JP2009209846A - 火花点火式エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】クランク角度センサが故障した場合でも継続して運転を行うことができる火花点火式エンジンを提供する。
【解決手段】クランク角度センサで検出したクランク軸のクランク角度が所定の燃料噴射角度と所定の点火角度になった時に、制御手段が、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始3aするとともに、点火プラグの火花放電29aを行うようにした、火花点火式エンジンにおいて、クランク角度センサが故障した場合には、制御手段でその故障を検出し、吸気圧42のピーク43を吸気圧センサで検出したことに基づいて、制御手段が、その吸気圧42のピーク43の検出時又はその検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタからの燃料噴射を開始3aするとともに、点火プラグの火花放電29aを行うようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、火花点火式エンジンに関し、詳しくは、クランク角度センサやエンジン回転数センサが故障した場合でも、継続して運転を行うことができる、火花点火式エンジンに関するものである。
従来の火花点火式エンジンとして、本発明と同様、吸気経路中にスロットル弁を設け、このスロットル弁の吸気下流側の吸気圧を検出する吸気圧センサと、エンジン回転数センサと、クランク角度センサと、制御手段と、インジェクタと、点火プラグとを設け、吸気圧センサとエンジン回転数センサとクランク角度センサとを、制御手段を介して、インジェクタと点火プラグとに連携させ、吸気圧センサで検出した吸気圧と、エンジン回転数センサで検出したエンジン回転数とに基づいて、制御手段がインジェクタからの燃料の噴射量を調節し、クランク軸のクランク角度が所定の燃料噴射角度と所定の点火角度になったことをクランク角度センサで検出したことに基づいて、制御手段が、インジェクタからの燃料噴射を開始するとともに、点火プラグの火花放電を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来の火花点火式エンジンは、クランク角度センサやエンジン回転数センサが故障した場合、制御手段にクランク軸のクランク角度やエンジン回転数の情報が正常に発信されなくなるにも拘わらず、これに代わる情報発信手段を備えていないため、問題がある。
特開2006−226281号公報(図1、図2参照)
上記従来技術では、次の問題がある。
《問題》 クランク角度センサやエンジン回転数センサが故障した場合、運転を継続することができない。
クランク角度センサやエンジン回転数センサが故障した場合、制御手段にクランク軸のクランク角度やエンジン回転数の情報が正常に発信されなくなるにも拘わらず、これに代わる情報発信手段を備えていないため、燃料噴射や火花放電を行うことができず、運転を継続することができない。
本発明は、上記問題点を解決することができる火花点火式エンジン、すなわち、クランク角度センサやエンジン回転数センサが故障した場合でも、継続して運転を行うことができる、火花点火式エンジンを提供することを課題とする。
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、吸気経路(27)中にスロットル弁(8)を設け、このスロットル弁(8)の吸気下流側の吸気圧を検出する吸気圧センサ(9)と、エンジン回転数センサ(10)と、クランク角度センサ(28)と、制御手段(11)と、インジェクタ(3)と、点火プラグ(29)(29)とを設け、
吸気圧センサ(9)とエンジン回転数センサ(10)とクランク角度センサ(28)とを、制御手段(11)を介して、インジェクタ(3)と点火プラグ(29)(29)とに連携させ、
吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、エンジン回転数センサ(10)で検出したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節し、
図1及び図3に例示するように、クランク軸(37)のクランク角度が所定の燃料噴射角度と所定の点火角度になったことをクランク角度センサ(28)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、火花点火式エンジンにおいて、
図1及び図3に例示するように、クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)のピーク(43)の検出時又はその検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、吸気経路(27)中にスロットル弁(8)を設け、このスロットル弁(8)の吸気下流側の吸気圧を検出する吸気圧センサ(9)と、エンジン回転数センサ(10)と、クランク角度センサ(28)と、制御手段(11)と、インジェクタ(3)と、点火プラグ(29)(29)とを設け、
吸気圧センサ(9)とエンジン回転数センサ(10)とクランク角度センサ(28)とを、制御手段(11)を介して、インジェクタ(3)と点火プラグ(29)(29)とに連携させ、
吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、エンジン回転数センサ(10)で検出したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節し、
図1及び図3に例示するように、クランク軸(37)のクランク角度が所定の燃料噴射角度と所定の点火角度になったことをクランク角度センサ(28)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、火花点火式エンジンにおいて、
図1及び図3に例示するように、エンジン回転数センサ(10)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧センサ(9)で検出した所定時間当たりの吸気圧(42)のピーク(43)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算し、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、上記のように演算したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節するようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
(請求項1に係る発明)
《効果》 クランク角度センサが故障した場合でも継続して運転を行うことができる。
図1及び図3に例示するように、クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)のピーク(43)の検出時又はその検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしたので、クランク角度センサ(28)が故障した場合でも継続して運転を行うことができる。
(請求項2に係る発明)
請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン回転センサが故障した場合でも継続して運転を行うことができる。
図1及び図3に例示するように、エンジン回転数センサ(10)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧センサ(9)で検出した所定時間当たりの吸気圧(42)のピーク(43)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算し、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、上記のように演算したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節するので、エンジン回転センサ(10)が故障した場合でも継続して運転を行うことができる。
(請求項3に係る発明)
請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 吸気圧のピークの検出が容易になる。
図3に例示するように、1/2燃焼サイクル毎に吸気圧(42)の同一波形の脈動が繰り返されるようにしたので、吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)同士の位相差がクランク角度360°で、低圧側のピーク(44)同士の位相差がクランク角度360°となり、高圧側のピーク(43)同士の相互干渉や、低圧側のピーク(44)同士の相互干渉が起こりにくく、各ピーク(43)(44)がシャープになり、吸気圧(42)のピーク(43)の検出が容易になる。
(請求項4に係る発明)
請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 センサの故障が起こりにくい。
図1及び図3に例示するように、クランク角度センサ(28)が正常であるか、故障であるかに拘わらず、両気筒(5)(6)のピストン(45)(46)が上死点寄りに位置する上死点寄り期間中に、制御手段(11)が、一のインジェクタ(3)から両気筒(5)(6)への吸気経路(27)内に燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、両気筒(5)(6)の点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしたので、各気筒(5)(6)の上死点寄り期間が吸気行程開始付近の上死点寄り期間か圧縮行程終了付近の上死点寄り期間かを識別する必要がなく、各気筒(5)(6)の燃焼行程を識別する行程識別センサが不要になる。このため、センサの総数が減少し、センサの故障が起こりにくい。
(請求項5に係る発明)
請求項4に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 クランク角度センサの故障時に制御手段にかかる負担が小さい。
図1及び図3に例示するように、クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)の検出時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしたので、遅延時間の設定が不要で、制御手段(11)の処理が簡素になり、クランク角度センサ(28)の故障時に制御手段(11)にかかる負担が小さい。
(請求項6に係る発明)
《効果》 エンジン回転数センサが故障した場合でも継続して運転を行うことができる。
図3に例示するように、エンジン回転数センサ(10)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧センサ(9)で検出した所定時間当たりの吸気圧(42)のピーク(43)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算し、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、上記のように演算したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節するようにしたので、エンジン回転センサ(10)が故障した場合でも継続して運転を行うことができる。
(請求項7に係る発明)
請求項6に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 吸気圧のピークの検出が容易になる。
図3に例示するように、1/2燃焼サイクル毎に吸気圧(42)の同一波形の脈動が繰り返されるようにしたので、吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)同士の位相差がクランク角度360°で、低圧側のピーク(44)同士の位相差がクランク角度360°となり、高圧側のピーク(43)同士の相互干渉や、低圧側のピーク(44)同士の相互干渉が起こりにくく、各ピーク(43)(44)がシャープになり、吸気圧(42)のピーク(43)の検出が容易になる。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図6は本発明の実施形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、この実施形態では、4サイクル直列2気筒の火花点火式ガソリンエンジンについて説明する。
本発明の実施形態の概要は、次の通りである。
図5に示すように、シリンダブロック(15)の上部にシリンダヘッド(1)を組み付け、シリンダヘッド(1)の上部にヘッドカバー(16)を組み付けている。シリンダブロック(15)の下部にはオイルパン(17)を組み付けている。シリンダブロック(15)の左部にはギヤケース(18)を組み付け、ギヤケース(18)の左部にはベルトケース(19)を組み付けている。ベルトケース(19)の左部には冷却ファン(20)を配置している。シリンダブロック(15)の右部にはフライホイル(26)を配置している。シリンダヘッド(1)の手前にはスロットルボディ(7)を組み付けている。シリンダブロック(15)の手前にはメカニカルガバナのガバナレバー(21)とガバナスプリング(22)とを配置している。このエンジンは、電子燃料噴射装置を備えている。
このエンジンの電子燃料噴射装置の概要は、次の通りである。
図1に示すように、吸気経路(27)中にスロットル弁(8)を設け、このスロットル弁(8)の吸気下流側の吸気圧を検出する吸気圧センサ(9)と、パルサーコイル(47)と、制御手段(11)と、インジェクタ(3)と、点火プラグ(29)(29)とを設けている。パルサーコイル(47)は、エンジン回転数センサ(10)であり、クランク角度センサ(28)でもある。すなわち、フライホイル(26)の周側に計測の起点となる起点突起と、周方向に一定間隔を保持した多数の計測用突起とを設け、フライホイル(26)の周側と対向する位置にパルサーコイル(47)を設け、パルサーコイル(47)の前を通過した計測用突起が起点突起から何番目であるかをカウントすることにより、クランク軸(37)のクランク角度を検出し、パルサーコイル(47)の前を通過した計測用突起の数が所定時間当たりいくつであるかをカウントすることにより、エンジン回転数を検出する。
図1に示すように、吸気圧センサ(9)とパルサーコイル(47)とを、制御手段(11)を介して、インジェクタ(3)と点火プラグ(29)(29)とに連携させている。点火プラグ(29)(29)は点火回路(48)を介して制御手段(11)に連携させている。吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、エンジン回転数センサ(10)であるパルサーコイル(47)で検出したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)が吸気量を演算し、演算された吸気量に応じて制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節している。クランク軸(37)のクランク角度が所定の燃料噴射角度と所定の点火角度になったことを、クランク角度センサ(28)であるパルサーコイル(47)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしている。
燃料噴射開始角度や点火角度は、エンジン回転数や吸気圧に応じて予め設定され、マップデータとして制御手段(11)の記憶手段に格納されている。燃料にはガソリンを用いているが、他の液体燃料や液化ガス燃料を用いてもよい。
電子燃料噴射装置の詳細は、次の通りである。
図2に示すように、インジェクタ(3)は、スロットルボディ(7)の上部に取り付けられている。図1に示すように、インジェクタ(3)は、燃料タンク(23)内に設けた燃料圧送ポンプ(24)に接続されている。インジェクタ(3)には燃料タンク(23)から燃料圧送ポンプ(24)により燃料が圧送される。そして、制御手段(11)でインジェクタ(3)からの燃料噴射期間を制御することにより、燃料噴射量が調節される。制御手段(11)は、エンジンECU、すなわちエンジン電子制御ユニットであり、マイクロコンピュータである。制御手段(11)は点火時期も制御する。
電子燃料噴射装置の工夫は、次の通りである。
図1及び図3に示すように、パルサーコイル(47)が故障した場合には、クランク角度センサ(28)が故障したことになるので、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)がその高圧側のピーク(43)の検出時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしている。パルサーコイル(47)の故障は、検出信号の停止、検出信号の異常に基づいて検出することができる。
クランク角度センサ(28)であるパルサーコイル(47)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)がその高圧側のピーク(43)の検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしてもよい。
遅延時間は、適正な燃料噴射開始時及び点火時が得られるよう、制御手段(11)がエンジン回転数に基づいて演算すればよい。
クランク角度センサ(28)であるパルサーコイル(47)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧(42)の低圧側のピーク(44)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)がその低圧側のピーク(44)の検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしてもよい。
遅延時間は、適正な燃料噴射開始時及び点火時が得られるよう、制御手段(11)がエンジン回転数に基づいて演算すればよい。
図1及び図3に示すように、パルサーコイル(47)が故障した場合には、エンジン回転センサ(10)も故障したことになるので、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧センサ(9)で検出した所定時間当たりの吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算し、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、上記のように演算したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)が吸気量を演算し、演算された吸気量に応じて制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節するとともに、演算されたエンジン回転数に基づいて、制御手段(11)が燃料噴射開始時及び点火時の遅延時間を設定するようにしている。
この場合、低圧側のピーク(44)の検出数や、高速側のピーク(43)と低速側のピーク(44)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算するようにしてもよい。
この実施形態では、単一のパルサーコイル(47)がクランク角度センサ(28)であり、エンジン回転数センサ(10)でもあるため、この単一のパルサーコイル(47)が故障すると、クランク角度センサ(28)とエンジン回転数センサ(10)とが同時に故障するリスクがある。このため、クランク角度センサ(28)とエンジン回転数センサ(10)とを別部品で構成してもよい。
クランク角度センサ(28)とエンジン回転数センサ(10)とを別部品で構成した場合は、次のようにすればよい。
クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)の検出時又はその検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにすればよい。
また、クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)の低圧側のピーク(44)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)の低圧側のピーク(44)の検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしてもよい。
エンジン回転数センサ(10)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧センサ(9)で検出した所定時間当たりの吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算し、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、上記のように演算したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)が吸気量を演算し、演算された吸気量に応じて制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節するとともに、演算されたエンジン回転数に基づいて、制御手段(11)が燃料噴射開始時及び点火時の遅延時間を設定するようにすればよい。
この場合、低圧側のピーク(44)の検出数や、高速側のピーク(43)と低速側のピーク(44)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算するようにしてもよい。
図4に示すように、4サイクル直列2気筒の構造で、クランクピン角度を360°とし、図3に示すように、クランク角度720°の1燃焼サイクル中、一方の気筒の圧縮行程と他方の気筒の排気行程とを同期させるとともに、一方の気筒の爆発行程と他方の気筒の吸気行程とを同期させることにより、1/2燃焼サイクル毎に吸気圧(42)の同一波形の脈動が繰り返されるようにしている。1/2燃焼サイクル中、吸気(42)の高圧側のピーク(43)と低圧側のピーク(44)は1回ずつ発生する。図4中の符号(39)(40)はクランクピンである。
図1に示すように、両気筒(5)(6)に対し一のスロットルボディ(7)を用い、このスロットルボディ(7)に一のインジェクタ(3)を取り付けている。
図3に示すように、クランク角度センサ(28)であるパルサーコイル(47)が正常であるか、故障であるかに拘わらず、両気筒(5)(6)のピストン(45)(46)が上死点寄りに位置する上死点寄り期間中に、制御手段(11)が、一のインジェクタ(3)から両気筒(5)(6)への吸気経路(27)内に燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、両気筒(5)(6)の点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにしている。吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)は、両気筒(5)(6)のピストン(45)(46)が上死点寄りに位置する上死点寄り期間中に発生する。
具体的には、クランク角度センサ(28)であるパルサーコイル(47)が正常である場合には、図3に示すように、両気筒(5)(6)の排気行程の後半に燃料の噴射を開始(3a)し、両気筒(5)(6)のピストン(45)(46)が上死点付近にある時に、制御手段(11)が両気筒(5)(6)の点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行う。
また、クランク角度センサ(28)であるパルサーコイル(47)が故障した場合には、図3に示すように、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)の検出時を燃料噴射開始時及び点火時とする。この場合、エンジン回転数に応じて所定の遅延時間を設定し、高圧側若しくは低圧側のピーク(43)(44)の検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時としてもよいことは前記の通りである。
図1に示すように、気筒中心軸線(30)(31)と平行な向きに見て、2本の気筒(5)(6)の配列方向を左右方向、これと直交するシリンダヘッド(1)の幅方向を前後方向、その任意の一方を後方として、隣り合う左右の気筒(5)(6)の一対に対して、一のスロットルボディ(7)を用い、このスロットルボディ(7)をシリンダヘッド(1)の後方に配置し、このスロットルボディ(7)に一のスロットル吸気通路(7a)と一のスロットル弁(8)とを設けている。上記左右の気筒(5)(6)の各弁口(5a)(6a)の間からスロットル吸気通路(7a)に向けて中央吸気ポート壁(34)を導出し、この中央吸気ポート壁(34)の左右に形成される吸気ポート(2)を介して、上記各弁口(5a)(6a)を上記スロットル吸気通路(7a)に連通させている。
図1、図2に示すように、前記スロットルボディ(7)にインジェクタ(3)を取り付けている。一のスロットルボディ(7)に対し、一のインジェクタ(3)を用いている。図1に示すように、インジェクタ(3)の前端部を前方の中央吸気ポート壁(34)に向け、このインジェクタ(3)の前端部に左右の燃料噴射孔(35)(36)を配置し、これら左右の燃料噴射孔(35)(36)から左右に分けて噴射した燃料を、それぞれ中央吸気ポート壁(34)の左右で、吸気ポート(2)の内壁面に衝突させるようにしている。図6に示すように、左右の燃料噴射孔(35)(36)を対として、インジェクタ(3)の前端部に2対のものを配置し、図1、図2に示すように、2対のものから前後に分けて同時に噴射した燃料を、それぞれ中央吸気ポート壁(34)の左右で、吸気ポート(2)の内壁面に、前後にずらして衝突させるようにしている。また、燃料を、左右の燃料噴射孔(35)(36)から同時に噴射するように構成している。
図2に示すように、気筒中心軸線(30)(31)の方向を上下方向、ヘッドカバー(16)のある方を上、シリンダブロック(15)のある方を下とし、クランク軸(37)の架設方向と平行な向きから見て、噴射燃料は、吸気ポート(2)のポート入口(4)から吸気ポート(2)に斜め下向きに噴射し、吸気ポート(2)の内壁面の下部に斜め上から衝突させる。図1、図2、図6では、燃料噴射の方向を矢印で示す。図1、図2では、矢印の先端位置で燃料が吸気ポート(2)の内壁面に衝突する。
図1に示すように、中央吸気ポート壁(34)は、スロットル吸気通路(7a)に近づくにつれてその左右方向の幅が次第に狭くなるようにしている。吸気ポート(2)を、単一の吸気ポート入口(4)から相互に隣り合う左右の気筒(5)(6)の各吸気弁口(5a)(6a)に向かう分岐構造としている。そして、左右の燃料噴射孔(35)(36)から左右に分けて同時に噴射した燃料は、図1に示すように、それぞれ中央吸気ポート壁(34)の左右で、左右の分岐ポート部分(32)(33)の内壁面に衝突する。このエンジンは、2気筒で吸気ポート(2)が分岐しているため、インテークマニホルドを用いる必要がない。
図1に示すように、エンジン温度検出手段(12)と、スロットル弁(8)の吸気上流側と吸気下流側とを連通させる吸気バイパス通路(13)と、この吸気バイパス通路(13)を開閉するバイパス弁(14)とを設け、エンジン温度検出手段(12)を制御手段(11)を介してバイパス弁(14)に連携させ、エンジン温度が所定値よりも低い場合には、制御手段(11)がバイパス弁(14)を開弁するようにしている。エンジン温度検出手段(12)には冷却水温度検出センサを用いているが、これに代えて、エンジン温度検出センサを用いてもよい。
また、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧の減少速度が所定値よりも大きい場合には、制御手段(11)の制御により、所定時間だけバイパス弁(14)を開弁する。そして、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧の減少速度が所定値よりも大きい場合には、前記制御手段(11)の制御により、吸気圧の減少速度が大きい程、バイパス弁(14)の開弁時間を長くする。吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧の減少速度が所定値よりも小さい場合には、エンジン温度が所定値よりも低い場合を除き、バイパス弁(14)は閉弁しておく。なお、図1、図2中の符号(41)は排気ポートである。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、4サイクル単気筒の火花点火式エンジンの場合、クランク角度720°の1燃焼サイクル毎に吸気圧の同一波形の脈動が繰り返され、吸気圧の高圧側のピークが吸気行程開始時付近で1回だけ発生するため、クランク角度センサが故障した場合には、制御手段がその故障を検出し、吸気圧の高圧側のピークを吸気圧センサで検出したことに基づいて、制御手段がその検出時を燃料噴射開始時とし、その検出時から所定の遅延時間の経過時を点火時とし、吸気行程開始時付近で燃料噴射が開始され、圧縮行程終了時付近で火花放電が行われるようにする。
すなわち、本発明は、クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧(42)の高圧側若しくは低圧側のピーク(43)(44)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)がそのピーク(43)(44)の検出時若しくはその検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行い、適正時期に燃料噴射の開始と火花放電が行えるものであればよい。
本発明の実施形態に係る4サイクル直列2気筒の火花点火式エンジンのシリンダヘッドとスロットルボディの横断平面を含む模式図である。 図1のII−II線断面図である。 図1に示すエンジンの各気筒の燃焼サイクルと、クランク角度センサであるパルサーコイルが正常時と故障時の燃料噴射開始時と火花放電時と、スロットル弁下流での吸気圧脈動とを説明する図である。 図1に示すエンジンの縦断左側面図である。 図1に示すエンジンの右側面図である。 図1のエンジンで用いるインジェクタ前端の正面図である。
符号の説明
(3) インジェクタ
(3a)燃料噴射の開始
(8) スロットル弁
(9) 吸気圧センサ
(10) エンジン回転数センサ
(11) 制御手段
(27)吸気経路
(28) クランク角度センサ
(29) 点火プラグ
(29a) 火花放電
(42) 吸気圧
(43) 高圧側ピーク
(44) 低圧側ピーク
(45) ピストン
(46) ピストン

Claims (7)

  1. 吸気経路(27)中にスロットル弁(8)を設け、このスロットル弁(8)の吸気下流側の吸気圧を検出する吸気圧センサ(9)と、エンジン回転数センサ(10)と、クランク角度センサ(28)と、制御手段(11)と、インジェクタ(3)と、点火プラグ(29)(29)とを設け、
    吸気圧センサ(9)とエンジン回転数センサ(10)とクランク角度センサ(28)とを、制御手段(11)を介して、インジェクタ(3)と点火プラグ(29)(29)とに連携させ、
    吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、エンジン回転数センサ(10)で検出したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節し、
    クランク軸(37)のクランク角度が所定の燃料噴射角度と所定の点火角度になったことをクランク角度センサ(28)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、火花点火式エンジンにおいて、
    クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)のピーク(43)の検出時又はその検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
  2. 請求項1に記載した火花点火式エンジンにおいて、
    エンジン回転数センサ(10)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧センサ(9)で検出した所定時間当たりの吸気圧(42)のピーク(43)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算し、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、上記のように演算したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節するようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
  3. 請求項1または請求項2に記載した火花点火式エンジンにおいて
    4サイクル直列2気筒の構造で、クランクピン角度を360°とし、クランク角度720°の1燃焼サイクル中、一方の気筒の圧縮行程と他方の気筒の排気行程とを同期させるとともに、一方の気筒の爆発行程と他方の気筒の吸気行程とを同期させることにより、1/2燃焼サイクル毎に吸気圧(42)の同一波形の脈動が繰り返されるようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
  4. 請求項3に記載した火花点火式エンジンにおいて、
    両気筒(5)(6)に対し一のスロットルボディ(7)を用い、このスロットルボディ(7)に一のインジェクタ(3)を取り付け、
    クランク角度センサ(28)が正常であるか、故障であるかに拘わらず、両気筒(5)(6)のピストン(45)(46)が上死点寄りに位置する上死点寄り期間中に、制御手段(11)が、一のインジェクタ(3)から両気筒(5)(6)への吸気経路(27)内に燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、両気筒(5)(6)の点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
  5. 請求項4に記載した火花点火式エンジンにおいて、
    クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)のピーク(43)の検出時又はその検出時から所定の遅延時間の経過時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、ことに代えて、
    クランク角度センサ(28)が故障した場合には、制御手段(11)でその故障を検出し、吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)を吸気圧センサ(9)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、その吸気圧(42)の高圧側のピーク(43)の検出時を燃料噴射開始時及び点火時として、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
  6. 吸気経路(27)中にスロットル弁(8)を設け、このスロットル弁(8)の吸気下流側の吸気圧を検出する吸気圧センサ(9)と、エンジン回転数センサ(10)と、クランク角度センサ(28)と、制御手段(11)と、インジェクタ(3)と、点火プラグ(29)(29)とを設け、
    吸気圧センサ(9)とエンジン回転数センサ(10)とクランク角度センサ(28)とを、制御手段(11)を介して、インジェクタ(3)と点火プラグ(29)(29)とに連携させ、
    吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、エンジン回転数センサ(10)で検出したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節し、
    クランク軸(37)のクランク角度が所定の燃料噴射角度と所定の点火角度になったことをクランク角度センサ(28)で検出したことに基づいて、制御手段(11)が、インジェクタ(3)からの燃料噴射を開始(3a)(3a)するとともに、点火プラグ(29)(29)の火花放電(29a)(29a)を行うようにした、火花点火式エンジンにおいて、
    エンジン回転数センサ(10)が故障した場合には、制御手段(11)がその故障を検出し、吸気圧センサ(9)で検出した所定時間当たりの吸気圧(42)のピーク(43)の検出数に基づいて、制御手段(11)がエンジン回転数を演算し、吸気圧センサ(9)で検出した吸気圧(42)と、上記のように演算したエンジン回転数とに基づいて、制御手段(11)がインジェクタ(3)からの燃料の噴射量を調節するようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
  7. 請求項6に記載した火花点火式エンジンにおいて
    4サイクル直列2気筒の構造で、クランクピン角度を360°とし、クランク角度720°の1燃焼サイクル中、一方の気筒の圧縮行程と他方の気筒の排気行程とを同期させるとともに、一方の気筒の爆発行程と他方の気筒の吸気行程とを同期させることにより、1/2燃焼サイクル毎に吸気圧(42)の同一波形の脈動が繰り返されるようにした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
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