しかしながら、上記特許文献2に開示された装置では、付着物が基材に層をなした状態で付着している被処理物の場合には、包装材(基材)により包装された食品等(付着物)に比べて密着性の高い層状の付着物が一定の範囲に付着していることから、串状体と切断刃とにより、基材は複数箇所において切断され、切断片の一部分が折曲され、このとき、これらの切断部又は折曲部の近傍に付着された一部の付着物は剥離されるが大半は残るとともに、その後の先浄水による噴射でも殆ど剥離することができない。したがって、従来の装置では、フィルム状又はシート状に成形された樹脂等の基材や、剥離されたセラミックス、石膏等の付着物を新たな製品の原料として用いるなど、資源を再利用することができない。
そこで、本発明は、上述した従来の装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、フィルム状又はシート状に成形された基材に層をなした状態で付着した付着物を有効に剥離することができ、ひいては樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる新規な付着物の剥離装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、フィルム状又はシート状に成形された基材の一面又は両面に層をなした状態で付着物が付着してなる被処理物が投入される投入口と、水平方向に長さを有した状態で配置され、一端側には上記投入口と連通した流入口が形成されてなるとともに、内部において上記被処理物を収容する略円筒状の処理槽と、この処理槽内に配置され、駆動装置により回転駆動する回転軸と、基端が上記回転軸に固定され先端が上記処理槽の内周面側に位置するとともに、該処理槽の長さと同じ方向に長さを有する複数の回転羽根と、上記処理槽の他端側に形成され、上記被処理物から上記付着物が剥離された後の基材を排出する基材排出路と、上記回転羽根の回転に伴い、上記処理槽内の空気を上記流入口側から基材排出路側に案内する複数の案内リブと、上記処理槽に多数形成された開口と、上記開口を通過した付着物を回収する付着物回収部と、を備え、上記開口は、上記被処理物が上記回転羽根の回転により移動する移動方向に対して略直交する第1の角度か、又は該回転羽根の回転方向に対して略直交する第2の角度、若しくはこれら第1の角度から第2の角度の範囲内の角度となされてなり、上記被処理物に対して摺接する摺接縁を有して形成されてなることを特徴とするものである。
この第1の発明では、投入口から投入され流入口を通って処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する回転羽根に衝突し、不規則・不定形に折曲されるとともに(被処理物の基材の硬さや回転羽根の回転速度により、処理槽内において)不規則・不定形に破れて切断される。こうした被処理物の折曲や切断の際に、一部の付着物は剥離される。そして、不規則に切断された被処理物は、さらに回転羽根の回転又はその遠心力により、処理槽の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、該処理槽の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層の内周を移動し、また、上記案内リブに案内された空気により他端側に移動する。この際、上記処理槽には、上記基材から剥離された付着物が通過する多数の開口が形成されてなることから、基材から剥離された付着物は、この開口を通過するが、この第1の発明では、上記開口は、上記被処理物が上記回転羽根の回転により移動する移動方向に対して略直交する第1の角度か、又は該回転羽根の回転方向に対して略直交する第2の角度、若しくは、これら第1の角度から第2の角度の範囲内の角度となされてなり、上記被処理物に対して摺接する摺接縁を有して形成されていることから、該被処理物が処理槽の内周を移動する際には、必ず上記摺接縁と摺接し、付着物は言わば基材から削ぎ取られるように強制的に剥離される。なお、このように、上記摺接縁により被処理物が摺接し、付着物が強制的に剥離されるのは、処理槽内の空気の移動による。
すなわち、処理層内の空気は、回転羽根の回転と上記案内リブとにより、処理層内を回転しながら該処理槽の一端側から他端側に徐々に案内されるが、こうした移動ばかりではなく、一部は、回転羽根の風圧により処理槽に形成された多数の開口を通過することとなり、こうした空気の通過に伴い被処理物は、該開口が形成された部位との間に押圧され摩擦抵抗を受けながら移動することとなる。特に、被処理物は、処理槽内において不規則に折曲されていることから、上記摺接縁に摺接する頻度ないし剥離される頻度は増大する。本発明では、処理槽に多数形成された開口は、上述した第1の角度か、又は第2の角度、若しくは、これら第1の角度から第2の角度の範囲内の角度となされており、円形等ではないことから、付着物を基材から確実に剥離することができる。
なお、上記開口の形状は、上記角度となされた摺接縁が形成されていれば、多角形であってもその他の形状(例えば半円形状)であっても良く、また、こうした開口は、円弧上に成形された処理槽の下面でも上面でも或いは全面に形成されていても良い。また、これらの開口は、大気に通じているものであっても良いばかりか、本発明を構成する付着物回収部に付着物回収装置を設け、この付着物回収装置の吸引手段により開口から空気が流出するように構成しても良い。但し、このように吸引手段を設けた場合には、基材排出路側に空気と被処理物又は付着物が剥離された基材とが移動することを妨げない強さとすることが好ましい。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根にブラシが配置されてなることを特徴とするものである。
この第2の発明では、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根にブラシが配置されてなることから、被処理物に付着された付着物は、回転羽根とともに回転される前記ブラシの先端部により、処理槽内で該ブラシの先端近傍を移動する被処理物から付着物が剥離され、被処理物を構成する基材から付着物をさらに有効に剥離することができる。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根に複数の凹凸部が並列された櫛状体が配置されてなることを特徴とするものである。
この第3の発明では、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根に複数の凹凸部が並列された櫛状体が配置されてなることから、処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する櫛状体の凹凸部に衝突し、不規則・不定形に折曲されるとともに、不規則・不定形に破れて切断される。こうした被処理物の折曲や切断の際に、一部の付着物は剥離されるとともに、このとき剥離されなかった残余の付着物は、その後の移動の際や処理槽の内周面に叩き付けられる際に剥離され易い状態にすることができる。そして、被処理物を構成する基材から付着物をさらに有効に剥離することができる。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第2又は第3の発明の何れかにおいて、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根であって、前記投入口側に複数の凹凸部が並列された櫛状体が配置されるとともに、前記基材排出路側にブラシが配置されてなることを特徴とするものである。
この第4の発明では、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根であって、前記投入口側に複数の凹凸部が並列された櫛状体が配置されるとともに、前記基材排出路側にブラシが配置されてなることから、処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する櫛状体の凹凸部に衝突し、不規則・不定形に折曲され、不規則・不定形に破れて切断され、該被処理物を構成する基材から一部の付着物が剥離されるとともに、ブラシの先端近傍を移動する被処理物の付着物は、回転羽根とともに回転される前記ブラシの先端部により剥離され、被処理物を構成する基材から付着物をさらに有効に剥離することができる。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第1,2,3又は第4の発明の何れかにおいて、前記投入口,処理槽又は基材排出路から選択された少なくとも一つには、前記被処理物を構成する基材に帯電した静電気を除去する除電手段が配置されてなることを特徴とするものである。
この第5の発明では、前記投入口,処理槽又は基材排出路から選択された少なくとも一つには、前記被処理物を構成する基材に帯電した静電気を除去する除電手段が配置されてなることから、前記基材から付着物が剥離されやすいとともに、既に剥離された付着物が該基材に再び付着されることを有効に防止することができる。
第1の発明(請求項1記載の発明)では、処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する回転羽根に衝突し、不規則・不定形に折曲されるとともに、不規則・不定形に破れて切断され、こうした被処理物の折曲や切断の際に、一部の付着物は剥離される。そして、さらに被処理物は、回転羽根の回転又はその遠心力により、処理槽の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、該処理槽の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層の内周を移動し、また、上記案内リブに案内された空気により他端側に移動する。この際、上記処理槽には、上記基材から剥離された付着物が通過する多数の開口が形成されてなることから、基材から剥離された付着物は、この開口を通過するが、この第1の発明では、上記開口は、上記被処理物が上記回転羽根の回転により移動する移動方向に対して略直交する第1の角度か、又は該回転羽根の回転方向に対して略直交する第2の角度、若しくはこれら第1の角度から第2の角度の範囲内の角度となされてなり、上記被処理物に対して摺接する摺接縁を有して形成されていることから、該被処理物が処理槽の内周を移動する際には、必ず上記摺接縁と摺接し、付着物は言わば基材から削ぎ取られるように強制的に剥離される。したがって、フィルム状又はシート状に成形された基材に層をなした状態で付着した付着物を有効に剥離することができ、ひいては樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根にブラシが配置されてなることから、被処理物に付着された付着物は、回転羽根とともに回転される前記ブラシの先端部により、処理槽内で該ブラシの先端近傍を移動する被処理物から付着物が剥離され、被処理物を構成する基材から付着物をさらに有効に剥離することができ、ひいては樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根に複数の凹凸部が並列された櫛状体が配置されてなることから、処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する櫛状体の凹凸部に衝突し、不規則・不定形に折曲されるとともに、不規則・不定形に破れて切断される。こうした被処理物の折曲や切断の際に、一部の付着物は剥離されるとともに、このとき剥離されなかった残余の付着物は、その後の移動の際や処理槽の内周面に叩き付けられる際に剥離され易い状態にすることができる。そして、被処理物を構成する基材から付着物をさらに有効に剥離することができ、ひいては樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、前記複数の回転羽根には、該複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根であって、前記投入口側に複数の凹凸部が並列された櫛状体が配置されるとともに、前記基材排出路側にブラシが配置されてなることから、処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する櫛状体の凹凸部に衝突し、不規則・不定形に折曲され、不規則・不定形に破れて切断され、該被処理物を構成する基材から一部の付着物が剥離されるとともに、ブラシの先端近傍を移動する被処理物の付着物は、回転羽根とともに回転される前記ブラシの先端部により剥離され、被処理物を構成する基材から付着物をさらに有効に剥離することができ、ひいては樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)では、前記投入口,処理槽又は基材排出路から選択された少なくとも一つには、前記被処理物を構成する基材に帯電した静電気を除去する除電手段が配置されてなることから、前記基材から付着物が剥離されやすいとともに、既に剥離された付着物が該基材に再び付着されることを有効に防止することができる。その結果、被処理物を構成する基材から付着物をさらに有効に剥離することができ、ひいては樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る付着物の剥離装置(以下、剥離装置という。)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施の形態に係る剥離装置1は、図1に示すように、下部には、4つのキャスター2を備え、略直方体状に成形された筐体3を外側に備えてなるものであり、この筐体3の正面の中央よりもやや左側には、正面カバー4が着脱可能に配設され、この正面カバー4の右側には、図示しない蝶番を介して開閉可能な正面側開閉扉5が設けられている。そして、この正面側開閉扉5の左端側には、開閉操作する際に使用者により把持される把手6が固定され、正面右側には、排出管部7が形成されている。なお、この排出管部7は、上記筐体3内に配設された後述する処理槽31の基材排出路69に連通してなるのであり、図2に示すように、上面には、上記処理槽31内部で被処理物から付着物が剥離された基材の排出状況をこの排出管部7の上方から確認することができるように透明樹脂からなる透明板8が配設され、先端側下面には、下方に向いた排出口7aが形成されている。
また、図1に示すように、この正面側開閉扉5の下方には、図示しない蝶番を介して開閉可能な長方形状の集塵用開閉扉10が設けられ、この集塵用開閉扉10の下方側には、開閉操作する際に使用者により把持される把手12が固定されている。この集塵用開閉扉10は、後述する処理槽31の下方に配設された後述する付着物回収部42を構成する付着物回収装置45(図2又は図4参照)の図示しない吸引手段により回収された付着物を取り出す部位である。なお、上記正面側開閉扉5の反対側には、この正面側開閉扉5と同じ大きさとなされた図示しない背面側開閉扉が配設されている。この背面側開閉扉は、把手が固定され、この把手を把持しながら蝶番を介して開閉可能とされ、また、この背面側開閉扉の側方には、図3に示すように、上記正面カバー4に対向してなる背面カバー9が着脱可能に配設されている。
また、図5に示すように、この剥離装置1の左側上部には、フィルム状又はシート状に成形された樹脂等の基材の面に、セラミックス、石膏等により層をなした状態で付着した付着物が剥離処理される図示しない被処理物が投入される投入口11が形成されている。この投入口11は、図4に示すように、下方に向けて開放され、上記筐体3の上面よりもやや高い位置にであってホッパー23の上面に形成されてなるものである。また、上記筐体3の左側板3aであって、上記投入口11のやや下方には、図5に示すように、左開閉扉14が形成され、この左開閉扉14に閉塞された部位には、制御盤15やスイッチ類16が配設されている。また、上記左開閉扉14の近傍には、上記制御盤15等に電気的に接続され、この剥離装置1の駆動を開始する始動スイッチ17及び停止スイッチ18が設けられている。
また、上記正面カバー4と背面カバー9との間には、図4に示すように、駆動モータ21が載置台22上に固定されている。この駆動モータ21は、上記制御盤15に電気的に接続されている。また、この駆動モータ21の上方には、上記投入口11に連通してなるホッパー23が形成されている。このホッパー23は、上記正面カバー4と対向する図示しない正面側板部と、上記背面カバー9と対向する図示しない背面側板部と、底板部23aと、上記左側板3aに対向してなる仕切り板24とから構成されている。そして、上記底板部23aは、図4に示す右方側にかけて徐々に低くなるように傾斜してなる第1の傾斜底板部23bと、この第1の傾斜底板部23bの右方側から垂下してなる垂下板部23cと、この垂下板部23cの下端から右方側にかけて徐々に低くなるように傾斜してなる第2の傾斜底板部23dとから構成されている。そして、この第2の傾斜底板部23dの下端(後述する処理槽31側端部)は、垂直板部27が連続しており、この垂直板部27の下端側中途部には、後述する回転軸72が挿通された開口部(符号は省略する。)が形成されている。
そして、図4,図6又は図7に示すように、上記筐体3内であって、上記正面側開閉扉5と図示しない背面側開閉扉との間には、本発明を構成する処理槽31が配設されている。この処理槽31は、上方が開放されてなる処理槽本体32と、この処理槽本体32に図3に示す蝶番41,41を介して開閉自在に連結されてなるとともに該処理槽本体32の上方を閉塞する蓋体33とを備えてなるものであり、処理槽本体32と蓋体33とを合わせた全体形状は、水平方向に長さを有する円筒状とされている。上記処理槽本体32は、半円筒状に成形された底板部32a(図7及び図8参照)と、左側(投入口11側)に形成され半円状に成形された左側半円板部32b(図9及び図10参照)と、この左側半円板部32bに対向してなる第1の右側半円板部32c(図9及び図10参照)と、から構成されている。
また、上記蓋体33は、半円筒状に成形された天板部33a(図7及び図8参照)と、閉塞されることにより上記処理槽本体32を構成する第1の右側半円板部32cと同一平面上に位置する第2の右側半円板部33b(それぞれ図10又は図11参照)と、この右側半円板部33bより左側にこの蓋体33の左右長さの約五分の一の幅に渡って形成された基材排出路69と、から構成されている。なお、図6に示すように、上記仕切り板24の下方には、上記蓋体33の曲率に対応した曲率を有する半円状の開口部25が形成され、この開口部25の周囲には、上記蓋体33が処理槽本体32を閉塞した状態において処理槽31内に僅かに突出した円弧状の突出片25aが形成されている。したがって、上記投入口11から投入された被処理物は、自重により上記ホッパー23内を通過し、上記仕切り板24に形成された開口部25を通って上記処理槽31内に収容される。
なお、上記処理槽本体32は、正面側においては、図8に示すように、正面側水平板部36aが上端に折曲形成された正面側垂直固定板36により支持固定され、背面側においては、背面側水平板部37aが上端に折曲形成された背面側垂直固定板37により支持固定されている。一方、上記蓋体33の正面には、図6又は図7に示すように、上記正面側水平板部36aと同じ長さ幅に成形され該正面側水平板部36a上に載置される蓋側水平板部38aと、この蓋側水平板部38aの基端から略直角に折曲され上記蓋体33の正面に固定されてなる固定板部38bと、上記蓋側水平板部38aの先端から下方に折曲されてなりこの蓋体33を開閉操作する際の把手39が溶接されてなる垂下板部38cとから構成され、側面形状がクランク状に成形された把手固定部材38が溶接されている。
また、この把手固定部材38を構成する垂下板部38cの左右には、図6に示すように、係止部(符号は省略する。)が固定され、上記正面側垂直固定板36には、この係止部に係止される係止片を有して上記蓋体33と処理槽本体32とをロックするロック用金具40,40が左右それぞれ配設されている。また、図3又は図8に示すように、上記背面側垂直固定板37の上端に形成された背面側水平板部37aの左右両側には、処理槽本体32に対して蓋体33を回動可能に連結する蝶番41,41が固定されている。したがって、ロック用金具40,40によるロック状態を解除し、図4に示す状態から、作業者が上記把手39を把持しながら蓋体33を上方に持ち上げることにより、該蓋体33は、上記左右の蝶番41,41を介して回動し、こうした操作により処理槽本体32は、図6に示すように、開放される。また、上記ロック用金具40,40の左側近傍には、リミットスイッチ40aが固定されている。このリミットスイッチ40aは、蓋体33が閉塞しているか否かを判別する検知手段であって、上記制御盤15と電気的に接続されており、危険防止の為に上記蓋体33の開放時に駆動モータ21が作動することを防ぎ、或いは、該駆動モータ21が作動中に上記蓋体33を開放した場合に該駆動モータ21を緊急停止するためのものである。
また、上記処理槽本体32を構成する半円筒状の底板部32aには、図9に示すように、多数の四角形状の開口32dが、後述する第1乃至第4の回転羽根81・・・84の回転により切断されて移動する被処理物の基材から付着物が剥離され排出されるように、上記回転方向に対して千鳥状に穿設されている。すなわち、これらの開口32dは、図13に示すように、後述する第1乃至第4の回転羽根81・・・84(図7参照)の反時計方向への回転により矢印T方向へ移動する被処理物Wの前方側の摺接辺32eの内周側角部であって該被処理物Wが摺接する摺接縁32fを有し、該摺接縁32fは、上記回転羽根81・・・84の回転方向に対して略直交する角度の上記摺接辺32eの内周角部に形成されるとともに、該摺接辺32eを基準にして開口32dの四角形状がそれぞれ形成されている。このようにして形成された摺接辺32eの角度は、被処理物Wが上記回転羽根81・・・84の回転により移動する移動方向に対して直交する角度と実質的に近似的な角度である。
そして、被処理物Wは、前記回転羽根81・・・84の回転又はその遠心力により、処理槽本体32及び蓋体33の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、処理槽本体32及び蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら該処理槽本体32及び蓋体33の内周を移動することから、処理槽本体32の内周面と擦れ合い・摺接する被処理物Wの基材Waに付着した付着物Wbは、図13に示すように、開口32dを構成する摺接辺32eの内周側角部であって移動する被処理物Wに対して摺接する摺接縁32fにより基材Waから強制的に確実に削ぎ取られ、粒状又は粉状に剥離されて開口32dから排出される。すなわち、上記多数の開口32dは、四角形状に形成されてなることにより、被処理物Wを擦る一辺である摺接縁32fの長さを長くすることができるとともに、該摺接縁32fが前記回転羽根81・・・84の回転方向に対して略直交する角度に形成されてなることにより、被処理物Wは移動方向と略直交する角度の摺接縁32fに擦られながら移動するので、被処理物Wが上記多数の開口32dに押圧され擦られるたびに多数の付着物Wbを剥離しながら移動することができる。例えば、開口の形状が円形状、楕円形状等である場合には、上記回転羽根81・・・84の回転方向に対して略直交する角度の摺接縁が存在しないことから、基材Waに付着した付着物Wbを強制的に削ぎ取ることは困難である。なお、上記摺接縁32fが形成される摺接辺32eの角度は、上記回転羽根81・・・84の回転方向に対して略直交する角度に限定されるものではなく、上記被処理物Wが上記回転羽根81・・・84の回転により移動する移動方向に対して略直交する第1の角度か、又は該回転羽根81・・・84の回転方向に対して略直交する第2の角度、若しくは、これら第1の角度から第2の角度の範囲内の角度となされておればよい。
また、上記開口32dの形状は、四角形状に限定されるものではなく、上記摺接縁32fが形成される摺接辺32eの角度が、上記第1の角度か又は第2の角度、若しくは、これら第1の角度から第2の角度の範囲内の角度となされておれば、多角形であってもその他の形状(例えば半円形状)であっても良い。また、上記開口32dの穿設位置は、上記処理槽本体32の底板部32aに限定されるものではなく、上記処理槽31を構成する蓋体33の天板部33aに穿設されてもよく、或いは、上記処理槽本体32の底板部32aと蓋体33の天板部33aとに穿設されてもよい。また、これらの開口32dは、大気に通じているものであっても良いばかりか、後述する付着物回収部42にそれぞれの付着物回収装置45を設け(図4参照)、この付着物回収装置45の図示しない吸引手段により開口32dから空気が流出するように構成しても良い。但し、このように吸引手段を設けた場合には、基材排出路69側に空気と被処理物W又は付着物Wbが剥離された基材Waとが移動することを妨げない強さとすることが好ましい。また、上記開口32dの大きさは、該開口32dの大気との流通の度合、上記回転羽根81・・・84の回転速度、後述する付着物回収部42の吸入圧力、被処理物Wの形態等との関係において決められる。
また、上記蓋体33の内周には、図6、図10又は図11に示すように、第1乃至第6の案内リブ61・・・66が取り付けられている。これら第1乃至第6の案内リブ61・・・66は、後述する第1乃至第4の回転羽根81・・・84及び第1乃至第4の送風羽根86・・・89の回転によって投入口11より吸入される上記処理槽31内の空気が左側から右側に案内されるように、図10に示すように、それぞれの背面側端部よりも正面側端部が右側に位置してやや傾斜されている。なお、これら第1乃至第6の案内リブ61・・・66は、蓋体33に対して溶接により固定されている。
また、こうした第1乃至第6の案内リブ61・・・66が取り付けられた上記蓋体33の図10に示す右側には、処理槽31内において切断され付着物が剥離された基材Wa(図13参照)が通過して排出される基材排出路69の基端が固定されている。この基材排出路69の基端は、図8に示すように、上記処理槽31と連通してなるものであり、先端は、正面側に突出しており、図2に示すように、前記正面側開閉扉5が閉塞されることにより、該正面側開閉扉5に形成された排出管部7の基端側に挿入されて連通されるように構成されている。なお、この基材排出路69の後方及び上方には、図10又は図11に示すように多数の円形状の排出孔69aが穿設されている。このため、この処理槽31内より排出される基材Waが空気の流れによって基材排出路69内を通過する際に、この基材Waに付着していた残りの付着物Wbがこれらの排出孔69aより筐体3内に効果的に剥離又は分離され、排出される基材Wbをよりリサイクルに適した状態にすることができる。なお、上記基材排出路69の排出孔69aの形状について、上述して処理槽本体32の多数の開口32dと同様に四角形状に形成することにより、基材排出路69内を通過する基材Waの付着物Wbをより効果的に剥離又は分離することができる。
そして、上述のように構成された処理槽31内には、図4に示すように、前記駆動モータ21の出力軸21aに連結部材71を介して連結された回転軸72が水平方向に配設されている(図10参照)。この回転軸72は、左側中途部が前記垂直板部27の左側面に着脱可能に固定された一方の軸受73に回転自在に支持され、右側は、前記第1の右側半円板部32cに着脱可能に固定された他方の軸受74に回転自在に支持されてなるとともに、左側中途部は、上記垂直板部27に形成された図示しない開口に挿通されている。なお、この剥離装置1では、上記垂直板部27の上端(第2の傾斜底板部23dの下端)から上記回転軸72までの長さはやや離間しており、後述する第1乃至第4の回転羽根81・・・84が水平とされた状態において、上記第2の傾斜底板部23dの下端から該第1乃至第4の回転羽根81・・・84までの段差(落差)が大きくなるように構成されている。この回転軸72には、上記処理槽31内において、図4、図7又は図10に示すように、回転駆動する第1乃至第4の回転羽根81・・・84の基端が着脱可能に固定されてなるとともに、図4、図8又は図10に示すように、第1乃至第4の送風羽根86・・・89の基端が着脱可能に固定されている。なお、上記回転軸72は、第1乃至第4の回転羽根81・・・84及び第1乃至第4の送風羽根86・・・89が着脱可能に固定される部分が、図7及び図8に示すように、四角形状に形成され固定の安定性が維持されている。
また、上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84は、図7又は図10に示すように、上記回転軸72の四角形状部であって回転方向に90度ずつ等間隔にそれぞれボルト(符号は省略する。)により固定されてなるものであり、本実施の形態においては、各回転羽根81・・・84の回転軸72側から先端までのそれぞれの長さ(幅)は同一とされている。また、これら第1乃至第4の回転羽根81・・・84の先端側(処理槽31の内周面側)であって図10に示す左側には、第1乃至第4の櫛状体76・・・79がそれぞれボルト(符号は省略する。)により着脱可能に固定されている。これらの櫛状体76・・・79には、図12(a)に示すように、該櫛状体76・・・79を上記回転羽根81・・・84に固定するためのボルトを挿通する小判状の長穴76a(77a・・・79a)がそれぞれに2個ずつ穿設されているとともに、先端側には、略U字状の凹部76b(77b・・・79b)がそれぞれ7個ずつ形成され、これら凹部76b(77b・・・79b)の両側の凸部76c(77c・・・79b)とで凹凸をなす櫛状にそれぞれ成形されている。
そして、図10に示す開口部25から処理槽31内に送り込まれた被処理物Wは、処理槽31内で回転する上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の先端部に衝突し、不規則・不定形に折曲されるとともに不規則・不定形に破れて切断される。こうした被処理物Wの折曲や切断の際に、一部の付着物Wbは剥離される。そして、不規則に切断された被処理物Wは、さらに回転羽根の回転又はその遠心力により、処理槽本体32及び蓋体33の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、該処理槽本体32及び蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理槽本体32及び蓋体33の内周を移動する。なお、上記櫛状体76・・・79の先端位置であって処理槽31の内周面との距離は、図12(a)に示す長穴76a(77a・・・79a)により位置調整可能となされている。
一方、上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84の先端側(処理槽31の内周面側)であって図10に示す上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の右側には、第1乃至第4のブラシ取付け板91・・・94が、それぞれボルト(符号は省略する。)により着脱可能に固定されている。これらのブラシ取付け板91・・・94には、図7又は図12(b)に示すように、該ブラシ取付け板91・・・94を上記回転羽根81・・・84に固定するためのボルトを挿通する小判状の長穴91a(92a・・・94a)がそれぞれに5個ずつ穿設されているとともに、断面が略L字状に折曲された薄板状の植設部材91b・・・94bが、上記ブラシ取付け板91・・・94の図12(b)に示す左右方向に長さを有してそれぞれ溶接されている。また、上記ブラシ取付け板91・・・94に溶接された各植設部材91b・・・94b内には、第1乃至第4のブラシ体96・・・99を構成するブラシ96a・・・99aが、それぞれ多数植設されるとともに、それぞれの押え板96b・・・99bを介して止めねじ(符号は省略する。)により上記ブラシ取付け板91・・・94に対してそれぞれ着脱可能に固定されている。
そして、被処理物Wは、図10に示す前記回転羽根81・・・84の回転又はその遠心力により、処理槽本体32及び蓋体33の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、処理槽本体32及び蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら該処理槽本体32及び蓋体33の内周を移動することから、被処理物Wに付着された付着物Wbは、前記回転羽根81・・・84とともに回転される前記ブラシ96a・・・99aの先端部により、処理槽31内で該ブラシ96a・・・99aの先端近傍を移動する被処理物Wが擦られ、該被処理物Wから付着物Wbが剥離され、該被処理物Wは、さらに第1乃至第6の案内リブ61・・・66に案内された空気により基材排出路69に移動する。なお、上記ブラシ体96・・・99の先端位置であって処理槽31の内周面との距離は、図12(b)に示す長穴91a(92a・・・94a)により位置調整可能となされている。また、上記構成でなる第1乃至第4の櫛状体76・・・79と第1乃至第4のブラシ体96・・・99との先端面(処理槽31の内周面側)は、図10に示すように、略同一面に位置決めされてなるとともに、これらの先端面と処理槽本体32の内周面との隙間は小さく(本実施の形態では3乃至10mm)、これらの先端面と蓋体33の内周面との隙間は、上記先端面と処理槽本体32の内周面とよりも大きい隙間となされている。
また、上記第1乃至第4の送風羽根86・・・89は、図8に示すように、上記回転軸72の他端側(基材排出路69側)にて回転方向に90度ずつ等間隔にそれぞれボルト(符号は省略する。)により着脱可能に固定されてなるものであり、本実施の形態においては、回転軸72から先端までのそれぞれの長さ(幅)は同一とされている。なお、これら第1乃至第4の送風羽根86・・・89は、図10に示すように、上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84と同一平面状に並んでそれぞれ固定されている。また、上記第1乃至第4の送風羽根86・・・89の先端部には、図8又は図10に示すように、先端が上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84の先端に固定された櫛状体76・・・79及びブラシ体96・・・99の先端と略同一の長さ(幅)に形成された送風板101・・・104がボルト(符号は省略する。)により着脱可能に固定されている。そして、これらの送風板101・・・104には、上記ボルトが挿通される長孔101a(102a・・・104a)がそれぞれ2つ並んで形成され、それぞれ上記回転軸72の方向から処理槽31の内周面側に突出する長さが調節可能とされている。
また、筐体3内には、図2乃至図4に示すように、処理槽31内で被処理物Wから剥離された付着物Wbを回収する処理槽本体32側の付着物回収部42と、蓋体33側の付着物回収部47とが配置されている。一方の処理槽本体32側の付着物回収部42は、被処理物Wから剥離され図9に示す処理槽本体32の開口32dを通過した付着物Wb又は基材排出路69の排出孔69aを通過した付着物Wbを受け入れる付着物受入れ部材(ホッパー)43と、この付着物受入れ部材43に受入れられた付着物Wbを後述する付着物回収装置45へ案内するパイプ44と、このパイプ44内の付着物Wbを吸引するとともに、吸引された付着物Wbを一時的に収容する付着物回収装置45とにより構成されている。
これらのうち、付着物受入れ部材43は、処理槽本体32と対向する上方に受け口を有して筐体3の内側に固定され、パイプ44は、前記付着物受入れ部材43と付着物回収装置45を連通すべく連結されている。また、付着物回収装置45は、筐体3の内側下方に配置され、図示しない吸引手段と、空気中の付着物Wbを分離する図示しないフィルタと、分離された付着物Wbを収容する図示しない収納容器とを備えてなるものであって、市販されている集塵装置を利用することができる。なお、この付着物回収装置45の吸引手段の吸引圧力は、処理槽本体32の開口32dの大きさ、該開口32dの大気との流通の度合、回転羽根81・・・84の回転速度、後述する蓋体33側の付着物回収部47の吸引圧力、被処理物Wの形態等との関係において決められるものであって、少なくとも、基材排出路69側に空気と被処理物W又は付着物Wbが剥離された基材Waとが移動することを妨げない強さとすることが好ましい。
また、他方の蓋体33側の付着物回収部47は、被処理物Wから剥離され図9に示す処理槽本体32の開口32dを通過した付着物Wb又は基材排出路69の排出孔69aを通過した付着物Wbを受け入れる付着物受入れ部材(ホッパー)48と、この付着物受入れ部材48に受入れられた付着物Wbを後述する付着物回収装置50へ案内するパイプ49と、このパイプ49内の付着物Wbを吸引するとともに、吸引された付着物Wbを一時的に収容する付着物回収装置50とにより構成されている。これらのうち、付着物受入れ部材48は、筐体3の天板部に開口された排出開口部3bと連通するとともに蓋体33に対向する下方に受け口を有して筐体3の天板部(符号は省略する)外側に固定され、パイプ49は、前記付着物受入れ部材48と付着物回収装置50を連通すべく連結されている。
また、付着物回収装置50は、筐体3の天板部外側に配置され、図示しない吸引手段と、空気中の付着物Wbを分離する図示しないフィルタと、分離された付着物Wbを収容する図示しない収納容器とを備えてなるものであって、市販されている集塵装置を利用することができる。なお、この付着物回収装置50の吸引手段の吸引圧力は、処理槽本体32の開口32dの大きさ、該開口32dの大気との流通の度合、回転羽根81・・・84の回転速度、上記処理槽本体32側の付着物回収装置42の吸引圧力、被処理物Wの形態等との関係において決められるものであって、少なくとも、基材排出路69側に空気と被処理物W又は付着物Wbが剥離された基材Waとが移動することを妨げない強さとすることが好ましい。また、この付着物回収装置50の配置は、上述した筐体3の天板部に限定されるものではなく、筐体3の側面部に配置してもよいとともに、配置数は、単数に限定されるものではなく、複数配置してもよいし、上記付着物回収部47により十分に回収できる場合には該付着物回収装置50を配置する必要はない。
また、筐体3内には、図2及び図4に示すように、本発明の除電手段である除電器53が、該筐体3内の背面側に着脱可能に配置されている。この除電器53は、被処理物Wの基材Waに帯電した静電気を除去することにより、付着物Wbの剥離性を高めるとともに、既に剥離された付着物Wbが再び基材Waに付着しないようにするものであって、この除電器53の配置は図2及び図4に示す位置に限定されるものではなく、図4に示す投入口11から基材排出路69までの間の適宜の位置に配置すればよいが、配置される近傍に磁性体が少ない位置が好ましい。また、付着物Wbへの帯電量が高い場合や、配置される近傍に磁性体が多い場合には、上記除電器53を複数位置することにより除電率を高めることができる。なお、本実施の形態においては、上記除電器53について、株式会社キーエンス社製の高速・クリーンエアバリア除電器(形式:SJ−G060)を組込み構成した。
次に、上述のように構成された剥離装置1の作用効果について、図面を参照して以下のとおり説明する。
まず、図5に示す始動スイッチ17をオン操作すると、図4に示す駆動モータ21の駆動が開始され、これに伴い該駆動モータ21と連結部材71により連結された回転軸72とともに、処理槽31内に設けられた図7、図8又は図10に示す第1乃至第4の回転羽根81・・・84と第1乃至第4の送風羽根86・・・89とが、図7又は図8において反時計方向に回転される。これらのうち、上記回転羽根81・・・84の回転により該回転羽根81・・・84のそれぞれの回転方向の前方側に位置する空気は、遠心方向及び該遠心方向と直交する正面方向並びにこれらの間に向かって所定の風速及び風力により流動し、処理槽31の処理槽本体32及び蓋体33の内周面に叩き付けられるとともに、図7において該処理槽本体32及び蓋体33の内周面に沿って反時計方向に移動する。
この際、処理層31内の空気は、図10に示す案内リブ61・・・66に案内されて基材排出路69に向かって処理層内31を回転しながら移動するが、こうした移動ばかりではなく、一部は、上記回転羽根81・・・84の風力により処理槽本体32に形成された多数の開口32d(図9参照)を通過することとなり、こうした空気の通過に伴い被処理物Wは、該開口32dの内周側に押圧され(図13参照)摩擦抵抗を受けながら移動することとなる(なお、以下に説明する空気の移動の際にも、同様に多数の開口32dを通過するが、以下においては説明を省略する。)。そして、処理槽本体32及び蓋体33の内周面に沿って移動する空気は、さらに、図10に示す案内リブ61・・・66に案内されながら基材排出路69側に向かって移動する。
また、他方の上記送風羽根86・・・89の回転により該送風羽根86・・・89のそれぞれの回転方向の前方側に位置する空気は、遠心方向及び該遠心方向と直交する正面方向並びにこれらの間に向かって所定の風速及び風力により流動し、処理槽31の処理槽本体32、蓋体33及び基材排出路69の内周面に叩き付けられるとともに、図8において該処理槽本体32、蓋体33及び基材排出路69の内周面に沿って反時計方向に移動する。さらに、図8に示す上方側へ移動した一部の空気は、基材排出路69を経て図2に示す排出管部7から処理装置1の外部へ排出される。そして、処理槽31内の空気は、図10に示す案内リブ61・・・66に案内されて基材排出路69に向かって移動することから、該基材排出路69に向かって移動する正圧に対して、図4、図6又は図10に示す仕切り板24の下方に開口された開口部25側には負圧が生じ、この負圧により、外部の空気が図4に示すホッパー23の投入口11から導入され、上記開口部25を経て処理槽31内に吸引される。
したがって、この状態において、図4に示すホッパー23の投入口11から、フィルム状又はシート状に成形された基材Waの一面又は両面に層をなした状態で付着物Wbが付着してなる被処理物W(図13参照)を投入すると、この被処理物Wは、第1の傾斜底板部23b上及び第2の傾斜底板部23d上を滑って、又は、ホッパー23内の空中を経て、図6又は図10に示す仕切り板24に形成された開口部25から処理槽31内へ引き込まれるようにして移動する。この移動により、被処理物Wは、上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84とともに回転される第1乃至第4の櫛状体76・・・79の先端側の凹凸部(図12に示す凹部76b(77b・・・79b)及び凸部76c(77c・・・79b)により構成される)に直接衝突するか、又は、上記櫛状体76・・・79若しくは回転羽根81・・・84の回転方向の前方側に移動する。
これらのうち、上記櫛状体76・・・79の先端側の凹凸部に直接衝突した被処理物Wは、不規則・不定形に折曲されるとともに、不規則・不定形に破れて切断される。こうした被処理物Wの折曲や切断の際に、一部の付着物Wbは基材Waから衝撃により剥離され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。そして、不規則に切断された被処理物Wは、さらに上記回転羽根81・・・84と櫛状体76・・・79との回転力、遠心力又は風力により、図7又は図10に示す処理槽31の処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられ(この際にも、一部の付着物Wbは衝撃により剥離される)反時計方向(図7参照)へ移動するとともに、上記処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層31の内周を移動する。
この移動により、処理槽本体32の内周面と擦れ合い・摺接する被処理物Wの基材Waに付着した付着物Wbは、図13に示すように、処理槽本体32に形成された多数の開口32d(図9参照)を通過しようとする空気により処理槽本体32の内周面に押圧され、開口32dを構成する摺接辺32eの内周側角部であって移動する被処理物Wに対して摺接する摺接縁32fにより基材Waから強制的に確実に削ぎ取られ、粒状又は粉状に剥離されて開口32dから排出され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。また、被処理物Wが図13に示すように処理槽本体32の内周面に摺接しない場合であっても、図10に示す上記処理槽本体32の内周面と櫛状体76・・・79の先端側との間を移動する被処理物Wは、該処理槽本体32の内周面と櫛状体76・・・79の先端側との間の隙間が小さいことから(本実施の形態では3乃至10mm)、この間の被処理物Wは、該処理槽本体32の内周面と櫛状体76・・・79の先端部により揉まれ、この際にも被処理物Wから付着物Wbが剥離され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。
他方、上記櫛状体76・・・79若しくは回転羽根81・・・84の回転方向の前方側に移動した被処理物Wは、上記回転羽根81・・・84と櫛状体76・・・79との回転力、遠心力又は風力により、図7又は図10に示す処理槽31の処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられ(この際にも、一部の付着物Wbは衝撃により剥離される)反時計方向(図7参照)へ移動するとともに、上記処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層31の内周を移動する。この場合の移動においても、被処理物Wの付着物Wbは、上記櫛状体76・・・79の先端側の凹凸部に直接衝突した後の移動と同様に、図13に示す開口32dの摺接辺32eの摺接縁32fにより基材Waから強制的に確実に削ぎ取られ、粒状又は粉状に剥離されるとともに、図10に示す処理槽本体32の内周面と櫛状体76・・・79の先端部により揉まれて付着物Wbが剥離され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。
そして、上記被処理物Wは、上記櫛状体76・・・79及び回転羽根81・・・84の回転力、遠心力又は風力により図10に示す案内リブ61,62に案内されて、基材排出路69に向かって処理層内31を回転しながら移動し、上記第1乃至第4のブラシ体96・・・99を構成するブラシ96a・・・99aの先端側に直接当接するか、又は第1乃至第4の回転羽根81・・・84、第1乃至第4のブラシ取付け板91・・・94若しくは第1乃至第4のブラシ体96・・・99の回転方向の前方側に移動する。これらのうち、上記ブラシ96a・・・99aの先端側に直接当接した被処理物Wは、該ブラシ96a・・・99aの先端部により擦られ、該被処理物Wから付着物Wbが剥離され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。そして、付着物Wbが剥離された被処理物Wは、さらに上記回転羽根81・・・84、ブラシ取付け板91・・・94及びブラシ体96・・・99の回転力、遠心力又は風力により、図7又は図10に示す処理槽31の処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられ(この際にも、一部の付着物Wbは衝撃により剥離される)反時計方向(図7参照)へ移動するとともに、上記処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層31の内周を移動する。
この移動により、処理槽本体32の内周面と擦れ合い・摺接する被処理物Wの基材Waに付着した付着物Wbは、図13に示すように、処理槽本体32に形成された多数の開口32d(図9参照)を通過しようとする空気により処理槽本体32の内周面に押圧され、開口32dを構成する摺接辺32eの内周側角部であって移動する被処理物Wに対して摺接する摺接縁32fにより基材Waから強制的に確実に削ぎ取られ、粒状又は粉状に剥離されて開口32dから排出され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。また、被処理物Wが図13に示すように処理槽本体32の内周面に摺接しない場合であっても、図10に示す上記処理槽本体32の内周面とブラシ96a・・・99aの先端側との間を移動する被処理物Wは、該処理槽本体32の内周面とブラシ96a・・・99aの先端側との間の隙間が小さいことから(本実施の形態では3乃至10mm)、この間の被処理物Wは、該処理槽本体32の内周面とブラシ96a・・・99aの先端部により擦られ、この際にも被処理物Wから付着物Wbが剥離され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。
他方、上記回転羽根81・・・84、ブラシ取付け板91・・・94若しくはブラシ体96・・・99の回転方向の前方側に移動した被処理物Wは、上記回転羽根81・・・84、ブラシ取付け板91・・・94及びブラシ体96・・・99の回転力、遠心力又は風力により、図7又は図10に示す処理槽31の処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられ(この際にも、一部の付着物Wbは衝撃により剥離される)反時計方向(図7参照)へ移動するとともに、上記処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層31の内周を移動する。この場合の移動においても、被処理物Wの付着物Wbは、上記ブラシ96a・・・99aの先端側に直接当接した後の移動と同様に、図13に示す開口32dの摺接辺32eの摺接縁32fにより基材Waから強制的に確実に削ぎ取られ、粒状又は粉状に剥離されるとともに、図10に示す処理槽本体32の内周面とブラシ96a・・・99aの先端部により擦られて付着物Wbが剥離され、後述する付着物回収部42又は47により回収される。
したがって、図4に示すホッパー23の投入口11から投入され被処理物Wは、処理槽31内において不規則・不定形に折曲され、不規則・不定形に破れて切断され、処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられ、処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら図7又は図8に示す反時計方向へ移動され、処理槽本体32の内周面と櫛状体76・・・79とにより揉まれ、又はブラシ96a・・・99aの先端部により擦られて図7又は図8に示す反時計方向へ移動するとともに、これらを繰り返しながら付着物Wbは、基材Waから剥離されて上記開口32d又は基材排出路69の排出孔69aから排出され、付着物Wbが剥離された後の基材Waは、基材排出路69を経て図2に示す排出管部7の排出口7aから外部の図示しない基材回収箱内へ回収される。
また、上記開口32d又は基材排出路69の排出孔69aから排出された付着物Wbは、図2乃至図4に示す付着物回収部42又は付着物回収部47により回収される。一方の付着物回収部42は、主として、上記開口32d又は基材排出路69の排出孔69aの近傍や該開口32d又は基材排出路69の排出孔69aから下方へ落下する付着物Wbを回収するものであって、該付着物Wbは、図示しない吸引手段の作動により、付着物受入れ部材43の開口部からパイプ44内を経て付着物回収装置45内に吸引され、該付着物回収装置45内に吸引された付着物Wbは、図示しないフィルタを経て図示しない収納容器に回収される。また、他方の付着物回収部47は、主として、上記開口32d又は基材排出路69の排出孔69aの上方へ浮上する付着物Wbを回収するものであって、該付着物Wbは、図示しない吸引手段の作動により、付着物受入れ部材48の開口部からパイプ49内を経て付着物回収装置50内に吸引され、該付着物回収装置50内に吸引された付着物Wbは、図示しないフィルタを経て図示しない収納容器に回収される。
なお、上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84や第1乃至第4の送風羽根86・・・89は、広い面積を有して図7又は図10に示す回転軸72により回転されることから、これら回転羽根81・・・84や送風羽根86・・・89の高速化に伴い騒音が大きくなる場合がある。このような場合には、例えば、図14に示すように、上記回転羽根81・・・84の回転半径方向の回転軸72側であって左右方向に5個の貫通穴81a,83a(82a,84a)をそれぞれ穿設するとともに、上記送風羽根86・・・89の回転半径方向の回転軸72側に1個の貫通穴86a,88a(87a,889a)をそれぞれ穿設することにより騒音を低下させることができる。