JP2009210913A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低温域での定着が可能であると共に、剥離性が良好で、ベタ画像をプリントした際に排出ロール当接痕のない静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも結晶性樹脂及びワックスを含有し、前記結晶性樹脂の含有量が5重量%以上15重量%以下であり、テトラヒドロフランに分散させたとき、前記ワックスの70重量%以上100重量%以下がテトラヒドロフランに抽出されることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法により画像を形成するために用いられる静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関する。
近年の省エネルギー化への要求に対応するために、電子写真法を利用して画像を形成する複写機にも、より省電力化が求められている。省電力化を図る上では、定着温度の低温度化が有効であるため、従来より低温で定着が可能なトナーが種々検討されてきている。
しかしながら、単にトナー融点を下げるといった手法では、トナーの熱保管特性が悪化し、また高温時における定着特性を悪化させる懸念がある。
そのため、オイルレス用の画像形成装置ではワックスをトナー内に、より均一に分散させ、高温時の定着特性を向上させる手法が用いられている。
これまで、ワックスのトナー内における結着樹脂への分散不良という問題に対して、様々な提案がなされている。例えば、ビニル系モノマーやポリエステル樹脂を形成するための酸及びアルコール成分、並びにワックスからなる混合物からハイブリッド樹脂を合成することにより、ワックス分散性を改良したトナーが提案されている(特許文献1参照)。
さらに近年においては、トナーの結着樹脂に分子レベルでワックスを均一に分散させたトナーが提案されている(特許文献2参照)。
特開平11−352720号公報 特開2006−301093号公報
特許文献1及び2に記載されているように、トナー内の結着樹脂内にワックスを均一に分散させる手法が提案されており、剥離性が向上することで、低温時のみならず高温時においても定着特性を改善する手法が見出されている。しかし、これらの手法では、ワックスの分散性が未だ不十分であるため、定着画像の光沢ムラに問題があり、改善が求められている。
本発明は、低温域での定着が可能であると共に、剥離性が良好で、ベタ画像をプリントした際に排出ロール当接痕のない静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の<1>及び<4>〜<7>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>及び<3>と共に以下に記載する。
<1> 結晶性樹脂及びワックスを含有し、前記結晶性樹脂の含有量が5重量%以上15重量%以下であり、テトラヒドロフランに分散させたとき、前記ワックスの70重量%以上100重量%以下がテトラヒドロフランに抽出されることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<2> 前記ワックスの融点が75℃以上100℃以下である、上記<1>に記載の静電荷像現像用トナー、
<3> 前記ワックスの含有量が5重量%以上12重量%以下である、上記<1>又は上記<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<4> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含有することを特徴とする静電荷像現像剤、
<5> 少なくとも上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容していることを特徴とするトナーカートリッジ、
<6> 現像剤保持体を備え、上記<4>に記載の静電荷像現像剤を収容していることを特徴とするプロセスカートリッジ、
<7> 潜像保持体と、潜像保持体上に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、潜像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤が上記<4>に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
上記<1>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、低温域での定着が可能であると共に、剥離性が良いため、高温定着時においても高画質な画像が得られ、かつ、ベタ画像をプリントした際においても排出ロール当接痕がなく良好な画像が得られる。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、ワックスと結晶性樹脂の相溶性をさらに向上させることができ、より低温域での定着及び高温域での定着性に優れ、排出ロール当接痕のない良好な画質が得られる。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、ワックスの染み出しが良好であり、また、トナー強度及び定着画像強度に優れたトナーが得られる。またその結果、現像機内でトナー潰れが発生しにくく、現像性が良好な静電荷像現像等トナーを提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、低温域での定着が可能であると共に、剥離性が良いため高温定着時においても高画質な画像が得られ、かつベタ画像をプリントした際においても排出ロール当接痕がなく良好な画像が得られる。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、低温域での定着が可能であると共に、剥離性が良いため高温定着時においても高画質な画像が得られ、かつベタ画像をプリントした際においても排出ロール当接痕がなく良好な画像が得られる。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、低温域での定着が可能であると共に、剥離性が良いため高温定着時においても高画質な画像が得られ、かつベタ画像をプリントした際においても排出ロール当接痕がなく良好な画像が得られる。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、低温域での定着が可能であると共に、剥離性が良いため高温定着時においても高画質な画像が得られ、かつベタ画像をプリントした際においても排出ロール当接痕がなく良好な画像が得られる。
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称す場合がある。)は、少なくとも結晶性樹脂及びワックスを含有し、前記結晶性樹脂の含有量が5重量%以上15重量%以下であり、トナーをテトラヒドロフランに分散させたとき、前記ワックスの70重量%以上100重量%以下がテトラヒドロフランに抽出されることを特徴とする。
なお、一般的にトナーは外添剤を含むが、ここで、本実施形態において「トナー母粒子」とは、外添剤以外のトナー成分、すなわちトナーを構成する粒子本体を意味する。以下の説明において、特にトナーを構成する粒子本体のみを指す場合はトナー母粒子と表現する。
本実施形態のトナーは、結晶性樹脂を含むため低温域(80℃以上120℃以下の温度域)での定着が可能である。これは、結晶性樹脂は融点を有するので、特定の温度における粘度の低下が大きく、定着時にトナーが加熱された際に、結晶性樹脂分子が熱的に活動を開始してから定着が可能となる温度域までの温度差を小さくすることができるためである。
一方、結晶性樹脂を含む従来のトナーを用いて中温域から高温域(125℃以上175℃以下の温度域)で定着を行うと、ワックスのトナー母粒子内への分散性が均一ではなく、ワックスがトナー母粒子内に局所的に存在しているため、高温時の剥離性が不十分で、光沢ムラが発生しやすいという問題がある。さらにワックスや結晶性樹脂が相溶していないため、定着した際における定着画像において、ワックスや結晶性樹脂それぞれが結晶成長しやすい。そのためロールに当たる部分と当たらない部分とにおいて冷却速度が異なるため、冷却速度の遅い部分が徐冷してしまい、排出ロール当接痕が発生しやすい。
しかし、本実施形態のトナーは、ワックスと結晶性樹脂との相溶性が高く、トナー母粒子全体に、かつ、均一にワックスが分散されやすい。そのため、高温時においても剥離性が良好となる。さらにワックスと結晶性樹脂が相溶するため、お互いの結晶化度が低下し、定着画像が冷却した際に生じる結晶成長が抑制される。その結果、ベタプリント(ベタ画像のプリント)における排出ロール当接痕が顕著に抑制される。
このトナーの定着特性向上の要因は次のように考えている。
トナー内において、ワックスと結晶性樹脂を相溶させることで、均一にワックス分散させることが可能となる。その結果として、トナー内からのワックスの染み出しが効率的に、かつ、効果的に発生するため、より低エネルギーのエネルギー付与でも充分な剥離性が得られると考えられる。さらに高温時においてもワックスが均一に分散されているため、効率的にすばやく染み出し、定着特性を向上させていると推測される。これらのことより、低温時のみならず高温時においても定着特性を良化させることが可能となったと考えられる。
さらにそれぞれ相溶しているため、トナー内の結晶化度を低下させ、トナー内のワックスドメイン成長を抑制することができると考えられる。その結果、定着画像の結晶成長速度を低下することが可能となり、ベタ画像をプリントした場合であっても、定着画像を送り出すロールの当接(接地)部分と非当接(非接地)部分との間において、排出ロール当接痕の発生を抑制し、高画質な画像を得ることができるものと考えられる。
本実施形態のトナーは、結晶性樹脂の含有量が5重量%以上15重量%以下(なお、本実施形態において、「5重量%以上15重量%以下」を「5〜15重量%」又は「5重量%〜15重量%」とも記載することとする。以下、同様。)であり、5〜10重量%であることが好ましい。
結晶性樹脂の含有量が5%未満であるとワックスとの相溶性が劣るため、ワックスをトナー内に均一に分散させることが困難となる。その結果、低温時及び高温時の剥離性が悪化する。またワックスと結晶性樹脂が相溶しにくくなるため、結晶性樹脂及びワックスの結晶化度が低下せず、排出ロール当接痕が発生しやすくなる。
また、結晶性樹脂の含有量が15重量%を超えると、低温定着性が向上するが、トナー強度が不足するため耐フィルミング性が期待できない。さらに電気特性も著しく低下する場合がある。
ここで、結晶性樹脂のトナー中の含有量(重量%)は、以下のようにして求めることができる。
具体的には、示差走査熱量計(DSC、例えば、DSC3310、熱分析システム001;マックサイエンス社製)によって結晶性樹脂の融解熱を求めることにより行うことができる。一例を挙げれば、既知量の結晶性樹脂及び非結晶性樹脂とを配合し、DSC測定を行うことで、(吸熱量)対(結晶性樹脂の含有量(重量%))の検量線を作成する。この検量線と、試料となるトナーについて測定したDSCの結果から、トナー中における結晶性樹脂含有量を求めることができる。DCSの測定条件は、検量線と試料とで同じ条件とすれば特に限定されないが、20℃〜150℃まで、昇温速度10℃/分とすることが例示できる。
本実施形態において、トナーをテトラヒドロフランに分散させたとき、ワックスの70重量%以上100重量%以下がテトラヒドロフランに抽出される。ここで、トナーをテトラヒドロフランに分散させたときのワックスの抽出率を、「ワックスのテトラヒドロフラン抽出率」ともいうこととする。ワックスのテトラヒドロフラン抽出率が70%未満であると、ワックスと結晶性樹脂との相溶性が不十分であることから、トナー内のワックスの分散性が好ましい状態ではない。その結果、低温時及び高温時の剥離性を悪化させる。
トナーをテトラヒドロフランに分散させたときの分散条件及びワックスの抽出条件について以下に述べる。
25℃において、20ccサンプル瓶にトナー1gを秤量し、これにテトラヒドロフラン(THF)を10g添加し、充分に撹拌混合する。その後、サンプル瓶を遠心分離機にかける(14,000rpm、240分)。この上澄み液をシリンジで吸引し、ポア径0.45μmの耐溶剤性フィルタ(例えば、マエショリディスク:東ソー(株)製)で濾過する。その濾過液を乾燥させ、白色固体を得る。
得られた白色固体中のワックス含有量は、以下のようにして測定する。
すなわち、予め既知のワックス量のサンプルを数点用意し、これらのサンプルについて、示差走査熱量計(DSC、例えば、DSC3110、熱分析システム001;マックサイエンス社製)を用いて(発熱量)対(ワックス含有量(重量%))の検量線を作成する。上記白色固体について、発熱量を測定し、トナーを100重量%としたとき、THFにより抽出されたワックスの含有量(ワックス含有量A(重量%))を求めることができる。
また、トナー中のワックス含有量の測定は、示差走査熱量計(DSC、例えば、DSC3110、熱分析システム001;マックサイエンス社製)を用いて、ワックスの融解熱を求めることにより行うことができる。
具体的には、まず既知量のワックスと非結晶性樹脂とを配合しDSC測定を行うことで、(吸熱量)対(ワックス含有量(重量%))の検量線を作成する。次いで、トナー試料について吸熱量の測定を行い、その結果と検量線とから、トナー中におけるワックス含有量B(重量%)を求める。
ワックスのテトラヒドロフラン抽出率は、以下の式により求められる。
ワックスのテトラヒドロフラン抽出率=ワックス含有量A/ワックス含有量B×100
上記のワックスのテトラヒドロフラン抽出率を有するトナーを得るためには、ワックスと結晶性樹脂との相溶性を高めることが肝要である。相溶性を高める方法の一例としては、ワックスと結晶性樹脂、及び、必要に応じて界面活性剤を混合し、加熱した後、pHを酸性側に調整することで、より相溶させやすくする方法が例示できる。
特に、ワックス分散液及び結晶性樹脂粒子分散液をそれぞれ調製し、これを混合して、酸性下で加熱混合することが好ましく例示できる。なお、ワックス分散液及び結晶性樹脂粒子分散液の調製方法の詳細については後述するが、界面活性剤と共に機械的剪断力をかけて水系媒体中に分散させる方法が例示できる。
ワックス及び結晶性樹脂を混合後の加熱温度は、使用する結晶性樹脂及びワックスに応じて適宜選択することが好ましく、使用する結晶性樹脂又はワックスのいずれか一方の融点よりも高い温度に加熱することが好ましく、結晶性樹脂及びワックスの双方の融点よりも高い温度に加熱することがより好ましい。結晶性樹脂及びワックスのいずれか高い融点より5〜30℃高い温度であることがより好ましく、15〜30℃高い温度であることがより好ましい。上記の加熱は、ワックス分散液及び結晶性樹脂粒子分散液を混合した後、該混合液を加熱することにより行うことが好ましい。
ワックス分散液と結晶性樹脂粒子分散液の混合時のpHは、1〜4に調整することが好ましく、より好ましくは2〜3であり、特に好ましくは2.2〜2.8である。pHの調整方法は特に限定されず、酸を添加することにより所望のpHに調整することが例示できる。使用する酸としては無機酸及び有機酸のいずれも使用することができる。具体的には、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸が例示でき、無機酸である硝酸、塩酸が好ましい。
また、加熱混合する時間は、充分な相溶性が得られる範囲で適宜選択することが好ましい。具体的には0.5〜6時間が好ましく、0.75〜5時間がより好ましく、1〜3時間がさらに好ましい
また、混合方法は特に限定されず、公知の方法から適宜選択することができ、例えば、公知のホモジナイザーを用いた混合方法が例示できる。
本実施形態のトナーは、ワックス含有量が5重量%以上12重量%以下であることが好ましく、8重量%以上11重量%以下であることがより好ましい。
ワックスの含有量が5重量%以上であると、ワックスの含有量が充分であり、ワックスの染み出しが不十分となることがないので好ましい。また、ワックスの含有量が12重量%以下であると、トナー強度及び定着画像強度に優れる。またその結果、現像機内でトナー潰れが発生しにくく、現像性が良好であるので好ましい。さらに、定着画像強度に優れるため、定着画像上にボールペン等で書く場合に画像の剥がれが生じ難い。また、ワックスの含有量が12重量%以下であると、トナーの作製が容易である。
なお、上記ワックスの含有量とは、トナー母粒子における含有量を意味する。
次に、本実施形態のトナーの構成材料や諸物性等について、以下にさらに詳細に説明する。
本実施形態のトナーは、結着樹脂及びワックスを含有し、結着樹脂として少なくとも結晶性樹脂を含有する。また、必要に応じて、着色剤、その他の内添剤や外添剤を含有することもできる。
以下、それぞれの成分について説明する。
<結着樹脂>
本実施形態のトナーには結着樹脂として結晶性樹脂が必ず用いられる。また、必要に応じて非結晶性樹脂を併用することができ、非結晶性樹脂を併用することが特に好ましい。
なお、本実施形態において「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピーク(吸熱ピークの半値幅が15℃以下であるピーク)を有するものを意味し、「非結晶性樹脂」とは、上記の明確なピークを有さないものを意味する。また、結晶性樹脂、非結晶性樹脂を問わず、結着樹脂の重量平均分子量は10,000以上であることが特に好ましく、重量平均分子量は、通常、15,000以上50,000以下の範囲であることが好ましい。
なお、結晶性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂等が利用でき、非結晶性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が利用できる。以下、本実施形態で用いられる結着樹脂について、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とに分けて説明する。
〔結晶性樹脂〕
結晶性樹脂の融点としては、45℃以上110℃以下の範囲が好ましく、50℃以上100℃以下の範囲がより好ましく、55℃以上90℃以下の範囲がさらに好ましい。
融点が45℃以上であると、トナーの保存性に優れ、また、110℃以下であると、低温域での定着性(「低温定着性」と称する場合がある。)に優れるので好ましい。
なお結晶性樹脂の融点は、ASTMD3418−8に準拠した方法で求めたものを意味する。
また、結晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましい。数平均分子量(Mn)が5,000以上であると定着時にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込むために生じる定着ムラの発生が抑制でき、また、定着された画像の折り曲げに対する耐性が良好であるので好ましい。
結晶性樹脂としては、既述したように結晶性ポリエステル樹脂や結晶性ビニル系樹脂等が利用できるが、定着時の紙への接着性や帯電性、上述した範囲を満たす融点が容易に得られる観点から結晶性ポリエステル樹脂を利用することが好ましく、特に所望の融点を有する樹脂が得られ易いことから脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂としては、ポリカルボン酸(好ましくはジカルボン酸)成分と、ポリオール(好ましくはジオール)成分とから合成されたものが利用できる。
以下、ポリカルボン酸成分、及びポリオール成分について、さらに詳しく説明する。なお、本明細書において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、結晶性ポリエステル樹脂の主鎖に対して、他成分を50重量%以下の割合で共重合した共重合体も意味する。
上記ポリカルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、特に直鎖型のジカルボン酸が好ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。
前記ポリカルボン酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分等の構成成分が含まれていることが好ましい。なお、前記二重結合を持つジカルボン酸成分には、二重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
前記二重結合を持つジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。このジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の着色剤の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化あるいは懸濁して、粒子を作製する際にスルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、又は、少量の使用により、乳化あるいは懸濁が可能であるので好ましい。
このスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸成分以外のポリカルボン酸成分(二重結合を持つジカルボン酸成分及び/又はスルホン酸基を持つジカルボン酸成分)の、ポリカルボン酸成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
前記含有量が1構成モル%以上であると、着色剤として顔料を使用した場合にも、トナー母粒子中の着色剤(例えば、顔料)の分散性が良好であるので好ましい。また、凝集合一法を利用してトナーを作製する場合、分散液中の乳化粒子径が適切であり、凝集によるトナー径の調整を行うことができるので好ましい。一方、前記含有量が20構成モル%以下であると、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が良好であり、融点が硬化せず、画像の保存性が良好であるので好ましい。また、乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合に、分散液中の乳化粒子径が適度に保たれ、水に溶解することがなく、ラテックスを形成することができるので好ましい。
なお、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(ポリカルボン酸成分、ポリオール成分)を1単位(モル)したときの百分率を指す。
一方、前記ポリオール成分としては脂肪族ジオールが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられるが、この限りではない。
前記ポリオール成分は、脂肪族ジオール成分の含有量が80構成モル%以上であることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含む。前記ポリオール成分としては、前記脂肪族ジオール成分の含有量が90構成モル%以上であることがより好ましい。
前記含有量が、80構成モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性が良好であり、融点が適切に保たれ、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が良好であるので好ましい。
一方、必要に応じて含まれるその他の成分としては、二重結合を持つジオール成分、スルホン酸基を持つジオール成分等の構成成分が挙げられる。
前記二重結合を持つジオールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。一方、前記スルホン酸基を持つジオールとしては、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
これらの直鎖型脂肪族ジオール成分以外のポリオール成分を加える場合(二重結合を持つジオール成分、及び/又は、スルホン酸基を持つジオール成分)の、ポリオール成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
前記含有量が、1構成モル%以上であると、顔料分散性が良好であり、また、乳化粒子径が大きすぎることがなく、凝集によるトナー径の調整が良好であるので好ましい。一方、20構成モル%以下であると、ポリエステル樹脂の結晶性が好適に保たれ、融点が低下することがなく、画像の保存性が良好であるので好ましい。また、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じない等の問題を生じないので好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限はなく、ポリカルボン酸成分とポリオール成分を反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって適宜選択することが好ましい。前記ポリカルボン酸成分とポリオール成分とを反応させる際のモル比(ポリカルボン酸成分/ポリオール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概にはいえないが、通常1/1程度である。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上230℃以下の範囲で行うことが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行うことが好ましい。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合はあらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定のポリカルボン酸成分又はポリオール成分とを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、酢酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、二硫化スズ、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム(二酸化ゲルマニウム)、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、等の化合物が挙げられる。
なお、低温定着性と、光沢ムラ抑制効果とを両立することがより容易となる観点から、以上に列挙した触媒の中でも、ジブチルスズオキシドが好ましい。
前記結晶性ビニル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、“(メタ)アクリル”なる記述は、“アクリル”及び“メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
また、結晶性樹脂の融点、分子量等の調整の目的で上記の重合性単量体以外に、より短鎖のアルキル基、アルケニル基、芳香環等を有する化合物を使用することもできる。
具体例としては、例えば、ジカルボン酸としては、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類、及びフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類が挙げられる。ジオール類としては、エタンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられ、短鎖アルキルのビニル系重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の短鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔非結晶性樹脂〕
本実施形態のトナーには、結着樹脂として結晶性樹脂と共に非結晶性樹脂も併用することができる。
使用できる非結晶性樹脂の分子量は特に限定されるものではないが、トナーを後述する凝集合一法を利用して製造する場合は、重量平均分子量(Mw)10,000〜100,000であることが好ましく、15,000〜50,000であることがより好ましい。
非結晶性樹脂成分のMwを上記範囲に制御することで、凝集合一法により原料成分を凝集させた凝集粒子を加熱して融合する際にトナー母粒子中への包含性が良好になり、結晶性樹脂のトナー母粒子表面への露出を防止することができるので好ましい。
非結晶性樹脂成分は、その構成モノマーとしてアルケニルコハク酸もしくはその無水物とトリメリット酸もしくはその無水物を含有することが好ましい。アルケニルコハク酸もしくはその無水物は、疎水性の高いアルケニル基が存在することにより、より容易に結晶性ポリエステル樹脂と相溶することができる。
アルケニルコハク酸成分としては、例えば、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸並びにこれらの酸無水物、酸塩化物及び炭素数1以上3以下の低級アルキルエステルを挙げることができる。
また、3価以上の多価カルボン酸を含有することにより、高分子鎖は架橋構造を取ることができる。架橋構造を取ることにより、一旦相溶した結晶性ポリエステル樹脂を固定化し分離しにくくする効果が得られるので好ましい。3価以上の多価カルボン酸の例としては、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸及びこれらの酸無水物、酸塩化物及び炭素数1以上3以下の低級アルキルエステルを挙げることができる。
非結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限はなく、前述の一般的なポリエステル重合法で製造することができる。非結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いるカルボン酸成分としては、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた種々のジカルボン酸を用いることができる。前記アルコール成分としても、非結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いる種々のジオールを用いることができるが、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた脂肪族ジオールに加えて、例えばビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物や水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等を用いることができる。さらに、トナー製造性・耐熱性・透明性の観点から、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールS誘導体を用いることが特に好ましい。また、カルボン酸成分、アルコール成分とも、複数の成分を含んでもよく、特に、ビスフェノールSは耐熱性を高める効果をもつ。
〔結着樹脂の架橋処理等〕
次に、結着樹脂として用いられる結晶性樹脂や、必要に応じて用いられる非結晶性樹脂の架橋処理や、結着樹脂の合成に際して用いることが可能な共重合成分等について説明する。
結着樹脂の合成に際しては、他の成分を共重合させることができ、共重合成分としては、親水性極性基を有する化合物を用いることができる。
具体例としては、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、例えば、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられる。
また結着樹脂がビニル系樹脂の場合は、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸とアルコール類等とのエステル類、オルト、メタ、パラ位のいずれかにスルホニル基を有するスチレンの誘導体、スルホニル基含有ビニルナフタレン等のスルホニル基置換芳香族ビニル等が挙げられる。
また、結着樹脂には、高温度領域における定着時の光沢むら、発色むら、ホットオフセット等を防止する目的で、必要に応じて架橋剤を添加することもできる。
架橋剤の具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類、ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類、ピロール、チオフェン等の不飽和複素環化合物類、ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類、ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ、1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。
また、特に結晶性ポリエステル樹脂においては、例えばフマル酸、マレイン酸、イタコン酸、trans−アコニット酸等の不飽和の多カルボン酸類を、ポリエステル中に共重合させ、その後樹脂中の多重結合部分同士、又は他のビニル系化合物を用いて架橋させる方法を用いてもよい。なお、これらの架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら架橋剤により架橋させる方法としては、重合性単量体(モノマー)の重合時に架橋剤と共に重合し架橋させる方法でもよいし、不飽和部分は結着樹脂中に残留させ、結着樹脂を重合させた後、あるいはトナー作製の後、不飽和部分を架橋反応により架橋させる方法でもよい。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、重合性単量体は、縮重合により重合することができる。縮重合用の触媒としては、上述した重縮合用触媒を適宜選択して使用することができる。
結着樹脂が、ビニル系樹脂である場合、重合性単量体は、ラジカル重合により重合することができる。
ラジカル重合用開始剤としては、特に制限はないが、乳化重合可能なものであることが好ましい。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピルテトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。これらの重合開始剤は、架橋反応時の開始剤としても、使用することが可能である。
なお、結着樹脂としては、主に結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を中心に上述したが、その他にも必要に応じて、例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;さらにアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物、さらには、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、又は、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を用いることができる。
なお、後述するように本実施形態のトナーを凝集合一法により作製する場合、結着樹脂は樹脂粒子分散液に調製される。この樹脂粒子分散液は、乳化重合法及びそれに類似の不均一分散系における重合法で容易に得ることができる。また、予め溶液重合法や塊状重合法等で均一に重合した重合体をその重合体が溶解しない溶媒中へ安定剤と共に添加して機械的に混合分散する方法など任意の方法で得ることができる。
例えば、ビニル系単量体を用いる場合は、イオン性界面活性剤などを用い、好適にはイオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を併用して乳化重合法やシード重合法により、樹脂粒子分散液を作製することができる。
ここで用いる界面活性剤は、例えば硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、及び、種々のグラフトポリマー等を挙げることができるが、特に制限されるものではない。
乳化重合で樹脂粒子分散液を作製する場合は、少量の不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルフォン酸等を単量体成分の1部として添加することにより、粒子表面に保護コロイド層を形成することができ、界面活性剤の非存在下でソープフリー重合が可能になるので特に好ましい。
樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積平均粒子径は、1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上1μm以下である。樹脂粒子の体積平均粒子径が1μm以下であると、最終的に得られるトナーの粒度分布が狭く、また、遊離粒子の発生が抑制でき、性能及び信頼性が良好であるので好ましい。
さらに、樹脂粒子の平均粒子径が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。なお、樹脂粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製、SALD2000A)等を用い測定することができる。
<ワックス>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、ワックス(本実施形態において、「ワックス」を「離型剤」とも称することがある。)を含有する。
ワックス(離型剤)としては、公知のトナー用のワックス(離型剤)が利用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系、石油系のワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらの中でも、定着画像の剥離性、定着画像の画像ムラの観点から、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、が好ましく、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスがより好ましい。
ワックス(離型剤)の融点は、75℃以上100℃以下であることが好ましい。75℃以上95℃以下であることがより好ましく、75℃以上85℃以下であることがさらに好ましい。
後述する凝集合一法でトナーを作製する場合、結晶性樹脂粒子分散液と、ワックス分散液とを予め界面活性剤の存在下に酸性条件下で加熱することが好ましい。ワックスの融点が上記範囲内であると、水系媒体中において、加圧することなくワックスの融点以上に加熱することができ、結晶性樹脂とワックスとの相溶性を高めることができ、その結果、テトラヒドロフラン分散時に所望の抽出量を得ることができるので好ましい。
また、トナーの融点が75℃以上であると、低温定着時においても良好な剥離性を得ることができ、低温定着性に優れるので好ましい。
なお、凝集合一法を利用してトナーを作製する場合、これらの離型剤も、水系媒体中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱すると共に、強い剪断力を付与できるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて粒子化し、平均粒子径1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液として用いることができる。
これらの離型剤粒子は、トナーの作製に際して、その他の樹脂粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段に添加してもよい。
また、トナー中に分散含有される離型剤の平均分散径は、0.3μm以上0.8μm以下の範囲内であることが好ましく、0.4μm以上0.8μm以下の範囲内であることがより好ましい。
離型剤の平均分散径が0.3μm以上であると、十分な離型性を得ることができるので好ましい。特に、プロセススピードが速い場合であっても十分な離型性を得ることができるので好ましい。また、0.8μm以下であると、OHPシート使用時であっても、透明性の低下や、トナー表面への離型剤成分の露出が生じ難いので好ましい。
また、離型剤の分散径の標準偏差は0.05以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。離型剤の分散径の標準偏差が0.05以下であると、離型性、OHPシート使用時の透明性、トナー表面への離型剤の露出に悪影響を及ぼすことが無いので好ましい。
なお、トナー中に分散含有される離型剤の平均分散径は、トナー母粒子断面のTEM(透過型電子顕微鏡)写真を、画像解析装置((株)ニレコ製、Luzex画像解析装置)で解析し、100個のトナー母粒子中の離型剤の分散径(=(長径+短径)/2)の平均値を計算することで求められ、標準偏差はこのとき得られた個々の分散径を元に求めた。
<着色剤>
本実施形態のトナーには着色剤が含まれていることが好ましい。但し、着色画像の形成でなく、暗号情報の印刷のために赤外線吸収剤を添加する場合や、透明画像を形成する場合など、特殊な用途に本実施形態のトナーを利用する場合には、着色剤を用いなくてもよい。
本実施形態に用いられる着色剤としては、例えばカーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレートなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料などを1種又は2種以上を併せて使用することができる。
なお、凝集合一法を利用してトナーを作製する場合、これらの着色剤も、溶媒中に分散させ、着色剤分散液として用いる。この場合の分散液中の着色剤粒子の体積平均粒子径は、0.8μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
着色剤粒子の体積平均粒子径が0.8μm以下であると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布を狭くすることができ、また、遊離粒子の発生が生じにくく、性能や信頼性に優れた静電荷像現像用トナーを得ることができるので好ましい。また、着色剤粒子の体積平均粒子径が0.05μm以上であると、トナー中での良好な着色性が得られ、さらに乳化凝集法において良好な形状制御性を発揮し、所望の形状のトナーを得ることができるので好ましい。
また、着色剤分散液中の体積粒子径0.8μm以上の粗大粒子の存在割合は、10個数%未満が好ましく、0個数%に近い程好ましい。この粗大粒子の存在は、着色剤分散液等の各種トナー原料成分を含む原料分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程において、形成された凝集粒子の安定性を損なわせてしまう場合がある。加えて、粗大な着色粒子が遊離したり、粒度分布を広化させる場合もある。したがって、着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の体積粒子径0.8μm以上の粗大粒子の存在割合は10個数%未満であることが好ましい。
さらに、着色剤分散液中の体積粒子径0.05μm以下の微小粒子の存在割合は、5個数%以下が好ましい。この微小粒子の存在は、凝集粒子を加熱して融合させる融合工程において、トナー母粒子の形状制御性を損なわせることがあるので、微小粒子の存在割合は5個数%以下とすることが好ましい。
これに対して、着色剤粒子の平均粒子径、粗大粒子、微小粒子が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。
なお、着色剤粒子の体積平均粒子径も、レーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製、SALD2000A)等を用い測定することができる。なお着色剤の添加量は、トナー粒子全体に対し、1重量%以上20重量%以下の範囲に設定するのが好ましい。
これらの着色剤の溶媒への分散方法としては、任意の方法、例えば回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなど、任意の方法を採用することができ、なんら制限されるものではない。
また、着色剤は、ロジン、ポリマー等により表面改質処理したものも利用できる。表面改質処理がなされた着色剤は、着色剤分散液中で安定化されており、着色剤が着色剤分散液中で所望の平均粒子径に分散された後、樹脂粒子分散液との混合時、凝集工程等においても着色剤同士が凝集することがなく、良好な分散状態を維持できる点で有利である。一方、過剰な表面改質処理がなされた着色剤は、凝集工程において樹脂粒子と凝集せずに遊離してしまうことがある。このため、前記表面改質処理は、選択した最適な条件下で行われる。
なお着色剤の表面処理に用いるポリマーとしては、例えばアクリロニトリル重合体、メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。
表面改質の条件としては、一般に、着色剤(顔料)存在下にモノマーを重合させる重合法、ポリマー溶液中に着色剤(顔料)を分散させ、該ポリマーの溶解度を低下させて着色剤(顔料)表面に析出させる相分離法等を用いることができる。
<その他の添加成分>
本実施形態のトナーを磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させるが、ここで使用する磁性粉としては、例えばフェライトやマグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金又はこれら金属を含む化合物などを挙げることができる。さらに必要に応じて、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を添加してもよい。
本実施形態のトナーには、必要に応じて無機粒子を内添させることもできる。中心粒子径が5nm以上30nm以下の無機粒子と、中心粒子径が30nm以上100nm以下である無機粒子とが、トナーに対して0.5重量%以上10重量%以下の範囲で含有されることが、耐久性の点でより好ましい。
前記無機粒子の添加量が0.5重量%以上であると、該無機粒子の添加によって、溶融時に十分な強度を得ることができ、例えばオイルレス定着においては、剥離性の改善効果を奏するので好ましい。これはトナー中での曳糸性を悪化させることがないためと考えられる。また、10重量%以下であると、十分な強度及びトナー溶融時の良好な流動性を得ることができ、画像の光沢が良好であるので好ましい。
前記無機粒子は、例えばシリカ、疎水化処理シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、コロイダルシリカ、カチオン表面処理コロイダルシリカ、アニオン表面処理コロイダルシリカ等が用いられる。これらの無機粒子は、予め超音波分散機などを用いてイオン性界面活性剤の存在下分散処理されるが、この分散処理が不要なコロイダルシリカの使用がより好ましい。
<外添剤>
また、本実施形態のトナーには公知の外添剤を外添することもできる。外添剤としては例えばシリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどの無機粒子が利用できる。例えば、流動性助剤やクリーニング助剤としてはシリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子が利用できる。外添剤の添加方法は特に限定されないが、乾燥状態で剪断力を加えてトナー粒子表面に添加することも可能である。
外添剤として好適に使用される無機粒子として詳細には、一次粒子径が5nm〜2μmの範囲であり、好ましくは5nm〜500nmの範囲である粒子である。これらは必要に応じて2種以上組み合わせて用いることが好ましい。特に、中心粒子径が100nm以上の外添剤は、トナー表面への付着力が弱く、長期の使用においても構造変化が少なく、さらに、小粒径品の構造を維持する上でも有用である。
また、BET法による比表面積は20〜500m2/gの範囲であることが好ましい。トナーに混合される割合は0.01〜5重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.01〜2.0重量%の範囲である。
このような無機粒子としては、例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に好ましい。
なお、ここでいうシリカ粉末はSi−O−Si結合を有する粉末であり、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれもが含まれる。また、無水二酸化ケイ素の他、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などいずれでもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。
これらシリカ粉末の具体例としては種々の市販のシリカがあるが、表面に疎水性基を有するものが好ましく、例えばAEROSIL R−972、R−974、R−805、R−812(以上、アエロジル社製)、タラックス500(タルコ社製)等を挙げることができる。その他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル、側鎖にアミンを有するシリコーンオイル等で処理されたシリカ粉末などが使用可能である。
示差熱分析は、DSC60A((株)島津製作所製、自動冷却装置付)など公知の示差熱分析装置を利用できる。なお、装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。また、測定用サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットする。この状態で、25℃から120℃まで昇温速度10℃/minで加熱した後に120℃から25℃まで冷却速度10℃/minで冷却し、70℃から120℃までの区間における昇温時及び降温時の温度変化に対する吸熱/発熱量変化を測定する。
また、トナーの分子量分布Mw/Mnは5以上30以下の範囲であることが好ましく、6以上28以下の範囲であることがより好ましく、7以上25以下の範囲であることがさらに好ましい。なお、トナーの分子量分布は、得られたトナーの分子量から算出することができる。
分子量分布が5以上であると、高温側での定着性(オフセット)も良好であり、適切な光沢を得ることができる。また、トナー自身の耐久性も良好であり、プロセススピードが200mm/s以上の高速機や、トナーをリサイクルして使用する画像形成装置においてもトナーの変形や割れによる転写性低下、フィルミングによる画像欠陥などが発生しにくいので好ましい。一方、分子量分布が30以下であると、トナー自身が高粘度化することがないので、低温定着性を得ることができる。また、凝集合一法を利用してトナーを製造する場合、トナーの形状制御が容易であるので好ましい。
なお、分子量分布を調整する手段としては、特に限定されず、例えば、1種類の結着樹脂を用いても、2種類以上の結着樹脂を組み合わせて用いても良い。
<D50v、GSDv、GSDp>
本実施形態のトナーの体積平均粒子径D50vは3μm以上7μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは5μm以上6.5μm以下である。トナーの体積平均粒子径D50vが3μm以上であると、帯電性が良好であり、周囲への飛散が抑制でき、画像カブリの発生が抑制できるので好ましい。また、7μm以下であると、良好な画像解像度を得ることができ、高画質の達成に有利であるので好ましい。
また、トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.28以下が好ましい。GSDvが1.28以下であると、画像の鮮明度及び解像度が良好であるので好ましい。一方、個数平均粒度分布指標GSDpは1.30以下であることが好ましい。GSDpが1.30以下であると、小粒径トナーの比率が低く、初期性能及び信頼性が良好であるので好ましい。
すなわち、従来より知られているように、小径トナーは付着力が大きいため、静電気的制御が困難となりやすく、特に2成分現像剤を用いる場合はキャリア上に残留しやすくなる場合がある。この場合、繰り返し機械力を与えられると、キャリア汚染を招き、結果としてキャリアの劣化を促進する場合がある。
特に転写工程では、静電潜像保持体上に現像されたトナーのうち、小径成分の転写が困難になりやすく、結果的に転写効率が悪くなり、排トナーの増加や、画質不良などが生じる場合がある。これらの問題が生じた結果、静電気的に制御されないトナーや逆極性に帯電したトナーが増加しこれらが周囲を汚染してしまうこともある。とりわけ帯電ロールには像保持体等を介してこれらの制御されないトナーが蓄積されるため、帯電不良を引き起こす場合もある。
また、小径成分のトナーは結晶性樹脂の内包性が不十分となりやすい傾向があるために、像保持体へのフィルミングなどを招く場合がある。一方、大粒径成分のトナーにおいても、現像機内でのトナー割れ、現像機からのふきだし、帯電不良による画質低下などを招く場合がある。
体積平均粒度分布指標GSDv及び個数平均粒度分布指標GSDpが上記範囲内であると、小径成分を少なくすることができ、上記の問題を生じにくいので好ましい。
なお、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25以下であることがより好ましく、個数平均粒度分布指標GSDpは1.25以下であることがより好ましい。
ここで、体積平均粒子径D50vや各種の粒度分布指標は、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して測定することができる。
測定に際しては、分散剤として界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下の範囲で加える。これを電解液100ml乃至150mlの中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記マルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm以上50μm以下の範囲の粒子径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50,000個である。
このようにして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒子径を累積体積平均粒子径D16v、累積数平均粒子径D16p、累積50%となる粒子径を累積体積平均粒子径50v、累積数平均粒子径D50p、累積84%となる粒子径を累積体積平均粒子径D84v、累積数平均粒子径D84pと定義する。
ここで、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として規定される。
さらに、トナーの平均円形度は0.940以上0.980以下の範囲であることが好ましい。
平均円形度が0.940以上であると、形状が安定し、転写性、耐久性、流動性などに優れるので好ましい。また、平均円形度が0.980以下であると、球形粒子の割合が適当であり、クリーニング性が良好であるので好ましい。
平均円形度は0.950以上0.970以下の範囲であることがより好ましい。
また、結晶性樹脂を含有するトナーの場合、平均円形度が球形側である(平均円形度が1により近い)場合、結晶性樹脂成分の多い球形トナーが増加することがあり、クリーニング部材との接触部への蓄積によるフィルミング、トルク上昇による部材劣化、像保持体へのフィルミングが発生してしまう場合がある。一方、不定形側(平均円形度が0により近い場合)であると、現像機内のトナー割れの原因となり、割れた界面には結晶性樹脂成分が露出する場合があり、帯電性などを損ねる場合がある。
なお、トナーの平均円形度はフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメック(株)製)により計測できる。具体的な測定方法としては、予め不純固形物を除去した水100乃至150ml中に、分散剤として界面活性剤、例えば、アルキルベンゼスルホン酸塩を0.1ml乃至0.5ml加え、さらに測定試料を0.1g乃至0.5g程度加える。
測定試料を分散した懸濁液は超音波分散器で1分乃至3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000乃至1万個/μlとして前記装置によりトナーの平均円形度を測定する。
<ガラス転移温度>
本実施形態のトナーのガラス転移温度Tgは、特に制限はないが、45℃以上60℃以下の範囲が好適に選択される。ガラス転移温度が45℃以上であると、トナー保存性、定着画像保存性及び実機内での耐久性が良好であるので好ましい。また、ガラス転移温度が60℃以下であると、定着温度が高くなりすぎず好適であり、造粒時に必要な温度も高くならず、好適であるので好ましい。
なお、TgはDSC測定機(示差熱分析装置DSC60A、(株)島津製作所製)を用いてASTMD3418−8に準拠して測定される。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態のトナーの製造について説明する。
本実施形態のトナーは、公知のトナー製造方法により作製することができるが、いわゆる湿式製法、すなわち、水若しくは有機溶媒中、又はそれらの混合溶媒中で、結晶性樹脂と離型剤とを少なくとも含むトナー母粒子を造粒する造粒工程と、トナー母粒子を洗浄・乾燥する洗浄・乾燥工程とを経て製造されることが好ましい。
この湿式製法としては、(1)離型剤の他に、着色剤など必要に応じて用いられる成分を、結晶性樹脂等の結着樹脂を形成する重合性単量体と共に懸濁させ、重合性単量体を重合する懸濁重合法、(2)イオン性解離基を有する化合物、結晶性樹脂等の結着樹脂、離型剤等のトナー構成材料を有機溶媒に溶解させ、水系溶媒中に懸濁状態で分散させた後に有機溶媒を除去する溶解懸濁法、(3)結晶性樹脂等の結着樹脂成分を乳化重合により作製し、離型剤等の分散液と共にヘテロ凝集させ、その後融合する乳化重合凝集法などが挙げられるが、これらに限定されることはない。その他に、(4)塊状重合(バルク重合)により得られた結晶性樹脂等の結着樹脂成分を、界面活性剤と共に機械的剪断力等により水系媒体中に分散させて樹脂粒子分散液を作製し、離型剤等の分散液と共にヘテロ凝集させ、その後融合する方法が挙げられる。
本実施形態のトナーは、結晶性樹脂を水系媒体中に分散させた樹脂粒子分散液と、ワックス(離型剤)を水系媒体中に分散させた離型剤分散液とを少なくとも混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する凝集工程と、凝集粒子が形成された原料分散液中を結着樹脂のガラス転移温度(又は結晶性樹脂の融点)以上の温度に加熱して、凝集粒子を融合する融合工程(合一工程)と少なくとも経て製造することができる。ここで、凝集工程及び融合工程(合一工程)を有するトナーの製造方法を、凝集合一法ともいうこととする。
なお、原料分散液には必要に応じて、着色剤を分散させた着色剤分散液や、無機粒子分散液、非結晶性樹脂を分散させた樹脂粒子分散液等のその他の分散液を加えてもよい。特に、表面を疎水化させた無機粒子分散液を添加する場合、疎水化度の程度によりトナー内部の離型剤、結晶性樹脂の分散性を制御することができる。
なお、上述した通り、樹脂粒子分散液は、乳化重合法により調製することもできるし、塊状重合した後に溶解懸濁させることによって得ることもできる。また、界面活性剤と共に機械的剪断力により分散させることにより調製することもできる。
以下、本実施形態のトナーの製造方法の一例として、凝集合一法を具体例としてより詳細に説明する。
本実施形態のトナーを凝集合一法により作製する場合、既述したように、凝集工程と、融合工程(合一工程)とを少なくとも経て作製されるものであるが、凝集工程を経て形成された凝集粒子(コア粒子)の表面に樹脂粒子を付着させて、コア/シェル構造を有する凝集粒子を形成する、付着工程を設けてもよい。
<凝集工程>
凝集工程を行う前に、ワックス(離型剤)と結晶性樹脂を相溶させるため、先にワックス(離型剤)及び結晶性樹脂の融点以上の温度でワックス(離型剤)分散液と結晶性樹脂粒子を過熱融合させることが好ましい。
ワックス及び結晶性樹脂の好ましい加熱時間、加熱条件、pH及び混合方法は上述の通りである。
その後、凝集工程として前記ワックス分散液及び結晶性樹脂粒子混合液、非結晶性樹脂微粒子の他、着色剤を分散させた着色剤分散液などのその他の分散液を必要に応じて混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する。
具体的には、各種の分散液を混合して得た原料分散液を加熱し、原料分散液中の粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、加熱は、結晶性樹脂の融点を下回る温度域(融点に対して20℃乃至10℃下回る温度)で実施する。
凝集粒子の形成は、回転剪断型ホモジナイザーで撹拌下、具体的には20℃乃至30℃で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の価数を取りうる金属元素を含む金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
前記無機金属塩を無機粒子分散液としたものを加え、同時に凝集させることが好ましい。これにより、結着樹脂の分子鎖末端に有効に作用することができ、架橋構造の形成に寄与することが可能となる。
無機粒子分散液は任意の方法、例えばボールミル、サンドミル、超音波分散機回転剪断型ホモジナイザーなどを用いて作製することができ、無機粒子の分散平均粒子径は100nm以上500nm以下の範囲とすることが好ましい。
凝集工程では無機粒子分散液を段階的に添加することもでき、また、連続的に投入することもできる。これらの方法は、無機粒子分散液中の金属イオン成分をトナー表面から内部にかけて均一に分散させる上で有効である。段階的に添加する場合は、3段階以上、連続的に添加する場合は、無機粒子分散液を0.1g/m程度以下のゆっくりとした速度で添加していくことが特に好ましい。
また、無機粒子分散液の添加量は、必要とされる金属の種類や架橋構造形成の程度により異なるが、結着樹脂成分100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下の範囲とすることが好ましく、1重量部以上5重量部以下の範囲とすることがより好ましい。
なお、凝集工程において、凝集粒子の形成に影響の無い範囲で2価以上の価数を取りうる金属元素を含む無機金属塩や金属錯体の種類や使用量を調整することにより、トナー母粒子中に含まれる2価以上の価数を取りうる金属元素の含有量を制御することができる。
なお、低温定着性と、光沢ムラ抑制効果とを高いレベルで両立することがより容易となる観点から、以上に列挙した凝集剤の中でも、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化カルシウムを用いることが好適である。
<付着工程>
凝集工程を経た後には、必要であれば付着工程を実施してもよい。付着工程では、上述した凝集工程を経て形成された凝集粒子の表面に、さらに樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコア層とこのコア層を被覆するシェル層とを有する、コア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。
被覆層(シェル層)の形成は、凝集工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した分散液中に、通常、非結晶性樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液を追添加することにより行うことができる。なお、凝集工程において結晶性樹脂の他に非結晶性樹脂も併用する場合、付着工程で利用する非結晶性樹脂は、凝集工程で利用するものと同一であっても異なっていてもよい。
なお、一般的に付着工程は、離型剤と共に結着樹脂として結晶性樹脂が主成分として含まれる所謂コア/シェル構造を有するトナーを作製する場合に用いられ、その主たる目的は、コア層に含まれる離型剤や結晶性樹脂のトナー表面への露出の抑制や、コア層単体では不十分なトナー粒子の強度を補うことにある。
<融合工程>
凝集工程、あるいは、凝集工程及び付着工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを所望の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
pHの調整は、酸及び/又はアルカリを添加することによって行われる。使用する酸は特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸を0.1重量%以上50重量%以下の範囲で含む水溶液が好ましい。また、使用するアルカリも特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を0.1重量%以上50重量%以下の範囲で水溶液が好ましい。
なお、pHの調整において、局所的なpHの変化が起こると、局所的な凝集粒子自体の破壊や局所的な過剰凝集を引き起こし、また、形状分布の悪化をも招く場合がある。特にスケールが大きくなる程、添加する酸及び/又はアルカリ量は多くなる。一般的には酸及びアルカリの投入箇所は1箇所であるので、同一時間で処理するならば投入箇所の酸及びアルカリの濃度はスケールが大きくなる程高くなる。
上述したpH調整を行った後、凝集粒子を加熱して融合(合一)させる。なお、融合は、結晶性樹脂の融点(非結晶性樹脂を用いている場合は非結晶性樹脂のガラス転移温度)より10〜30℃以上の温度(換言すれば、結着樹脂の融点又はガラス転移点より10〜30℃高い温度)で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させることが好ましい。
融合時の加熱に際して、あるいは融合が終了した後に、その他の成分により架橋反応を行わせてもよい。また、融合と同時に架橋反応を行わせてもよい。架橋反応を行わせる場合には、トナーの作製に際して、上述した架橋剤や重合開始剤を用いる。
重合開始剤は、原料分散液を作製する段階であらかじめこの分散液に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、あるいは、融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、又は乳化した液を、分散液に加えることができる。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
<洗浄、乾燥工程等>
凝集粒子の融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子(トナー母粒子)を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子(トナー母粒子)には、既述した種々の外添剤を必要に応じて添加することができる。
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」と称す場合がある)は、本実施形態のトナーを含むものであり、目的に応じて他の成分を配合することができる。
具体的には、本実施形態のトナーを単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。二成分系の静電荷像現像剤とする場合、トナー濃度は1重量%以上10重量%以下の範囲とすることが好ましい。
ここでキャリアには特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された芯材が樹脂層で被覆されたキャリア(樹脂被覆キャリア)等の公知のキャリアを使用することができる。
樹脂被覆キャリアの芯材としては、鉄粉、フェライト、マグネタイトなどの造型物が挙げられ、その平均径は30μm以上200μm以下程度である。
被覆層を形成する被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー等の単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。
被覆樹脂量は、芯材100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下の範囲が好ましく、0.5重量部以上3.0重量部以下の範囲がより好ましい。キャリアの製造には、例えば加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。静電荷像現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比には特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。
(画像形成方法、画像形成装置、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ)
次に、本実施形態の現像剤を用いた画像形成方法について説明する。
本実施形態のトナーを用いた画像の形成方法としては、公知の電子写真法が利用できるが、具体的には潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程と、を含み、前記現像剤として本実施形態の静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像剤を用いることを特徴とするものであることが好ましい。
なお、これらの工程以外にも電子写真法による画像形成方法に利用される公知の工程を組み合わせることができ、例えば、転写工程を終えた後の像保持体表面に残留するトナーを回収しながらクリーニングするクリーニング工程や、クリーニング工程で回収されたトナーを現像剤用のトナーとして再利用(リサイクル)するトナー再利用工程(トナーリサイクル工程)を含むものであってもよい。
また、本実施形態のトナーを用いた画像形成装置としては、公知の画像形成装置が利用できるが、具体的には、潜像保持体と、潜像保持体上に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、潜像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることを特徴とするものであることが好ましい。
<潜像形成工程>
ここで、潜像形成工程とは、潜像保持体の表面を、帯電手段により帯電した後、レーザー光学系やLEDアレイなどで潜像保持体に露光し、静電潜像を形成する工程である。前記帯電手段としては、例えば、コロトロン、スコロトロンなどの非接触方式の帯電器、及び、潜像保持体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより、潜像保持体表面を帯電させる接触方式の帯電器が挙げられ、いかなる方式の帯電器でもよい。しかし、オゾンの発生量が少なく、環境に優しく、かつ耐刷性に優れるという効果を発揮するという観点から、接触帯電方式の帯電器が好ましい。前記接触帯電方式の帯電器においては、導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、ローラー状等の何れでもよく制限を受けるものではない。なお、潜像形成工程は上述した態様のみに限定されるものではない。
<現像工程>
前記現像工程とは、潜像保持体表面に、少なくともトナーを含む現像剤層を表面に形成させた現像剤保持体を接触若しくは近接させて、前記潜像保持体表面の静電潜像にトナーの粒子を付着させ、潜像保持体表面にトナー像を形成する工程である。現像方式は、既知の方式を用いて行うことができるが、現像剤が二成分現像剤である場合の現像方式としては、例えばカスケード方式、磁気ブラシ方式などがある。なお、現像方式は上述した態様のみに限定されるものではない。
<転写工程>
前記転写工程とは、潜像保持体表面に形成されたトナー像を、記録媒体に転写する工程である。なお、転写工程は、紙等の記録媒体にトナー像を直接転写する方式の他に、ドラム状やベルト状の中間転写体に転写後、紙等の記録媒体に転写する方式でもよい。なお、転写方式は上述した態様のみに限定されるものではない。
潜像保持体からのトナー像を紙等に転写する転写装置としては、例えばコロトロンが利用できる。コロトロンは用紙を帯電する手段としては有効であるが、記録媒体である用紙に所定の電荷を与えるために、数kVという高圧を印加しなければならず、高圧電源を必要とする。また、コロナ放電によってオゾンが発生するため、ゴム部品や潜像保持体の劣化を引き起こすので、弾性材料を有する導電性の転写ロールを潜像保持体に圧接して、用紙にトナー像を転写する接触転写方式が好ましい。なお、転写装置は上述した態様のみに限定されるものではない。
<クリーニング工程>
前記クリーニング工程とは、ブレード、ブラシ、ロール等を潜像保持体表面に直接接触させ、潜像保持体表面に付着しているトナー、紙粉、ゴミなどを除去する工程である。
最も一般的に採用されている方式として、ポリウレタン等のゴム製のブレードを潜像保持体に圧接させるブレードクリーニング方式である。これに対し、内部に磁石を固定配置し、その外周に回転可能な円筒状の非磁性体のスリーブを設け、そのスリ−ブ表面に磁性キャリアを保持させてトナーを回収する磁気ブラシ方式や、半導電性の樹脂繊維や動物の毛をロール状に回転可能にし、トナーと反対極性のバイアスをそのロールに印加してトナーを除去する方式でもよい。前者の磁気ブラシ方式では、クリーニングの前処理用コロトロンを設置してもよい。なお、クリーニング方式については上述した態様のみに限定されるものではない。
<定着工程>
前記定着工程とは、記録媒体表面に転写されたトナー像を定着装置にて定着する工程である。定着装置としては、ヒートロールを用いる加熱定着装置が好ましく用いられる。加熱定着装置は、円筒状芯金の内部に加熱用のヒータランプを備え、その外周面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層により、いわゆる離型層を形成した定着ローラと、この定着ローラに対し圧接して配置され、円筒状芯金の外周面あるいはベルト状基材表面に耐熱性の弾性材料を含む層を形成した加圧ローラあるいは加圧ベルトと、で構成される。トナー像の定着プロセスは、定着ローラと加圧ローラあるいは加圧ベルトとにより形成される接触部にトナー像が形成された記録媒体を通過させて、トナー中の結着樹脂、添加剤等の熱溶融による定着を行う。但し、定着方式については上述した態様のみに限定されるものではない。
なお、フルカラー画像を作製する場合には、複数の像保持体がそれぞれ各色の現像剤保持体を有しており、その複数の像保持体及び現像剤保持体それぞれによる潜像形成工程、現像工程、転写工程及びクリーニング工程からなる一連の工程により、同一の記録媒体表面に前記工程ごとの各色トナー像が順次積層形成され、その積層されたフルカラーのトナー像を、定着工程で熱定着する画像形成方法が好ましく用いられる。
そして、本実施形態の静電荷像現像用トナー又は現像剤を、上記画像形成方法に用いることにより、例えば、小型、カラー高速化に適したタンデム方式においても、安定した現像、転写、定着性能を得ることができる。
トナー再利用工程を実施するためのトナー再利用手段の構成としては特に限定されるものでは無いが、例えば、クリーニング部で回収されたトナーを搬送コンベアあるいは搬送スクリューによって補給用トナーホッパー、現像器あるいは補給用トナーと中間室によって混合して、現像剤を収容する現像器へ供給する方法等を挙げることができる。好適には現像器へ直接戻す方式あるいは中間室にて補給用トナーとリサイクルトナーを混合して供給する方式を挙げることができる。
なお、トナーをリサイクルして使用する場合、トナー粒子の強度が高いこと及び離型剤のトナー内における分散性が良好でトナー表面に多く露出しないことが必要である。この点で、結着樹脂として結晶性樹脂を主成分とし且つ離型剤を含む従来のトナーでは、結晶性樹脂の含有量が多いためにトナー粒子の強度が低いため、トナーがリサイクルされることによって何度も機械的ストレスに曝されるとトナーの変形や破壊が起こり、フィルミング等が発生してしまう。このためトナーリサイクル機構を備えた画像形成装置に、オイルレス定着や低温域での定着が可能な上述したトナーを用いて長期に渡って画像を形成すると、フィルミング等に起因する画質の劣化が発生してしまう。
しかし、本実施形態のトナーは、ワックスと結晶性樹脂が相溶し、均一にトナー内に分散していることから、上述した従来のトナーと比べて高い弾性を有するために、トナーがリサイクルされることによって何度も機械的ストレスに曝されてもトナーの変形や破壊が起こり難い。このためトナーリサイクル機構を備えた画像形成装置に用いて、トナーをリサイクルさせながら長期に渡って画像を形成しても、フィルミングの発生を抑制できる。このため、経時的な画質の劣化等が抑制できる。
なお、以上に説明した画像形成方法を実施する画像形成装置の構成としては特に限定されるものではないが、潜像保持体と、潜像保持体上に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、潜像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、トナーが本実施態様の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤が本実施態様の静電荷像現像剤であることを特徴とするものであることが好ましい。
また、トナー像を転写した後の前記像保持体表面に残留するトナーを回収しながらクリーニングするクリーニング手段と、該クリーニング手段により回収されたトナーを前記現像剤用のトナーとして再利用するトナー再利用手段とをさらに含むことが好適である。
また、上述した構成を有する画像形成装置においては、画像形成装置に対して脱着可能であり、トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納したトナーカートリッジを用いてもよい。さらに、画像形成装置に対して脱着可能であり、像保持体と、現像剤を収容すると共に前記像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段とを少なくとも備えたプロセスカートリッジを用いてもよい。
なお、プロセスカートリッジは、上述したように像保持体とトナー像形成手段とを少なくとも含む装置本体に着脱自在の単一ユニットであるが、この他に、帯電手段や露光手段、クリーニング手段なども含まれていてもよい。
トナー像を転写する記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を使用することができる。
<潜像保持体>
次に、潜像保持体について説明する。
潜像保持体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた公知の感光体が利用できるが、有機感光体を用いることが好ましい。この場合、潜像保持体の最表面を構成する層、例えば保護層が、架橋構造を有する樹脂を含むものであることが好ましい。架橋構造を有する樹脂としては例えばフェノール樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン系樹脂が利用できるが、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が最も好ましい。
最表面を構成する層が、架橋構造を有する樹脂を含む潜像保持体はその強度が高いため、磨耗や傷に対する耐久性が高く潜像保持体の超寿命化が可能である。しかし、クリーニング性を確保するために、潜像保持体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを用いた場合には、クリーニングブレードを潜像保持体に対して比較的高い接触圧で接触させる必要がある。
この場合、クリーニングブレードと潜像保持体との接触部において、潜像保持体表面に残留するトナーが破壊され易くなるためトナー構成材料の潜像保持体表面への付着や、これに伴う帯電変動が生じやすくなる。しかしながら、本実施形態のトナーは、優れた強度を有するためフィルミングの発生を抑制できる。それゆえ、フィルミングの発生に伴う帯電変動も抑制できる。さらに、トナーをリサイクルして再利用する方式と組み合わせても長期に渡って画質の劣化を招くことがない。
潜像保持体の層構成としては、導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを含むものであれば特に限定されないが、好適には、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなる機能分離型の像保持体であることが好ましく、具体的には導電性基体表面に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層をこの順に積層したものであることが好ましい。以下、各層の詳細について説明する。
〔導電性支持体〕
導電性支持体(以下、単に「支持体」ともいう。)としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。像保持体がレーザープリンターに使用される場合には、レーザーの発振波長としては350nmから850nmのものが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。
また、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、支持体表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが好ましい。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、あるいは、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化、有機又は無機の半導電性粒子を含有する層を作製することなどが好ましい。
Raが0.04μmより小さいと、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなり、Raが0.5μmより大きいと、被膜を形成しても画質が粗くなって不適となる場合がある。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、基材の表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
陽極酸化処理はアルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。陽極酸化膜の膜厚については0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は、例えば以下の様に実施される。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が、10重量%以上11重量%以下の範範囲、クロム酸が3重量%以上5重量%以下の範囲、フッ酸が0.5重量%以上2重量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は、13.5重量%以上18重量%以下の範囲が好ましい。
処理温度は、42℃以上48℃以下が好ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚については0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分乃至60分間浸漬するか、90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分乃至60分間接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚については0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの皮膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。有機又は無機の半導電性粒子としては、例えば特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミ等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中で酸化亜鉛、酸化チタンが電荷輸送能が高く厚膜化に有効であり、好ましい。
これら顔料の表面は、分散性改善、あるいはエネルギーレベルの調整などの目的でチタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などで表面処理してもよく、特にビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理することが好ましい。
有機又は無機の半導電性粒子は多すぎると下引き層の強度が低下して塗膜欠陥を生じるため、下引き層に含まれる半導電性粒子の含有量は、95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。有機又は無機の半導電性粒子の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる方法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、有機又は無機の半導電性粒子を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものでも使用できる。
例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上混合して用いることができる。
〔下引き層〕
導電性支持体と感光層との間には、必要に応じて下引き層を形成することもできる。
下引き層の形成に用いられる材料としては、例えばジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、とくに有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
さらに、従来より下引き層に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて設定することができる。
また、下引き層中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、例えば特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。
これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理してもよい。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。
混合/分散方法は、例えばボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
下引き層の厚みは一般的には、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.2μm以上25μm以下がより好ましい。
また、下引き層を設けるときに用いる塗布方法としては、例えばブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引き層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、中間層を形成することが好ましい。
〔電荷発生層〕
次に電荷発生層について説明する。
電荷発生層の形成に用いられる電荷発生材料は、例えばビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や、三方晶セレン、酸化亜鉛などの無機顔料など既知のもの全て使用することができるが、特に380nm乃至500nmの露光波長を用い場合には無機顔料が好ましく、700nm乃至800nmの露光波長を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び、特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び、特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報及び、特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
電荷発生層の形成に用いられる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができ、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、例えばポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂との配合比は(重量比)は10:1乃至1:10の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としてはボ−ルミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって該の結晶型が変化しない条件が必要とされる。さらにこの分散の際、粒子サイズを0.5μm以下とすることが好ましく、0.3μm以下とすることがより好ましく、0.15μm以下とすることがさらに好ましい。
またこれらの分散に用いる溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、電荷発生層の厚みは一般的には、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.2μm以上2.0μm以下がより好ましい。また、電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、例えばブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
〔電荷輸送層〕
次いで、電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層としては、公知の技術によって形成されたものを使用できる。それらの電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、例えばp−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は単独又は2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送材料は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
さらに電荷輸送層に用いる結着樹脂は、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は10:1乃至1:5が好ましい。
また、電荷輸送層の形成には高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層の厚みは一般的には、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
塗布方法としては、例えばブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。さらに電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による像保持体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。像保持体に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
〔保護層〕
次いで、保護層(最表面を構成する層)について説明する。
保護層の磨耗、傷などに対する耐性を持たせるため、高強度の保護層を設けることもできる。この高強度表面層としては、バインダー樹脂中に導電性粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性粒子を分散させたもの、シリコーンや、アクリルなどのハードコート剤を使用することができるが、強度、電気特性、画質維持性などの観点から、架橋構造を有するものが好まく、さらに電荷輸送性材料を含むものがより好ましい。架橋構造を形成するものとしては種々の材料を用いることができるが、特性上フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン樹脂などが好ましく、特にシロキサン系樹脂、フェノール系樹脂からなるものが好ましい。
さらに、膜特性のコントロール、液寿命の延長、などのため、例えばアルコール系、ケトン系溶剤に可溶な樹脂を添加しても良い。この樹脂としてはとしては、例えばポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタ−ル化ポリビニルアセタ−ル樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学工業(株)製、エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的で種々の樹脂を添加することができる。特にシロキサン系の樹脂の場合はアルコールに溶解する樹脂を加えることが好ましい。
アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、例えばポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタ−ル樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学工業(株)製、エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
上記樹脂の分子量は2,000以上100,000以下が好ましく、5,000以上50,000以下がさらに好ましい。分子量は2,000より小さいと所望の効果が得られなくなり、100,000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする。添加量は1重量%以上40重量%以下が好ましく、1重量%以上30重量%以下がより好ましく、5重量%以上20重量%以下が最も好ましい。1重量%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40重量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる恐れがある。また、それらの樹脂は単独で用いてもよいが、それらを混合して用いてもよい。
また、ポットライフの延長、膜特性のコントロールのため、下記式(VI)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、もしくはその化合物からの誘導体を含有させることもできる。
Figure 2009210913
式(VI)中、A1、A2はそれぞれ独立に1価の有機基を示す。
式(VI)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物として、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は単独で用いてもよいが、それらを混合して用いてもよい。
さらに、像保持体表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、各種粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、併用してもよい。粒子の一例として、例えばケイ素含有粒子を挙げることができる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径が1nm以上100nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましく、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。最表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から最表面層の全固形分中の0.1重量%以上50重量%以下の範囲が好ましく、0.1重量%以上30重量%以下の範囲がより好ましい。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、球状で、平均粒子径1nm以上500nm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましく、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、像保持体の表面性状を改善することができる。すなわち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、像保持体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。
像保持体における最表面層中のシリコーン粒子の含有量は、最表面層の全固形分中の0.1重量%以上30重量%以下の範囲が好ましく、0.5重量%以上10重量%以下の範囲がより好ましい。
また、その他の粒子としては、例えば4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系粒子や「第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89」に示される様な、前記フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In23、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。
また、像保持体表面の潤滑、揮発性向上の目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。
また、上記粒子の保護層表面への露出率は40%以下であることが好ましい。前記範囲を超えると、粒子単体の影響が大きくなり、低抵抗化による画流れなど発生しやすくなる。前記範囲内のさらに好ましい範囲は30%以下であり、表面に露出した粒子がクリーニング部材で効果的にリフレッシュされ、長期に渡り、像保持体表面のトナー成分フィルミング抑制、放電生成物の除去、トルクの低減によるクリーニング部材の摩耗低減が維持される。
また、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
保護層にはヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。酸化防止剤としては以下に例示する化合物、例えばヒンダートフェノール系として「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」以上住友化学(株)製;「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」以上チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製;「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」以上旭電化工業(株)製;ヒンダートアミン系として「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」、「スミライザ−TPS」;チオエーテル系として「スミライザ−TP−D」、ホスファイト系として「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」;が挙げられ、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が好ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基などの置換基で変性してもよい。
保護層の形成に用いるコーティング液や、このコーティング液作製時に触媒を添加もしくは用いることが好ましい。用いられる触媒としては例えば塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などの無機酸、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸などの有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミンなどのアルカリ触媒、さらに以下に示す系に不溶な固体触媒を用いることもできる。
例えば、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化学(株)製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学(株)製);ナフィオン−H(デュポン社製)などの陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ロ−ム・アンド・ハ−ス社製)などの陰イオン交換樹脂;Zr(O3PCH2CH2SO3H)2、Th(O3PCH2CH2COOH)2などのプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサンなどのプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸などのイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgOなどの単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類など複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物;LiSO4,MgSO4などの金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタンなどの金属リン酸塩;LiNO3、Mn(NO32などの金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体などのアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂などのアミノ基を含有するポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
また、コーティング液の作製の際に、光機能性化合物、反応生成物、水、溶剤などに不溶な固体触媒を用いると、塗工液の安定性が向上する傾向にあるため好ましい。系に不溶な固体触媒とは、触媒成分が添加剤、水、溶剤等に不溶であれば特に限定されない。これらの固体触媒の使用量は特に制限されないが、加水分解性基を有する化合物の合計100重量部に対して0.1重量部以上100重量部以下が好ましい。また、これらの固体触媒は、前述の通り、原料化合物、反応生成物、溶剤などに不溶であるため、反応後、常法にしたがって容易に除去することができる。反応温度及び反応時間は原料化合物や固体触媒の種類及び使用量に応じて選択されるものであるが、反応温度は通常0℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がより好ましく、15℃以上50℃以下がさらに好ましく、反応時間は10分乃至100時間が好適である。反応時間が上記範囲内であると、ゲル化を生じ難いので好ましい。
コーティング液作製工程において系に不溶な触媒を用いた場合は、強度、液保存安定性などを向上させる目的で、さらに系に溶解する触媒を併用することが好ましい。この触媒としては、前述のものに加え、例えばアルミニウムトリエチレート、アルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリ(sec−ブチレート)、モノ(sec−ブトキシ)アルミニウムジイソプロピレート、ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセチルアセトネート)、アルミニウムイソプロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(トリフルオロアセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)等の有機アルミニウム化合物を使用することができる。
また、有機アルミニウム化合物以外には、例えばジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の有機チタニウム化合物;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のジルコニウム化合物;等も使用することができるが、安全性、低コスト、ポットライフ長さの観点から、有機アルミニウム化合物を使用するのが好ましく、特にアルミニウムキレート化合物がより好ましい。これらの触媒の使用量は特に制限されないが、加水分解性基を有する化合物の合計100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下が好ましく、0.3重量部以上10重量部以下が特に好ましい。
また、有機金属化合物を触媒として用いた場合は、ポットライフ、硬化効率の面から、共に多座配位子を添加することが好ましい。この多座配位子としては、以下に例示するもの及びそれらから誘導されるものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、例えばアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ジピバロイルメチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル類;ビピリジン及びその誘導体;グリシン及びその誘導体;エチレンジアミン及びその誘導体;8−オキシキノリン及びその誘導体;サリチルアルデヒド及びその誘導体;カテコ−ル及びその誘導体;2−オキシアゾ化合物等の2座配位子;ジエチルトリアミン及びその誘導体;ニトリロトリ酢酸及びその誘導体等の3座配位子;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びその誘導体等の6座配位子;等を挙げることができる。さらに、上記の有機系配位子の他、ピロリン酸、トリリン酸等の無機系の配位子を挙げることができる。多座配位子としては、特に2座配位子が好ましく、具体例としては、上記の他、下記式(VII)で表される2座配位子が挙げられる。中でも下記式(VII)で表される2座配位子がより好ましく、下記式(VII)中のR5とR6とが同一のものが特に好ましい。R5とR6とを同一にすることで、配位子の配位力が強くなり、コーティング液のさらなる安定化を図ることができる。
Figure 2009210913
式(VII)中、R5、R6はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、もしくはフッ化アルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基を示す。
多座配位子の配合量は、任意に設定することができるが、用いる有機金属化合物の1モルに対し、0.01モル以上が好ましく、0.1モル以上がより好ましく、1モル以上がさらに好ましい。
コーティング液の製造は、無溶媒下で行うこともできるが、必要に応じて例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;等の他、種々の溶媒が使用できる。この溶媒としては、沸点が100℃以下のものが好ましく、任意に混合して使用することができる。溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると有機ケイ素化合物が析出しやすくなるため、有機ケイ素化合物1重量部に対し0.5重量部以上30重量部以下が好ましく、1重量部以上20重量部以下とするのがより好ましい。
塗工液を硬化させる際の反応温度及び反応時間は特に制限されないが、得られるケイ素樹脂の機械的強度及び化学的安定性の点から、反応温度は60℃以上が好ましく、80℃以上200℃以下がより好ましく、反応時間は10分乃至5時間が好ましい。また、塗工液の硬化により得られる有機層を高湿度状態に保つことは、有機層の特性の安定化を図る上で有効である。さらには、用途に応じてヘキサメチルジシラザンやトリメチルクロロシランなどを用いて有機層に表面処理を施して疎水化することもできる。
一方、前記フェノール系樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種の電荷輸送性材料(電荷輸送能を有する構造単位)を含むフェノール系樹脂であるであることがより好ましい。
なお、フェノール系樹脂の合成に用いられるフェノール誘導体としては、例えばレゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物が利用でき、一般にフェノール樹脂の合成用原料として市販されているものが利用できる。
また、フェノール誘導体は、例えばメチロール基を含むものも利用でき、例えば、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーとの混合物が挙げられる。
なお、本明細書においては、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子をオリゴマーといい、それ以下のものをモノマーという。
また、フェノール系樹脂の合成に用いられるアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒド等が利用できる。フェノール系樹脂の合成に際しては、これら原料を、酸触媒又はアルカリ触媒下で反応させることで得ることができるが、一般にフェノール樹脂として市販されているものも使用できる。
上記酸触媒としては例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等が用いられる。また、アルカリ触媒としては、例えばNaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。
アミン系触媒としては、例えばアンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる場合がある。このため、塩基性触媒を利用した場合は、触媒を利用した反応終了後に、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化又は除去することが好ましい。
像保持体に用いられる架橋構造を有するフェノール系樹脂としては、上述した公知のフェノール系樹脂をさらに架橋反応させたものであってもよく、ノボラック型のようにフェノール系樹脂自体が架橋構造を有しているものであってもよい。なお、前者の場合は、レゾール型フェノール樹脂を用いることがより好ましい。
特に、本実施形態のトナーのように結晶性樹脂を含むものは吸湿性があるため、表面層として吸水性・ガスバリア性で劣る前記シロキサン系樹脂の表面層を有する感光体と組み合わせて用いるよりも長期に渡り高画質を安定して得られるという点でより好ましく用いられる。
以上述べた電荷輸送性を有し、架橋構造を有する保護層は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型像保持体の電荷輸送層とし用いることもできる。その場合、例えばブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行う場合、加熱処理は塗布の度に行ってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
単層型感光層の場合は、前記の電荷発生物質と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層及び電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生物質の含有量は、10重量%以上85重量%以下程度が好ましく、20重量%以上50重量%以下がより好ましい。
単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質を添加してもよい。その添加量は5重量%以上50重量%以下とすることが好ましい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記と同様のものを用いることができる。膜厚は5μm以上50μm以下程度が好ましく、10μm以上40μm以下とするのがさらに好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
なお、実施例中において「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」及び「重量%」を意味する。
(各種特性の測定方法)
まず、実施例、比較例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
<樹脂の分子量>
樹脂の分子量分布は以下の条件で行ったものである。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ;Gel Permeation Chromatography)は「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
<樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒子径>
樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒子径は、レーザー回折粒度測定器((株)島津製作所製、SALD2000A)で測定した。
<樹脂の融点、ガラス転移温度>
トナー、結晶性樹脂の融点、トナー及び非結晶性樹脂のガラス転移温度は、ASTMD3418−8に準拠して測定された各極大ピークより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、融点は吸熱ピークの頂点の温度とした。
なお、測定には示差走査熱量計(DSC−60A 自動冷却器付、(株)島津製作所製)を用いた。
<ワックスのテトラヒドロフラン上澄み量測定方法>
25℃条件下で20ccサンプル瓶にトナー1gを秤量した。これにテトラヒドロフラン10gを添加し、卓上型超音波洗浄機(本多電子(株)製、W−113)により充分に分散した後に、撹拌、混合し、トナーを溶解させた(分散時間20分)。トナーが溶解した後に、遠心分離機により分離を行い、上澄み液を得た(14000rpm、240分)。その後、上澄み液をシリンジで吸引し、ポア径が0.45μmの耐溶剤性メンブランフィルター(マエショリディスク:東ソー(株)製)で濾過した。その濾過液を乾燥させ、白色固体を得た。
得られた白色固体について樹脂の融点、ガラス転移温度を測定する場合と同様に、DSCにて測定を行った。ワックス量の算定には、予め既知のワックス量のサンプルを数点用意し、これにより吸熱量とワックス量の検量線を作成した。その後白色固体をDSCにて吸熱量を測定し、ワックス量(1)(重量%)を算出した。
<トナー中のワックス量測定方法>
前記トナー中のワックス量の含有量の測定は、示差走査熱量計(DSC:マックサイエンス社製、DSC3110、熱分析システム001)によりワックスの融解熱を求めることにより行った。具体的には、まず既知量のワックスと非結晶性樹脂とを配合しDSC測定を行うことで、吸熱量−ワックスの含有量(重量%)の検量線を作成した。次いで、トナー試料について吸熱量の測定を行い、その結果と検量線とから各々のトナー中におけるワックスの含有量(2)(重量%)を求めた。なお、DSCの測定条件は、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分として行った。
<テトラヒドロフランによるトナー内ワックス量抽出率算出方法>
抽出率(%)=テトラヒドロフラン上澄み液中のワックス量(1)/トナー中のワックス量(2)×100
<トナー中の結晶性樹脂量>
前記トナー中の結晶性樹脂の含有量の測定は、示差走査熱量計(DSC:マックサイエンス社製、DSC3110、熱分析システム001)により結晶性樹脂の融解熱を求めることにより行った。具体的には、まず既知量の結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを配合しDSC測定を行うことで、吸熱量−結晶性樹脂の含有量(重量%)の検量線を作成した。次いで、50℃、24時間のアニール処理を行ったトナー試料について測定を行い、その結果と検量線とから各々のトナー中における結晶性樹脂の含有量を求めた。なお、DSCの測定条件は、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分として行った。
(静電荷像現像用現像剤の作製)
<非結晶性ポリエステル樹脂(A1)及び非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の調製>
・ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:10モル部
・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:90モル部
・テレフタル酸:30モル部
・フマル酸:67モル部
・n−ドデセニルコハク酸:3モル部
・トリメリット酸:5モル部
・ジブチルスズオキサイド:上記酸成分(テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、フマル酸の合計モル数)に対して0.05モル部
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃乃至230℃で12時間から20時間共縮重合反応させ、その後、210℃乃至250℃で徐々に減圧して、非結晶性ポリエステル樹脂(A1)を合成した。この樹脂の重量平均分子量Mwは25,000、ガラス転移温度Tgは71℃であった。
高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット:0.4mm)の乳化タンクに、得られた非結晶性ポリエステル樹脂3,000部、イオン交換水7,000部、界面活性剤ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム90部を投入した後、130℃に加熱溶融後、110℃で流量3L/mにて10,000回転で30分間分散させ、冷却タンクを通過させて非結晶性樹脂粒子分散液(高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010:スリット0.4mm)を回収し、非結晶性樹脂粒子分散液(a1)(固形分濃度:30重量%)を得た。また、非結晶性樹脂粒子分散液(a1)中の樹脂粒子の体積平均粒子径は160nmであった。
<結晶性ポリエステル樹脂(B1)及び結晶性樹脂粒子分散液(b1)の調製>
・1,9−ノナンジオール:47モル部
・ドデカンジカルボン酸:53モル部
・ジブチルスズオキサイド:0.05モル部
上記成分を加熱乾燥した3口フラスコに入れ、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で2時間撹拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い5時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(B1)を合成した。この樹脂の重量平均分子量Mwは30,000、融点Tmは73℃であった。
その後、非結晶性樹脂分散液(A1)の作製と同じ条件にて高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット:0.4mm)を用い、結晶性樹脂粒子分散液(b1)(固形分濃度:30重量%)を得た。また、結晶性樹脂粒子分散液(b1)中の樹脂粒子の体積平均粒子径は155nmであった。
<着色剤分散液の調製>
・カーボンブラック(キャボット社製 R330):25部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):2部
・イオン交換水:85部
以上の成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(カーボンブラック)の体積平均粒子径は0.12μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
<離型剤粒子分散液(1)の調製>
・パラフィンワックス(日本精鑞(株)製、FT−0070、融点72℃):100部
・アニオン界面活性剤(日本油脂(株)製、ニューレックスR):2部
・イオン交換水:400部
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒子径が200nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。また離型剤粒子分散液(1)の分散径の標準偏差は0.41であった。
<離型剤粒子分散液(2)の調製>
離型剤粒子分散液(1)の調製において、パラフィンワックスFT−0070を、パラフィンワックスHNP−51(融点77℃)に置き換えた以外は同様に行い、離型剤分散液(2)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。また離型剤粒子分散液(2)の分散径の標準偏差は0.45であった。
<離型剤粒子分散液(3)の調製>
離型剤粒子分散液(1)の調製において、パラフィンワックスFT−0070を、パラフィンワックスFT 100(融点98℃)に置き換えた以外は同様に行い、離型剤分散液(3)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。また離型剤粒子分散液(3)の分散径の標準偏差は0.42であった。
<離型剤粒子分散液(4)の調製>
離型剤粒子分散液(1)の調製において、パラフィンワックスFT−0070を、パラフィンワックスFT 105(融点104℃)に置き換えた以外は同様に行い、離型剤分散液(4)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。また離型剤粒子分散液(4)の分散径の標準偏差は0.39であった。
<トナーの作製>
〔トナーA1の作製〕
・非結晶性樹脂粒子分散液(a1):400部
・結晶性樹脂粒子分散液(b1):50部
・着色剤分散液:43.48部
・離型剤粒子分散液(2):100部
・ノニオン性界面活性剤水溶液(IGEPAL CA897):3部
・0.3M硝酸水溶液:50部
・イオン交換水:500部
上記成分のうち結晶性樹脂粒子分散液と離型剤粒子分散液を丸型ステンレス製フラスコ中に収容して、95℃まで加熱した。その後分散液のpHを0.3M硝酸を用いて2.5にし、1時間撹拌しながら保持した。
その後3℃/分の速度で冷却した。その後結晶性樹脂粒子分散液と離型剤粒子分散液以外の上記成分を、上記丸型ステンレス製フラスコに収容して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4,000rpmで剪断を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤として硫酸アルミニウムの10%水溶液を2重量部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、43℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2以上3.5以下の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。この際、凝集粒子の体積平均粒子径は5.3μmであった。
次いで、非結晶性樹脂分散液(a1)117重量部を追添加し、前記凝集粒子の表面に非結晶性樹脂(a1)の樹脂粒子を付着させた。
続いて、10重量%のEDTA(エチレンジアミン四酢酸)金属塩水溶液(キレストMg・40、キレスト(株)製):0.5部を加えた後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpH8.5に到達するまで穏やかに添加した後、撹拌を継続しながら95℃までpHを維持しつつ加熱し、1時間保持した。その後、1.0℃/分の降温速度で冷却し、20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥しトナー粒子(1)を得た。
−外添剤処理−
その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナーA1を得た。得られたトナーA1の体積粒子径は6.1μm、GSDvは1.20、GSDpは1.21であった。さらにトナー円形度は、0.966であった。
トナーA1について、DSCによりトナー中のワックス量を測定したところ、9.8%であり、トナーをテトラヒドロフラン溶液により抽出した上澄み液中ワックス量は、7.8%であり、テトラヒドロフランによる抽出率は80%であった。さらにトナーTgは67℃であった。またトナーA1におけるMw/Mnは6.2であった。
〔トナーA2の作製〕
トナーA1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液と離型剤分散液を丸型ステンレス製フラスコ中に収容して、95℃に加熱し、pHを5.0に調整し、1時間保持した以外はトナーA1と同様に調製し、トナーA2を作製した。
〔トナーA3の作製〕
トナーA1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液と離型剤分散液を丸型ステンレス製フラスコ中に収容して、98℃に加熱し、pHを2.5に調製し、1時間保持した以外はトナーA1と同様に調製し、トナーA3を作製した。
〔トナーA4の作製〕
トナーA2の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)を離型剤分散液(3)(FT 100:融点98℃)に置き換えた以外はトナーA2と同様に調製し、トナーA4を作製した。
〔トナーA5の作製〕
トナーA3の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)を離型剤分散液(3)(FT 100:融点98℃)に置き換えた以外はトナーA3と同様に調製し、トナーA5を作製した。
〔トナーA6の作製〕
トナーA2の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)を離型剤分散液(1)(FT−0070:融点72℃)に置き換えた以外はトナーA2と同様に調製し、トナーA6を作製した。
〔トナーA7の作製〕
トナーA3の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)を離型剤分散液(1)(FT−0070:融点72℃)に置き換えた以外はトナーA3と同様に調製し、トナーA7を作製した。
〔トナーA8の作製〕
トナーA2の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)を離型剤分散液(4)(FT 105:融点104℃)に置き換えた以外はトナーA2と同様に調製し、トナーA8を作製した。
〔トナーA9の作製〕
トナーA3の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)を離型剤分散液(4)(FT 105:融点104℃)に置き換えた以外はトナーA3と同様に調製し、トナーA9を作製した。
〔トナーA10の作製〕
トナーA2の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)の配合量100部を60部に、さらに非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を453部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を40部に変更した以外はトナーA2と同様に調製し、トナーA10を作製した。
〔トナーA11の作製〕
トナーA3の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)の配合量100部を60部に、さらに非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を453部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を40部に変更した以外はトナーA3と同様に調製し、トナーA11を作製した。
〔トナーA12の作製〕
トナーA2の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)の配合量100部を120部に、さらに非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を337部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を100部に変更した以外はトナーA2と同様に調製し、トナーA12を作製した。
〔トナーA13の作製〕
トナーA3の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)の配合量100部を120部に、さらに非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を337部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を100部に変更した以外はトナーA3と同様に調製し、トナーA13を作製した。
〔トナーA14の作製〕
トナーA2の作製において、離型剤分散液(2)(HNP−51:融点77℃)の廃業量100部を50部に、さらに非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を443部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を40部に変更した以外はトナーA2と同様に調製し、トナーA14を作製した。
〔トナーB1の作製〕
・非結晶性樹脂粒子分散液(a1):400部
・結晶性樹脂粒子分散液(b1):50部
・着色剤分散液:43.48部
・離型剤粒子分散液(2):100部
・ノニオン性界面活性剤水溶液(IGEPAL CA897):3部
・0.3M硝酸水溶液:50部
・イオン交換水:500部
上記成分を、上記丸型ステンレス製フラスコに収容して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後はトナーA1と同様に調製し、トナーB1を作製した。
〔トナーB2の作製〕
トナーB1の作製において、離型剤分散液(2)(HNP51:融点77℃)を離型剤分散液(3)(FT 100:融点98℃)に置き換えた以外はトナーB1と同様に調製し、トナーB2を作製した。
〔トナーB3の作製〕
トナーA1の作製において、離型剤分散液(2)(HNP51:融点77℃)の配合量100部を130部に、さらに非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を390部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を40部に置き換えた以外はトナーA1と同様に調製し、トナーB3を作製した。
〔トナーB4の作製〕
トナーA3の作製において、非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を333部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を117部に変更した以外はトナーA3と同様に調製し、トナーB4を作製した。
〔トナーB5の作製〕
トナーA3の作製において、非結晶性樹脂粒子分散液(a1)の配合量400部を417部に、結晶性樹脂粒子分散液(b1)の配合量50部を33部に変更した以外はトナーA3と同様に調製し、トナーB5を作製した。
(潜像保持体の作製)
<潜像保持体1の作製>
円筒状のAl基板をセンタレス研磨装置により研磨し、十点平均表面粗さRzを0.6μmとした。洗浄工程としてこのシリンダーを脱脂処理、2重量%水酸化ナトリウム溶液で1分間エッチング処理、中和処理、さらに純水洗浄を順に行った。次に、陽極酸化処理工程として10重量%硫酸溶液によりシリンダー表面に陽極酸化膜(電流密度1.0A/dm2)を形成した。水洗後、1重量%酢酸ニッケル溶液80℃に20分間浸漬して封孔処理を行った。さらに純水洗浄、乾燥処理を行った。このようにして、アルミニウムシリンダー表面に7μmの陽極酸化膜を形成した。
このアルミニウム基材上にX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.2°に強い回折ピークを持つチタニルフタロシアニンの1部をポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学)1部、及び酢酸n−ブチル100部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を前記下引き層上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造のベンジジン化合物(下記化合物1)2部、及び、高分子化合物(下記化合物2、粘度平均分子量:39,000)2.5部をクロロベンゼン20部に溶解させた塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コ−ティング法で塗布し、110℃、40分の加熱を行って膜厚20μmの電荷輸送層を形成し潜像保持体1を得た。
Figure 2009210913
(評価)
得られたトナーを用いて、表1に記載の評価を行った。
なお、表1に示す評価項目の評価方法及び評価基準は以下の通りである。
<低温定着性>
低温定着性は、画像形成テスト前に、定着器の温度制御を外部電源コントロールにて行い、定着温度が100℃乃至140℃の範囲を5℃間隔で定着し、得られる画像が一定の射濃度(用紙C2紙、富士ゼロックス(株)製、X−Rite404濃度計で濃度1.5以上1.8以下)となるように画像を形成し、このようにして得られた画像の折り曲げによる画像欠陥を官能評価して以下の基準で判定した。なお、プロセススピードは160mm/s、250mm/s、500mm/sの3水準で実施した。
◎:いずれのプロセススピード、画像濃度でも110℃以下で問題なし(画像欠陥目視で認められない。)。
○:500mm/s、高画像濃度で、110℃において若干の画像欠陥が認められる(実使用上問題ない。)。
△:実用上問題ないが、高画像濃度、低温部(110℃以上135℃以下)で画像欠陥が認められる。
×:低温部(110℃以上135℃以下)で画像欠陥が多く、該温度範囲では実用に耐えない状態(135℃以上では定着し画像欠陥が見られない。)。
<高温定着性>
高温定着性は、画像形成テスト前に、定着器の温度制御を外部電源コントロールにて行い、定着温度が170℃乃至190℃の範囲を5℃間隔で定着し、得られる画像が一定の射濃度(用紙C2紙、富士ゼロックス(株)製、X−Rite404濃度計で濃度1.5以上1.8以下)となるように画像を形成し、このようにして得られた画像の折り曲げによる画像欠陥を官能評価して以下の基準で判定した。なお、プロセススピードは160mm/s、250mm/s、500mm/sの3水準で実施した。
◎:いずれのプロセススピード、画像濃度で、190℃以上で問題なし(画像欠陥目視で認められない。)。
○:500mm/s、高画像濃度で、190℃において若干の画像欠陥が認められる(実使用上問題ない。)。
△:実用上問題ないが、高画像濃度、高温部(170℃以上190℃以下)で画像欠陥が認められる。
×:高温部(170℃以上190℃以下)で画像欠陥が多く、該温度範囲では実用に耐えない状態(170℃以下では定着し画像欠陥が見られない。)。
<排出ロール当接痕測定>
〔ヘイズ測定方法〕
ヘイズ(曇度)測定は、拡散光線透過率(Td)と全光線透過率(Tt)との比(Td/Tt)で表し、JIS K7136の測定方法に基づき、定着画像を一辺50mmの正方形の試験片に作製し、シングルビーム方式ヘーズコンピューター(型式HZ−1、スガ試験機(株)製)を用いて測定した。
表1における排出ロール当接痕は、下記基準で評価したものである。ここで、Haは排出ロールとの当接部におけるヘイズ値、Hbは排出ロールとの非当接部におけるヘイズ値を表す。
◎:|Ha−Hb|が3%以下、排出ロール当接痕が全く観察されない。
○:|Ha−Hb|が3%を超え6%以下、排出ロール当接痕がほとんど観察されない。
△:|Ha−Hb|が6%を超え8%以下、排出ロール当接痕が僅かに観察される。
×:|Ha−Hb|が8%を超える、排出ロール当接痕が顕著に観察される。
<画像光沢ムラ評価>
画像形成テスト前に、定着器の温度制御を外部電源コントロールにて行い、定着温度が100℃乃至180℃の範囲において20℃間隔で定着し、得られる画像が一定の反射濃度(用紙C2紙、富士ゼロックス(株)製、X−Rite404濃度計で濃度1.5以上1.8以下)となるように画像を形成し、グロスメーター(BYK マイクロトリグロス光沢計(20+60+85゜)、ガードナー社製)、プロセススピードは160mm/s、250mm/sの2水準で実施した。
◎:温度、プロセススピードによらずグロス差(最大−最小)が、5未満の範囲である。
○+:160mm/sで、180℃の場合のみグロス差が5以上である。
○−:160mm/sで、160、180℃の場合のみグロス差が5以上である。
△+:160mm/sで、160、180℃、250mm/sで180℃の場合にグロス差が5以上である。
△−:160mm/sで、160、180℃、250mm/sで160、180℃の場合にグロス差が5以上である。
×:160mm/sで全域グロス差10以上、250mm/sで全域グロス差5以上である。
<キャリアの製造>
(キャリア)
フェライト粒子(体積平均粒子径:35μm、GSDv:1.20) 100重量部
トルエン 14重量部
パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力24dyn/cm) 1.6重量部
カーボンブラック 0.12重量部
(商品名:VXC−72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下)
架橋メラミン樹脂粒子(体積平均粒子径:0.3μm、トルエン不溶) 0.3重量部
まず、パーフルオロアクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これにフェライト粒子以外の上記各成分を10分間スターラーで分散し、被覆層形成液を調製した。次いでこの被覆層形成液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
<現像剤A1〜A14、及び、B1〜B5の作製>
得られたトナーA1を36重量部と前記キャリア414重量部をVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤A1を作製した。
トナーA1をトナーA2〜A14、及び、トナーB1〜B5に代えた以外は現像剤A1と同様にして、現像剤A2〜A14、及び、現像剤B1〜B5を作製した。
<実施例1>
現像剤A1の定着性を富士ゼロックス(株)製、Docu Centre Color400改造機を用いてトナー載り量13.0g/m2に調整して、OHP(富士ゼロックス(株)製:V507)上に、画だしした後、外部定着器を用い、Nip6.5mm下、定着速度定着速度180mm/sec、定着温度180℃にて定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層の厚み(離型剤層厚)は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で10%、非当接部で13%であり、|Ha−Hb|は3%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。
また低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も3と良好であった。
<実施例2>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A2に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で9%、非当接部で13%であり、|Ha−Hb|は4%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も3と良好であった。
<実施例3>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A3に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で10%、非当接部で12%であり、|Ha−Hb|は2%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も4と良好であった。
<実施例4>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A4に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で10%、非当接部で15%であり、|Ha−Hb|は5%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も3と良好であった。
<実施例5>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A5に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で9%、非当接部で12%であり、|Ha−Hb|は3%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また低温定着性、高温定着性は、共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も4と良好であった。
<実施例6>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A6に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で9%、非当接部で15%であり、|Ha−Hb|は6%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。
また、低温定着性においては、160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。しかし高温定着性においてプロセススピード500mm/s、190℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も6とやや良好であった。
<実施例7>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A7に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で8%、非当接部で13%であり、|Ha−Hb|は5%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。
また、低温定着性においては、160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。しかし高温定着性においてプロセススピード500mm/s、190℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も8とやや良好であった。
<実施例8>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A8に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で9%、非当接部で15%であり、|Ha−Hb|は6%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。
また高温定着性については160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。しかし低温定着性においてプロセススピード500mm/s、110℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も7とやや良好であった。
<実施例9>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A9に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で10%、非当接部で14%であり、|Ha−Hb|は4%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。
また高温定着性については160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。しかし低温定着性においてプロセススピード500mm/s、110℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も7とやや良好であった。
<実施例10>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A10に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で10%、非当接部で12%であり、|Ha−Hb|は2%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も4と良好であった。
<実施例11>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A11に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で11%、非当接部で13%であり、|Ha−Hb|は2%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また、低温定着性においては、160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。しかし高温定着性においてプロセススピード500mm/s、190℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も3と良好であった。
<実施例12>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A12に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で10%、非当接部で16%であり、|Ha−Hb|は6%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また、低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も4と良好であった。
<実施例13>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A13に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で10%、非当接部で15%であり、|Ha−Hb|は5%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また、低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も3と良好であった。
<実施例14>
実施例1において、現像剤A1を現像剤A14に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で9%、非当接部で14%であり、|Ha−Hb|は5%であった。また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。さらに、定着画像の表面光沢度は100%であった。
また高温定着性については160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。しかし低温定着性においてプロセススピード500mm/s、110℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も8とやや良好であった。
<比較例1>
実施例1において、現像剤A1を現像剤B1に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で6%、非当接部で15%であり、|Ha−Hb|は9%であり、排出ロール当接痕が顕著に観察された。
また低温定着性についてはプロセススピード500mm/s、110℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。さらに高温定着性においてプロセススピード160、250、500mm/sのいずれにおいても、180℃で画像欠陥が多く観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も11とやや画像光沢ムラが観察された。
<比較例2>
実施例1において、現像剤A1を現像剤B2に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で5%、非当接部で15%であり、|Ha−Hb|は10%であり、排出ロール当接痕が顕著に観察された。
また低温定着性においてはプロセススピード500mm/s、110℃定着の際に若干画像欠陥が観察された。さらに高温定着性においてプロセススピード160、250、500mm/sのいずれにおいても、180℃で画像欠陥が多く観察された。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も12とやや画像光沢ムラが観察された。
<比較例3>
実施例1において、現像剤A1を現像剤B3に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールとの当接部で5%、非当接部で14%であり、|Ha−Hb|は9%であり、排出ロール当接痕が顕著に観察された。
しかし、低温定着性、高温定着性は共に160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も8とやや良好であった。
<比較例4>
実施例1において、現像剤A1を現像剤B4に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールの当接部で9%、非当接部で12%であり、|Ha−Hb|は3%であり、また、この定着機の剥離性も良好で、何ら抵抗無く剥離することが確認された。
低温定着性においては、160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
高温定着性については、250mm/s、500mm/sにおいて、画像欠陥が多く該温度範囲では実用に耐えない状態であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度180℃の際の画像光沢ムラの光沢差も13と画像光沢ムラが観察された。
<比較例5>
実施例1において、現像剤A1を現像剤B5に代えたこと以外、実施例1と同様にして、画像を定着し、排出ロールにて排出した。500倍のSEM観察から求めた該OHP定着画像上の離型剤層厚は1.3μmであった。
OHP定着画像上のヘイズ(曇度)は、排出ロールの当接部で7%、非当接部で14%であり、|Ha−Hb|は7%であり、排出ロールが僅かに観察された。
低温定着性においては、250mm/s、500mm/sにおいて、実用上問題ないが低温部で画像欠陥が認められた。
高温定着性については、160mm/s、250mm/s、500mm/sいずれのプロセススピードにおいても画像欠陥は無く、良好であった。
さらにプロセススピード160mm/sのときの定着温度160℃の際の画像光沢ムラの光沢差が7となり、やや画像光沢ムラが観察された。
結果を以下の表1に示す。
Figure 2009210913
表1の結果から、テトラヒドロフランに分散させたとき、ワックスの70重量%以上100重量%以下がテトラヒドロフランに抽出される場合、低温定着性、高温定着性が良好であり、さらに排出ロール当接痕、画像光沢ムラも良好であることが確認された。さらにワックス融点が75〜100℃の際に特に良好であることも確認された。

Claims (7)

  1. 結晶性樹脂及びワックスを含有し、
    前記結晶性樹脂の含有量が5重量%以上15重量%以下であり、
    テトラヒドロフランに分散させたとき、前記ワックスの70重量%以上100重量%以下がテトラヒドロフランに抽出されることを特徴とする
    静電荷像現像用トナー。
  2. 前記ワックスの融点が75℃以上100℃以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記ワックスの含有量が5重量%以上12重量%以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含有することを特徴とする静電荷像現像剤。
  5. 少なくとも請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容していることを特徴とするトナーカートリッジ。
  6. 現像剤保持体を備え、
    請求項4に記載の静電荷像現像剤を収容していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 潜像保持体と、
    潜像保持体上に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、
    潜像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、
    被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、
    前記トナーが請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤が請求項4に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする
    画像形成装置。
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