JP2009216235A - 可変減衰力ダンパ及びその製造方法 - Google Patents

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洋平 近藤
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英俊 天野
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真司 山下
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肇 梶原
Hiroshi Ogasa
博司 小笠
Yoshitomo Azekatsu
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Abstract

【課題】生産性が高く、低コストで生産することができ、しかも耐久性に優れた可変減衰力ダンパ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】可変減衰力ダンパ10は、磁性流体が充填されるシリンダチューブ12と、シリンダチューブ12の内部を第1油室14と第2油室15とに画成し、磁性流体を第1油室14と第2油室15との間で流通させる連通孔を有し、この連通孔内の磁性流体に磁界を印加するコイル33を備えたピストン16とを具備し、コイル33への通電によって連通孔内の磁性流体の粘性を変化させて減衰力を制御する。シリンダチューブ12は、その内周面に無電解Niめっきと加熱処理によって形成されたビッカース硬度が800VHN以上のNiめっき膜22を備え、ピストン16をNiめっき膜22に対して摺動させる構造とした。
【選択図】図2

Description

本発明は可変減衰力ダンパに関し、例えば、道路車両等における車体の振動を減衰させるために用いられる可変減衰力ダンパ及びその製造方法に関する。
分散媒としての一様な鉱物油等のオイルに、分散質として真球状で平均粒径が数μm程度の強磁性を有する微粒子(以下「磁性粒子」という)を分散させたMR流体(Magneto-Rheological Fluid)を用いた可変減衰力ダンパ(以下「MRダンパ」という)が知られている。
MR流体は、磁場の影響を受けていないときは一般的な油圧作動油と同様に液状であり、ニュートン流体としての挙動を示すが、外部から磁場が加えられた場合には、MR流体中に均一に分散していた強磁性微粒子が磁場方向に沿って連結し、鎖状のクラスタを形成する。このクラスタが変形(流れ)に対して抵抗するために、見かけの粘度が急激に大きくなり、流動時には降伏応力を有する塑性流体の挙動を示す。MR流体の磁場によるこのような粘性変化は可逆的であり、磁場を除くことにより速やかに元の状態に戻る。また、磁場の強さを調節することにより粘度変化の程度を調節することができる。さらに、このMR流体の状態変化は極めて高速で生じ、磁場の変化に対する応答性は、数ミリ秒のレベルである。
MRダンパは、このようなMR流体をシリンダチューブに充填し、このシリンダチューブの内部に第1油室(第1の室)と第2油室(第2の室)とが画成されるようにピストンを配置すると共に、第1油室と第2油室との間でMR流体が流通できるようにピストンに連通孔を設け、さらに連通孔内のMR流体に磁場を印加する電磁コイルをピストンに内蔵させた構造となっている。そして、電磁コイルへの通電(すなわち、MR流体への磁場の印加)による連通孔内のMR流体の粘性変化を利用して、減衰力を可変に制御する。
MRダンパの動作時には、ピストンがシリンダチューブに対して摺動するため、MR流体中の磁性粒子がシリンダチューブの内周面とピストンの外周面に衝突して摩耗作用を引き起こす。磁性粒子には鉄粉等が用いられるため、鉄よりも硬度の小さい素材でシリンダチューブやピストンを構成すると、摩耗作用が大きく影響し、シリンダチューブとピストンのそれぞれの摺動面が大きく削られてしまい、減衰力を発生させることが困難になる。
そこで、MR流体を封入するシリンダチューブの内周面に最初に無電解ニッケル(Ni)めっきを施してNiめっき膜を形成し、このNiめっき膜の表面にさらにクロム(Cr)めっきによりCrめっき膜を形成するという構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。無電解Niめっきにより形成されたNiめっき膜のビッカース硬度が、大凡、550〜700VHN(VHN:Vickers Hardness Number)であるのに対して、Crめっきにより形成されたCrめっき膜のビッカース硬度は、大凡、900〜1000VHNであるため、このように硬度の大きいCrめっき膜を摺動面に備えさせることにより、磁性粒子によるシリンダチューブの摩耗を抑制している。
また、MRダンパでは、ダンパ性能及び耐久性の観点から、ピストンロッドの表面粗さ(面粗度)が重要となる。すなわち、MRダンパでは、ピストンロッドが摺動することによってMR流体中の磁性粒子が外部に流出するのを防ぐために、シリンダチューブの内周にシール部材を設けているが、ピストンロッドの表面粗さが粗い(つまり、面粗度が大きい)場合には、ピストンロッド表面の凹凸の凹部に磁性粒子が入り込んでシール部材を通り抜けて外部に流出してしまうおそれがある。
そこで、このような問題を解決する技術として、ピストンロッドの外周にCrめっきによりCrめっき膜を設け、テープ研磨法等を用いてその表面を平滑な真円にする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
米国特許第6464051号明細書 米国特許第6516926号明細書
MRダンパでは、シリンダチューブとピストンとは一般的にはメタルコンタクトされており、シリンダチューブとピストンとの間のクリアランスには高い精度が要求される。しかし、Crめっきは電気(電解)めっきであるためにCrめっき膜の膜厚をCrめっき条件の制御によって均一にすることが困難である。また、シリンダチューブの内周面へのCrめっき膜の形成では、さらに膜厚にばらつきが生じやすい。そのため、例えば、Crめっきにおいて本来必要とされる膜厚よりも十分に厚いCrめっき膜を形成し、その後にCrめっき膜をホーニング加工等の研削・研磨により所望の膜厚とすることで、前記クリアランスに対する要求精度を満たしている。
例えば、内周面に厚さ40μmのCrめっき膜を備えたシリンダチューブを製造する場合には、シリンダチューブの内周面に最大厚さが約100μmとなるようにCrめっき膜をCrめっきにより形成し、その後に、ホーニング加工等の研削・研磨によって膜厚を40μmに調整する必要がある。このような製造方法では、Crめっきの処理時間が長くなることやホーニング加工等の研削・研磨に一定の処理時間が必要になることから生産性が低下し、また、Crめっきに対するコストとホーニング加工等の研削・研磨に対するコストが嵩むという問題がある。
ピストンロッドにCrめっき膜を形成する場合も、これと同様に、所望の厚さよりも十分に厚いCrめっき膜をCrめっきにより形成した後、研磨テープ等を用いてCrめっき膜を研磨して表面粗さを小さくしながら、真円加工する必要がある。このようなピストンロッドの製造方法では、研磨コストが嵩み、研磨作業の処理時間が長くなることで生産性が低下するという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、生産性が高く、低コストで生産することができ、しかも耐久性に優れた可変減衰力ダンパ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る可変減衰力ダンパは、磁性粒子を含む磁性流体または磁気粘性流体である作動流体が充填されるシリンダチューブと、前記シリンダチューブの内部を第1の室と第2の室とに画成し、前記作動流体を前記第1の室と前記第2の室との間で流通させる連通孔を有し、前記連通孔内の作動流体に磁場を印加する電磁コイルを備えたピストンと、を具備し、前記電磁コイルへの通電によって前記連通孔内の作動流体の粘性を変化させて減衰力を制御する可変減衰力ダンパであって、前記可変減衰力ダンパは、伸縮時に前記磁性粒子の影響下で摺動する摺動面を備え、前記摺動面は、その表面にビッカース高度が800VHN以上のニッケルめっき膜を備えていることを特徴とする。
このようなビッカース硬度が800VHN以上のニッケルめっき膜は、摺動面に無電解ニッケルめっきを施し、この無電解ニッケルめっきにより形成されたニッケルめっき膜を、200℃〜600℃で0.5〜5時間熱処理することにより、形成することができる。
本発明に係る可変減衰力ダンパは、摺動面に形成されたニッケルめっき膜の硬度が従来のCrめっき膜の硬度と同等であるために、優れた耐久性を示す。また、無電解ニッケルめっき工程において所望の膜厚精度(寸法精度)を有するニッケルめっき膜を形成することができるため、ホーニング加工等の研削・研磨を行う必要がなく、高い生産性が得られる。
本発明に係る可変減衰力ダンパにおいて、前記ニッケルめっき膜は、リンを含むと共に、ホウ素,タングステン,窒化ホウ素及び炭化珪素から選ばれる1または複数をさらに含有していることが好ましい。リン,ホウ素及びタングステンはニッケルと化学結合してニッケルめっき膜に含まれ、窒化ホウ素と炭化珪素はニッケルめっき膜に分散して含まれる。リン,ホウ素,タングステン,窒化ホウ素,炭化珪素はそれぞれ、ニッケルと共析させることにより、ニッケルめっき膜に含有させることができる。
このような構成によれば、ニッケルめっき膜の摩擦係数を小さくすることができ、また、所望の摩擦係数に調整することも可能となる。これにより、ニッケルめっき膜自体の耐摩耗性を調整することができ、摺動相手材に対する攻撃性を調整することができる。また、ニッケルめっき膜を高硬度化することによって、優れた耐久性(耐摩耗性)を得ることができる。
本発明に係る可変減衰力ダンパにおいて、前記摺動面としては、前記ピストンの外周面と前記シリンダチューブの内周面との摺動面が挙げられ、少なくともシリンダチューブの内周面にニッケルめっき膜が設けられていることが好ましい。この場合にはさらに、前記ニッケルめっき膜に対する前記ピストンの軸芯方向における摺動部長さが50mmの場合に前記ニッケルめっき膜の膜厚は15μm以上となっており、前記摺動部長さが50mmよりも短い場合には、当該摺動部長さが短くなるにしたがって前記ニッケルめっき膜の膜厚が15μmより厚くなるように、当該ニッケルめっき膜の膜厚が設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、シリンダチューブの内周面に形成されたニッケルめっき膜の経年摩耗を、ピストンにおけるニッケルめっき膜との摺動部分の軸芯方向長さに依存させないようにすることができる。
本発明に係る可変減衰力ダンパとしては、一端が前記ピストンに取り付けられ、他端が前記シリンダチューブの外部へと延びるピストンロッドをさらに具備し、前記シリンダチューブは、その一端に前記ピストンロッドを挿通させるように配置される円筒状のロッドガイド部を有する構成のものが挙げられる。この場合に、前記ロッドガイド部の内周面と前記ピストンロッドの外周面との摺動面が前記摺動面の1つであり、少なくとも前記ピストンロッドの外周面に前記ニッケルめっき膜が設けられていることが好ましい。
このように、ピストンロッドの外周面に無電解ニッケルめっきによるニッケルめっき膜を形成することにより、ピストンロッドの摩耗が抑制されるだけでなく、ピストンロッドの外周面の表面粗さを小さくすることができるため、ピストンロッドの外周面の凹凸に起因して磁性粒子が外部へ漏洩することを防止し、耐久性を向上させることができる。
本発明によれば、磁性粒子の影響下で摺動する摺動面に高硬度のニッケルめっき膜を形成することにより、優れた耐摩耗性が得られ、磨耗量が低減される。これにより、耐久性が向上し、減衰力を長期にわたって一定に維持することができる。また、所定の摺動面に対して行うめっき工程を、無電解ニッケルめっきのみで終了させることができるために、めっき工程を簡略化し、めっき工程に係るコストを低減することができる。さらに、無電解ニッケルめっきのみにより所望の精度を有するニッケルめっき膜を形成することができるので、例えば、シリンダチューブにニッケルめっき膜を形成した場合には、寸法調整のためにホーニング加工等の研削・研磨を行う必要がなく、ピストンロッドにニッケルめっき膜を形成した場合にはテープ研磨を行う必要がなく、こうして、生産コストを低減することができる。ニッケルめっき膜をピストンロッドの外周面に形成することにより、その表面粗さを小さくして、磁性粒子の外部への排出を抑制して、耐久性を向上させることができる。
本発明において、ニッケルめっき膜にホウ素等の所定の元素または窒化ホウ素等の所定の化合物を含有させることによって、ニッケルめっき膜の硬度と摩擦係数を調整することができる。ニッケルめっき膜を高硬度化することによって、優れた耐摩耗性が得られ、磨耗量が低減される。また、ニッケルめっき膜の摩擦係数を調整することによって、摺動相手材への攻撃性を低下させて、摺動相手材の磨耗量を低減することができる。こうして、摺動面でのトータルの磨耗量が低減され、耐久性が向上する。
本発明において、シリンダチューブにニッケルめっき膜を形成する場合に、ニッケルめっき膜の膜厚をピストンの軸芯方向における摺動部長さに合わせて変化させることにより、経年変化によってニッケルめっき膜が摩滅して、シリンダチューブの地肌が露出し、その地肌が摩耗してしまうことを抑制することができる。こうして、耐久性が向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
《可変減衰力ダンパの全体構造》
図1に本発明の一実施形態に係る可変減衰力ダンパの概略構造を表した断面図を示す。可変減衰力ダンパ10は、所謂、モノチューブ式(ド・カルボン式)の構造を有しており、MR流体が充填された円筒状のシリンダチューブ12と、シリンダチューブ12の軸芯方向にスライド自在なピストンロッド13と、ピストンロッド13の先端に装着され、シリンダチューブ12内を第1油室(第1の室)14と第2油室(第2の室)15とに画成するピストン16と、第2油室15と高圧ガス室17を画成するフリーピストン18を備えている。
シリンダチューブ12は、その一端に、シリンダチューブ12の開口を封止するロッドガイド部19を備えている。ロッドガイド部19は円筒形状を有し、その中心孔にピストンロッド13が挿通されており、ロッドガイド部19の内周面とピストンロッド13の外周面とが摺動する。ロッドガイド部19には、MR流体の外部への漏れを防止するためのパッキン25が設けられている。ピストンロッド13の構造については、後に詳細に説明する。
シリンダチューブ12の他端には、アイピース12aが設けられている。例えば、可変減衰力ダンパ10を自動車のサスペンションに用いる場合には、アイピース12aに図示しないボルトが嵌挿され、このボルトが車輪側部材であるトレーリングアームと連結される。また、ピストンロッド13の図示しない端部が車体側部材であるダンパベース(ホイールハウス上部)に連結される。自動車の走行中には、ピストン16とフリーピストン18のそれぞれの外周面がシリンダチューブ12の内周面に対して摺動することにより、車輪側から車体側へ伝達される振動が減衰される。
《ピストン16の構造》
図2に可変減衰力ダンパを構成するピストンの部分拡大断面図を示す。ピストン16は、ピストンロッド13と嵌合するピストンコア31と、ピストンコア31の軸芯方向端にそれぞれ設けられるサイドカバー32a,32bと、ピストンコア31の外周近傍においてピストンコア31に埋設されたコイル(電磁コイル)33と、ピストンコア31の外周との間に一定の間隙35cが形成されるようにピストンコア31を囲繞する円筒状のピストンリング34とを備えている。
サイドカバー32a,32bにはそれぞれ孔部35a,35bが形成されており、ピストン16においては、孔部35a,35b及び間隙35cが相互に連通して連通孔を構成している。この連通孔を通して第1油室14と第2油室15とが連通しており、MR流体はこの連通孔を介して流通可能となっている。制御装置(図示せず)からピストンロッド13及びピストン16の内部に配設された配線36を通してコイル33に電流が供給されると、間隙35cを流通するMR流体に磁場が印可されて、MR流体に含まれる強磁性微粒子が鎖状クラスタを形成し、間隙35c内を通過するMR流体の見かけ上の粘度を増大させる。MR流体に印加する磁場の大きさを制御することにより、減衰力を可変に制御することができる。
ピストンリング34は、円筒形状を有しており、その両端がかしめ加工等によって、サイドカバー32a,32bに密嵌されている。図2に示されるように、ピストンリング34の外径は軸芯方向において一定ではなく、中央部の一定長さ範囲において外径は一定であるが、端部に向かうにしたがって外径は短くなっている。この外径が一定となっている部分が実質的にシリンダチューブ12の内周面に対して摺動する摺動部となっている。この摺動部の軸芯方向長さを“L”として、以下、“ピストン摺動部長さL”ということとする。なお、ピストン摺動部長さLは、シリンダチューブ12の内周面に形成されているNiめっき膜22(後述する)の膜厚に関係するパラメータであり、当該関係については後に詳細に説明する。
《シリンダチューブ12の構造と製造方法》
シリンダチューブ12は、図2に示されるように、鉄やステンレス等の金属からなるシリンダ母材21の内周面にNiめっき膜22が形成された構造を有している。ピストン16とフリーピストン18(図1)は、このNiめっき膜22に対して摺動する。Niめっき膜22は結晶質で、そのビッカース硬度は800VHN以上である。このように高硬度のNiめっき膜22は優れた耐摩耗性を有しているため、シリンダチューブ12の内周面の経年磨耗が抑制され、可変減衰力ダンパ10の減衰力を長時間にわたって一定に維持することができる。
Niめっき膜22は、シリンダチューブ12の内周面に無電解Niめっきを施し、こうして形成されたNiめっき膜を、200℃〜600℃で0.5〜5時間、熱処理することにより、形成することができる。なお、Niめっき膜22はシリンダチューブ12の外周面にも形成されてもよい。無電解Niめっきにより形成されたNiめっき膜(熱処理前)は非晶質であるが、このNiめっき膜(熱処理前)は熱処理によって結晶化する。これは、無電解Niめっきの化学反応プロセス上、無電解Niめっきにより形成されるNiめっき膜(熱処理前)には、一般的に、リン(P)が含まれているため、熱処理によってNiとPとが化学反応を起こし、NiPの結晶相が形成されるためである。
可変減衰力ダンパ10では、シリンダチューブ12とピストン16とをメタルコンタクトさせる必要があるため、シリンダチューブ12の内半径とピストン16の摺動部における外半径との差、すなわちシリンダチューブ12とピストン16との間のクリアランス(以下単に「クリアランス」という)には高い精度が要求され、具体的には50μm程度の値が要求される。
無電解Niめっきでは、Niめっき膜22の膜厚均一性を±2〜3μmのレベルで容易に制御しながら、所望の膜厚までNiめっき膜22を成長させることができる。こうして、Niめっき膜22に要求される膜厚均一性の精度を無電解Niめっきの工程において実現することができることによって、クリアランスについても要求精度を実現することができる。よって、シリンダチューブ12の製造プロセス、すなわち可変減衰力ダンパ10の製造プロセスにおいて、Niめっき膜22の膜厚をホーニング加工等の研削・研磨によって調整する必要がないため、加工コストを削減して、生産コストを低減することができる。また、従来必要とされていたCrめっきを行う必要がなく、めっき工程を簡略化することができるため、めっき工程に係るコストを低減することができる。なお、Niめっき膜22に対してさらにホーニング加工等の研削・研磨を行ってもよい。
《Niめっき膜22の構成成分と摩擦特性》
Niめっき膜22は、前記の通り、リン(P)を含むことが好ましい。Pは、例えば、無電解Niめっきで用いられる一般的な還元剤である次亜リン酸(HPO)を用いることにより、Niと共析させることができる。Niめっき膜22はさらに、ホウ素(B),タングステン(W),窒化ホウ素(BN)及び炭化珪素(SiC)(以下「添加成分」という)から選ばれる1または複数をさらに含有していることが好ましい。B,WはNiと化学結合した形態でNiめっき膜22中に存在する(以下、「Ni−P−W」,「Ni−P−B」のように記す)。一方、BN,SiCはNiめっき膜22中に分散して存在し、金属−セラミックス複合材料を構成する(以下、「Ni−P+BN」,「Ni−P+SiC」のように記す)。B,W,BN及びSiCはそれぞれ、めっき液からの共析によりNiめっき膜22に含有させることができる。
なお、Niめっき膜22への添加成分は、前記した各種元素(金属)及び化合物に限定されるものではなく、例えば、炭化ホウ素(BC),窒化珪素(Si),アルミナ(Al),ジルコニア(ZrO),窒化アルミニウム(AlN),ダイヤモンド(C)等を用いることもできる。
具体例として、このような添加成分のないNiめっき膜と、W,BN,SiCをそれぞれ含むNiめっき膜22のビッカース硬度及び摩擦特性を、Crめっき膜(従来例)と併せて、表1に示す。添加成分を含有しないNi−Pめっき膜は、Crめっき膜よりも摩擦係数は大きいが、ビッカース硬度が小さいため、表1には示していないが後記する耐久テストの結果に示されるように、相手材攻撃性が低いという特長を有している。
Figure 2009216235
Niめっき膜22の摩擦係数は、前記した添加成分の選択及び添加量を制御することにより、添加成分の物性に依存する一定の範囲で、所望の値に調整することができる。Ni−P−W,Ni−P+BN及びNi−P+SiCの各めっき膜の摩擦係数(動摩擦係数)は、表1に示されるように、Ni−Pめっき膜の摩擦係数よりも小さくなっている。このことから、W,BN及びSiCにはそれぞれ、Niめっき膜22の摩擦係数を小さくする作用のあることがわかる。Niめっき膜22の摩擦係数を小さくすることにより、Niめっき膜22によるピストン16の摺動面(ピストンリング34の摺動面)への攻撃性を低下させることができ、これによりピストン16の摺動面の磨耗量を減少させることができる。
Niめっき膜22のビッカース硬度は、前記した添加成分の選択及び添加量を制御することにより、添加成分の物性に依存する一定の範囲で、所望の値に調整することができる。Ni−P−W,Ni−P+BN及びNi−P+SiCの各めっき膜のビッカース硬度は、表1に示されるように、Ni−Pめっき膜のビッカース硬度よりも大きくなっており、W,BN及びSiCにはそれぞれ、Niめっき膜22のビッカース硬度を増大させる作用のあることがわかる。このような作用は、添加成分としてB,BC,Siを用いた場合にも同様に得られる。Niめっき膜22のビッカース硬度を高めることによって、Niめっき膜22自体の耐摩耗性を向上させることができる。これに対してCrめっきでは、ビッカース硬度が1000VHNを超えるCrめっき膜を形成することは困難である。
表1に示されるように、Ni−P−Wめっき膜のビッカース硬度と摩擦係数はCrめっき膜と同等であるが、PIN摩耗量が小さく、相手攻撃性が低いという特長を有している。Ni−P+BNめっき膜では、ビッカース硬度はCrめっき膜よりも若干大きく、摩擦係数はCrめっき膜と同等であるが、PIN摩耗量が小さく、相手攻撃性も低い。Ni−P+SiCめっき膜では、ビッカース硬度がCrめっき膜よりも大きく、摩擦係数がCrめっき膜よりも若干大きい。PIN摩耗量は、Ni−P+SiCめっき膜の方がCrめっき膜よりも大きくなっており、相手材攻撃性が高くなっていることがわかる。Ni−P+SiCめっき膜は、相手材攻撃性を低下させるという観点からではなく、Ni−P+SiCめっき膜自体が優れた耐摩耗性を示すという観点から用いられる。Niめっき膜22としてNi−P+SiCめっき膜を用いる場合には、ピストンリング34として、Ni−P+SiCめっき膜と摺動した際の摩耗量が小さくなる材料を選定することが好ましい。
Niめっき膜22の摩擦係数と硬度は、シリンダチューブ12とピストン16との摩擦バランスがよくなるように、例えば、Niめっき膜22とピストン16の摺動部のトータルの磨耗量が最も小さくなるように、ピストンリング34の材質を考慮して、調整することが好ましい。これにより、優れた耐久性を有する可変減衰力ダンパ10を得ることができる。また、Niめっき膜22とピストン16の摺動部のトータルの磨耗量を小さくすることによって、可変減衰力ダンパ10の減衰力を長期間にわたって一定に維持することができる。
《Niめっき膜22の膜厚とピストン摺動部長さLとの関係》
Niめっき膜22の膜厚は可変減衰力ダンパ10の耐久性(寿命)を決定する因子である。Niめっき膜22の膜厚を厚くすると耐久性は向上する。しかし、Niめっき膜22の膜厚を必要以上に厚くすると、生産性を低下させ、生産コストを増大させることとなる。そのため、耐久性及び生産性の観点から適切とされるNiめっき膜22の膜厚(最小限必要とされる膜厚)は、使用環境を考慮して適宜決定することが好ましい。
可変減衰力ダンパ10では、Niめっき膜22に対するピストン摺動部長さLが50mmの場合にNiめっき膜22の膜厚が15μm以上となっていることが好ましい。また、ピストン摺動部長さLが50mmよりも短い場合には、ピストン摺動部長さLが短くなるにしたがってNiめっき膜22の膜厚が15μmより厚くなるように、Niめっき膜22の膜厚が設定されていることが好ましい。このような可変減衰力ダンパ10は、自動車のサスペンションに好適に用いることができる。
なお、Niめっき膜22の膜厚の設定において、前記した「ピストン摺動部長さLが短くなるにしたがってNiめっき膜22の膜厚が15μmより厚くなるようにする」とは、より具体的には、後述するように、「Niめっき膜22の膜厚をピストン摺動部長さLの平方根に反比例するように厚くすること」を指す。また、基準値として、ピストン摺動部長さLを50mmとし、Niめっき膜22の膜厚を15μmとしている根拠については、後述する実施例において説明する。
ピストン摺動部長さLが50mmのときにNiめっき膜22の膜厚が15μm未満である場合には、Niめっき膜22の摩耗によってシリンダチューブ12の地肌が現れるまでの時間が短くなってしまい、十分な耐久性が得られない。Niめっき膜22の膜厚の上限値は、安全係数と生産性及び生産コストを考慮して定めることができ、例えば、20μm〜30μmとすることができる。
Niめっき膜22の膜厚をピストン摺動部長さLに応じて変化させるのは、Niめっき膜22に要求される膜厚が、ピストン16の摺動部とNiめっき膜22との間の面圧(以下単に「面圧」という)によって変化することによる。例えば、ピストン16の径方向に所定の大きさの外力(サイドフォース)が作用した場合に、ピストン摺動部長さLが短いと、ピストン16とNiめっき膜22の接触面積が小さくなって、面圧が大きくなる。ピストン16とシリンダチューブ12との間の摩擦環境は、ピストン摺動部長さLが短いほど酷となり、Niめっき膜22の摩耗量が大きくなる。そのため、ピストン摺動部長さLの異なる複数種の可変減衰力ダンパ10が一定の製品寿命を有するように、ピストン摺動部長さLを短くするにしたがってNiめっき膜22の膜厚を厚くすることが好ましい。
ピストン摺動部長さLが50mm未満の場合における、ピストン摺動部長さLとNiめっき膜22の膜厚との具体的な関係は、例えば、所定のピストン摺動部長さLを有するピストン16を用いた耐久テストによるNiめっき膜22の摩耗量と、耐久テストでの面圧及び弾性接触理論(例えば、ヘルツの弾性接触理論)に基づいて求めることができる。以下にその手法を概説する。
[耐久テストの概要]
図3に耐久テストの実施方法を模式的に表した図を示し、図4に耐久テストによる摩耗量の測定方法を模式的に表した図を示す。図3に示されるように、耐久テストは、ピストン16の径方向(ここでは、鉛直下向き)に一定の力(サイドフォース)Fを加えた状態において、シリンダチューブ12における軸芯方向の一定長さ範囲(以下「ピストン摺動範囲」という)内で、ピストン16の摺動部を往復させ、ピストン摺動範囲におけるシリンダチューブ12の内径変化を測定することにより、Niめっき膜22の摩耗量(磨耗した厚さ)Δtを求める。
耐久テスト開始前には、シリンダチューブ12の内径の軸心方向依存性は公差範囲内に止まり、実質的にないと言える。しかし、耐久テスト終了後には、図4に示すように、サイドフォースFによってシリンダチューブ12の内周面に偏摩耗が生じ、摩耗量Δtは径方向によって異なる。そこで、Niめっき膜22の摩耗量ΔtをサイドフォースFの方向と関連付けるため、図4に示すように、サイドフォースFの方向におけるシリンダチューブ12の内径を“F方向内径”とし、サイドフォースFの方向と45°,90°,135°でそれぞれ交差する径方向におけるシリンダチューブ12の内径を、“45°方向内径”,“90°方向内径”,“135°方向内径”として、各内径を市販のシリンダゲージ等を用いて軸芯方向に所定間隔で測定する。これにより、各方向におけるNiめっき膜22の摩耗量Δtを求めることができる。なお、図4では、F方向摩耗量と45°方向摩耗量を具体的に図示している。
[Niめっき膜22の膜厚とピストン摺動部長さLとの関係の算出方法]
図5に円柱部材と凹曲面部材との接触状態を模式的に表した斜視図を示す。図5に示される円柱部材41をピストンリング34とみなし、凹曲面部材42をNiめっき膜22とみなして、ピストンリング34とNiめっき膜22の形状及び素材物性と、サイドフォースFの大きさWと、ピストンリング34とNiめっき膜22との間の面圧PMEANを求める。
具体的には、ピストン摺動部長さLのピストンリング34について、ヤング率をE、ポアソン比をν、外半径をRとし、Niめっき膜22についてヤング率をE、ポアソン比をν、外半径をRとする。サイドフォースFの大きさ(加重)をWとしたとき、ヘルツの弾性接触理論によれば、等価ヤング率Eは式(1)で、等価曲率半径Rは式(2)で、接触半幅bは式(3)で、接触面積Aは式(4)でそれぞれ与えられる。そして、最大ヘルツ圧力PMAXは式(5)で与えられ、面圧(平均ヘルツ圧力)PMEANは式(6)で与えられる。
Niめっき膜22の摩耗量Δtと面圧PMEANとは一次相関関係にあると考えることができる。そこで、その比例係数をKとすれば、式(7)が成立する。式(1)〜(7)より、Niめっき膜22の摩耗量Δtとピストン摺動部長さLとの間には、式(8)で示される関係が成立し、Niめっき膜22の摩耗量Δtはピストン摺動部長さLの平方根に反比例することがわかる。そして、Niめっき膜22の摩耗量Δtは、Niめっき膜22に必要とされる最小膜厚でもある。したがって、この式(8)に基づいて、ピストン摺動部長さLを変更したときに設定すべきNiめっき膜22の最小膜厚を求めることができる。なお、式(8)より、ピストンリング34の半径RやNiめっき膜22の半径Rを変更したとき(この変更はRに反映される)や、ピストンリング34の材質やNiめっき膜22の材質を変更したとき(この変更はEに反映される)に、Niめっき膜22に必要とされる最小膜厚を求めることができる。
Figure 2009216235
《ピストンロッドの構造とロッドガイド部との摺動》
図11に、ピストンロッドの構造と、ロッドガイド部とピストンロッドの摺動状態を模式的に表した図を示す。図11(a)のピストンロッドは本発明例であり、図11(b)のピストンロッドは参考例である。図11(a)に示されるように、ピストンロッド13は、ロッド母材23の外周に無電解NiめっきによりNiめっき膜24が形成された構造を有している。Niめっき膜24の形成方法等は、実質的に先に説明したNiめっき膜22の形成方法等と同じであり、Niめっき膜24には、そのビッカース硬度が800VHN以上となるように、熱処理が施されている。ピストンロッド13の製造においては、その外周を真円とし、かつ、表面粗さを小さくして平滑とするためにテープ研磨等の研磨加工を必要としないため、生産性が高められる。
図11(b)に示されるように、ロッドの外周面の表面粗さが粗い場合には、小さな磁性粒子がロッド外周の凹部に入り込んでしまう。この状態でロッドが大気側(外部)へスライドすると、凹部に入り込んだ磁性粒子が大気中に放出されることとなる。つまり、ロッド外周の凹部が磁性粒子(鉄粉)を排出するためのポンプとして働いてしまうという問題があり、磁性粒子と共にMR流体を構成するオイルもまた排出されることとなる。また、磁性粒子がロッドガイド部19の内周面を摩耗させるという問題が生じる。
これに対して、図11(a)に示されるピストンロッド13では、その外周面は、Niめっき膜24の形成に起因して、ピストンロッド13の外周面は、表面粗さが小さく、平滑性の高い状態となっているため、磁性粒子の大気への排出が防止される。また、ロッドガイド部19の内周面とピストンロッド13の外周面との間に磁性粒子が侵入することを抑制することができるために、ロッドガイド部19の内周面の摩耗が抑制される。
例えば、MR流体に含まれる磁性粒子の大きさが、大凡、2〜5μmであり、かつ、無電解Niめっきにより形成されるNiめっき膜の膜厚精度(ばらつき)が±10%であるとすると、磁性粒子がピストンロッド13とロッドガイド部19との摺動部を介して大気側(外部)へ排出されるのを防ぐためには、Niめっき膜24の膜厚を20μm以下とすることが好ましい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、シリンダ母材21の内周面にNiめっき膜22を設けると共に、ピストンリング34の外周面にも無電解NiめっきによるNiめっき膜を設けて、可変減衰力ダンパを構成してもよい。この場合、Niめっき膜どうしが摺動することとなるが、このときに所望の耐久性が得られるように、例えば、シリンダ母材21側とピストンリング34側とで、無電解Niめっき処理時における共析物を異ならしめる等の制御を行うことが好ましい。
ロッドガイド部19の内周面(摺動面)に無電解NiめっきによるNiめっき膜を設けることも好ましい。この場合には、Niめっき膜に、リン(P)以外にフッ素樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂〔PTFE〕等)を含有させることで(以下「フッ素樹脂含有Niめっき膜」という)、ピストンロッド13との摺動摩擦(フリクション)を低減させることができる。また、フッ素樹脂含有Niめっき膜も、熱処理によりその硬度を高めることができるため、耐摩耗性を向上させることができる。ロッドガイド部19の内周面にフッ素樹脂含有Niめっき膜を設ける場合には、フッ素樹脂含有Niめっき膜のビッカース硬度を360VHN以上とすることで、前記した効果が、より有効に発揮される。
以下に、可変減衰力ダンパを自動車のサスペンションに用いた場合を想定して、シリンダチューブの内周面に形成されるNiめっき膜の耐久テストを行った結果について説明する。
《可変減衰力ダンパの作製》
[実施例1に係る可変減衰力ダンパ]
一般構造用鋼管製のシリンダ母材の内周面に、無電解Niめっき用めっき液を用いて、平均膜厚が40μmとなるように0.1μm/分の成膜速度でNiめっき膜を形成し、その後、315〜327℃で2時間、熱処理した。こうしてビッカース硬度が900VHNであり、表面粗さ(十点平均高さRz)が1.3μmのNiめっき膜(Ni−Pめっき膜)を備え、内径が約φ46mm(公差:5μm以下)のシリンダチューブを得た。なお、Niめっき膜のビッカース硬度と表面粗さは、シリンダ母材と同じ素材からなる一般構造用鋼板製平板材をシリンダ母材と同時並行的に処理することにより形成されたNiめっき膜を用いて、市販のビッカース硬度計、表面粗さ計によりそれぞれ測定した。また、この平板材に形成されたNiめっき膜をXRDにより相同定したところ、NiPの結晶相が形成されていることが確認された。
ピストンは図2に示した構造を有し、ピストンの摺動部とシリンダチューブの内周面との間のクリアランスが約50μmとなるように、直径が約φ45.9mmで、ピストン摺動部長さLが13mmであり、ピストンリングがS25C(機械構造用炭素鋼)からなるものを準備した。また、アルミニウム製のフリーピストンは、O−リング備え、このO−リングがNiめっき膜に対して摺動するものを準備した。これらを用いて、実施例1に係る可変減衰力ダンパ(適宜、図1参照)を作製した。なお、可変減衰力ダンパの第1油室と第2油室には、MR流体を充填した。
[実施例2に係る可変減衰力ダンパ]
実施例1に係る可変減衰力ダンパの作製に用いたシリンダ母材と同等のシリンダ母材の内周面に、実施例1で用いた無電解Niめっき用のめっき液にBN粉末を分散させためっき液を用いて、平均膜厚が40μmとなるように0.1μm/分の成膜速度でNiめっき膜を形成し、その後、315〜327℃で2時間、熱処理した。こうしてビッカース硬度が900VHNであり、表面粗さ(十点平均高さRz)が0.5μmのNiめっき膜(Ni−P+BNめっき膜)を備え、内径が約φ46mm(公差:5μm以下)のシリンダチューブを得た。このシリンダチューブと実施例1に係る可変減衰力ダンパの作製に用いたピストンと同等のピストンとを用いて、実施例2に係る可変減衰力ダンパを作製した。
[比較例に係る可変減衰力ダンパ]
実施例1に係る可変減衰力ダンパの作製に用いたシリンダ母材と同等のシリンダ母材の内周面に、厚さが100μmとなるように、電気めっき法により、Crめっき膜を形成した。形成されたCrめっき膜のビッカース硬度は、900〜1000VHNであった。続いて、内径が約φ46mm(公差:5μm以下)となるように、Crめっき膜にホーニング加工を施した。このシリンダチューブと、実施例1に係る可変減衰力ダンパの作製に用いたピストンと同等のピストンとを用いて、比較例に係る可変減衰力ダンパを作製した。
《耐久テストの条件》
図3を参照して先に説明した耐久テストのテスト方法に準じて、実施例1に係る可変減衰力ダンパについて、ピストンの一径方向(鉛直下向き)に一定のサイドフォースF(荷重を加えた状態において、シリンダチューブの軸芯方向長さが70mmの範囲をピストン摺動範囲として、このピストン摺動範囲内でピストンの摺動部を往復させた。このときフリーピストンは、シリンダチューブの軸芯方向長さの所定範囲内を往復した。テスト終了後に、シリンダチューブ12のF方向内径,45°方向内径,90°方向内径及び135°方向内径(適宜、図4参照)を、市販のシリンダゲージ(計測最小単位:1μm、計測誤差:約1μm)を用いて、シリンダチューブの軸芯方向において所定間隔で測定した。
《耐久テストの結果》
[Niめっき膜の膜厚とピストン摺動部長さLとの関係]
図6に、実施例1の可変減衰力ダンパにおける耐久テスト後のシリンダチューブの前記した各内径の軸芯方向における変化を表したグラフを示す。図6において、耐久テスト後の各内径の変化量がNiめっき膜の摩耗量Δtを表す。ピストン摺動範囲におけるシリンダチューブの内径変化の最大値は、F方向内径において約32μmとなっていることがわかる。90°方向内径については、耐久テストの前後で大きな変化がない。これは、90°方向内径の方向では、ピストンの摺動面がシリンダチューブの内周面と実質的に接触しないことによるものと考えられる。また、MR流体に含まれる磁性粒子によるNiめっき膜の摩耗も実質的に生じていないことが示唆された。
図6に示されるように、ピストン摺動範囲において、その中央領域の内径変化が端部領域の内径変化よりも大きくなる(Niめっき膜22の摩耗量が多くなる)傾向が現れている。これは、中央領域の摺動速度が速いこと、またピストンの全長が通過することによるものと考えられる。
複数の実施例1に係る可変減衰力ダンパを作製し、各可変減衰力ダンパについて前記した耐久テストを行ったところ、Niめっき膜の摩耗量Δtの平均値は30μmとなった。そこで、このNiめっき膜の摩耗量Δt=30μmを基準として、次に、ピストン摺動部長さLとNiめっき膜に必要とされる最小膜厚との関係を求めた。
本耐久テストにおけるピストンリングとNiめっき膜と間の面圧PMEANは、前記した式(1)〜(6)より、6.73MPaと計算される。なお、ピストンリングに用いられているS25Cのヤング率E=210GPa、ポアソン比ν=0.29、Niめっき膜のヤング率E=219GPa、ポアソン比ν=0.31、ピストンリングの半径R=φ22.95mm、Niめっき膜の半径R=23mmとした。
図7にNiめっき膜の摩耗量Δtと面圧PMEANとの関係を表したグラフを示す。Niめっき膜の摩耗量Δtが前記した式(7)により面圧PMEANの一次関数であるとして、その係数Kを求めると“K=4.46[μm/MPa]”となる。この係数Kを用いて、前記した式(8)により、Niめっき膜の摩耗量Δtとピストン摺動部長さLとの関係を求めた。図8にその結果を表したグラフを示す。この図8に示される結果より、ピストン摺動部長さLが50mmである場合には、Niめっき膜の摩耗量Δtが15μmであること、すなわち、Niめっき膜の必要最小膜厚を15μmとしなければならないとの結果が得られた。
なお、図7に示した結果は、Niめっき膜としてNi−Pめっき膜を用いた場合の結果である。前記した種々の添加成分を含有するNiめっき膜を用いる場合についても、同様の試験を行うことにより、Niめっき膜の必要最小膜厚を求めることができる。
[Niめっき膜によるピストンリングへの攻撃性]
実施例1に係る可変減衰力ダンパの耐久テスト後において、ピストンリングにおける摺動部の摩耗量を測定したところ、最大摩耗量が平均で約56μmであった。したがって、Niめっき膜との合計摩耗量は、約86μmとなる。図9にこの合計摩耗量を表したグラフを示す。
実施例1に係る可変減衰力ダンパ10に対する耐久テストと同じ条件で、比較例に係る可変減衰力ダンパに対して耐久テストを行った。その結果、Crめっき膜の摩耗量はF方向内径において約8μmであった。一方、ピストンリングにおける摺動部の摩耗量は約126μmであった。図9にこの合計摩耗量を表したグラフを併記する。
図9から明らかなように、比較例に係る可変減衰力ダンパでは、Crめっき膜自体の摩耗量は極めて小さいが、摺動の相手材であるピストンリングの摩耗量が大きくなっている。これに対し、実施例1に係る可変減衰力ダンパでは、ピストンリングの摩耗量が小さく抑えられていることから、Niめっき膜によるピストンリングへの攻撃性が低下していることが確認された。ピストンリングとNiめっき膜の合計摩耗量が小さいということは、シリンダチューブの内周面とピストンの外周面との間のクリアランスの変化が小さいことを示しているから、実施例1に係る可変減衰力ダンパでは、このクリアランス部分を通じた第1油室と第2油室との間でのMR流体の移動の自由を長期にわたって抑制することができ、減衰力を長期にわたって維持することができることが確認された。
[Niめっき膜への成分添加による摩擦力の低減]
実施例1,2に係る可変減衰力ダンパに対して、サイドフォースFの大きさWを、0kgf、10kgf(=98.07N)、20kgf(=196.13N)としたときのシリンダチューブとピストンとの間の摩擦力の大きさを測定した。その結果を図10のグラフに示す。図10に示されるように、実施例2に係る可変減衰力ダンパでは、実施例1に係る可変減衰力ダンパよりも摩擦力が小さくなっており、BNによる摩擦係数低減の効果が確認された。こうして、シリンダチューブとピストンとの間の摩擦力が低減されることにより、Niめっき膜の摩耗のみならず、ピストンリングの摩耗を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る可変減衰力ダンパの概略構造を示す断面図である。 本発明に係る可変減衰力ダンパを構成するピストンの部分拡大断面図である。 耐久テストの実施方法を模式的に示す図である。 耐久テストによる摩耗量の測定方法を模式的に示す図である。 円柱部材と凹曲面部材との接触状態を模式的に示す斜視図である。 実施例1に係る可変減衰力ダンパにおける耐久テスト後のシリンダチューブの内径の軸芯方向における変化を示すグラフである。 実施例1に係る可変減衰力ダンパにおけるNiめっき膜の摩耗量Δtと面圧PMEANとの関係を示すグラフである。 実施例1に係る可変減衰力ダンパにおけるNiめっき膜の摩耗量Δtとピストン摺動部長さLとの関係を示すグラフである。 実施例1及び比較例に係る各可変減衰力ダンパにおける、ピストンリングとNiめっき膜の合計摩耗量を示すグラフである。 実施例1,2に係る各可変減衰力ダンパにおける、シリンダチューブとピストンとの間の摩擦力の大きさを示すグラフである。 ピストンロッドの構造と、ロッドガイド部とピストンロッドの摺動状態を模式的に示す図であり、(a)は本発明例であり、(b)は参考例である。
符号の説明
10 可変減衰力ダンパ
12 シリンダチューブ
12a アイピース
13 ピストンロッド
14 第1油室
15 第2油室
16 ピストン
17 高圧ガス室
18 フリーピストン
19 ロッドガイド部
21 シリンダ母材
22 Niめっき膜
23 ロッド母材
24 Niめっき膜
25 パッキン(Oリング)
31 ピストンコア
32a サイドカバー
32b サイドカバー
33 コイル(電磁コイル)
34 ピストンリング
35a 孔部
35b 孔部
35c 間隙
36 リード線
41 円柱部材
42 凹曲面部材

Claims (8)

  1. 磁性粒子を含む磁性流体または磁気粘性流体である作動流体が充填されるシリンダチューブと、
    前記シリンダチューブの内部を第1の室と第2の室とに画成し、前記作動流体を前記第1の室と前記第2の室との間で流通させる連通孔を有し、前記連通孔内の作動流体に磁場を印加する電磁コイルを備えたピストンと、を具備し、
    前記電磁コイルへの通電によって前記連通孔内の作動流体の粘性を変化させて減衰力を制御する可変減衰力ダンパであって、
    前記可変減衰力ダンパは、伸縮時に前記磁性粒子の影響下で摺動する摺動面を備え、
    前記摺動面は、その表面にビッカース高度が800VHN以上のニッケルめっき膜を備えていることを特徴とする可変減衰力ダンパ。
  2. 前記ニッケルめっき膜は、リンを含むと共に、ホウ素,タングステン,窒化ホウ素,炭化珪素から選ばれる1または複数をさらに含有していることを特徴とする請求項1に記載の可変減衰力ダンパ。
  3. 前記摺動面は、前記ピストンの外周面と前記シリンダチューブの内周面との摺動面であり、少なくとも前記シリンダチューブの内周面は、前記ニッケルめっき膜を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変減衰力ダンパ。
  4. 前記ニッケルめっき膜に対する前記ピストンの軸芯方向における摺動部長さが50mmの場合には、前記ニッケルめっき膜の膜厚は15μm以上であり、
    前記摺動部長さが50mmよりも短い場合には、当該摺動部長さが短くなるにしたがって前記ニッケルめっき膜の膜厚が15μmより厚くなっていること特徴とする請求項3に記載の可変減衰力ダンパ。
  5. 一端が前記ピストンに取り付けられ、他端が前記シリンダチューブの外部へと延びるピストンロッドをさらに具備し、
    前記シリンダチューブは、その一端に前記ピストンロッドを挿通させるように配置される円筒状のロッドガイド部を有し、
    前記摺動面は、前記ロッドガイド部の内周面と前記ピストンロッドの外周面との摺動面であり、
    少なくとも前記ピストンロッドの外周面は前記ニッケルめっき膜を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変減衰力ダンパ。
  6. 磁性粒子を含む磁性流体または磁気粘性流体である作動流体が充填されるシリンダチューブの内部がピストンによって第1の室と第2の室とに画成されると共に、前記第1の室と前記第2の室との間で前記作動流体が流通自在に構成され、前記ピストンを前記シリンダチューブの内周面に対して摺動させる可変減衰力ダンパの製造方法であって、
    前記可変減衰力ダンパにおいて伸縮時に前記磁性粒子の影響下で摺動する摺動面の表面に無電解ニッケルめっきを施す工程と、
    前記無電解ニッケルめっきにより形成されたニッケルめっき膜を、その硬度が800VHN以上となるように熱処理する工程と、を有することを特徴とする可変減衰力ダンパの製造方法。
  7. 前記摺動面に無電解ニッケルめっきを施す工程において、
    当該無電解ニッケルめっきにより形成されるニッケルめっき膜に、リンを共析させると共に、ホウ素,タングステン,窒化ホウ素及び炭化珪素から選ばれる1または複数を共析させることを特徴とする請求項6に記載の可変減衰力ダンパの製造方法。
  8. 前記摺動面が前記シリンダチューブの内周面であり、当該内周面に無電解ニッケルめっきを施す工程において、
    当該無電解ニッケルめっきにより形成されるニッケルめっき膜の厚さと、当該ニッケルめっき膜に対する前記ピストンの軸芯方向における摺動部長さとの関係を、前記摺動長さが50mmの場合に前記ニッケルめっき膜の膜厚が15μm以上となるようにし、前記摺動部長さが50mmよりも短い場合には当該摺動部長さが短くなるにしたがって前記ニッケルめっき膜の膜厚が15μmより厚くなるようにすることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の可変減衰力ダンパの製造方法。
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