以下、本発明の後処理装置を詳細に説明する。なお、説明の便宜上、後処理装置をコピーモード、プリンタモード、スキャナモード、ファクシミリモード、および、ファイリングモードを有する画像処理装置1である複合機に装着した場合で説明する。
画像処理装置1は、記録シート(OHP等の記録媒体を含む)に画像を形成するものであって、図1に示すように、スキャナ部2と、画像形成部3と、原稿自動給紙部4と、後処理部5とを備えている。画像処理装置1に備えられた各モードは、利用者によって適宜選択可能とされる。なお、説明の便宜上、画像処理装置1のうち、後処理部5およびトレイ8以外の部分を「装置本体」と称する。
以下、画像処理装置1の各部について説明し、その次に、本発明に係わるステープル処理時の動作について説明する。
〔スキャナ部2の構成〕
スキャナ部2は、透明なプラテンガラスよりなる原稿台41の上に載置された原稿の画像や、原稿自動給紙部4により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って原稿画像データを作成する部分である。
スキャナ部2は、露光光源21と、複数の反射鏡22,23,24と、結像レンズ25と、光電変換素子(CCD:Charge Coupled Device)26とを備える。
露光光源21は、原稿自動給紙部4の原稿台41の上に載置された原稿や、原稿自動給紙部4を搬送される原稿に対して光を照射するものである。
各反射鏡22,23,24は、図1中の一点鎖線Aで光路を示すように、原稿からの反射光を、一旦、図1中の左方向に反射させた後、下方に反射させる。その後、各反射鏡22,23,24は、結像レンズ25に向かうように、図1中の右方向に反射させるようになっている。
原稿の画像読取動作には、次の2つの場合がある。原稿台41の上に載置された原稿を読み取る場合(「シート固定方式」として使用する場合)と、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合(「シート移動方式」として使用する場合)である。
原稿台41の上に載置された原稿を読み取る場合は、露光光源21および各反射鏡22,23,24が、原稿台41に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取ることになる。
一方、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合は、露光光源21および各反射鏡22,23,24が、図1に示す位置に固定され、後述する原稿自動給紙部4の原稿読取部42を原稿が通過する際にその画像を読み取ることになる。
各反射鏡22,23,24で反射されて結像レンズ25を通過した光は、光電変換素子26に導かれ、この光電変換素子26において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。
〔画像形成部3の構成〕
画像形成部3は、印字部としての画像形成系31と、搬送部としての用紙搬送系32とを備えている。
画像形成系31は、レーザスキャニングユニット31aと、ドラム型の像担持体としての感光体ドラム31bとを備えている。
レーザスキャニングユニット31aは、光電変換素子26において変換された原稿画像データ、または、外部の端末装置等から入力された画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射するものである。
感光体ドラム31bは、図1中の矢印で示す方向に回転し、レーザスキャニングユニット31aからのレーザ光が照射されることによって、その表面に静電潜像が形成されるようになっている。
感光体ドラム31bの外周囲には、レーザスキャニングユニット31aの他に、現像ユニット(現像機構)31cと、転写ローラ31dを有する図示しない転写ユニット(転写機構)と、クリーニングユニット(クリーニング機構)31eと、図示しない除電器と、帯電ローラ31fとを有する図示しない帯電ユニット(帯電機構)とが周方向にわたって順に配設されている。
現像ユニット31cは、感光体ドラム31bの表面に形成された静電潜像をトナー(顕像化物質)により可視像に現像するものである。転写ローラ31dは、感光体ドラム31bの表面に形成されたトナー像を記録媒体としての記録シートに転写するものである。
クリーニングユニット31eは、トナー転写後において感光体ドラム31bの表面に残留したトナーを除去するものである。除電器は、感光体ドラム31bの表面の残留電荷を除去するものである。帯電ローラ31fは、静電潜像が形成される前の感光体ドラム31bの表面を所定の電位に帯電させるものである。
記録シートに画像を形成する際は、帯電ローラ31fによって感光体ドラム31bの表面が所定の電位に帯電され、レーザスキャニングユニット31aが原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射する。現像ユニット31cが感光体ドラム31bの表面にトナーによる可視像を現像し、転写ローラ31dによって、トナー像が記録シートに転写される。その後、感光体ドラム31bの表面に残留したトナーはクリーニングユニット31eによって除去されるとともに、感光体ドラム31bの表面の残留電荷が除電器によって除去される。
これにより、記録シートへの画像形成動作(印字動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の記録シートに対して連続的に画像形成を行なうことができる。
用紙搬送系32は、給紙部としての用紙カセット33に収納された記録シート、または、手差トレイ34に載置された記録シートを1枚ずつ搬送して画像形成系31による画像形成を行なわせるとともに、画像形成された記録シートをトレイ8、後述する後処理部5を経由して排紙するものである。
後述するトレイ8は、用紙カセット33の上方であってスキャナ部2の下方に設けられている。
用紙搬送系32は、装置本体における主搬送路36と、反転搬送路37と、図2に示す後処理部5における主搬送路51と、スイッチバック搬送路52とを備えている。
装置本体の主搬送路36と後処理部5の主搬送路51は、装置本体の排紙ローラ36eを境に互いに繋がっている。後処理部5の主搬送路51とスイッチバック搬送路52については、後述する。そして、画像処理装置1において、記録シートは、いわゆる中央基準で用紙搬送系32を搬送される。つまり、記録シートは、その幅方向(記録シートの搬送方向に直交する方向)における中央位置を基準として搬送される。
装置本体の主搬送路36の一端側は、2つに分岐される。一方の分岐端は、用紙カセット33の排紙側に対向している、他方の分岐端は、手差トレイ34の排紙側に対向している。また、主搬送路36の他端側は、後処理部5のパンチングユニット60に対向している。
反転搬送路37の一端側は、転写ローラ31dの配設位置よりも上流側(図1中の下側)で主搬送路36に繋がっている。反転搬送路37の他端側は、転写ローラ31dの配設位置よりも下流側(図1中の上側)で主搬送路36に繋がっている。
主搬送路36の一方の分岐端(用紙カセット33の排紙側に対向する部分)には、断面が半円状のピックアップローラ36aが配設されている。このピックアップローラ36aの回転により、用紙カセット33に収納されている記録シートを1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。
同様に、主搬送路36の他方の分岐端(手差トレイ34の排紙側に対向する部分)には、断面が半円状のピックアップローラ36bが配設されている。このピックアップローラ36bの回転により、手差トレイ34に載置されている記録シートを1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。
この主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも上流側には、レジストローラ36dが配設されている。このレジストローラ36dは、感光体ドラム31b表面のトナー像と記録シートとの位置合わせを行いながら記録シートを搬送するものである。
主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも下流側には、記録シートに転写されたトナー像を加熱により定着させるための一対の加熱ローラ39aと、加圧ローラ39bとを備えた定着ユニット39が配設されている。さらに、主搬送路36の下流端には、記録シートを後処理部5に排紙するための排紙ローラ36eが、後処理部5の主搬送路51との境に配設されている。
主搬送路36に対する反転搬送路37の上流端の接続位置には、分岐爪38が配設されている。分岐爪38は、図1中の第1位置(実線で示す位置)と、この第1位置から図1中の反時計回り方向に回動して、反転搬送路37を開放する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。
分岐爪38が第1位置にあるときは、記録シートが後処理部5の主搬送路51に向けて搬送される。分岐爪38が第2位置にあるときは、記録シートが反転搬送路37へ供給可能とされる。
反転搬送路37には、搬送ローラ37aが配設される。後処理部5におけるスイッチバック搬送路52でスイッチバックされた記録シートが、反転搬送路37に供給された場合は、この搬送ローラ37aによって記録シートが搬送され、レジストローラ36dの上流側で記録シートが主搬送路36に導入されて、再び転写ローラ31dに向かって主搬送路36を搬送される。つまり、記録シートの裏面に対して画像形成が行なえるようになっている。
〔原稿自動給紙部4の構成〕
原稿自動給紙部4は、自動両面原稿搬送装置として構成される。原稿自動給紙部4は、シート移動式として使用可能である。原稿自動給紙部4は、原稿載置部としての原稿トレイ43と、中間トレイ44と、原稿排紙部としての原稿排紙トレイ45と、各トレイ43,44,45間で原稿を搬送する原稿搬送系46とを備えている。
原稿搬送系46は、原稿トレイ43に載置された原稿を、原稿読取部42を経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45に搬送するものである。原稿搬送系46は、主搬送路47と、中間トレイ44上の原稿を主搬送路47に供給するための副搬送路48とを備えている。
主搬送路47の上流端(原稿トレイ43の排紙側に対向する部分)には、原稿ピックアップローラ47aおよび捌きローラ47bが配設されている。捌きローラ47bの下側には、捌き板47cが配設されている。原稿ピックアップローラ47aの回転に伴って、原稿トレイ43上の原稿のうちの1枚が、捌きローラ47bと捌き板47cとの間を通過して主搬送路47に給紙される。
主搬送路47と副搬送路48との合流部分(図1中のBの部分)よりも下流側には、PSローラ47e、47eが配設されている。このPSローラ47e、47eは、原稿の先端とスキャナ部2の画像読取タイミングとを調整して原稿を原稿読取部42に供給するものである。つまり、PSローラ47e、47eは、原稿が供給された状態でその原稿の搬送を一旦停止し、前記タイミングを調整して、原稿を原稿読取部42に供給するようになっている。
原稿読取部42は、プラテンガラス42aと、原稿押え板42bとを備える。原稿読取部42は、PSローラ47e、47eから供給された原稿がプラテンガラス42aと原稿押え板42bとの間を通過する際、露光光源21からの光がプラテンガラス42aを通過して原稿に照射されるようになっている。このとき、スキャナ部2による原稿画像データの取得が行われる。
原稿押え板42bの背面(上面)には、図示しないコイルスプリングによる付勢力が付与されている。これにより、原稿押え板42bがプラテンガラス42aに対して所定の押圧力をもって接触し、原稿が原稿読取部42を通過する際に、プラテンガラス42aから浮き上がることを阻止している。
プラテンガラス42aの下流側には、搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gが備えられている。プラテンガラス42aの上を通過した原稿が搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gを経て、中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ排紙されるようになっている。
原稿排紙ローラ47gと中間トレイ44との間には、中間トレイ揺動板44aが配設されている。この中間トレイ揺動板44aは、中間トレイ44側の端部が揺動中心とされ、図1中のポジション1(実線で示す位置)と、このポジション1から上方へ跳ね上げられたポジション2との間で揺動可能となっている。
中間トレイ揺動板44aがポジション2にある場合、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は原稿排紙トレイ45へ回収される。一方、中間トレイ揺動板44aがポジション1にある場合、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は中間トレイ44へ排紙されるようになっている。
中間トレイ44への排紙時には、原稿の端縁が原稿排紙ローラ47g,47g間に挟持された状態となっており、この状態から原稿排紙ローラ47gが逆回転することによって原稿が副搬送路48に供給され、この副搬送路48を経て、再び主搬送路47に送り出されるようになっている。この原稿排紙ローラ47gの逆回転動作は、主搬送路47への原稿の送り出しと画像読取タイミングとを調整して行われる。これにより、原稿の裏面の画像が原稿読取部42によって読み取られるようになっている。
〔後処理部5およびトレイ部8の構成〕
後処理部5は、印字処理の終了後に装置本体から排紙される記録シートに対して、パンチング処理、ステープル処理等の複数の用紙後処理を可能とするものである。このような後処理部5における用紙後処理は、後述するように、印字要求の際、入力条件として後処理の要求があったときに行なわれる。
本実施形態では、後処理部5およびトレイ8を画像処理装置1の装置本体の外部へ設けるのではなく、装置本体によって形成される空間Cを利用して設けるようにしている。具体的には、画像処理装置1の装置本体では、用紙カセット33と、画像形成部3(画像形成系31)と、スキャナ部2とが略「コ」の字状に配置されており、この装置本体によって形成されている「コ」の字状の内部の空間Cに後処理部5およびトレイ8を設けるようにしている。
これにより、画像処理装置1内の限られたスペースに後処理部5およびトレイ8を設置でき、記録シートに対する複数の後処理を行なうことができる。また、後処理部5を備えた画像処理装置1の占有面積を抑え、省スペース化を図ることが可能となる。
以下、後処理部5およびトレイ8について、図2〜図6を用いて詳しく説明する。なお、記録シートの搬送方向(図3に示す方向)を「用紙搬送方向」と称し、これに直交する記録シートの幅方向(図3に示す方向)を「用紙幅方向」と称する。
後処理部5は、図2に示すように、装置本体の排紙ローラ36eの下流側に配置されている。後処理部5には、後処理装置として、パンチ穴開け機能を備えるパンチングユニット60と、ステープル機能を備えるステープルユニット70とが備えられている。
後処理部5の前面(手前側の面)は、開閉可能なカバー50により覆われている。そして、後処理部5においては、パンチングユニット60が上流側に配置され、ステープルユニット70が下流側に配置されている。
後処理部5の下流側には、トレイ8が設けられている。排紙ローラ36eから排紙される記録シートは、パンチングユニット60、ステープルユニット70を経てトレイ8に排紙される。このトレイ8は、後処理部5のステープルユニット70によってステープル処理を行なうときには、ステープル処理用の用紙受け部分として使用される。
なお、トレイ8にシフタ機構を備えることができる。シフタ機構とは、トレイ8に記録シートを排紙する際に、排紙時の排紙速度を可変させるものである。すなわち、シフタ機構とは、トレイ8に記録シートを排紙する際、排紙された記録シートを1部(1セット)毎にオフセット処理をするものである。詳しくは、特開2006−8370号公報、特開2004−307137号公報に記載される(図8参照)。
〔パンチングユニット60の構成〕
パンチングユニット60は、排紙ローラ36eから排紙される記録シートに対してパンチ穴開けの処理(パンチング処理)を行なうものである。
パンチングユニット60には、パンチ穴開け機構部61、ガイド板62、パンチ屑収納ボックス63等が備えられている。パンチングユニット60には、用紙搬送系32として、主搬送路51が形成されている。パンチングユニット60には、主搬送路51の途中に搬送ローラ56が設けられている。なお、パンチングユニット60は、後述するステープルユニット70とは異なり、装置本体に固定されている。
パンチングユニット60では、印字要求の際、入力条件としてパンチング処理の要求があった場合には、パンチングユニット60に搬送されてきた記録シートをガイド板62上で停止させ、1枚毎にパンチ穴開け機構部61によりパンチ穴を開ける。このとき、印字用紙サイズを基に決定される位置にパンチ穴を開けるようにしている。
パンチ穴開け機構部61は、パンチングユニット60の上部に配置される。パンチ穴開け機構部61には、パンチ穴の径と一致する径の芯材64が用紙幅方向に沿って所定の間隔で2箇所に設けられている。
芯材64は、上下に昇降可能に設けられており、芯材64が下降する際に記録シートに対してパンチ穴を開口する。また、芯材64は、用紙搬送方向に沿う方向および用紙幅方向に沿う方向にそれぞれ往復移動可能に設けられており、後述するように、パンチング処理を行なう際の位置合わせが可能となっている。
ガイド板62は、パンチ穴開け機構部61の下方に配置される。ガイド板62には、パンチ穴を開ける所定位置に対応する開口部が形成されている。
パンチ屑収納ボックス63は、パンチングユニット60の下部に配置されており、パンチ屑収納ボックス63によりパンチ穴開け処理によって生じたパンチ屑を回収するようにしている。パンチ屑収納ボックス63は、用紙幅方向に沿ってスライド可能に設けられており、後述するように、カバー50を開けたとき、手前側に取り出すことが可能となっている。これにより、パンチ屑収納ボックス63内に収納されるパンチ屑を取り出すことができる。
パンチングユニット60でパンチング処理を行なう際には、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に対応する位置にパンチ穴開け機構部61の芯材64を移動するようにしている。
加えて、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に正確にパンチ穴を開けることができるように、パンチングユニット60のパンチ穴開け機構部61の芯材64の微調整移動を行なうようにしているが、この微調整移動については説明を省略する。
〔ステープルユニット70の構成〕
ステープルユニット70は、上流側のパンチングユニット60から搬送される記録シートに対してステープル処理を行なうものである。ステープルユニット70は、カバー50を上開きで手前に開けたとき、用紙搬送方向に沿う方向にスライド可能に設けられている。また、ステープルユニット70は、後述するように、ステープルユニット70の上流側に配置されているパンチングユニット60に対して係脱可能に設けられている。
ステープルユニット70には、ステープル機構部71、ステープル台72、整合板73、排紙ローラ74等が備えられている。ステープルユニット70には、用紙搬送系32として、主搬送路51およびスイッチバック搬送路52が形成されている。
ステープルユニット70には、主搬送路51の下流側とスイッチバック搬送路52の上流側との接続位置には、記録シートを案内する方向を切り替える分岐爪53と、記録シートをステープル台72に排紙する排紙ローラ54とが設けられている。スイッチバック搬送路52の下流側には、スイッチバックローラ55が設けられている。
ステープルユニット70では、印字要求の際、入力条件としてステープル処理の要求があった場合には、ステープル台72に積載される所定枚数の記録シートに対して、ステープル機構部71によりステープル処理を施す。このとき、印字する記録シートのサイズおよび所望のステープル位置を基に決定される位置にステープル処理を施すようにしている。
所望のステープル位置とは、例えば、記録シートの左上隅部に1箇所止め、あるいは、左端部に2箇所止めというように、利用者の所望するステープル処理を施す位置のことである。
ステープル機構部71は、排紙ローラ54の下方に配置されており、ステープル台72上に積載される記録シートの後端部をステープル針で綴じるものである。ステープル機構部71は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に構成されており、印字する記録シートのサイズおよび所望のステープル位置を基に決定された位置にステープル処理を施すことができる。
ステープルユニット70でステープル処理を行なう際には、印字する記憶シートのサイズおよび所望のステープル位置を基に決定された位置に対応する位置にステープル機構部71を移動する。
ステープル台72は、排紙ローラ54から排紙される記録シートを載置するものであり、ステープル機構部71によるステープル処理用の処理台となるものである。ステープル台72は、用紙搬送方向下流側を上方に傾けて配置されている。排紙ローラ54から排紙される記録シートは、ステープル処理が行われる場合には、自重によりステープル台72の傾斜に沿って用紙搬送方向上流側へ滑り落ちる。一方、ステープル処理が行われない場合には、記録シートは、排紙ローラ74からトレイ8に排紙される。
整合板73は、ステープル台72の上面(記録シートが排紙される面)の用紙幅方向に沿う方向の両サイドに対向して配置されている。一対の整合板73は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に設けられている。そして、ステープルユニット70でステープル処理を行なう場合に、整合板73を用紙幅方向に沿って移動させることで、ステープル台72上に排紙される記録シート1枚毎に用紙幅方向の整合を行なうようにしている。
このとき、印字する記録シートのサイズを基に決定される可動幅に応じて整合板73を動かすようにしている。一対の整合板73の往復移動は、例えば、ラックピニオン機構により可能となっている。
〔トレイ8の構成〕
トレイ8は、画像処理装置1の装置本体によって形成されている「コ」の字状の内部の空間Cに、後処理部5と共に設けられている。トレイ8には、後処理部5において、パンチング処理、ステープル処理等の後処理が施された記録シートが排紙される。トレイ8は、用紙搬送方向(記録シートの排紙方向)に沿って伸縮可能に設けられている。トレイ8は、上下に昇降可能に設けられている。トレイ8は、装置本体に対してスライド可能に設けられている。
トレイ8は、図3および図5に示すように、用紙搬送方向に沿う方向に、1段〜3段に伸縮可能なトレイとして形成されている。本実施形態では、トレイ8は、印字する記録シートのサイズに応じて、用紙搬送方向に沿って利用者が手動で伸縮できるように構成されている。
トレイ8には、第1トレイ81と、第2トレイ82と、第3トレイ83とが備えられている。
第1トレイ81は、最も大きなサイズのトレイである、第1トレイ81は、最も後処理部5寄りに配置されている。第1トレイ81は、画像処理装置1の側面(側壁)から突出しない長さに形成されている。第1トレイ81は、装置本体に一体的に取り付けられており、用紙搬送方向に沿う方向への移動が不可能な構造となっている。
第2トレイ82は、中間サイズのトレイである。第2トレイ82は、第1トレイ81に形成されている収納部分81aに収納されている。第2トレイ82は、用紙搬送方向に沿う方向への進退移動が可能に設けられている。
第3トレイ83は、最も小さなサイズのトレイである。第3トレイ83は、第2トレイ82に形成されている収納部分82aに収納されている。第3トレイ83は、用紙搬送方向に沿う方向への進退移動が可能に設けられている。
図3に示すように、トレイ8を1段のみに収縮させた状態では、トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さが最小となる。具体的には、第3トレイ83が第2トレイ82に全て収納されており、この第2トレイ82が第1トレイ81に全て収納される。トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さは、第1トレイ81の用紙搬送方向に沿う方向の長さと等しく、画像処理装置1の側面から突出しない長さとなる。
これにより、トレイ8を、最も収縮した状態で、装置本体から突出しないようにすることで、画像処理装置1を使用していないときには、トレイ8を装置本体の空間に収納することができる。
これに対して、図5に示すように、トレイ8を3段に伸張させた状態では、トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さが最大となる。具体的には、第1トレイ81から第2トレイ82が最大限突出しており、この第2トレイ82から第3トレイ83が最大限突出している。トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さは、画像処理装置1で印字可能な最大サイズ、例えば、A3横サイズの記録シートの用紙搬送方向長さよりも長くなる。
これにより、トレイ8を最大長さまで伸ばしたときは、印字可能な最大サイズ(A3横サイズ)の記録シートであっても安定して積載することができる。後述するように、トレイ8は、ステープルユニット70とともにスライド可能となっているが、記録シートが積載されている状態でトレイ8をスライドさせたとしても、記録シートはトレイ8から落ちることがなくなる。
トレイ8が用紙搬送方向に沿う方向に伸縮可能に設けられているので、トレイ8を印字する記録シートのサイズに応じて最適な長さに調節して使用することができる。
第2トレイ82の上面には、その基端部近傍に開口部82aが形成されおり、その開口部82aから上方に突出するように、第1用紙検知センサ91の作動杆91aが配置されている。
作動杆91aは、常に上方に突出するように付勢されており、第2トレイ82が第1トレイ81に収納された場合には、第1トレイ81の内壁上面によって作動杆91aが下方に押し下げられるようになっている。そして、第2トレイ82が第1トレイ81から完全に引き出されたとき(図5参照)、作動杆91aが開口部82aから上方に突出した通常の位置に回動復帰するようになっている。
本実施形態では、第1用紙検知センサ91は、作動杆91aが上方に突出している状態のときに「OFF」、作動杆91aが第1トレイ81の内壁上面によって下方に押し下げられているときに「ON」となるように設けられている。
同様に、第3トレイ83の上面には、その基端部近傍に開口部83aが形成されおり、その開口部83aから上方に突出するように、第2用紙検知センサ92の作動杆92aが配置されている。この作動杆92aは、常に上方に突出するように付勢されており、第3トレイ83が第2トレイ82に収納された場合には、第2トレイ82の内壁上面によって作動杆92aが下方に押し下げられるようになっている。
そして、第3トレイ83が第2トレイ82から完全に引き出されたとき(図5参照)、作動杆92aが開口部83aから上方に突出した通常の位置に回動復帰するようになっている。
本実施形態では、第2用紙検知センサ92は、作動杆92aが上方に突出している状態のときに「OFF」、作動杆92aが第2トレイ82の内壁上面によって下方に押し下げられているときに「ON」となるように設けられている。すなわち、これら第1用紙検知センサ91および第2用紙検知センサ92は、それぞれのトレイ82,83が引き出されている状態では「OFF」であり、この状態でそれぞれのトレイ82,83に印字後の記録シートが排紙されて積載されたとき、積載された記録シートによって作動杆91a,92aが下方に押し下げられる結果、「ON」となる。そして、印字後の記録シートが利用者によってトレイ8から取り出されると、再び「OFF」するようになっている。これにより、トレイ8上の記録シートの有無を検知することが可能となる。
これら第1および第2用紙検知センサ91,92は、印字開始前において、第2トレイ82および第3トレイ83が引き出されているか否かを検知する伸縮検知センサとしても利用することができる。
すなわち、印字開始前において第1用紙検知センサ91が「ON」である場合には、第2トレイ82が第1トレイ81から引き出されていないと判断でき、第1用紙検知センサ91が「OFF」である場合には、第2トレイ82が第1トレイ81から引き出されていると判断できる。また、印字開始前において第2用紙検知センサ92が「ON」である場合には、第3トレイ83が第2トレイ82から引き出されていないと判断でき、第2用紙検知センサ92が「OFF」である場合には、第3トレイ83が第2トレイ82から引き出されていると判断できる。
トレイ8は、図3および図4に示すように、上下方向に昇降可能なトレイとして形成されている。この例では、トレイ8は、積載される記録シートの量(枚数)に応じて、昇降するように構成されている。
トレイ8に排紙される記録シートの量は、下側の排紙ローラ74の近傍に設けられている上限センサ84によって検出される。この上限センサ84は、接触式のセンサとして設けられている。そして、トレイ8上に積載される記録シートの最上位面が所定の高さに達すると、上限センサ84が「ON」となる。これにより、トレイ8の満杯が検出される。トレイ8の満杯が検出されると、トレイ8を所定の距離だけ下降する。このトレイ8の下降により、上限センサ84が「OFF」となる。このように、上限センサ84の「ON/OFF」が切り替わることで、トレイ8上に積載される記録シートの量を検出している。
本実施形態では、トレイ8のホームポジションを、トレイ8の最上昇位置(図3参照)とし、トレイ8の上流側の端部が排紙ローラ74の直下に配置されている。そして、積載される記録シートの量が増えるほど、トレイ8を次第に下降させるようにしている。なお、上限センサ84を光学式のセンサとして設けてもよい。
トレイ8は、伸縮可能に設けられているが、その昇降移動の際には、第1トレイ81が昇降することで、この第1トレイ81とともに第2トレイ82および第3トレイ83が昇降するように構成されている。
第1トレイ81の昇降は、例えば、次のようにして行われる。第1トレイ81の奥側には、第1トレイ8を昇降移動するための駆動部85が設けられている。この駆動部85には、駆動ベルト(図示せず)が収納される。駆動ベルトは、配線86により接続されている図示せぬ駆動電源により駆動可能となっている。駆動部85には、第1トレイ81の先端部を支持する支持部材が連結されている。支持部材は、駆動ベルトを駆動することで上下に往復移動するように設けられている。
このような支持部材を介して、駆動部85の駆動ベルトの動力が第1トレイ81に伝達され、これにより、第1トレイ81が昇降移動する。
第1トレイ81の下部には、第1トレイ81を支持するアーム88が設けられている。アーム88は、第1トレイ81と底部89との間に配置されている。そして、アーム88は、L字状に屈曲して設けられており、その屈曲角度が可変となっている。このアーム88の屈曲角度は、第1トレイ81の昇降位置にしたがって変化する。
なお、第1トレイ81の後処理部5寄りの端部には、突起が設けられている。この突起は、後処理部5に設けられている上下に長く伸びる溝部と係合し、溝部内をスライド可能となっている。
トレイ8は、排紙された記録シートの取り出しを検出する取り出し検出部(図示せず)を備える。取り出し検出部としては、例えば、重量センサや記録シートの有無を検出するメカニカルな検出センサを適用することが考えられる。
〔制御部90の構成〕
図7は、画像処理装置1の画像形成プロセスを制御する回路基板及び外部機器からの画像データを受け入れるインターフェース基板等を収容した制御部90の主要部の構成を示す機能ブロック図である。
制御部90は、図7に示すように、中央演算処理装置であるCPU911を中心として、画像情報受信部912と、原稿読取部913と、画像処理部914と、操作部(入力/表示部)915と、駆動部916と、給紙部917と、印字部918と、排紙部919と、後処理部920と、温度制御部921とにより構成される。さらに、制御部90は、通信部922と、ハードディスク(HD)923と、管理部924と、シフタ機構925とを備えている。
操作部915は、各種入力キー等を備えた入力部とLCD等の表示部とを有する。入力部は、装置の操作や入力条件を入力する。表示部は、入力条件等を表示する。
ここで、入力条件とは、記録シートに対するステープルの位置情報、記録シートに対するステープルの向き情報、1部に綴じる記録シートの綴じ枚数情報といったステープル条件、および、記録シートの紙坪量情報、記録シートのサイズ情報、記録シートの向き情報、画像形成をする記録シートの部数情報といった印刷条件等である。
制御部90は、画像処理装置1を構成する各部の動作を監視すると共に、画像処理装置1として的確な動作を行なうように、入力条件に基づいて装置全体を制御する。
通信部922は、ネットワーク上に設置されたパーソナルコンピュータ等の外部端末との通信を制御する。
ハードディスク923は、各入力手段(入力経路:デジタル画像処理装置として搭載された各モード、例えば、スキャナ、ファックス、ネットワーク等)から入力された画像データを記憶する画像データ記憶手段として機能する。ハードディスク923は、磁気記憶媒体を備えた記憶装置として構成することができる。
管理部924は、制御部90における装置各部の制御に必要な情報等を管理している。後処理装置1を画像処理装置に備えて利用する場合には、原稿読み取り部913にて読み取られた原稿の画像データが、画像処理部914から複写物として出力される。
具体的には、原稿読み取り部913には、CCDが備えられる。原稿読み取り部913は、読み取り位置にセットされた原稿の画像を電子的に読み取ることができる。読み取られた原稿の画像データは、揮発性のメモリ上に出力画像として完成され、一旦ハードディスク923へ記憶される。原稿が複数ある場合は、この読み取り、記憶の動作が繰り返される。その後、操作部915から指示された処理モードに基づいて、ハードディスク923に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読み出され揮発性のメモリに送られる。そして、印字部918への書き込みタイミングに合わせて画像データが、メモリから印字部918へと転送される。
読み取った画像データを複数枚印字する場合も、同様に出力画像としてページ単位でハードディスク923へ記憶され、出力するモードに合わせてハードディスク923から揮発性メモリに送られ、出力枚数の分だけ繰り返し書き込みタイミングに合わせて印字部918へ転送される。
画像処理装置1をプリンタとして利用する場合には、通信部922にて受信した画像データがメモリ等を介して画像処理部914から出力される。
通信部922は、通信ケーブル等によりネットワークと接続されており、ネットワーク上に接続された外部端末としてのパーソナルコンピュータ等の機器から画像データを受信するようになっている。通信部922にて受信された画像データは、出力する画像データとしてページ単位にメモリに送られ、一旦ハードディスク923へ記憶される。そして、再びハードディスク923から揮発性のメモリに送られ、複写機として利用する場合と同様にして印字部918へと転送される。
画像処理装置1をネットワークスキャナとして利用する場合には、原稿読み取り部913において読み取られた原稿の画像データを、通信部922からネットワークを介して外部端末としての任意のパーソナルコンピュータへ送信することができる。ここでも原稿読み取り部913に備えられたCCDにより原稿の画像を電子的に読み取る。そして、読み取られた原稿の画像データは、揮発性のメモリ上に出力画像として完成され、一旦ハードディスク923へ記憶される。そして、再びハードディスク923から揮発性のメモリに送られ、操作部915を介して指示された送信先との通信を確立させた上で通信部922から目的の送信先へと送信される。
通信部922は、ネットワーク以外に電話回線と接続されており、画像処理装置1をファクシミリ装置として利用する場合にも同様の動作が行われ、外部通信装置との原稿画像の送信および受信が可能である。
なお、本実施形態では、画像データを一時的に保存する記憶装置としてハードディスク923を備えた画像処理装置1で説明しているが、これに限らず、装置本体から取り外されても保存された画像データを保持することができる不揮発性のメモリ、バックアップ機能の付いたメモリ、磁気記憶媒体を用いたその他の記憶装置(媒体)等を備えている場合についても同様に適用することが可能である。
画像処理装置1の各構成部は、制御部90により制御される。制御部90は、操作部915に設けられたタブレットやキー群等の入力部からの操作指示を監視すると共に、表示部を介してデジタル画像処理装置の状態に関する情報等、利用者に通知すべき情報を的確に案内表示する。
管理部924には、制御部90により管理されている各構成部に関する情報が管理されており、これら情報をもとに、制御部90が画像処理装置全体の動作を制御する。
制御部90は、ステープル処理をした記録シートを積載するトレイ8に対して、入力条件から記録シートの積載量を算出し、積載量が最大積載量以上か否かを判断し、算出した積載量が最大積載量以上のとき、入力条件を変更する入力条件変更機能を備える。
具体的には、ハードディスク923には、図9〜図12に示すような、ステープル条件(記録シートに対するステープルの位置情報、記録シートに対するステープルの向き情報、1部に綴じる記録シートの綴じ枚数情報)と、印刷条件(記録シートの紙坪量情報、記録シートのサイズ情報、記録シートの向き情報、画像形成をする記録シートの部数情報)とに基づくトレイ8の最大積載量を記憶する管理テーブルが記憶されている。
管理テーブルは、図9〜図12に示すように、ステープルの位置情報に応じたトレイ8の最大積載量を記憶する。詳しくは、図9(a)はステープル位置が中央2点、前1点(平行)が混在する時のトレイ8の最大積載量を記憶される。図9(b)はステープル位置が中央2点の時のトレイ8の最大積載量を記憶される。図10(a)はステープル位置が奥1点(平行)、前1点(平行)が混在する時のトレイ8の最大積載量を記憶される。図10(b)はステープル位置が奥1点(平行)の時のトレイ8の最大積載量を記憶される。図11(a)はステープル位置が前1点(平行)の時のトレイ8の最大積載量を記憶される。図11(b)はステープル位置が奥1点(斜め)、前1点(平行)が混在する時のトレイ8の最大積載量を記憶される。図12(a)はステープル位置が奥1点(斜め)、奥1点(平行)が混在する時のトレイ8の最大積載量を記憶される。図12(b)はステープル位置が奥1点(斜め)の時のトレイ8の最大積載量を記憶される。
ところで、図9〜図12において、紙坪量200g/m2以下の記録シート(薄紙)の積載可能部数は、紙坪量200g/m2以上の記録シート(厚紙)の積載可能部数よりも少ない。
これは、同じ長さのステープルを打った時のステープルの折り返し曲げ部分と記録シートのシート面との高低差が、紙坪量200g/m2以上の記録シート(厚紙)と比べて紙坪量200g/m2以下の記録シート(薄紙)の方が大きくなる傾向があるためである(図13(a)参照)。すなわち、同じ長さのステープルを紙坪量200g/m2以上の記録シート(厚紙)に打つ場合に比べ、ステープルを紙坪量200g/m2以上の記録シート(薄紙)に打った方がステープルの折り返し曲げして重なる部分が多くなるので、ステープルの折り返し曲げ部分と記録シートのシート面との高低差が大きくなる。
そのため、トレイ8に記録シートの束を積載した際の傾きが大きくなり、記録シートの束が滑りやすくなるのでトレイ8から落下しやすくなる(図13(b)参照)。したがって、紙坪量200g/m2以下の記録シート(薄紙)の積載可能部数は、紙坪量200g/m2以上の記録シート(厚紙)の積載可能部数よりも少なくなる。
また、図9〜図12において、同じサイズの記録シートでは、1部あたりに綴じられる記録シートの枚数が増えるにつれてトレイ8の最大積載枚数が多くなる。
これは、上述の理由と同様に、1部あたりに綴じられる記録シートの枚数が増えることで、同じ長さのステープルを打ってもステープルの飛び出し量が少なくなる。そのため、ステープルを打った時のステープルの折り返し曲げ部と紙面との高低差が少なくなり排出紙を重ねたときに傾斜は少なくなり崩れ落ちる頻度が低減する(図13(b)参照)。したがって、1部あたりに綴じられる記録シートの枚数が増えるにつれてトレイ8の最大積載枚数は多くなる。
なお、トレイ8の積載部数に関する所定値は、ステープル条件、排紙部数、記録シートのサイズ、紙坪量等に基づいて決定される。図9〜図12の管理テーブルに示す内容はあくまでも例示であり、これに限定されるものではない。
制御部90は、操作部915等から入力された入力条件から、トレイ8に積載される記録シートの積載量を算出する。制御部90は、操作部915等から入力された入力条件に基づいて、管理テーブルからトレイ8の最大積載量を抽出する。抽出した最大積載量と、算出した積載量とを比較し、算出した積載量が最大積載量以上のとき、入力条件変更機能を起動させる。
例えば、算出した積載量が最大積載量以上と判断したとき、制御部90は、利用者に処理後の記録シートがトレイ8に積載できない旨を報知する(図14(a)参照)。制御部90は、管理テーブルから、当初利用者が所望する入力条件の内容に対し変化が少ない異なる入力条件を段階的に複数抽出する。
制御部90は、抽出した入力条件をリストにして表示部に表示させ、利用者に報知する(図14(b)参照)。あるいは、通信部922から外部端末に通信し、利用者に報知する。
利用者は、表示されたリストから所望する条件を選択する。制御部90は、選択された条件に変更し、処理を開始する。
具体的には、例えば、入力条件が、記録シートのサイズA4横、ステープル位置が奥1点(斜め)、1部あたりの枚数が5枚、紙坪量が200g/m2以上を選択し、片面印刷をする記録シートの部数が17部の場合、制御部90は、前記入力条件に基づいてトレイ8に積載可能か否かを確認する。
図12(b)に示すように、トレイ8の最大積載量は16部である。そのため、前記入力条件の場合だとトレイ8の最大積載量を超えてしまうので、制御部90は、積載量が最大積載量以上と判断する。そして、制御部90は、当初利用者が所望する入力条件に対して変化が少ない新たな入力条件、本実施形態では、利用者が所望するステープルの位置が奥1点(斜め)を重視し、それを基準にして抽出した新たな入力条件のリストを利用者に対して報知する。
例えば、図14(b)に示すように、ステープルの位置が奥1点(斜め)を基準として、トレイ8に積載できる最大部数の異なる入力条件のリストを報知する。
具体的には、記録シートに対するステープルの位置を奥1点(斜め)のみとした場合、排紙できる記録シートの部数は16部となる入力条件を報知する。その他としては、記録シートに対するステープルの位置を奥1点(斜め)と奥1点(平行)の混在とした場合、排紙できる記録シートの部数は18部(奥1点(斜め)が16部、奥1点(平行)が2部)となる入力条件、記録シートに対するステープルの位置を奥1点(斜め)と前1点(平行)の混在とした場合、排紙できる記録シートの部数は20部(奥1点(斜め)が16部、前1点(平行)が4部)となる入力条件、記録シートに対するステープルの位置を前1点(平行)のみとした場合、排紙できる記録シートの部数は21部となる入力条件、記録シートに対するステープルの位置を奥1点(平行)のみとした場合、排紙できる記録シートの部数は22部となる入力条件、記録シートに対するステープルの位置を奥1点(平行)と前1点(平行)の混在とした場合、排紙できる記録シートの部数は23部(奥1点(平行)が22部、前1点(平行)が1部)となる入力条件、記録シートに対するステープルの位置を中央2点のみとした場合、排紙できる記録シートの部数は24部となる入力条件、記録シートに対するステープルの位置を中央2点と前1点(平行)の混在とした場合、排紙できる記録シートの部数は25部(中央2点が24部、前1点(平行)が1部)となる入力条件、となるように変更し、それぞれを順に報知する。あるいは、それらをリストにして報知する。
利用者は、リストから所望する入力条件を選択し、制御部90は、選択された条件に基づいて処理を開始する。これにより、トレイ8には、記録シートを全て積載することができる。これにより、トレイ8から処理済みの記録シートを取り除く作業の回数を軽減することができる。
次に、制御部90による印字要求時の処理動作について、図15を参照して説明する。
操作して各種の印字内容(記録シートのサイズ、秤量等の種類、ステープルの位置、排紙部数、片面・両面印刷の有無等)の入力条件を設定し、印字要求を行なうと(S1)、制御部90は、記録シートのステープル処理要求があるか否かを確認する(S2)。
ステープル処理要求がある場合(S2でYes)、制御部90は、管理テーブルと比較して、トレイ8から処理後の記録シートが落下しないか否かを判断する(S3)。
トレイ8から落下しないと判断した場合(S3でYes)、制御部90は、入力された入力条件に基づいて印字処理を開始し(S4)、最後まで印字処理およびステープル処理を行ない、印刷をした記録シートをトレイ8に積載する(S5)。処理が終了すると、制御部90は、次の印字要求があるか否かを確認し、印字要求がない場合、待機状態となる。
ステープル処理要求が無い場合(S2でNo)、制御部90は、そのまま印字処理を開始し(S4)、最後まで印字処理を行なう(S5)。印字が終了すると、制御部90は、次の印字要求があるか否かを確認し、印字要求がない場合、待機状態に復帰する。
S3において、管理テーブルと比較し、トレイ8から記録シートが落下する入力条件である場合、制御部90は、トレイ8への出力可能部数を増加させるために、管理テーブルから最適な入力条件を抽出し、そのリストを表示させる(S6)。
なお、本実施形態では、当初利用者が所望する入力条件に対して変化が少ない条件から表示する形態をとっているが、これに限定されるものではない。
利用者は、表示された入力条件から、いずれか一つの入力条件を選択する。制御部90は、表示させた入力条件から選択された入力条件を確認する(S7)。入力条件が選択されていない場合、制御部90は、S6に戻り、異なる入力条件を表示する。
制御部90は、入力条件に含まれる入力条件(排紙する記録シートの部数)の内容を確認した後、印字処理およびステープル処理を実行する(S8)。
制御部90は、印刷を行なう。印刷がされた記録シートは、トレイ8へ排紙される。トレイ8へ排紙された記録シートの枚数を確認(算出手段により算出した排紙枚数を確認)し、トレイ8への排紙枚数が印刷をする記録シートの枚数に到達したか否かを判定する。排紙枚数が印刷をする記録シートの枚数に到達したか否かの判定は、印刷をする記録シートの枚数を、例えば、適宜の一時記憶メモリ(図示せず)に記憶しておき、トレイ8について算出した排紙枚数と比較して算出する。
排紙枚数が印刷をする記録シートの枚数に到達していない場合、制御部90は、排紙枚数が印刷をする記録シートの枚数に到達するまで処理を続行する(S8)。印刷をする記録シートの枚数に到達した場合、制御部90は、次の印字要求があるか否かを確認し、印字要求がない場合、待機状態に復帰する。
制御部90は、トレイ8の最大積載量に達したか否かをも確認する(S9)。最大積載量に到達していない場合、制御部90は、最大積載量に到達するまで処理を続行する(S8)。
最大積載量に到達した場合、制御部90は、処理を一時停止する(S10)。そして、制御部90は、図16に示すように、利用者に対してトレイ8から処理済みの記録シートを取り除くように報知する。
制御部90は、排紙された記録シートが、トレイ8から取り除かれた否かを取り出し検出部によって検出する。
トレイ8から記録シートの取り出しが検出されるまで、制御部90は、利用者に対して、記録シートを取り除くように報知する。トレイ8から記録シートの取り出しが検出されたとき、制御部90は、処理を再開させる(S13)。
制御部90は、処理が終了したか否かを確認する(S14)。全ての処理が終了していない場合は、再度、S8に戻って処理を継続する。全ての処理が終了するまでS8〜S14の処理を繰り返し行なう。
全ての処理が終了した場合(S14でYes)、制御部90は、次の印字要求があるか否かを確認する(S15)。印字要求がある場合は、印字要求にかかる入力条件に基づいて、S8〜S15の処理を繰り返し行なう。印字要求がない場合は、待機状態に復帰する。
以上のように、最も効果的に記録シートをトレイ8に積載することでき、トレイ8から後処理後の記録シートの取り出し頻度を減少させることができる。したがって、作業効率が向上するとともに、処理後の記録シートの落下を確実に防止することができる。
また、各トレイ8において記録シートを排紙する際、制御部90は、オフセット処理を行なうことができる。例えば、制御部90は、ステープル位置に応じてオフセット処理をする。すなわち、積載する際に、ステープル位置が重ならないようにする。具体的には、ステープル位置が中央2点の場合、オフセット処理は、記録シートの排紙方向に対して垂直方向にオフセットする。このとき、交互に積載する、あるいは、順々にオフセットする一方向にずらして積載する。これにより、トレイ8の最大積載量を増加させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。本実施形態では、入力条件から排紙する記録シートの枚数がトレイの最大積載量以上となったときに、記録シートに対するステープルの位置を基準にして、ステープルの向き、記録シートの向き、紙坪量等の異なる入力条件を抽出する実施形態で説明したが、この限りではない。例えば、ステープルの向き、記録シートのサイズ、記録シートの向き等のいずれかを基準にして異なる入力条件を抽出しても良い。
本実施形態では、同じステープルの長さのものを用いて、記録シートを束ねているが、この限りではなく、例えば、ステープルを複数種類備え、ステープルの長さを変更することで、トレイに積載できるようにしても良い。この場合、ステープルの折り返し部分が重なり合うことを防止することができるので、記録シートの紙面とトレイとの傾きを抑えることができ、積載量を増やすことができる。
本実施形態では、所望する記録シートの排紙する枚数がトレイの最大性記載量を超えたとき、新たな入力条件を利用者に報知し、利用者が、報知された条件から選択するようにしているが、特にこの限りではない。例えば、制御部が、利用者からの入力条件と酷似した入力条件を選択し、自動に実行しても良い。この場合、利用者は、制御部がどのような基準に従って選択するかをあらかじめ設定しておく必要がある。
本実施形態では、異なる入力条件を抽出するとき、ステープル条件を基準にして異なる入力条件を抽出しているがこの限りではなく、トレイにより多く積載できる条件を基準に抽出しても良い。
本実施形態では、複数のステープル条件を混在した場合、利用者が先に入力したステープル条件に基づく印字部数を最大にし、残りの部数を他のステープル条件で補うようにしているが、特にこの限りではなく、複数のステープル条件で均等部数にしても良い。
本実施形態では、所望する記録シートの枚数がトレイの最大性記載量を超えたとき、制御部が、利用者から入力された入力条件に基づいて、新たな入力条件を作成しているが、特にこの限りではない。例えば、図17に示すように、利用者がステープルする必要な部数を操作部より設定しても良い。これにより、トレイでの積載可能な部数についても増加させることが可能になると共に、利用者が本当に必要な部数だけステープル処理を行なわせることで、無駄なステープル処理が行なわれるのを防止することが可能となる。
本実施形態では、所望する記録シートの枚数がトレイの最大性記載量を超えたとき、制御部が、利用者から入力された入力条件に基づいて作成した新たな入力条件の中から選択した入力条件に基づいて処理をしているが、特にこの限りではない。例えば、リストに変更しない、あるいは、そのまま出力といった変更しないで処理をする項目を設け、利用者がその項目を選択したとき、制御部は、入力条件を変更することなく出力しても良い。あるいは、利用者が、表示されたリストの中から新たな入力条件を選択せずに、操作部に備えられるスタートボタンを操作したとき、制御部は、入力条件を変更することなく出力しても良い。