JP2009214439A - インクジェット記録装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法で中間転写体上への画像形成性と転写性を両立することができるインクジェット記録装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1次画像が形成される画像形成領域に温度によって濡れ性が異なる感温性材質を含む中間転写ベルト12と、中間転写ベルト12にインクを打滴する印字部14と、画像形成領域に形成された1次画像を記録媒体18に転写する転写部20と、少なくとも印字部14と対向する位置における中間転写ベルト12を冷却する冷却部26と、転写部20に含まれる背面ローラ20A及び転写ローラ20Bに内蔵され、転写時の中間転写ベルト12を加熱するヒータと、を備え、冷却部26によって画像形成時の中間転写ベルト12が親液性となる温度以下に冷却し、ヒータによって転写時の中間転写ベルト12が撥液性となる温度以上に加熱することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも1次画像が形成される画像形成領域に温度によって濡れ性が異なる感温性材質を含む中間転写ベルト12と、中間転写ベルト12にインクを打滴する印字部14と、画像形成領域に形成された1次画像を記録媒体18に転写する転写部20と、少なくとも印字部14と対向する位置における中間転写ベルト12を冷却する冷却部26と、転写部20に含まれる背面ローラ20A及び転写ローラ20Bに内蔵され、転写時の中間転写ベルト12を加熱するヒータと、を備え、冷却部26によって画像形成時の中間転写ベルト12が親液性となる温度以下に冷却し、ヒータによって転写時の中間転写ベルト12が撥液性となる温度以上に加熱することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明はインクジェット記録装置及び画像形成方法に係り、特にインク液滴によって中間転写体上に画像を形成した後に中間転写体上の画像を記録媒体に転写記録する中間転写インクジェット記録方式における画像形成技術に関する。
現在、汎用の画像形成装置としてインクジェット記録装置が普及している。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドからインク液滴を吐出して記録メディア上に高精細な画像を形成する出力装置として広く活用されている。近年、更なる画像形成における信頼性向上を目的として、中間転写型インクジェット(IJ)記録方式が提案されている。インクジェットヘッドの吐出ノズル近傍は高度な加工技術を用いて作製されているが、吐出時の条件は非常に厳しくなっているため、直接記録型IJ方式では高速に多量の枚数を処理することが困難であった。例えば、記録メディアをインクジェットノズル近傍に搬送する直接記録IJ方式では、記録メディアに搬送エラーが生じた場合に記録メディアがインクジェットヘッドノズルに接触することがあり、その結果、ノズル近傍が損傷してしまい、その後の画像形成において着弾位置ずれや不吐出が生じるといった問題があった。また、記録メディアに紙を用いた場合、搬送時に生じる紙塵がノズル面に付着することがあり、不吐出や画質低下が生じる問題もあった。したがって、中間転写型IJ方式は直接記録型IJ記録方式に対して信頼性向上において有効な方式である。
また、中間転写型IJ方式は、画質においても直接記録型IJ方式よりも有利であるといえる。直接記録型IJ方式における描画は紙メディアにインクを浸透させて画像を保持しているため、インク吸収層のない普通紙ではインクにじみが生じてしまい、十分な解像度を得ることができなかった。一方、中間転写型IJ方式は直接記録型IJ方式に比べて、ヘッドと記録メディアとの間のギャップ低減による画質向上、中間転写体上でドット形状や着弾液滴サイズを制御するため多様なメディアで一律な画質が保証できるメディアフリー化、更に、中間転写体上における不用な溶媒を処理して紙のカールやカックルを抑制できる等のメリットがある。
しかし、中間転写型IJ方法では,中間転写体への画像形成性と、中間転写体から記録媒体への画像の転写性を両立させることが困難であった。画像形成性を良化するためには中間転写体はインクへの濡れ性の高い材料が好ましく、一方、転写性を良化するためには中間転写体は撥インク性の高い材料が好ましく、この相反する条件の両立は非常に困難であるといえる。
特許文献1には、離型性の表面を有する中間転写体にエネルギーの付与による前記表面の改質処理を施し、離型性の表面層を有する中間転写体にブリーディングやビーディングを生じさせることなくインク画像を形成し、そのインク画像を記録媒体に良好な状態で転写する技術が開示されている。
特開2005−14256号公報
特許文献1には、エネルギー付与手段として紫外線照射、フレーム処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などが開示されているが、非常に大掛かりな構成になるため装置搭載上適切ではない。また、特に好ましいとされているプラズマ処理はインクを介して漏電の恐れもあるため、安全上好ましい方法ではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡便な方法で中間転写体上への画像形成性と転写性を両立することができるインクジェット記録装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置において、インクを吐出するインク吐出手段と、前記インク吐出手段から吐出されたインクによって形成された画像を一時的に保持するとともに、前記画像を保持する画像形成領域は温度によってインク濡れ性が異なる性質を有する中間転写体と、前記中間転写体を所定の移動方向に移動させる移動手段と、前記中間転写体に一時的に保持された画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記インク吐出手段から吐出されたインクによって画像が形成される画像形成時には前記画像形成領域が親液性となり、前記転写手段において前記中間転写体から前記記録媒体に画像を転写する転写時には前記画像形成領域が撥液性となるように、前記中間転写体の温度を可変させる温度可変手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれは、中間転写方式を適用したインクジェット記録装置において、中間転写体の少なくとも画像形成領域は温度によって親液性と撥液性を切り換え可能な性質を有するので、画像形成時には親液性を発揮させるとともに転写時には撥液性を発揮させるように当該画像形成領域の温度を切り換えることで、好ましい画像形成性と好ましい転写性の両立が可能となる。
中間転写体の画像形成領域は、インク吐出手段からインクが吐出される面(画像形成面)に設けられる。なお、温度によって濡れ性が異なる領域は少なくとも1次画像が形成される画像形成領域であればよく、もちろん、画像形成領域を含む画像形成面全体でもよい。また、画像形成領域の温度を切り換える場合に、少なくとも画像形成領域の温度を切り換えればよい。
中間転写体は、複数のローラに巻き掛けられた無端状ベルトが好ましい。なお、中間転写体には、ベルト形状以外にもドラム形状は平板形状など様々な形態が適用可能である。ただし、あらゆるサイズの記録媒体に対応して連続的に印刷を行うためには、ベルト形状やドラム形状が好ましく、更に、本発明のようにインク吐出手段の直下の画像形成領域と転写手段とで温度を切り換える形態をとる場合には、画像形成領域と転写手段との距離を取れるベルト形状がより好ましい形態といえる。
インク吐出手段によって中間転写体上に画像が形成された後に、中間転写体上の余分な溶媒成分を除去する溶媒除去手段と、転写後の中間転写体をクリーニングするクリーニング手段を備える態様が好ましい。また、インクを増粘または凝集(不溶化)させる機能を有する記録性向上液を中間転写体に塗布した後に、インク打滴手段によってインクを打滴する態様も好ましい。
温度可変手段は、画像形成時には画像形成領域(感温性材質)が親液性を示す温度範囲となるように画像形成領域の温度を維持するとともに、転写時には画像形成領域(感温性材質)が撥液性を示す温度範囲となるように画像形成領域の温度を維持するように画像形成領域の温度を切り換える。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記中間転写体の少なくとも前記画像形成領域は、温度によってインク濡れ性の異なる感温性材質を含むことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、温度によって濡れ性の異なる感温性材質を画像形成領域に用いると、画像形成時と転写時の当該画像形成領域の温度を切り換えることで、画像形成時に親液性とし、転写時の撥液性とするように中間転写体の表面の濡れ性を切り換えることが可能である。
中間転写体は、感温性材質を適用した表面層と、該表面層を裏側から支持する支持層と、を含む態様が好ましい。更にまた、表面層の表面は所定の弾性を有する態様がより好ましい。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記中間転写体の前記画像を保持する面に温度によってインク濡れ性の異なる感温性材質を塗布する感温性材質塗布手段を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、中間転写体に画像を形成するたびに中間転写体に感温性材質を塗布するので、磨耗などによって中間転写体の表面状態が変化することがなく、連続動作性の向上が見込まれる。
感温性材質を加熱する感温性材質加熱手段を備え、加熱によって感温性材質を塗布しやすい状態にした後に当該感温性材質を中間転写体に塗布する態様が好ましい。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記画像形成時の前記中間転写体の表面のエネルギーγ1と、前記転写時の前記中間転写体の表面のエネルギーγ2は、次式γ1−γ2≧5(mN/m)を満たすことを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、水性インク、油性インクなど、インク溶媒の種類によらず好ましい画像形成性及び好ましい転写性を実現可能である。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記画像形成時の前記中間転写体の水に対する接触角α1と、前記転写時の前記中間転写体の水に対する接触角α2は、次式α2−α1≧10°を満たすことを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、水性インクを用いる場合には、転写時における中間転写体の水に対する接触角α2が画像形成時の前記中間転写体の水に対する接触角α1よりも10°以上大きい値であれば、好ましい画像形成性及び好ましい転写性を実現可能である。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のうち少なくとも何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記温度可変手段は、少なくとも前記インク吐出手段と対向する位置において前記中間転写体を冷却する冷却手段と、前記転写手段による転写処理領域において前記中間転写体を所定の転写温度に加熱する加熱手段と、を含むことを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、画像形成時には中間転写体が親液性を発現する温度以下となるように中間転写体を冷却し、転写時には中間転写体が撥液性を発現する温度以上となるように中間転写体を加熱することで、冷却及び加熱によって中間転写体の表面性を好適に切り換え可能である。
画像形成時及び転写時の中間転写体の温度を検出する温度検出手段を備え、温度検出手段の検出結果に基づいて、画像形成時及び転写時の中間転写体の温度が所定の温度になるように冷却手段及び加熱手段を制御する態様が好ましい。
請求項7に記載の発明は、請求項6記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記冷却手段は、前記インク吐出手段の前記中間転写体移動方向上流側から前記インク吐出手段と対向する位置にわたって設けられることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、画像形成に先立って中間転写体を冷却するので、画像形成時において確実に画像形成領域が親液性を発現する温度とすることができる。
転写後の中間転写体をクリーニングするクリーニング手段を備える態様では、中間転写体の移動経路における、クリーニング手段の中間転写体移動方向下流側であり、インク吐出手段の上流側の所定の位置からインク吐出手段の直下にわたって冷却手段を配設する態様が好ましい。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至5のうち少なくとも何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記温度可変手段は、前記インク吐出手段の前記中間転写体移動方向上流側に設けられ、前記中間転写体を冷却する冷却手段と、前記転写手段による転写処理領域において前記中間転写体を所定の転写温度に加熱する加熱手段と、を含むことを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、画像形成に先立ち中間転写体を冷却するので、画像形成直前までに画像形成領域が親液性を発揮する温度以下とすることができる。また、インク吐出手段の直下に冷却手段を備える態様に比べて冷却手段を小型化できるとともに、インク吐出手段近傍の構造を簡素化することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項6又は7記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記インク吐出手段と前記転写手段との間に前記中間転写体上の溶媒を除去する溶媒除去手段を備え、前記冷却手段は、前記インク吐出手段の前記中間転写体移動方向上流側の所定の位置から前記溶媒除去手段に対応する位置にわたって設けられることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、中間転写体へ画像形中から画像形成後(転写の直前)まで中間転写体の画像形成領域は親液性が維持されるので、画像形成後の中間転写体の移動による画像乱れを回避することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記冷却手段の近傍に設けられ、内部に冷却媒を有する熱輸送手段を備えることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、冷却効率の向上が見込まれる。
請求項11に記載の発明は、請求項10記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記熱輸送手段は、前記加熱手段と前記冷却手段とを連結するとともに、前記加熱手段は前記冷却手段から発生した熱を利用することを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、冷却手段によって発生した廃熱を加熱手段に活用でき、装置内の省電力化(省エネルギー化)が見込まれる。
また、本発明は上記目的を達成するための方法発明を提供する。即ち、請求項12に記載の画像形成方法は、温度によってインク濡れ性が異なる性質を有する中間転写体の画像形成領域にインクを吐出して画像を形成するとともに当該画像を一時的に保持し、当該画像を記録媒体に転写する画像形成方法であって、前記中間転写体にインクによって画像が形成される画像形成時には前記画像形成領域が親液性となり、前記転写手段において前記中間転写体から前記記録媒体に画像を転写する転写時には前記画像形成領域が撥液性となるように前記中間転写体の温度を可変させることを特徴とする。
中間転写体の少なくとも画像形成領域に温度によって濡れ性が異なる感温性材質を塗布する感温性材質塗布工程を備え、画像形成領域に感温性材質を塗布したのちにインクを打滴して画像を形成する態様も好ましい。また、中間転写体の少なくとも画像形成領域は、温度によって濡れ性が異なる感温性材質を含む態様も好ましい。
画像形成後、かつ、転写前の中間転写体の溶媒を除去する溶媒除去工程と、インク吐出前の中間転写体をクリーニングするクリーニング工程と、を備える態様が好ましい。また、インクを増粘または凝集(不溶化)させる記録性向上液を塗布したのちにインクを打滴する態様も好ましい。
本発明によれは、中間転写方式を適用したインクジェット記録装置において、中間転写体の少なくとも画像形成領域は温度によって親液性と撥液性を切り換え可能な性質を有するので、画像形成時には親液性を発揮させるとともに転写時には撥液性を発揮させるように当該画像形成領域の温度を切り換えることで、好ましい画像形成性と好ましい転写性の両立が可能となる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔第1実施形態〕
<装置の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置10の概略構成を示す全体構成図である。本実施形態のインクジェット記録装置10は、非浸透媒体たる中間転写ベルト12上に画像(1次画像)を記録した後に、普通紙等の記録媒体18に転写を行って本画像(2次画像)を形成する転写方式が適用された記録装置であり、主な構成要素として、中間転写ベルト12に対して黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンダ(LM)の各色に対応するヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMを備えた印字部14と、印字後の中間転写体上の溶媒成分を除去する溶媒除去部16と、中間転写ベルト12上に形成されたインク画像を記録媒体18に対して転写を行う転写部20と、不図示の給紙トレイから記録媒体18を転写部20に搬送する記録媒体搬送部19と、転写後の記録媒体18に対して記録画像の定着処理を施す定着ローラ対22と、定着処理後の記録媒体18を装置外部に排出する排出搬送部(不図示)と、中間転写ベルト12を清掃するクリーナー24と、中間転写ベルト12を冷却する冷却部26と、を備えて構成される。
<装置の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置10の概略構成を示す全体構成図である。本実施形態のインクジェット記録装置10は、非浸透媒体たる中間転写ベルト12上に画像(1次画像)を記録した後に、普通紙等の記録媒体18に転写を行って本画像(2次画像)を形成する転写方式が適用された記録装置であり、主な構成要素として、中間転写ベルト12に対して黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンダ(LM)の各色に対応するヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMを備えた印字部14と、印字後の中間転写体上の溶媒成分を除去する溶媒除去部16と、中間転写ベルト12上に形成されたインク画像を記録媒体18に対して転写を行う転写部20と、不図示の給紙トレイから記録媒体18を転写部20に搬送する記録媒体搬送部19と、転写後の記録媒体18に対して記録画像の定着処理を施す定着ローラ対22と、定着処理後の記録媒体18を装置外部に排出する排出搬送部(不図示)と、中間転写ベルト12を清掃するクリーナー24と、中間転写ベルト12を冷却する冷却部26と、を備えて構成される。
中間転写ベルト12には無端状ベルトが適用される。この中間転写ベルト12は複数のローラ(図1では2つの張架ローラ28A、28Bと、背面ローラ20Aを図示したが、ベルトの巻き掛け形態は本例に限定されない)に巻き掛けられた構造を有し、張架ローラ28A、28B及び背面ローラ20Aの少なくとも1つにモータ(図1中不図示、図7に符号88として図示)の動力が伝達されることにより、中間転写ベルト12は、図1において時計回り方向(矢印Aで示す中間転写ベルト搬送方向)に駆動される。
中間転写ベルト12は、印字部14と対向する表面(画像形成面)12Aの少なくとも1次画像が形成される画像形成領域(不図示)について、温度によってインク濡れ性の異なる感温性材料を含んでおり、冷却部26によって中間転写ベルト12を冷却して所定の温度以下にするとともに、加熱して所定の温度を超える温度にすることで中間転写ベルト12の画像形成面12Aの濡れ性を可変させることができる。即ち、中間転写ベルト12の画像形成面12Aの少なくとも画像形成領域は、所定の境界温度以下で親液性を示すとともに当該境界温度を超える温度で撥液性を示す感温性材料が適用される。
印字部14は、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)イエロー(Y)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンダ(LM)の各インク色に対応したインクジェット方式の液体吐出ヘッド(以下「ヘッド」という。)14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMを備える。
中間転写ベルト12上に印字部14の各ヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMから画像信号に応じて各色(K,C,M,Y,LC,LM)のインクを吐出して中間転写ベルト12の画像形成面12Aに打滴を行う。インクには成膜性を有するポリマー樹脂(微粒子)を含有しておくことも可能であり、かかる態様の場合、転写工程や定着工程により、画像の耐擦性や保存安定性が向上する。
上記のように、画像形成面12A上に着弾したインクによって1次画像が形成されると、印字部14の中間転写ベルト搬送方向下流側に設けられた溶媒除去部16によって中間転写ベルト12上の余分な溶媒(残溶媒)成分が除去される。図1には溶媒除去部16の構成として、溶媒除去ローラ(多孔質材による吸収ローラや表面に液保持用の凹凸を有するローラなど)16A、16Aと、溶媒除去ローラ16Aの中間転写ベルト12の反対側面を支持する支持部材16Bと、を備える構成を例示する。
図1に詳細な図示は省略するが、2つの溶媒除去ローラ16Aは中間転写ベルト12の幅方向(中間転写ベルト搬送方向と直交する方向)における位相をずらして配置され、2つの溶媒除去ローラ16Aで中間転写ベルト12の全幅に対応している。なお、中間転写ベルト12の幅方向の略中央部は2つの溶媒除去ローラ16Aの両方によって溶媒除去が行われる領域が存在している。
溶媒除去ローラ16Aは多孔質体が好適に用いられる。また、溶媒除去ローラ16Aで吸収した余剰なインク(溶媒)は、溶媒除去ローラ16Aの内側または外側からポンプで吸引して溶媒を回収するように構成する態様が好ましい。
余剰な溶媒が転写時に記録媒体18に付着し、更に当該溶媒が記録媒体18に浸透することで記録媒体18にカールやカックルが発生することがある。記録媒体18にカールやカックルが発生すると品質を損なうことになる。したがって、カールやカックル防ぐために、溶媒除去部16を備えて転写前に余分な溶媒成分を除去しておくことが好ましい。
なお、溶媒除去部16には、図1に示す溶媒除去ローラ以外にも、熱乾燥、エアナイフ等の溶媒除去方法が考えられるが、エネルギー効率と除去後の溶媒回収を考慮すると、図1に示す溶媒除去ローラ16Aによって溶媒を吸収する方法が好ましい。図1には同一の溶媒除去ローラ16Aを中間転写ベルト搬送方向に沿って2つ並べる態様を例示したが、溶媒除去部16の構成は図1に示す態様に限定されず、他の構成(例えば、中間転写ベルト12の全幅に対応する長さを有する溶媒除去ローラを1つ備える態様や、3つ以上のローラを中間転写ベルト12の全幅にわたって千鳥に並べる態様)を適用してもよい。
一方、溶媒除去ローラ16Aの数が多い程、より多くの溶媒を除去できるが、その反面、それぞれの溶媒除去ローラ16Aに溶媒回収機構が必要となる等、構造が複雑となる。また、除去ローラ16Aを定期的に交換する負荷も増えるので、溶媒除去ローラの数は中間転写ベルト12に全幅に応じて決められる。
溶媒除去部16によって溶媒除去処理が行われると、中間転写ベルト12を更に搬送して1次画像(画像形成領域)を転写部20へ搬送する。
転写部20は、ヒータ(図1中不図示、図7に複数のヒータを代表して符号89で図示)を有した背面ローラ20Aと、これに対向して配置され、加熱用のヒータを内蔵した加圧ニップ用の転写ローラ20Bとを含んで構成される。
図1に示すように、背面ローラ20Aと転写ローラ20Bの間に中間転写ベルト12と記録媒体18とを挟み込み、所定の転写温度に加熱しながら所定のニップ圧で加圧することにより、中間転写ベルト12上に形成された1次画像を記録媒体18に転写する構成となっている。
転写部20における転写時のニップ圧を調整するための手段としては、例えば、背面ローラ20Aまたは転写ローラ20B、若しくはその両方を図1の上下方向に移動させる機構(駆動手段)が挙げられる。
転写時のニップ圧や転写温度については、中間転写ベルト12の画像形成領域の濡れ性が撥液性を示す温度以上に設定される。即ち、転写時の中間転写ベルト12の画像形成領域を撥液性にすることで、好ましい転写性を実現している。なお、転写時の加熱温度を高くしすぎると中間転写ベルト12の変形等の問題があるので、転写温度は中間転写ベルト12の変形等の発生しない温度以下の温度に設定される。
記録媒体18の供給部(給紙部)の構成について、詳細は図示しないが、ロール紙(連続用紙)のマガジンを備える態様、或いは、ロール紙のマガジンに代えて、またはこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給する態様がある。ロール紙を使用する装置構成の場合、裁断用のカッターが設けられており、該カッターによってロール紙は所望のサイズにカットされる。紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンやカセットを併設してもよい。
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
本例に適用される記録媒体18の具体例を挙げると、普通紙(上質紙、再生紙を含む)、インクジェット専用紙などの浸透性媒体、コート紙などの非浸透性または低浸透性の媒体、裏面に粘着剤と剥離ラベルの付いたシール用紙、OHPシートなどの樹脂フィルム、金属シート、各種基板、布、木など様々な媒体がある。
転写部20に送られた記録媒体18は、背面ローラ20Aと転写ローラ20Bによって所定の温度及び所定のニップ圧で加熱加圧され、中間転写ベルト12上の1次画像が記録媒体18上に転写される。転写部20を通過した記録媒体18(印刷物)は、剥離爪等の剥離機構(不図示)によって中間転写ベルト12から分離され、定着ローラ対22を含む定着処理部で定着処理が施された後に機外へと排出される。図1には示さないが、印刷物の排出部には、プリントオーダー別に印刷物を集積するソーターが設けられる。
温度及び加圧力の調整可能な定着ローラ対22を用いた定着処理工程では、記録媒体18に加熱及び加圧処理を施して記録媒体18に画像を定着させる。このような定着工程を付加することにより、インクに含有されるポリマー微粒子を造膜させる(画像の最表面にポリマー微粒子が溶解した薄膜が形成される)ことで、耐擦性や保管性が一段と向上する。定着工程における加熱温度(定着処理温度)は100〜130℃、加圧力(定着圧力)は2.5〜3.0MPaが好ましく、添加したポリマー樹脂の温度特性(成膜温度:TMFT)などに応じて最適化される。もちろん、転写部20における転写工程において、転写性と造膜化が両立することができれば、定着工程を省略する態様も可能である。
転写部20による転写工程後、中間転写ベルト12はクリーナー24によってクリーニングされる構成が好ましい。
クリーナー24は、蒸留水や精製水などの水や溶媒除去ローラ等で回収した溶媒、またはこれら液体に界面活性剤などを添加した洗浄液を用いて中間転写ベルト12の洗浄を行う手段であり、洗浄液を噴射する不図示の洗浄液噴射部と、中間転写ベルト12の画像形成面12Aに当接して画像形成面12Aを摺動払拭するクリーニングブレード24Aとを含んで構成される。なお、クリーニングブレード24Aが摺接する中間転写ベルト12の背面12Bにはプラテンが配設される態様が好ましい。
クリーニングブレード24Aは、中間転写ベルト12の幅と同等、或いは、それよりも僅かに長めに形成され、中間転写ベルト12の全幅を一度に掻き取ることができる。洗浄液噴射部(不図示)から中間転写ベルト12の表面に向けて洗浄液を噴射しながらクリーニングブレード24Aで掻き取ることにより、中間転写ベルト12をクリーニングする。なお、洗浄液の飛散防止とクリーニングブレード24Aによる掻き取り液の回収等のために、クリーナー24は容器24Bで覆われている。このクリーナー24は、主に、記録媒体18への画像転写終了後の中間転写ベルト12をクリーニングする手段として機能する。
クリーナー24の処理領域を通過した中間転写ベルト12(画像形成領域)は印字部14の直下に位置するときに画像形成領域が親液性を示す温度以下となるように、冷却部26によって冷却される。
冷却部26の構成の詳細については後述するが、図1には、中間転写ベルト12の背面12Bに接触するヒートシンク26Aを備える態様を例示する。また、図1に示すヒートシンク26Aは、印字部14よりも中間転写ベルト搬送方向の上流側(ローラ28Bの直後)から印字部14の直下にわたる領域をカバーするように配設されている。
次に、インクジェット記録装置10の要部の構成について更に詳説する。
<印字部の構成>
図1に示したように、印字部14は中間転写ベルト搬送方向Aに沿って上流側から、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンダ(LM)の順に、各色に対応したヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMが並んで設けられている。
図1に示したように、印字部14は中間転写ベルト搬送方向Aに沿って上流側から、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンダ(LM)の順に、各色に対応したヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMが並んで設けられている。
また、インク貯蔵/装填部30は各ヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMにそれぞれ供給するインク液を各々貯蔵するインクタンクを含んで構成され、各インクタンクは所要の流路を介してそれぞれ対応するヘッドと連通されており、各ヘッドに対してそれぞれ対応するインク液を供給する。インク貯蔵/装填部30は、タンク内の液体残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、液体間の誤装填を防止するための機構を有している。
インク貯蔵/装填部30の各インクタンクから各ヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMにインクが供給され、各ヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMから中間転写ベルト12の画像形成面12Aに対してそれぞれ対応する色インクが打滴される。
図2は、印字部14の平面図である。同図に示すように、各ヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMは、それぞれ中間転写ベルト12における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(図2中不図示、図3等に符号51で図示)が複数配列されたノズル列を有するフルライン型のヘッドとなっている。各ヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMは、中間転写ベルト搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。
中間転写ベルト12の幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッドをインク色別に設ける構成によれば、中間転写ベルト12の搬送方向Aについて、中間転写ベルト12と印字部14を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、中間転写ベルト12の画像形成領域に画像(1次画像)を形成することができる。これにより、中間転写体搬送方向と直交する方向(主走査方向;図3に図示)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドが適用される場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)に淡色インクLC、LMを追加した6色の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて濃インクや特別色インクを追加してもよいし、図2に示す構成例から淡インクを除いてKCMYの標準色を適用してもよい。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
<ヘッドの構造>
次に、各ヘッドの構造について説明する。色別のヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
次に、各ヘッドの構造について説明する。色別のヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a)はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b)はその一部の拡大図である。記録媒体18上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a),(b)に示したように、インク吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(中間転写ベルト搬送方向と直交する方向;主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
中間転写ベルト搬送方向(副走査方向)と略直交する主走査方向に中間転写ベルト12の画像形成領域の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は図示の例に限定されない。例えば、図3(a)の構成に代えて、図3(c)に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として中間転写ベルト12の画像形成領域の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図3(a),(b)参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル51への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図4は、ヘッド50における記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット53)の立体的構成を示す断面図(図3(a),(b)中の4−4線に沿う断面図)である。
図4に示すように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に供給される。
圧力室52の一部の面(図4において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えた圧電素子58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、圧電素子58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を含む構造が好適に用いられる。インク吐出後、圧電素子58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に再充填される。
入力画像からデジタルハーフトーニング処理によって生成されるドットデータに応じて各ノズル51に対応した圧電素子58の駆動を制御することにより、ノズル51からインク滴を吐出させることができる。中間転写ベルト12を一定の速度で副走査方向(図3(a)参照)に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル51のインク吐出タイミングを制御することによって、中間転写ベルト12上に所望の画像(ここでは、転写前の1次画像)を記録することができる。
上述した構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影(正射影)されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影される実質的なノズル列の高密度化を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、中間転写ベルト12の幅方向(中間転写ベルト12の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36を1つのブロック、…として)、中間転写ベルト12の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16を順次駆動することで中間転写ベルト12の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと中間転写ベルト12とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。即ち、本実施形態では、中間転写ベルト12の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する中間転写ベルト12の幅方向が主走査方向ということになる。なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表される圧電素子58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
<供給系の説明>
図6は、インクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
図6は、インクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
インク供給タンク60はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部30に含まれる。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図6に示すように、インク供給タンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図6には示さないが、ヘッド50の近傍またはヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止またはノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ヘッド50のインク吐出面の清掃手段としてクリーニングブレード66が設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
印字中または待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、圧電素子58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(圧電素子58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)圧電素子58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ64(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
なお、中間転写ベルト12に向けてインクを打滴して予備吐出を行う態様も可能である。例えば、複数の画像を連続的に形成する場合には、画像間で予備吐出を実行することが可能である。特に、同一画像を複数枚形成する場合には、特定のノズルにおいてインク(処理液)吐出の頻度が低くなり、吐出異常の発生する可能性が高くなり、当該特定のノズルについて画像間で予備吐出を行うことが好ましい。
中間転写ベルト12に予備吐出を行う場合には、溶媒除去ローラ16Aや転写ローラ20Bに予備吐出によるインクが付着しないように、溶媒除去ローラ16A及び転写ローラ20Bを移動させて、溶媒除去ローラ16A及び転写ローラ20Bと中間転写ベルト12との間に所定のクリアランス(例えば、10mm程度)を設けるとよい。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、圧電素子58が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合にはヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
クリーニングブレード66はゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のインク吐出面に摺動可能である。インク吐出面にインク液滴または異物が付着した場合、クリーニングブレード66をインク吐出面に摺動させることでインク吐出面を拭き取り、インク吐出面を清掃する。
中間転写ベルト12(図1参照)上に予備吐出を行う場合には、中間転写ベルト12をインク受けとすることで、キャップ64を印字部14(図1参照)の直下に移動させる時間や、中間転写ベルト12を印字部14の直下から退避させる時間を省略できるので、予備吐出にかかる時間を短縮することができる。また、予備吐出によって中間転写ベルト12に付着したインクはクリーナー24を用いて清掃される。
<制御系の説明>
図7は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、冷却制御部75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、転写制御部79、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
図7は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、冷却制御部75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、転写制御部79、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。
メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、冷却制御部75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、転写制御部79等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
冷却制御部75は、図1に示す冷却部26を制御する制御ブロックである。冷却制御部75は、不図示の温度センサの検出信号に基づいて中間転写ベルト12の画像形成領域の温度を判断し、画像形成領域が所定の温度以下になるように冷却部26を制御する。図1に示すヒートシンク26Aを中間転写ベルト12の背面12Bに接触させて中間転写ベルト12を冷却する態様では、温度センサの検出温度を監視して、検出温度が目標温度に達するとヒートシンク26Aを中間転写ベルト12から離間させるようにヒートシンク26Aの位置が制御される。なお、検出温度と目標温度との差に基づいてヒートシンク26Aと中間転写ベルト12との接触時間を設定し、当該接触時間によってヒートシンク26Aの位置を制御してもよい。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。図7には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号88で図示されている。例えば、図7に示すモータ88には、図1の張架ローラ28A、28Bのうち駆動ローラを駆動するモータや、記録媒体18を搬送する搬送機構の駆動モータ、排出機構のモータなどが含まれている。
ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって、ヒータ89を駆動するドライバである。図7には、インクジェット記録装置10に備えられる複数のヒータを代表して符号89で図示されている。例えば、図7に示すヒータ89には、図1の定着ローラ対22に内蔵されるヒータなどが含まれている。
転写制御部79は、図1に示す転写部20の転写ローラ20Bの押圧制御を行うとともに、背面ローラ20A及び転写ローラ20Bに内蔵されたヒータの温度制御を行う。記録媒体18の種類やインクの種類ごとに、転写ローラ20Bの押圧最適値、背面ローラ20A及び転写ローラ20Bに内蔵されたヒータの温度最適値が予め求められ、データテーブル化されて所定のメモリ(例えば、メモリ74)に記憶されている。
記録媒体18の情報や使用インクの情報を取得すると、当該メモリを参照して転写ローラ20Bの押圧及び背面ローラ20A及び転写ローラ20Bに内蔵されたヒータの温度が制御される。なお、転写ローラ20Bの押圧を可変させるときに転写ローラ20Bを移動させる移動機構のモータは、図7にモータ88に含まれる。
システムコントローラ72は、装置各部に備えられたセンサから送られる検出信号を受け取り、当該検出信号に基づいて装置各部に対して制御信号を送出する。即ち、システムコントローラ72は、各センサの検出信号に基づいて各部を制御する制御手段として機能する。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられる画像データに基づいてヘッド50の圧電素子58に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子58に印加して圧電素子58を駆動する駆動回路を含んで構成される。なお、図7に示すヘッドドライバ84には、ヘッド50の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データがメモリ74に記憶される。
メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをYCMK及びLC,LMの6色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
なお、中間転写ベルト12上に形成される1次画像は、転写の際に反転することを考慮して、最終的に記録媒体18に形成される2次画像(記録画像)の鏡面画像としなければならない。即ち、ヘッド50に供給される駆動信号は鏡面画像に対応した駆動信号であり、プリント制御部80にて入力画像に対して反転処理を施す必要がある。
図7に示すプログラム格納部90には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部90は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
<中間転写ベルトの説明>
次に、本例に適用される中間転写ベルト12の詳細構成について説明する。図8は、中間転写ベルト12の幅方向の断面線に沿う断面図である。本例適用される中間転写ベルト12は、画像形成面12Aを含む表面層100と、表面層を支持する基材層102を含んで構成されている。
次に、本例に適用される中間転写ベルト12の詳細構成について説明する。図8は、中間転写ベルト12の幅方向の断面線に沿う断面図である。本例適用される中間転写ベルト12は、画像形成面12Aを含む表面層100と、表面層を支持する基材層102を含んで構成されている。
表面層100の少なくともヘッド50から打滴されたインクによって1次画像が形成される画像形成領域(不図示)は、温度によってインク濡れ性の異なる材料(感温性材料)でできており、図1に示す冷却部26によって冷却され所定の温度以下となると親液性となり、背面ローラ20A及び転写ローラ20Bの内蔵ヒータによって加熱され所定の温度(親液性となる「所定の温度」よりも高い温度でもよいし同一の温度でもよい)以上となると撥液性となる。
基材層102は搬送による引張応力に耐えうる強度を確保し、かつ、描画と転写に適した表面性を得るために少なくとも表面層100と基材層102の2層を含む構造とした。
基材層102の材質としては、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等を用いることができる。
表面層100の材質としては、温度によって表面濡れ性が変わる材質が用いられ、描画時(1次画像形成時)と転写時において温度をスイッチングすることで、描画性(画像形成性)と転写性との両立を実現することができる。更に、転写時の紙の表面粗さに、より追従させて良好な転写性を得るためには、表面層100には弾性材料を適用することが好ましく、SIFEL(液状フッ素エラストマー、信越化学製)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、NBR(ニトリルゴム)、ネオプレンゴム等を好適に用いることができる。一方、金属材質は温度によって濡れ性が異なる性質を有していないので、表面層100の材料としては不適切である。先に挙げた材料の中で、特に温度によって水の濡れ性が変わるものはSIFELとNBRである。
図9にSIFEL、シリコーンゴム、NBRの特性を示す。図9に示すように、SIFEL及びNBRは、30℃における水の接触角α1と90℃における水の接触角α2が10°以上変化している(α2−α1≧10°)。即ち、SIFEL及びNBRは30℃における水への濡れ性と、90℃における水への濡れ性が変化していることがわかる。これは、特に水系インクの場合にSIFELとNBRではインクの濡れ性が温度で連続的に変化し、画像形成性と転写性を両立しやすことを示している。
なお、「接触角の差が10°以上」という臨界的な意義については、記録媒体18の接触角と中間転写ベルト12の接触角の関係から説明することができる。
即ち、本発明の対象となる各種記録媒体(アート紙、マットコート紙、上質紙、普通紙などの記録媒体18)の水に対する接触角(以下、水接触角と記載する。)は、80°〜110°であり、好ましい転写性を得るためには中間転写ベルト12は撥水性材料を選定する必要がある。
一般的に「撥水性材料」とは「水接触角が90°以上の材料」を含んでおり、更に、水接触角が100°程度であることが好ましい。中間転写ベルト12よりあらゆる種類の記録媒体18に対してインクが濡れるように設定して高い転写率を得るためには、転写時における中間転写ベルト12の水接触角を記録媒体18の水接触角である110°以上に変化させる設定にすることが必要となる。
したがって、好ましい描画性と好ましい転写性を両立する条件は、中間転写ベルト12の画像形成時の水接触角と転写時の水接触角の差を好ましくは10°以上に設定することである。詳細は後述するが(図16参照)、SIFELとNBRを用いる場合には、好ましい描画性と好ましい転写性を両立することができ、図16に図示した評価結果は、「接触角の差が10°以上」という臨界的な意義を裏付けている。
一方、水系インクに限らず溶剤系インクを含むあらゆる材料に対しての濡れ性は表面自由エネルギーとして表現できる。即ち、30℃における表面自由エネルギーγ1と90℃における表面自由エネルギーγ2の変化が相対的に大きいほど濡れ性が変化するといえる。表面自由エネルギーの観点を考慮するとSIFELが特に有効な特性を示している。
図9に示すように、SIFELは30℃における表面自由エネルギーと90℃における表面自由エネルギーの変化(γ1−γ2)は5.5(mN/m)である。一方、NBRは30℃における表面自由エネルギーγ1と90℃における表面自由エネルギーγ2の変化は0.2(mN/m)であり、SIFELは30℃における表面自由エネルギーγ1と90℃における表面自由エネルギーγ2の変化が大きいので、温度に応じて濡れ性が大きく変化し、水系インクに限らず溶剤系インクを含むあらゆる材料に対して好適な濡れ性を実現できるといえる。即ち、あらゆるインクを用いる場合にもSIFELではインク濡れ性が温度で変化し,画像形成性と転写性を両立しやすいことを示している。
「表面自由エネルギーの差が5(mN/m)以上」という臨界的な意義については、画像(インク固形分)の表面自由エネルギー、記録媒体18の表面自由エネルギー、中間転写ベルト12の表面自由エネルギーの関係から説明することができる。
記録性向上液の表面張力は低くても15(mN/m)であり、好ましくは20(mN/m)という制限がある。記録性向上液が付与できる条件として、画像形成時の中間転写ベルト12の表面自由エネルギーは約20(mN/m)と設定できる。一方、画像の表面自由エネルギーは50〜55(mN/m)、各種紙(アート紙、マットコート紙、上質紙、普通紙などの記録媒体18)の表面自由エネルギーは30〜40(mN/mで)ある。
即ち、画像の表面自由エネルギーと、記録媒体18の表面自由エネルギー差は10〜25(mN/m)となる。転写時においては、画像と記録媒体18の付着エネルギーを画像と中間転写ベルト12の付着エネルギーよりも低く設定することで、良好な転写が得られる。したがって、転写時の中間転写ベルト12の表面自由エネルギーを5〜15(mN/m)に設定する必要がある。
以上から、中間転写ベルト12の画像形成時の表面自由エネルギーと転写時の表面自由エネルギーの差は5(mN/m)以上であることが好ましい条件といえる。また、描画性と転写性を測定した図16の評価結果は「表面自由エネルギーの差が5(mN/m)以上」という臨界的な意義を裏付けている。
なお、図9に示す表面自由エネルギーγsv hは、Owens−Wendtの方法にて導出した。具体的には、プローブ液に純水(H2O:L1)とジヨードメタン(CH2I2:L2)を用意し、2つのプローブ液L1、L2に対する接触角αL1、αL2を接触角計(協和界面科学社製、Dropmaster−500)により測定し、表面自由エネルギーの分散力成分γs d、極性成分(水素結合成分)γs hを、次式(1)〜(10)により導出した。
表面自由エネルギーの分散力成分γs dは、次式(11)で表され、極性成分(水素結合成分)γs hは、次式(12)で表される。
図10に示すように、プローブ液L1、L2の各物性値は以下のとおりである。
γL1 d=21.8(mJ/m2)
γL1 h=51.0(mJ/m2)
γL1 total(=γL1 d+γL1 h)=72.8(mJ/m2)
γL2 d=49.5(mJ/m2)
γL2 h=1.3(mJ/m2)
γL2 total(=γL2 d+γL2 h)=20.8(mJ/m2)
したがって、中間転写ベルト12の表面自由エネルギーγsv h(γtotal)は、次式(13)のように求められる。
γL1 h=51.0(mJ/m2)
γL1 total(=γL1 d+γL1 h)=72.8(mJ/m2)
γL2 d=49.5(mJ/m2)
γL2 h=1.3(mJ/m2)
γL2 total(=γL2 d+γL2 h)=20.8(mJ/m2)
したがって、中間転写ベルト12の表面自由エネルギーγsv h(γtotal)は、次式(13)のように求められる。
γsv h(γtotal)=γs d+γs h …(13)
しかし、何れの材料を中間転写ベルト12の表面層100に適用した場合においても、画像形成領域のみを冷却しても温度変化が追いつかず(所定のタイミングにおいて所望の温度に達することなく)、良好な描画条件が得られないことが本願出願人の実験により明らかになった。例えば、図1に示すヒートシンク(単体の熱抵抗:0.1〜0.5℃/W)を印字部14の直下の領域のみに設けた場合には、中間転写ベルト12を最高速(600mm/s)で搬送すると、転写部20によって90℃に加熱され中間転写ベルト12を印字部14の直下で30℃にすることが困難であった。したがって、中間転写ベルト12を最高速で搬送した場合にも描画時に中間転写ベルト12の所定の濡れ性を確保するためには、描画に先立って中間転写ベルト12を冷却する必要があることが判明した。
しかし、何れの材料を中間転写ベルト12の表面層100に適用した場合においても、画像形成領域のみを冷却しても温度変化が追いつかず(所定のタイミングにおいて所望の温度に達することなく)、良好な描画条件が得られないことが本願出願人の実験により明らかになった。例えば、図1に示すヒートシンク(単体の熱抵抗:0.1〜0.5℃/W)を印字部14の直下の領域のみに設けた場合には、中間転写ベルト12を最高速(600mm/s)で搬送すると、転写部20によって90℃に加熱され中間転写ベルト12を印字部14の直下で30℃にすることが困難であった。したがって、中間転写ベルト12を最高速で搬送した場合にも描画時に中間転写ベルト12の所定の濡れ性を確保するためには、描画に先立って中間転写ベルト12を冷却する必要があることが判明した。
言い換えると、ヒートシンク26Aの熱抵抗と搬送条件に基づいて、中間転写ベルト12の画像形成領域の温度が転写温度からその表面性が親液性に変化する温度に達するまでに要する冷却時間を求めて、中間転写ベルト12を最高速で搬送した場合にも所定の冷却時間を確保できるように、中間転写ベルト12の画像形成領域が中間転写ベルト搬送方向の印字部14よりも前方に位置したタイミングで冷却を開始できるように冷却部26を構成する必要がある。言い換えると、冷却部26は印字部14の中間転写ベルト搬送方向上流側の所定位置から印字部14の中間転写ベルト搬送方向最下流側にわたって配設される態様が好ましい。
また、先に述べたSIFEL、NBRより顕著に温度によって表面自由エネルギーが変わる材質は中間転写ベルト12の表面層としてより好ましく、当該材質の一例として以下の感温性ポリマーが挙げられる。
例えば、感温性ポリマーとして、N−イソプロピルアクリルアミド、ポリ−N−アルキルアクリルアミド、更には、N−ビニルイソ酪酸アミドなどのN−ビニルC3−9アシルアミドと、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルC1−3アシルアミドとの共重合体の高分子が挙げられる。
上述した感温性ポリマーの中で、N−イソプロピルアクリルアミドは32℃を境界として、低温側(32℃以下の温度)で親液、高温側(32℃を超える温度)で撥液となる材質であり、印字部14の直下の描画部32で32℃以下の低温(親液)、転写部20で32℃を超える高温(撥液)とすると、良好な描画性と転写性を両立できる。但し、温度によって表面濡れ性が変わる材質は表面濡れ性が変わるまでにある程度の時間を要するので、中間転写ベルト12の冷却を開始してから所定の温度(N−イソプロピルアクリルアミドでは32℃)になるまでにどの程度の時間を要するかを考慮しなければならない。
先に挙げた感温性ポリマーは、表面構造が変化する時間として数秒程度の時間を要し、場合によっては数時間程度を要してしまうので、上述した感温性ポリマーを適用する場合には、描画に先立ち中間転写ベルト12を冷却する冷却部26の構成を適用して、描画に先立って中間転写ベルト12を冷却する必要がある。したがって、描画時における中間転写ベルト12の画像形成面12Aの十分な親液性を確保して、好ましい描画性能を得るためには、先に説明した冷却部26の配置とともに、以下に説明するように冷却部26を構成し、更に、中間転写ベルト12の冷却制御を行うとよい。
<冷却部の説明>
次に、図1に示す冷却部26の構成について詳説する。本例の冷却部26には、風冷式、気体冷却式、液冷却式、相変化冷却式が採用できる。
次に、図1に示す冷却部26の構成について詳説する。本例の冷却部26には、風冷式、気体冷却式、液冷却式、相変化冷却式が採用できる。
風冷式では、中間転写ベルト12の背面12Bに接触するフィンを設ける自然風冷式でもよいし、更に好ましくは中間転写ベルト12の背面12Bから強制的に風を当てて対流で冷却する強制風冷式でもよい。
気体冷却式は、装置内部に封入気体を備えるもので、冷却媒としては水素ガス、乾燥空気等が適用可能である。なお、気体冷却方式では、別途熱交換器を備える必要がある。内部気体を冷却する方法としては、熱交換器を外部空気の対流により冷却する自冷式、熱交換器をファンによる空気の流通により冷却する風冷式、水冷の熱交換器を使用する水冷式が採用できる。
液冷却式では冷却液として、水、エチレングリコール等の絶縁油を用いることができる。また、油の温度変化による自然対流を利用する油入式やポンプで強制送液する送油式を採用可能である。
相変化冷却式とは冷却器内部に封入された熱媒体の相変化で機器を冷却するものである。冷却方式としては、ヒートレーン方式とヒートパイプ方式、冷凍機で冷却した冷却媒体と熱交換することにより冷却するヒートポンプ式などの方式が採用できる。
ヒートレーン方式は、授熱部で熱媒体が沸騰し、その気相の膨張により液相と気相が熱とともに放熱部へ移動し、放熱部で熱媒体が冷却されると気相が収縮し冷却された液相が授熱部へ戻り、自励振動により熱を移動する方式である。一方、ヒートパイプ方式では授熱部を下部とするとともに放熱部を上部とし、密閉容器中に熱媒体を封入した方式である。なお、途中は沸騰した気体を通る中心部と凝縮した液体を通す外周部の2重構造になっていることが好ましい。また、授熱部で沸騰した熱媒体が放熱部で凝縮して授熱部に戻るヒートレーン方式に比べて、熱媒体が多く必要になるが放熱部の面積を大きくとることができるという利点がある。
ヒートポンプ式では冷媒としてはアンモニア、二酸化炭素、フロン類(CFC冷媒(R12)、HCFC(R22))などを用いることができる。コンプレッサーで冷媒を圧縮することで温度が上昇し、凝縮機側で放熱を行い、その後、膨張弁で急激に圧力低下をすると温度が低下する、蒸発機内で吸熱して圧縮機へと循環させる。
なお、上述した何れの冷却方式においても,描画前の冷却側と転写部、または定着部の加熱側との間で熱の相互利用をすることがシステムのサイクルエネルギーを抑える観点から好ましい。例えば,ヒートポンプ方式において、凝縮機側の放熱を利用して転写部20を加熱し、蒸発機内の吸熱で冷却部26を冷却することができる。
なお、冷却部26には中間転写ベルト12の画像形成面12Aの温度を測定する温度検出手段が備えられている態様が好ましく、より好ましくは冷却器側の温度を制御するフィードバック制御がなされる態様である。
また、ペルチェ素子などの冷却素子を備えた冷却器を用いる態様も好ましい。冷却器から中間転写ベルト12の背面12Bにかけて冷媒を循環させる冷媒循環路を形成し、冷却素子側で冷媒は冷却され、中間転写ベルト12側で冷媒は加熱されることで、中間転写ベルト12の温度を下げることができる。
<冷却制御の説明>
図11には、本例に適用される中間転写ベルト12の温度サイクルを模式的に図示する。同図において、横軸は時間(中間転写ベルト12の搬送経路上の位置)であり、縦軸は中間転写ベルト12の温度である。図11において符号110で表される温度サイクルは本例に適した温度サイクルであり、符号112で表される温度サイクル(2点破線で図示)は本例には適していない温度サイクルである。なお、図1には、図11に示す温度サイクル中の各温度Ta〜Teに対応する位置が図示されている。
図11には、本例に適用される中間転写ベルト12の温度サイクルを模式的に図示する。同図において、横軸は時間(中間転写ベルト12の搬送経路上の位置)であり、縦軸は中間転写ベルト12の温度である。図11において符号110で表される温度サイクルは本例に適した温度サイクルであり、符号112で表される温度サイクル(2点破線で図示)は本例には適していない温度サイクルである。なお、図1には、図11に示す温度サイクル中の各温度Ta〜Teに対応する位置が図示されている。
図11の温度Taは、図1のヒートシンク26Aの中間転写ベルト搬送方向の最上流側位置(冷却開始位置)における中間転写ベルト12の表面層100の温度(以下、単に中間転写ベルト12の温度と記載する。)である。
図11に示す好ましい温度サイクル110において、温度Tbは図1の印字部14の中間転写ベルト搬送方向の最上流側位置(印字開始位置)における中間転写ベルト12の温度であり、中間転写ベルト12の表面層100にSIFELを適用する場合には、温度Tbは30℃以下である。即ち、中間転写ベルト12が冷却開始位置から印字部14の中間転写ベルト搬送方向の最上流側位置まで搬送される間に、中間転写ベルト12は温度Taから温度Tbに冷却される。
図11の温度Tcは図1の印字部14の中間転写ベルト搬送方向の最下流側位置(印字終了位置)における中間転写ベルト12の温度であり、少なくとも温度Tb及び温度Tcが30℃以下であれば、中間転写ベルト12の表面層100の親液性が維持され、好ましい画像形成性を維持することができる。言い換えると、図1に符号32で示す範囲内において、中間転写ベルト12の表面層100が親液性となる温度以下に維持されればよい。
また、図11の温度Tdは図1の溶媒除去部16における中間転写ベルト12の温度である。溶媒除去処理時に中間転写ベルト12の表面層100の親液性が維持されると、溶媒除去処理に起因する画像乱れを抑制できるので、溶媒除去部16における中間転写ベルト12の温度Tdは中間転写ベルト12の表面層100が親液性となる温度以下であることが好ましい。即ち、図1に符号34で示す範囲内が中間転写ベルト12の表面層100が親液性となる温度以下に維持される態様がより好ましい。
なお、溶媒除去部16における中間転写ベルト12の温度Tdは、印字終了後の搬送によるなりゆきで、中間転写ベルト12の表面層100が親液性となる温度以下であれば、印字終了時の中間転写ベルト12の温度Tcより高くてもよい。
図11の温度Teは図1の転写部20における中間転写ベルト12の温度である。転写部20において中間転写ベルト12の表面層100が撥液性(離型性)となるように温度Teが制御される。なお、中間転写ベルト12の表面層100にSIFELを適用する場合には温度Teは90℃以上である。なお、冷却開始位置の温度Taは転写部20を通過した後の搬送によるなりゆきで、転写部20における温度Teよりも若干低い温度となる。
一方、図11に示す好ましくない温度サイクル112では、図1に符号34で図示する範囲において、中間転写ベルト12の表面層100が親液性を示さない温度Tb’、Tc’、Tdとなってしまうので、描画時における好ましい濡れ性を実現することができない。
なお、描画部(図1において、印字部14の先端位置から印字部14の後端位置を含む領域;図1に符号32で図示する範囲)の何れかの位置に中間転写ベルト12の温度を計測する温度計測部(温度センサ;不図示)を設け、当該描画部32における中間転写ベルト12の温度を監視することが好ましい。
中間転写ベルト12の表面層100に様々な感温性材料を適用することを考慮すると、当該描画部32における中間転写ベルト12の温度Tbは、インクに含有する樹脂粒子のガラス転移点Tgよりも低く(Tb≦Tg)、且つ、当該樹脂粒子の最低造膜温度TMFTより低く(Tb≦TMFT)なるように制御されることがより好ましい。
即ち、画像形成時における中間転写ベルト12の上限温度はインクの吐出性に関連し、その下限温度は装置の負荷の制限に関連する。当該装置の負荷を抑えるためには当該下限温度は40℃程度とするとよい。なお、インクに含有する樹脂粒子のガラス転移点Tgや当該樹脂粒子の最低造膜温度TMFTは、転写時にインクに含有する樹脂粒子同士が融着して一体的になることが好ましいので、当該樹脂粒子のガラス転移点Tgや当該樹脂粒子の最低造膜温度TMFTは転写温度よりもTeよりも低く設定する必要がある。
また、描画に適切なしきい値温度をTsとすると、ヘッド50の下部にあたる描画部32の全域においても温度をしきい値温度Ts以下とすることが好ましい。この条件ではインクが安定的に吐出し、良好な画像を中間転写ベルト12上で形成することができる(吐出安定性を考慮した良好な描画性が得られる)。
具体的なしきい値温度Tsの値としては、吐出安定性を実際に描画して確かめると60℃であり、より好ましくは50℃である。当該描画部32における中間転写ベルト12の温度Tbが予め決められたしきい値温度Tsよりも高い場合に冷却部26を動作させるように冷却制御を行う態様が好ましい。
即ち、好ましい描画性及び好ましい転写性を得るための条件として、Tb≦Tg≦Ts≦Teを満たすとともに、Tb≦TMFT≦Ts≦Teを満たすことが挙げられる。
図12には、当該温度制御のフローチャートを示す。同図に示すように、当該温度制御を開始すると(ステップS10)、冷却部26を動作させて中間転写ベルト12の冷却を開始する(ステップS12)。また、転写部20の背面ローラ20Aに内蔵されるヒータを動作させて背面ローラ20Aによる加熱を開始するとともに(ステップS14)、転写ローラ20Bに内蔵されるヒータを動作させて転写ローラ20Bによる加熱を開始する(ステップS16)。更に、ステップS18に進み、転写部20の温度Teを検出し、転写部20の検出温度Teが所定の温度範囲内(Temin<Te<Temax)であるか否かが判断される(ステップS20)。
下限温度Teminは、転写性の観点から求められる値であり、上限温度Temaxは、装置が熱膨張することなく適切に動作すること、かつ、記録媒体18の水分蒸発による変形を抑えるという観点から求められる。当該温度範囲の具体例を挙げると、80℃<Te<120℃が好ましく、より好ましくは80℃<Te<100℃である。
ステップS20において、転写部20の検出温度Ttが所定の温度範囲外と判断されると(NO判定)、図7に示すヒータドライバ78を介して転写ローラ20B(または背面ローラ20A)の内蔵ヒータの温度調整が行われる(ステップS22)。一方、ステップS20において、転写部20の検出温度Teが所定の温度範囲内であると判断されると(YES判定)、描画部32(図1参照)の温度Tbが検出され(ステップS24)、ステップS26に進む。
ステップS26では、描画部32の検出温度Tbとしきい値温度Tsが比較され、描画部32の検出温度Tbがしきい値温度Ts以上の場合には(NO判定)、冷却部26を動作させて中間転写ベルト12を冷却する(ステップS28)。
中間転写ベルト12の背面12Bから強制的に冷風をあてて対流で冷却する強制風冷方式の場合には、ステップS26においてNO判定になると冷却ファンの回転を開始し、当該冷却ファンの回転数を上げながら描画部32の温度Tbを監視する。また、液冷方式の場合には、ステップS26においてNO判定となるとポンプの送液動作を開始し、ポンプ出力(送液速度)を上げながら描画部32の温度Tbを監視する。
一方、ステップS26において、描画部32の検出温度Tbが図11に示すしきい値温度Ts未満の場合には(YES判定)、再び転写部20の温度Teが検出され(図12のステップS30)、ステップS32に進む。
ステップS32では、転写部20の検出温度Teが所定の温度範囲外と判断されると(NO判定)、ステップS22に進み、転写ローラ20B(または背面ローラ20A)のヒータの温度調整が行われる。一方、ステップS32において、転写部20の検出温度Teが所定の温度範囲内であると判断されると(YES判定)、当該温度制御は終了される(ステップS34)。
転写部20の温度検出及び温度調整は1回でもよいが、転写部20の温度の精度管理のために、転写部20の温度検出及び温度調整を2回行う態様が好ましい。即ち、ステップS28に示す冷却部26の動作の影響を受けて転写部20の温度の低下が見込まれるので、冷却部26を動作させたのちに再度転写部20の温度検出及び温度調整を行うように構成し、転写部20の温度精度を確保している。
なお、図13に示すインクジェット記録装置10’のように、描画部(図1の符号32)の前段のみに冷却部26’を備える態様も可能である。図13に示すインクジェット記録装置10’では、印字部14の中間転写ベルト搬送方向上流側のみに冷却部26’を備え、印字部14の直下には冷却部を備えていない。このような構成でも中間転写ベルト12の画像形成領域が印字部14の直下に搬送される前に、中間転写ベルト12の画像形成面12Aの温度が親液性を発揮する温度以下とすることができる。したがって、冷却部26’の小型化が可能となり、印字部14の直下の構成を簡素化することができる。
一方、図示は省略するが、図1に示す冷却部26を溶媒除去部16の配設領域まで広げる態様も可能である。かかる態様によれば、中間転写ベルト12の画像形成面12Aの親液性を確保した領域の全域で中間転写ベルト12を冷却することができ、当該領域において確実に中間転写ベルト12の画像形成面12Aの親液性を発揮することが可能となる。
本例では、1次画像が形成される中間転写体の一例として、複数のローラに巻き掛けられた無端状のベルトを例示したが、本例のインクジェット記録装置10にドラム型の中間転写体を適用することも可能である。但し、ドラム型の中間転写体を適用する態様では、ドラム曲率の影響でノズルとドラム表面との間の距離が同一ヘッド内のノズルの位置によって変わることがあるので、本例にはベルト型の中間転写体がより好ましい。
<インクの説明>
次に、本例に適用されるインクについて説明する。インクの材質としては染料インク、顔料インクとも用いることができる。更には、産業用デジタルイメージング用インクも適用可能である。この場合は、金属微粒子分散インクや、機能性ポリマー粒子分散インク、等の適用が見込まれる。
次に、本例に適用されるインクについて説明する。インクの材質としては染料インク、顔料インクとも用いることができる。更には、産業用デジタルイメージング用インクも適用可能である。この場合は、金属微粒子分散インクや、機能性ポリマー粒子分散インク、等の適用が見込まれる。
画像を紙に記録する(記録媒体18に紙メディアを適用する)場合には、インクにはアクリル系ラテックスを含有させていることが好ましい。ラテックスを含有するインクは紙メディアへの定着性を向上させ、かつ、凝集体の凝集力を向上させて転写に掛かる応力によって画像ドットが分断される泣き別れの現象を抑えるために、インクには顔料に対して重量濃度で2倍以上のラテックス樹脂が含有されている構成が転写性と定着性を良好にするために好ましい。
溶媒不溶性材料の濃度はインクジェット吐出に適切な粘度(20(mPa・s)以下)を考慮して、1重量%以上20重量%以下であることが好ましく、画像の光学濃度を得るために顔料濃度を4重量%以上とするとより好ましい。
インクの表面張力は吐出安定性を考慮して、20(mN/m)以上40(mN/m)であることが好ましい。なお、画像の長期保存性から顔料インクは特に好ましく用いることができる。
顔料インクを用いる場合には、顔料、ラテックス以外に1種類または複数種類のポリマー粒子が混合されてもよい。また、本実施の形態の水性顔料インク組成物に含まれる顔料は有機色顔料が好ましく用いられる。以下に、水性顔料インク組成物に用いられる有機顔料の具体例を示す。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22等が挙げられる。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment
Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment
Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等が挙げられる。
Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment
Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等が挙げられる。
イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.等が挙げられる。なお、本例に適用可能な有機顔料はこれらに限定されない。
インクには記録媒体への定着性を上げる定着用樹脂を添加することが好ましい。また、当該定着用樹脂はインクの転写性も向上することができる。インクに含有させる定着用樹脂としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ビニル系、スチレン系等が考えられる。定着性向上といった機能を充分に発現させるには、比較的高分子のポリマーを高濃度(1重量%〜20重量%)に添加することが必要である。しかし、上記材料を液体に溶解させて添加しようとすると高粘度化し、吐出性が低下する。適切な材料を高濃度に添加し、かつ、粘度上昇を抑えるには、ラテックスとして添加する手段が有効である。ラテックス材料としては、アクリル酸アルキル共重合体、カルボキシ変性SBR(スチレン−ブタジエンラテックス)、SIR(スチレン−イソプレン)ラテックス、MBR(メタクリル酸メチル−ブタジエンラテックス)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンラテックス)等が考えられる。ラテックスのガラス転移点Tgは、プロセス上定着時に影響の強い値であり、常温保存時の安定性と加熱後の転写性を両立するために、50℃以上120℃以下であることが好ましい。更に最低造膜温度TMFTは、プロセス上定着時に影響の強い値であり、低温で充分な定着を得るために100℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10(10’)は、中間転写ベルト12の画像形成領域に温度に応じてインクに対する濡れ性が変化する感温性材料を適用し、印字部14の直下の描画部32では、画像形成領域を親液性として画像形成性を確保し、転写部20においては撥液性として転写性(離型性)を確保するように中間転写ベルト12の温度を制御する。したがって、簡便な方法で1次画像形成時の画像形成性と、転写時の転写性を両立することができ、好ましい画像形成(画像記録)が実現される。
<変形例>
次に、本発明の実施形態に係る変形例について説明する。中間転写ベルト12のような非浸透性媒体に対してインクなどの液体を用いて画像を形成する場合には、インクの付与に先立って記録性向上液を付与する構成が好ましい。記録性向上液はインクを増粘させる効果を持つ液体を用いることができる。インク中の顔料を凝集させる効果をもつ液体が好ましい。
次に、本発明の実施形態に係る変形例について説明する。中間転写ベルト12のような非浸透性媒体に対してインクなどの液体を用いて画像を形成する場合には、インクの付与に先立って記録性向上液を付与する構成が好ましい。記録性向上液はインクを増粘させる効果を持つ液体を用いることができる。インク中の顔料を凝集させる効果をもつ液体が好ましい。
即ち、記録性向上液にはインクと反応してインクを増粘する機能やインクを凝集させる機能を有する液体が適用される。図14(a)には、中間転写ベルト12に記録性向上液を付与する記録性向上液付与手段を備える態様を示す。なお、図14(a)中、図1と同一または類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図14(a)に示すように、インクジェット記録装置101は、印字部14の中間転写ベルト搬送方向上流側に記録性向上液(処理液)を打滴する処理液ヘッド13を備えている。即ち、中間転写ベルト12の画像形成領域が処理液ヘッド13の直下に位置するタイミングで画像データに応じて記録性向上液が付与され、その後、印字部14から各色インクが打滴される。記録性向上液上に着弾したインクは記録性向上液と反応して瞬時に凝集(不溶化)するので、中間転写ベルト12上における打滴インク同士の干渉が防止される。
記録性向上液には、ポリマー粒子が含有されていることが好ましい。このポリマー粒子は、中間転写ベルト12上の1次画像が乾燥や振動の影響で動くのを防ぎ、画像形成性を向上させる働きを有している。記録性向上液の非浸透媒体への濡れ性良化、液の消泡を促進し、粒子の分散性向上のために、記録性向上液に界面活性剤を添加させることが好ましい。
処理液ヘッド13には、図3〜図5で説明したヘッド50と同様の構成を適用することができる。なお、記録性向上液はインクと同程度の解像度は必要とされないので、記録性向上液の打滴密度をインクの打滴密度よりも低くする態様も可能である。例えば、記録性向上液のドットのサイズをインク液滴のドットサイズの数倍とすることも可能である。即ち、図3に示すヘッド50のノズル密度よりも処理液ヘッドのノズル密度を低くしてもよい。
図14(a)には、記録性向上液付与手段としてインクジェット方式(インクジェットヘッド)を適用する態様を例示したが、図14(b)に示すインクジェット記録装置101’のように、塗布ローラ13A’を含む塗布部13’による塗布方式を適用してもよい。
図14(a)に示すインクジェット方式を適用する場合には、グリセリンやジエチレングリコールといった高沸点溶媒を数10重量%添加して吐出性を維持することが有効である。一方、図14(b)に示す塗布ローラ13A’を用いた塗布方式では、高沸点溶媒を添加してもしなくてもよい。中間転写ベルト12が常温で撥液性の高い材質である場合には、界面活性剤をフッ素系のものに変更するとともにより高い添加量で加え、低表面張力化したものを中間転写ベルト12上にローラ塗布する構成が好ましい。
記録性向上液に含まれる酸は2ピロリドン−5カルボン酸、メタンスルホン酸、リン酸、エタンジスルホン酸等を好ましく用いることができる。
記録性向上液のpHは3.6であり、インクのpHは8.0から8.9であった。インクに分散されている顔料や反応性ラテックスは、低pHの記録性向上液と混ざると凝集する。インクセットについては、Ca2 +、Mg2 +、Al3 +、Fe2 +、Fe3 +、Zn2 +、Ni2 +、Co2 +、Cu2 +といった多価金属イオンによる凝集反応でもよいし、Polyallylamine、Polyethylene imineといったカチオン性ポリマーが分散されている記録性向上液を用いても実質的な効果は同じである。
本例に好適に用いられる顔料インクの一例は以下のとおりである.
顔料 4重量%
定着用樹脂ラテックス 8重量%
グリセリン 20重量%
ジエチレングリコール 10重量%
オルフィンE1010(日信化学工業製) 2重量%
イオン交換水 残量
また、本例に好適に用いられる記録性向上液の一例は以下のとおりである.
フッ素系界面活性剤 3重量%
pH調整剤(酸) 10重量%
イオン交換水 残量
更に、記録性向上液を中間転写ベルト12に付与した後に乾燥させる記録性向上液乾燥手段を備える態様も好ましい。図15(a)には、記録性向上液乾燥手段としてファン15を備えるインクジェット記録装置140を図示する。
顔料 4重量%
定着用樹脂ラテックス 8重量%
グリセリン 20重量%
ジエチレングリコール 10重量%
オルフィンE1010(日信化学工業製) 2重量%
イオン交換水 残量
また、本例に好適に用いられる記録性向上液の一例は以下のとおりである.
フッ素系界面活性剤 3重量%
pH調整剤(酸) 10重量%
イオン交換水 残量
更に、記録性向上液を中間転写ベルト12に付与した後に乾燥させる記録性向上液乾燥手段を備える態様も好ましい。図15(a)には、記録性向上液乾燥手段としてファン15を備えるインクジェット記録装置140を図示する。
中間転写ベルト12上において、記録性向上液がある一定上の厚みになると、その上からインク液滴を打滴してもインク液滴が中間転写ベルト12上に付着せず、画像乱れが発生することがある。このような場合には、記録性向上液を中間転写ベルト12に付与した後に乾燥させることで、記録性向上液の厚みに依存することなく中間転写ベルト12上に均一なドットを形成することが可能である。なお、図15(a)に示すファン15に代わり、図15(b)に示すインクジェット記録装置140’のようにヒータ15’を備える態様も可能である。
図14(a),(b)及び図15(a),(b)に示す2液系を採用した装置構成によれば、中間転写ベルト12上における着弾干渉による画像劣化を防止でき、好ましい画像を得ることが可能となる。
<画像形成性、転写性の確認結果>
次に、本発明の画像形成性及び転写性の確認結果について説明する。
次に、本発明の画像形成性及び転写性の確認結果について説明する。
先ず、常温(30℃環境下)における画像形成性を目視で評価した。具体的には、中間転写ベルト12上に、表面洗浄のためにコロナ放電処理(Shinko社、CoronaMaster PS series)を行い、均一に記録性向上液を付与した後に記録性向上液を乾燥させ、2.5plのインクを搬送速度500mm/s、打滴密度600dpi×600dpi、描画幅約5mmで打滴して孤立ドット複数形成し、ドットの形成位置及びドットのサイズを顕微鏡で拡大して目視で確認した。中間転写ベルト12の表面層100の材質をNBR、シリコーンゴム、SIFELとして、それぞれの中間転写ベルト12について同一条件で同一の確認を行った。その結果を図16に示す。
図16の画像形成性評価は、インクが弾かれている場合(ドット位置異常及びドットサイズ異常のうち少なくとも何れか一方が発生している場合)を×、インクが綺麗に付与されている場合(ドット位置異常及びドットサイズ異常の何れも発生していない場合)を○とした。
シリコーンゴムは常温における表面自由エネルギーが15(mN/m)未満であり、記録性向上液自体を綺麗に(均一に)付与できないため、中間転写ベルト12上でインクが弾かれてしまう。一方、NBRやSIFELでは記録性向上液を均一に付与することができ良好な画像形成性が確認された。
図16の転写率(%)は次のように求めた。表面洗浄のためにコロナ放電処理(Shinko社、CoronaMaster PS series)を行い、その後、インク液滴サイズ2.5pl、描画密度1200dpi×1200dpiにてべた画像の描画を行う。中間転写ベルト12上の1次画像(べた画像)を顕微鏡で拡大し、当該1次画像を2値化処理して面積に換算しその値をS1とする。また、C2紙(商品名、富士ゼロックス社製、モノクロカラー兼用コピーペーパー)に転写温度100℃、中間転写ベルト12の搬送速度500mm/sで転写した後に、C2紙上の画像を顕微鏡で拡大し、当該記録画像を2値化処理して面積に換算しその値をS2とした。このようにして求められたS1に対するS2の比を転写率とし導出した。
転写部20における中間転写ベルト12の温度を100℃に加熱した際には、何れの材料でも高い転写率(80%以上)を得られる。しかし、シリコーンゴムを用いる場合には、先に述べたように中間転写ベルト12上に記録性向上液を均一に塗布することができないので、中間転写ベルト12上ではインクが弾かれて1次画像が形成されているので、描画性能は不足している。即ち、本例に示す中間転写ベルト12の表面層100には、シリコーンゴムは好ましくないといえる。
上述した確認結果と図9に示す各材料の物性値から、1次画像形成時の中間転写ベルト12に対する水の接触角をα1とし、転写時の中間転写ベルト12に対する水の接触角をα2とすると、次式
α2−α1≧10°
を満たし、また、Owens−Wendtで求められる中間転写ベルト12の表面層100の表面のエネルギーについて、1次画像形成時の中間転写ベルト12の表面自由エネルギーをγ1、転写時の中間転写ベルト12の表面自由エネルギーをγ2とすると、次式
γ1−γ2≧5(mN/m)
の条件を満たすことで、中間転写ベルト12の好ましい画像形成性と好ましい転写性の両方の性能が確保される。上述した接触角の条件と表面自由エネルギーの条件の両方を満たす材質が本例に最も適したものであるといえる。
α2−α1≧10°
を満たし、また、Owens−Wendtで求められる中間転写ベルト12の表面層100の表面のエネルギーについて、1次画像形成時の中間転写ベルト12の表面自由エネルギーをγ1、転写時の中間転写ベルト12の表面自由エネルギーをγ2とすると、次式
γ1−γ2≧5(mN/m)
の条件を満たすことで、中間転写ベルト12の好ましい画像形成性と好ましい転写性の両方の性能が確保される。上述した接触角の条件と表面自由エネルギーの条件の両方を満たす材質が本例に最も適したものであるといえる。
即ち、転写時の温度における中間転写ベルト12の画像形成面12Aの水の接触角α2と、1次画像形成時の温度における中間転写ベルト12の画像形成面12Aの水の接触角α1との差が10°以上であり、また、1次画像形成時の温度における中間転写ベルト12の表面層100の表面自由エネルギーγ1と、転写時の温度における中間転写ベルト12の表面層100の表面自由エネルギーγ2との差が5(mN/m)以上であれば、画像形成性と転写性の両立が可能である。
次に、本実施形態の他の変形例を説明する。図17には、本実施形態の他の変形例に係るインクジェット記録装置160を図示する。
近年、インクジェット記録装置において、省電力化を図りながら機能を向上させる装置構成が提案されるようになってきた。インクジェット記録装置には多数の制御基板が備えられており、これらの制御基板を効率的に冷却して制御基板に搭載されている素子の安定化及び長寿命化を図ることが重要となっている。例えば、特開2003−251791には、駆動回路チップから発生した熱をキャリッジ外に配置した放熱部材に輸送することで、キャリッジの重量増加を抑制しつつ放熱部材を省スペースで配置するインクジェット記録装置が記載されている。
更には、近年、省電力化及び環境対応が重要視される中で、これら素子冷却で生じる廃熱をインク加熱に用いて、より率先してインクジェットヘッドの吐出機能向上に利用しようという対応が取られるようになってきた。例えば、特開2005−280141には、パワートランジスタに生じた熱をヒートシンク、放熱フィン、締結部材を介してインクチューブに伝導して、インクチューブ内のインクを温める技術が記載され、特開2005−96415には、メディアの冷却で生じる廃熱をインク加熱に用いる事例が開示されている。
しかし、上述した技術では、装置内の廃熱の利用方法がインクの加熱のみに限定されているので、廃熱を効率的に利用しているとはいい難い。一方、転写方式を適用したインクジェット記録装置内では、転写プロセスにおいて加熱を行なうことが多く、転写部20や定着ローラ対22による定着処理における加熱プロセスにも廃熱を利用することが可能である。本発明では、装置内における加熱及び冷却の効率化を行なうことを目的の1つとしている。
本変形例に係るインクジェット記録装置160は、冷却媒を内部に封入したヒートパイプ162によって被加熱領域(例えば、転写部20によって加熱される領域)と、被冷却領域(例えば、冷却部26によって冷却される領域)と、を接続する構造を採用し、記録動作時の消費電力を抑えることができ、より好ましい実施形態であるといえる。なお、本変形例に適用されるヒートパイプ162(熱輸送手段)には、冷却部26の説明で例示したヒートパイプ方式を用いることが可能である。
図17に示すインクジェット記録装置160では、加熱処理プロセスを含む被加熱領域164と冷却処理プロセスを含む被却処理領域166との間をヒートパイプ162によってつなぎ、被加熱領域164と被冷却領域166との間の熱輸送を可能に構成されている。
被加熱領域164とは、背面ローラ20Aや転写ローラ20B、溶媒除去後であり、かつ、転写前の中間転写ベルト12(1次画像)を予備加熱するヒータ165などを用いて加熱処理を行う機能ブロックの概念を表している。また、被冷却領域166は、冷却部26などを用いて冷却処理を行う機能ブロックの概念を表している。
即ち、被冷却領域166の廃熱を被加熱領域164に利用することで、当該廃熱をより効率的に利用することができる。なお、被加熱領域164には、ヘッド14K,14C,14M,14Y,14LC,14LMから吐出される前のインクを加熱する加熱処理部などを含んでいてもよく、被冷却領域166には、制御基板や装置各部のモータなどの発熱部品の冷却処理部含んでいてもよい。
このようにヒートパイプを具備して被冷却領域166の廃熱を被加熱領域164で利用する態様によれば、装置内の省エネルギー化を図ることができ、被加熱領域164の構成を簡素化することが可能である。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図18には、第2実施形態に係るインクジェット記録装置200の全体構成を示す。なお、第2実施形態中、先に説明した第1実施形態と同一または類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図18には、第2実施形態に係るインクジェット記録装置200の全体構成を示す。なお、第2実施形態中、先に説明した第1実施形態と同一または類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図18に示すインクジェット記録装置200は、中間転写ベルト12に温度変化のある材質を塗布した後に描画プロセスが行われるように構成されている。「温度変化のある材質」とは、温度によってインク濡れ性の異なる材質であり、具体的には、石油系ワックス、天然ワックス(植物系、動物系、好物系)、合成ワックスなどが挙げられる。より具体的には、エステルワックスとして、カルナバワックス、モンタンワックス、ライスワックスが挙げられる。また、石油系ワックスとして、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが挙げられる。
上記のワックスは、低温側で固体となり高温側で液体となるため、低温側で画像形成性が良化し、高温側で転写性が良化することになる。即ち、描画時における中間転写ベルト12の温度を低温側とし、転写時における中間転写ベルト12の温度を高温側にすることで、好ましい画像形成性と好ましい転写性の両立が実現される。
特に、ポリイミド基材の上にフッ素化ポリエーテル骨格と末端のシリコーン架橋反応基の複合材料であるSIFEL層を厚み3〜20μm程度で形成し、更に、塗布ローラ202A(ワックス塗布部202)でワックスとしてポリエチレングリコールをSIFEL層の上に全面付与する構成が好ましい。なお、ワックスの熱特性としては30〜70℃程度で急峻に軟化するシャープメルト性に優れた材質がよい。
中間転写ベルト12の表面材質としてワックスを付与する際には、加熱塗布ローラ(塗布ローラ202にヒータを内蔵した構造)で一度軟化したワックスを中間転写ベルト12の画像形成面12A(画像形成領域のみでも可)に付与し、冷却部26による冷却処理によって徐々に固化するワックス相の上に印字部14からインクを打滴して1次画像を形成する。
印字部14でインクを打滴する前に表面濡れ性が向上するためには、ワックスの相変化が生じるだけの時間が必要となる。したがって、温度によって濡れ性の異なる材料(ワックス)を付与した後に、中間転写ベルト12の画像形成面12Aを冷却する冷却部26を備える必要がある。言い換えると、図18に示すように、ワックス塗布部202の中間転写ベルト搬送方向の下流側に冷却部26を備え、更に、冷却部26の中間転写ベルト搬送方向下流側に印字部14を備える必要がある。
図18に示すインクジェット記録装置200では、印字部14の直下(描画部32)における中間転写ベルト12の温度は20℃以上60℃以下が好ましく、より好ましくは40℃(±10℃)である。また、転写部20における中間転写ベルト12の温度(転写温度)は、80℃以上100℃以下が好ましい。
本発明では、中間転写ベルト12の表面(表面層100)の温度制御を行い、描画性と転写性を両立することを主たる目的としているため、ワックスやオイル等の離型層を描画に先立って付与し、離型層の溶融、粘度低下によって転写性を上げようといった離型層方式において良好な描画性を得ることが難しく、描画性と転写性を両立することは困難である。なお、本発明に転写助材として離型層を備えることは可能である。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置200では、インク打滴に先立って中間転写ベルト12の画像形成面12Aにワックスを塗布するとともに、ワックスが塗布された中間転写ベルト12を当該ワックスが固体となる温度以下になるまで冷却した後に印字部14からインクを打滴して1次画像を形成し、更に、転写部20において当該ワックスが液体になる温度まで加熱して1次画像を記録媒体18に転写するので、良好な画像形成性と良好な転写性を両立した好ましい画像形成が行われる。
図17に示すインクジェット記録装置200に対して、記録性向上液を付与する記録性向上液付与手段を備える態様がより好ましい。
上述した第1、第2実施形態では、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はインクジェット記録装置に限定されず、液体によって画像(パターン)を形成し、転写方式を適用可能な画像形成装置、塗布装置などに広く適用可能である。
また、本発明は上述した第1、第2実施形態に示した構成に限定されるものでなく、本明細書で説明した構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
10,122,222…記録媒体、12…第1の処理液、14、34…インク液滴、16…凝集体、20…第2の処理液、24,118A,218A…吸収ローラ、100,200…インクジェット記録装置、112K,112Y,112M,112C,212K,212C,212M,212Y…インクジェットヘッド、112S1,212S1…第1の処理液ヘッド、112S2,212S2…第2の処理液ヘッド、116…中間転写媒体
Claims (12)
- インクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置において、
インクを吐出するインク吐出手段と、
前記インク吐出手段から吐出されたインクによって形成された画像を一時的に保持するとともに、前記画像を保持する画像形成領域は温度によってインク濡れ性が異なる性質を有する中間転写体と、
前記中間転写体を所定の移動方向に移動させる移動手段と、
前記中間転写体に一時的に保持された画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記インク吐出手段から吐出されたインクによって画像が形成される画像形成時には前記画像形成領域が親液性となり、前記転写手段において前記中間転写体から前記記録媒体に画像を転写する転写時には前記画像形成領域が撥液性となるように、前記中間転写体の温度を可変させる温度可変手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記中間転写体の少なくとも前記画像形成領域は、温度によってインク濡れ性の異なる感温性材質を含むことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記中間転写体の前記画像を保持する面に温度によってインク濡れ性の異なる感温性材質を塗布する感温性材質塗布手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記画像形成時の前記中間転写体の表面のエネルギーγ1と、前記転写時の前記中間転写体の表面のエネルギーγ2は、次式
γ1−γ2≧5(mN/m)
を満たすことを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置。 - 前記画像形成時の前記中間転写体の水に対する接触角α1と、前記転写時の前記中間転写体の水に対する接触角α2は、次式
α2−α1≧10°
を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記温度可変手段は、少なくとも前記インク吐出手段と対向する位置において前記中間転写体を冷却する冷却手段と、
前記転写手段による転写処理領域において前記中間転写体を所定の転写温度に加熱する加熱手段と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至5のうち少なくとも何れか1項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記冷却手段は、前記インク吐出手段の前記中間転写体移動方向上流側から前記インク吐出手段と対向する位置にわたって設けられることを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録装置。
- 前記温度可変手段は、前記インク吐出手段の前記中間転写体移動方向上流側に設けられ、前記中間転写体を冷却する冷却手段と、
前記転写手段による転写処理領域において前記中間転写体を所定の転写温度に加熱する加熱手段と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至5のうち少なくとも何れか1項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記インク吐出手段と前記転写手段との間に前記中間転写体上の溶媒を除去する溶媒除去手段を備え、
前記冷却手段は、前記インク吐出手段の前記中間転写体移動方向上流側の所定の位置から前記溶媒除去手段に対応する位置にわたって設けられることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット記録装置。 - 前記冷却手段の近傍に設けられ、内部に冷却媒を有する熱輸送手段を備えることを特徴とする請求項6乃至9のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記熱輸送手段は、前記加熱手段と前記冷却手段とを連結するとともに、前記加熱手段は前記冷却手段から発生した熱を利用することを特徴とする請求項10記載のインクジェット記録装置。
- 温度によってインク濡れ性が異なる性質を有する中間転写体の画像形成領域にインクを吐出して画像を形成するとともに当該画像を一時的に保持し、当該画像を記録媒体に転写する画像形成方法であって、
前記中間転写体にインクによって画像が形成される画像形成時には前記画像形成領域が親液性となり、前記転写手段において前記中間転写体から前記記録媒体に画像を転写する転写時には前記画像形成領域が撥液性となるように前記中間転写体の温度を可変させることを特徴とする画像形成方法。
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