JP2009216590A - 絶対値型磁気スケール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1の磁気トラックと第2の磁気トラックとの離間距離が短い場合であっても、第2の磁気トラック上における第1の磁気トラックの磁束の影響を小さくすることができる絶対値型磁気スケール装置を提供すること。
【解決手段】本発明の絶対値型磁気スケール装置1は、磁気スケール2と、検出ヘッド3と、ディテクタ4と、を備えている。磁気スケール2は、非繰り返しコードを表す第1の磁気パターン11aが記録された第1の磁気トラック11と、第1の磁気トラックと所定の間隔をあけて平行に延在され、一定の周期が繰り返される第2の磁気パターンが記録された第2の磁気トラックと、第1の磁気トラックの第2の磁気トラック側に隣接して配置され、第1の磁気パターンと逆の極性となる第3の磁気パターンが記録された第3の磁気トラックとを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、直動する移動物体の絶対位置や変位検出の計測に用いられる絶対値型磁気スケール装置に関するものである。
移動物体の絶対位置や変位を測定する磁気スケール装置としては、絶対値型(アブソリュート型)磁気スケール装置と、増分値型(インクリメンタル型)磁気スケール装置が知られている。増分値型磁気スケール装置は、スケール上に記録された磁気パターンの磁界を検出ヘッドにより検出し、移動物体の単位変位毎に1単位のパルスが発生する信号を出力する。そして、その信号のパルスを計数回路で計数することにより、移動物体の変位量を計測する。このような増分値型磁気スケール装置では、電源を切ると、検出ヘッドの現在位置が分からなくなるため、電源を入れたときに原点を検出する(原点復帰する)必要がある。
一方、絶対値型磁気スケール装置は、スケール上に記録された非繰り返しコードを読み取ることにより、移動物体の位置座標値を得るものである。絶対値型磁気スケール装置では、原点に対する位置を常に把握できるため、電源を入れたときに原点を検出する(原点復帰する)必要がない。また、検出ヘッドがスケールから外れても、スケール上の所定の位置に検出ヘッドを戻すことにより、その点の絶対位置が即座に得られる。
従来の絶対値型磁気スケール装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。この特許文献1に記載された絶対値型磁気スケール装置は、磁気スケールと、検出ヘッドと、ディテクタを備えている。磁気スケールには、7ビットの非繰り返しコードが磁気パターンとして記録された第1の磁気トラックと、非繰り返しコードの1ビットのピッチPを1周期とする磁気パターンとして記録された第2の磁気トラックを有している。検出ヘッドは、第1の磁気トラックの磁気パターンを検出する第1の検出ヘッド群と、第2の磁気トラックの磁気パターンを検出して2相のアナログ信号を出力する第2の検出ヘッド及び第3の検出ヘッドからなっている。
ディテクタは、比較器と、ROMと、内挿器と、加算器を有している。比較器は、第1の検出ヘッド群の検出結果から絶対値コードを生成し、ROMは、生成された絶対値コードに基づいて第1の絶対値信号(粗い絶対値位置信号)を生成する。内挿器は、2相のアナログ信号に基づいて第2の磁気トラックの磁気パターンの1周期区間の絶対値を表す第2の絶対値信号(区間絶対位置信号)を生成する。加算器は、第1の絶対値信号と第2の絶対値信号を加算し、磁気ヘッドの絶対位置を示す絶対位置信号を生成する。
特開平1−79619号公報(特許2571394号)
しかしながら、特許文献1に記載された絶対値型磁気スケール装置では、磁気スケールの第1の磁気トラックと第2の磁気トラックとの離間距離を短くすると、第1の磁気トラックから発生する磁束と第2の磁気トラックから発生する磁束との干渉量が増加する。
第2の磁気トラックの磁束による第1の磁気トラックの磁束への干渉量が増えても、第1の磁気トラックに形成された磁気パターンの検出に基づいて生成される第1の絶対値信号の精度が低下する可能性は低い。これは、第1の検出ヘッドが第1の磁気トラックに形成された磁気パターンの磁極(S極かN極か)を検出すればよいからである。
一方、第1の磁気トラックの磁束による第2の磁気トラックの磁束への干渉量が増えると、第2及び第3の検出ヘッドから出力される2相のアナログ信号の波形が乱れてしまう。その結果、2相のアナログ信号に基づいて生成される第2の絶対値信号の精度が低下し、磁気ヘッドの絶対位置を高精度に計測することができないという問題が生じる。つまり、特許文献1に記載された絶対値型磁気スケール装置では、第1の磁気トラックと第2の磁気トラックとの離間距離を短くして磁気スケールの小型化を図ると、磁気ヘッドの絶対位置を高精度に計測することができないという問題があった。
なお、第1の磁気トラック及び第2の磁気トラックの幅を小さくすることで、磁気スケールの小型化を図ることも考えられるが、その場合、各磁気パターンの磁力が弱くなる。そのため、各磁気パターンを検出できるように、磁気スケールと検出ヘッドとの間の距離(検出距離)を短くしなければならない。その結果、磁気スケールと検出ヘッドとの間に塵やゴミ等が侵入した場合に、磁気スケールや検出ヘッドが傷ついてしまうという問題が生じる。
ここで、従来の絶対値型磁気スケール装置において、第1の磁気トラックの磁束が第2の磁気トラックの磁束に及ぼす影響について、図10〜図12を参照して具体的に説明する。
図10は、従来の絶対値型磁気スケール装置に係る磁気スケールの例を示す磁気スケール101の説明図である。図10に示すように、磁気スケール101は、細長の長方形とされた帯状或いは板状の部材からなっている。この磁気スケール101には、長手方向に延在された第1の磁気トラック111及び第2の磁気トラック112が設けられている。
第1の磁気トラック111の幅は、15mmに設定されている。この第1の磁気トラック111には、S極及びN極の組合せからなる第1の磁気パターン111aが記録されている。第2の磁気トラック112の幅は、第1の磁気トラック111と同様に、15mmに設定されている。この第2の磁気トラック112には、S極とN極が交互に配列された第2の磁気パターン112aが記録されている。
第1の磁気トラック111と第2の磁気トラック112は、磁気スケール101の幅方向に15mmの間隔をあけて配置されている。したがって、第1の磁気トラック111の一端から第2の磁気トラック112の一端までの長さは45mmとなる。第2の磁気パターン112aは、第2の磁気トラック112の一端から7mm、つまり、第1の磁気トラック111の一端から38mmの位置で図示しない検出ヘッドによって検出される。
図11は、図10に示す測定線L1上における第1の磁気トラック111の磁束分布を表す磁束分布波形である。図11において、横軸は第1の磁気トラック111の一端からの距離(mm)を示し、縦軸は出力値(V)を示す。波形a1は、検出する位置を磁気スケール2から8mm離した(磁気スケール101に対する検出距離を8mmにした)場合の磁束分布を示している。同様に、波形a2は、検出距離を14mmにした場合の磁束分布を示し、波形a3は、検出距離を20mmにした場合の磁束分布を示している。
第1の磁気トラック111の磁束密度は、出力値(V)の絶対値に比例する。つまり、出力値(V)の絶対値が大きければ、第1の磁気トラック111の磁束密度が高くなり、第1の磁気トラック111の磁束による影響が大きくなる。そして、出力値(V)が0近づくほど、第1の磁気トラック111の磁束密度が低くなり、第1の磁気トラック111の磁束による影響が小さくなる。
また、磁気スケール101に対する検出距離が長いほど、第1の磁気トラック111の磁束密度が低くなり、第1の磁気トラック111の磁束による影響が小さくなる。したがって、第2の磁気パターン112aを検出する検出ヘッドの検出距離を長くすれば、第1の磁気トラック111の磁束による影響を小さくすることができる。ところが、検出ヘッドの検出距離を長くすると、第2の磁気パターン112aを検出する際の検出精度が低下し、2相のアナログ信号の波形が乱れてしまう。第2の磁気トラック112の幅を15mmに設定する場合、第2の磁気パターン112aを検出する検出ヘッドの検出距離は、8mm程度が好ましい。
図11に示すように、第1の磁気トラック111の一端から38mmの位置、つまり、第2の磁気パターン112aを検出する水平方向の位置では、波形a1〜a3の各出力値が0になっていない。これにより、第2の磁気パターン112aを検出する位置では、第1の磁気トラック111の磁束による影響が生じてしまうことがわかる。第2の磁気パターン112aを検出する位置(水平方向)において、波形a1の出力値は、その他の波形a2,a3の出力値よりも絶対値が大きい。つまり、検出距離(垂直方向)が8mmの場合には、検出距離が14mm,20mmの場合よりも第1の磁気トラック111の磁束による影響が大きくなる。
次に、第2の磁気パターン112aを検出する位置(水平方向)における第1の磁気トラック111の磁束による影響について、図12を参照して説明する。図12は、図10に示す測定線L2上における第1の磁気トラック111の磁束分布を表す磁束分布波形である。この測定線L2は、第1の磁気トラック111の一端から38mmの位置で磁気スケール101の長手方向に延びる線である。
図12において、横軸は磁気スケール101の長手方向の距離(mm)を示し、縦軸は出力値(V)を示す。図12に示す波形b1は、磁気スケール101に対する検出距離を8mmにした場合の磁束分布を示している。同様に、波形b2は、検出距離を14mmにした場合の磁束分布を示し、波形b3は、検出距離を20mmにした場合の磁束分布を示している。
図12に示すように、波形b1の出力値(V)の絶対値は、波形b2,b3の各出力値(V)の絶対値よりも大きな値になる。つまり、測定線L2上において、検出距離が8mmの場合は、検出距離が14mm,20mmの場合よりも第1の磁気トラック111の磁束による影響が大きくなる。
波形b1は、出力値(V)が約0.03V〜約−0.03Vの間で振幅している。上述したように、出力値(V)の絶対値が大きければ、第1の磁気トラック111の磁束による影響が大きくなる。例えば、磁気スケール101の長手方向の距離が120mmの位置では、出力値(V)が約−0.03Vとなり、出力値(V)の絶対値が最大となる。したがって、磁気スケール101の長手方向の距離が120mmの位置では、第2の磁気パターン112aを検出することで出力される2相のアナログ信号の波形が大きく乱れることになる。
本発明の目的は、上述の問題点を考慮し、第1の磁気トラックと第2の磁気トラックとの離間距離が短い場合であっても、第2の磁気トラック上における第1の磁気トラックの磁束の影響を小さくすることができる絶対値型磁気スケール装置を提供することにある。
本発明の絶対値型磁気スケール装置は、n(nは正の整数)ビットの非繰り返しコードを表す第1の磁気パターンが記録された第1の磁気トラックと、第1の磁気トラックと所定の間隔をあけて平行に延在され、一定の周期が繰り返される第2の磁気パターンが記録された第2の磁気トラックと、第1の磁気トラックの第2の磁気トラック側に隣接して配置され、第1の磁気パターンと逆の極性となる第3の磁気パターンが記録された第3の磁気トラックとを有する磁気スケールと、磁気スケールに対して相対的に移動可能であって、第1の磁気パターンを検出する第1の検出部と、第2の磁気パターンを検出して互いに90度の位相差がある2相信号を出力する第2の検出部とを有する検出ヘッドと、第1の検出部の検出結果に基づいてnビットで表される絶対値コードを生成するコード生成部と、絶対値コードに所定の値を割り当てることによりコード絶対値信号を生成するコード絶対値信号生成部と、第2の検出部によって出力された2相信号に基づいて第2の磁気パターンの1周期区間の絶対値を示す区間絶対置信号を生成する区間絶対置信号生成部と、コード絶対値信号と区間絶対値信号とを加算して磁気スケールに対する検出ヘッドの絶対位置を示す絶対位置信号を生成する加算部とを有するディテクタと、を備えたことを最も主要な特徴とする。
本発明の絶対値型磁気スケール装置によれば、第3の磁気トラックの磁束と第1の磁気トラックの磁束を干渉させることにより、第2の磁気トラック上における第1の磁気トラックの磁束の影響を小さくすることができる。その結果、第1の磁気トラックと第2の磁気トラックとの離間距離を短くしても、第2の検出部から出力される2相信号が乱れることを抑制することができ、検出ヘッドの絶対位置を高精度に計測することができる。
以下、本発明の絶対値型磁気スケール装置を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の絶対値型磁気スケール装置の第1の実施の例の構成を示す構成図である。図1に示すように、絶対値型磁気スケール装置1は、磁気スケール2と、この磁気スケール2に対して相対的に移動可能とされた検出ヘッド3と、この検出ヘッド3と電気的に接続されたディテクタ4等から構成されている。
磁気スケール2は、細長の長方形とされた帯状或いは板状の部材からなっている。この磁気スケール2には、幅方向に適当な間隔をあけて長手方向に延在された第1の磁気トラック11及び第2の磁気トラック12と、第1の磁気トラック11の第2の磁気トラック12側に隣接された第3の磁気トラック13が設けられている。これら3つの磁気トラック11〜13は、それぞれ磁気スケール2の長手方向の一端から他端に至るまで連続して設けられている。
第1の磁気トラック11には、S極及びN極の組合せからなる第1の磁気パターン11aが記録されている。この第1の磁気パターン11aのS極及びN極は、磁気スケール2の長手方向に対応する長さがピッチPに設定されている。第1の磁気パターン11aは、連続する8つの磁極によって8ビットの非繰り返しコード(絶対値コード)を表している。本例では、S極に論理値「0」を対応させ、N極に論理値「1」を対応させる。例えば、図1に示す磁気スケール2の第1の磁気パターン11aにおいて、左端から8つ目までの磁極が全てS極となっているため、これら8つの磁極によって表される非繰り返しコードは、「00000000」となる。
8ビットの非繰り返しコードは、第1の磁気パターン11a上において、繰り返して発生することがない。つまり、第1の磁気パターン11aでは、それぞれの非繰り返しコードが1度しか発生しないようにS極とN極が配列されている。また、非繰り返しコードの1ビットは、第1の磁気パターン11aの1つの磁極(S極或いはN極)によって表される。そのため、非繰り返しコードの1ビットの長さ(1ビット長)は、ピッチPとなる。
第2の磁気トラック12には、S極とN極が交互に配列された第2の磁気パターン12aが記録されている。この第2の磁気パターン12aのS極及びN極は、磁気スケール2の長手方向に対応する長さがそれぞれピッチPの半分(P/2)に設定されており、第1の磁気パターン11aと同期している。第2の磁気パターン12aの1周期(隣り合うS極とN極によって得られる1波長)は、第1の磁気パターン11aの1ビットに対応する。つまり、第2の磁気パターン12aは、第1の磁気パターン11aの1ビット長を1周期としている。
第3の磁気トラック13には、S極及びN極の組合せからなる第3の磁気パターン13aが記録されている。この第3の磁気パターン13aのS極及びN極は、磁気スケール2の長手方向に対応する長さがそれぞれピッチPに設定されており、第1の磁気パターン11aと同期している。そして、第3の磁気パターン13aは、第1の磁気パターン11aと逆の極性となっている。
第3の磁気パターン13aは、第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響を小さくするために設けられた磁気パターンである。つまり、第1及び第2の磁気トラック11,12は、検出ヘッド3の絶対位置を計測するために用いられるが、第3の磁気トラック13は、検出ヘッド3の絶対位置を計測するためには用いられない。なお、第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響については、後述する。
検出ヘッド3は、磁気スケール2の長手方向に移動可能に構成されている。この検出ヘッド3は、磁気スケール2の第1の磁気パターン11aを検出する第1の検出部21と、第2の磁気パターン12aを検出する第2の検出部22と、これら第1の検出部21及び第2の検出部22を収容するヘッドケース23等を備えている。
第1の検出部21は、第1の検出器群の一具体例を示す第1の磁気センサ群25と、第2の検出器群の一具体例を示す第2の磁気センサ群26を有している。第1の磁気センサ群25及び第2の磁気センサ群26のそれぞれの検出面は、磁気スケール2の第1の磁気トラック11に対して所定の間隔をあけて対向される。
第1の磁気センサ群25は、8つの磁気センサ25a,25b,25c,25d,25e,25f,25g,25hからなっている。8つの磁気センサ25a〜25hは、ピッチPの間隔をあけて配列されており、第1の磁気トラック11に記録した第1の磁気パターン11aの連続する8つの磁極にそれぞれ対向される。第2の磁気センサ群26は、第1の磁気センサ群25と同様に、8つの磁気センサ26a,26b,26c,26d,26e,26f,26g,26hからなっている。8つの磁気センサ26a〜26hは、ピッチPの間隔をあけて配列されており、第1の磁気パターン11aの連続する8つの磁極にそれぞれ対向される。
8つの磁気センサ25a〜25hと8つの磁気センサ26a〜26hは、交互に隣り合うように配置されており、隣り合う磁気センサの間隔がピッチPの半分(P/2)となっている。また、8つの磁気センサ25a〜25hと8つの磁気センサ26a〜26hは、それぞれ第1の磁気パターン11aのS極を検出するとマイナスの電圧値を示し、N極を検出するとプラスの電圧値を示すアナログ信号を出力する。
第2の検出部22は、正弦波発生用磁気センサ28と、余弦波発生用磁気センサ29を有している。正弦波発生用磁気センサ28及び余弦波発生用磁気センサ29のそれぞれの検出面は、磁気スケール2の第2の磁気トラック12に対して所定の間隔をあけて対向される。
正弦波発生用磁気センサ28は、第1の磁気センサ群25と第2の磁気センサ群26の隣り合う磁気センサの中間に対応する位置に配置されている。また、余弦波発生用磁気センサ29は、正弦波発生用磁気センサ28に対して第2の磁気パターン12aの1/4周期或いは1/4周期の奇数倍だけ間隔をあけて配置されている。本例では、正弦波発生用磁気センサ28を、磁気センサ25hと磁気センサ26hの中間部に対応する位置に配置し、余弦波発生用磁気センサ29を正弦波発生用磁気センサ28から5/4周期離れた位置に配置している。
正弦波発生用磁気センサ28は、第2の磁気パターン12aのS極を検出するとマイナスの電圧値を示し、N極を検出するとプラスの電圧値を示す正弦波信号(アナログ信号)を出力する。一方、余弦波発生用磁気センサ29は、第2の磁気パターン12aのS極を検出するとマイナスの電圧値を示し、N極を検出するとプラスの電圧値を示す余弦波信号(アナログ信号)を出力する。
正弦波発生用磁気センサ28から出力された正弦波信号と、余弦波発生用磁気センサ29から出力された余弦波信号には、1/4波長或いは1/4波長の奇数倍の位相差が生じる。つまり、第2の検出部22は、正弦波発生用磁気センサ28と余弦波発生用磁気センサ29のそれぞれで第2の磁気パターン12aを検出し、互いに90度の位相差がある2相信号(正弦波信号と余弦波信号)を出力する。
8つの磁気センサ25a〜25hと、8つの磁気センサ26a〜26hと、正弦波発生用磁気センサ28及び余弦波発生用磁気センサ29としては、磁束密度反応型の静磁界検出可能なセンサを適用する。これにより、各センサ25a〜25h,26a〜26h,28,29は、検出ヘッド3が静止した状態であっても各磁気パターン11a,12aの検出が可能となる。
ディテクタ4は、コード生成部31と、コード絶対値信号生成部の一具体例を示すROM(Read Only Memory)33と加算部の一具体例を示す加算器34と有するデコーダ32と、区間絶対置信号生成部の一具体例を示す内挿器35等を備えている。
コード生成部31は、第1の比較器群37と、第2の比較器群38を有している。第1の比較器群37は、8つの比較器37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37hからなっている。8つの比較器37a〜37hには、検出ヘッド3の8つの磁気センサ25a〜25hから出力された8つのアナログ信号がそれぞれ供給される。8つの比較器37a〜37hは、それぞれ供給されたアナログ信号のプラスの電圧値を「1」に変換し、マイナスの電圧値を「0」に変換する。これにより、第1の比較器群37は、8つの磁気センサ25a〜25hから供給されたアナログ信号に基づいて、8ビットで表される第1の絶対値コードを生成する。
第2の比較器群38は、8つの比較器38a,38b,38c,38d,38e,38f,38g,38hからなっている。8つの比較器38a〜38hには、検出ヘッド3の8つの磁気センサ26a〜26hから出力された8つのアナログ信号がそれぞれ供給される。8つの比較器38a〜38hは、8つの比較器37a〜37hと同様に、それぞれ供給されたアナログ信号のプラスの電圧値を「1」に変換し、マイナスの電圧値を「0」に変換する。これにより、第2の比較器群38は、8つの磁気センサ26a〜26hから供給されたアナログ信号に基づいて、8ビットで表される第2の絶対値コードを生成する。
内挿器35は、検出ヘッド3の第2の検出部22により出力された2相信号(正弦波信号と余弦波信号)に基づいて内挿を行い、第2の磁気パターン12aの1周期区間(2P)の絶対値を示す区間絶対置信号を生成する。内挿とは、第2の磁気パターン12aの1周期区間を所定の分解能(内挿数)で細分化することである。本例では、分解能(内挿数)を200に設定している。
内挿器35は、第2の検出部22により出力された2相信号(正弦波信号と余弦波信号)を、内挿器35内の2組のアナログ−デジタル変換器(図示せず)に供給し、デジタル正弦波信号とデジタル余弦波信号に変換する。そして、デジタル正弦波信号の値とデジタル余弦波信号の値をアドレスとして、ROM等に予め記録されているデータを読み出し、区間絶対置信号を生成する。つまり、内挿器35は、ルックアップテーブル方式を用いて区間絶対置信号を生成する。また、内挿器35は、正弦波信号(sin信号)の1/2周期毎に“0”と“1”を繰り返すデジタル的な1ビットの切換信号を生成する。
区間絶対位置信号は、仮想的な内挿化パターンを用いて決定される。図2は、内挿化パターンを説明する説明図である。図2に示すように、内挿化パターンは、正弦波入力(sin入力)を縦軸とし、余弦波入力(cos入力)を横軸とした直交座標で表される。この直交座標において、デジタル正弦波信号の値とデジタル余弦波信号の値によって決まる座標点は、第2の検出部22の移動に応じて円の軌跡を描く。
直交座標に描かれる円の円周は、正弦波信号及び余弦波信号(デジタルとアナログのどちらでも同じ)の1周期、つまり、第2の磁気パターン12aの1周期に対応する。したがって、360゜を内挿数V(本例では200)で均等に分割し、原点Oを中心とする複数の放射状ブロック(θ=1/V)を作成することにより、第2の磁気パターン12aの1周期区間を所定の内挿数で細分化することができる。そして、0〜Vにそれぞれ対応するデータ(本例では8ビットで表している)をROM等に記録することにより、正弦波入力(sin入力)と余弦波入力(cos入力)をアドレスとして各データを読み出すことができる。
図3は、内挿器35に入力される2相信号(正弦波信号と余弦波信号)と、内挿器35から出力される区間絶対置信号及び切換信号との関係を表す波形図である。つまり、図3Aが正弦波信号(sin入力)と余弦波信号(cos入力)を表す波形図、図3Bが区間絶対置信号を表す波形図、図3Cが切換信号を表す波形図である。
図3Aに示すように、第2の磁気パターン12aの1周期区間の始点aでは、sin入力が0となり、cos入力が+の最大値となる。このときの区間絶対置信号の値は、図3Bに示すように、0となる。そして、始点aから点b、点c、点dに至るにつれて区間絶対置信号の値が大きくなる。また、図3Cに示す切換信号は、上述したように、正弦波信号(sin信号)の1/2周期毎に“0”と“1”を繰り返す。
図1に示すように、デコーダ32のROM33には、第1の比較器群37及び第2の比較器群38から出力された第1及び第2の絶対値コードと、内挿器35から出力された切換信号が入力される。このROM33は、切換信号に基づいて、第1の絶対値コード及び第2の絶対値コードの一方を選択し、選択したコードを順列化することにより、コード絶対値信号を生成する。
具体的に説明すると、ROM33は、切換信号が“1”であるときに第1の絶対値コードを選択し、切換信号が“0”であるときに第2の絶対値コードを選択する。また、順列化とは、選択したコードに所定の値Tを割り当てて絶対値コードを連続的な数に置き換えることである。所定の値Tは、以下に示す数式により算出される。
〔数1〕 T=(m−1)V
ただし、mは正の整数(m=1,2,3・・・)
Vは内挿数(本例では200)
加算器34には、ROM33から出力されたコード絶対値信号と、内挿器35から出力された区間絶対置信号が入力される。加算器34は、コード絶対値信号と区間絶対置信号を加算し、磁気スケール2に対する検出ヘッド3の絶対位置を示す絶対位置信号を生成する。
次に、絶対値型磁気スケール装置1の動作を、図4を参照して説明する。図4は、絶対値型磁気スケール装置1の動作を説明するためのタイムチャートである。
磁気スケール2の第2の磁気トラック12を検出ヘッド3の第2の検出部22によって検出すると、図4Aに示す正弦波(sin)信号と余弦波(cos)信号からなる2相信号が得られる。この2相信号は、デコーダ32の内挿器35に入力される。
内挿器35は、入力された2相信号に基づいて内挿を行い、図4Bに示す区間絶対置信号を生成する。この区間絶対置信号は、第2の磁気トラック12に形成された第2の磁気パターン12aの1周期区間の絶対値を示す信号であり、デコーダ32の加算器34に入力される。また、内挿器35は、入力された2相信号のうちのsin信号に基づいて、図4Cに示す切換信号を生成する。この切換信号は、sin信号の1/2周期毎に“0”と“1”を繰り返す1ビットの信号であり、デコーダ32のROM33に入力される。
一方、磁気スケール2の第1の磁気トラック11を検出ヘッド3の第1の検出部21によって検出すると、第1の磁気センサ群25と第2の磁気センサ群26からそれぞれアナログ信号が出力される。これらアナログ信号は、それぞれコード生成部31の第1の比較器群37及び第2の比較器群38に入力される。
第1の比較器群37は、供給されたアナログ信号に基づいて、図4Dに示す第1の絶対値コードを生成する。また、第2の比較器群38は、供給されたアナログ信号に基づいて、図4Eに示す第2の絶対値コードを生成する。第1及び第2の絶対値コードは、それぞれ8ビットで表されるコードであり、デコーダ32のROM33に入力される。
ROM33は、内挿器35で生成された切換信号(図4Cを参照)の値が、“1”であれば第1の絶対値コード(図4Dを参照)を選択し、“0”であれば第2の絶対値コード(図4Eを参照)を選択する。
切換信号の値が“1”であるとき、第2の磁気センサ群26が第1の磁気パターン11aの境界を横切るため、第2の磁気センサ群26による検出が不安定なり、第2の絶対値コードが不正確になる可能性がある。一方、第1の磁気センサ群25は、切換信号の値が“1”であるときに第1の磁気パターン11aの境界を横切らないため、第1の磁気センサ群25による検出が安定し、正確に第1の絶対値コードを生成することができる。したがって、ROM33は、切換信号の値が“1”であれば第1の絶対値コードを選択する。これとは逆に、切換信号の値が“0”であるとき、第2の磁気センサ群26による検出が安定し、正確に第2の絶対値コードを生成することができる。したがって、ROM33は、切換信号の値が“0”であれば第2の絶対値コードを選択する。
図4Fは、ROM33によって選択された絶対値コードの結果を示すものである。図4Fに示すように、選択された絶対値コードは、第1の絶対値コードと第2の絶対値コードによって1つの絶対値コードを示す。例えば、図4Fに示す絶対値コード[00000000]は、切換信号の値が“1”であるときに選択された第1の絶対値コード[00000000]と、切換信号の値が“0”であるときに選択された第2の絶対値コード[00000000]からなる。
次に、ROM33は、選択された絶対値コードを順列化し、図4Gに示すコード絶対値信号を生成する。つまり、ROM33は、各絶対値コードに所定の値T(T=(m−1)V)を割り当てることにより、絶対値コードを順列化してコード絶対値信号を生成する。例えば、図4Fに示す絶対値コード[00000000]には、「0」が割り当てられ、絶対値コード[00000001]には、「V」が割り当てられる。これは、図4Fに示す各絶対値コードに対して第2の磁気パターン12aの1周期区間が割り当てられており、内挿器35によって第2の磁気パターン12aの1周期区間の絶対値を示す区間絶対置信号(図4Bを参照)を生成するためである。図4Gに示すコード絶対値信号は、加算器34に入力される。
加算器34は、ROM33から出力されたコード絶対値信号(図4Gを参照)と、内挿器35から出力された区間絶対置信号(図4Bを参照)を加算し、図4Hに示す絶対位置信号を生成する。この絶対位置信号は、磁気スケール2に対する検出ヘッド3の絶対位置を示す信号である。つまり、図4Hに示す絶対位置信号によって、磁気スケール2に対する検出ヘッド3の絶対位置を検出することができる。
次に、磁気スケール2に設けた第1の磁気トラックの磁束が第2の磁気トラックの磁束に及ぼす影響について、図5〜図8を参照して具体的に説明する。
図5は、磁気スケール2に設けた第1〜第3の磁気トラック11〜13の幅に具体的な値を入れた説明図である。第1〜第3の磁気トラック11〜13の幅とは、各磁気トラック11〜13における磁気スケール2の幅方向に平行な辺の長さ、言い換えると、各磁気トラック11〜13のこれらが延在される方向と直交する辺の長さである。
図5に示すように、第1及び第2の磁気トラック11,12の幅は、それぞれ15mmに設定され、両者間の離間距離も15mmに設定されている。つまり、第1及び第2の磁気トラック11,12の幅及び位置関係は、図10に示す従来の磁気スケール101の第1及び第2の磁気トラック111,112の幅及び位置関係と同じになっている。第2の検出部22(図1を参照)は、第2の磁気トラック12の一端から7mm、つまり、第1の磁気トラック11の一端から38mmの位置で第2の磁気パターン12aを検出する。
第3の磁気トラック13の幅は、5mmに設定されており、第1の磁気トラック11の幅の1/3となっている。これは、第3の磁気パターン13aの磁力を、第1の磁気パターン11aの磁力よりも小さくするためである。第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響は、第1の磁気パターン11aに対する第3の磁気パターン13aの極性と、第3の磁気パターン13aの磁力の大小によって変化する。
第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響を小さくするには、第3の磁気パターン13aの極性を第1の磁気パターン11aと逆にすると共に、第3の磁気パターン13aの磁力を第1の磁気パターン11aの磁力よりも小さくする。そして、第3の磁気トラック13の幅を第1の磁気トラック11の幅の1/3程度にすると、第3の磁気パターン13aの磁力が好ましい大きさとなる。
第3の磁気トラック13の幅を第1の磁気トラック11の幅の1/3程度して、第3の磁気パターン13aの磁力を小さくすると、第1及び第3の磁気トラック11,13の磁束は、第2の磁気トラック12上において、互いに弱め合うように干渉する。これにより、第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響を小さくすることができる。
例えば、第3の磁気パターン13aの磁力が、第1の磁気パターン11aの磁力よりも大きい場合、第1及び第3の磁気トラック11,13の磁束が、第2の磁気トラック12上において、互いに弱め合うように干渉しない。また、第3の磁気パターン13aの磁力が小さすぎても、第1及び第3の磁気トラック11,13の磁束が、第2の磁気トラック12上において、互いに弱め合うように干渉しない。このような場合には、第1及び第3の磁気トラック11,13の磁束による影響が大きくなり、第2の検出部22から出力される2相信号の波形が大きく乱れてしまう。
図6は、図5に示す測定線L1上における第3の磁気トラック13の磁束分布を表す磁束分布波形である。なお、図6に示す磁束分布波形は、第1及び第2の磁気トラック11,12の磁束が干渉しない場合の磁束分布波形である。つまり、第1及び第2の磁気トラック11,12がない場合の磁束分布波形である。
図6において、横軸は第1の磁気トラック11の一端からの距離(mm)を示し、縦軸は出力値(V)を示す。波形c1は、検出距離を8mmにした場合の磁束分布を示している。同様に、波形c2は、検出距離を14mmにした場合の磁束分布を示し、波形c3は、検出距離を20mmにした場合の磁束分布を示している。
第3の磁気トラック13の磁束密度は、出力値(V)の絶対値に比例する。つまり、出力値(V)の絶対値が大きければ、第3の磁気トラック13の磁束密度が高くなり、第3の磁気トラック13の磁束による影響が大きくなる。そして、出力値(V)が0近づくほど、第3の磁気トラック13の磁束密度が低くなり、第3の磁気トラック13の磁束による影響が小さくなる。この第3の磁気トラックの磁束を第1の磁気トラック11の磁束に干渉させることにより、第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響を小さくすることができる。
図7は、図5に示す測定線L1上における第1の磁気トラック11及び第3の磁気トラック13の磁束分布を表す磁束分布波形である。つまり、図7は、第3の磁気トラック13の磁束が第1の磁気トラック11の磁束に干渉した場合の磁束分布を表す磁束分布波形である。
図7において、横軸は第1の磁気トラック11の一端からの距離(mm)を示し、縦軸は出力値(V)を示す。波形d1は、検出距離を8mmにした場合の磁束分布を示している。同様に、波形d2は、検出距離を14mmにした場合の磁束分布を示し、波形d3は、検出距離を20mmにした場合の磁束分布を示している。
図7に示すように、第1の磁気トラック11の一端から38mmの位置において、波形d1〜d3の各出力値の絶対値は、図11に示す波形a1〜a3の各出力値の絶対値よりも減少している。これは、第3の磁気トラック13の磁束が第1の磁気トラック11の磁束に干渉し、第1の磁気トラック11の一端から38mmの位置において、互いの磁束を弱め合うためである。つまり、第1の磁気トラック11の一端から38mmの位置において、第1及び第3の磁気トラック11,13の磁束密度が低くなる。これにより、第1の磁気トラック11の一端から38mmの位置(第2の磁気パターン12aを検出する位置)において、第1の磁気トラック11の磁束による影響を従来よりも小さくすることができる。
図8は、図5に示す測定線L2上における第1の磁気トラック11及び第3の磁気トラック13の磁束分布を表す磁束分布波形である。つまり、図7は、第3の磁気トラック13の磁束が第1の磁気トラック11の磁束に干渉した場合の磁束分布を表す磁束分布波形である。なお、測定線L2は、第1の磁気トラック11の一端から38mmの位置で磁気スケール2の長手方向に延びる線である。
図8において、横軸は磁気スケール2の長手方向の距離(mm)を示し、縦軸は出力値(V)を示す。波形e1は、検出距離を8mmにした場合の磁束分布を示している。同様に、波形e2は、検出距離を14mmにした場合の磁束分布を示し、波形e3は、検出距離を20mmにした場合の磁束分布を示している。
図8に示すように、波形e1〜e3の各出力値の絶対値は、図12に示す波形b1〜b3の各出力値の絶対値よりも減少している。特に、波形e1の出力値の絶対値は、波形b1の出力値の絶対値に比べて大幅に減少している。つまり、図12に示す波形b1は、出力値(V)が約0.03V〜約−0.03Vの間で振幅しているのに対し、本発明に係る波形e1は、出力値(V)が約0.02V〜約−0.02Vの間で振幅している。
このように、第1の磁気トラック11の磁束に第3の磁気トラック13の磁束を干渉させることにより、第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響を小さくすることができる。その結果、第1の磁気トラック11と第2の磁気トラック12との離間距離を短くしても、第2の検出部22から出力される2相信号の波形が乱れることを抑制することができ、検出ヘッド3の絶対位置を高精度に計測することができる。したがって、磁気スケール2の小型化を図ることができる。
本例では、第3の磁気パターン13aの磁力を第1の磁気パターン11aの磁力よりも小さくするために、第3の磁気トラック13の幅を第1の磁気トラック11の幅の1/3にした。しかしながら、本発明に係る第3の磁気トラック13の幅としては、第1の磁気トラック11の幅の1/3にすることに限定されるものではなく、適宜設定することができるものである。その場合、第2の磁気トラック12上において、第1及び第3の磁気トラック11,13の磁束が干渉して互いに弱め合うように、3の磁気パターン13aの磁力の大きさを設定する。
また、本例では、コード生成部31によって第1の絶対値コードと第2の絶対値コードを生成し、内挿器35から出力される切換信号に基づいて両コードの一方を選択する構成とした。しかしながら、本発明に係る絶対値コードの種類としては、1種類であってもよく、また、3種類以上であってもよい。
例えば、1種類の絶対値コードを用いる場合、第1の検出部21には第1の磁気センサ群25のみを設ければよく、コード生成部31には第1の比較器群37を設ければよい。その際、第2の検出部22の正弦波発生用磁気センサ28は、磁気センサ25a〜25hの隣り合うセンサ間の中間部に対応する位置に配置する。そして、余弦波発生用磁気センサ29は、正弦波発生用磁気センサ28に対して第2の磁気パターン12aの1/4周期或いは1/4周期の奇数倍だけ間隔をあけて配置する。なお、1種類の絶対値コードを用いる場合は、絶対値コードを選択する必要がないため、内挿器35から切換信号を出力させなくてよい。
図9は、本発明の絶対値型磁気スケール装置の第2の実施の例を説明するものであり、磁気スケールの一部を拡大して示す説明図である。
本発明の絶対値型磁気スケール装置の第2の実施の例は、絶対値型磁気スケール装置1と同様の構成を有しており、異なるところは、磁気スケール2の第3の磁気トラック15のみである。そのため、ここでは、第3の磁気トラック15について説明し、絶対値型磁気スケール装置1と共通する部分には同一符号を付して重複した説明を省略する。
図9に示すように、磁気スケール2の第3の磁気トラック15には、S極及びN極の組合せからなる第3の磁気パターン15aが記録されている。この第3の磁気パターン15aは、第1パターン列41と、第2パターン列42と、第3パターン列43からなっている。3つのパターン列41〜43は、第3の磁気トラック15の幅方向に並んでおり、第1の磁気トラック11側から第1パターン列41、第2パターン列42、第3パターン列43の順に配置されている。なお、第3の磁気トラック15の幅とは、磁気スケール2の幅方向に平行な長さである。
3つのパターン列41〜43の各S極及び各N極は、磁気スケール2の長手方向に平行な長さがそれぞれピッチPに設定されており、第1の磁気パターン11aと同期している。また、3つのパターン列41〜43は、第3の磁気トラック15の幅方向隣り合うパターン列が互いに逆の極性となるように形成されている。さらに、第1パターン列41は、第1の磁気トラック11の第1の磁気パターン11aと逆の極性となっている。
第1パターン列41の幅は、第1の磁気トラック11の幅の1/3に設定されている。そして、第2のパターン列42の幅は、第1パターン列41の幅の1/3に設定されており、第3のパターン列43の幅は、第2のパターン列42の幅の1/3に設定されている。本実施の形態では、第1の磁気トラック11の幅が15mmに設定されているため、第1パターン列41の幅が5mmとなる。そして、第2のパターン列42の幅が約1.67mmとなり、第3のパターン列43の幅が約0.56mmとなる。
このような第3の磁気パターン15aを有する第3の磁気トラック15の磁束と第1の磁気トラック11の磁束が干渉すると、2つの磁気トラック11,15の磁束密度が、第2の磁気トラック12(図5を参照)に近づくにつれて減衰する。つまり、図7に示すような波形d1〜d3の振幅が減衰し、第1の磁気トラック11のみを設けた場合よりも短い距離で出力値0に近づくようになる。そのため、第2の磁気トラック12上における第1の磁気トラック11の磁束の影響を小さくすることができる。その結果、第2の検出部22(図1を参照)から出力される2相信号の波形が乱れることを抑制することができ、検出ヘッド3の絶対位置を高精度に計測することができる。
本例では、第3の磁気パターン15aを3つのパターン列41〜43により構成したが、本発明に係る第3の磁気パターンとしては、2つのパターン列から構成してもよく、また、4つ以上のパターン列から構成することもできる。
また、本例では、3つのパターン列41〜43の幅を、それぞれ第1の磁気トラック11側パターン列の1/3にする構成としたが、本発明に係るパターン列の幅としては、適宜設定することができるものである。その場合、2つの磁気トラック11,15の磁束密度が、第2の磁気トラック12に近づくにつれて減衰し、第1の磁気トラック11のみを設けた場合よりも短い距離で0に近づくように、3つのパターン列41〜43の各磁力の大きさを設定する。
以上説明したように、本発明の絶対値型磁気スケール装置では、第2の磁気トラック上において、第1の磁気トラックの磁束と第3の磁気トラックの磁束が互いに弱め合うように干渉する。そのため、第2の磁気トラック上における第1の磁気トラックの磁束の影響を小さくすることができる。その結果、第1の磁気トラックと第2の磁気トラックとの離間距離を短くしても、第2の検出部から出力される2相信号が乱れることを抑制することができ、検出ヘッドの絶対位置を高精度に計測することができる。したがって、磁気スケールの小型化を図ることができる。
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。前記実施の形態では、非繰り返しコード(絶対値コード)を8ビットで表す構成としたが、本発明に係る非繰り返しコードとしては、7ビット以下で表す構成としてもよく、また、9ビット以上で表す構成としてもよい。つまり、本発明に係る非繰り返しコードとしては、磁気スケールの全長を考慮して設定することができ、n(nは正の整数)ビットで表す構成とすることができる。
本発明の絶対値型磁気スケール装置の第1の実施の例の構成を示す構成図である。 本発明の絶対値型磁気スケール装置の第1の実施の例に係る内挿パターンを説明する説明図である。 本発明の絶対値型磁気スケール装置の第1の実施の例に係る内挿器に入力される2相信号と、内挿器から出力される区間絶対置信号及び切換信号との関係を表す波形図である。 本発明の絶対値型磁気スケール装置の第1の実施の例の動作を説明するタイムチャートである。 本発明の絶対値型磁気スケール装置の第1の実施の例に係る磁気スケールの第1〜第3の磁気トラックを説明する説明図である。 図5に示す測定線L1上における第3の磁気トラックの磁束分布を表す磁束分布波形である。 図5に示す測定線L1上における第1の磁気トラック11の磁束と第3の磁気トラックの磁束の磁束分布を表す磁束分布波形である。 図5に示す測定線L2上における第1の磁気トラック11の磁束と第3の磁気トラックの磁束の磁束分布を表す磁束分布波形である。 本発明の絶対値型磁気スケール装置の第2の実施の例を説明するものであり、磁気スケールの一部を拡大して示す説明図である。 従来の絶対値型磁気スケール装置に係る磁気スケールの例を示す説明図である。 図10に示す測定線L1上における第1の磁気トラックの磁束分布を表す磁束分布波形である。 図10に示す測定線L2上における第1の磁気トラックの磁束分布を表す磁束分布波形である。
符号の説明
1…絶対値型磁気スケール装置、 2…磁気スケール、 3…検出ヘッド、 4…ディテクタ、 11…第1の磁気トラック、 11a…第1の磁気パターン、 12…第2の磁気トラック、 12a…第2の磁気パターン、 13,15…第3の磁気トラック、 13a,15a…第3の磁気パターン、 21…第1の検出部、 22…第2の検出部、 31…コード生成部、 32…デコーダ、 33…ROM(コード絶対値信号生成部)、 34…加算器(加算部)、 35…内挿器(区間絶対値信号生成部)、 41…第1パターン列、 42…第2パターン列、 43…第3パターン列

Claims (6)

  1. n(nは正の整数)ビットの非繰り返しコードを表す第1の磁気パターンが記録された第1の磁気トラックと、前記第1の磁気トラックと所定の間隔をあけて平行に延在され、一定の周期が繰り返される第2の磁気パターンが記録された第2の磁気トラックと、前記第1の磁気トラックの前記第2の磁気トラック側に隣接して配置され、前記第1の磁気パターンと逆の極性となる第3の磁気パターンが記録された第3の磁気トラックとを有する磁気スケールと、
    前記磁気スケールに対して相対的に移動可能であって、前記第1の磁気パターンを検出する第1の検出部と、前記第2の磁気パターンを検出して互いに90度の位相差がある2相信号を出力する第2の検出部とを有する検出ヘッドと、
    前記第1の検出部の検出結果に基づいてnビットで表される絶対値コードを生成するコード生成部と、前記絶対値コードに所定の値を割り当てることによりコード絶対値信号を生成するコード絶対値信号生成部と、前記第2の検出部によって出力された2相信号に基づいて前記第2の磁気パターンの1周期区間の絶対値を示す区間絶対置信号を生成する区間絶対置信号生成部と、前記コード絶対値信号と前記区間絶対値信号とを加算して前記磁気スケールに対する前記検出ヘッドの絶対位置を示す絶対位置信号を生成する加算部とを有するディテクタと、を備えた
    ことを特徴とする絶対値型磁気スケール装置。
  2. 前記第3の磁気パターンの磁力は、前記第1の磁気パターンの磁力よりも弱い
    ことを特徴とする請求項1記載の絶対値型磁気スケール装置。
  3. 前記第3の磁気トラックの当該第3の磁気トラックが延在される方向と直交する方向の幅を、前記第1の磁気トラックの当該第1の磁気トラックが延在される方向と直交する方向の幅よりも小さくし、前記第3の磁気パターンの磁力が前記第1の磁気パターンの磁力より弱くなるようにした
    ことを特徴とする請求項2記載の絶対値型磁気スケール装置。
  4. 前記第3の磁気トラックの前記幅は、前記第1の磁気トラックの前記幅の1/3とした
    ことを特徴とする請求項3記載の絶対値型磁気スケール装置。
  5. 前記第3の磁気トラックは、当該第3の磁気トラックの前記幅の2倍の距離だけ前記第2の磁気トラックから離間して配置される
    ことを特徴とする請求項4記載の絶対値型磁気スケール装置。
  6. 前記第3の磁気パターンは、前記第3の磁気トラックの幅方向に並ぶ複数のパターン列を有し、
    前記複数のパターン列は、前記第3の磁気トラックの幅方向に隣り合うパターン列が互いに逆の極性となり、かつ、前記第1の磁気トラックに隣接されるパターン列が前記第1の磁気パターンと逆の極性となる
    ことを特徴とする請求項1記載の絶対値型磁気スケール装置。
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