JP2009214051A - ダイヤモンド固体酸及び当該ダイヤモンド固体酸からなる固体酸触媒、固体電解質 - Google Patents

ダイヤモンド固体酸及び当該ダイヤモンド固体酸からなる固体酸触媒、固体電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】化学的及び物理的に安定であり、使用環境を問わず幅広い範囲で使用することができるダイヤモンド固体酸、当該ダイヤモンド固体酸からなる固体酸触媒、固体電解質を提供すること。
【解決手段】本発明のダイヤモンド固体酸は、基材となるダイヤモンドに、共有結合を介して強固に固定された酸性基を有した修飾分子の存在により、酸としての機能を有するとともに、基材としてダイヤモンドを使用しているので、化学的・物理的に安定な固体酸となる。よって、温度や溶媒の種類、溶液のpH等を問わず幅広い条件で使用できる固体酸となり、固体酸触媒や固体電解質、あるいは当該固体電解質からなる固体電解質膜を備えた燃料電池として使用することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、ダイヤモンド固体酸及び当該ダイヤモンド固体酸からなる固体酸触媒、固体電解質に関する。さらに詳しくは、ダイヤモンドを基材として、化学的・物理的にも安定なダイヤモンド固体酸、及び当該ダイヤモンド固体酸からなる固体酸触媒、固体電解質に関する。
酸触媒は現代の化学産業に必要不可欠なものであり、薬品、石油化学工業製品、高分子製品といった様々な製品の生産に使われているが、その多くは硫酸、塩酸のような液体の酸触媒である。酸触媒としての硫酸はエステル合成等の触媒として利用されているが、硫酸等の液触媒は反応生成物からの分離操作が繁雑な作業となるため回収が困難であり、また、酸廃液を生じる一方でかかる酸廃液が装置を腐食する等の問題があることから、固体酸の開発及び利用が求められている。
固体酸は、エステル化をはじめとする多くの化学反応における触媒として利用され、分離・回収に中和や塩の除去といったプロセスが不要であり、不必要な副産物を生産することなく、省エネルギーで目的物を製造することができる。また、固体酸は、触媒としての用途のほか、燃料電池の固体電解質膜を形成する材料としても利用される、工業的に重要な機能性材料群である。固体酸は、ヘテロポリ酸塩等それ自体が酸触媒としての機能を持つ物質もあるが、アルミナやシリカ等の固体粉末を表面改質することにより、酸としての機能を付与する場合もある。また、所定の基材の表面を修飾して酸性官能基を導入することによって得られた固体酸や固体電解質膜が提供されている(例えば、特許文献1〜特許文献3を参照。)。また、ポーラスシリカの表面を1,3−プロパンスルトンで修飾することにより、表面にスルホ基(−SOH)の導入を行うことにより、高いプロトン導電性が付与され、固体電解質膜として機能することが報告されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
特開2004−238311号公報 特開2007−103375号公報 特開2007−250318号公報 ムナカタ(Munakata)ら「スルホン酸基の添加による無機−有機複合体電解質膜のプロトン伝導性の増強(Enhancement on proton conductivity of inorganic−organic composite electrolyte membrane by addition of sulfonic acid group)」、Solid State Ionics(オランダ)、Elsevier社、2005年、176号、第2445−2450頁
しかしながら、固体酸にあっては、過酷な環境、例えば高温環境下や高腐食環境下では基材が溶解して使用できない場合もあり、環境温度や溶媒の種類、溶液のpH等について幅広い条件で使用できるものが望まれていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、化学的及び物理的に安定であり、使用環境を問わず幅広い範囲で使用することができるダイヤモンド固体酸、当該ダイヤモンド固体酸からなる固体酸触媒、固体電解質を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るダイヤモンド固体酸は、基材となるダイヤモンドに、酸性基を有する修飾分子が共有結合により固定されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に係るダイヤモンド固体酸は、前記した請求項1において、前記酸性基がスルホ基、スルホン基、カルボン酸基、カルボヒドラゾン基、カルボキシミド基、含硫黄酸性官能基、含リン酸性官能基、含セレン酸性官能基、含ホウ素官能基、及びポリオキソアニオン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係るダイヤモンド固体酸は、前記した請求項1または請求項2において、前記基材となるダイヤモンドが、平均粒子径が5〜500nmの粉末状であることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る固体酸触媒は、前記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載されたダイヤモンド固体酸からなることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る固体電解質は、前記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載されたダイヤモンド固体酸からなることを特徴とする。
本発明の請求項1に係るダイヤモンド固体酸は、基材となるダイヤモンドに、酸性基を有する修飾分子が共有結合により固定されており、共有結合を介して強固に固定された酸性基を有した修飾分子の存在により、酸としての機能を有するとともに、基材としてダイヤモンドを使用しているので、化学的・物理的に安定である。よって、高温環境下や高腐食環境下等の過酷な環境下はもとより、温度や溶媒の種類、溶液のpH等を問わず幅広い条件で使用できる固体酸となる。
本発明の請求項2に係るダイヤモンド固体酸は、酸性基としてスルホ基等の特定の酸性基を選択しているので、ダイヤモンド固体酸に当該酸性基の種類に応じた所望の特性を付与することができる。
本発明の請求項3に係るダイヤモンド固体酸は、基材となるダイヤモンドが、平均粒子径が5〜500nmの粉末状であるので、表面積が大きくなり、反応活性が良好な固体酸となる。
本発明の請求項4に係る固体酸触媒は、前記した本発明のダイヤモンド固体酸からなるので、エステル合成等の触媒として使用することができ、反応の進行を促進することに加えて、基材の摩耗が少なく、さらに、基材と酸性基を有する修飾分子との結合も強固であるため、繰り返しの使用にも耐えることができる。そして、固体酸であるため回収も容易であり、触媒による反応系への汚染を最小限に抑えることができ、クリーンな化学プロセスを提供することができる。
本発明の請求項5に係る固体電解質は、前記した本発明のダイヤモンド固体酸からなるので、導入された酸性基により高いプロトン導電性が付与されていることから、燃料電池の発電材料や電解コンデンサの電極導体、酸素センサー等に広く使用することができる。そして、本発明の固体電解質は、高温環境下や酸性・塩基性環境下といった、従来の材料では代替できない過酷な環境下においても利用することができ、当該環境下における性能の維持や、長期安定性を備える固体電解質となる。
以下、本発明の一態様を説明する。本発明のダイヤモンド固体酸は、基材となるダイヤモンドに、酸性基を有する化合物が共有結合により固定され、固体酸の基材としてダイヤモンドを用いている。ダイヤモンドは化学的・物理的に極めて安定な物質であり、耐熱性や耐腐食性にも非常に優れているので、かかるダイヤモンドを基材としたダイヤモンド固体酸は、温度やpH等に関して幅広い条件で利用することができる。
使用可能なダイヤモンドの形状は、特に制限はなく、粉末状、粒子状、多孔質体状のものを使用することでき、表面積を大きくすることができることや、分離・回収作業が容易である、原料の入手が比較的容易である等の理由で、粉末状(ダイヤモンドパウダー)を使用することが好ましい。また、粉末状(ダイヤモンドパウダー)のものを使用した場合にあっては、反応活性が良好にすべく、平均粒子径が5〜1000nmであることが好ましく、5〜500nmであることが特に好ましい。平均粒子径をかかる範囲とすれば、表面積が大きくなり、反応活性が良好となる。なお、ダイヤモンドパウダーとしては、例えば、爆発法で作製したダイヤモンドパウダーや、電子衝撃CVD法(EACVD法)、気相合成法及び液相成長法で作製したダイヤモンドパウダー等を使用することができる。また、本発明において、平均粒子径(平均1次粒子径)とは、例えば、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)等を用いて得られた写真から100個を取り出し、平均することで求めた値とすればよい。
使用されるダイヤモンドは、酸性基を有する修飾分子(分子構造ないし表面化学構造)と共有結合で結合され、固定されることになる。酸性基としては、例えば、スルホ基、スルホン基、カルボン酸基、カルボヒドラゾン基、カルボキシミド基、スルフィン酸基等の含硫黄酸性官能基、リン酸基等の含リン酸性官能基、セレノン酸基等の含セレン酸性官能基、ルイス酸性を示す含ホウ素官能基といった酸性官能基や、あるいは、バナジウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、クロム、チタンまたはアルミニウムのうち少なくとも1つを含むポリオキソアニオン化合物等が挙げられる。酸性基としてこれらの酸性官能基等を選択すれば、ダイヤモンド固体酸に当該酸性基の種類に応じた所望の特性を付与することができる。これらの酸性基は1種を適用するようにしてもよく、また、2種以上を組み合わせて適用するようにしてもよい。
また、酸性基を有する修飾分子とダイヤモンドは、共有結合を介して結合され、強固に固定されているので、当該修飾分子はダイヤモンドから容易に脱離しない。基材となるダイヤモンドと共有結合を介して固定される酸性基を有する修飾分子としては、例えば、前記した酸性基を末端に有する、炭素数が2〜20のアルキル基、アルキルエステル基、アルコキシ基、アルキルアミド基、アルキルシロキシ基等の修飾基が挙げられる。
基材となるダイヤモンドの表面に、所望の酸性基を有する修飾分子が共有結合により固定されている本発明のダイヤモンド固体酸を得るには、ダイヤモンドに対して、所望の酸性基及び当該酸性基を有する修飾分子を、例えば、シランカップリング法、光化学修飾法、ラジカルによる水素引き抜き反応等のダイヤモンド表面への分子固定化法を利用して修飾ないし導入するようにすればよい。また、修飾は、1段階で修飾してもよく、あるいは、1段階目でダイヤモンドの末端にアミノ基、カルボキシル基、水酸基等の反応性官能基を形成させ、その後、アミド化、エステル化等の反応により、所望の修飾分子を固定化する方法を採用してもよい。
以下、ダイヤモンド固体酸の製造方法として、表面を酸化して水酸基を導入したダイヤモンド(酸化ダイヤモンド)を1,3−プロパンスルトンで修飾し、ダイヤモンドに酸性基としてスルホ基を有する修飾分子(3−スルホプロポキシ基)が共有結合により固定されたダイヤモンド固体酸を得る方法を例に挙げて説明する。ここで、図1は、スルホ基を有する修飾分子が共有結合により固定されたダイヤモンド固体酸の製造方法の一例を示した概略図である。
まず、基材となるダイヤモンドパウダー等のダイヤモンドを、王水及び過酸化水素水で洗浄することにより、ダイヤモンドの不純物が除去されるとともに、ダイヤモンドの表面が酸化され、表面に水酸基(−OH)が形成される。次に、表面に水酸基が形成されたダイヤモンド(酸化ダイヤモンド)を1,3−プロパンスルトンのトルエン溶液に分散させ、所定の温度(例えば、80〜120℃)で加熱して12〜72時間還流させることにより、1,3−プロパンスルトンが酸化ダイヤモンド表面の水酸基と結合し、ダイヤモンドに酸性基としてスルホ基を有する修飾分子が共有結合により固定されたダイヤモンド固体酸を得ることができる。なお、得られたダイヤモンド固体酸は、トルエン、アセトン、エタノール等の有機溶媒で洗浄した後、乾燥処理を施すことが好ましい。
以上説明したように、本発明のダイヤモンド固体酸は、ダイヤモンドに対して共有結合を介して結合され、強固に固定された酸性基を有した修飾分子の存在により、酸としての機能を有するとともに、基材としてダイヤモンドを使用しているので、化学的・物理的に安定であり、高温環境下や高腐食環境下等の過酷な環境下はもとより、温度や溶媒の種類、溶液のpH等を問わず幅広い条件で使用可能な固体酸となる。
本発明のダイヤモンド固体酸は、固体酸触媒として使用することができる。かかる固体酸触媒は、所望の酸性基を選択することにより酸強度Hの範囲を−12.0<H<+2.0と調製することができ、また、例えば、酸性をスルホ基とした場合には、酸強度Hが概ね−0.3<H<+1.5となり、エステル合成、オレフィン水和、加水分解、アルキル化、アルコールの脱水、ベックマン転位等の触媒として使用することができ、反応の進行を促進することに加えて、基材の摩耗が少なく、また、基材と酸性基を有する修飾分子との結合も強固であるため、繰り返しの使用にも耐えられるものである。そして、固体酸であるため回収も容易であり、触媒による反応系への汚染を最小限に抑えることができ、クリーンな化学プロセスを提供する。なお、本発明のダイヤモンド固体酸を固体酸触媒として使用する場合には、触媒活性を高めるため、表面積を大きくしてその形状として平均粒子径が5〜500nmの粉末状とすることが好ましい。
本発明のダイヤモンド固体酸は、導入された酸性基により高いプロトン導電性が付与されていることから、固体電解質として使用することができる。かかる固体電解質は、燃料電池の発電材料(後記)や電解コンデンサの電極導体、酸素センサー等に広く使用することができ、また、高温環境下や酸性・塩基性環境下といった、従来の材料では代替できない過酷な環境下においても利用可能なため、当該環境下における性能の維持や、長期安定性を備えた固体電解質を提供することができる。なお、本発明の固体電解質には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、通常の電解質に使用される各種の添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。
また、かかる固体電解質は、前記した効果を享受する固体電解質膜として燃料電池の構成材料ないし発電材料として使用することができ、基材の劣化がほとんどないことから、高温等の過酷な環境下での動作が可能となる。図2は、本発明の電解質を電解質膜として備えた燃料電池1の構成の一態様を示した概略図であり、図2に示すように、当該燃料電池1は、一対の電極3(カソード3a、アノード3b)と、当該一対の電極3の間に固体電解質膜2を配設することにより構成される(図2にあっては、燃料電池1に負荷5をかけた態様を示している。)。
また、本発明の固体酸からなる固体電解質を製膜する手段としては、例えば、少量の樹脂バインダーと混錬し成形した後、400〜500℃程度で焼結・固着化すればよい。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記し
た実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる
範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。ま
た、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達
成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実
施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本
発明に含まれるものである。
例えば、前記した実施形態では、本発明のダイヤモンド固体酸として、ダイヤモンドパウダーの表面に水酸基を導入した酸化ダイヤモンドパウダーを調製し、かかる酸化ダイヤモンドパウダーを1,3−プロパンスルトンで修飾し、ダイヤモンドにスルホ基を有する修飾分子(3−スルホプロポキシ基)が共有結合により固定されたダイヤモンド固体酸を調製した例を示したが、これはあくまでも一例であり、前記した酸性基を有する修飾分子を、かかる修飾分子の種類に応じた合成方法を採用して、所望の修飾分子を基材となるダイヤモンドに共有結合を介して固定するようにすればよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範
囲で他の構造等としてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例等に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
ダイヤモンド固体酸の製造:
下記の方法を用いて、ダイヤモンドパウダーの表面に酸性基であるスルホ基を有する修飾分子が共有結合により固定されたダイヤモンドパウダー(ダイヤモンド固体酸)を製造した。
(1)ダイヤモンドパウダーの前処理:
市販の粉砕天然ダイヤモンドパウダー(平均粒子径 500nm以下)を60℃の王水、及び60℃の過酸化水素水を用いて表面の洗浄、及び表面酸化処理を行い、ダイヤモンドパウダー表面に水酸基(−OH)を導入した酸化ダイヤモンドパウダーを得た。
(2)スルホ基(−SOH)の導入:
(1)で前処理を施して得られた酸化ダイヤモンドパウダー0.25gを1.0Mの1,3−プロパンスルトンのトルエン溶液20mLに分散させ、100℃で48時間還流を行って酸化ダイヤモンドパウダーと1,3−プロパンスルトンを反応させた。反応終了後、反応生成物をトルエンで数回洗浄し、乾燥させることにより、ダイヤモンドパウダーの表面に酸性基であるスルホ基を有する修飾分子(3−スルホプロポキシ基)が共有結合により固定されたダイヤモンドパウダー(スルホ基導入ダイヤモンドパウダー:ダイヤモンド固体酸)を得た(平均粒子径 500nm以下)。
なお、(2)において、還流時間を48時間に固定して、1,3−プロパンスルトン溶液の濃度を0.01〜2.0Mの範囲で変化させて、スルホ基導入ダイヤモンドパウダーを製造した場合における1,3−プロパンスルトン溶液の濃度と酸量(修飾量)の関係を図3に示す。図3に示すように、1,3−プロパンスルトン溶液の濃度の増加とともに酸量(修飾量)は増加していくが、溶液濃度が1.0Mを超えると酸量(修飾量)は減少した。
また、(2)において、1,3−プロパンスルトン溶液の濃度を0.1Mに固定し、還流時間を1〜72時間の範囲で変化させて、スルホ基導入ダイヤモンドパウダーを製造した場合における還流時間と酸量(修飾量)の関係を図4に示す。図4に示すように、還流時間の増加とともに酸量(修飾量)は増加していくが、還流時間が48時間を超えると酸量(修飾量)は飽和した。以上の結果より、1,3−プロパンスルトンの濃度を1.0M、還流時間を48時間として、スルホ基導入ダイヤモンドパウダーを得るようにした。
[X線光電子分光による評価]
得られたスルホ基導入ダイヤモンドパウダーについて、X線光電子分光(Xray Photoelectron :XPS)による評価をX線光電子分光測定装置(JPS−9010MC:日本電子(株)製)を用いて行った。結果を図5及び図6に示す。なお。図6は、図5において、結合エネルギーが155〜175eVの範囲について拡大した図である。
図5及び図6に示すように、実施例1で得られたスルホ基導入ダイヤモンドパウダーは、結合エネルギーが168eV付近にスルホ基由来のS原子のピーク(S2pピーク)が確認できた。なお、図5に示すIn(インジウム)のピークは、スルホ基導入ダイヤモンドパウダーをインジウム箔に押し付けて固定して測定したため現れたものである。
[拡散反射IRによる評価]
次に、拡散反射IRによる評価を赤外分光測定装置(Nicolet 6700:サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)を用いて行った。結果を図7に示す。なお、本評価にあっては、実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーと、比較例1として、実施例1(1)で得られた酸化ダイヤモンドパウダーも併せて評価した(以降実施する評価についても同様。)。
図7に示すように、実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーは、1050cm−1付近に、比較例1の酸化ダイヤモンドパウダーでは見られないスルホ基由来のS=O伸縮振動ピークが見られた。図5及び図6のX線光電子分光による評価結果と併せて、ダイヤモンドパウダー表面へのスルホ基の導入を確認することができた。
[中和滴定による酸量の測定]
実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーを純水30mL中に添加して、0.2mMの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定を行い、酸量を決定した。比較例1の酸化ダイヤモンドパウダーについても同様な方法で酸量を決定した。水酸化ナトリウムの滴下量とpHの関係を図8(比較例1)及び図9(実施例1)に示す。
図8及び図9を比較すると、スルホ基の導入により滴定曲線の形状に変化が見られた。実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーには、比較例1の酸化ダイヤモンドパウダーでは確認できなかったpHジャンプが見られる。1,3−プロパンスルトン溶液の濃度を1.0Mとして、還流時間を48時間として製造した実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーは、0.094mmol/gの酸量であった。
[ハメット指示薬による酸強度の推定]
トルエン5mLに実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーを加え、表1に示す指示薬を滴下して変色の有無から酸強度Hを推定した。比較例1の酸化ダイヤモンドパウダーについても同様な方法で変色の有無を確認した。変色の有無をあわせて表1に示した。なお、表1において、変色があった場合を「○」、変色がなかった場合を「×」で示している。
(指示薬の種類及び結果)
Figure 2009214051
表1に示すように、スルホ基導入ダイヤモンドパウダーは、pKa=+1.5の指示薬(4−(フェニルアゾ)ジフェニルアミン)で紫色に着色する一方、pKa=−0.3の指示薬(ジシンナマルアセトン)では赤色に着色しなかったので、指示薬の変色の有無から酸強度Hを−0.3<H<+1.5と推定した。
[触媒活性の評価]
実施例1で得られたスルホ基導入ダイヤモンドパウダーの触媒活性の評価として、下記に示す、酢酸とエタノールを出発物質とするエステル(酢酸エチル)の合成反応をモデル反応として選択した。エタノール11.5g、酢酸15.0gの混合溶液に実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダー0.5gを加え、70℃で6時間加熱後、反応溶液をガスクロマトグラフィーによりエステルの合成の状態を分析した。同様な操作を比較例1の酸化ダイヤモンドパウダーについても行った。ダイヤモンドパウダーの添加量とエステル(酢酸エチル)の生成量との関係を図10に、反応時間とエステル(酢酸エチル)の生成量との関係を図11に示す。
Figure 2009214051
図10に示すように、比較例1の酸化ダイヤモンドパウダーを添加した反応系は、添加量を増やしても酢酸エチルの生成量がほぼ変化しないことに対して、実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーを添加した系は、添加量に応じて酢酸エチルの生成量が増加しており、実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーが前記した合成反応の固体酸触媒として機能していることが確認できた。
また、図11に示すように、実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーを添加した反応系は、反応時間の経過とともに酢酸エチルの生成量が増え、反応時間が6時間経過した時点では0.038molの酢酸エチルが生成した。一方、比較例1の酸化ダイヤモンドパウダーを添加した系(前記したように、比較例1は触媒としては機能しない。)では、反応時間が6時間経過した時点では0.027molとなり、実施例1のスルホ基導入ダイヤモンドパウダーを固体酸触媒として添加することにより、エステルの生成量が約1.4倍となった。
本発明は、クリーンな化学プロセスを実現し、固体酸触媒や燃料電池用等に適用される固体電解質を提供する機能性材料として有利に使用することができる。
スルホ基を有する修飾分子が共有結合により固定されたダイヤモンド固体酸の製造方法の一例を示した概略図である。 本発明の電解質を電解質膜として備えた燃料電池の構成の一態様を示した概略図である。 実施例1において、1,3−プロパンスルトン溶液の濃度と酸量(修飾量)の関係を示した図である。 実施例1において、還流時間と酸量(修飾量)の関係を示した図である。 X線光電子分光による評価結果を示した図である。 図5において、結合エネルギーが155〜175eVの範囲について拡大した図である。 拡散反射IRによる評価結果を示した図である。 比較例1について、水酸化ナトリウムの滴下量とpHの関係を示した図である。 実施例1について、水酸化ナトリウムの滴下量とpHの関係を示した図である。 ダイヤモンドパウダーの添加量とエステル(酢酸エチル)の生成量との関係を示した図である。 反応時間とエステル(酢酸エチル)の生成量との関係を示した図である。
符号の説明
1 燃料電池
2 固体電解質膜
3 電極
3a カソード
3b アノード
5 負荷

Claims (5)

  1. 基材となるダイヤモンドに、酸性基を有する修飾分子が共有結合により固定されていることを特徴とするダイヤモンド固体酸。
  2. 前記酸性基がスルホ基、スルホン基、カルボン酸基、カルボヒドラゾン基、カルボキシミド基、含硫黄酸性官能基、含リン酸性官能基、含セレン酸性官能基、含ホウ素官能基、及びポリオキソアニオン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド固体酸。
  3. 前記基材となるダイヤモンドが、平均粒子径が5〜500nmの粉末状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダイヤモンド固体酸。
  4. 前記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載されたダイヤモンド固体酸からなることを特徴とする固体酸触媒。
  5. 前記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載されたダイヤモンド固体酸からなることを特徴とする固体電解質。
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