板のミクロジョイント近傍端面に上部カバー治具を密着させて基板をクランプするとともに、上部カバー治具のミクロジョイントの近傍に切断加工用のルータービットを挿入するための貫通穴を設けることで、切断時の基板への粉塵付着を防止した基板切断装置を構成する。
【選択図】 図6

Description

この発明は、刃物を用いて基板を切断する基板切断装置及び基板切断方法に関するものである。
多面取基板の配線パターンに電子部品を実装した後、刃物であるルータービットを回転させて、基板間を接続するための接続ジョイント(以下、ミクロジョイントと称する)を切断し、プリント基板を個片化する基板切断装置が知られている。従来の基板切断装置は、プリント基板下面側に集塵装置を設け、吹き付けノズルからルータービットにエアーを吹き付けながら、切断加工時にプリント配線基板から発生する粉塵を吸引していた。また、ルータービットはルータヘッド移動機構に取り付けられて、平面内で基板上の切断位置に移動し、その位置で基板の切断を行う(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−67971号公報
しかしながら、従来の基板切断装置は、切断時の摩擦熱によりルータービット及びルータヘッド周辺に粉塵が付着する。この粉塵は集塵装置を用いても、完全に取り除くことが出来ず、切断箇所間のルータービットの移動時、付着した粉塵が基板上面に落下するという問題があった。基板に落下した粉塵はプリント基板の電気的性能を劣化させる。特に高周波で動作する基板は粉塵により電気特性が変化し、電気的性能の劣化が顕在化する。
また、吹き付けノズルからルータービットにエアーを吹き付けることにより、基板の周囲に細かい粉塵が舞い、細かい粉塵が基板全体に飛散し、返って基板全体を粉塵で汚染してしまうという問題があった。尤も、特許文献1はこの問題を解消するため、吹き出しノズルを袋状にして内部にルータービットを収容し、粉塵の飛散を防止している。しかし、ルータービットの折損や磨耗による交換時に、吹き出しノズルを取り外す作業が生じ、交換作業に手間を要するという問題が新たに生じる。
また、基板を位置決めピンのみで水平面内に固定して切断加工しているので、切断加工時にルータービットと基板切断箇所との間で生じる切削抵抗により基板がぶれ、切断位置のばらつきや加工歪を生じるという問題があった。
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、基板切断時に発生する粉塵の基板への付着を防ぐとともに、基板切断時の基板のぶれを抑えることを目的とする。
この発明による基板切断装置は、複数の基板間が接合ジョイントにより接合されたプリント基板における電子部品の搭載面を覆うとともに当該基板の接合ジョイント近傍端面に当接し、当該接合ジョイントの近傍に切断加工用の刃物を挿入するための貫通穴を設けた上部カバー治具を備えたものである。
また、複数の基板間が接合ジョイントにより接合されて構成されたプリント基板を載せるとともに、当該プリント基板を位置決めする下受治具と、上記下受治具との間でプリント基板を挟持し、上記プリント基板における接合ジョイント位置に対応した貫通穴を有するとともに、上記プリント基板を構成する各基板を覆う上部カバー治具と、上記下受治具と上部カバー治具の間にプリント基板を挟んだ状態で、上記上部カバー治具に設けられた貫通穴を介して挿入され、上記プリント基板における接合ジョイントを切断するルータービットとを備えても良い。
さらにまた、この発明による基板切断方法は、離間した1対の搬送コンベアベルトによりプリント基板の両端を搬送するステップ、搬送コンベアベルトによるプリント基板の搬送を一時停止するステップ、下受治具を可動し、上記1対の搬送コンベアベルトの間で上記下受治具に載置したプリント基板を昇降させ、上記プリント基板を上部カバー治具に押し付け、上記プリント基板を上部カバー治具により覆うステップ、上部カバー治具に設けられた貫通穴を介して刃物を挿入し、上記プリント基板を構成する複数の基板間を接続する接合ジョイントを切断するステップ、の順序でプリント基板を切断する。
この発明によれば、基板のミクロジョイント近傍以外における粉塵付着を防止することができるとともに、切断時の基板のぶれを抑えることができる。
以下、この発明に係る実施の形態について、図に基づき説明する。
実施の形態1.
この発明に係る実施の形態1による基板切断装置は、切断中及び切断箇所間のルータービットの移動中に、プリント基板表面に粉塵が飛散しないようにミクロジョイント近傍を支持した上部カバー治具でプリント基板表面を被覆し、上部カバー治具内部に粉塵が混入しない構造となっている。以下、この基板切断装置の構成について説明する。
図1は実施の形態1による基板切断装置の構成を示す正面断面図である。図2は実施の形態1による基板切断装置の側面断面図である。
図において、基板切断装置は、搬送コンベアベルト11と、基板切断用の刃物であるルータービット5と、スピンドル3と、下受治具6と、上部カバー治具9と、集塵装置7と、駆動装置20と、制御装置21を備えて構成され、インライン型の基板切断装置を構成する。
なお、図中、基板切断装置の基台を構成するフレームや可動ステージ、装置カバー、制御操作盤などについては簡略化のために図示を省いている。
1対の搬送コンベアベルト11はベルト上面に、多面取基板を構成するプリント基板(以下、基板)1の両端を載せて、基板1を縦方向(X方向)に搬送する。1対の搬送コンベアベルト11は基板切断装置の基台101における段部102の2箇所に離間して取り付けられる。この2つの段部102の間に、下受治具6及びダクト7が配置される。この2つの搬送コンベアベルト11を跨り、基板1における側端下部周縁が2つのベルトコンベア11に載せられる。すなわち、2つの搬送コンベアベルト11におけるベルト同士の間隔は、基板1の横幅よりも若干短くなっている。
下受治具6は駆動装置20により上下移動し、基板1を昇降する。下受治具6は上面に位置決めピン10が設けられ、基板1の下面に当接した状態で位置決めピン10が基板1のピン穴15に嵌合する。下受治具6は複数の貫通穴31が設けられる。下受治具6の両
端2箇所には、下方に突出した保持用の突縁部が設けられ、駆動装置20により保持されている。
上部カバー治具9は両端2箇所に設けられた保持部13により基板切断装置に保持固定される。下受治具6の上昇により、上部カバー治具9の下面は基板1の上面に当接する。上部カバー治具9は複数の貫通穴30が設けられ、貫通穴30の穴位置は貫通穴31の穴位置に一致対応している。
ルータービット5はスピンドル3に取り付けられて高速回転するとともに、スピンドル3の駆動部(図示せず)により水平(XY方向)及び上下(Z方向)の3軸方向に移動可能となっている。また、ルータービット5の先端部は上部カバー治具9の貫通穴30に挿入され、基板1のミクロジョイント2を切断加工する。
集塵ダクト7は下受治具6の下部に取付けられる。集塵ダクト7は複数のダクト70を備え、下受治具6の各貫通穴31が何れかのダクト70に導かれるように、貫通穴31がダクト70に連通する。それぞれのダクト70は1つの集合ダクト71に合流し、集合ダクト71は集塵タンク72に連結される。集塵タンク72の側面にはエアフィルタ73及びその取付穴が設けられ、エアフィルタ73は吸引ダクト74に連結されて、エアーポンプ(図示せず)により吸気が行われる。これにより、下受治具6の各貫通穴31を介して、上部カバー治具9の貫通穴30まで至る周辺空気が集塵ダクト7に吸引される。
なお、集塵ダクト7は、集合ダクト71に結合した1つのダクト70で構成しても良い。この場合は集塵ダクトを縦方向(X方向)に移動させる機構を設け、ルータビット5の縦方向(X方向)の移動に合わせて、その移動位置に集塵ダクトが同期して移動するように構成すれば良い。
制御装置21は搬送コンベアベルト11の駆動部(図示せず)に制御信号を送り、搬送コンベアベルト11の搬送及び停止動作を制御する。制御装置21はスピンドル3の駆動部に制御信号を送り、回転及び3軸方向への移動についての駆動制御を行う。また、制御装置21は駆動装置20に制御信号を送り、駆動装置20の駆動制御を行う。制御装置21は、これら各駆動装置や駆動部を制御するための制御プログラムが格納されたメモリを有する。
また、搬送コンベアベルト11の進行方向前方に、ストッパ12が設けられている。ストッパ12は上下に移動し、通常は基板1の前部に突当たる下方位置で係止する。ストッパ12及びその周辺には、光センサで構成される接触検出センサ(図示せず)や通過検出センサ(図示せず)が設けられる。搬送コンベアベルト11により基板1が搬送されて、基板1がストッパ12の前部に突当たると、ストッパ12の接触検出センサが基板1の接触を検出し、検出信号を制御装置21に送る。制御装置21はこの検出信号を受けると、搬送コンベアベルト11の搬送を停止する。搬送コンベアベルト11による搬送が停止した後、制御装置21はストッパ12の駆動部に制御信号を送り、ストッパ12が跳ね上がるように可動して、上部カバー治具9及び下受治具6が上昇しても干渉しない位置まで退避し、基板1の切断処理が開始される。
基板1の切断処理が終了すると、制御装置21が搬送コンベアベルト11による搬送を開始する。その後、ストッパ12の通過検出センサは、基板1から個片化された一組の基板が全て、ストッパ12の真下を通過したことを検出すると、ストッパ12が降下して再び元の通常位置に戻る。
図3は基板1の構成例を示す上面図である。基板1は、複数枚(図示の例では4枚)の基板100がミクロジョイント2により個々に接続された多面取基板を構成する。各基板100の上面には電子部品51が設けられており、ミクロジョイント2の切断により各基板100が分離され、個片化される。隣接する各基板100間は、所定の間隔で配置された複数本(図の例では3本)のミクロジョイント2により接続されている。ミクロジョイント2の接続部周縁における所定の領域52は、電子部品51が実装されておらず、平坦な面を構成する。また、各基板100には2つのピン穴15が設けられている。
図4は下受治具6の構成例を示す上面図である。前述のように、下受治具6は、上面から立設した位置決めピン10と貫通穴31が設けられ、一体的に形成された板で構成される。位置決めピン10の位置は基板1のピン穴15の位置に対応している。また、貫通穴31は、各基板100間に配置されるミクロジョイント2の間隔に合うように、穴位置と穴形状及び大きさが設定されている。図の例では、貫通穴31は縦に3個づつ設けられた穴の組が、基板100同士の間隔と同一寸法となる所定の間隔を空けて、3箇所に設けられている。なお、下受治具6は、基板1におけるミクロジョイント2の近傍以外で基板1と密着するように、ミクロジョイント2に対向する部分の高さが若干低くなるように凹んでいると良い。
図5は上部カバー治具9の構成例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は押当板の形状例を示す上面図である。
図において、上部カバー治具9は、複数の覆板91と覆板91間を接続する複数の押当板92により構成される。覆板91は基板1の構成に合わせて、ミクロジョイント2により接続される基板100と同数分設けられる(図の例では4枚)。押当板92の数は覆板91よりも1つ少ない。押当板92は、基板1におけるミクロジョイント間の間隙部分の形状に合わせて、矩形状もしくは長円型をなす前述した複数個の貫通穴30が設けられている。覆板91は貫通穴30に被らないように押当板92の上面に固着され、押当板92の下面は覆板91の下面よりも下方に突出している。
なお、覆板91を一枚板で構成し、押当板92の貫通穴30を塞がないように覆板91に穴を設けても良い。
また、覆板91には透明な板材を用いても良い。この場合、切断加工時であっても、基板1に粉塵が混入しているか否かを、上部カバー治具9の上方から目視確認することができるので、基板切断装置の動作不良を常時監視することが可能となる。
次に、実施の形態1による基板切断装置の基板切断動作について説明する。
図6は基板1を切断している様相を示す側面断面図である。図7は基板1を切断している様相を示す正面断面図である。基板1は、切断前に、ミクロジョイント2により個々の基板100が接続された多面取基板をなしている。なお、基板切断処理が開始されたとき、ストッパ12は跳ね上がっているので、ここでは図示を略している。
図において、基板1は搬送コンベアベルト11で搬送され、下受治具6の位置決めピン10と基板1のピン穴15の位置を合わせるために、図1で説明したストッパ12の位置で停止する。基板1がストッパ12の位置で停止すると、搬送コンベアベルト11による搬送が停止し、ストッパ12が跳ね上がり、基板1の切断処理が開始される(ステップS1)。
切断処理が開始すると、駆動装置20により下受治具6が上昇し、下受治具6の位置決めピン10が基板1のピン穴15に挿入される。このとき、位置決めピン10が基板1のピン穴15に嵌合して位置決め固定されるとともに、下受治具6の上面が基板1の下面に当接し、下受治具6の上面と基板1の下面が密着する(ステップS2)。
続いて、基板1と密着した下受治具6がさらに上昇し、基板1の上面が上部カバー治具9を構成する押当板92の下面と接触する。これにより、基板1が下受治具6と上部カバー治具9に挟まれてクランプ固定され、下受治具6に接続された位置決めピン10によって正確に位置決めがなされる。この際、位置検出センサ(図示せず)が基板1の上面が上部カバー治具9に突当たったことを検出し、制御装置21が位置検出センサからの検出信号を受けて駆動装置20の上昇動作を停止し、下受治具6の上昇が止まる(ステップS3)。
なお、基板1が下受治具6と上部カバー治具9によりクランプ固定される際、上部カバー治具9の保持部13が適度に撓み、不必要な押圧力が基板1に印加されないようになされていると良い。
この状態で、基板1は下受治具6に密着して支持されるとともに、上部カバー治具9が基板1における個々の基板100を覆うように、基板1の上面に位置する。同時に、上部カバー治具9の押当板92の下面は、ミクロジョイント近傍におけるミクロジョイント2を除いた部分で、基板1の端面周縁の上面に密着して接触している。
次に、下受治具6の上昇が止まると、ルータービット5による切断加工動作が開始する。
まず、スピンドル3の駆動部がスピンドル3とともにルータービット5を回転させる(ステップS4)。
次に、制御装置21の制御プログラムシーケンスに基づいて、スピンドル3が予め設定された基板1におけるミクロジョイント2の上部位置に移動する。このとき、前述したとおり、基板1は下受治具6の位置決めピン10により正確に位置決めがなされている(ステップS5)。
スピンドル3とルータービット5が回転した状態で、上部カバー治具9の貫通穴30を通過してルータービット5が下降し、ルータービット5の刃先が基板1のミクロジョイント2の上部に突当たる(ステップS6)。すると、ルータービット5の刃はミクロジョイント2を縦断し、ミクロジョイント2を粉砕する。図7において、符号200はミクロジョイント2が粉砕され、その部分が空洞となった状態を示している。
粉砕されたミクロジョイント2は粉塵8となり、下受治具6の貫通穴31を介して集塵ダクト7に吸引される。この切断中に発生する粉塵8は、ルータービット5が左ねじれの刃であるため、大部分は下向き、つまり集塵ダクト7に吸引される。集塵ダクト7に吸引された粉塵8は粉塵タンク72に蓄積される。
なお、粉塵タンク72は取り外して集積された粉塵の廃棄及び清掃がなされる。
一方、基板1の上方にも微小ながら粉塵8の一部が舞い上がり、粉塵8が上部カバー治具9の覆板91における外部表面に付着する。しかし、上部カバー治具9の押当板92がミクロジョイント2近傍で基板1と密接に接触しているため、その内部に覆われた基板1には粉塵8が付着しない。また、上部カバー治具9に付着した粉塵8は微量のため、繰返し基板1を搬送して切断加工しても基板1に飛散することはない。また、定期清掃により上部カバー治具9に付着した粉塵8を簡単に除去することが可能である。また、基板100の裏面は下受治具6とミクロジョイント2を除く部分で密着しているため、当然の如く粉塵8が付着することはない。
1つのミクロジョイント2が切断されると、予め制御装置21に設定された基板1の加工データによるミクロジョイント2の設置位置に基づいて、制御装置21の制御信号により、スピンドル3が基板搬送方向と垂直な横方向(Y方向)に移動する。そして、順次隣接するミクロジョイント2を切断する(ステップS7)。
横方向に並んだミクロジョイント2を全て切断した後、予め設定された基板1の加工データによるミクロジョイント2の設置位置に基づいて、制御装置21の制御信号により、スピンドル3が基板搬送方向と平行な縦方向(X方向)に移動し、所定の間隔で縦方向(X方向)に並んだ1組のミクロジョイント2を順次切断していく(ステップS8)。
かくして、基板1の不要基板部分であるミクロジョイント2を切断除去し、製品となるべく基板100を分断して、個片化することができる。
制御装置21の制御プログラムシーケンスに従い、一通りのミクロジョイント2の切断が完了すると、下受治具6が上部カバー治具9から離れるように微小速度で下降し、基板1が搬送コンベアベルト11に着地する(ステップS9)。
その後、基板1は搬送コンベアベルト11に乗った位置で停止し、下受治具6は基板1から離れるように下降する。下受治具6が停止位置まで下降すると切断加工処理が終了し、搬送コンベアベルト11が再び搬送を開始して、個片化された基板100が基板切断装置のライン後流へ搬送され、所定の集積コーナ(図示せず)へ排出される(ステップS10)。
そして、個片化された一組の基板100がストッパ12の真下を全て通過すると、前述したようにストッパ12が定位置に戻る(ステップS11)。
このように、実施の形態1による基板切断方法は、主に次の1)〜5)の順序でプリント基板を切断するステップを有する。
1)1対の搬送コンベアベルト11により基板1の両端を搬送する。
2)搬送コンベアベルト11による基板1の搬送を一時停止する。
3)下受治具6を可動し、上記1対の搬送コンベアベルト11の間で下受治具6に載置した基板1を昇降させ、基板1の端縁部分を上部カバー治具9の押当板92に押し当て、基板1を上部カバー治具9により覆う。
4)上部カバー治具に設けられた貫通穴を介してルータービットの先端部を挿入し、基板1を構成する複数の基板100間を接続するミクロジョイントを切断する。
5)基板1の切断後、再び搬送コンベアベルト11による搬送を開始し、個片化された各基板100を排出する。
なお、ルータービット5は集塵カバー4で被覆されておらず剥き出しとなっているため、ルータービット5の折損や磨耗などによる交換時に、ルータービット5の清掃及び摩耗、折損等による交換を容易に行うことが可能となる。
また、切断時において、切断部であるミクロジョイント2近傍を上部カバー治具9と下受治具6によって適度に押圧してクランプしている。このクランプ力は基板1を歪ませない程度に適度に強いため、基板1はルータービット5との間で生じる切削抵抗によってぶれることがなく、切断位置のばらつきは小さくなる。また、このクランプにより基板1のミクロジョイント周辺が安定に固定されるので、基板1に生じる加工歪は小さい。
また、上部カバー治具9は基板1のミクロジョイント2近傍で接触し、かつ基板1に実装される電子部品51を被覆している。この際、基板1における上部カバー治具9との接触部分は、電子部品51の設計ルールにおける搭載禁止エリアである基板端縁を利用しているため、実施の形態1による基板切断装置を適用するために、敢えて基板の部品搭載エリアを制限する必要はなく、基板を設計する上で、不要な制約を付加する必要もない。
また、下受治具6は、基板1のミクロジョイント2の近傍以外で基板1の裏面と密着している。このため、基板100の下面と下受治具6との接触部分に隙間はなく、粉塵8が入り込むことはない。また、両面実装基板の場合は、下受治具6の上面に、基板100における部品実装部分周辺のみに、基板100の部品と接触しないように凹みや貫通穴を設け、基板100の外周縁部分を含むその他の部分を下受治具6の上面に密着させることで、片面実装基板と同様に、粉塵の付着を防止することができる。
また、基板の位置決め固定には、ストッパ12と位置決めピン10及び上部カバー治具9、下受治具6などの機械部品を使用した簡単な機構とその動作により、基板を所定位置に搬送し、正確に位置決めして、精度良く所望の切断位置を切断加工することができるので、カメラを用いた画像認識によって基板の切断位置を求める必要がなく、より安価な構成で基板切断装置を得ることができる。
以上説明したとおり、実施の形態1による基板切断装置は、複数の基板間が接合ジョイントにより接合されて構成されたプリント基板における電子部品の搭載面を覆うとともに当該基板の接合ジョイント近傍端面に当着し、当該接合ジョイントの近傍に切断加工用の刃物を挿入するための貫通穴を設けた上部カバー治具を備えている。また、複数の基板間が接合ジョイントにより接合されて構成されたプリント基板を載せるとともに、当該プリント基板を位置決めする下受治具を備えて、上部カバー治具は上記下受治具との間でプリント基板を挟持し、上記プリント基板における接合ジョイント位置に対応した貫通穴を有するとともに、上記プリント基板を構成する各基板を覆うように構成され、上記下受治具と上部カバー治具の間にプリント基板を挟んだ状態で、ルータービットが、上記上部カバー治具に設けられた貫通穴を介して挿入されて、上記プリント基板における接合ジョイントを切断する。
また、上部カバー治具は、上記プリント基板を構成する各基板の端縁に当接し、上記貫通穴を有した押当板と、上記押当板におけるプリント基板との接触面の反対側に固着され、上記プリント基板を構成する各基板を覆う覆板とから構成される。
また、下受治具は、上記プリント基板を構成する各基板のピン穴に嵌合する位置決めピンを備えている。
また、プリント基板の両端を支持してプリント基板を搬送する1対の搬送コンベアベルトと、搬送コンベアベルトによるプリント基板の搬送を一時停止するストッパと、上記ストッパによりプリント基板の搬送が停止した後、上記下受治具を可動し、上記1対の搬送コンベアベルトの間で上記下受治具に載置したプリント基板を昇降させ、上記プリント基板を上部カバー治具に押し付ける駆動装置とを備えたことを特徴とする。
このように構成することで、切断中及び切断箇所間のルータービット移動中に基板表面に粉塵が飛散しないようにミクロジョイント近傍を支持部とした粉塵カバーで基板表面を被覆するので、カバー内部に異物が混入しないという効果が得られる。例えば、0.1μmよりも大きな粉塵が混入しない装置を構成することができる。
また、基板のミクロジョイント近傍を上部カバー治具と下受治具とでクランプすることによって、切断時にルータービットと基板との間で生じる切削抵抗により基板がぶれないようになされるので、基板に生じる歪を低減することができる。
以上のように、基板のミクロジョイント近傍以外における粉塵付着を防止することが可能となり、実装した電子部品の誤作動を防止できる。
また、粉塵付着が防止できるので、基板に付着した粉塵の清掃工程を省略でき、工数減少つまり低コスト化できる。さらに、切断時の基板のぶれを防止し、基板に生じる歪を低減することができるため、実装部品の機械的・電気的な長寿命化につながり、また信頼性を向上できる。
なお、多面取基板の基板1を構成する基板100の数量は、4つに限らずさらに多くてもいい。また、上部カバー治具9や下受治具6は、基板1の形状や構成に合わせて他の形状に変更しても良いことは言うまでもなく、基板1の形状に合わせて、自動的に交換しても良い。さらに、ルータービットは、基板の切断加工が完了した後、粉塵の飛散がないようにカバーで囲まれた領域に移動して、エアーの吹き付けノズルやエアー吸引ダクトなどにより、粉塵を除去するように適宜清掃しても良い。
この発明に係る実施形態1による基板切断装置の構成を示す正面断面図である。 この発明に係る実施形態1による基板切断装置の構成を示す側面断面図である。 この発明に係る実施形態1による基板切断装置で切断される多面取基板の構成例を示す図である。 この発明に係る実施形態1による下受治具の構成例を示す図である。 この発明に係る実施形態1による上部カバー治具の構成例を示す図である。 この発明に係る実施形態1による基板切断装置の基板切断動作を示す側面断面図である。 この発明に係る実施形態1による基板切断装置の基板切断動作を示す正面断面図である。
符号の説明
1 基板、2 ミクロジョイント、3 スピンドル、5 ルータービット、6 下受治具、7 集塵ダクト、9 上部カバー治具、10 位置決めピン、11 搬送コンベアベルト、12 ストッパ、15 ピン穴、20 駆動装置、21 制御装置、100 基板、覆板91、押当板92。

Claims (6)

  1. 複数の基板間が接合ジョイントにより接合されたプリント基板における電子部品の搭載面を覆うとともに当該基板の接合ジョイント近傍端面に当着し、当該接合ジョイントの近傍に切断加工用の刃物を挿入するための貫通穴を設けた上部カバー治具を備えた基板切断装置。
  2. 複数の基板間が接合ジョイントにより接合されて構成されたプリント基板を載せるとともに、当該プリント基板を位置決めする下受治具と、
    上記下受治具との間でプリント基板を挟持し、上記プリント基板における接合ジョイント位置に対応した貫通穴を有するとともに、上記プリント基板を構成する各基板を覆う上部カバー治具と、
    上記下受治具と上部カバー治具の間にプリント基板を挟んだ状態で、上記上部カバー治具に設けられた貫通穴を介して挿入され、上記プリント基板における接合ジョイントを切断するルータービットと、
    を備えた基板切断装置。
  3. 上部カバー治具は、上記プリント基板を構成する各基板の端縁に当接し、上記貫通穴を有した押当板と、上記押当板におけるプリント基板との接触面の反対側に固着され、上記プリント基板を構成する各基板を覆う覆板とから構成されることを特徴とする請求項2記載の基板切断装置。
  4. 下受治具は、上記プリント基板を構成する各基板のピン穴に嵌合する位置決めピンを備えたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の基板切断装置。
  5. 上記プリント基板の両端を支持してプリント基板を搬送する1対の搬送コンベアベルトと、
    上記搬送コンベアベルトによるプリント基板の搬送を一時停止するストッパと、
    上記ストッパによりプリント基板の搬送が停止した後、上記下受治具を可動し、上記1対の搬送コンベアベルトの間で上記下受治具に載置したプリント基板を昇降させ、上記プリント基板を上部カバー治具に押し付ける駆動装置と、
    を備えたことを特徴とする請求項4記載の基板切断装置。
  6. 離間した1対の搬送コンベアベルトによりプリント基板の両端を搬送するステップ、
    搬送コンベアベルトによるプリント基板の搬送を一時停止するステップ、
    下受治具を可動し、上記1対の搬送コンベアベルトの間で上記下受治具に載置したプリント基板を昇降させ、上記プリント基板の一部を上部カバー治具に押し当て、上記プリント基板を上部カバー治具により覆うステップ、
    上部カバー治具に設けられた貫通穴を介して刃物を挿入し、上記プリント基板を構成する複数の基板間を接続する接合ジョイントを切断するステップ、
    の順序でプリント基板を切断する基板切断方法。
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