JP2009216142A - 駆動機構ならびに内燃機関の動弁系駆動機構 - Google Patents

駆動機構ならびに内燃機関の動弁系駆動機構 Download PDF

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正芳 杉野
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直也 加藤
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正敬 服部
Shigeyuki Kusano
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Abstract

【課題】円形の駆動側回転体21L,21Rと円形の従動側回転体22L,22Rとに無端状の伝達体23L,23Rが巻き掛けられるとともに、この伝達体23L,23Rの緩み側直線部分26に張力調整用のテンショナ24L,24Rが設けられる駆動機構において、伝達体23L,23Rのたるみ抑制を可能としたうえで、たるみ抑制を行うための構成要素(駆動側回転体21L,21R)を比較的簡単かつ安価に製作できるようにする。
【解決手段】駆動側回転体21L,21Rは、その曲率中心O1,O2から偏心した位置に回転軸心P1,P2が設けられている。伝達体23L,23Rの張り側直線部分26にたるみが発生する条件が成立するときに、駆動側回転体21L,21Rの曲率中心O1,O2から従動側回転体22L,22Rの曲率中心O3,O4までの曲率中心間距離lが最大になるように、駆動側回転体21L,21Rが組み付けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、円形の駆動側回転体と円形の従動側回転体とに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる駆動機構に関する。
また、本発明は、内燃機関に備える吸気用カムスプロケットと排気用カムスプロケットとに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる動弁系駆動機構に関する。
例えばV型多気筒DOHCエンジンは、左右のバンクに、それぞれ吸気用カムシャフトと排気用カムシャフトを装備した構成になっている。
このカムシャフトを駆動する機構としては、例えばクランクシャフトの外端に取り付けられるクランクスプロケットと、左右バンクの各吸気用カムシャフトに取り付けられる各プライマリー吸気用カムスプロケットとにプライマリータイミングチェーンが巻き掛けられ、各プライマリー吸気用カムスプロケットに取り付けられるセカンダリー吸気用カムスプロケットと排気用カムシャフトに取り付けられる排気用カムスプロケットとに、それぞれセカンダリータイミングチェーンが巻き掛けられた構成になっているものがある(例えば特許文献1参照。)。
このような動弁系駆動機構では、一般的に、各タイミングチェーンの耐久性を高めるために、各タイミングチェーンの張力を過大にしないように適度に設定しておいて、各タイミングチェーンの張力をテンショナで自動調節するように構成されている。
ところで、吸気バルブと排気バルブとの開閉動作に起因して、各カムシャフトに正転方向、逆転方向の交番荷重が作用し、それによって駆動側となるセカンダリー吸気用カムスプロケットに減速方向の荷重、または従動側となる排気用カムスプロケットに加速方向の荷重が作用するときに、セカンダリー吸気用カムスプロケットと排気用カムスプロケットとに巻き掛けられるセカンダリータイミングチェーンの張力が減少して、たるみが発生しやすくなる。
テンショナは、タイミングチェーンを張る方向に弾性荷重を付与しているものの、弾性荷重ゆえに、この弾性荷重より前記の交番荷重が打ち勝つような場合に、前記たるみを許容する傾向となる。
この他、例えば特許文献2では、一方の回転体としてのスプロケットを非円形とした構成が開示されている。この非円形のスプロケットを用いれば、例えば伝達体としてのチェーンのたるみが発生するときに、非円形スプロケットの最大突出部分つまり最大半径部分を、当該非円形スプロケットの曲率中心と他方の回転体としての円形スプロケットの曲率中心とを結ぶ直線の延長線上に配置させるように、当該スプロケットの組み付け位相を設定することにより、前記のたるみを抑制することが可能になると考えられる。
さらに、特許文献3には、例えば内燃機関のクランクスプロケットを楕円形とすることが記載されている。
特開2007−9973号公報 特表2007−506043号公報 実開平1−95538号公報
上記特許文献2、3に示す従来例では、たるみ抑制の効果があると考えられるものの、非円形スプロケットや楕円形スプロケットを用いることが必須であるために、それを製作するときの加工に手間がかかり、製造コストの高騰を余儀なくされる。ここに改良の余地がある。
ところで、特開2007−120357号公報に示すように、V型エンジンのクランクスプロケットと、一方バンクの吸気用カムシャフトに取り付けられる第1大径スプロケットと、他方バンクの吸気用カムシャフトに取り付けられる第2大径スプロケットとに巻き掛けられるタイミングチェーンのテンショナとしてのアイドルスプロケットを偏心形状とし、このアイドルスプロケットの偏心回転量を調整することにより、前記タイミングチェーンの張力を調整することが記載されている。
しかしながら、この先行技術は、駆動側回転体と従動側回転体とに伝達体を巻き掛けた駆動機構において、駆動側回転体を偏心形状とするといった構成ではなく、また、前記偏心形状の駆動側回転体の組み付け位相を、特定の回転タイミングに合わせて特定するといった技術思想の開示や示唆はない。したがって、ここに記載した先行技術は、本発明の従来例に値するものではなく、単に偏心形状のアイドルスプロケットが記載されていることを提示しただけである。
このような事情に鑑み、本発明は、円形の駆動側回転体と円形の従動側回転体とに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる駆動機構において、伝達体のたるみ抑制を可能としたうえで、たるみ抑制を行うための構成要素(駆動側回転体)を比較的簡単かつ安価に製作できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、内燃機関に備える吸気用カムスプロケットと排気用カムスプロケットとに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる動弁系駆動機構において、伝達体のたるみ抑制を可能としたうえで、たるみ抑制を行うための構成要素(吸気用カムスプロケット)を比較的簡単かつ安価に製作できるようにすることを目的としている。
本発明は、円形の駆動側回転体と円形の従動側回転体とに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる駆動機構であって、前記駆動側回転体は、その曲率中心から偏心した位置に回転軸心が設けられており、前記伝達体の張り側直線部分にたるみが発生する条件が成立するときに、前記駆動側回転体の曲率中心から前記従動側回転体の曲率中心までの曲率中心間距離が最大になるように、前記駆動側回転体が組み付けられている、ことを特徴としている。
なお、駆動側回転体および従動側回転体は、例えばスプロケットやギヤ等とされ、また、伝達体は、例えばチェーンまたはベルト等とされる。さらに、伝達体において駆動側回転体と従動側回転体との間の回転方向上流側の直線部分が緩み側となり、回転方向下流側の直線部分が張り側となる。さらにまた、本発明の駆動機構は、例えば内燃機関の動弁系駆動機構として好適に用いられるが、それ以外の各種の機器に広く用いることが可能である。
要するに、この構成では、伝達体の張り側直線部分に発生しうるたるみを予め把握しておき、当該たるみが発生するタイミングで、前記曲率中心間距離を最大にさせて、伝達体の張りを維持させるようにしている。
これにより、伝達体のたるみそのものの発生を抑制または防止することが可能になるから、たるみ発生時に伝達体と回転体とが衝突することに伴い発生する振動や騒音を抑制することが可能になる。
しかも、回転体を円形にしているので、非円形とする従来例に比べて、製造が簡単で製造コストを低く抑えることが可能になる。
また、本発明は、内燃機関に備える吸気用カムスプロケットと排気用カムスプロケットとに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる動弁系駆動機構であって、前記吸気用カムスプロケットが駆動側とされ、この吸気用カムスプロケットは、その曲率中心から偏心した位置に回転軸心が設けられており、前記伝達体の張り側直線部分にたるみが発生する条件が成立するときに、吸気用カムスプロケットの曲率中心から排気用カムスプロケットの曲率中心までの曲率中心間距離が最大になるように、吸気用カムスプロケットが組み付けられている、ことを特徴としている。
なお、カムスプロケットは、例えばカムギヤと呼ばれるものと同等のものと考えられるものであり、また、伝達体は、例えばタイミングチェーンまたはタイミングベルト等とされる。
要するに、この構成では、伝達体の張り側直線部分に発生しうるたるみを予め把握しておき、当該たるみが発生するタイミングで、前記曲率中心間距離を最大にさせて、伝達体の張りを維持させるようにしている。
これにより、伝達体のたるみそのものの発生を抑制または防止することが可能になるから、たるみ発生時に伝達体とカムスプロケットとが衝突することに伴い発生する振動や騒音を抑制することが可能になる。
しかも、カムスプロケットが略円形であるので、非円形とする従来例に比べて、製造が簡単で製造コストを低く抑えることが可能になる。
好ましくは、前記内燃機関がV型多気筒DOHCエンジンとされ、前記吸気用カムスプロケットおよび排気用カムスプロケットが、前記エンジンの左右バンクに、それぞれ備えるものとされる。
好ましくは、前記内燃機関が、爆発気筒順序を「1→8→7→3→6→5→4→2」と規定したV型8気筒DOHCエンジンとされ、前記吸気用カムスプロケットおよび排気用カムスプロケットが、前記エンジンの左右バンクに、それぞれ備えるものとされ、かつ、1番気筒の圧縮上死点を基準としたクランクアングルが550〜650度になる位相、つまり7番気筒の吸気バルブが開き始めるタイミングで、前記曲率中心間距離が最大になるように前記各吸気用カムスプロケットが組み付けられる、ものとすることができる。
この場合、伝達体のたるみそのものの発生を効果的に抑制または防止することが可能になるから、たるみ発生に伴う振動や騒音の発生を効果的に抑制することが可能になる。
本発明に係る駆動機構によれば、伝達体のたるみを抑制または防止可能としたうえで、たるみ抑制を行うための構成要素(駆動側回転体)を比較的簡単かつ安価に製作することが可能になる。したがって、比較的安価な対策で駆動機構の静粛性向上に貢献できるようになる。
本発明に係る内燃機関の動弁系駆動機構によれば、伝達体のたるみを抑制または防止可能としたうえで、たるみ抑制を行うための構成要素(吸気用カムスプロケット)を比較的簡単かつ安価に製作することが可能になる。したがって、比較的安価な対策で内燃機関の動弁系駆動機構の静粛性向上に貢献できるようになる。
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1から図7に、本発明の一実施形態を示している。
この実施形態では、本発明の適用対象としてV型多気筒DOHCエンジンに備える動弁系駆動機構を例に挙げている。
図1から図3を参照して、V型多気筒DOHCエンジンに備える動弁系駆動機構の概要を説明する。図中、1はV型多気筒DOHCエンジンのシリンダブロックである。なお、図では各スプロケットの歯の記載を省略している。
シリンダブロック1は、V字形をしており、図示していないが、各バンク1L,1Rの上部にそれぞれシリンダヘッド2L,2Rが固定されるとともに、下部にオイルパン3が取り付けられている。なお、図1はV型多気筒DOHCエンジンの前方を見た正面図であるので、図中の右側が左バンク1L、図中の左側が右バンク1Rとなる。
各シリンダヘッド2L,2Rには、それぞれ吸気用カムシャフト(図示省略)および排気用カムシャフト(図示省略)とが搭載され、また、シリンダブロック1の下部には、クランクシャフト4が支持され、このクランクシャフト4の回転動力で前記各カムシャフトを回転駆動させるようになっている。
この実施形態での動弁系駆動機構は、プライマリーユニット5L,5Rと、セカンダリーユニット6L,6Rとを含んで構成されている。
プライマリーユニット5L,5Rは、クランクシャフト4から吸気用カムシャフト(図示省略)に回転動力を伝達するもので、主として、クランクスプロケット11と、プライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rと、2つのプライマリータイミングチェーン13L,13Rとを含んで構成されている。なお、一つのクランクスプロケット11が二つのプライマリーユニット5L,5Rの駆動回転体となる。
クランクスプロケット11は、クランクシャフト4の外端に取り付けられており、また、プライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rは、各バンク1L,1Rの吸気用カムシャフト(図示省略)の外端にそれぞれ取り付けられている。これらクランクスプロケット11と2つのセカンダリー吸気用カムスプロケット12L,12Rとに、それぞれプライマリータイミングチェーン13L,13Rが巻き掛けられている。
セカンダリーユニット6L,6Rは、吸気用カムシャフト(図示省略)から排気用カムシャフト(図示省略)に回転動力を伝達するもので、主として、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rと、排気用カムスプロケット22L,22Rと、2つのセカンダリータイミングチェーン23L,23Rとを含んで構成されている。
セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rは、プライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rの前面に重なる状態で取り付けられており、また、排気用カムスプロケット22L,22Rは、各バンク1L,1Rの排気用カムシャフトの外端にそれぞれ取り付けられている。これらセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rと排気用カムスプロケット22L,22Rとに、それぞれセカンダリータイミングチェーン23L,23Rが巻き掛けられている。
プライマリーユニット5L,5Rでは、クランクスプロケット11が駆動回転体となり、プライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rが従動回転体となる。また、セカンダリーユニット6L,6Rでは、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rが駆動回転体となり、排気用カムスプロケット22L,22Rが従動回転体となる。
このような動弁系駆動機構は、図示していないが、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2L,2Rの前面側に取り付けられるカバー(タイミングチェーンカバーあるいはタイミングベルトカバー)で覆われる。
ここで、例えばクランクスプロケット11を図1の矢印方向(時計方向)に回転させる場合、プライマリータイミングチェーン13L,13Rおよびセカンダリータイミングチェーン23L,23Rも矢印方向(時計方向)に回転駆動されることになる。
したがって、プライマリーユニット5L,5Rの場合、プライマリータイミングチェーン13L,13Rにおいて駆動側回転体となるクランクスプロケット11と従動側回転体となる各プライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rとの間の回転方向上流側の直線部分15が緩み側となり、各プライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rとクランクスプロケット11との間の回転方向下流側の直線部分16が張り側となる。
また、セカンダリーユニット6L,6Rの場合、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rにおいて駆動側回転体となる各セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rと従動側回転体となる各排気用カムスプロケット22L,22Rとの間の回転方向上流側の直線部分25が緩み側となり、各排気用カムスプロケット22L,22Rと各セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rとの間の回転方向下流側の直線部分26が張り側となる。
プライマリータイミングチェーン13L,13Rの回転方向上流側つまり緩み側直線部分15には、それぞれテンショナ14L,14Rにより弾性荷重が付与されるようになっており、これにより、プライマリータイミングチェーン13L,13Rが適度の張力に保たれるようになっている。
また、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rの回転方向上流側つまり緩み側直線部分25には、それぞれテンショナ24L,24Rにより弾性荷重が付与されるようになっており、これにより、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rが適度の張力に保たれるようになっている。
このようなテンショナ14L,14R,24L,24Rを用いることにより、タイミングチェーン13L,13R,23L,23Rの組み付け時の張力を過大にしないようにして耐久性を高めるようにしている。
次に、図4から図7を参照して、本発明の特徴を適用した部分について詳細に説明する。
この実施形態では、要するに、上記したV型多気筒DOHCエンジンの動弁系駆動機構におけるセカンダリーユニット6L,6Rに本発明の特徴を適用している。
セカンダリーユニット6L,6Rでは、一般的に、機関運転時に図示していない吸気バルブと排気バルブとの開閉動作に起因して、各カムシャフトに正転方向、逆転方向の交番荷重が作用し、それによって駆動側回転体となるセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rに減速方向の荷重、または従動側回転体となる排気用カムスプロケット22L,22Rに加速方向の荷重が作用して、この交番荷重がテンショナ24L,24Rの弾性荷重に打ち勝つようなときに、無端状の伝達体としてのセカンダリータイミングチェーン23L,23Rの回転方向下流側つまり張り側の直線部分26でたるみが発生することがある。
このことから、前記のたるみが発生する条件が成立するタイミングは、実験等によりクランクアングルとして把握することができる。ここで言うクランクアングルとは、例えば1番気筒の圧縮上死点を基準としたものである。
そこで、この実施形態では、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rのたるみを抑制または防止するために、要するに、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rについて、その曲率中心O1,O2から適宜偏心した位置に回転軸心P1,P2を設けた構成とするとともに、このセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの組み付け位相を特定するようにしている。
具体的に、前記のようなセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rを用いる場合、それが1回転する間に、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2から排気用カムスプロケット22L,22Rの曲率中心O3,O4までの曲率中心間距離lが漸次変化するようになる。
例えば図4に示すように、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2を、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの回転軸心P1,P2と排気用カムスプロケット22L,22Rの曲率中心(=回転軸心)O3,O4とを結ぶ直線X(破線で示している)上に配置させると、曲率中心間距離lが最小になる。この状態でのセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの回転角θを0度と規定し、基準位置に規定する。
図4に示す基準位置から、図5に示すように、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rを時計回り方向に所定角度回転させると、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2が、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの回転軸心P1,P2と排気用カムスプロケット22L,22Rの曲率中心(=回転軸心)O3,O4とを結ぶ直線Xよりも図中の下側に変位するので、曲率中心間距離lが大きくなる。
図4に示す基準位置から、図6に示すように、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rを時計回り方向に180度回転させると、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2が、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの回転軸心P1,P2と排気用カムスプロケット22L,22Rの曲率中心(=回転軸心)O3,O4とを結ぶ直線Xの延長線Y(一点鎖線で示している)上に配置されることになって、曲率中心間距離lが最大になる。
このように、曲率中心間距離lを大小変化させると、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rの全長Lが大小変化することになる。
参考までに、曲率中心間距離lを算出するための計算式、およびセカンダリータイミングチェーン23L,23Rの全長Lを算出するための計算式を、図4から図7を参照して説明する。
l=[(l2−l1cosθ)2+(l1sinθ)21/2
L=2[l2+(R1−R221/2+π(R1+R2
なお、「l2」は、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの回転軸心P1,P2から排気用カムスプロケット22L,22Rの曲率中心(=回転軸心)O3,O4までの回転軸心間距離である。「θ」は、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2の基準位置(図4の状態)からの回転角である。なお、図4の状態ではθ=0度、図6の状態ではθ=180度となる。「l1」は、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2から回転軸心P1,P2までの偏心量である。「R1」は、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの歯底円の半径、また、「R2」は、排気用カムスプロケット22L,22Rの歯底円の半径である。なお、図では各スプロケットの歯の記載を省略している。
このような計算式から、曲率中心間距離lを大小変化させると、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rを巻き掛けるために必要な全長Lが大小変化することが明らかである。
ここで、この実施形態では、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rの張り側直線部分26にたるみが発生する条件が成立するときに、曲率中心間距離lを最大にするように、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rをプライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rに組み付けるようにしている。
そして、前記たるみ量として、予め実験等で測定した経験値または計算等で予測した推定値を把握しておき、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2から回転軸心P1,P2までの偏心量l1を前記経験値または推定値とする。
これにより、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rの張り側直線部分26にたるみが発生する条件が成立するときに、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2から排気用カムスプロケット22L,22Rの曲率中心O3,O4までの曲率中心間距離lを最大にさせるように設定していると、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rの全長Lが大きくなって前記たるみを吸収して適度な張り状態を維持することができる。
特に、図4から図6に示す偏心量l1を大きくすると、全長Lの変化幅が大きくなり、より大きなたるみに対する抑制効果を得ることが可能になる。このように前記たるみが発生する程度に応じて偏心量l1の調節を行うのが好ましい。
ところで、前記たるみが発生する条件が成立するタイミングは、クランクアングルで把握することができるから、この把握したクランクアングルにおいて、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rを図6に示す状態でプライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rに組み付けるようにすればよい。
なお、セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの回転軸心P1,P2および排気用カムスプロケット22L,22Rの曲率中心(=回転軸心)O3,O4には、例えば図3に示すように、それぞれ対応するカムシャフトに組み付けるための軸挿通孔31,32が設けられている。これら軸挿通孔31,32の円周方向1箇所には、径方向外向きに張り出す位置決め用のキー溝31a,32aが設けられている。
そのうちのセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rのキー溝31aについては、例えばセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの曲率中心O1,O2と回転軸心P1,P2とを結ぶ線上に沿うように設けられている。
このように、曲率中心間距離lを最大とする状態でプライマリー吸気用カムシャフト12L,12Rに組み付ける際に、キー溝31aを目印とすれば、組み付け作業が簡単に行えるようになる。なお、位置決めピンとキー溝とで組み付け位相を物理的に設定してもよい。
以上説明したように、本発明の特徴を適用した実施形態によれば、動弁系駆動機構のセカンダリーユニット6L,6Rに関して、偏心形状のセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rを用いて、その組み付け位相を特定するだけで、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rに発生しうるたるみを抑制または防止することが可能になる。
これにより、たるみが発生しうるタイミングにおいてセカンダリータイミングチェーン23L,23Rとセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rおよび排気用カムスプロケット22L,22Rとが衝突することに伴い発生する振動や騒音を抑制することが可能になる。
しかも、偏心形状のセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rが略円形であるので、非円形とする従来例に比べて、製造が簡単で製造コストを低く抑えることが可能になる。したがって、比較的安価な対策で内燃機関の動弁系駆動機構の静粛性向上に貢献できるようになる。
ちなみに、本願発明者らは、例えばV型8気筒DOHCエンジンにおいて、爆発気筒順序を「1→8→7→3→6→5→4→2」とする場合、1番気筒の圧縮上死点を基準としたクランクアングルが550〜650度になる位相、つまり7番気筒の吸気バルブが開き始めるタイミングで、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rのたるみが発生することを確認している。したがって、前記タイミングで曲率中心間距離lが最大となるようにセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rの組み付け状態を設定することによって、セカンダリータイミングチェーン23L,23Rのたるみを効果的に抑制することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
(1)上記実施形態では、V型多気筒DOHCエンジンの動弁系駆動機構のうち、セカンダリーユニット6L,6R(セカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21R、排気用カムスプロケット22L,22R、セカンダリータイミングチェーン23L,23R)に本発明を適用した例を挙げているが、本発明の適用対象は、特に限定されるものではない。
例えばV型多気筒DOHCエンジンの動弁系駆動機構のうち、プライマリーユニット5L,5R(クランクスプロケット11、プライマリー吸気用カムスプロケット12L,12R、プライマリータイミングチェーン13L,13R)に本発明を適用することができる。
このプライマリーユニット5L,5Rの場合、駆動側回転体は、クランクシャフト4に取り付けられるクランクスプロケット11となり、従動側回転体は、クランクスプロケット11から回転動力が伝達されるプライマリー吸気用カムスプロケット12L,12Rとなり、無端状の伝達体は、プライマリータイミングチェーン13L,13Rとなる。
そこで、駆動側回転体としてのクランクスプロケット11を、上記実施形態で示したセカンダリー吸気用カムスプロケット21L,21Rのように、曲率中心から回転軸心が偏心する形状とし、プライマリータイミングチェーン13L,13Rの張力変動が発生しやすいクランクアングルに応じて、クランクスプロケット11の組み付け位相を設定すればよい。
(2)上記実施形態では、内燃機関としてV型多気筒DOHCエンジンを例に挙げているが、その気筒数は特に限定されない。また、内燃機関の気筒の配列形態は、特に限定されるものではなく、例えば直列多気筒エンジン等とすることも可能である。さらに、本発明の適用対象となる内燃機関は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、フレキシブル・フューエル・ビークルに搭載されるエンジン等、特に限定されるものではない。
(3)上記実施形態において、各カムシャフトに可変動弁機構を設けるようにしたものも本発明に含まれる。この場合は、カムスプロケットの可変動弁機構による位相変化分も考慮して、組み付け位相を適切に設定するようにするのが好ましい。
本発明に係る内燃機関の動弁系駆動機構の一実施形態を模式的に示す正面図である。 図1の動弁系駆動機構の斜視図である。 図1の片方バンクのセカンダリーユニットを拡大して示す図である。 図3のセカンダリー吸気用カムスプロケットと排気用カムスプロケットとの曲率中心間距離を最小にした状態を示す説明図である。 図4の状態から曲率中心間距離を漸増させた状態を示す説明図である。 図5の状態から曲率中心間距離を最大にした状態を示す説明図である。 図3に示すタイミングチェーンの全長の計算式を説明するための参考図である。
符号の説明
1 シリンダブロック
1L 左バンク
1R 右バンク
4 クランクシャフト
5L,5R 動弁系駆動機構のプライマリーユニット
6L,6R 動弁系駆動機構のセカンダリーユニット
11 クランクスプロケット
21L,21R セカンダリー吸気用カムスプロケット(駆動側回転体)
22L,22R 排気用カムスプロケット(従動側回転体)
23L,23R セカンダリータイミングチェーン(伝達体)
24L,24R テンショナ
25 回転方向上流側つまり緩み側直線部分
26 回転方向下流側つまり張り側直線部分

Claims (4)

  1. 円形の駆動側回転体と円形の従動側回転体とに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる駆動機構であって、
    前記駆動側回転体は、その曲率中心から偏心した位置に回転軸心が設けられており、
    前記伝達体の張り側直線部分にたるみが発生する条件が成立するときに、前記駆動側回転体の曲率中心から前記従動側回転体の曲率中心までの曲率中心間距離が最大になるように、前記駆動側回転体が組み付けられている、ことを特徴とする駆動機構。
  2. 内燃機関に備える吸気用カムスプロケットと排気用カムスプロケットとに無端状の伝達体が巻き掛けられるとともに、この伝達体の緩み側直線部分に張力調整用のテンショナが設けられる動弁系駆動機構であって、
    前記吸気用カムスプロケットが駆動側とされ、この吸気用カムスプロケットは、その曲率中心から偏心した位置に回転軸心が設けられており、
    前記伝達体の張り側直線部分にたるみが発生する条件が成立するときに、吸気用カムスプロケットの曲率中心から排気用カムスプロケットの曲率中心までの曲率中心間距離が最大になるように、吸気用カムスプロケットが組み付けられている、ことを特徴とする内燃機関の動弁系駆動機構。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の動弁系駆動機構において、
    前記内燃機関がV型多気筒DOHCエンジンとされ、前記吸気用カムスプロケットおよび排気用カムスプロケットが、前記エンジンの左右バンクに、それぞれ備えるものとされる、ことを特徴とする内燃機関の動弁系駆動機構。
  4. 請求項2に記載の内燃機関の動弁系駆動機構において、
    前記内燃機関が、爆発気筒順序を「1→8→7→3→6→5→4→2」と規定したV型8気筒DOHCエンジンとされ、
    前記吸気用カムスプロケットおよび排気用カムスプロケットが、前記エンジンの左右バンクに、それぞれ備えるものとされ、
    1番気筒の圧縮上死点を基準としたクランクアングルが550〜650度になる位相、つまり7番気筒の吸気バルブが開き始めるタイミングで、前記曲率中心間距離が最大になるように前記各吸気用カムスプロケットが組み付けられる、ことを特徴とする内燃機関の動弁系駆動機構。
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